アイデアの缶詰
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数珠.jpg
SCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:現在、SCP-XXX-JPはサイト-1024の、性格適性試験に合格したDクラス職員(現在はD-100519)が所持しています。対象のDクラス職員へはSCP-XXX-JPの紛失による収容違反防止のため毎日12時間毎に所持品チェックを行ってください。このDクラス職員は特例として終了措置が免除されます。また、Dクラス職員へは週に一度カウンセラーとの面談によるストレスチェックを実施してください。ストレスチェックの結果、Dクラス職員が強いストレスを感じていると判断された場合は待遇の改善を検討してください。

説明: SCP-XXX-JPは製造年不明の紫檀製の腕輪念珠1です。
SCP-XXX-JPは2014年5月に、当時サイト-1024所属の研修生であった平等院氏より、財団へ譲渡されました。
SCP-XXX-JPの異常性は、SCP-XXX-JPの最も近くにいる人間が強い負の感情を持った時に発現します。この時、その人間の負の感情の原因となっている個人・共同体は、偶発的な事象が原因による肉体的、精神的、社会的ダメージを受けます。この事象によるダメージの規模は所持している人間が感じている負の感情の強さに応じて変動します。
現在、SCP-XXX-JPの異常性のより具体的な発現条件、発現原理、影響範囲の調査が進められています。

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SCP-XXX-JP譲渡時の平等院研修生との面談記録

対象: 平等院忠男 (サイト-1024 低危険オブジェクト調査2課 研修生[2014年当時])

担当者: エージェント・赤川

<面談開始>

エージェント・赤川:平等院さん。初めに、この面談記録は財団内の公式文書として記録されますので、これから話すことについては嘘偽りの無いようにお願いします。

平等院研修生:はい、わかりました。

エージェント・赤川:では、まずはこのオブジェクトの出自について話して下さい。

平等院研修生:はい、このオブジェクトは私の家に代々伝わっていたもので、幸御数珠と呼ばれていました。記録によると1780年頃に私の祖先がこのオブジェクトを作り上げて、それを代々受け継いできたとのことです。オブジェクトの作り方や作った経緯については失伝していてわかりません。現在の持ち主は私です。

エージェント・赤川:ありがとうございます。では続いて、平等院さんの一族はそのオブジェクトを代々受け継いでどのような使い方をしていたのですか?

平等院研修生:…あまり褒められた使い方ではありませんが、オブジェクトを使って他人を呪うことで利益を得ていたみたいです。あのオブジェクトは、持つ者の妬みや劣等感に反応して他者を不幸にするものです。私の祖先はその性質を利用して、自分より有力な人物を蹴落として成り上がっていったみたいです。例えば、有能な同期や上司、政略結婚の対抗馬、近代ですと競合他社の社長とかもやられたみたいです。皆急に仕事がうまくいかなくなったり人間関係が不安定になったりと様々な理由で崩れていったそうです。私の家は昔から資産家だったのですが、それもこのオブジェクトを使って結果的に得たものらしいです。恐らくオブジェクトを作った者も初めからそういう意図で作ったのだと思います。

エージェント・赤川:そうでしたか。お家のそういった事情はなかなか話しにくかったでしょう。正直に話して頂きありがとうございます。

平等院研修生:いえ、そんな気になさらないでください。

エージェント・赤川:そういえば、オブジェクトの取り扱う上でのマニュアルのようなものが代々伝わっているとの先日聞きましたが、今持ってきていますか?

平等院研修生:はい、こちらです。(資料を取り出してエージェント・赤川に手渡す)

エージェント・赤川:どれどれ…幸御数珠は片時も手放さず、常に身に着けておくべし…、無くしたらどんな手を使ってでも取り戻せ…、幸御数珠を使う際は恨み辛み妬み嫉み僻み怒りの念を強く込めるべし…、継承者が死病にかかった時や命にかかわる大けがをした時は速やかに幸御数珠を縁者に継承せよ、縁者が間に合わないならば誰でもよいから譲り渡せ…。

平等院研修生:ほとんどはマニュアルというより心得のようなものですが、もしかしたら収容プロトコル作成の参考になるような記述があるかもしれません。

エージェント・赤川:確かにそうですね。この文書は参考資料として預からせて頂きます。ご協力ありがとうございます。それにしても何故あなたは一族秘蔵のオブジェクトを財団に寄贈しようと思ったのですか?

平等院研修生:私はまだ研修生ではありますが、一応は財団職員の一人です。こんな恐ろしく危険なオブジェクトを私的利用するリスクについては把握しています。祖先には申し訳ないで…いや、別に申し訳なくなんてないな、とにかく一刻も早く安全な収容方法を確立させないといけないと思ったので引き渡しました。

エージェント・赤川:そうでしたか。とても立派なことだと思います。確かにこれは悪人や要注意団体の手に渡ると厄介事になりそうなオブジェクトですね。

平等院研修生:いいえ、厄介とかそういう次元のものではないです。先程のマニュアル中の「継承者が死病にかかった時や命にかかわる大けがをした時は速やかに幸御数珠を縁者に継承せよ、縁者が間に合わないならば誰でもよいから譲り渡せ…」の文を覚えていますか?

エージェント・赤川:ええ、覚えていますよ。そういえば、縁者に継承するはともかく誰でもよいから譲り渡せというのは変だなと思いましたね。

平等院研修生:…実は昔、当時の継承者が夜道で刺されて死にかけたという事件があったのです。刺した犯人は当時の継承者にオブジェクトで呪われて落ちぶれてしまった継承者の恋敵でした。それで、継承者が刺されて苦しんでいると、やがて刺した犯人も一緒に苦しみ始めてやがて死んでしまったんです。しかも死んだのは犯人だけではありませんでした。犯人の親や兄弟、従兄弟らのおおよそ4親等以内の親族皆が同時に苦しみ悶えて死んでしまったとのことです。マニュアル中の譲り渡せの部分を書いたのはその継承者なのですが、どうやら死にかけて苦しんでいる時に犯人とその一族を強く呪ったみたいでして、そのせいで多くの人が亡くなる結果となりました。

エージェント・赤川:それは…。

平等院研修生:このオブジェクトがどれほどの力を秘めているか、人の恨みや妬みの念はどれほどのエネルギーを持つはわかりませんが、もしかしたらその程度の被害で済んでまだ幸運だったのかもしれません。もしも当時の継承者が犯人一族だけでなく、その知人、同郷の人物、健やかに生きている者全てに対してまでその恨みの矛先を向けていたらどのような結果になっていたかを考えると。

エージェント・赤川:…わかりました。改めて、このオブジェクトを引き渡して頂けたことに感謝します。後は我々が責任を持って収容・保護します。

平等院研修生:はい。どうかよろしくお願いします。

<面談終了>

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