アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8102の耐爆処理が施された低危険度生物用収容室で収容・飼育されます。食餌として市販のドッグフード40gを毎日朝夕の指定された時間に与え、食後からSCP-XXX-JP-1が排泄されるまでの期間は室内に設置された監視カメラによって監視を行ってください。排泄が確認された場合、SCP-XXX-JP-1は遠隔操作可能な小型地雷処理ロボットによって衝撃を与えないよう速やかに回収し、実験に使用する分を除いて適切に焼却処分を行ってください。
日本全域にかけて残存したSCP-XXX-JP-1が何らかのきっかけで爆発したと考えられる事象が発生した場合は、不発弾など適宜適切なカバーストーリーを流布すると共にボランティア団体に扮したエージェントによって周辺の清掃活動を行い、SCP-XXX-JP-1の可能性がある犬の糞を全て回収し、焼却してください。
現在SCP-XXX-JPは1個体が収容されていますが、未収用の個体が存在する可能性があります。各地で発生した爆発事故の情報を収集し、現在収容中の個体が収容前に引き起こした事案と類似性が確認された場合は現地に赴いて調査を行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは異常な性質をもった糞(以下SCP-XXX-JP-1)を排泄する体重4.2kg、体高35cm、体長60cmの成犬のミニチュアダックスフント(Canis lupus familiaris)に見える個体です。前述したSCP-XXX-JP-1以外に外見・臓器系統共に特異性は無く、DNA検査の結果も完全にイエイヌのものと一致しましたが、犬種鑑定の結果は身体的特徴に反してドーベルマンやシェパード種の遺伝子が含まれていました。また発見時に"アルフレッド"と記名されたネームプレートが付いた首輪を着用していたため飼い犬であると推測されています。現在に至るまで飼い主は発見されていません。SCP-XXX-JPが発見された██県██市から約10km離れた█市に飼い主が居住していることが特定され、インタビューが行われました。(インタビュー記録参照)
SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPが食後概ね6~8時間の間に排泄する糞です。常時サイズは10cm前後、質量は20g前後であり匂いや触感、耐久性は通常の犬のものと類似していますが、踏みつけられる、車等の重量物に潰されるなどの外的要因によってSCP-XXX-JP-1の形状が著しく変化もしくは損傷した場合、一般的な対人地雷と同威力の爆発を起こします。なお地雷探知機等のデバイスは一切反応を示しません。またこれらの特性はSCP-XXX-JP-1が完全に焼却される、もしくは土中などに埋められて微生物に分解され、土に還ることによって喪失することが確認されています。
SCP-XXX-JPは██県██市から█市にかけて路上で通行人や自動車が突如爆発する事故が頻発したこと、病院へ搬送された負傷者が「何か柔らかい物を踏んだと思ったら爆発した」との証言をしたことによって財団の興味を引きました。現地に派遣されたエージェントが事故現場付近の防犯カメラを確認したところ、SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JP-1を排泄する姿と、その█時間後に通行人により踏まれて爆発する過程の一部始終が収められていました。そのため周辺に生息する野良犬を調査し、同型の犬種が発見されたので捕獲して観察したところ、糞が映像データと同じ特異性を示したのでSCP-XXX-JPと断定され収容に至りました。一連の事件はカバーストーリー『非行グループによる改造爆竹を用いた悪質ないたずら』の流布により偽造され、被害者やその関係者には事情聴取後Aクラス記憶処理が施されました。なお被害に関しては確認できた限り重傷者██名、死者█名、また破損した一般車両が█台です。
SCP-XXX-JPの元飼い主へのインタビュー記録
対象: 有坂 ██氏
インタビュアー: エージェント・ ██
付記: 有坂氏は一連の事件が発生する二か月前の期間に飼育していたSCP-XXX-JPが失踪したと証言しており、捜索活動を行っていました。このインタビューは保健所の職員に扮して有坂氏のアパートを訪れたエージェント・██によって行われたものです。
<録音開始, 20██/█/██ ██:██>
エージェント・██: それで、あなたが飼っていた犬はこの子で間違いありませんね?(SCP-XXX-JPの写真を提示する)
有坂氏: あっ!ウチのアルフレッドに間違いありません!!あの子は今無事なんですか!どこにいるんですか!?まさか殺処分なんてされてないでしょうね!!!
