アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは必要最低限の家具を設置した標準人型用セルに収容されています。SCP-XXX-JPに書物を与えることはいかなる状況下でも許可されません。また、当該オブジェクトの極端な意識の変化がないように、週に一度のカウンセリングと、月に一度の知能テストを含む簡易的な身体測定を行う必要があります。
現在SCP-XXX-JPは"自分は病弱であり医療機関によって治療を受けている"と認識しているため、収容に対して協力的です。現在、当該オブジェクトへの実験は現在凍結されています。詳細は"実験記録XXX-JP"を参照してください。
説明: SCP-XXX-JPは10代後半の日本人男性であり、身長は170cm、体重は50kgです。後述の理由によりSCP-XXX-JPが本来どのような生き物であり、どういった経緯で現在の姿になったのかは不明です。
SCP-XXX-JPは身体的特徴及び能力を変化させることが可能です。この際生じる変化は、SCP-XXX-JP自身が信じ込んだ情報に基づいています。但し、SCP-XXX-JP自身が僅かにでもその情報に疑問を感じていると変化は起こりません。この変化は当該オブジェクトのみに留まり、SCP-XXX-JPに関する情報や周囲の環境については改竄されません。
SCP-XXX-JPは20██年に発生したSCP-███の収容違反事案における唯一の生存者として財団の目に留まりました。財団エージェントが現場に到着した際には生存者は確認できませんでしたが、SCP-███再収容後に瓦礫の中から当該オブジェクトが無傷のまま出てきたため、財団によって保護されました。SCP-XXX-JPは当初"死なない人型オブジェクト"として収容され、████と名乗っていました。しかし、該当する人物の身辺調査の結果既に死亡していたことが発覚したために行われたインタビュー及びその後の実験によって、特異性が明らかになりました。
以下はSCP-XXX-JPへのインタビュー記録です。
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██博士
<録音開始>
██博士: ではインタビューを開始します。
SPC-XXX-JP: よろしくお願いします。ええと、これは一体どういったもので?
██博士: あぁ、簡単な質問ですのでお気になさらず。まず、名前と年齢、それと住所をお願いします。
SCP-XXX-JP: 名前は████です。今は19で、██県█村███に住んでいます。これ、この前も同じこと聞かれたんですけど……。
██博士: 先日と同じことを尋ねたのは、その情報に問題があったからです。████さんという方は6年前に既に亡くなっていますし、その住所にあたる場所は洞窟です。そもそも人の住める場所じゃないはずだ。
SCP-XXX-JP: そんな……僕が死んでるはずが……だって毎日家で、家で……。
██博士: 落ち着いてください。落ち着いて。もう一度聞きますよ、貴方は何者ですか?
SCP-XXX-JP: 誰……何……僕は……。[ノイズ]私は何者ですか?
<録音終了>
終了報告書: インタビューの直後、SCP-XXX-JPに呼吸の激化や鳥肌など、極度のストレス反応が見られました。当該オブジェクトはその後激しく痙攣し、間もなく昏睡。その際右手の指が鉤爪状となり、背中からは翼のような器官の発生が確認されました。いずれも未知の生命体のものです。昏睡から約24時間後に当該オブジェクトは元の姿に戻り、約48時間後に目覚めました。SCP-XXX-JPへの更なる実験と調査が必要です。
██博士によるインタビューの結果から、SCP-XXX-JPを対象とする実験が行われました。以下に実験によって得られた成果を記載します。
実験記録XXX-JP-1 - 日付20██/8/██
対象: SCP-XXX-JP
手順: 対象に記憶処理を行い、自身の体重が70kgであると認識させる。
結果: 記憶処理の直後に体重が増加。同様の処理を行い元の体重に戻す試みも成功した。
分析: ある種の現実改変能力であることは確認できた。簡易な実験で適用範囲を確認できれば良いのだが。 - ██博士
実験記録XXX-JP-2 - 日付20██/8/██
対象: SCP-XXX-JP
手順: 対象に目隠しをさせ、リンゴジュースだと言い聞かせてグレープジュースを飲ませる。
結果: コップの中身に変化なし。対象は一口飲んだあと、出された飲み物がリンゴジュースでないことに困惑していた。
分析: 変化するのは自身だけのようだ。思い込みが自身の身体へ影響を与えるといったところか。 - ██博士
実験記録XXX-JP-3 - 日付20██/8/██
対象: SCP-XXX-JP
手順: 対象へ記憶処理を行い、過去に右腕を事故で失ったという記憶を付与する。
結果: 記憶処理の後、インタビュー時に酷似した身体的なストレス反応を起こした後に激しく痙攣。対象に欠損は起こらず、代わりに両腕の肥大化と指先の鉤爪状の変化を確認。この際、███研究員に襲いかかり、直後にノイズを発して昏睡。███研究員は死亡。24時間後に対象の腕が元の状態に戻り、更に24時間後に覚醒。
分析: 当実験以降、対象は記憶処理装置を目にすることによってストレス反応を見せるようになった。レコーダーの音声を解析した結果、ノイズ部分に"しつこいしつこいしつこい、私がこの姿でいるのを邪魔するな"というSCP-XXX-JPの発言が確認された。心身に負担を与えることがトリガーになると予想される。状態を変化させての収容は実現できそうにない。これ以上の実験は危険を伴うことだけでなく重大な収容違反に繋がることが予想されるため、凍結を申請する。 - ██博士
備考: 当該オブジェクトへの実験の凍結はO5-█によって承認されました。
補遺: SCP-XXX-JPが自身の住所であると主張する██県█村███を財団エージェントが訪れた際、瓶に入れられた手紙を発見しました。以下が手紙の内容です。
ずっと謝りたかったんだ。そしてお礼を言いたかった。
君の最初の姿を見たとき、化物だなんて言うべきじゃなかった。でも君はそんな僕に対してずっと優しいままだったし、████として接してくれたね。
君との生活は、本当に弟と過ごしているようだった。
僕はもう長くないから、君がこの手紙を見付けるのは僕が死んで暫くたってからになるだろう。その時は僕に縛られず、自由に生きてほしい。
ずっと、愛してるよ。
- ███葉
収容上の理由から、この内容をSCP-XXX-JPに伝えることは許可されません。