さんどぼっくすさん
評価: 0+x
桑の実3.jpeg

活性化状態にあるSCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 現在SCP-XXX-JPへ通じる山道の入り口は鉄柵で封鎖されています。民間人の立ち入りを防ぐ為、カバーストーリー「落石事故/熊出没」を流布してください。併設されたサイト-81██に担当職員4名を常駐させ、SCP-XXX-JP周辺および山道入り口に設置した監視カメラ映像を確認してください。敷地内への侵入を発見した場合は速やかに侵入者を確保し、クラスB記憶処理を施してください。

説明: SCP-XXX-JPは北海道██郡██町の山林に存在する高さ11m、樹齢およそ300年のヤマグワ(Morus bombycis Koidz)です。枝の先端付近に赤い糸が複数蝶々結びにされています。非活性時は枯木の状態ですが、後述の発生トリガーを以って活性状態に入るとSCP-XXX-JPは数十秒で青木に変化し、赤黒く熟した果実(以降SCP-XXX-JP-1と表記)が無数に出現します。
 
SCP-XXX-JPは元々、現地住民からアイヌ民族の伝承"トゥレㇷ゚ニの悲話"がまつわる大樹として広く知られていましたが、現在は高齢化によって伝承を知る住民は数名しか残っていません。

トゥレㇷ゚ニの悲話
昔々、█████山を挟んだ北と南に、互いに猟場争いをしていたアイヌの集落がありました。
北の酋長には美しい娘が、南には勇敢な青年がおりました。
やがて2人は互いに惹かれあい、決して結ばれることのない、許されない恋をしたのです。
周りの目を盗んでは山奥のトゥレㇷ゚ニ1の下で幾度となく逢瀬を交わし、ささやかな幸せを過ごしていました。
けれども幸せな時間は長くは続かず、遂に村人に見つかってしまうのでした。
怒った北の酋長は明くる日、トゥレㇷ゚ニの下で娘を待っていた青年に毒矢を放ったのです。
矢じりの毒はじわじわと青年の身体を蝕み、青年は苦しみの中息を引き取りました。
その事を知らない娘は早く青年に会いたいと胸を踊らせながらやってきますが、娘を待っていたのは、既に冷たくなった青年の亡骸でした。
娘は泣き崩れ、青年の亡骸を抱き締めました。
すると、青年の懐から何かがことりと滑り落ちます。
娘が震える手で拾い上げてみると、見事に美しい彫刻が施されたメノコマキリ2でした。
それは青年が手渡すことの出来なかった、愛する娘の為に拵えた贈り物だったのです。
嘆き悲しんだ娘は、そのメノコマキリを使って自らの命を絶ちました。
決して結ばれることのなかった2人は、こうして共にトゥレㇷ゚ニの下で静かに眠りについたのです。

SCP-XXX-JPは後述する"縁結びのおまじない"と呼ばれる一連のプロセスを実行することで異常性を発生させます。これによりSCP-XXX-JP-1を食した人物は3日以内に心中、または無理心中行為を強制的に引き起こします。死因に同一性はなく様々ですが、共通項としてどの死体も互いの小指に赤い糸が絡まった状態で発見される点が確認されています。用いられた赤い糸は全てSCP-XXX-JPに結びつけられたものと一致しており、これらは死体の損傷具合に関わらず、例外はありません。

縁結びのおまじない
1.恋愛関係にあるパートナーを強く想像する。
2.手を合わせ、次の文言を唱える。"ちぎりたき 愛の実紅し 神のみぞ 知ろしめしたる 比翼の証し"
3.赤い糸を用い、枝に蝶々結びをする。
4.出現したSCP-XXX-JP-1を1つ取り、互いに半分ずつ食す。 (対象がその場に居ない場合、SCP-XXX-JP-1を持ち帰った後に摂取させます。)

また、全ての被害者は恋愛関係において崩壊の危機にある、不倫関係にある、ジェンダー問題を抱えているなどの何れかのケースに該当していたことが判明しています。この点からSCP-XXX-JPは何らかの方法を用いて被害者に干渉し、被害者の恋愛成就の願いを利用して暴露させていると推測されています。(SCP-XXX-JP曝露者へのインタビュー記録参照)


 
補遺: SCP-XXX-JPは、201█年██月から日本各地で発生していた連続的な心中事件、及び無理心中事件の不可解な共通項からアノマリーが関わるものと推測され、警察機関内部の財団エージェントへ対応を委任。捜査の末に収容に至りました。

補遺2: SCP-XXX-JPの根元から2体の白骨化死体と日記が発見されました。遺体は20代後半の男性と、10代後半の女性とみられており、連続無理心中事件と同様の共通項が確認されています。鑑定の結果、北海道██市で10年前に失踪した████(当時26歳)、███(当時20歳)の2名であり、インタビュー時に長都氏が述べていた兄妹であると判明しました。また、発見された日記の著者は、後述する内容から行方不明となっている次女███(失踪当時14歳)であると推測されています。

200█/██/██
今日、パパとママにお別れをした。
みんな私のことかわいそうだっていうけど、なんでだろう?
ママは確かに悪いことをしたわ。でもパパは優しいから、それでもママを愛してたからやったことなのに。
永遠に結ばれるって、こういうことなのね。パパがそれを示してくれた。
私は選ばれた人間だから、困っている人を助けなさいってパパが言ってた。
教えてあげなくっちゃ。

200█/10/20
ちぎりたき 愛の実紅し 神のみぞ 知ろしめしたる 比翼の証し
安心した。お兄ちゃんもお姉ちゃんも、これで永遠に一緒。ずっとずっと一緒。
やっぱりこの木を縁結びに選んでよかったなぁ。
だって伝承も、花言葉も、とっても素敵なんだもの!
私はひとりでも大丈夫。これからたくさんの人たちを助けるよ。
見ていてね。

"縁結びのおまじない"を拡散させている白い少女が███と考えて良いでしょう。一体どのような方法を用いて他人の夢に干渉しているのかはまったく不明ですが、これ以上犠牲者を増やさぬよう、引き続き彼女の捜索を続けてください。 ――██博士