エージェント・██: ええ、ご安心ください。おたくのアルフレッドくんは隣の██市で無事に保護されました。今はちょうどお昼寝でもしているころでしょうね。
有坂氏: そ、そうですか…見つけてくださったのに取り乱してしまってすみません…でも本当に無事でよかった…ありがとうございます。
エージェント・██: いえいえ。それでですね、██市の保健所では迷子犬を飼い主様のもとにお返しする際にいくつか必要な手続きがありまして、アルフレッドくんに関してご質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?
有坂氏: わかりました。あの子が帰ってくるならなんでも。
エージェント・██: ありがとうございます。それでは質問させていただきますが、あなたはいつ頃からあの子を飼い始めたのですか?
有坂氏: うーん、たしかかれこれ3年くらい前になりますかね。独り暮らしが寂しいもんで犬を飼おうと思って。ネットの里親募集サイトでみかけてかわいい子だなと思って里親を引き受けたんですよ。
エージェント・██: なるほど…ちなみに元の飼い主さんとお会いになったりは?よろしければご様子などもお聞きしたいのですが…
有坂氏: はい。相手方の家…兼職場なのかな。そこまで直接出向いて引き取りに行ったのでその時に。たしか個人開業のお医者さんでお会いした時も白衣を着てたんで印象に残ってます。あとは…ずいぶん可愛がっていらした様子で別れが名残惜しそうでしたね。そうそう、アルフレッドって名前もその方が名付け親なんですよ。元々あの子は兄弟犬でもう1頭の兄の方も里親募集をしていたんですが、流石に独り暮らしで2頭も面倒を見るのは大変でしたから残念ながら引き取れはしませんでしたね。ええ。
エージェント・██: わかりました。ところで質問は変わりますが、ただいま飼い主様の意識調査アンケートも同時に行っておりまして犬の糞に関する集計をしているんですよ。ぜひ有坂様にも答えて頂きたいのですがよろしいですか?
有坂氏: 構いませんよ。
エージェント・██: ではお聞きします。えー、質問1。『あなたは散歩中など、飼い犬の糞はしっかりと回収していますか?』
有坂氏: 当たり前でしょう。それは飼い主としての責務ですよ。それが出来ないなら犬を飼う資格はありません。
(以下略)
<録音終了, 20██/█/██ ██:██>
終了報告書: 有坂氏にはSCP-XXX-JPの受け取り元の位置情報を聞き出した上でAクラス記憶処理がなされ、SCP-XXX-JPと同種のダックスフントが与えられました。
補遺1: 同飼い主から得た情報を下にSCP-XXX-JPを受け渡した人物とその拠点の捜索を行った結果、現在は廃墟となっている病院に偽装された日本生類創研のものと思しき研究施設が発見され以下の文章が回収されました。
以前から我々の研究開発に異常技術の転用ができないかと期待されていた旧日本陸軍の五式特殊軍用犬の実験記録及びその手引書に関してだが、幾度試行錯誤を繰り返しても記録内にある大型犬への特異性付与が失敗に終わっており、ダックスフント種以外での成功例が確認されない。成功例の爆破力に関しても小型で軽量な犬種故か威力不足が指摘されている。
クライアントから求められているのは、
・通常の軍用犬以上の身体能力
・対戦車地雷敷設能力
・条約により禁止された国でも運用可能な隠密性
であり、現在のアプローチ方法による開発は失敗と言わざるを得ず、これ以上の開発資金の承認は不可である。
そのため現在異常性の付与が確認されている実験体D-1945-A1"Alfred"とD-1945-A2"Nobel"に関してもこれ以上の発展性は認められないとし、データ記録の終了後に破棄を命ずる。なお処分方法は貴研究支部に一任する。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: ここに特別収容プロトコル。
説明: SCP-XXX-JPは日本全国のマラソン大会で発生する異常なイベントです。過去の発生記録をもとに、開催されるマラソン大会が以下の条件に全て当てはまる場合はSCP-XXX-JPが発生する可能性があると仮定されています。
- 少なくとも走者が30人以上である。
- 少なくとも走行する距離が1km以上である。
- 大会終了後に表彰式がある。
- 前回のSCP-XXX-JP発生から一か月が経過している。
これらの条件に該当する場合であればフルマラソン以外でも、ハーフマラソンや全国の学校等で開催される持久走、また車椅子マラソンなどでも発生が確認されています。
SCP-XXX-JPが発生した場合の特異性は以下の通りです。
まず、マラソンがスタートした瞬間、参加ランナーのうち1名のゼッケンや帽子等の着用している物の色が虹色や金色に変化します。(以下そのランナーをSCP-XXX-JP-1と呼称)なおSCP-XXX-JP-1が通常のものと異なるものを着用していることに関して他のランナー、係員、観客などは一切不審に思いません。
次に、そのレースでSCP-XXX-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: ここに特別収容プロトコル。
説明: SCP-XXX-JPは、199█年に製造された███社の自動車教習用ドライビングシミュレータ筐体です。自動車の運転席周りを模した座席本体及び走行中のCG映像を映す三面の29インチモニターで構成されており、ダッシュボードの位置に配置されているパネルディスプレイを操作することによって、一般の教習所向けに販売されているものと同様の各種シミュレーションを開始することができます。
SCP-XXX-JPのメニュー画面から選択できる教習項目には、通常の同型機には存在しない「実践型危険予測」という項目が存在しています。
SCP-XXX-JPを利用する者がこれを選択すると、SCP-XXX-JPは日本国内全域から、普通乗用車が走行可能な4km四方の地点をランダムで選定しモニターに表示します。その後ロード画面を挟んでスタート地点に指定されたコース上の路肩に停車している状態の車内運転席からの一人称視点に切り替わります。この状態で利用者がエンジンキーを模したスイッチを回してシミュレーションを開始するとSCP-XXX-JPは活性化し、モニターに表示されている現実世界の同位置にSCP-XXX-JP‐1に指定される実体が出現します。
SCP-XXX-JP‐1は、異常な特性をもつ白色のトヨタ・コンフォートです。
外見・性能に関しては通常のものと差異はなく、教習所名を示すペイント等はありませんがナンバープレートは██県の██自動車教習所で使用されていた、既に廃車済となっている教習車のものと一致しています。
運転席には出現時のSCP-XXX-JP利用者に酷似した人型実体(以下SCP-XXX-JP-a)が乗車しており、利用者がSCP-XXX-JPを操作するのに連動して運転を行います。
助手席には██自動車教習所の制服を着用した40代の男性(以下SCP-XXX-JP-b)が乗車しており、SCP-XXX-JP-aに対して何らかの干渉を行おうとしますが、今までその試みは全て失敗に終わっています。(行動に関しては実験記録参照)
SCP-XXX-JP‐1はその車体を視認した道路利用者に対して、50%程の確率で「SCP-XXX-JP‐1の走行を妨害したい」という軽度の欲求を生じさせます。この異常性に曝露した者(以下SCP-XXX-JP‐2と指定)は、歩行者であればいきなり前方に飛び出す、運転者であれば幅寄せや車間距離を詰めるなどのSCP-XXX-JP‐1に対する危険行為を行うようになります。
SCP-XXX-JP-2に発生する異常性はSCP-XXX-JP‐1から100m以上離れる若しくは曝露してから1分が経過することによって失われることが実験により判明しています。
SCP-XXX-JP‐1の出現・消失の瞬間を目撃した場合においては上記の異常性は発生せず、「前からそこに止まっていた」「向こうに走り去っていった」などの整合性が取れた記憶にすり替わります。また、カメラなどの映像機器によってSCP-XXX-JP‐1を視認した場合は曝露は生じませんが、窓ガラスやサイドミラー等を通して間接的に視認した場合は即座に曝露します。
SCP-XXX-JP‐1出現後、SCP-XXX-JPは利用者に対してスピーカーを通じてスタート地点からゴール地点までの最短の道のりを走行するように右左折・直進などの音声誘導を行います。また、SCP-XXX-JPのモニターに表示されるCG映像は現実のものと同期しており、建造物の位置や車両・歩行者の数と動作はその時点のSCP-XXX-JP‐1出現地点のもの完全に一致していますが、それらのグラフィックは通常の教習項目のモードで使用されている家や木、歩行者及び車の粗雑なポリゴンテクスチャが流用されており、実際の風景の様相とは差異があります。
利用者が事故や交通違反を起こさずにゴール地点まで操作する又は途中でSCP-XXX-JP-aが関わる交通事故事故が発生した場合は現実世界のその地点でSCP-XXX-JP‐1が消失した後、メニュー画面へと切り替わり、一連のイベントは終了します。
いずれの場合も利用者には特異な影響は確認されませんでした。
SCP-XXX-JPは、201█年1月頃から、日本各地において同型自動車による不可解な轢き逃げ・当て逃げ事故の通報が頻発し、いずれも警察の捜査を免れている事から財団の興味を引きました。付近の防犯カメラの映像からナンバープレートを解析し、過去にその教習車を所有していた教習所の調査を行ったエージェントがSCP-XXX-JPを利用したことにより異常な性質が確認され、収容に至りました。SCP-XXX-JPについての同教習所指導員による証言も得られています。(インタビュー記録参照。)
SCP-XXX-JPが原因として発生したと思われる交通事故は全国で1██件確認されており、被害に関しては重軽傷者███名、死者██名、破損車両██台です。その他ガードレールなどの交通設備が多数損壊しています。
実験記録:
実験記録XXX-JP-1
対象:
内容:
注記:
結果:
分析: - 博士
実験記録XXX-JP-6
対象:
内容:
注記:
結果:
分析: - 博士
実験記録XXX-JP-7
対象:
内容:
注記:
結果:
分析: - 博士
実験記録XXX-JP-11
対象:
内容:
注記:
結果:
分析: - 博士
実験記録 XXX-JP-15
内容:
結果:
分析: - 博士
教習所指導員へのインタビュー記録
対象: 本田 ██氏
インタビュアー: ██博士
付記: 本田氏は██自動車教習所の指導員でシミュレーター機器を用いた指導を担当しています。
<録音開始, 201█/█/██ ██:██>
██博士: ではインタビューを開始します。まず最初にあの機器についてお聞きしたいのですが…
本田氏: えぇ、構いませんよ。アレのせいで変な事故が多発してるって話ですよね?といっても私がここで働き始める前からあったものですから。それこそ開所した時くらいからのお古じゃないですかね?
エージェント・██: そうだったんですか。(辺りを見回す)…比較的この建物はキレイに見えますし、外を走っている教習車も最近のもののようでしたが、シミュレーターだけ古いものを使用されているのですか?
本田氏: いえいえ。本当は機械も新しいのを使ってたんですけどね。3ヶ月くらい前に故障してしまって。修理の目処がつかないって言うんで急遽裏の倉庫から引っ張り出してきたんですよ。
エージェント・██: 成程。普段は使われてないんですね。
有坂氏: そうですそうです。前に改装した時に古い機器やら教習車も全て新しい物に交換したんで。だからそのコンフォートの教習車も今は運用してないですね。
エージェント・██: これの事ですね?(SCP-XXX-JP-1の写真を提示する)
本田氏: あぁそれそれ…って、えっ?
エージェント・██: どうされました?
本田氏: なんで██さんが写ってるの?(驚いた顔でSCP-XXX-JP-bを指さす)
エージェント・██: ご存知の方ですか?
本田氏: ご存知も何も、██さんウチの指導員でしたよ。…随分前にお亡くなりになられたけど…
エージェント・██: 詳しくお聞きしても?
本田氏: 路上教習の指導中に事故にあわれたんですよ。指導してた教習生が急に飛び出した小学生にぶつけちゃってね。それ自体は軽傷で済んでたんだけど、それに駆け寄って行った██さんが更にトラックにひかれて…
(以下略)
<録音終了, 201█/█/██ ██:██>
終了報告書: