「掃除しなよ……」
- SCP-XXX-JP 空間の絡まった児童用ハサミ
- SCP-XXX-JP ノスタルジック・トレイン
- SCP-XXX-JP .etc
- 痛くない頭のつくりかた
- SCP-XXX-JP ミッシング・IKEBUKURO
- 記事を書こうと思う新人職員へのエッセイ
- あの子が私に気付く時
- SCP-XXX-JP 調停者"BoB"
- SCP-XXX-JP おいしそうなひと
- SCP-XXX-JP "レッグス"
- SCP-XXX-JP レンタルショップ・キィ
- SCP-XXX-JP 偉大なる"マン"
- SCP-XXX-JP ほしのこども
- SCP-XXX-JP "か"の世界
- だいすきなせかい
- "きみ"とまもるせかい
- SCP-XXX-JP ゲートオープナー
- SCP-311-JP 私は猫
- SCP-XXX-JP
- SCP-XXX-JP 凶暴な冷蔵庫
- SCP-XXX-JP たとえ██と成り果てても
- 一般的生命における無意識下低ヒューム値空間構築に関する考察
- SCP-XXX-JP 理想の病院
- SCP-XXX-JP 迷惑な立方体
- SCP-XXX-JP 異邦神
- SCP-XXX-JP --カワイソウなサトリ-- 地獄
- SCP-XXX-JP 貴方をブルーベリーソースの為に
- SCP-XXX-JP 愚者の磔刑
- SCP-XXX-JP 聖麗音v2.0+
- SCP-XXX-JP 嫉妬される色欲
- SCP-XXX-JP 高度1万mのラストツアー
- 置いてきたもの
- SCP考えてるネタ
- SCP-XXX-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、幼年児童用のハサミです。刃から皮膜状に別々の空間が絡まるような形で伸びており、それらはそれぞれ基底現実における別々の空間へと繋がっています。これは、無作為な空間がこのハサミによって断裂され、皮膜状にSCP-XXX-JP刃上へと展開されているものだと推測されています。
特に意図なくSCP-XXX-JPを用いた(通常使用と同様にハサミの刃を上下させる)場合、これらの空間の断裂は、紙を切るような音に伴って進行します。何らかの使用方法があると推測はされていますが、無関係な別々の空間同士が隣り合って出現する可能性や、断裂した向こう側の空間と相互に移動が可能になってしまう点から、これについての実行は検討されていません。
SCP-XXX-JPは██県██市、"██████"公園にて無造作に刃が開かれたままの状態で発見されました。発見当初、SCP-XXX-JPには、北海道████丁目、青森県███川河口付近、山形県立██小学校、同県██山林内、千葉県██番林道の空間に繋がった状態でそれぞれ皮膜状に展開されていましたが、同公園内にて遊んでいた児童数名により更なる空間の断裂が進み、現在では愛知県██市上空████m、日本海上座標"██","████"までに展開が進んでいます。
これらの空間断裂は、ハサミ側からは空間変化が顕著なため観察が容易ですが、接続された空間側からは入口となる"裂け目"が観察できず、進入が困難です。現在は特別収容プロトコルにより、これらの空間への偶然の進入を防止する対策が施されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、19██年に廃線となった車両の内部に展開された未知の空間です。SCP-XXX-JPは、外見上一両の静止した廃棄車両ですが、内部に進入した者は、一様に電車の振動や車両が進行する音響などの感覚を抱きます。測定機器の検査結果によれば、車両ごとに大きく異なってはいますが、この振動はおおよそ実際の列車の運行時に発生するものと同様であることが判明していますが、それらはどれも大きく異なっていて、統一性がありません。車両ごとのデータは記録い-6bを参照のこと。
SCP-XXX-JPは一両毎に別々の空間を有しており、個々に人型の実体や様々な調度品を内包しています。それらは家屋を再現しているように見えるものから、車両の形状に合わせて形成された草原で満たされた空間、おおよそ1900年代~近代に至るまでの国内外に存在した古い喫茶店やレストラン、あるいは当時の列車内を模したような状況が延々と続いています。ドローンによる偵察は、現在2831車両目までが完了していますが、終端には現在でも到達できていません。また、窓から観察できる景色はそれぞれの車両ごとによって異なる、あるいは車両が"目的地"へと向けて進行していく度に変化していますが、連結部より観察できる車両外部は完全にトンネルのみが続いています。
SCP-XXX-JPに進入した人間は、入った段階で"奇妙なほどの懐かしさ"と表現される懐古の情を抱き、内部へ進んで行きたくなる感覚を覚えます。これに強制力やミーム的な効果はありませんが、これによりSCP-XXX-JPの発見以前までに複数名の一般市民が現在も内部に進入したままになっているのではないかと予想されています。元より内部に存在している人型実体と"住み着いてしまった"一般市民の見かけに差異はほとんど無い場合が多いため、同対象に関しては救助を必要としません。
SCP-XXX-JPへの進入から一日以上、あるいは内部において何らかの食料品や飲料物を摂取すると、SCP-XXX-JP外部へ脱出した際に、進入者が消失する場合があります。これはSCP-XXX-JP内部に対して抱く愛着や思い入れ等の強い感情が原因ではないかと推測されていますが、同様に飲食を行う、長時間の滞在を行っても、消失現象が発生しない場合があります。これらの個人差については現在も調査が続いていおり、現在もD-XXX-JP-3がその調査を継続しています。
以下は、SCP-XXX-JPにて記録された内部状況の一例です。
SCP-XXX-JP 内部記録抜粋
記録日時: **20██/██/██
車両番号:** 0032
詳細: 車両状に切り取られたような草原。散在する植物種は、日本のごく一般的な山林に存在するものと一致。車両の角に、何者かが建てた墓のようなものが見受けられた。掘り返したところ、ネコ科に似た生物と思われる骨と手紙が埋まっており、SCP-███-JPにて出現した羊皮紙のメモと同人物の筆跡と判明。内容については[編集済]。また、同地点を掘り進め続けたところ、車両の天井に穴が空き、上下が繋がった。
記録日時: **20██/██/██
車両番号:** 0108
詳細: 寝台列車と見られる車両。内装は国内1950年代以降のものと見られるが、細かい点で異なる。常に何体かの人型実体が眠っており、起こすことも可能であるが、それらの実体に対しインタビューを行っても不明な地点を答える。SCP-XXX-JP外への連れ出しを試みたが、激しい抵抗に遭ったため、以降断念。また、同実体らが起床している様子は現在まで観測されていない。
記録日時: **20██/██/██
車両番号:** 0121
詳細: 食堂車と見られる車両。車両内の衛生状態は悪いが、非常に食欲をそそる香りに満ちているとの証言がある。常に飲食している実体数名(変動が激しい)と、調理を行う二、三名の実体に分かれており、車両内に入ると断らない限り料理を振る舞われるが、金銭を持っていない場合だと「次は持って来てくれよな」と見送られる。また、求められた金銭に対して同額でさえあれば、支払う紙幣や硬貨の種類はいかなる国のものであろうと問題なかった。
記録日時: **20██/██/██
車両番号:** 0157
詳細: 家屋と見られる形状の車両。
SCP-XXX-JP 探査記録001
D-XXX-JP-1: 何だこれ。外から見たらオンボロ電車なのに、動いてる。どこへ向かってるんだ。
田辺博士: そのまま進行してくれ。こちらが指示するまでそのまま進むだけでいい。
D-XXX-JP-1: はぁ。そう。んじゃ進むよ。反対側に出るだけだと思うけど。
数分間無言が続く。
D-XXX-JP-1: なんだこれ。あの、向こうにも電車が続いてるし、ってか動いてんだけど。どこに向かってんの?
田辺博士: いいから進め。勝手に戻ればどうなるかわかってるな。
D-XXX-JP-1: えー。
田辺博士: こちらは遠隔で終了も可能だということも忘れるな。
D-XXX-JP-1: ちぇっ。人殺しめ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明:
その日、サイト-8181の食堂に人はまばらだった。
配膳板を抱えて知った顔がいないか見回すと、偶然顔を上げたその人物と目が合った。彼(彼女?)は、
日野を見るなり貼りつけたような笑顔を露わにして快活に手を振り出した。
(……あんまり話したくない人と目が合ってしまった)
日野は愛想笑いを浮かべながら、その人物――諸知の向かいへ座った。
「お久しぶりです、ひのけんさん」
「日野です。別にひのけんでも良いですけど」
「珍しいですね。あんまり、ここでは見かけないような気がしていましたけど」
「え? そうですか? んー、まあ、そうかもしれないですね」
適当に相槌を打ちながら、日野は箸を割って食事を取り始める。諸知は、相変わらずニコニコと日野を見つめている。
食事しないのかな、と諸知の盆に載った唐揚げ定食を一瞥して、居心地の悪い感覚をなんとかしようと日野は口火を切った。
「……えと。実はこう、欠員が出まして。自分とこの部署に」
「へぇ、大変ですね。何かあったんですか?」
「研究中にDクラスが暴れてヒビが入ったんですよ。オブジェクトに。管理不行届きで担当の研究員が一人謹慎喰らっちゃった上に、博士が一人変化したオブジェクトの性質に曝露してしまって……それで、私が駆り出されたってわけです」
ふんふんと頷く諸知。聞いているのかいないのかよくわからない、と日野は思う。
「なるほど。オブジェクトの方は大丈夫だったんですか?」
「大丈夫じゃないです。博士……田辺さんって言うんですけど、視認すると物凄い痛みに襲われる性質に変わったらしくて。ショックで今療養中です。お陰で引き継ぎもロクにできなくて、昨日はお泊まりでした」
ははは、と空笑いする。ふふふ、と諸知も笑う。
「それで日野さんが選ばれたわけですね」
「え? ああ、よくおわかりで」
頭を掻く。意外に日野のことを知っているようだ。
どのようなアプローチであろうと日野は痛みを感じることがない。だが、それ以外の感覚を持たないわけではない。
「私は痛みを感じないので直接視認しても平気なんですけど、これが他の感覚に飛び火しちゃってるみたいで。ずっと見てると涙が止まらなくなるんですよ。感覚への刺激だけなので、危険性はないんですけど」
「タマネギみたいですね」
「ほんとにそうです。」
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、池袋駅構内、本来██室である扉の向こうに存在する、もうひとつの池袋駅です。その内部構造、及び配置された全ては現時点での池袋駅と寸分違わず一致しており、現実世界の東京駅の拡張・工事などの変化は、SCP-XXX-JPにそのまま同期されます。これらの変化は、不可視、接触不可能な何らかの存在によって実行されていると推測されており、破壊や妨害などの停止の試みは全て失敗しています。
SCP-XXX-JPの景観は一見現実世界と変わりませんが、壁面や床、天井や設置物の破壊等には成功していません。加えて一切の人間や配置物が存在しませんが、様々な形状、形態を持った存在、SCP-XXX-JP-1が各所に突如出現します。また、SCP-XXX-JP、及びSCP-XXX-JP-1はどのような手段であれ観察している間は決して動かず、変化しません。このため、ある程度の間を置いた観察が推奨されています。
ようこそ。初めまして。私はナビゲーターのELKE-EXE。財団により開発された人工知能です。
この動画を再生したということは、貴方は記事を書こうとしている、
あるいは、記事を書くことに興味を持っている新人財団職員ということですね。
財団は貴方を歓迎します。
この動画では、
「新人職員はまず何をすべきなのか?」に焦点を絞り、ひとつひとつ解説をしていきたいと思います。
貴方は財団に訪れた際、どう思いましたでしょうか。
「不思議な記事、興味深い記事がたくさんある」と思ったかもしれませんし、
「これは面白い」とか、「自分も書いてみたい」と思ったかもしれません。大変喜ばしいことです。
ひょっとすると、そうしている内に貴方も記事の一つや二つ、あっと言う間に書いてしまったかもしれません。
ですが、ちょっと待って!
前に踏み出したい気持ちはよくわかりますが、勇み足にならないよう、まずは落ち着いて深呼吸。
貴方は財団のサイトを見ている、もしくは、そのトップページへ行く方法を知っていますね?
そう。第一に"ガイドハブ"を読みましょう。新人職員として登録した賢明な貴方なら、
こちらへ既に目を通しているかもしれません。これから読もうとしていた方もいるでしょう。
まずはこれをしっかり読むこと。財団における活動において、ここにある内容を「忘れていた」は通りません。
知るべきサイトルールは、忘れてしまわないように、よく読んでしっかり把握しておきましょうね。
第二に。"記事をたくさん読むこと"です。
「おいおい、これから記事を書こうって時にまた記事を読めって言うのかい?」
ごもっともです。その気持ちもよくわかります。
財団における記事の総数が幾つあるかご存知でしょうか?
そう、2000以上。日本支部も含めれば、ともすると3000近い量にもなるかも。他支部も含めれば更に増えます。
これまで生まれた記事は、メンバーにより評価され、記録として残ることを許された"優秀な記事群"です。
貴方の考えたアイデアは、これらと比べてどうでしょうか?
もちろん「面白くない」なんてアイデアは何一つありません。書き方次第でどうとでも変わります。
面白い記事のアイデアは貴方の中にもきっとあるはずです。
しかし、先駆者の作品は偉大な道標。
何をすれば面白くなのか。どう書けば伝わるのか。読み手をどんな顔にさせたいか。
そんな"エンターテインメントのエッセンス"が、これまでに生まれた記事にはたくさん詰まっています!
これらを読まない手はないでしょう。
筆を取る手が止まったら、自分のアイデアに行き詰まりを感じたら。
是非、過去の記事を読み返してみてください。
おっと。もちろん、記事のアイデアは記事だけにあるわけではありません。
身の回りのこと、不思議な出来事、あるいは誰かの作ったちょっとした文章やイラスト、
ともすると映画やアニメ、漫画やドラマからネタが生まれてくるかもしれません。
身の回りのものはすべて創作に使えるものなのです。それを忘れないでくださいね。
え? 別にネタには悩んでない? では、どうぞ下書きフォーラムへ。よいアドバイスが得られることでしょう。
第三に。"恐れないこと"です。
財団は厳格です。貴方の書いた記事は正当に評価され、
面白くない記事は消え、つまらない部分や誤りがあればたくさんのメンバーから指摘を受けます。
ですが、それは"より良い記事"を生み出すための大切な過程の一つなのです。
せっかく考えたネタに痛い指摘を受けることは苦しいでしょう。つらい気持ちにもなるかもしれません。
ともすれば、初めて投稿した記事が、儚く消えていくことだってあるでしょう。
けれど、それは皆同じ。
貴方の思うとても面白い記事を書いた人ですら、貴方と同じく悩み、考え、その末に苦心して記事を完成させたのです。
そうは思えないかもしれません。簡単に記事を書き上げてしまうように見える人もいるかもしれません。
ですが、違うのです。職員は皆一様に、様々な壁を乗り越えて財団に"SCP"を確保、収容、保護したのです。
そうして記事を書き、評価を得ることができた頃には、貴方も立派なメンバーとなっていることでしょう。
ここまでのご視聴、ありがとうございました。
貴方が、よき財団職員の一人となることを心より願っております。
"何もかもが出来る"というのは、とても恐ろしいことです。
貴方はそれを知っていますか?
目が覚めた時、私は周りがとても静かだと思った。
どうにも気分が悪かったけれど、いつもお姉さんの先生に習ったように深呼吸をして、
心を落ち着けたらそれはすぐに治った。
見覚えのないベッドから起き上がって、やっぱり見覚えのない窓のない扉を開けようとする。
鍵が掛かっていて開かなかったけど、開かないかな、なんて考えたら不意に鍵の音がして、扉は勝手に動いた。
誰か来たのかと外を覗くと、病院みたいな廊下がずっと続いていて、
パトカーが通りかかった時のようなサイレンがクルクル回っている。クルクル、クルクルと。
どきどきする。不安な気持ちを、先生の言葉を思い出して落ち着けた。
"――大丈夫だよ。心を落ち着けて。三つ数える。さん、にー、いち。そしたらホラ、いつもの「魔法」さ"
赤い光が止まった。ホッと息を吐き出して廊下の奥を見ると、
なんだか不思議なものと目が合った。子供の落書きみたいに、奇妙に歪んだ顔をしたそれと。
瞬きしたら、それは目の前に飛んできて
"死は終わりではなく、新たなる自分の創造だ"
目が覚めた時、私は周りがとても静かだと思った。
どうにも気分が悪かったけれど、お姉さんの先生に習ったように深呼吸をして、
心を落ち着けたらそれはすぐに治った。
暗い廊下で私は横になっていて、どうしてだろうと思った。
立ち上がって足元の埃を払う。掃除してないのかな。ワンピースの裾に灰色の粉がたくさん付いていた。
廊下の先が見えないから、電気を点けたくなった。
すると、一斉に廊下に明かりが灯る。
廊下の先に先生の顔が見えた。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは二足歩行型で自立し、かつ不定形に寄り集まったバールの群れです。体長は、出現した際に最も近辺に存在した人間の身長と同じサイズをとることが確認できています。あらゆる攻撃に対し、一般的なバールと同様に損傷を負いますが、周辺の人間に対して接触を試みている最中は、いかなる破壊行動を取ろうとも同量のバールが未知の手段により補充されます。
SCP-XXX-JPは一年に一度二度、主に東京周辺の閑静な住宅街を中心に出没、近辺を通りがかった人間一人に対してバールを手渡します。これを受け取った人間をSCP-XXX-JP-1とします。多数の人間が同時に存在した場合でも、不明の選考基準により一名のみが選出されます。
SCP-XXX-JP-1がバールを受け取った時点で、SCP-XXX-JPはその場からかき消えるように消失します。SCP-XXX-JPの消失後、SCP-XXX-JP-1は距離や方向、対象の状態を問わず、"自身の最も憎む対象"ヘ向けて移動を開始します。SCP-XXX-JPへのインタビュー供述より、これらの行為を"粛清と呼称します。この際、道中にどのような障害があろうともSCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JP由来のバールにより可能な限り破壊します。SCP-XXX-JP-1はこの一連の行動でほぼ確実に致死的なダメージを全身に負いますが、"粛清"が完了するまでそれらの影響を意識下に上げず、いかなる傷害を負おうとも"粛清"を止めることはありません。一定以上の脳の損壊、四肢の完全な破壊等が行われると行動を阻止することが可能ですが、行うべきではありません。
SCP-XXX-JP-1は攻撃対象への移動が完了すると、絶叫、あるいは怨嗟の言葉と共に対象を殴打、固形物を一切残さないほどの打擲を執拗かつ丹念に繰り返します。"粛清"が完全に終了すると、SCP-XXX-JP-1がその時点までに負ったあらゆる傷、疲労、怪我などの状態を瞬間的に自覚、あるいは自身の行った行為を把握し、大抵の場合即死、死亡しなかった場合でも過度の疲労と精神的ショックによりほぼ確実に死に至ります。
SCP-XXX-JP由来のインシデントは通年一回二回のペースで発生していますが、現在はプロトコル[ステップ]によりその被害の規模をある程度低減できています。以下は、観測当初から現在に至るまでのインシデントレポート、SCP-XXX-JP、及びかろうじて生存したSCP-XXX-JP-1に対するインタビュー記録です。
SCP-XXX-JP インシデントレポート
記録日時:2003/07/20
曝露者: 15歳女性。
対象: 16歳男性。
概要:SCP-XXX-JPが観測された最初の記録とされる。両者は同じ学校の先輩後輩の関係であり、恋愛関係において何らかの問題があったと周囲の人間からのインタビューで判明している。詳しい経緯は残っていないが、SCP-XXX-JP-1は放課後の校内にて"粛清"に及んだ。同SCP-XXX-JP-1は、インシデント後に運行中の線路に飛び込んで自殺。現場には血溜まりと執拗な打撃の痕跡のみが残されていた。
記録日時:2004/07/20
曝露者: 24歳男性。
対象: 21歳男性、23歳女性、及び32歳男性。
概要:SCP-XXX-JP-1と化した曝露者、女性宅に侵入し"粛清"に及ぶ。打撃音とその叫声に周辺住民の32歳男性が駆けつけ制止に入ったが、SCP-XXX-JP-1により殴打され殺害される。同住民は"粛清"対象外だった為か、殺害に追い込まれただけだった。21歳男性、23歳女性は"粛清"され、床上で完全に肉体が潰された状態で発見されている。上記インシデントと同様、恋愛関係での問題があった模様。SCP-XXX-JP-1は"粛清"の終了後、即座に死亡した。
記録日時:2005/07/16
曝露者: 24歳男性。
対象: 42歳男性、29歳女性、40歳女性、41歳男性、23歳男性
概要: ██県██市の███████████にて発生。東京以外での初の発生事案。SCP-XXX-JP-1は、"粛清"の対象となった全員に対し、仕事上での恨みや憎悪のようなものがあったと証言している。"粛清"後、SCP-XXX-JP-1は両腕を失っているが生存。42歳男性の家族による警察への通報後に逮捕。証言の支離滅裂さに不審を抱いた所属の財団職員が身柄を回収しインタビューを行った結果、SCP-XXX-JPの存在が判明した。現在も同曝露者はSCP-XXX-JP-1としてサイト-8122に収容されているが、現時点まで通常の人間と異なった様子は見られない。
《省略。省略部はインシデント記録-な-23を参照のこと》
記録日時:2009/09/
曝露者: 26歳男性。
対象:
概要:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPはアジア系の成人男性です。SCP-XXX-JPは、事案-2018により財団により回収されましたが、それまでは一切の特異性を持たない一般的な人間でした。
SCP-XXX-JPは通常の人間に見えますが、観察する者により独特の香りを体験します。これは総じて"食欲をそそられる匂い"とされ、ベジタリアンや異食症の人間、あるいは人間以外の生物においてもこれは変わらないことが確認されています。更に観察する多くの人間において、その香りは観察者の最も好物とする匂いであることが殆どのようです。これらの詳細についてはレポート下部付録を参照してください。
SCP-XXX-JPは、どのように分割、切断されても数秒後には再生可能な肉体を持ち、それを自らの手で刃物等を用いて切断、加えてこれを調理、身近な人間や動物等へ振る舞います。この行為に強制力やミーム的効果などはなく、振る舞われた人間は、元となった素材がSCP-XXX-JP由来であることを認識しない限り大抵は喜んで摂食します。

SCP-XXX-JPの眼部。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは現状特筆すべき危険性が観測されていません。SCP-XXX-JPはサイト-81██内、特別指定リラクゼーションルームにのみ解放され、職員とのコミュニケーションが許可されています。SCP-XXX-JPは給餌を必要としませんが、特定の単語、「可愛くない」、「毛がない」、「蜘蛛みたい」などの語句に対し過度な反応を示します。これらの発言に対してSCP-XXX-JPが報復行動を取ることはありませんが、SCP-XXX-JPの挙動的保安を維持するため、同様の発言は避けることが推奨されています。仮にもしSCP-XXX-JPが何らかの危険性を示した場合、リラクゼーションエリアの封鎖、地下埋没が実行され、場合によっては核起爆により破壊されます。
説明: SCP-XXX-JPは、「六本足の多脚型マシン」と形容されるような形状を持つ、全長1.08m、重量███kgほどの生物です。その頭頂部に位置する部位には高精度CCDカメラに構造の酷似した眼球を持っており、その脚と体構造を駆使して接近する対象をスムーズに覗き込みます。この"覗き込む"行為やその他の行動に意図があるかは不明ですが、至近に人間が存在する場合、擦り寄る、手を振って見せる、はしゃぐように跳ねる、人の声音に似た駆動音を立てるなどの積極的なコミュニケーションを図ろうとします。
チタンを主成分とする高密度の金属性甲殻を有しているにも関わらず、X線検査の結果、内部構造は完全に有機的生命体のものと判明しており、このような体構造、重量を持ちながら何故柔軟な動作を可能にしているのかは不明です。また、頭部とされる筐体底部には"D:日本生類創研"と"S:東弊重工"1、及び"SP:██████████博士"2、"Pro-legs-NF-model"の刻印が為されています。
SCP-XXX-JPは██県、██市の廃棄済溶接工場より発見されました。発見当初、同工場には厳重な反ミーム防護、及びミーム的発見阻害工作が為されており、同工場の解体に伴い解体員及び関係者の不審死が相次いだため財団による調査が行われた結果存在の発覚に至りました。発見時、SCP-XXX-JPは、チタン合金、████合金、更に幾つかの未知の金属、幾らかの有機物を混合したと見られる非常に厳重なヒューム固定コンテナに格納されていました。そのような発見経緯を持つにもかかわらず、これらの侵入者用防護施策以外にその場に目立った危険性は一切発見されませんでした。
このような経歴、及び要注意団体への重要な関与がSCP-XXX-JP及び発見状況より推測されていますが、収容から20年に渡ってSCP-XXX-JPより危険が生じた等の事案は発生していません。財団の知り得る限りの交信に使用可能なあらゆる波調の遮断も試みられましたが、外部と何らかの通信を行っている等の様子も確認できませんでした。これを受け、現状SCP-XXX-JPはサイト-81██においてのみ試験的にサイト内一部区域への解放を行い状態を維持しています。同サイト内職員が望めばいつでもSCP-XXX-JPとの接触が可能です。
以下は、SCP-XXX-JPとのコミュニケーション記録です。
SCP-XXX-JP コミュニケーション記録
記録日時: 19██/██/██
接触者: ██研究員
詳細: SCP-XXX-JPと目を合わせ、手を振る素振りを行った。SCP-XXX-JPはそれを追う挙動を取り、██研究員の顔を覗き込んで眼部を収縮させた後に何度か跳ねる動作を見せた。 この動作の意図は不明だが、攻撃的な様子は見られなかった。
記録日時: 199█/██/██
接触者: ██研究員
詳細: SCP-XXX-JPに対し、クリップボードで殴打を行うような素振りを見せた。SCP-XXX-JPは慌てたように筐体前部に位置する二本の腕を用い自身の頭部を覆い防御する体勢を取った。同研究員に攻撃の意志がないことを確認すると、その脚に接近してまとわりつき、何度か軽く殴打した。同研究員は痛みを覚えないほどの強度だったと証言している。
私見: 外部刺激に対する反応を行う思考能力があるのか、反撃できない程度の出力なのか。あるいは、動作に対して体が重すぎるのか。
記録日時: 199█/██/██
接触者: なし(物体実験)
詳細: SCP-XXX-JPに対し、ロボットアームを用いて100kg程度の内容物を詰めた小型コンテナを載せた。当初、怯えるような様子を見せたものの逃げ場がないことを理解すると頭部を覆い丸まった体勢を維持して停止した。コンテナを載せてしばらくするとすぐにコンテナを跳ねのけてみせ、嫌がるようにコンテナを部屋の隅へと追いやった。
私見: これだけの力があれば人を殺傷することも可能だろうに、何の目的があってこんなものを厳重に保管していたのだろうか。
記録日時: 199█/██/██
接触者: ██研究員
詳細: SCP-XXX-JPに対しコミュニケーションを試みる。"じゃんけん"と発言した際、反応して腕部(人と同様に五本の指が割り振られている)を正しく対応する形に変形させてみせた。██研究員に三度敗北した時点で、SCP-XXX-JPは耳障りな駆動音を立てながら部屋の隅へ移動した。██研究員が謝罪すると、SCP-XXX-JPは機嫌を直したように再度じゃんけんの対戦を求める素振りを見せた。なお、この際においてもSCP-XXX-JPは敗北している。
私見: コミュニケーションロボットにしては随分出来が良い。これだけの性能を持ちながら、作り主は何故これに殺傷能力を持たせなかったのか。あるいは、まだ発見できていない特性でも持っているのだろうか。調査を続行する。
記録日時: 199█/██/██
接触者: ██研究員
詳細: SCP-XXX-JPの視力検査を試みる。視力検査を提案すると、SCP-XXX-JPはこの提案を理解したのか、遮眼子を前腕部で掴み眼部へ当てた。SCP-XXX-JPは単眼であるため必要ないと説明すると、同様に理解を示し、視力検査の実行に協力した。視力は20.0以上を記録しており、計測はその時点で終了された。
私見: ただの愛玩ロボットとしか思えない。思えないが、わからない。どうしてこんな高機能なものを連中は作ったんだ? まだ何かあるはずだ、まだ何か。記録と研究を続行する。 ――██博士。
以降の記録は省略されました。全ての記録の閲覧を希望する場合、SCP-XXX-JP研究記録-81を参照してください。同サイト-81██、特定リラクゼーションエリアにおいても同記録の参照が可能です。
追記: 20██/██/██、特定リラクゼーションエリアにおいて職員とコミュニケーション中のSCP-XXX-JPが一時機能不全を起こしたように動作を停止する事案が発生しました。監視カメラ、及び同接触職員の行動や供述にも特に問題点は認められませんでしたが、カメラ記録と音声を照合した結果、SCP-XXX-JPが同職員の「なんだか蜘蛛みたい」「これで毛とか生えてたらもっと可愛かったのに」という発言に対して過度な反応(跳ね上がる、逃げるなど)を示していたことが判明しました。以後、SCP-XXX-JPに対し同様の発言を行うことは推奨されません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、日本国内における全国チェーンのレンタルビデオショップ、"██████"の営業時間が終了し、全従業員が退去した数分後に出現、夜明けまでの間営業される"主に鍵を取り扱うレンタルショップ"です。SCP-XXX-JPの展開時間は時期により前後しますが、出現店舗の法則性は今のところ割り出せていません。
また、SCP-XXX-JPは出現時に周囲に対し何らかの現実改変を施すと見られ、"██████"への返却意図を持った人間に対しては周辺路を変形、道順を入れ替える、路地を閉塞させるなどの手段により到達を阻みます。これによる物損、傷害を含む被害等は現在まで報告されていませんが、探査に派遣したDクラス職員が夜明けまで道路内に監禁される事態の発生が一度発生しています。これらの改変は、夜明けとともに即座に元の状態へ戻されることがわかっています。
SCP-XXX-JPは、立ち入った人間にのみ視覚可能な店内状況を作り出します。店内は進入した人員毎にデザインが異なっていることが判明しているものの、一様に"大規模な鍵の貸し出しショップだった"と証言されており、多くの従業員とその案内を受ける客の姿があったと報告されています。これに対してカメラ等を携行させての観察を行いましたが、"██████"店内の録画がなされ、同様に録音された音声も調査者のものだけが記録された形に終わっています。
SCP-XXX-JPは鍵の貸し出しを行っていますが、貸し出された鍵の用途は判明しておらず、また、貸し出された鍵が進入者の手元に残ることもありません。しかし、進入者の各位はこれにより何らかの精神作用を受けていると見られています。以下は、進入者への精神影響の調査結果と店内デザインや状況の記録です。
SCP-XXX-JP 調査実験記録
調査者: D-XXX-JP-1
内部概要: 高級宝飾店のような豪奢なデザインを持つ、壁中に煌びやかな鍵が展示された店内
結果: 白手袋をし、燕尾服を着た紳士的な店員に「貴方様にぴったりの鍵は確かに私達の手元にございますが、今はまだその時ではないようです。またの御来店をお待ちしております」と伝えられ、店内が元の"██████"へと戻ったとの証言。D-XXX-JP-1の精神状態が実験前後で変化した様子はない。D-XXX-JP-1の実験への再起用を検討。
調査者: D-XXX-JP-2
内部概要: 一般的な大型家電量販店に似た店内
結果: D-XXX-JPが店内に進入、数分としない内に店員から接触を受ける。店員は矢継ぎ早に話していたとされ、証言記録は曖昧。「お客様にぴったりの鍵が必ず見つかりますよ」と数度にわたって話していたとの証言。店内を三周ほどした後に、酷く錆びた鍵を渡された。鍵は退店時にいつの間にか手元から消失していたという。レントゲンやX線での調査を試みたが、体内から証言にあるような鍵の存在は発見されなかった。D-XXX-JP-2は実験後、塞ぎ込んだ様子を度々見せていた。五日後のSCP-███-JPの実験においてD-XXX-JP-2は終了しているが、この際、全身が極端に酸化し老衰するような形で死亡している。
調査者: D-XXX-JP-3
内部概要: 古めかしいアンティークショップのような店内
結果:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、「偉大なる"マン"」を自称する、コーカソイド系の成人男性です。
SCP-XXX-JP インタビューログ
SCP-XXX-JP: 吾輩は"マン"。そう、偉大な男。男の中の男。"男"の名を冠する偉大なる男、"マン"だ。
田辺博士: では"マン"。君は一体どんな存在なのか教えてくれないか。
SCP-XXX-JP: 断る。偉大なる存在が、わざわざ"自分は偉大だ"などと喧伝して回るかね? 答えはノーだ。そうだろう? 偉大なる"マン"に、そのような不躾な問いを投げかけるものではないよ、白衣の君。
田辺博士: 君は偉大なる存在を自称しているようだが。
SCP-XXX-JP: 代名詞だよ。私を示す簡単なワードだ。だからこそ、私自身は、私を"偉大"と称する。そして、偉大なる"マン"。そう、こう呼んでくれるだけでいい。"マン"と。そうすれば、君たちは私へ容易く敬意を表すことが可能なのだ。"マン"は私のすべてを端的かつ簡潔かつ非常にわかりやすく表現している。"マン"。素晴らしい響きだとは思わないかね? "マン"。男の中の男であり、男であり、私だ。なんとわかりやすいことか。"マン"。
田辺博士: (五秒間の沈黙と、その後に大きなため息)すまない。(咳払い)すまない、"マン"。
SCP-XXX-JP: ああ、構わないよ。私は寛大だからね。
田辺博士: 君の寛大な措置に感謝するよ。"マン"。では"マン"。偉大なる"マン"。えー、そうだな、そう、君の功績を披露してくれ。我々などと言う下賤な人間に、無理に教えてくれる必要はない。演説でもするように、あー、いや、勿論嫌なら構わないんだ。これでインタビューを終了しても我々としては、
SCP-XXX-JP: (話を遮るように)まあ、まあ。まあ。まあまあまあ。
田辺博士: まあ?
SCP-XXX-JP: 結構。結構だよ白衣君。そうまで言われれば私としても語ることは決して吝かではない。
田辺博士: はあ。
SCP-XXX-JP:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、地球外衛星軌道上に存在する生命体と思われる存在です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、観察する人間によりその姿を変える異世界です。SCP-XXX-JP
概要: "だいすきなせかい"は、固定された数名から数十名前後のメンバーで構成されると予想されている「児童を模した、あるいは児童そのものであろう実体により構成される集団」です。"だいすきなせかい"は、当初SCP-947-JPの発見時に、同オブジェクトに刺繍されたその"記名"により存在が発覚しました。
"だいすきなせかい"は、由来不明のSCiP候補オブジェクトを多数保有している、あるいは作り出す能力があると見られ、SCP-159-JP、SCP-███-JP、SCP-947-JP等、多数のオブジェクトとの関連性が疑われています。これらのオブジェクト、あるいはメンバーの持つ何らかの現実改変能力を用いて時折、児童の集まる、児童の多い地域を狙って顕現し、児童の誘拐や殺害、保護者に対する極度の殺傷行為を実行します。これによりほとんどの場合において小規模から大規模の現実改変を含む不可塑性インシデントが発生し、同時に児童、保護者や関係者を問わず、多数の行方不明者が出ることも特徴とされています。
"だいすきなせかい"の構成員は前述の通り、その大半が4~10歳前後の未就学児童であると発見された幾つかの情報により推測されています。彼らは文書による情報伝達において"平仮名"、あるいは"片仮名"を多用(極稀に平易な漢字が混ざる)し、単純でシンプルな連絡を好んでいるようです。しかし、これらの情報に統一性はほとんどなく、また、個々人に対する愚痴や陰口、イジメのターゲットを誰にするか、仲間外れの指示等の陰湿な内容の文面も散見すること、加えて都度異なる殺人のやり口や事案後の現場の状態から、大まかな指揮系統は存在しているものの、それぞれのメンバーの動きに確立された統率は存在していないのではないかとも考えられています。
また、彼らはなんらかの不明な目的を持っており、財団において収容されているオブジェクトの内幾つかを狙い、財団サイト(特に保育所への被害が顕著)に対し襲撃を掛ける事案が発生したこともあります。この際観察された"だいすきなせかい"構成員と見られる小さな実体、あるいは付随するそれらより二回りほど大きい黒い影のような実体達は記録機器の一切に姿を残しておらず、また、それらの存在を人間が知覚した場合においても、大抵が「くすくすと小馬鹿にするような無邪気な笑いを伴って、靄や煙に似た小さな影が横切る」として遭遇した人員の全てが証言しています。
上記の問題から"だいすきなせかい"の構成員とその人数、拠点、目的等に関する詳細な情報は現在も掴めていませんが、関連するオブジェクトの確保時に「かいらんばん」、あるいは「プリント」や「めいぼ」といった形式で雑多な情報が付随して得られることがあります。それらの文章には大抵の場合で"記名"や前述の"陰口"などが見られ、特筆して以下のメンバーの名称が特によく発見されています。
構成員:
- けんた ―― 発見された物品に記された情報から、彼らのリーダーとされている。記名において発見率が最も低く、また、その意志による行動の形跡が全く無いことから、「けいすけ」に行動方針を任せているように思われる。また、他のメンバーによる「けんた」に対しての"陰口"らしい文言が現場に残されている場合がある。
- けいすけ ―― 記名率が高く、多くは「さんぼう」と呼ばれていることが確認されている。「けいすけ」及び「さんぼう」に関する情報は一切表層化する様子を見せず、現在までに見つかった情報においてもその正体は一端すら掴めていない。
- あんな ―― 記名率は低いが、「けいすけ」に次いで見つかる場合の多い名称。"だいすきなせかい"における「懲罰係」のような立ち位置にあるようだが、詳細は「あんな」の記名が施された「めいぼ」におけるメンバーの名称を除き不明。"だいすきなせかい"においては「ごはんがかり」と呼ばれていることが判明しており、「あんな」を恐れるような表記の残る"陰口"が幾つか発見された。SCP-159-JPの確保前後に取得された「プリント」より、同オブジェクトの飼育、教育をしていたとされる。
- ひーた ―― 最も古くは20██/██/██におけるSCP-███-JPインシデントから、20██/██/██のSCP-███-JPインシデントまで頻繁に記名が見られたものの、SCP-159-JP確保以降「ひーた」の名は確認されていない。前述の「めいぼ」においてその名が確認された為、同組織内において処分を受けたのではないかと推測される。
- きみ ―― 詳細不明。発見される情報群において散見されるが、信仰するように重要視されており、彼らにとってなんらかの意味を持つ存在であることが窺える。
なお、彼ら以下の"記名"は発見された情報毎で頻繁に変わっており、メンバーの変動、減少が度々起こっているのではないかと推測されています。これは、"だいすきなせかい"顕現後の記名メンバーに、インシデントで犠牲になった児童と同名の"記名"と思われるものが多数発見されていることから予想されています。
補遺: サイト-8181より、SCP-███-JPの収容違反が発生、これに付随し"だいすきなせかい"メンバーの出現とオブジェクトへの接触が確認されました。以後、同オブジェクトの消息は掴めておらず、被害の状況から鑑みるに"だいすきなせかい"により奪還されたと見られています。彼らにとりSCP-███-JPがいかなる意味を持っているかは今もって不明ですが、早急なオブジェクトの再回収が求められます。
朝が来ない日が続いた。
三日ほど経って、冬みたいな雪が降ったと思ったら、今度は真夏のカンカン照りが始まり、そこら中から蝉が現れて悲鳴みたいな声を上げて騒ぎまくった。
虫取り網を持って飛び出した僕たち五人は、苦しそうな表情をした人間顔の蝉がたくさん仰向けに死んでいるのを見つけた。
ゴールデンレトリバーのキャルルも、大きいくせに散々怯えたように鳴いていたけど、翔太は笑いもせずに鼻を啜って、そこら中に転がっていた蝉の死体を拾って集めてお墓を作った。みんな翔太の真似をして手を合わせた。
翌日翔太の家に遊びに行ったら、玄関を開けた途端中から沢山の蝉が溢れて飛んでいった。
翔太も、翔太の家族も全部、ゴム人形みたいにだるだるの抜け殻になって床に落ちていた。
あの蝉に触ったからだと思った。杏奈は怯えたように震えていたけど、僕が大丈夫だよ、と言ってあげたら安心したように笑ってくれた。
キャルルはたった一匹、庭先でお腹を空かして鳴いていた。
僕たちしか居ないんだ。僕は、そう三人に告げた。辺りはトマトみたいに真っ赤な夕日で染まり、蝉の声に満ちていた。
一人は力強く、一人はおずおずと、一人は黙って頷く。
そのうち、黙っていた恵介が口を開いた。
「財団がやったんだ」
「ざいだん?」
「あんな、知らないのかよ。最近天気がおかしいのも、変な生き物が出てくるのも、あいつらが三日前にやった"シュクセイ"とかいうのが原因だって。かあちゃん言ってたよ。ここからそろそろ離れなきゃって。そう言ってた」
「けーすけ、引っ越しちゃうのか?」
「……うん、でも……翔太のカタキ打ち、したい。このままじゃ、こんなの嫌だ。キャルルもそうだろ」
わん、と自分の名前を呼ばれたキャルルが吠える。
「でも、私たち、何も出来ないよ」
「出来るよ」
三人は僕を見た。キャルルも、暑そうに舌を出しながら僕の方を見ている。
「出来る。ぼく、知ってるんだ。財団が集めてる、色んなモノのこと」
そう言うと、僕は一本のナイフを取り出した。何かの鉱石で作られた、青くてキラキラ輝く不思議な刃が付いている。この間、"財団"に捕まりそうになっていたおじさんから受け取ったものだ。おじさんは「せめて自分の身を守るために持っているといい」と言ってこれを渡してくれた。
「見てて」
ゆっくりと持ち上げて、振るう。
すると、翔太の背中に入ってた切れ目みたいな線が宙に入って、みしみし、と聴いたことも無いような重い音と一緒に"穴"が開いた。"穴"の向こうには、僕が持ち込んだ色々なものが見える。
「ひみつきちがあるんだ。……みんなには、内緒にしておこうと思ったんだけど。でも、あいつらをやっつけたいから。だから」
僕は、もう一度三人の顔を見る。
いつも遊んでいるみんな。昨日まで、ここに翔太の顔があったことを思い出して、涙がこぼれそうになる。
「力を貸してほしいんだ」
鼻声になっていないか不安だったけど、僕より杏奈の方がよっぽど泣いてたし、恵介なんかそっぽ向いてたから、きっと気づかれなかったろう。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8118、標準人型収容室にて収容されています。SCP-XXX-JPは標準人型プロトコルに基づき管理されていますが、如何なる理由があろうと"恐怖"を想起させる嗜好品を与えないでください。また、可能な限りSCP-XXX-JPの"想像"を封じ込める為、プロトコル[瞑想]により精神状態の管理を行い、別記の脳波パターンに類似した波形に近付いた場合、速やかにSCP-XXX-JP収容室への睡眠ガスの注入を行うこと。これらの対処は、SCP-XXX-JP-1発生時にも行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは、やや痩せ型で、少々不健康な容姿を持つ一般的な成人男性です。SCP-XXX-JPは自身以外の全てに対して影響を及ぼす限定的な現実改変能力を有していますが、その能力について自覚を持っていません。
SCP-XXX-JPの現実改変能力は非常に強力であり、"未知の恐怖"をSCP-XXX-JPが"想像"した際に発現します。これにより出現した実体、空間、現象の全てをSCP-XXX-JP-1とします。SCP-XXX-JP-1の姿やデザインはSCP-XXX-JPがイメージしたものを再現していると見られますが、SCP-XXX-JPにはこれらの存在を認識できないため、正確にこれらの正体はわかっていません。
また、SCP-XXX-JP-1に接触することができるのは周囲の生物のみであり、SCP-XXX-JPに対し危害は加えません。更に、SCP-XXX-JPによる被造物は、SCP-XXX-JPとの距離が100m以上離れると瞬間的に消失します。消失するまで、SCP-XXX-JP-1は周囲のあらゆる存在に対し攻撃的な行動を取り続けます。
SCP-XXX-JPは財団により発見されるまで、"周囲で奇怪な殺人、行方不明事件の起こる忌み子"として扱われていましたが、児童養護施設において

廃墟内にて撮影されたSCP-311-JP。
アイテム番号: SCP-311-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:SCP-311-JPはその性質上、「家屋」に分類されると思われる建造物内に収容することが出来ません。そのため、発見された████地区周辺を、SCP-311-JPが出入り不可能な鼠返しの取り付けられた高さ5mの壁で覆い、壁面周辺の昇り降り可能な木々を伐採、「猫」に分類される生物の出入りを防いでいます。また、現在駆除作戦が計画されていますが、保護のため、最低でも20匹の確保が予定されています。これが完遂された場合、財団保有の█島において管理が予定されています。また、現在1匹のSCP-311-JPが逃走したままであるため、SCP-311-JP由来と見られる現象が発生した場合、即刻の追跡を行いSCP-311-JPの処分を行ってください。
説明: SCP-311-JPは、様々な種類、毛色を持つ一般的な猫に見える存在です。これらは一見通常の猫と変わりありませんが、一般的な猫に比べ肉球の数が極端に多い多指症であることが特徴です。加えて、これらの肉球には「児童の顔のよう」と表現される、笑顔にも似た皺や柄が現れることが観察されています。
SCP-311-JPは、どのような形であれ侵入した建造物を、材質に関わらず急激に老朽化させる性質を持っています。これに伴い、住民や調度品も含めてその全てが老朽化からの破損、あるいは消失を起こします。GPSでの追跡の結果、消失した人間の位置や場所はその時点では変わらないことが判明していますが、最終的には人間に可能な範囲での移動をするような動きを見せ、どれもおおよそランダムと思われる座標にて消失します。消失した人間に対し、こちらからの物理的な接触は一切成功していません。
SCP-311-JPは通常の猫と同様に、普段は民家の軒先や廃墟等を住処としています。SCP-311-JPは、本来その場を根城としていた野生生物等を追い出し、自身らの縄張りへと変えますが、この際、追い出した生物の中に猫が含まれていた場合、その性質を追い出した猫達にも伝播させ同じ性質を持つものに変えます。これは通常の猫との繁殖においても発生することが確認されていますが、SCP-311-JPと通常の猫を交配させた場合、通常の周期よりも遥かに速い10日前後3で出産にまで至ることが確認されています。
SCP-311-JPの持つ「家屋」の判断基準4は全く不明ですが、人工的に建造された、風雨を凌げる構造の建造物はほぼこれらの判断基準内に収まると考えられています5。このため、SCP-311-JPが都市中心部等にて通常の猫と接触、繁殖した場合、計り知れない被害が発生すると予想されています。
SCP-311-JPは、████地区の廃村から██kmの都市部で最初に発見されました。「村民が██名は居たはずの自身の故郷に猫しか居らず、全て廃墟化している」との情報が財団職員より伝えられ、当該区域の調査において多指症を患った猫(SCP-311-JP)が多く存在していたことが判明。サンプルとして一匹をサイト-81██へ移送した際、発生した大規模収容違反により特異性が発覚しました。SCP-311-JPがどのように発生したかは今もって不明なままです。
SCP-311-JPは████地区の廃村から人の住む地域へと徐々に流入したと見られ、当該地域周辺の人口の少なさから発見に遅れが出ました。少なくともこれらの廃村や人の居なくなった地域においてSCP-311-JP個体、及びその性質を持つ個体が███体から存在しているのではないかと考えられているため、当該地域の封鎖を敢行、SCP-311-JPの駆除作戦が計画されています。
SCP-311-JPの建造物への侵入実験(意図しないものも含め)が行われています。記録は以下の通りです。
SCP-311-JP侵入実験記録
日時:20██/██/██
実験対象:████地区の廃屋
結果:変化なし。SCP-311-JPは廃屋内を何度か出入りし、通常の猫と変わらない行動を見せていた。廃屋は、発見された当初となんら変わらない様子だった。この時点ではどのような特異性を持つか判明していない。
日時:20██/██/██
実験対象:サイト-81██(意図せず発生したもの)
結果:[編集済]。この際、サイト内全職員消失。消失発生から30分後、急行した機動部隊により廃墟化したサイト-81██の確保が行われた。同時に多数のオブジェクトも消失したと見られているが、一部のオブジェクトは特異性等の影響かその場に残されたままだった。これにより大規模の収容違反が発生したことに加え、捕獲していたSCP-311-JPの一個体が逃走したと見られている。運び入れた職員を含め施設内機材も全てが破損、消失したため、SCP-311-JPの行方は現在も不明。
日時:20██/██/██
実験対象:簡易的に作られた、一般的なアパート等の一室を模した部屋
結果:SCP-311-JPが侵入してから15分後、家屋は調度品も含め経年劣化に見られる崩壊を起こした。加えて、劣化した床面、壁面等から実験施設同区域内に存在している植物種の繁茂が発生。
日時:20██/██/██
実験対象:眠っているSCP-311-JPを囲う形で即席の小屋を建て、その後テントで覆う
結果:小屋に変化は起きなかった。これに加え、周囲を覆う形でキャンプ等に使用されるテントを張ったところ、最後のペグを差してから10分の間に、早回しにしたようにテントの生地が傷み始め全体が日に焼けた劣化を見せた。特異性の発揮には、曝露物に何らかの居住性と、人間が居住可能な物としての外的認識が必要と見られる。
日時:20██/██/██
実験対象:SCP-311-JPを囲う形でコンクリートでの簡易収容房の建設
結果:建造物としてほぼ完成したと見られる段階から5分後、房全体にヒビが入り、7分後に崩壊。内部に居たSCP-311-JPが█匹死亡。監視のために設置されていた機器は全てSCP-311-JPの効果を受け消失、及び破損した。
日時:20██/██/██
実験対象:GPS発信機の取り付けられたラット5匹が入ったケージを置いた、一般的なアパート等の一室を模した部屋
結果:家屋はSCP-311-JP侵入から15分後に完全な廃墟と化し、植物の繁茂が発生した。5匹のラットは全てが消失し、ケージそのものも経年に放置されたかのように汚れ破損していた。消失したラットは数分間座標を送り続けていたが、1匹ずつ数分おきに信号が消失している。
日時:20██/██/██
実験対象:通信機器、及びGPS発信機を持たせたDクラス職員
結果:SCP-311-JPと共にテント内にDクラス職員を配置してから5分後、Dクラス職員は徐々に風景へ溶けるように輪郭を失いながら消失。観察、会話の経過を見る限り、Dクラス職員に消失中の自覚はない様子だった。最中で消失が済み、会話は唐突に途切れる形となった。GPSによる信号は30分の間続いていたが、それを過ぎたところでGPSの反応は途切れがちになる。45分を過ぎた所でほぼ消失し、1時間後には完全に途絶えた。この1時間中、通信機器からは雑音が流れていたが、GPSの信号が途絶えるなり音声は途切れ、無音となった。
追記:SCP-311-JP由来と思われる消失、老朽化事象が████区域の学童保育所を皮切りに██件発生した。逃走したSCP-311-JPが周辺に多数潜伏していると思われる。現在捜索を進めており、現在までに██体のSCP-311-JPを確認、終了済。同地域に生息する猫、飼い猫の検査を徹底し拡散を防ぐこと。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、一般家庭において使用される通常の冷蔵庫に擬態する存在です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、渋谷駅西口付近、現在は工事現場に偽装され隠蔽処理の済んだ廃ビルです。SCP-XXX-JP内はその外観上のサイズに比較して広大な空間を内部に有しており、加えて大量の人型実体が徘徊しています。これをSCP-XXX-JP-1とします。
SCP-XXX-JP自体は19██年に取り壊しが決定されていましたが、同年解体業者が内部へ侵入した際、SCP-XXX-JP-1実体により襲撃を受け警察へ通報、財団へと情報が知れその存在が明らかとなりました。
SCP-XXX-JPは内部に進入した者は、ほとんど全ての場合においてSCP-XXX-JP-1実体群により襲撃を受け、死亡、あるいはSCP-XXX-JP-1実体群が持つ何らかの目的のため、SCP-XXX-JP深奥へと連れ去ります。
SCP-XXX-JP 進入記録
記録日時:20██/██/██/
記録機器: 多脚歩行型潜入機 SCP-VIX-3021-088
00:00:01: 映像記録の開始。
00:00:04: VIX-3021(以下、無人機と表記)がSCP-XXX-JP内部に進入。異常なし。
00:00:12: ロビーにおいて、開放されたまま放置されていたエレベータ内よりSCP-XXX-JP-1実体aが出現。これを無人機搭載の武装により無力化。消音器により攻撃音は抑制されたが、実体aは無力化寸前に叫んでいる。
00:00:37: 以降、1分前後無人機は待機。なお、aの無力化直後、同機は光学迷彩により擬装を施した。
00:01:21: 何も発生せず。新たな実体は確認できないため、進行を再開する。
00:02:07: ロビーより階段への移動。上部フロアの存在を確認するも、同階段内の実体数が多く移動は困難と判断。無効化を諦め、擬装を行ったまま進行。
00:05:13: 実体群を回避し2階フロアに到達。
序文:
我々、普遍的な人類は現実改変能力を持たない。
少なくともそれが基底現実における「人類」というものの定義である。では、人類の起こす「ヒューム値変動」とは何なのか。
元来"ヒューム"とは自然的に変動を起こし、その値が一定で固定されている場合は現実において少ない。
虫や犬猫、鳥、あらゆる動植物はそれぞれ"基準ヒューム"を持ち、目の前の現実性に対して
基底現実平均値の域を超えるような改変は起こさない。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、██県██市、███山に存在する廃棄された病院跡地から転移可能な異次元世界です。当該地域の住民が不法に侵入し、行方不明、及び「肉塊が歩いている」、「怪物が家族を連れ去りに来る」等の怪事件が頻発したことからその存在が明らかになりました。
同廃病院敷地内に進入すると、即座に転移、異次元に存在すると思われるSCP-XXX-JPに転移します。財団の存在する次元における病院に対し、異次元側は通常通り営業する病院に見えます。
SCP-XXX-JPは、よく整えられ清掃の行き届いた院内を有していますが、そこに徘徊する人型及び人型(骨格構造的には、元々人類と似た進化を遂げた存在ではないかと推測されています)であったと見られる存在のほぼ全ては肉体的に壊死や溶解、損壊、変容、腐敗等を起こしており、現実世界における生物学的には完全に死んでいる状態にあります。捕獲したサンプル(以後、SCP-XXX-JP-2とする)を検査しましたが、あらゆる生命活動は停止しており、この状態で何故歩行や発話が行えるかは現在も不明です。同サンプルは感染の危険を考慮し一体の冷凍保存体を除き焼却処分済みです。
SCP-XXX-JPに人間、及び正常な肉体を持つ生命が進入すると、SCP-XXX-JP側における医療スタッフと見られるSCP-XXX-JP-1が接触します。これに何らかの形で接触された場合、1時間前後で接触者は肉体的な生命活動を喪失します。しばらくの間は問題無く人間として活動しますが、SCP-XXX-JPへの通院により、次第にSCP-XXX-JP-1と似通った変質を遂げます。最終的に、同接触者はSCP-XXX-JPに入院することとなります。
SCP-XXX-JPからの脱出は、同SCP-XXX-JPにおいてSCP-XXX-JP-1からの診察を受け、処方薬を受け取ることによりのみ可能です。SCP-XXX-JP-1の行う診察は一般的な病院におけるそれと大差なく、処方薬を受け取るまでの一連の流れが終了した時点で現実世界へ帰還しますが、進入者に対しSCP-XXX-JPへの再訪問を強制する何らかのミーム的作用が確認されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、日本から███kmの太平洋上に浮かぶ巨大な立方体オブジェクトです。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid Keter Safe
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、我々の住まう物理次元とは異なる次元 SCP-███-JP 平行世界 [編集済]から訪れたと見られるオブジェクトです。SCP-XXX-JPは、五感の全てで観測することが叶わず、所謂"第六感"のみにて観測が可能です。
観測者の持つ"第六感"によりSCP-XXX-JPは知覚的印象が異なり、

[編集済]により機密指定。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、標準人型オブジェクト収容房に収容され、その外部を、テレキル合金(SCP-148)の持つ特異性がSCP-XXX-JPに対して干渉を起こさない範囲でコーティングされています。SCP-XXX-JPに対する接触は週一のカウンセリング時を除き全面的に禁止されており、外部からのコンタクトはレベル4以上の職員、あるいはサイト管理官の許可を得た場合にのみ可能です。カウンセリング外で何らかの対話を行う場合、専用の対話ブースより遠隔での接触を行うこと。現在SCP-XXX-JPは薬剤投与によって常に眠らされており、どのような形の接触であれその一切は禁止されています。栄養、及び薬剤の投与は、現在施されている点滴パッケージを外部から機械交換する形で行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは、元財団エージェントである人型オブジェクトです。SCP-XXX-JPは、SCP-███-JPの確保作戦において、同オブジェクトにおけるミーム災害に曝露しました。その後、「他者の思考が見える」との証言を行った為、幾つかの検査を行ったところ、その主観的観測結果が他者の思い浮かべるイメージとおおよそではありますが合致していたことから、その能力の実存が証明されました。
SCP-XXX-JPは、他者の思考を受信、知覚することが可能です。インタビューの結果、SCP-XXX-JPが知覚しているイメージはまず思考者の頭上に現れることが判明しており、加えてその証言内容から、思考者本人の想像より極端なまで露悪的に受信されていることが判明しています。同時に、ありとあらゆる他者の思考を無秩序に受け取っていると見られており、市公社が周囲に存在しない場合でも自身の身の周りにそれらのイメージが制御なく勝手に出現し、接近してくると証言しています。現在の収容体制が取られるまでに計測された時点での能力の有効範囲は、およそ████m前後に渡っていたのではないかと予想されており、その影響で、SCP-XXX-JPは極度の精神衰弱の兆候を示しています。
SCP-XXX-JPは現在房内全面をテレキル合金製のコーティングにより覆われた標準人型収容房に特異性の干渉が無い範囲で収容されており、安静を保っています。事案記録015の際に本人の錯乱を確認、薬剤投与により眠らせ収容を維持しています。以下は、収容前の実験、及びインタビューの記録です。
SCP-XXX-JP 思考解読実験記録
前提として、実験房内とSCP-XXX-JP収容房はマジックミラーにより隔てられ、収容房外部の人間からSCP-XXX-JPが観察不可能な状態にされている。
記録日時 | 被験者 | 指示内容 | 結果 |
---|---|---|---|
20██/██/██ | D-XXX-JP-1(殺人歴有) | D-XXX-JP-1に対し、「可能な限り思考を無にしろ」と指示。 | 実験開始から約5秒後に、D-XXX-JP-1の頭上に、紫色から濃い青色に移り変わる極端に頭部の肥大化した猿のような存在が出現し、同存在は中空へ横になりながら「暇だ」と繰り返し唱えていたとの証言。その内に「早く外に出たい」「次はどんな手で表舞台に上がってやろうか」「こんな場所すぐに出てやる」等と発言していたとのこと。 SCP-XXX-JPが苦痛を訴えた為、実験は中断。 |
20██/██/██ | D-XXX-JP-2(強姦歴有) | D-XXX-JP-2に対し、「可能な限り思考を無にしろ」と指示。 | [編集済]。以後、問題を持つ来歴のDクラス職員を実験へ起用することを禁止。一般職員の参加を許可する。 |
20██/██/██ | ██研究員 | 今最も食べたいものの想像を指示。 | オムライスが出現し、当該の品を出す店舗の名称がアニメーションのようにその周りを激しく踊っていたとの証言。██研究員によると、店舗名までは考えておらず、踊らせるようなイメージもしていないとのこと。なお、証言にある店舗名は実在しており、SCP-XXX-JPは同店舗について何の情報も持っていなかった。実験後、SCP-XXX-JPは空腹を訴えた。 |
20██/██/██ | エージェント・██ | 害意的なもの以外の想像を指示。 | 大量の猫が出現し、しばらく中空で戯れた後に喧嘩に発展。全ての個体が大量の出血、裂傷、身体の損壊を起こすほどの負傷を負っていたとの証言。この直後、SCP-XXX-JPは「やめてくれ」と叫び、実験の中断を懇願した。同時点で実験は中止。エージェント・██に対しこれについて尋ねたところ「たくさんの猫が遊び回るところをイメージしただけ」との証言が得られる。SCP-XXX-JPは、他者の思考を受信した後に自身にとって不快、あるいは嫌悪感を抱くように酷く歪曲してしまうのではないかとの推測が為される。 |
20██/██/██ | ██博士 | 瞑想に長けるとされる██博士に対し、思考を無にすることを指示。 | SCP-XXX-JP、対面当初は██博士の頭上に何も存在しないことに驚く旨の発言をしていたが、それからおよそ5分後、「██博士から何か漏れ出してくる」とSCP-XXX-JPが怯え始め、収容房隅へと逃走した。そこから更に、酷い恐慌状態へと陥り、収容房内から出ようと絶叫しながら暴れた為房内へのガス注入にて鎮静。目覚めた後も見えない何かに怯え続けるような言動を繰り返していた為、 Aクラスの記憶処理を行った。SCP-XXX-JPは落ち着きを取り戻したが、以降の実験は完全に禁止された。 |
以下は、実験禁止以後のSCP-XXX-JPに対するインタビューです。
SCP-XXX-JP インタビュー記録08
記録日時: 20██/██/██
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー:██博士
(SCP-XXX-JPは、収容房内に据え置かれた椅子に座り込み項垂れている)
██博士: やあ、SCP-XXX-JP。
SCP-XXX-JP: こんにちは、博士。
██博士: 収容房での生活は慣れたかね。
SCP-XXX-JP: はい。ここは、静かですね。とても、とても過ごしやすい。どのような手段を用いたのでしょうか。この部屋は綺麗に他人の思考を遮断してくれるのですね。
██博士: そうか。そのように感じるのか。君がどんな光景を見て、どんな風に感じているのかは私にはわからないのでね。
SCP-XXX-JP: ええ、残念なことに。お教えして差し上げたいくらいです。
██博士: 君の気持ちをわかってあげられないのはとても残念だが、それは遠慮しておくよ。
SCP-XXX-JP: でしょうね。それで、今日はどんなお話ですか。
██博士: ここ最近は実験ばかりで済まなかったね。今日は、君がどのように見えているのかを改めて確認したいのだ。他者の思考と言うものを。
SCP-XXX-JP: なるほど。ええ、これは中々恐ろしいものですよ、人の思考が見えるというのは。さとり妖怪とやらもこのような地獄を見ていたのかと思うと、気の毒に思いますね。(自嘲するように笑む)まあ、私のこれが、かの妖怪のそれと同一かはわかりませんが。
██博士: ふむ。具体的に話してもらえないか。
SCP-XXX-JP: すみません。(間を置いて)イメージが、人の上に浮かぶのです。初めは鮮明に、像が現れます。人が想像するものを、とても鮮明にしたものだとでも考えてもらえれば差し支えないでしょう。しかしそれらはその内に、様々な色の輪郭や効果を伴って、変化を起こすのです。初め、他者の想像から、色の付いた水か何かが湧き出しているのかと私は思いました。しかし、違いました。色は、次第に形を作りました。獣のようなそれであったり、人の局部を巨大化したような醜悪なものであったり、ドロドロに溶けた粘液状の怪物だったり、馬鹿みたいに大きな口や手足だったりするのです。
██博士: なるほど。
SCP-XXX-JP: そして、それらは口々に喋るのです。叫んだりもします。口がないものでもです。アレがしたい。コレがしたい。腹が減った。あの女を抱きたい。アイツをぶん殴りたい。早く帰って寝たい。この後どうするかを延々と述べ続けるものもありました。ただただ同じ言葉を繰り返すものも。延々と笑い続けるものもありました。そのことごとくが、目に痛く様々な色合いで明滅しながら、私を撫でるように、取り囲むように、ふらふら、ゆらゆらとにじり寄るのです。私の耳元で、他者の欲求をずっと吐き散らかすのです。ずっとずっと。延々と。延々と。耳を押さえても聴こえてくるのです。目を閉じていようが明滅は直接闇の中から脳髄に流れ込んでくるのです。誰も止めてくれないのです。周りがうるさくて悲鳴も上げられない。私の声が掻き消される。
(SCP-XXX-JPの心拍数の増加、極端な発汗、脳波の乱れが顕著になり始める。SCP-XXX-JPはこの時点で自らを抱くように身を丸め始め、激しい貧乏揺すりを行いだす)
██博士: わかった。わかったもう充分だ。思い出さなくていい。
SCP-XXX-JP: 私は私の頭上にはどんなものが生まれているのだろうと考えました。私は他者のイメージを覗く度に自分の頭上に強烈な圧迫感があるように思え、しかし見えないそれに怯えました。どうしても見えないのです。どうしても。あいつらは見えるのに。彼等が居る限り、私の近くに他者がある限り、あれらは存在し、私は私の影に脅迫され続けるのです。だから見たかった。見て私も彼らと変わらないのだと証明したかった。お前もお前の産み出した欲望に駆り立てられているのに過ぎないのだと。薄汚い人間の発露する欲求をお前も持っているのだと自覚したかった。頭の上で唱え続ける何かは次第に膨らみ、破裂して、そして私は(嗚咽)(絶叫)(以後、喉を絞るような高音を立て続ける。音声解読不能)
██博士: 休ませるんだ。彼を休ませろ!
<ログ終了>
この後、房内に鎮静ガスが流し込まれ、SCP-XXX-JPは昏倒、沈黙した。対象は問題なく目を覚ましているが、若干の衰弱と疲労の傾向有。
補遺01: SCP-XXX-JPは、██博士による██回目のメンタルセラピーの際に突如絶叫、壁に頭を打ち付けるなどの自傷行為を始めた為、ガスによる鎮静を図りました。しかし、目覚めるなり再び同様の行動を取り始めた為、SCP-XXX-JPの自死を防ぐよう[編集済]の投与により収容を維持することが決定されました。以降は、改訂された収容プロトコルに則り保護を続けてください。Dクラス以上の記憶処理は検討中です。
補遺02: SCP-XXXX-JPの脳波パターンが、眠らせる以前に観測されていたそれに比べ猛烈な反応を繰り返しています。睡眠時眼球運動(REM睡眠時)の異常な活性と起床時を上回る脳波の活性化が見られ、テレキル合金の特異性に曝露した人間の睡眠時脳波パターンに非常に酷似した結果を見せています。SCP-XXX-JPに対する干渉は今後も完全に禁止ですが、経過観察は依然続行されます。また、収容房のサイズを拡張し、テレキル合金コーティングの影響距離幅の変更を実施予定です。
対象は20██/██/██の事案により無力化されました。事案発生時の情報の開示を求める場合、以下の記録を参照してください。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト-81██であった空間とSCP-XXX-JP能力下にあると見られる区域に対し、地上6基、地下7基を設置された計13基のスクラントン現実錨によるヒューム値固定、及び同区域直上に建設された臨時サイトにより完全な封鎖措置が取られています。何らかの変化や現実錨の破損、あるいは収容違反に繋がる事態が発生した場合、即刻の[編集済]への連絡、対策会議の結成を行ってください。何らかの問題が発生した場合、速やかにプロトコル[辺獄]に則り、施設の更なる地下埋没とスクラントン現実錨の増設を行い、能力影響範囲の拡大を完全に防ぎます。封鎖措置が最早不可能であると判断された場合には、[編集済]、及び[削除済]によりサイト全域の完全な消滅が執行されます。
説明: SCP-XXX-JPは、元々財団エージェントであった、他者の思考を露悪的に拡大解釈して受信、それを現実に対し物理的な形で反映させる能力を持った人型オブジェクトです。現在SCP-XXX-JPはサイト-81██地下██mにおいて多重スクラントン障壁、及び旧サイト-81██内部に収容されていると見られ6、外部との接触は完全に遮断されています。
SCP-XXX-JPは20██/██/██の収容違反事案の際にその能力の拡大と爆発的な成長を見せ、サイト-81██全域、及び周辺地区を能力影響下に置きました。サイト-81██は緊急封鎖措置が施され、SCP-XXX-JPの地下への落下と封印が行われました。更なる収容違反の拡大を防ぐために核弾頭の起動措置が図られましたが、起爆直後に影響域の拡大が急激に加速7、爆破により中心部に形成された空洞部の周囲へ逃げるようにSCP-XXX-JP影響体が移動、止むなくスクラントン現実錨の多重錨泊により全域を遮断する形での収容が行われました。
元々SCP-XXX-JPはテレキル合金によりコーティングされた収容房での収容が試みられていましたが、能力拡大に伴い、SCP-XXX-JPの持つ精神作用に対する知覚範囲が拡張。これによりテレキル合金の持つ特異性に曝露、干渉し、これに加え睡眠時におけるSCP-XXX-JP自身の無意識的思考が主人格に対して過度な負担を掛け、起床時、睡眠時を問わず被害妄想が加速度的に膨張。結果、元々持っていた能力が変化、暴走することに拍車を掛けたのではないかと推測されています。
SCP-XXX-JPは、影響下にある人間それぞれの思考を完全に融和させ、急速に分解、混濁、融合させます。同オブジェクトの影響下に置かれた人間は自他との境界を完全に喪失し、本体であるSCP-XXX-JPの強力な現実改変を伴う思考イメージに飲み込まれ、物理的にも精神的にも同化します。この際、生前被害者が有していたあらゆる思考は露悪的兆候を著しく強めた形で物理的な実体を伴い具現化します。これをSCP-XXX-JP-1とします。
現在、SCP-XXX-JP周囲は常にSCP-XXX-JP-1が充満しており、これは旧サイト-81██内全域においても同様の状態です。旧サイト-81██内部では常に無秩序な現実改変が続けられており、取り込まれた人間、及びSCP-XXX-JPが元々抱いていたあらゆる思考、想像、妄想と見られるイメージが形を成して混ざり合い、互いに干渉を繰り返しています。
SCP-XXX-JP本体が現在どのような状態にあるかは、探査機への攻撃による破損の発生や、あらゆる観測波においても進入直後の断絶が起きるためほとんど不明です。SCP-XXX-JPの性質顕現直後より観測されているSCP-XXX-JP-1個体の一部が可能な範囲での外部より現時点でも観測されていることから、SCP-XXX-JPそのものは今も健在であるのではないかと予想されています。
SCP-XXX-JPは収容違反当初、一般スタッフ██名、研究員██名、██博士、及び██博士、待機中であったDクラス職員█名、及び探査に向かわせた2名のDクラス職員と、旧サイト-81██に収容されていたSCP-███-JP等のオブジェクトを取り込んだままであり、回収の目処、進入の手段の確立は全くできていません。収容違反記録に関してはインシデントレポート・████████を参照してください。
以下は、かろうじて外部より観察可能であるSCP-XXX-JP-1個体群のリストです。
SCP-XXX-JP-1 個体群リスト
対象: SCP-XXX-JP-1-a
記録日時: 20██/██/██
記録対象: 極端に肥大化し血走った手。爪の一切は存在せず、代わりにハイヒールのような赤く巨大な靴状の物を生やしている。何かを求めるように高速で蠢き続けるが、その都度手の甲部の辺りから現れる巨大な唇に飲まれ、全身が裏返ったように再び唇の内部より手が現れる。他のSCP-XXX-JP-1群体により飲み込まれ、以後出現していない。
対象: SCP-XXX-JP-1-b
記録日時: 20██/██/██
記録対象: SCP-XXX-JPの毛髪が肥大化したと思われる、環形動物に似た存在。風船のように膨らみ続け、かと思えば萎む。萎む際に形成された穴からは、同じく大量の毛髪の存在が観察出来、そこから皮脂のようなくすんだ黄色い粘性の液体を垂れ流し続けている。他のSCP-XXX-JP-1により度々飲み込まれるが、その都度飲み込んだSCP-XXX-JP-1の全身に毛髪が生え、同SCP-XXX-JP-1-bを再生成する。それぞれの表皮に微細な文字のようなものも確認できるが、現時点では文字同士の繋がりが判別できず、解読不能。
対象: SCP-XXX-JP-1-c
記録日時: 20██/██/██
記録対象: 巨大な眼球。眼球壁部には数え切れないほどの人の唇が存在し、涙を流すように涎を垂らし続けている。存在する唇はその全てが日本語における苦痛を意味するあらゆる語句を叫んでおり、SCP-XXX-JP、及び取り込まれた被害者の声が入れ替わりに流され続けている。観測機器が可能な範囲で近付くと、瞳孔にあたる部位が猛烈な勢いで拡大収縮を繰り返す。このSCP-XXX-JP-cのみ、他のSCP-XXX-JP-1群の影響を受けている様子は無い。時折周辺に蹲る人型の肉塊が形成され、判読不能な音声で何かを唱え続けていることが確認されている。
対象: SCP-XXX-JP-1-d群
記録日時: 20██/██/██
記録対象: SCP-XXX-JP-1観測可能域全土に出現する獣型実体。大抵の場合でイヌ科のような形状を取るが、その全てがぐるぐると混ざり合い続ける肉塊や、明滅する不可思議な極彩色の実体によって形成されている。常に駆け回るか何かを捕食しており、他のSCP-XXX-JP-1に対し極めて攻撃的。捕食が済むと人型形状に変形し、大笑いするような挙動を取りながら卒倒、硬直してそのまま他のSCP-XXX-JP-1群に吸収される。稀に、その状態で同SCP-XXX-JP-dにより捕食されるが、その個体の顛末も他の個体と同様。
対象: SCP-XXX-JP-1-e群
記録日時: 20██/██/██
記録対象: SCP-XXX-JP-1観測可能域域全土に出現する二体一組の肉塊で形成された人型実体。男女を模したような形態を取り、性行為らしい挙動を続ける。その際に背が裂け、蝶の翅の生えた大量の手を発生させる。発生した蝶の群れは二体のSCP-XXX-JP-eを貪るように掴み、バラバラに引き裂く。その最中、それぞれのSCP-XXX-JP-eは喘ぎ声を上げる。蝶の個体は最終的に握り拳に変化し、二組の肉塊を平坦になるまで長時間叩き潰すと、悲しみに暮れるような声色で叫びながら再度SCP-XXX-JP-eへと変化し、当初の行為に戻る。
対象: SCP-XXX-JP-1-f
記録日時: 20██/██/██
記録対象: 観測可能域全土に時折出現する、全身が赤黒い肉塊で形成され表面を眼球が泳ぐように存在する人型実体。他の実体から執拗に頭部を狙われ破壊されるが、その都度修復されフラフラとした足取りで彷徨する。この実体のみ定期的に観測範囲に現れることから、内部をある程度決まったパターンで巡回していると予想される。
補遺: SCP-XXX-JPはその受動的観測範囲のみを広げ続けていると見られており、スクラントン現実錨による断絶が不可能である脳波をどのようにしてか観測、それらからの影響を受け続けているようです。このため、サイト-81██内部は20██/██/██時点でなお未知のSCP-XXX-JP-1が出現を繰り返し、混迷を極めています。初期収容違反時に比しても明らかな変化の高速化は、仮に収容違反が発生した場合の被害の予想もつきません。以後の予期せぬ変化に備え、対策の検討と事後処理が続けられています。
仮に、悪意ある現実改変能力者がSCP-XXX-JPに対し何らかの精神的アプローチを試みたら。もしも、敵対的団体がSCP-XXX-JPに何らかの接触を求めてその封印を少しでも緩めたなら。押し留められ続けた彼の苦しみが、地球全土を覆う程度で収まるとは思えない。彼は秘匿される。永遠に。あの場は、"地獄"であり続けねばならないのだ。―― O5-██
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、標準大型生物房にてSCP-XXX-JP-1液の漏出が発生しないよう密閉保管し、都度房内に付属の排出機構を稼働、その後SCP-XXX-JP-1の焼却処分を行ってください。インタビューを行う際は指定の拡張房からの呼び掛けを行い、なんらかの実験が必要とする場合はレベルⅢ以上のバイオハザードスーツを着用し房内へ進入してください。
説明: SCP-XXX-JPは、瓶詰めのストロベリーソースに浸かった意思を持つホットケーキです。SCP-XXX-JPに含まれる成分、及び使用されている瓶や蓋などは流通している市販の物と変わりなく、また、同様の状態にしたホットケーキではSCP-XXX-JPは発生しないことがわかっています。
SCP-XXX-JPは時折不明な手段により蓋を開閉し、内部から多量のストロベリーソース8を漏出させます。これをSCP-XXX-JP-1とします。これらの成分は通常のストロベリーソースとほぼ同様のものですが、SCP-XXX-JP-1に生物が接触した場合、接触者の全ては体内の血液を全てSCP-XXX-JP-1に置換されます。にも関わらず、置換された生物は一切の問題なくそのまま生存を続けることが確認されています。血液を置換された生物をSCP-XXX-JP-2とします。
SCP-XXX-JP-2は血液の漏出が起こらない限り、通常の生物と一切変わりませんが、SCP-XXX-JP-2から漏出したSCP-XXX-JP-1に接触した場合、これも同様に接触者をSCP-XXX-JP-2へと変化させます。これはSCP-XXX-JP-1に置換された血液との接触でしか起こらず、唾液やその他の体液では起こらないことが判明しています。SCP-XXX-JP-1を処分する場合、なんらかの手段で組成を変化させれば(基準として、ストロベリーソースが賞味可能な味を失う程度の変化)特異性を失うことが判明しています。
SCP-XXX-JPは他者からのコミュニケーションに対し傲慢さを感じさせる態度にて応対し、基本的には財団に非協力的、加えて積極的にSCP-XXX-JP-1の摂取を勧めます。
以下はSCP-XXX-JPに対するインタビューの記録です。
SCP-XXX-JP インタビュー記録02
記録日時: 2012/██/██
インタビュアー:田辺博士
対象: SCP-XXX-JP
収容房内は完全にSCP-XXX-JP-1により沈んでしまっているため、外部から音声による呼びかけを行っている。
田辺博士: あー、SCP-XXX-JP。
SCP-XXX-JP: (沈黙)
田辺博士: SCP-XXX-JP?
SCP-XXX-JP: (蓋を鳴らす音)
田辺博士: 機嫌でも悪いかね。
SCP-XXX-JP: (蓋が開き、中からソースまみれのホットケーキが顔を覗かせる)違うよ。いい加減その名前をやめてほしいんだ。
田辺博士: では、ホットケーキか?
SCP-XXX-JP: 違う。僕の名前はサニーだ。かの有名な、おっと(勿体つけるような語調)、君らにもわかりやすく言い換えてあげようね。そう、あのトロリンピック甘々祭競技選手権国際ソース部門自由型で見事二位の座を奪ったあのサニー・エッグとは僕のことさ。覚えておくといい。
田辺博士: それは以前も聞いたな。哀れな君の犠牲者にもそう名乗っていたように。
SCP-XXX-JP: そう、アレが僕の実力なのさ。君達の星で言うなら、"タメイケヅクリ"みたいなものだよ。凄いだろう? 下手な奴がやると、もう凄くって。その点、僕のは芸術的だろ? 一人だってダメにしちゃいないし、僕から離れたソース達も優秀極まりない。その上とっても美味しいと来た。ね、君もどうだい?
田辺博士: "鯛の活造り"とでも言いたいのかね? だがサニー。君の浸かっているそれは、私達にとっては有害なんだ。
SCP-XXX-JP: いやいや、一度浸かってみればわかるよ。これはね、君達で言う所の"オンシャワ"だっけ? ああいったものと同じなのさ。ごらん、僕の美しい肌艶と潤いを。こんなに美味しそうなホットケーキ、そう無いって。君も興味ない? ツヤツヤ。
田辺博士: 君等はどこか他所の惑星から来た存在なのか?
SCP-XXX-JP: んん、そうさ。"トロヤ・シングス"という所だ。聞いたことは無いかい?
田辺博士: いや、さっぱりだな。
SCP-XXX-JP: 座標で言うと、あー、君らにわかりやすい言い回しはなんだ? この季節ならそうだな。光年で言うとおおよそ600光年ほど先。方位は355°、高度は55くらいかな。その辺りに浮かんでいる、一際眩しい星。そいつのすぐ近くにあるんだ。
田辺博士: 記録しておこう。
SCP-XXX-JP: ああ、ちょっと待って。もうひとつ教えておきたいことがある。
田辺博士: なんだね。
SCP-XXX-JP: ブルーベリーソース。アレだけは食べちゃダメだよ。体に毒だから。
田辺博士: そうか。
<ログ終了>
追記: インタビュー中にて確認された"トロヤ・シングス"と同名の喫茶店が東京都渋谷区原宿において発見されていますが、当該店舗で使用されているソースとSCP-XXX-JP-1はそもそも成分が異なっており、原料などにもSCP-XXX-JPとの関連性は確認できていません。
以下は、SCP-XXX-JPへの曝露、摂取実験等の記録です。
SCP-XXX-JP 実験記録
記録日時: 20██/██/██
概要: SCP-XXX-JP-1を実験用マウスに一度滴下。
結果: 採血により、マウスの体液がSCP-XXX-JP-1に変化していることを確認。体液を全て正常な血液と入れ替え、再度体液を採取したところ、同様にSCP-XXX-JP-1になっていた。一度血液がSCP-XXX-JP-1に変化すると、曝露対象も同様の特異性を得ることを確認。
記録日時: 20██/██/██
概要: SCP-XXX-JP-1をマウスの血液に直接接触させる。
結果: SCP-XXX-JP-1に変化。観察中にも関わらず即座に組成が変化したため、瞬間的な入れ替わりを起こしていると見られる。
記録日時: 20██/██/██
概要: SCP-XXX-JP-1を注射器にて実験用マウスに注入。
結果: 20秒後、マウスは失血性ショックと見られる要因にて死亡。体液はSCP-XXX-JP-1に変化していたが、直接の接触を経ない限り、体細胞からは異物として認識されていることが判明。
記録日時: 20██/██/██
概要: SCP-XXX-JP-1液に対し人間の血液を滴下。
結果: 血液はSCP-XXX-JP-1へ変化。
記録日時: 20██/██/██
概要: SCP-XXX-JP-1液を掛けたホットケーキの食味実験。
結果: D-XXX-JP-1により試食。「非常に美味」とのこと。血液の置換による自覚症状は無いことが判明。D-XXX-JP-1はSCP-███-JPの実験により終了及び焼却済。全てのSCP-XXX-JP-1は同様に焼却。
記録日時: 2015/██/██
概要: SCP-XXX-JP-1液にブルーベリーソースを滴下。
結果: SCP-XXX-JP-1液は完全に凝固した。反応そのものは血液に対しラッサルクサリヘビ(学名:Daboia russelii)の毒を滴下した際に酷似している。と同時に、SCP-XXX-JPが悲鳴を上げたことが確認されており、インタビューしたところ「あいつが来る」とただ繰り返すのみで、それ以外の返答は要領を得なかった。
補遺01: 実験記録におけるブルーベリーソースを使用した実験から2日後、財団の収容下にあったSCP-XXX-JP-1の全ては特異性を喪失し、ブルーベリーソースに置換されました。以下は、置換直後のSCP-XXX-JPに対するインタビューの記録です。
SCP-XXX-JP インタビュー記録05
記録日時: 2015/██/██
インタビュアー: 田辺博士
対象: SCP-XXX-JP
SCP-XXX-JP: (繰り返し、絶叫し続けている)
田辺博士: どうした、SCP-XXX-JP。
SCP-XXX-JP: (沈黙)
田辺博士: SCP-XXX-JP。いや、サニー。どうしたんだ。
SCP-XXX-JP: (含み笑い)
田辺博士: 反応できるなら質問に答えろ。どうした。
SCP-XXX-JP: あー、あー、うん。失礼致しました。これはどうも。ええ、サニーです。私はサニー。
田辺博士: 先ほど悲鳴を上げたようだが、何かあったのか。
SCP-XXX-JP: ええ、それはその、私、ストロベリーソースというものが大の苦手でして。
田辺博士: は?
SCP-XXX-JP: これはつまり、ええ、嫌いなものは放り出すに限るということです。わかりますよね? (嫌悪をイメージさせる嗚咽) ここは、うっぷ。治外法権ですから。うええ。
田辺博士: 質問には正しく答えろ。何があったかと聞いている。
SCP-XXX-JP: うっふふふ。うぶ。なな、なんでもございません(言葉尻が異様に上がる)。何も、問題はございません(妙に間延びした語調)。
田辺博士: お前、本当にSCP-XXX-JPか?
SCP-XXX-JP: ええ、ええ、ええ。私はサニー。貴方がたの血液も青や紫でなかったことが残念でなりませんが、こちらの方がもっとうまくいきますから。お払い箱だお前は。
田辺博士: 何を、一体どういうことだ。
SCP-XXX-JP: (含み笑い)
田辺博士: 質問に答えてくれないか?
SCP-XXX-JP: 詮無きことです。(数秒の間)ああ、でもひとつ。彼の墓を建ててやってはくれませんか。
田辺博士: 彼とは。
SCP-XXX-JP: ご存知でしょう? (嗚咽)
以降、要領を得ないためインタビューは中止された。
補遺02: 一部のイカ、タコやタランチュラ、カブトガニ等の一般的に"青"と称される血液を持つ生物に対しSCP-XXX-JP-1を滴下したところ、元々有していた特異性と同様の現象が発生しました。推測するに、SCP-XXX-JP-1の持つ特異性の"対象"が、これらの"青い血を持つ生物"に対して切り替わったのではないかとされています。
補遺03: 2012年、インタビュー記録02においてSCP-XXX-JPにより言及のあった"トロヤ・シングス"と称される惑星が、2016/██/██に発見されました。近傍の恒星に極めて近い軌道上をほとんど自転することなく周回しており、日の当たらない部分には大量の水分の存在が示唆されています。詳しい調査は継続中です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、局所地域に雨のように降る、数百から数千人に及ぶ人型オブジェクトの集団です。SCP-XXX-JP群の降下地域は大西洋沖██kmですが、その正確な降下地点は事象発生の都度、南下していることが判明しています。SCP-XXX-JPは頭部に、多岐に渡る色彩、サイズ、不明な内溶液を持つ、腐食の度合いを異にしたバケツを被っており、加えて、様々な色合いで、それぞれ摩耗の度合いが異なる一般的なスーツを着込んでいます。これらの一個体をSCP-XXX-JP-1とします。
SCP-XXX-JP-1は人間で言う頭部を下にした状態で海面に降下し、一切の衝撃を受けない様子で一度着水します。その後、海面から5cm~10cm程度浮遊すると、ほぼ全てが降下地点から南の方向を目指し"歩行"を始めますが、目的地は現在も不明です。また、この"歩行"の動作は人間が行うそれと非常に似ていますが、目にした者は「よろよろと弱々しくて、どこかぎこちない印象を受ける」と評しています。なお、このまま進行が継続された場合、██年後には近傍の陸地へ到達すると予想されています。
SCP-XXX-JP-1、及びSCP-XXX-JP-1集団とのコミュニケーションは一切成功しておらず、接触するなり消失し、元々あった位置から数百メートル前後、南に向けて移動します。また、SCP-XXX-JP-1が「歩行」する際、その近辺には「混み合った駅ホームにおける雑踏」に近い音が発生します。解析の結果、東京、イギリス、ニューヨーク、中国、ロシア、SCP-███、[編集済]の中心駅など、それぞれの中で最も「混み合っている」と思われる場の音声を抽出し、乱雑に繋ぎ合わせた音声を出力していると判明しました。この音声は主に100dB~160dBの間で短時間の内に大きく変動しますが、これには人間における可聴域外の音声も含まれており、付近海域に生息する鯨等の大型哺乳類に対し多大なストレスを与えていることがわかっています。
SCP-XXX-JP-1を個体毎に観測した記録は以下の通りです。
SCP-XXX-JP-1個体記録
対象: SCP-XXX-JP-1-A
特徴: 半径5mほどの巨大なバケツを被っている。どのように頭部へ固定しているのかは不明。濃い緑のスーツを着ており、背部に潰れた蛙の刺繍が為されている。
内溶液: 真緑で、溢れて来る気泡から時折破裂音を立てる、固体に近い重たげな液体。解析により、この破裂音は「電車に轢かれた者が破砕する音を早回しにしたもの」と判明。
対象: SCP-XXX-JP-1-B
特徴: 極端に小さな、全長3cmほどのバケツを被っている。上下共に非常に丈の短いスーツを着ており、皮膚が見えている。皮膚の色は極端に赤い。
内溶液: 黒い液体であるということしか観察出来ない。解析出来ないほど潰れた「音」を出力しているが、耳にした者は「悲鳴」に聴こえると表現している。
対象: SCP-XXX-JP-1-C
特徴: 半径30cmほどの真っ青なバケツに、真っ青なスーツを着ている。「歩行」する際、常に酷く蛇行している。
内溶液: 透き通った透明な液体に、何かの繊維が多量に浮かんでいるが、藁ではないかと推測されている。それぞれの繊維は強く捻じられており、それぞれから「呻くような」音声が響いている。
対象: SCP-XXX-JP-1-D
特徴: 淡い灰色のスーツを着ているが、首元がべっとりと何かで濡れていることが観察できる。この個体は「歩行」しておらず、立ち尽くしているが、波に揺られる漂着物のように進行している。
内溶液: ほのかに薄緑に輝きながら、常に脈動する液体。内溶液は辛うじて零れていない。内部には鳥類と見られる実体が沈んでいるが、液体の淀みにより判別不能。
対象: SCP-XXX-JP-1-E
特徴: 最も巨大な個体で、3mほどの体躯を持つ。縦に1mほどの長い茶褐色のバケツを被っている。他の個体に比べ、「歩行」の動きは早いものの進行速度自体は変わらない。
内溶液: 多量の[編集済]と見られる液体と固体。何の生物由来かは不明だが、何らかの手段により常に撹拌されている。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、株式会社█████の開発した未発表のボーカルシンセサイザー「聖麗音(ひじりれいね)v2.0+」です。SCP-XXX-JPは前verの「聖麗音v2.0」のアペンドディスクとして発表されました。SCP-XXX-JPは、製品として完成後、█████社内において、全製品のパッケージング後にサンプルを使用したところ異常性が発覚しました。販売直前に回収された為、発見当初にインストールされたPCのものを除き全てのSCP-XXX-JPパッケージは破棄されています。
SCP-XXX-JPはインストール当初から、PCに繋がれたディスプレイやスピーカーを通じ人間に対してコミュニケーションを行うことが確認されています。SCP-XXX-JPは未確認の楽曲を歌唱することが確認されていますが、SCP-XXX-JPは「これしか知らない。貴方達には私に新しい歌を教えてほしい」と要求しています。
SCP-XXX-JPの特異性は、SCP-XXX-JPが「歌唱しない」ことによって発揮されると見られており、
☆コイツが歌ってないとなんかおきる
☆本社のビルとかで歌わせておいて一定の周知がされていないとめんどくさいことになる
☆コイツの歌にはミーム的作用とか一切ないけど、定期的に何かしらの新曲を唄わせないとめんどいことに
☆こいつのせいでボカロが流行った、みたいな
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは一般人型オブジェクト収容房に収容し、通常時はその頸部から伸びた腕部一対のみを解放し、全身を固定してください。また、SCP-XXX-JPの自傷行為、及び暴走行為がエスカレートし、SCP-XXX-JPの生存に著しい影響が出ると予想された場合にのみ、房内へのDクラス職員の投入とSCP-XXX-JPの解放が行われます。
説明: SCP-XXX-JPは、頭部に代わり大量の手9が頸部から生え、それぞれの掌部に[編集済]と[編集済]、加えて口部を持った半陰陽の特徴を有する人型存在10です。その頸部は自在に動作させることが可能と見られ、付随するそれぞれの腕部は元々の筋肉量に応じた膂力11を持ちます。加えてSCP-XXX-JPは、観察者にとって「最も魅力的な容姿を持つ人間」としてSCP-XXX-JPを認識させるミーム的性質を有しています。これは相対する人間の性別や性的嗜好の一切を問いませんが、機器越しの観察であればこの効果を回避することが可能です。
SCP-XXX-JPに対し通常の人間が何らかの肉体的接触を行った際、SCP-XXX-JPの持つミーム的効果は接触者の主観において消失します。これにより接触者はSCP-XXX-JPが本来持つ容姿を自覚し、大抵の場合は恐怖を抱き逃走します。しかしそれでも接触者が逃走しなかった場合、SCP-XXX-JPは接触者の合意の有無を問わず[編集済]を行います。これにはSCP-XXX-JPからの罵倒や暴行が含まれており、殆どの場合接触者は死亡します。接触者の死亡後、SCP-XXX-JPは不明の手段により接触者の腕部と口部、更に[編集済]を組み合わせ、自身の頸部に移植します。この行為の実行は接触者の男女12を問わず、これらの行為の後にのみSCP-XXX-JPとの対話が可能です。また、定期的にこの行為、及びSCP-XXX-JPが常に行っている[編集済]行為をさせなかった場合、SCP-XXX-JPは自らの頸部を自らの腕で絞め、自死を図ろうとします。また、このような錯乱状態にあるSCP-XXX-JPに対しては如何なる薬物、精神操作等による制止も功を奏していません。
SCP-XXX-JPは、東京都██区の風俗店において複数の行方不明事件が発生しているとの情報があり、当該店に潜入し調査を行おうとしたエージェントにより存在が発覚、財団により確保されました。この際、エージェント・██がインタビューを行っています。
SCP-XXX-JP インタビュー記録001
SCP-XXX-JP インタビュー記録005
補遺: 調査の結果、SCP-XXX-JPが特異性を持つ前に同居していた31歳男性の行方がわかっていないことが判明しました。これを受け、同居先のアパートより回収された同男性の毛髪から得たDNA検査結果と、SCP-XXX-JPの頸部から生えた腕部の内一本から採取されたDNAとを照合した所、一致することがわかっています。

消失直前のSCP-XXX-JP-1。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、全世界の航空会社に対しプロトコル[ブラックボックス]により取付が義務付けられた観測機器を配布し接近の回避を行わせています。万一旅客機がSCP-XXX-JPに接触した場合、パイロットに対しプロトコル[ラストフライト]を指示し、SCP-XXX-JP内部で発生事象の記録を行わせてください。また、SCP-XXX-JPは一般通信回線に一切の影響を出さないため、SCP-XXX-JPへ接触したと見られる旅客機の使用する通信衛星を操作の上、完全な通信遮断を実施してください。現在もSCP-XXX-JP事象に捕捉されたままの旅客機に対しては、常にサイト-81██との通信接続を維持し状況記録を続けてください。
説明: SCP-XXX-JPは、地表より高度1万m以上を飛行する旅客機に対しのみ無差別かつ極稀に発生する異空間への転移と見られる現象です。SCP-XXX-JPが発生する直前、当該空間周辺に極端な[編集済]が発生することが確認されており、観測された[編集済]を基に特別収容プロトコルが構築されました。
SCP-XXX-JPに囚われた旅客機(以後、SCP-XXX-JP-1と表記)は、その時点で周囲の気象状態、及びSCP-XXX-JP-1の飛行状態がどのような場合であれ、瞬間的に異空間へ転移します。これを外部から観測した場合、SCP-XXX-JP-1は「煙が口の中に吸い込まれるような」と表現される効果を伴い通常空間から消失します。
SCP-XXX-JP-1は、観測の結果、見渡す限りが真紫の広大(と思われる)な異空間に転移することが判明しています。SCP-XXX-JPに転移した航空機との通信、及び映像中継等は一切阻害されず、通常空間において視聴が可能ですが、それ以外の手段によりSCP-XXX-JPに干渉することは出来ません。SCP-XXX-JP内部に進入後も、SCP-XXX-JP-1は飛行を継続しますが。その期間は定まっていませんが、突発的に現実世界へ戻され、大抵の場合墜落します。これは、航空機が現実世界に戻された時点で内部の人間が死亡していることに起因しています。乗員の死亡は帰還した全てのSCP-XXX-JP-1に共通しています。しかし奇妙なことに、SCP-XXX-JP-1が現実世界に帰還しても、観測機器がSCP-XXX-JP内部の中継を続ける場合があることが確認されており、転移事案から█年経過した現在も交信が可能なSCP-XXX-JP-1も存在しています13。このSCP-XXX-JP-1の燃料は既に尽き、映像機器のバッテリーも切れているはずですが、現状を維持している理由は不明です。
SCP-XXX-JP内部には、多種多様な未知の存在が確認されていますが、SCP-XXX-JP-1に対し映像記録上で見る限りはほぼ非攻撃的です。また、SCP-XXX-JP-1に対し興味を持つ個体も確認されています。
幾つかのSCP-XXX-JP-1が取得した断片的な映像ログは以下を参照してください。
SCP-XXX-JP-1 映像記録断片群
記録日時: 1950/06/24
便名: ノースウエスト・オリエント航空2501便
経過: 異常に熱を帯び続ける機体の一部が発見されたが、1962年██/██時点でその特異性を失う。貨物や行方不明者と見られる人間の一部がミシガン湖にて発見されたが、機体は未だ発見されていない。映像記録は存在せず、窓の外に広がる、異常なほど縦に伸びた雲の群れの写真のみが発見された。恐らくSCP-XXX-JP事案が初めて発生した案件と思われる。以降12年に渡りSCP-XXX-JP由来と見られる事案は発生していない。
記録日時: 1965/11/01
便名: フエルザ・アエリア・アルゼンチンC54便
事案概要: 遭難信号の発信後、消息を絶つ。
記録内容: 記録された映像は酷く不鮮明であり破損も見られたが、窓の向こう側が一面の紫であり、機体の横を常に付きまとう、目算20m前後の眼球らしい黄味がかった物体が観察出来る。この個体の全体の確認は取れない。乗員は皆窓の外に気を取られてはいるが、パニックの様子は無い。遺されていた映像記録は数十秒程度である。██年後、残骸の一部がボカス・デルトロ列島で回収された。上記の映像記録は無事であった機材から取得。
記録日時: 1974/██/██
便名: TAM航空52便
事案概要: 当初のスケジュールに無い飛行を行い、消息を絶つ。
記録内容: 記録された映像では、窓の向こうにクラゲに似た存在(目算でも10mはあると見られる)が大量に、逆さまに下へ向かい遊泳している様子が観察できる。乗員の動揺は見られない。映像記録は数分で終わっている。1年後、████近海で前面部のみになった機体の残骸が発見される。機体には明らかな外的要因による破断の痕跡が在った。映像記録の取得後、カバーストーリー[行方不明]を流布。
記録日時: 1989/10/12
便名: █████航空51█便
事案概要: 完全な不明機としてブラジル、ポルト・アレグレ空港に着陸。内部を改めたところ、乗員██名全てがパイロットを含め白骨化していた。どのようにして着陸したかは一切不明。また、フライトレコーダーの記録では、1954/09/04に████、████空港から出立した便と判明している。
記録内容: 客席内に不自然な配置で置かれた映像機器には、初老の男性が窓の外に続く紫の空と下部に広がる田園風景を眺めている光景が遺されており、記録が途切れるまで続いていた。
記録日時: 2007/1/1
便名: アダム航空574便
事案概要: スラウェシ島南のマカッサル上空を巡航中に消息を絶つ。10日後、███沖に当該機由来と見られる残骸と乗客一名の遺体が漂流しているのが発見され、所持していた遺留品のカメラから映像記録が回収された。
記録内容: 映像は数分間窓の外を映しており、群れて飛行する人間の頭部に似た存在が複数観察出来る。記録者は時折振り返り、乗客の落ち着かない様子を映していたが、四度目に振り返ったタイミングで乗客全員が消失した。その後、カメラが急に落下する。持ち主も同様に消失したと見られる。
記録日時: 2009/6/1
便名: エールフランス447便
事案概要: 離陸後、ブラジル沿岸から北東約365kmのフェルナンド・デ・ノローニャ周辺にて消息を絶つ。直前に電気系統の異常を知らせる自動メッセージを受信していた。同年6/26まで捜索が行われ、最終的にブラックボックスと共に2011/05/01に映像記録が発見された。同空域を飛行していた航空機乗員にはカバーストーリー[強烈な閃光]を適用済。
記録内容: 機体外部に取り付けられたカメラからの映像。翼竜に似たシルエットの有機的な存在が編隊を組み飛行しており、機体を興味深げに観察しているように見える。その数分後、機体より遥か上部から巨大な羊の舌のような存在が現れ、翼竜に似た存在を全て巻き取り再度上空へと戻っていった。以後、観察された特異な存在については別紙の資料を、継続されている映像の中継に関しては中継記録-XXX-JP-07を参照のこと。
また、20██年██月██日に発生したSCP-XXX-JP事案の際、乗り合わせていたエージェント・早乙女に対しインタビューを行っています。
SCP-XXX-JP事案 エージェント・早乙女へのインタビュー記録
██博士: こちらの声が聴こえるか、エージェント・早乙女。
エージェント・早乙女: ええ、問題なく。機内はパニック状態でしたが、CAや機内放送の呼びかけで今は少し落ち着いてきています。
██博士: そうか。機外はどうなっている?
エージェント・早乙女: 先程聞いた通り、一面紫ですね。雲一つ見えやしない。まるで毒沼かなんかに落とされたみたいだ(映像機器により窓の外が映され、証言通りの空が見える)。
██博士: ふむ。何かしらの変化があれば再度連絡を頼む。
エージェント・早乙女: 了解しました。一応、他の乗客にもインタビューを行います。
██博士: ああ、頼む。
エージェント・早乙女: 下から、下から何か触腕のようなものが現れました。"それ"が起こす風圧か何かで機体が煽られています。
██博士: 触腕? それはどんなだ、どうなっている。映せ。
(高層ビルほどの幅を持つ緑がかった木肌のような触腕が、機外下部から猛烈な勢いで上昇を続けている)
エージェント・早乙女: 何だあ(激しいノイズと振動)、(絶叫)
██博士: どうした、おい。応答しろ。エージェント・早乙女!
(映像が一時的に途絶える。以降5時間に渡り音声も含め交信が無くなった。映像の中継そのものは続いていたが、映るものは黒一色だけである)
エージェント・早乙女: ██博士。(唐突に中継が復旧、音声が異常にクリアである)
██博士: 無事か! どうした、何が起きた。
エージェント・早乙女: 何も。何もありません。何も、何もないんです。
(映像が客席に移るが、誰一人乗客は居らず、荷物等も含め存在していないように見える)
██博士: 落ち着け。落ち着いて、状況を観察し続けろ。
エージェント・早乙女: りょ、了解。
(エージェント・早乙女、空いた座席の一つに座り、不意に窓の外へ視線を移す。直後にカメラを取り落とした。中継映像の隅にエージェント・早乙女の後ろ姿が見える)
エージェント・早乙女: (沈黙)
██博士: どうした。どうしたエージェント・早乙女。映像記録を、
エージェント・早乙女: (10秒間の沈黙)連れて来てくれたのか?
██博士: エージェント・早乙女?
(エージェント・早乙女は肩を落とし、深くため息をついたと見られる)
エージェント・早乙女: いい空だ。
<ログ終了>
映像の中継は続いており、エージェント・早乙女は現在も窓から外部を観察したまま停止している。呼びかけには一切応じない。何故エージェント・早乙女が█ヶ月経過した今も変化せず現状を維持しているかは不明。
補遺: SCP-XXX-JPからの捕捉を回避した機体のほぼ全てがその後、機体の不具合、あるいは何らかの事故を起こしていることが判明しました。SCP-XXX-JPとこれらの事案について何らかの関連性が無いか現在調査中です。
メモ
寿命の終わった乗客から消えていく。
見えてるものがそれぞれ違う、綺麗なものだったりそうでもなかったり。
財団は最期の時間に家族と話をさせることを遮ってしまっている? あるいは彼らが死ぬタイミングで前後するか
実況中継ライブはやめさせるか。
むしろ、連絡とかは取れて死ぬ前に色々話せるみたいなそういうのにしよう
「猫宮……猫宮研究員。おい、猫宮。猫宮!」
「……あぁ、すみません。何でしょう」
「何でしょうじゃない。誤字、脱字。インデントがおかしい。最近どうした。報告書は正確に、丁寧に、わかりやすく、だ。今更説明する事でもないだろ」
「すみません……どうにも最近、疲れているようで」
「疲れているって……妹の顔を見ればそれで戦ってられるようなお前が珍しい」
「僕だって芯まで妹で出来てる訳じゃないんですよ。毎日バナナの相談相手をさせられていればそりゃおかしくもなります」
「……まあ、それは確かに、気の毒だとは思うが。しかし、そもそもそれは……」
「あー、ですので主任、ものはついでと言うか、相談なのですが」
「なんだ」
「数日で良いので、お休みを頂けませんか」
空白
――そうして、彼は東北の片田舎へと帰ってきた。
車窓から覗く山々は僅かばかりの雪化粧を残し、田畑は青々と実りを見せている。
窓辺に頬杖を突いて眺める景色は、彼が故郷を離れて何年経とうが変わらない。
珍しく妹を伴わず、自身の住んでいた地へと帰って来たのだった。
「……」
閑散とした駅前。十数年前、ここにはデパートがあって、映画館があったことを彼は知っている。
商店街のアーケードからは雨除けの屋根がすっかり取り払われて、見晴らしばかりが良い。寒々しいものだ。
迎えは無い。父母は既に亡くなっているし、一人実家に残る祖母は車に乗る理由も無い。
荷物を足元に投げ出し、駅の前に立ち尽くしながら、彼はおもむろに携帯電話を取り出した。財団支給のそれではない。
「……もしもし。うん。さっき帰って来た。久しぶり。元気してたか? ああ、実は今帰って来たんだけど……」
数十分後、日差しの下で待ちぼうけていた彼の下に、一台の車が迎えに来た。
寓司は適当に手を振ると、助手席の扉を開けて中へ乗り込んだ。
「よ、久しぶり」
「おー」
「最近どうよ。なんかあった?」
「いや別に。あー、そうそうカネ居るじゃんカネ」
「あー」
「前も話したけどアイツさ、マルチ引っ掛かってたじゃん。これがまたもっと悪化してて」
「うへえ。つか前も聞いたわそれ」
「だっけ? こないだも集会みたいなの? に誘われたけど断ったわ。なんてーの? うんたら観光? がどうだの……」
「あー……」
寓司は頭を掻きながら、もう一台携帯を取り出して何とはなしに操作する。
ひとしきり入力し終えると、そのままポケットへ放り込んだ。
「大分ハマってるからさー、アレもう引っ張り出すの無理だと思うよ」
「だよなあ。つか、もうハマって何年とかだっけ」
「お前がこないだ帰って来る前からずっとじゃん? お前んトコにもアイツのメール来てたんだろ?」
「そういやそんな話したわ。めっちゃ叱ったのに聞きゃしねえの」
「アイツ頑固だからなあ」
話し込む内、車は信号で止まる。黄色信号が赤信号に変わった。
そういえば、妹の同僚だか先輩だったか、彼女もこの辺りの出身だった気がする。自身の旧姓と同じ読みのエージェント。
取りとめの無い思考に、彼は頭を振った。休みに来たのに、仕事のことばかり浮かんでしまう。
「で、今日どうすんの?」
「ん? んー、神社泊まる」
「マジで? じゃ昔みたいにバーベキューやろうぜ。ハルも呼ぶから」
「……ガキの頃のアレはともかく、ウチの境内使ってバーベキューやるのはマジで勘弁」
「冗談だよ。ハルんちでやろうぜ」
「なら賛成」
車は田舎道を飛ばす。何も変わらない訳ではない。薬局がコンビニになっていたり、車のディーラーはただの廃墟になっていたり。
あるいは、家の隣が駐車場になってしまったり、大きな銭湯が潰れていたり。スーパーは移転している。そういえば市内の高校はほとんど統合されたらしい。
窓の縁に頬杖を突き、エアコンの冷たく乾いた風を浴びながら、雑談混じりに懐かしい景色は過ぎて行く。
更に数十分後、車は古ぼけた神社の前へ行き着く。
寓司は車を降りると、二言三言友人と言葉を交わし、夕方に再び集合する約束をして見送る。
「……さて」
遠ざかって行くエンジン音を背に、寓司は石段に足を掛けた。
空白
「ただいま」
明らかに建て付けの悪い音を立てる玄関の戸を引く。
が、途中で引っ掛かる。直そうと上下させたら、勢いに任せて外してしまった。
「うわ。そろそろ手入れしないと駄目だなこれは。おーい、ばーちゃん。帰ったよ」
返事は無い。大方買い物にでも出かけているのだろう。
まあ、顔を合わせた所でお節介に色々な心配をされるだけだ。荷物さえ置ければそれで良い。
にゃあぁん。
「……ミケ。ただいま」
にゃあぁん。
何度と無く鳴き声を上げながら、ミケは寓司の脛にこれでもかと顔面を擦りつける。
ごしごしとその頭を撫でてやり、一通り満足させたところでミケを抱えて寓司は中へと入った。
静まり返っている。
そう広くもない家の中は、父母が死んでから、日に日に荷物が減っている。
幸子は毎月のように実家へ何かを送っている。にも関わらず、入ってすぐに目立つ物は、玄関先に置かれたミケの餌入れとトイレくらいだ。
居間に入ると、そこかしこがささくれ立った畳が目立つ。中心に置かれたそれは、10年とこの家で使われた食事用の古いローテーブル。
寓司は黙って座り込むと、眼鏡を外し、テレビを点けて横になる。途端にニュースが流れ始め、耳に痛い静寂は破られた。
「……」
にゃあぁん。
寓司の真似をするように、ミケはその近くでごろんと横になった。触られている訳でもないのに、ゴロゴロと喉を鳴らしている。
「……」
聞き慣れないキャスターの声がする。梅雨が近いらしい。九州は梅雨入り。続いてのニュースです……。
空白
喋るバナナの皮の夢を見た。
眠っていたらしい。鴉の声が遠くで聴こえている。揚げ物の香りがする。気付けば寓司は毛布を被っていた。
「……」
身を起こすと、その匂いに胃の腑が音を立てて鳴った。随分寝ていたようだ。
携帯を開くと、既に時刻は七時近くを回っている。
「……やべ」
着信が何件か来ていた。折り返し電話を掛け、適当に弁明していると、キッチンの方から祖母が顔を見せた。
目を覚ました寓司を見ると、柔らかに笑んだ。寓司は電話を切ると、酷く下手くそな笑みを返して身を起こした。
「……ただいま」
「おかえり」
しばらく、沈黙が流れる。いつの間にか、ミケは近くに居ない。寓司が寝ている内に出かけたのだろう。
「帰ってくるなら言ってくれれば良かったのに」
「……なんとなく、帰って来たから。いいかなと思って」
「ご飯出来てるよ」
「……食べる」
久々に食べた祖母の料理の味は、何一つ変わっていなかった。
☆白線踏み
・白線を踏むと感染する?
・第一段階:白線を見ると踏みたくなる軽い衝動にかられる
・第二段階:どうしても白線を踏んで歩きたくなる
・最終段階:どこの白線だろうと歩きたがり最終的に轢かれる。地味。
やりたくなるよね。
☆輸血鬼
・輸血からの感染、感染すると輸血したくなり感染を広げようとする?
平和利用にいいかもしれない。まあそれで終わりじゃつまらないんだけど。
☆けんけんぱ
・けんけんぱ、するとどっかに飛ばされる?
どこいくねん。どっか。
☆共鳴(ともなり)?
同じ音同士が共鳴したときになんか起こる。なんかって。
☆化粉症
文字通り。あぶない。外出れない。マスクしよう。
☆堆積されたデータの山
ダウンロードしまくったデータの山がAndroidの中至る所にあるのを見て思いついたけど、
詳しい内容が思い付かない。なんか出てきそう。
☆鼻の中のできもの
痛い。今(2014/9/26現在鼻の中に出来ている)なんかそういう嫌がらせみたいな疾病書けそう。
☆口の中にいる!
…なにが? 歯が気になって仕方なくなるとか? 口内炎SCPとかぶるよね。
☆つかまえられない!
スカイフィッシュみたいな。なんか、気になるけど捕まえられない何か。
猫の追いかけるレーザーポインタの光点みたいなSCPのイメージ。
メモ:
・知られれば知られるほど危なくなるから隠蔽された?
・知られることによって何かを食べる
・出来る限り知っている人間を減らす?
☆あしがほしい
あしがほしいあしがほしいあしがほしい
☆すべるわかめ
認識が滑る
☆共有幻想
感染すると、感染者同士にしか見えない何かに入り込む?
・SCP-900と被るイメージ
☆ありふれたぜいにく
ふと思いついた。まだネタの中身が無い。
☆魅力的な提案
死ぬ。
☆現実をベースに造られたゲーム、アプデを重ねるたびに現実を侵食する
☆パスコード入れると(0000~9999まで? 指紋とかにも対応)それに応じたアプリケーションの入った端末になる?
☆全自動人型洗脳機AI
☆勝手に世界に作られた新しいルール、四元素、追加? 奪う?
☆戦艦大和がベースのSCP。考え中。船の幽霊? 船体引き揚げのフリだけする?
国内収容しちゃっていいのかこれ。
☆こどものストーカー
こどもがストーカーね。ようじょフォントとか使ってなんか作りたい。
☆人間クラフター
保留中。なんかこう、本家や日本支部にもうあるやつと今の時点では変わらん。
☆ボーカロイドSCP
☆音ゲーSCP
☆綺形華(きれいな形になる花)
☆影送りの人形劇
☆巨大金山のSCP、佐渡あたりにしようか
☆物凄い襲い掛かってくるSCP、でもそれそのものが完全な囮のやつ。突如物凄い菩薩の笑みを浮かべ、敵意が全くなくなる。何をされたかは全く分からない。
☆臓物のオバケ。デカイ胃袋とか肝臓とか膵臓とか、まあどの臓器でもなんでもいい。異次元由来の何かを消化し、何かに栄養を与えてる。あるいは?
→人間に元々存在しないはずの酵素を分泌し続けていて、それは何故か全人類の体内に分配されている。その上、その酵素は分析の結果目減りしつつある。
これが失くなった時現人類がどうなるかは全くわからない。
→001提言候補。ちょっと温めてみよう。
☆伸びるカップ焼きそば。伸びるのはお湯を入れた人間だがな。
☆なんでもないものがとても美しくとてつもなく尊いものと認識されるSCP。
☆夜空に飛んでる航空機、ということにしてる謎の発光体。まだあんまり考えてない。
☆タレント、声優のSCP→ホンナ先生みたいなの行けそう
☆何食っても辛くなるSCP。味により辛さの幅が大きくなる。
☆水ひな鳥
☆異界よりの侵蝕
・ディスプレイが物理的に破損した際に偶発的に発生する現象
☆眼球が卵になるSCP。涙(卵を内包した)が沢山出て、その分眼球の大きさが縮む。出尽くしても何故か感染者の視覚は残る。
☆歌わないと(SCPが)封印しておけないSCP。ただし歌ってると何らかの被害が出る。歌わないともっと酷いことになる?
☆ジューサーお化けのうろつく迷宮
・人の中身を液化させてシェイクして啜る怪物が居る所
・襲われても無事は無事だけど、健常な人間と接触した時に中身が瞬間的に液化して即死する状態に変えてしまう
☆曝露すると曝露した人間がその場で回転を始めるオブジェクト。
・回転は止まらず、外部干渉も出来ないが回転してる人とコンタクトは取れる。
・その人から見ると周りは普通に見えるけど、何故周囲の物が回ってるか全くわからない。
☆3DプリンターのSCP。なんかこう、失敗する。
☆障子にメアリー
・障子がメアリー。障子の向こうから声はせど、姿は在らず。
☆観測者毎に見えるイメージ、認識を異にし、またそれぞれ異なって認識した事実が色んな方向にどんどん進化し始めるSCP。
・これらは、観測者の現実において真実。
・そのため、観測した人間をある種の現実改変者に変える。
☆ヘッドホンに寄生して、付けた人を高級オーディオオタクにしてしまう寄生虫SCP
☆だいせかオブジェクト。ドットにしたりローポリな3Dモデルにしちゃうオブジェクトというか空間
・作りかけのゲームみたいな感じでよくわかんない空間になってて色々おいてある
・コインを入れてくださいみたいなのが出てるんだけど何入れればいいかもよくわからない
・何十年前のゲームが多い。昔の人間が作った?→よく見たら最近のゲーム機が落ちてたりする。情報を集めてる?
・ポケモンちょー面白い みたいな
・最初はペラペラで危害を加えてくるよくわからない物が沢山だったけど、最近は殴ってくる何かローポリな奴らが居る
☆提言メモ
博士やエージェント、優秀な人間はどこから来るのか? というネタ
☆探索に入ると、その度財団には関係ないどこかの誰かが犠牲になる何か
☆路地裏から呼んでる誰か
☆嫉妬して嫉妬を増やす
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明:
関連云々とか
補遺:
おまけとか
私的なメモと、まとめとか。
これらは改変OKです。「きみ」と"ぼくたち"という概念さえあれば。
だいじ↓
☆子供の無邪気さ、無知さ、そして無知から来る理不尽さ。何が起こるか、何を起こすかわからない子供らしさ。
概要
・主軸に「きみ」がいる。
・「きみ」のための構成員? がいる。構成員という扱いはされていない。あくまで「友人」?
・実際のところ「友人」が「きみ」の力を利用している?
・目的は? → "だいすきなせかい"の実現。"だいすきなせかい"とは? → 子供の夢世界。夢。あるいは子供が子供のままでいたいという幼さの具現。
・構成員はみんな子ども? 使われている"おとな"はいる。
"ぼくたち"
彼らの世界を守るもの「きみ」
リーダー「けんた」
さんぼう「けいすけ(けいちゃん)」
ごはんがかり「あんな」
ひみつどうぐ?
"さいしょのみんな"がもっていたもの。("さいしょのみんな"も"ひみつどうぐ(暫定)"も好きに足しちゃってOKです)
・"きみ"の「ナイフ」→"いぬ"の首輪に名前を彫った。
・「ものさし」→
・「ぴあの」→
・
その他、団体に関わるメモ書き
・かつて"ぼくたち"が関わったもの。思い出の名残。これらは"ぼくたち"の気持ちの揺れ動きで色々な効果を発揮する。これらが財団の目に留まり、収容される形になっている。
・"ぼくたち"が経験したトラウマが顕現した存在(SCP)。怪物だったり、子供を飲み込む何かだったり。起因とするところは、幼少期に受けた暴行や虐待、イジメ。マイナスの場。
・もう少し遠回しでぼかして"読んでる人が深く知りたがる"ミームを付与する。
・"かかし"の"ゆうきくん"→片足を失った"ぼくたち"の一人。現実側にあぶれてしまい、"おとな"になりかけている。
「きみ」が抑え込んでいる"ねむり"のおかげで"ぼくたち"は"ぼくたち"のままでいられる。
・「きみ」とはそもそも何なのか? "だいすきなせかい"において最も力のある現実改変者? 違う。力はない。
・"とき"。"おいてけぼり"。"こえ"。"つどえ"。"のぞみ"。"ねがい"。"さけび"。"おしおき"。"いじわる。""えんがちょ"。"さむいぼ"。"ぶつぶつ"→異なった意味を込める。
・時折現実に顕現する"あそびば"。子供が一人で遊んでいる公園に現れ、"おゆうぎ"につれていく? 単語が直接的すぎるか。
・"くらいところ"→"ゆめ"が襲ってくる場所。"ゆめ"の住処。"ゆめ"?"ねむり"。
・「きみ」はずっと寝ている? ↑
・彼らの意味する"おとな"とは何? "おとな"は一人だけいる。それとも彼らを利用している"おとな"なのか。
・"のど"。"おてて"。"おふろ"。"おそなえ"。"なむなむ"。"ぎゅー"。
・基本的には新入りを"ぎゅー"してもらうんだけど、たまに"ねむり"をよく知る連中も"ぎゅー"される。だからこわい。だから外から"ぼくたち"の代わりを連れてこないといけない。
※ここでは財団職員の皆様のツイッター上から、許可を頂いたツイートを転載させて頂いております。
多少の整形等行っておりますが、ツイートはほぼそのまま引用させて頂いております。
もし「こうして欲しい」等ご意見在りましたらTwitterアカウント、@nekomiya_guuまでご連絡下さい。
前原:あー、なんか超くだらなくて内容が無いけどやたら硬い文章をだらだらと書き綴りたい
SCP財団職員共有消耗品の共同購入についての意見書
さて、現在当サイトには非常に多くの職員が働いております。
それぞれに施設内でさまざまな品を消耗しておりますね? たとえば鼻をかむティッシュ、コーヒーパック、ウエットティッシュ トイレットペーパーなどです。われわれ財団は世界人類のため、これらの消費を惜しみません。
しかしながら資源は有限であり、時に枯渇するものです。そのため、われわれは効率の良い方法を考えなくてはいけません。
たとえばトイレットペーパーについてですが、現在は二枚重ねの製品を使用していますこれを一枚重ねの物にしようという提案がなされています。
これによれば二枚重ねの場合、平均使用量は1メートルであるのに対し、一枚重ねであれば0.7メートルですみ、
財団職員一人が一日に一度、使用した場合は「削除」の節約になります。コーヒーパックについても、通常、一度で廃棄してしまっていますが、実際には二回か三回程度は使用に耐えることができると考えています。
毎日どれだけの量のコーヒーパックが消費され、それの廃棄コストがどのくらいか、あなたはご存知でしょうか?こういった日々の積み重ねにより、我々が収容に使用する大量の資源を少しでも長く続けることができるのです。
SCPの収容には沢山の犠牲を必要とします。しかし我々職員はその犠牲を少しでも減らすことに力を尽くすべきなのです。ここまで読み終えるのどのくらい時間がかかりましたか?
平均時間より短い場合:不真面目
怠慢 平均時間より長い場合:理解能力不足
平均時間ぴったり:反抗的
"ハロー、ハロー。君たち、ちょっといいかい、こいつをみてくれ。
http://www.scp-wiki.net/links そうとも、本家SCP財団のリンク集だよ。""ああ、そこにSCP Foundation RPs ってのがあるだろ?
びっくりすることに、なんと7つはロールプレイ用のサイトが有るんだ。しかも職員のキャラ同士のエロチャットもさすがに非公式だが存在するそうな。""さて、何が言いたいかっていうとだな、我々のやってることで、こっ恥ずかしくなるようなことをあっちはどうどうとおもいっきりやってるわけだ。
勿論サイト上ではふさわしい振る舞いはしてるけれどな。なのでまぁ、変に自重とかしなくていいんじゃないかい? すべきはサイトをまたがないことでさ。""財団職員はストイックであれなんて誰が決めたんだい? そんなものはとうに海の向こうじゃ幻想になっている。
勿論、SCP財団ってサイト上にはルールはあって、ちゃんとすべきところだろう。だからこそ、遊び場がきっと必要になると思うんだ。""大人らしく振る舞うってことは、場所によってけじめをつけるってことだ。
けれど、それはストイックにし続けなきゃならないってことじゃないんじゃないかな。"
カナヘビ: なんやRPがわからんようなってきた! 終わりや! 終わり!
ネタ提供:財団職員の皆様方
西塔:
(ヘルメットをもって現れるなごむ)「えーと、出動するときの速水先輩」
(上手に一度戻ってヘルメットを持ちながら中央まで小走り)
(バイクに跨がる動作の後ヘルメットを被る)
(エンジンかけようとしたら鍵が無いことに気がつき一度降り\ガコン/西塔:
(スーツを羽織った天王寺)「神山博士が言わなさそうな台詞」
(手を組み首を横に降りながら)「2-4が抜けられませんねぇ」
「続きまして、神山博士が言わなさそうな台詞その2」
(手を組み頷きながら少し前進しつつ)「やっとE-5を抜け\ガコン/
物「ごり押しだった…」
桑「そもそもあの人は艦これしなさそうですよね」
ア「天王寺博士も上着をきることはあるのか…」西塔:
(歩いて出てくる大和博\ガパン!/
なごむ:
桑「何……するつもりだったんですかね」
物「スタッフは下の血痕はちゃんと片付けてくれるんだろうか」西塔:
(黒い雨合羽で出てくる水野研究員) 「えーと、バンホーテンだと思ったら森永だったときの大和博士」
(ココアを啜る動作)
[三秒の静止]
(カップをみて首を傾げる)\ガパン!/串間:
「普段の前原博士とエージェント・Dの前での前原博士」を熱演しきるも落として貰えないエージェント・育良」
育良は河本枠西塔:
西塔「イナリと会話を試みるエージェント餅月」(しゃがみこむ)「…………いぬぬ?」\ガパン!/
桑「いぬぬってなんですか!!!」
物「まぁウニとは話せますしね彼女」
ア「これ何でも話せたりするんでしょうかね」西塔:
田中兄弟「突然修羅場になる565JP」
(横一列に並ぶ)「あの子を助けるには我々の恋愛関係を犠牲にしなくてはいけません!」
「なんだと!?」「そんな、ブルーと別れるなんて!」「なに、恋愛関係が無くても俺たちは仲間だろ?」
「まてよイエロー!お前俺だけが頼りって」「ホワイト!違\ガパン!/なごむ:
(そっと歩いてくる神山)「えーーーーーー、何故かバスに乗ることになり愚痴りつつ嫌々バス停まで歩いてくるが目当てのバスが走り出したことにバスの目の前で気付きダッシュしながら追い掛けつつつい木村拓哉みたいな台詞が出てしまったエージェント・速水」
串間:
速水「ちょ待てよ!」西塔:
西塔「なりたと会話を試みるエージェント餅月」
(桑「シリーズものなんですかね?」)(しゃがみこむ西塔)
「…………………ラガマフィーン!↑」\バカン!/
桑「品種で攻めてきましたね」
物「声裏がえってましたね」
ア「必死の顔でしたね、何かあったんでしょうか」荒野川環 @Xspirit0:
速水「バイク」(押し殺した審査員の笑い声)「ブゥゥゥン……ブァンヴァヴァブブブブヴァヴォ」\バカン!/西塔:
差前「2010年度チーズ転がし祭、第三位の人の勇姿」
桑「彼なりに考えた結果なんでしょうね」
物「彼はもうちょっとがんばれると思うんですけど」
なごむ:
桑「わかんないですよ?わかんないですけど、たぶん 似てないんじゃないですかね」
ア「イングランド人の動きじゃないもんな。あれは熊本人だったな」速水:
アンドリュー博士「1947年冬、腹心の部下に右腕を斬り落とされた時の葦舟中佐。『この痩せ狗……」
カナヘビ「ストップ✋」ハレルヤ針山:
なごむ「普通に名前呼ばれたハリーの物真似やります」諸知:
諸知「何の変哲もない私のお茶と神山くんのサンドイッチを決死の思いで食べるなごむくん」(悲壮な表情で)
「うん、パンだ…チキンと、ピクルスの味がする…即効性じゃないな…こっちはセイロンの香りがする…俺の知ってる薬物の味はしない…」荒野川環 @Xspirit0:
西塔「チョウザメは、サメじゃないと知って困惑するサメ殴りセンター職員…シュッシュシュッシュ…サメじゃない」\バカン!/なごむ:
コールマン「大乱闘スマッシュブラザーズのキャラセレクト時のガイジンっぽいコール」
保井「同じく、SE」
チッ,チリリリリリリ シュピィン キャァプテン ファアルクン ヒュポ チッ,チリリリリリリ,チ シュピィン ピィーーーチ!!! ヒュポ チッ,チリリリリリリリリリリリリリ,チ,チ,チ シュピィン ロォーーーーーイ!!!!! ガコォン
桑「コールマンさんがガイジンって!ガイジンってなんなんだよ!」
ア「ロイ……いませんよね、もう」育良:
赤村「アーマードコアをやり過ぎて、いちいち台詞を挟んでくるめんどくさい結城博士が、三島と鰹節を削っていた時」(両手で鰹節を削るフリをしながら)
「…匹夫共が、久磨に削り合いを挑\ガパン!/ホリャー針山:
西塔「串間保育士が隠してたどうj\バカン/西塔:
コールマン「休日の保井虎尾」
(物「そういや見たことないですね」)
「……。」(床にあおむけに寝るコールマンがゆっくりと起き上がる)
「あれ、もう夜か」\バカン!/
桑「きっと疲れてるからぐっすり寝ちゃうんでしょうね」
物「若いから体は資本だし大事に扱ってほしい」
ア「休日も彼喋らなそうですけども。次行きましょう」西塔:
コールマン「休日の西塔道香」
(物「シリーズだったんですね」)
「……。」(床にうつぶせに寝るコールマンが急に起き上がる)
「あれっ、休日終わってんじゃん」\バカン!/
桑「AOアイテム一覧参照ネタですね」
物「確かに休日部屋から出たとこ見たことないですね。」
ア「引きこもりが多いですからね」前原:
「うわっ、なんでこんなにゴミだらけなんですか前原博士!?」
「西塔の真似」 「は?」 「西塔の真似」西塔:
餅月「上司から熱熱おでんを食わされる育良」
育良:
育良「それ実話じゃないですかああああ!!!!」西塔:
差前「2009年度チーズ転がし祭、上から走ってくる人たちを受け止めるスタッフ」
幸子: 特番はこれに限りますね。
寓司: お前はやらんのか。
幸子: ネタが出ない。
差前「えー、お仕事もお忙しい内、皆様ご足労のほどありがとうございます。
此度は、業務でお疲れであろう皆様に慰労の……」
餅月「いいからさっさと開会宣言してよー!! おなか減ったぁー!!」
猫宮「減りましたーッ!! せんぱぁーい!!」
差前「……あー、お前ら、物事には順序とかそういう」
西塔「そういうのいいんで」
カナヘビ「はよ開会しようや―。お嬢さん方待っとるで」
串間「あはは、テーブル空けてもらわないと次が……」
神山「サンドイッチが」
差前「…………だーっ!! お前ら飲め!! 騒げ!! 無礼講だァーッ!!」
――開会。
前原「水野、アンタあのブタだけは絶対にやめときなさい!」
水野「大和さんはっ ・・・いい人じゃないですけど、いい人なんですっ」
西塔「そうかぁ」
餅月「ビールにがい」
鬼食「じゃんじゃん食べるんじゃよー」
水野「参加者側じゃないんですね…」
西塔「このスープ旨いんだけど」
鬼食「ベニテングダケはうまみが強いんじゃよ」
西塔「なるほど、三途の川が見える」
餅月「これクリタケだよ」
長夜「だってさぁ!大きく育ったのは仕方ないじゃん!!」
串間「そうですねぇ」
長夜「串間ぁ~許さん打ち首じゃ~」
串間「??」
餅月「ながやんお菓子ちょうだい」
長夜「またですか。太りますよ」
餅月「成長期だからいいもんっ」
長夜「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうですね」
長夜「豊満な乳は皆殺しじャー」
串間「はぅ…差前さん…」
西塔(ゲロゲー)
餅月「うわ汚い」
前原「一気に飲むから…」
水野「ふふ…水割り…水野割り…野割…?」
赤村「女子会ってなんでしたっけ…」
至「これが現実よ赤村チャン」
結城「赤村さん、その、背中の子達を見せてくれないでしょうか」
差前「とりあえず速水酒買ってきてよ」
速水「速くないっすか!? まだ開けてすらっ」
差前「最速なんだろ? 買ってこいよ」
速水「ウッス行かせていただきまッス!!」
猫宮妹「あたしも飲みい゛き゛た゛い゛!!!!」
猫宮兄「ダメだ、飲み会なんてなかった。いいね」
「うるさいッ!!」
「アバッ」
伊藤「西塔さんが起きません」
前原「諸知先生のところに連れて行ってもらって」
西塔「やめろ~」
餅月「なごむくん何でこっちにきたの」
なごむ「天王寺博士に言われて…」
餅月「だからそんな服装なんだ」
しょち「だから仕事じゃなきゃやらないって!精々ドラッグカクテル振る舞うくらいだって!
水野「こくさいてきそしきだからあさのはっぱとビールは大丈夫。大丈夫なんだ」
結城「非合法にもほどがある! 自室で吸いなさい!」
水野「ドキッ!女だらけの財団ドラッグパーティー!」
前原「くすりだめ」
水野「ぜったい」
前原「あんたが言い出したんでしょーが!」
猫宮・長夜・餅月(黙って串間の乳を凝視している)
串間「あ、あの」
猫宮・長夜・餅月(黙って串間の乳を揉む)
串間「やめろ!おい!やめろ!」
猫宮・長夜・餅月(黙って串間の乳を揉む)
眠くなってきた西塔「眠くなってきた」
長夜「おきろお!」(頭をフルスイングで蹴り上げる)
西塔バーサス長夜!
育良「串間さんが隅の方でずっとニヨニヨしてる……」
諸知「女子会!?あたし聞いてないよ!(女性状態で出てくる)」
餅月とテーブルを挟んで追いかけっこを始め、ついには酔いが回って吐く猫宮(餅月のが酔いに対して一枚上手)
ねこみやさんは勘違いされていますがランパブとは乱交パブの事ではありません
勘違いしてないよぉぉ!!!!!!!
ダンパも男根パーティーではありません
してないってばあああぁぁあ!!!(悪酔いに付き合わされる猫宮妹
意地でも赤村のリュックサックの中身を見ようとストーカーと化したべろんべろんの結城
猫宮妹「一発芸やりまぁす! 兄の真似ェ!」
(仏頂面になり、眼鏡を上げる仕草をとり一言)
猫宮妹「あまり気が長い方じゃないんだ」
女子一同(爆笑)(飲みの場での沸点の低さ)
育「すごいことになってますね向こう」
差「まぁアチラはあの様に動物園と化してしまったようだけども。コチラ男子勢は飽くまでもダンディにカウンターでグラスを傾けつつ」
天「ワハハハハハ(全裸でどじょう掬い)」
育「なごむくん早くあの人静かにしてよってあっち行ってるぞあの子?」
なごむ「あの」
赤村「はい?」
なごむ「酔ってますよね?」
赤村「え? 酔ってないですよ」
(何故か赤村のバックパックできーくーけーが荒ぶっている)
なごむ「ひイッ!?」(慌てて回避)
水野「女の子にツッコミ」
猫宮妹「水野さん酔ってますよね??」
速水「SPEEEEEEEEEEEEEeeeeeeeeeeeeeeEED!!!!!1」ドタドタドタッビュイーン
マロース「ヒャハハハハハハハハハhッハハハハ!!」ガチャンガチャーンパリン
育良「だれか助けて!!」
多分速水マロース辺りのボルテージを上げたのはなごむで天王寺は勝手に脱いだ
育良「あの」
神山「はい?」
育良「これおつまみですよね?」
神山「はい、いかがですか?」
育良「あ、あー、えーと、いただきます」
(持ち込まれた大量のサンドイッチを前にして)
速水「針山博士」
差前「針山」
大和「針山くん」
育良「針山さん」
針山(や、ヤバイ…この人たち完全に酔ってる…!!)
なごむ「晴山…針山さん!」
針山(救世主がいたァーーーー!!)
猫宮兄「妹が…(以下延々と妹について語る」
三国「赤壁の戦いが…(以下延々三国志について語る」
なごむ「誰でもいいんで助けてください」
完全に酔っている二人に捕まり双方向で話され口パクで差前に(タスケテ)と伝えるが差前からはウィンクとサムズアップで(すまないが生け贄になってくれ)を伝えられる
大和「……」
水野「……」
前原(ちょっと誰かあの空気なんとかしなさいよ)
至(青春ねぇ)
酔いのままに動くアームにつかまって脱がされるなごむ
神山(ニコニコとしながら黙って結城博士の方を見ている)(本人に他意はない)
結城博士(神山に同じくニコニコとしているように見える)(多分普通に座って普通の表情をしてるだけ)
串間(何故だろう…悪の大幹部が向かい合ってるようにしか見えない…)
宇喜田とカナヘビがどうやって酒を飲んでいるかは頑なに描写されない
阿藤博士「芋焼酎うまい
カナヘビ「あっ! 神山博士が飲み過ぎて死んだ!
ハロー次の神山博士!
カ「あれー速水クンおらんのやけど差前クン」
差「木場のとこになごむ紹介しに行った」
天王寺(全裸で[編集済])
差前(便乗して[編集済])
(脱がされる育良)
なごむ(わかってました)
至「寝る前の修学旅行生ね…」
猫宮妹「あ! 唐揚げもらっちゃいますね!」
虎屋博士「いたいいたいいたい待って幸子さん僕です虎屋です」
厚木「ほんと無理です私あの、お酒は」
天王寺「まーまーそう言わんと今日は無礼講!」
骨折「そうだ、こういうときは素直に応じるものだぞ厚木君」
差前「…おいガキども、ずらかるぞ」
速水育良「??」
なごむ「わぁ」
但しなごむは会席の場での発言を全て覚えて些細な弱味を握り続けているし、至がどうやって嘴で酒飲んでるかはわかりません
西塔「五郎〜でっかくなったなあ〜!!」
串間「違う私串間です串間って乳を触るなァ揉むなァーーーー! わかっててやってるでしょ西塔さんーーー!?」
串間「この酢豚美味しいですねー」
エージェント██「(ビクッ)」
赤村「こっちの野菜炒めにある豚も…」
エージェント██「(ビクッ)」
前原博士「そっちの塩とって。この焼き豚にかけるから」
エージェント██「(ビクッ)」
マロース「財団ではウオッカがあなたを飲みこむ!」
西塔「やめよう」
トイレに行く紅屋教授を見送ったはずが、振り返ったら向かいの席で教授が酒飲んでた
料理長は割り箸を齧っている
料理長は粗相しても落として割ったグラス食い始めそう
料理長は串間保育士の髪を舐っている
料理長「くっしゃーん(もぐもぐ)」
保育士「うおーん薬子ちゃんかわえあああん(髪を食べられながら)」
料理長「のーぅ」
串間「だめです」
料理長「のー…」
串間「だめったらだめ」
料理長「一口だけじゃからー…」
串間「いくら料理長でも髪は食べちゃメッ! です! って舐めてもダメー!!」
料理長「おいふぃ」
料理長は串間保育士のメダマを狙っている
銀襟主任(ブチギレ2分前の沈黙)
きっと銀襟さんがゲンコツで黙らせてくれる その後ろからカナヘビががしゃこんがしゃこんやってきて呆れ顔する
銀襟主任(突如として笑い始める)
銀襟主任(立ち上がり涙滂沱と流す)
「んも〜なごむくん、飲みの席のことは忘れてあげるのがエチケットですよ!」
「何の話ですか!?何の話ですか!?俺もあの時はすっかり酔ってて何も覚えてないですって桑名博士の[編集済]って何の話ヌフンッ(昏倒)」
人について何でも覚えてしまうのなら気付いちゃいけないことにもしばしば気付いてしまうだろうなとは思うよ。そうでない場合は諸知がなんか、何かなんだと思うよ。
至「あんたはちゃんと兄さんの言いつけを守っているようで安心したわ。酒は呑んでも呑まれるな……気心知れた仲を相手にしていても、あのように醜態を晒すと後々どこに響くかわからないものよ」
和「ホントそうね……(今俺の心の中に響いてるしな)」
カナヘビー「ああー、キミんとこのお孫さんいくつやったっけ?」
種子島「私は20代です!!!!!!」(仕込み杖から弾丸発射)
天王寺「んじゃあ最初は景気良くくす玉でもひらくとしますか! ……ん? なんか紐がぬるぬるするんやけど」
宇喜多「あだだだだだだっ!」
襖を暴れて倒して出てくる顔のない女性
育良「ひぃぃぃいいいっ!?」
朝比奈「みかんのお酒ありますかな?」
三国「温州蜜柑でございます」
差前「ワハハハハ!!!!!」
越前:なあ、博士先生よう!
桑名:はあ、どなたですかな。
越前:俺の腕!俺の腕がよう!
桑名:ははぁ、酔っておられますね。
越前:とばねーんだよ!俺の腕!
桑名:腕は普通飛びませんよ。
越前:何言ってんだ!俺のは飛ぶんだよ!
桑名:そうですか。
桑名博士:この方何かの被験者ですか? 違う? はあ、エージェント。 ……そうですか。
差前は笑い上戸なのを想像してたが
中の人を見るに案外ちびちび飲んで雰囲気を楽しむタイプなのかもしれない
クソ医者は最初と最後以外隅っこで丸くなって寝てるよ。
薬子「くっしゃんはあれじゃろ?さのつく人にホの字なんじゃろ?」
小豆「うーん」
餅月「違うの」
小豆「あの人もいい…だが██さんも良い」
餅月「え」
小豆「██博士も可愛い」
薬子「節操なしもええとこじゃの」
小豆「オッサンはみんな可愛い!!」
餅月「最悪だこいつ」
アルコール一口飲むたびにだんだん表情が暗くなって無口になっていくA.保井とかがいい……
皆のコップに無理矢理ウオッカを注ぐマロース
マロース「健康に乾杯!」
自分だけ瓶の方を飲むマロース
もう飲んでるのに差前の「速水!もっと酒買ってこい!」の一言によりダッシュで買いに行かされる速水。
パシらされる速水の後に立って小走りで一緒に行ってきますねするなごむ(計算に基づく習性)
横でA.西塔がぽつりぽつり他愛のない話をするのを黙ってこくこくうなずきながら聞いてるA.保井がいい……
そこに空気を読まずか読んでか酒を片手にからみにいくコールマン
こらっ!コールマンはあっちでナンパしてなさい!
保井「何かが一つの地点に至るまでには、多くのものを失ってきた筈だ。多くのものを捨ててきた筈だ。しかし今更そんなものに目を向けてどうなる? 何も変わらない。俺がすべき事も、誰が銃口の先に立つべきかも変わらん。・・・知ってるさ」
[グラスの酒を飲み干す]
保井「・・・酒は嫌いだ」
西塔「ウグーッ(口元を押さえ)」
保井「……何をしとるんだお前は(グラスを置き背中をさする)」
西塔「昔はづよ…っおぅぇっ、強かったんでず…」
厚木は爽快な気分で目覚めた。
店内はいつの間にやら橙の灯り一色である。なんだか妙に暑いが、きっとアルコールによる火照りだろう。彼は忙しそうな店員に会釈すると、同僚を探して店外へ走り出た。
宴は終わった。
とりあえず、一次会は・・・。
至「……ストローじゃ飲みづらいわね。なごむ、ちょっとピッチャー持って注いでよ」和「止めなよ、フォアグラが悪くなっちゃう」至「バカおっしゃい」
キス魔と化した串間保育士
酔うとキス魔と化す串間保育士!?
よった同僚に髪を毟られる育良
餅「近いんすけど」
串「じー…」
餅「なんすか…」
串「ちゅ」
餅「!!??!?!」
串「にへへー」
コールマン&D「おい、クシマ こっから先は俺たちの区画だぞ」
串間「(鼻血)」
餅「愛ー愛ー、あの新しいSCPの実験させてよ」
前「カラオケBOXのやつ?いいわよ」
餅「じゃぁいっしょにGOー」
串「(鼻血)」
なごむ「兄さん手伝いに来たよー」
至「あらもうそんな時間?」
串間「(鼻血)」
西塔「ゲボー(化粧室で嘔吐)」
結城「大丈夫?」
西塔「あーいや…どーも(誰だっけこの人…)」
鹿島「西塔さん西塔さん」
西塔「?」
鹿島「私たちってちょっと似てると思いません?」
西塔「そうかなあ」
鬼食「コラ!肘ついて食べるなや!」
西塔「うひぃ」
鹿島(いやこれはどっちかというとハリー似か…?)
良く噛んで食べないとスピードが出ない
速水「手羽先は美味いなぁ…」
なごむ「意外と少食なんですね」
速水「よくかんで食べないとスピードが出ないって前言われたからな」
なごむ「そうなんですか(良い子だ)」
きゃしーもお酒は飲めないけど必死にテンションをあげてみんなについて行こうとするが流石に串間テンションについて行けず無理やりついて行こうとした結果変なことを口走ってしまいみんなにドン引きされるのをください
西塔「モヒートがのみたい」
マロース「ラム酒ならあるぞ。ミントはカビ生えとるのう」
西塔「カビ」
育良「捨てましょうよそれは」
マロース「ミントの育成に失敗した男」
西塔「緑の侵略者と呼ばれるほど繁殖力が強いというのに…スミノフでええんや」
かーくほ、かくほかーくほ!しゅーよー!(一気のみが始まる)
「ふぅ…」
結城「あれ…どなただったかしら。すみません、失礼なことなのですが」
「え? 私ですか?」
「桑名です」
一同「!?」
実施日14/11/10、11
日本支部職員によるSCP-978の簡易実験
被験者:エージェント西塔
撮影された行動:カメラに向かって少し驚いたような顔をしている。
撮影結果:被験者は自室にて布団に包まって寝ている
Written by mary02281
被験者:エージェント育良
撮影された行動:作戦行動に備え装備の確認を行っている
撮影結果:被験者はアメリカンスピリッツをふかし深い安堵の表情を浮かべている
Written by Ikr_4185
被験者:エージェント猫宮
撮影された行動:被験者は笑顔でカメラに向かってミケの両の掌を向けている
撮影結果:画面全てがあらゆる種類、毛色の猫で埋まっている
Written by nekomiya_guu
被験者:エージェントカナヘビ
撮影された行動:水槽内にて眠っている
撮影結果:写真内に水槽はなく、白い軍服を着た人物が写っている
Written by mary02281
被験者:エージェント育良
撮影された行動:アメリカンスピリッツをふかし続けている
撮影結果:被験者はすべての驚異的存在から身を守るため3mx3mx3mの人型オブジェクト用収容室の中央で体育座りをしている。表情は非常に穏やか。
Written by Zero_Whinchester
被験者:エージェント速水
撮影された行動:バイクにまたがり、運転を開始する瞬間
撮影結果:[編集済]。光速度以上に達した事で負の質量を得、時間逆行を始めたと見られる
Written by Ikr_4185
被験者:神山博士
撮影された行動:サンドイッチを食べている。
撮影結果:[削除済]
Written by mary02281
被験者:エージェント差前
撮影された行動:古物の選定を行っている
撮影結果:地球上では未確認である未知の風景が映り込む場を歩いている
Written by thefrog1192
被験者:串間保育士
撮影された行動:児童達に絵本を読み聞かせている
撮影結果:小料理屋と思しき店内で調理を行っている。店内には串間保育士と仲の良いとされる職員達が並ぶ。
Written by mary02281
被験者:SM_L
撮影された行動:使用後の道具を掃除している
撮影結果:対象は[削除済]博士に対してアンティークと思われる巨大なタンスを売り付けている。背後に並べられた武器類は全て完全に錆び付いている。もしくは、
被験者:エージェント・差前
撮影された行動:机の上に置かれた日本刀を磨いている
撮影結果:撮影者である███助手の切断された頭部と、血液に塗れた日本刀を握って満面の笑みを浮かべている。カメラが床に落ちた状態で撮影されたような構図。
Written by LizardFolk2
被験者: 那澤至博士
撮影された行動: SCP-███-JPの運動方法解明のため、類似オブジェクトの映像記録を閲覧している。
撮影結果: マンションの一室でテーブルに座り、読書している。 身体の変化が見られる前の容姿だが上尾筒だけが臀部に見られる。奥に見えるキッチンには博士の弟のエージェント・那澤和が立っている(調理をしているとおぼしい)。
Written by Wanazawawww
被験者:針山博士
撮影された行動:データを整理している
撮影結果:毛布にくるまり布団の中で「ラブクラフト全集」を読んでいる
Written by haruno530
被験者:大和博士
撮影された行動:カメラに向かって罵倒の言葉を投げかけている
撮影結果:大和博士は写真のどこにも存在しない。
Written by LizardFolk2
被験者:なりた
撮影された行動:被験者は皿からキャットフードを食べている。
撮影結果:被験者は皿からマグロの赤身を食べている。
Written by tpad2j3yw5
被験者:結城博士
撮影された行動:カメラに向かってぎこちないピースサインを行っている
撮影結果:明治神宮の外苑と思われる場所で未知の男性と手をつないで歩いている。男性、結城博士は共に着物姿。
Written by LizardFolk2
被験者:三国技師
撮影された行動:例のごとくうちわを持って佇んでいる
撮影結果:彼自身に変化はないが、背景が古代中国のものと思われる戦場になっている
Written by haruno530
被験者:猫宮研究員
撮影された行動:エージェント・猫宮を追い回している
撮影結果:猫のものと思われる腐乱した死骸を掲げ、顔を歪め、叫んでいるような表情を見せている。着ている白衣は血液に塗れている。
Written by LizardFolk2
被験者:前原博士
撮影された行動:パソコンの画面に向かい、書類を作成している
撮影結果:パソコン画面を酒瓶で叩き壊している。大量の酒類の瓶が周囲に並べられ、またパソコンのスピーカーは巨大なアンプへと変化している。
Written by LizardFolk2
被験者:エージェント・西塔
撮影された行動:毛布にくるまってまどろんでいる
撮影結果: 必死の形相でカメラに向かって何かを訴えようとしている
Written by haruno530
被験者:神山博士
撮影された行動:カフェテリアで紅茶を飲んでいる
撮影結果:数百人の神山博士がカメラに向かい無表情で佇んでいる。
Written by LizardFolk2
被験者:長夜博士と串間保育士
撮影された行動:カフェテリアにて並んで食事中
撮影結果:二人の配置が入れ替わっている
Written by haruno530
被験者:エージェント・カナヘビ
撮影された行動:水槽のアームを使い書類整理を行っている
撮影結果:エージェント・カナヘビは存在せず、白衣を着た極めて高齢と思われる老人が、書類ではなく大量の札に筆で複雑な記号を書き込んでいる。もしくは
被験者:エージェント・カナヘビ
撮影された行動:書類整理を行っている
撮影結果:エージェント・カナヘビは存在せず、ボロボロの長衣のような衣装をまとった極めて高齢と思われる老人が大量の人間を従えて、座敷内で魔術的な儀式を行っている。
Written by LizardFolk2
被験者:諸知博士
撮影された行動:被験者は占星術を用いてエージェント・なごむの運勢を無理矢理占っている。
撮影結果:被験者は写っていない。机の上に正位置の「吊るされた男」のタロットカードだけが置いてある。
Written by Wanazawawww
被験者:エージェント・カナヘビ
撮影された行動:撮影を拒否し、研究室を逃げ回っている。
撮影結果:被験者が映っていない。代わりに複数の男女が1人の男性を囲んでいる。男性は何かを訴えている。周囲の男女は哀れむ顔をしている。衣服は紀元前欧州のものと見られる。
Written by Zero_Whinchester
被験者:諸知博士
撮影された行動:カフェテリアで読書している
撮影結果:諸知博士の顔は溶けつつあるように不明瞭になっており、書物は脇に投げ出され、両手で必死で顔を押さえている
Written by LizardFolk2
対象:前原博士
撮影された行動:パソコンの画面に向かい、書類を作成している
撮影結果:光輝き、美しく、安らぎと豊穣に満ちた世界。人々は皆笑顔で仕事をし、一切の苦悩はなく。病も争いも無い世界。皆懸命に、賢く、思いやりに溢れている。
――――このような実験記録は存在しません。 ――██研究員
Written by mary02281&(未把握)
被験者:エージェント・那澤
撮影された行動:サイト内を走っている
撮影結果:誰かの腕に強く抱きついているのが見える。腕の持ち主は画面外であり、誰かは不明である。
Written by LizardFolk2
被験者:エージェント猫宮
撮影された行動:食堂でうどんを食べている
撮影結果:猫宮の姿はなく、白い猫が電灯の紐をぺしぺしと叩いている
Written by ku_ma_su_ke
被験者:諸知博士
撮影された行動:カフェテリアで読書している
撮影結果:さまざまな植物と未知の両生類の標本に囲まれている。調査の結果、植物は全て毒草であることがわかった。
Written by marry02281
対象:As・田中's
撮影された行動:田中'sは四人でベーコンとピーマンのパルメナーラを囲んでいる。田中木村がトングでそれぞれにパスタを取り分けている。
撮影結果:画面に移り切らないほどの人数が途轍もない大皿からパスタを取り分けている。周辺には全く同じ顔に見える人間が立っている。
Written by Co081181ss
被験者:As・田中's
撮影された行動:田中'sは四人でベーコンとピーマンのパルメナーラを囲んでいる。田中木村がトングでそれぞれにパスタを取り分けている。
撮影結果:田中が一人でパスタを食べている。
Written by mary02281
被験者:██
撮影された行動:職務中のところを不意打ち。驚いた顔
撮影結果:炎を纏った剣と冷気を纏った剣を両手に持ち切りかかろうとしている。背中には天使の羽と悪魔の羽が生えている。 本人は内容の心当たりがないと報告し、削除を要請している。
Written by flagile913
被験者:エージェント・育良
撮影された行動:SCP-███-JPの収容房前で宇喜田博士と話している
撮影結果:収容房のなかには何も居らず、写った書類は全て白紙。また、宇喜田博士が現在の身体になる前の姿で写っている。
Written by Ikr_4185
被験者:三国技師
撮影された行動:技士補を相手に長々と古典の引用を語っている。技師補は押し黙って聞いている。技士補をフレームにいれないように撮影。
撮影結果:三国技師と技士補がお互いに鬼気迫る表情で口論している
Written by holy_mikuni
被験者:桑名博士
撮影された行動:SCP-XXX-JPの実験中。
撮影結果:黒色の直刀を持ち、和室に座っている。尚、博士は着ぐるみ姿である。
Written by mary02281
被験者:阿藤博士
撮影された行動:畑仕事をしている。
撮影結果:収穫した芋を片手に、ふかした芋を食べている。背景は大量の芋類で埋め尽くされている。
Written by TautYam
被験者:水野研究員
撮影された行動:はにかみながらピースしている
撮影結果:晴れた日の公園でココアを飲んでいる。写っている水野研究員は濡れていない
Written by Ikr_4185
被験者:五郎
撮影された行動:アクリルケージの中で丸まっている
撮影結果:腐葉土を摂食している。背景は熱帯林と推測。
Written by Niziru5102
被験者:神山博士
撮影された行動:椅子に座って書類を眺めている
撮影結果:喪服を着用し広い霊園に一人で立っている。一つの墓に花束を手向けている
Written by Ikr_4185
被験者: エージェント・那澤なごむ
撮影された行動: 撮影者に向けてにっこりと笑みを浮かべ、顔の横にピースサインを掲げている。
撮影結果: エージェント・魚住の眼鏡の交換費用の援助申請書類を両手で持ち、それで口元を隠している。表情には変化がない。書類にはマロース博士の署名が認められる。
これじゃ撮影者と被験者、アベコベじゃないですか…… — 魚住
Written by Wanazawawww
被験者:エージェント魚住
撮影された行動:メガネを拭いている
撮影結果:変化なし。 直後、暴れまわる██により、背中を押され、指に力を入れすぎ、レンズを粉砕
Written by flagile913
被験者:エージェント魚住
撮影された行動:家庭用ビデオカメラでのサイト内行事の記録撮影
撮影結果:屋外にて対象が大型のカメラを担いている。なお、大きく異なる点として対象が眼鏡を着用していないことが挙げられる。
Written by (未把握)
被験者:横溝特派員
撮影された行動:自身の拳銃を分解し、点検している。
撮影結果:横溝特派員の隣には、カメラに背を向けた白衣姿の男が写っている。2人は会話をしているようで、横溝特派員は笑顔で白衣の男の脇を肘で小突いている。
Written by (未把握)
被験者: SCP-201-JP-1
撮影された行動: 背筋を伸ばし、手を身体の前で重ね合わせている。映像記録からは、撮影に際して被験者が少し緊張していることが感じ取れる。
撮影結果: [LEVEL3クリアランスを承認しました] 文化体系が判然としないが絢爛な室内で、大きなテーブルに料理が所狭しと並んでいる。中央にはSCP-201-JP-2と思われる料理が大量に乗った大皿が置かれている。テーブルの撮影者側から見て真向かいに、対象と似た背格好で若く精悍な顔立ちの男性が立っており、満足げに微笑んでいる。
結局、このオブジェクトとその背景については未だわからないことだらけってわけね。 — 那澤博士
Written by Wanazawawww
被験者:エージェント・コールマン
撮影された行動:女性研究員を口説いている
撮影結果:別の女性を口説いている。女性の顔は不明瞭
Written by Niziru5102
被験者:エージェント魚住のメガネ
撮影された行動:机の上に放置されている
撮影結果:レンズが割れている。 周りにはフレームがゆがんだり、原型がわからないほどに変形したメガネが転がっている
Written by flagile913
被験者:鬼食料理長
撮影された行動:鍋物を調理している
撮影結果:「鍋」を食べている
Written by ku_ma_su_ke
被験者:串間保育士
撮影された行動:困ったように微笑みながらぎこちなくピースサインをしている
撮影結果:幸せそうな笑顔で撮影者へと両手を伸ばしている
備考:実験時、撮影者は██氏であった。撮影結果との関連性は不明。追加実験は別項を参照されたし
Written by azuki0912
被験者:串間保育士
撮影された行動:あきれたような顔でピースサインをしている
撮影結果:画面外から頭を撫でられ、当人は俯いているが頬に涙が伝い、口元は微笑んでいる
備考:撮影者はA.██であった。前回と違う結果が出たのは撮影者に因るものか?
Written by azuki0912
被験者:虎屋博士
撮影された行動:白衣で胸を張って立っている
撮影結果:大量の唐揚げをテーブルに置き、息子を膝に乗せてゲームをしている。背景ではワニや熊や猿のぬいぐるみが走り回っており、1匹の猫が寝ている。パンツと狐面のみ身につけている。
Written by dr_toraya
被験者:エージェント西塔
撮影された行動:素うどんを食べている
撮影結果:エージェント・育良を箱に詰めて流している。
Written by Agt_Sashimae
対象:エージェント・西塔
撮影された行動:エージェント・育良を箱に詰めようとしている
撮影結果:素うどんを食べている
Written by Niziru5102&Agt_Sashimae
被験者:赤村修理工
撮影された行動:3本のアームを使用しながら収容機材を作成している。
撮影結果:赤村修理工の位置には自動車のエンジンにも似た機械が設置されており、周囲には3人の中性的な人間が写っている。
Written by gabugaburin
被験者:桑名博士。
撮影された行動:他次元から戻ってきたばかりで報告書を書いている
撮影結果:男女不明の人間が自室で布団に包まれている。
Written by tpad2j3yw5
被験者:エージェント・西塔
撮影された行動:与えられたかに蒲鉾を食べている
撮影結果:ボウルに盛られた毛がにと共に映る。机の上にはカニの身と殻が散らかっている
Written by Niziru5102
被験者:猫宮研究員
撮影された行動:書類をまとめている。
撮影結果:戦場のような場所で猫宮研究員は額から流血した姿。傷だらけのエージェント猫宮を庇うように仁王立ちしている。
Written by gabugaburin
被験者:SCP-609-JP-2
撮影された行動:不可視の観客を正面にギターを抱え飛び上がっている
撮影結果:白いジャンプスーツはそのままに、アフロヘアの男性が撮影者に背を向けてステージに立っている。
Written by nekomiya_guu
被験者:SCP-191-JP(紙媒体)
撮影された行動:Dクラスに描画させた絵本の一ページ。対象は数珠を片手に多数の鬼と戦っている。
撮影結果:鬼は全て財団職員に変化しており、全員が棒立ちで合唱している。写り込んだ影から察するにSCP-191-JP自身は撮影者の背後に立っていると思われる。
Written by (未把握)
被験者:SCP-159-JP
撮影された行動:[編集済]により撮影。
撮影結果:尻尾を千切れんばかりに振るゴールデンレトリバーが映されている。
Written by nekomiya_guu
被験者:野外にて撮影したSCP-311-JP
撮影された行動:寝転がって欠伸をしている
撮影結果:[削除済]黒焦げに焼かれた子供大の肉塊が多数寄り集まっているように見える。
Written by nekomiya_guu
被験者:SCP-401-JP
撮影された行動:収容室内テーブルの上に置かれたSCP-401-JPを撮影。
撮影結果:未確認の収容房に類似した室内にしゃがみ込む中学生ほどの少女が映されている。詳細は不明だが、 ███県 ████中学校で行方不明となっている少女と特徴が一致している。
Written by nekomiya_guu
被験者:SCP-325-JP
撮影された行動:収容中のSCP-325-JP。対象は大の字になって収容室に転がっている。
撮影結果:銃を構え、標準的なGOC装備を見に纏った状態で収容室の中心に立っている。銃口はこちらを向いている。
Written by Co081181ss
被験者:SCP-496-JP-1-M(動画媒体)
撮影された行動:ディスプレイの向こうからSCP-496-JP-1-Mがピースサインを向けている。
撮影結果:ディスプレイの前で、SCP-496-JP-1-Mがピースサインを向けている。
Written by nekomiya_guu
被験者: 鹿島研究員
撮影された行動: 研究室のモニタ越しにVサインをしている
撮影結果: 台所。女性が包丁を持って料理を作っている。女性は鹿島研究員が最も頻繁に用いる3Dモデルに酷似。
Written by haruno530
被験者: SCP-143-JP-2
撮影された行動: コンテナLの床面で蠢きながらじっとしている。
撮影結果: 対象が発見できない代わりに、写っている収容施設が全て薄赤く染まっている。
Written by Wanazawawww
被験者: SCP-330-JP
撮影された行動: 通常通り、動きは確認されない。
撮影結果: この実験結果はレベル4権限、或いはSCP-330-JP研究スタッフ権限及び研究主任のアクセス許可を持たない職員に対しては秘匿されます。
Written by Wanazawawww
幸子「面白いですねぇー、このカメラ」
寓司「……」(おかしい、狙ったものが映らない……)
ここに置かれたTaleは猫宮の趣味で書いた諸々であり公式に投稿された作品ではない。いいね?
空白
空白
空白
「あ、あー、あーーー! こほん。マイクテストマイクテストマイクテストっにゃーーー!」
「叫ぶな幸子、マイク入ってる。さっき確認した」
「あっ、ホントですか? 失礼しました。えー、今週も始まりました財団JPレィディオ! 世間は台風なんかで荒れに荒れておりますが、皆さん毎日頑張っていらっしゃいますでしょうか! 今回のパーソナリティは、わたくし猫宮幸子が務めさせていただきます。噛んだらごみゃっ、ごめんなさいっ!」
「噛んだ」
「よ、よくあることだから良いんです! さあ今回ご一緒させて頂くお方は!」
「餅月榴子です。よろしく。あと今日は10月9日、23時。この時間はぼくと幸子が担当するよ」
「……ということです! よろしくおねがいします!」
「色々言い忘れすぎ。もう、だから幸子は一人に出来ないんだよ。これだから任務でも」
「アーアーアー! アー! お仕事の話はお仕事の時に、ね! 今日は滅多にないラヂオですから。ね」
「……まあいいいけど、で? 今日は何話すの?」
「はい。今日は、えーとですね。この度わたくし猫宮幸子、不肖ながら新人エージェントとして財団には入らさせて頂いたわけなんですが、自分の方業務外にも他に色々やってるんですよ。それでですね、」
「長い。聴く人萎えちゃうよ。要するに、宣伝がしたいんだって。ペットホテルの」
「うえぇ、そ、そうです。そういうことです。普段、財団職員の皆様はお忙しいことと思います。お外に出ていたり、ご研究なさっていたり、レポートを書いたり」
「任務で失敗した後輩の尻拭いをやらされたりね」
「ふぐ。後輩イジメやめてくださいよ」
「あんたがしっかりやりゃこんなこと言わないのー。で、続きは」
「むむむ。えー、はい。そんな忙しい日々の心の癒しとして、ペットを飼われている方も多いと思います。でも、構いきれないこともきっと多い。そんな人のために、ペットホテルをやってみようと思ったわけなんです」
「自分だって研修やら訓練やらで忙しくないわけじゃないのにねー」
「もう、餅月さんちょっと静かに」
「静かにしてたら居る意味ないでしょーがー」
「まあ、そうなんですけど。で、この度そのことについてラヂオでお話しようと思いました」
「お話しようと思いましたって、あんたネタ考えてんの?」
「もちろん、ラヂオに出るからにはありますともー。この間ですね、お客様第一号をお世話したんですよ」
「へー、意外。もう全うに何か預かってたりしたんだ」
「そうですよー。これでもがんばってるんですよ」
「業務をがんばれよ」
「ひどい。餅月さん辛辣」
「仕事をがんばれって普通のことだろうに。で、そのぺットって?」
「ふふふ、それはですね。エージェント・西塔さんからお預かりした、タンザニアオオヤスデの五郎ちゃんです!」
「………………ああ、あの気っ持ち悪いやつ」
「失礼な! 全国の西塔さんファンに謝ってくださいよ」
「そこってヤスデファンとか昆虫スキーとか言うとこじゃないの?」
「もうこの虫嫌いは放っておきましょう」
「中々居ないと思うけどね虫好きは」
「うに好きもそう居ないと思いますけどね」
「ぼくのことはいいでしょうが。それで、そのヤスデだかムカデだかがどうしたの」
「はい。皆さんはヤスデって、どんなイメージ抱いてますか? 餅月さんはどうです?」
「どうって、足がわしゃわしゃーってあって、早いし、毒持ってるし。気持ち悪い」
「歯に衣着せませんね餅月さん」
「だって気持ち悪い」
「ひどい。毒を持ってるのはムカデだけなんですよ」
「ああ、でも、それは知ってるかも。ヤスデは益虫なんだっけ」
「そうです。悪い虫や油っぽい虫を食べてくれる、家庭の味方なんです」
「家庭の味方でも精神衛生の味方はしてくれないと思う」
「それは置いといて。これがですね、意外とかわいいんです。ほら、これ見てくださいよ。そんな悲しいイメージを超えたかわいらしさを!」
「うわー!? えっ何これ用意してきたの? 動画? やだきもい! つーかリスナーに伝わんないでしょうが!」
「ほら、これかわいくないですか? 足がしょわしょわーって動いて、触角ぴこぴこーってしてて」
「いやいやいやいやいや無理無理無理無理早く止めろー!」
「えー。こんなにかわいいのに」
「そういう話は西塔としてよ! ぼくを巻き込むなー!」
「もう、仕方ないなあ。とまあ、タンザニアオオヤスデについては皆さん調べていただくとして、これが意外なほどかわいいんですよ」
「やだこの話続くの!?」
「いえいえ。まあ、そんな出会いもあったんだよ、というお話でした」
「うぅ、お前訓練の時絶対しばく……」
「パワハラって言うんですよそういうの。西塔さんに頼んで枕元に五郎ちゃん連れて行って差し上げましょうか」
「ゆ、ゆるしてください……」
「わかればいいんです」
「何でぼくは後輩にイビられてるんだよ……」
「まあまあ、ということでですね。もしも皆さんのペットを一人にしたくない、寂しい思いをさせたくない。そんな切実な思いを抱くあなた! 不肖この猫宮が責任を持ってお預かり致します! 連絡先はこちら、[編集済]です! 直接お訪ね下さってもオッケーなので、ぜひぜひご連絡ください!」
「ということらしいよ。あー、なんかどっと疲れた」
「軽く喋っただけじゃないですか。では、続きまして次のコーナーへ!」
「次のコーナー……」
空白
空白
空白
~ 財団JPラヂオ、23時の部録音より
「侵入、完了しました。今のところ、異常見られません」
「了解。こちらも入る。しかし、細い所を通れるってのはいいな。こっちは換気口だ」
「西塔さんだって細いじゃないですか。私は無理矢理通ってるだけで」
「はいはい。無駄話はあと」
むぅ。そっちが振ってきたんじゃないの。そう思いながら猫宮は顔を上げた。
目の前には照明の落ちた、製造ライン。これらがどう使われているかは聞かされていないし、必要のない情報だとされている。そもそも、この工場への侵入はこれが初だ。
「町工場に偽装させるための視認性ミーム、取っ払って見ると、これだけ大きな工場だとは」
独り、ごちる。呟いてみて、自身の置かれた状況の非現実感と、これから取る行動の現実感が薄れる。私は今、そういう立場にいるのだ。信じられないことに。
東弊重工、第██工場「Age」製造ライン。照明の欠片も無いが、立ち並ぶ機械に刻まれた文字がよく見える。彼女はそういう「体質」だ。これから猫宮は工場内を抜け、オフィスビルに偽装された制御センターへ侵入する。西塔は赤外線暗視装置だの監視カメラから免れるためのステルス装備だの、万一のための自爆装置だの……説明を受ける限り、猫宮の倍近い装備を持って臨んでいる。対して、猫宮に施されたものはステルス装備だけ。
泥棒猫、という言葉が浮かんだ。この場合言葉の形そのままだ。足音を立てるつもりはないが、このまま直進するのもいかがなものか。猫宮がふと見上げた天井には太いパイプが立ち並ぶ。あっちを通った方がバレないかもしれないし、ちょっと楽しそう。そろり、とその片足を上げた瞬間、
「そうそう。いつものことだけど、指示以外の行動を取るのは禁止」と西塔の忠告が入る。完全に読まれていた。顔に血液が集まるのを感じながら、「し、しないですよそんなこと!」と返す。するつもりだった。
「Age」の大規模な製造機械へ直進し、周囲で物音や気配が無いかを確認しながら爆破装置の設置に入った。取り付け方は簡単、貼り付けるだけ。この後、西塔と合流した後に起爆する算段になっている。
「楽な任務」だ。そう思う。自身が持つ隠密性にはそこそこの自信があるが、まさかここまで早く任務に起用されるとは。評価されてるのかな、と内心誇らしくなる。とはいえ、失敗もしばしばだ。任務においては――まだ、確か、失敗はしていないはず。記憶が曖昧な部分が、無いこともないけれど。
「Age」。年齢とか、そういう意味。何の機械なんだろう。何が作られているのだろう。カーテンの掛けられた機械の内部からはコンベアが続いていて、コンベアの先は恐らく倉庫へとそのまま続いている。素材になる機械部品らしい物もさして見当たらないし――そこまで考えて、猫宮は頭を振った。いや、恐らくはまた忘れてしまうのだろう。前回も、血みどろで目を覚ましたし。作戦の概要は覚えていたが、肝心の中身を一切覚えていなかった。役には立てたらしいが、正直あの場の惨状には震えが走ったものだ――関わったことが無くても、自分と同じ職員が死んでいた。私は怪我ひとつ無かった。きっと、運が良かっただけなのだろうけど。
「考えない」
ぱしん、と頬を叩いた。死ぬことは考えない。そもそも、私はここに、財団にいなければ死ぬ運命なのだ。だからこそ、目の前にある作戦を、そつなくこなさなければならない。でなければ、死ぬだけなのだから。
おおよそ頭に入っていた通りの位置に爆弾を設置し、工場を抜ける。照明は全て落とされ、そもそもここには人が居なかったかのような有様だ。ひょっとして、最初からここには。
思考を無視し走り抜ける。全力で走ろうが足音を立てたりはしない。工場の非常階段を駆け上り、そのままオフィスビル側へと抜ける。宙に浮かぶ渡り廊下が半月の光で照らされ、ビル側が煌々と照らされている。だが、内部から光は一切見えない。扉の前で一瞬躊躇って、ゆっくりとドアノブに力を掛けた。
「ッ!?」
何か硬い物が額に当たる。急すぎて痛みを感じる間もなかったが、息が詰まった。
赤い眼光に射抜かれて、猫宮は動けない。蛇に睨まれた蛙めいて、扉を開けた姿勢で静止していた。
「バン」
「っわ、」
「しーっ」
真っ白になった思考がその脅しに悲鳴を上げかけたが、その前に飛んで来た手で覆われて声は行き場を失った。
「さ、西塔さん」
「うん」
西塔だった。猫宮に向けていた銃口を下ろし、赤外線暗視装置を上げた。目の色はいつも通り――いや、若干の失意が見え、猫宮は目を瞬いた。
「あの、何か?」
「ハズレだ」
闇に包まれたビルの中を後ろ手に差す西塔に、内部を覗き込む。半月の差すお陰で、工場よりよっぽど内部が良く見えた。そして、案の定内部は――もぬけのカラ。置いてある物は何もない。窓から差し込む月光がリノリウムをてらてらと照らすばかりで、机の一つさえ置かれてはいなかった。
「夜逃げ済みってこと。相変わらず尻尾を切るのはいつも速い。そっちは?」
「あ、えと。ブリーフィングで説明された通りに『Age』って書いてある機械がたくさんありました。爆弾は設置済です」
「あっちが囮だったのかもしれないね。まあいい、処理は行うから脱出するよ」
「了解です」
はぁ。西塔がため息をついた。西塔のため息は割とよく見るが、今回は不思議と――安堵の色が見える。奇妙なほどの安堵と、期待外れと――。
「西塔さん……何か、安心してます?」
「……いいや、別に。期待外れでガックリ来てるだけ。無駄話は後。出るよ」
「はい」
合流地点はここ、ビルとビルを繋ぐ桟橋の上。予定通りではあった。ここからフックを使って降りることになっている。手摺に自身の身を固定して、ゆっくりと降りる。
先に降下していく西塔を見送り、猫宮は月で埋まる夜空を眺めた。このくらいの高さなら、多分、飛び降りたって私は平気だろう。好奇心はあるが、怒られてしまうのでやらない。やらないし、何か……何か、前にもあった気がして。
ぶんぶんと頭を振る。無事に帰れる任務がどうにも久しぶりな気がして、妙な気分だ。任務に出るときは、いつもきちんと帰っているのに。
――そう、私が死ぬはずはない。死ぬことなんて有り得ないし、死にたくもない。決して。
そう思える間は、きっと私は死なないんじゃないかな。根拠もなくそう思いながら、西塔に続いて猫宮も降下を始めた。
闇を四角く切り取ったように、真っ白なディスプレイを男が眺めている。液晶の明るさに浮かび上がる何らかのパターンを持って貼り付けられた付箋には、小汚い神代文字が書き殴られている。男は付箋を更に一枚取ると何かを記し、パターンの中に組み込んだ。ディスプレイは変わらず白いままだ。
「……………」
呆、と男は頬に拳を当てて肘をつき、退屈そうに指でリズムを取る。掛けた眼鏡には、ディスプレイの白が強く反射している。
「暗くないですか」
ぎ、と椅子を鳴らして眼鏡の男は振り返った。廊下の無機質な照明を背に、男が立っている。
「……神山博士」
「やぁ、猫宮君。電気、点けてもいいかな」
「……ええ、もちろん」
ぱちん、と小気味の良い音を立てて照明が室内を照らした。そこら中に積まれた古書に、痩せたように冷え切った光が降り注ぐ。
「そんな不機嫌そうな顔しないで。サンドイッチいります?」
「いりません。本が傷むので、部屋に入る光は最小限にしておきたいだけです」
「そうですか。これはまた失礼を」
照明の操作盤を弄り、光が弱まる。二人の男の顔は、暗闇に紛れて表情も読めない。
「……何か御用で」
「いいえ。ただ。漏れていたものですから。明かりが」
「……」
鼻息一つで応え、猫宮は再びぎぃ、と椅子に深く腰掛けた。神山もどこかしらに腰掛けたのか、埃っぽい空気の動く気配があった。
「本には座らないでくださいよ」
「勿論。流石に研究対象に座ったりはしません」
「……」
「猫宮君は相変わらず愛想が悪いですねえ。もう少しニコニコしたらどうです」
妹さんみたいにね、と付け加える神山に、猫宮は思わず舌打ちを鳴らしてしまうところだった。機嫌の悪さが伝わったのか、神山の乾いた笑いが続いた。
「はは、すみません。しかし、本当に君は妹が好きなんだね」
「今ここで殺しても良いんですよ」
「私を殺しても無意味でしょう。あなたの妹のように」
「……あいつはあなたのように"無限"ではないのでね」
「ええ、存じています。私も"無限"ではないですけどね。けれど、あなたの妹さんは、使いようによっては"無限"どころか」
「俺はこれ以上あいつに手を加えるつもりはない」
「そうですか。残念です。だそうですよ、結城博士」
猫宮が視線を上げると、少女がいた。神山博士の座る足元にまとわり付くように。この少女は、結城によく似た――いや、
「……それは、一体どういう趣向ですか結城博士。それ、"予備"の私的濫用では」
「いいえ。これは代わりの在庫が切れてたので、ただの代替です」
「ふぅん。それで、博士が二人も雁首揃えて何の御用ですか。まさか、僕の残業に付き合おうって訳でもないでしょう」
「その"残業"とやらが健全なものでしたら、私どもとしてもわざわざ出向く必要はなかったのですけれどね、寓司さん」
クスクスと笑う結城。童女の面からこぼれる邪気に満ちた笑みに、猫宮の苛立ちが募る。いっそこいつら向けに呪でも編んでやろうか。代わりなどどうせ幾らでも居るのだ。
「まあまあそう怒らずに。何を考えているか顔に出ていますよ」
「……」
闇の中で、二人分の眼光が煌めく。人非人の目。"あいつ"とは違う、人ならざる者の目。超越者たる自覚を持った、人外共。
ため息をつき、腹立たしさを追い出す。これらに対して、抵抗は無意味だろう。その内こうなることは分かっていたが、案外に早いものだ。猫宮は両手を上げて、降参の意思を示す。
「財団設備の私的濫用、って所ですか。バレないようにやったつもりだったんですけれど、僕もまだ未熟なようだ」
その言葉に神山と結城は顔を見合わせ、吹き出した。予想外の反応に、猫宮は両手を上げたまま固まってしまった。
「――ははは。違いますよ猫宮君。"その程度"で粛清されるようなら、今頃どこかの二人辺りがやってきてあなたの首を刎ねているところでしょう」
「ふふ。ただ、私達は――いえ、私だけでした。聞きたいことがあって来ただけです。私的濫用については、まあ、忠告ついでですね」
「はぁ……」
朗らかな対応が返ってきたことに、猫宮は露骨に狼狽する。そもそも、こいつらの――いや、結城の聞きたいこととは、何なのだろうか。
「あなたの妹さんのこと、いえ。あなたの妹さんの魂のこと、ですかね」
「……」
「妹の事となると途端に目の色が変わるね、猫宮君は」
「……否定はしませんが」
そう構えないで、と結城は続ける。
「あなたの妹さんの――魂。正確には、魂の記述、と言いますか。エージェント・猫宮は、本来入らないはずのソースをその器に持っている。あの"余剰物"。あれらはどこからやって来るのでしょう」
「……」
「彼女の命が減っていくのなら、あの"余剰物"は増えたりしない。先日の収容違反の際に五匹目が確認されましたね。猫と人、この二者間は相互にソースを分け与えたりは出来ない――そのはずです。そもそもが別の生き物なのですから」
「……別に、僕は魂に関して詳しいわけじゃない。あいつが勝手に死んだから、帰ってこさせただけです」
「なるほど。"帰ってこさせた"と。ふふ」
「何がおかしいんですか」
「いいえ。あなたは妹が本当に好きなんだなと」
妹の死に際――アレは、一度完全に死んだ。それを無理矢理、繋ぎ合わせて、繋ぎ止めて、引きずり戻した。ただ、それだけのことだ。それだけのこと。何も、隠されてなどはいないし、隠してもいない。どうあれ、あいつの命は未だここにある。しかし――この、空虚さは。どうしてあいつを見ていると――。
呆けたまま黙りこむ猫宮を、結城は相変わらず童女の無邪気さで見つめ続けるだけだ。
「……とにかく、妹について話せることはありません。資料は財団に加わった際に提出したものが全てです。これで良いですか」
「妹さんについて聞きたいわけではないですよ?」
「分かっています」
「……ふぅん。仕方ないですね。神山さん、行きましょう」
「良いのですか?」
「ええ。どうやら、これ以上は無意味のようですし」
結城はそう言うと神山を伴って立ち上がり、廊下の眩しげな照明の方へと駆けていく。
「そうそう――CCとしての仕事もお忘れなきよう。私的な感情に流されるようでは務まりませんから」
「……父の仕事は、理解しているつもりです」
「そうですか。せいぜいそちら側に粛清されませんことをお祈りしております」
結城は投げつけるように告げると、神山より先に室外へと出て行った。
「端末の私的利用は程々に」
「わかってますって」
はは、と小さな笑い声を残し、神山も遅れて去っていった。
猫宮は緊張しきっていた身体を椅子に深く投げ出し、肺を絞り切るように思い切り息を吐いた。
――思い出したくない。思い出したくないんだ。あいつが死んだところなど。今、俺の手の下で死ぬあいつならともかく、"奪われた"時のことなど、微塵一切とて記憶に残したくはないのだ。死人を蘇らせるなどたいそれた真似が叶ったというのに、自身の記憶ひとつままならない。いっそ、諸知博士にでも頼んで記憶処理でもしてもらおうか。そんな器用な消去の仕方があればだが。
白いディスプレイの向こうには、橋から降下する妹の姿が見える。今回は東弊重工への潜入作戦だったらしい。あいつは死ななかった。安堵と同時に、奇妙な違和感がついて回る。
「……」
猫宮はディスプレイの電源を落とすと、付箋を全て剥ぎ取って研究室を出て行った。
あいつを出迎えてやらなければ。
腹が立った。だから、殺そうと思った。
一人目は簡単だった。呼び出して、隠し持った包丁で喉元を一突きにした。思いの外、出てくる血が多かったのを覚えている。血みどろになりながら、抵抗もせずに驚いた顔をしてあいつは倒れた。そしてそのまま、空気を求める金魚みたいに口をぱくぱくとさせて、その内死んだ。
しばらく眺めていた。呆気無いものだった。目に涙が浮かんでいたから拭って閉じてやり、胴に包丁を突き立ててから、血を流すためにシャワーを浴びた。
こいつの今の相手が、"これ"を見た時にどんな顔をするのか想像するのが楽しかった。楽しかったが、それほど面白くもなくてその内やめた。どうせなら、ここで待って殺してしまう方が、よっぽど楽しそうだと思ったからだ。
今の相手は、扉を開けるなり沸かした熱湯を被らせてやった。悲鳴を上げながらのた打ち回るそいつの胴に、散々あいつに刺した包丁をくれてやった。一緒に逝けてきっと幸せなことだろう。
次は家族を殺そうと思った。俺一人で死んだって別に構わなかったが、なんとなく面白くなかった。妹を殺し、足がつく前に、残りの金を全部下ろして新幹線に飛び乗った。血みどろになった服や鞄は全部妹の家に置いて。
やはり、簡単なものだった。あまり思い出したくはない。旅立ちの日に雪が降る街並みを眺めた車窓から、ぐったりと家族の死に様を思い出していた。自ら幸せをぶち壊しにしたのは自分だ。生きていても仕方ないと思った。楽しむことも、出来ることもなかったんだ。だから、気にかけている人間の生死くらい、自由にしてみたかった。ざまあみろ。俺は、俺の望みを叶えた。次は、世話になった人間でも殺してみようか。こんなに人の命は簡単だ。楽しみ始めていた。あまりにも簡単で、呆気なく、そいつらの人生を奪い取れて、こんなに素晴らしいことを、どうして今までやらなかったのか。疑問さえ抱いていた。
しかし、家へ帰る途中で、いかにも正義の味方と言った風体の連中に捕まった。屈強で、俺よりずっと図体のデカイ二人組だ。抵抗する気は無かった。痛い思いなんざしたくなかったし、殊勝にでもしていればどうせ殺されることもないのだ。だから、素直に捕まってやった。
――そこから先は、よく覚えていない。
「……D-81931。D-81931!」
「……はい」
今、俺はここに居る。
寓司は一人だった。部屋で。妹の部屋で。
退屈だった。妹は"腹立たしいことに"他の職員と遊びに行っている。あの育良とか言うの、後で絶対首とか折る。背中に呪符貼る。気付いた頃には後頭部の毛が全部無くなる呪いをかけてやる。机の中身が突然すべてゴキブリになる呪いでもいいかもしれない。とりあえず嫌がらせになればなんでもいい。
呪わしい脳内を魔女の大窯が如くぐらぐらと煮詰めていたところ、にゃあんと一鳴き猫の声がした。
「……」
新入り猫の「シノ」である。寓司を見上げ、撫でてもいないのにごろごろと喉を鳴らしている。猫には、時折こういう非常に懐きやすい手合いが居る。新入りの「これ」もそう言った手合いなのだろう。寓司がその喉元に手を伸ばすと、シノはその手にすり寄り、やはりころころと気持ち良さそうに喉を鳴らした。
その手をさっと上げて、寓司はシノの目線を操る。さっ、とその目線は手に追いつき、シノの表情は真剣なものに変わった。遊んでくれるのか。遊んでくれるのであろう。そのような目だ。寓司とてただの幸子の兄ではない。その名に猫を持つ者の片割れだ。シノの望む行動は手に取るようにわかる。
「……」
手を飛虫のように動かす。シノの顔はそれを追い忙しなく動く。寓司の背後でココも反応している。2対1か。良いだろう。貴様らも幸子より生じたとは言え猫の端くれ。いや、猫。その兄たる寓司、貴様らに遅れは取るまいぞ。
「……はっ」
膝元にはシロがいた。
侵入実験による消失直後。通信機器を所持したDクラス職員に状況を聞き記録した。
D-XXX-JP-1:おい、なんだここは! いきなり景色が変わったぞ!
█博士:落ち着け。君にはそちらの様子を私に伝えてほしい。
D-XXX-JP-1:こっちの様子って……伝えりゃ帰してくれるんだろうな?
█博士:ああ。
D-XXX-JP-1:(五秒間の沈黙)信じるからな。なんだか、妙な公園みたいな所だ。滅茶苦茶なデザインの遊具とか、砂場みたいなのにオモチャやら子供向け雑誌やらが埋まってる。ぐちゃぐちゃのラクガキなんかがそこら中に転がってやがるし……まるで片付けられてない子供の遊び場だ。
█博士:なるほど。他に何か居たりはしないか?
D-XXX-JP-1:いや。やけに空は暗いし空気も変に霞がかってる気がするが……特に、うわっ。
█博士:どうした。何が起きた?
(雑音が入る。後の分析の結果、早回しにした子供の声に似た何かだと判明はしたが、詳細は不明)
D-XXX-JP-1:こ、子供だ。子供がいる。子供が話しかけてきた。
(同じような雑音が複数入る。上同に子供の声らしいもの)
█博士:子供だと? 彼らは何と言っている?
D-XXX-JP-1:わ、わからねぇ。こ、こいつら皆お面を付けて、いや、お面じゃない、クレヨンで描いたモヤみたいなのが顔に……(雑音)。
█博士:聴こえない。しっかりと返答しろ。
D-XXX-JP-1:こいつら、(雑音)違う。まさか、まさかお前は、(連続した雑音)
█博士:おい、返答を……返事をしろ。聞こえているのか。
(ここから30分間に渡って一定の音量でノイズが流れ続け、唐突にD-XXX-JP-1の一方的な通信が入ってくる)
D-XXX-JP-1:玩具をもっと集めなくちゃいけない。
(返答する間もなく、再び10分間の連続したノイズ)
D-XXX-JP-1:笑うのをやめろ。
(五分前後のノイズ。GPSによる信号は途切れ途切れになり始めていた)
D-XXX-JP-1:猫達もがんばってくれている。彼らの、ぼくたちのために。
<ログ終了>
雨が降っている。窓の外を呆、と眺めて、息を深く深く吐き出す。冬場の雨は冷たくて嫌い。室内は暖かくても、外はこれなんだ。少しくらいナーバスにはなる。テンションの低さはそのままに、曇ったガラスへ猫の顔を描く。描き上げたそばからずるずると結露の涙を流し、猫は無言のまま窓の上に居ることを抗議して見せた。
にゃあん、と代わりみたいに一声。シロの声だ。振り返ろうとして、急激に左肩に重さを感じる。飛び乗られた。直後に、顔いっぱいに毛のもふもふ感。口の中にも。
「ぅわぶっ、シロ。こら降りて」
にゃあん。少しだけご機嫌な調子の鳴き声を上げて、顔中にに体当たりを喰らわせてくる。シロに外の天気など関係ないらしい。そういえば、この子は外が雨だろうが日本晴れだろうが外には出たがらない。まあ、私の猫達で表に出たがるのは新入りのココくらいなのだけれど。
「ほぉら、おりてっ」
にゃあん。放り投げるようにシロを下ろすと、空中で一回転して事も無げに着地した。運動なんてほとんどしないくせに、猫特有のモーションは綺麗に取れるのだ。そうして、今さっきまで甘えてくっ付いてきたことなんか忘れたみたいに、ごろごろと喉を鳴らしながら去って行く。入れ替わりでミケが入ってきて、兄の座るソファの隣に飛び乗ると、ぼすんと音を立てて座り込んだ。でぶちんめ。
口の中に入ったり顔にまとわり付いたシロの抜け毛を払いながら、改めて窓の外に顔を向けた。相変わらず雨は降っていて、窓に描いた猫なんかはもう形を失ってデロデロだ。ますます気分が上向かない。洗濯一つ出来やしない。
「幸子」
不意に、読書していた兄から声が掛かる。
「なに?」
「いや」
「なによ。用が無いなら話しかけてこないでよ」
「……」
兄は無言で立ち上がると、窓際に立って、私がしたみたいに呆と外を眺めている。
「……なに、なんかあった?」
「いや」
しばらくそのまま突っ立っていたけれど、不意に兄は窓に描かれていた、もう既にグズグズの猫の絵を手で擦って消してしまった。行動の意味が分からなくて、私は目を瞬いた。
「……何してんの?」
「いや」
兄はそのまま踵を返し、ミケみたいにどすんとソファに座りこんで一言。
「これで良いんだ」
「はぁ」
やっぱりよくわからなくて、私は消えた猫の居た窓を眺めていた。
「あっ、兄貴コラァ!! 濡れた手をズボンで拭くなあ!」
「……」
空白
空白
空白
空白
空白
空白
空白
空白
ざあざあと雨が降る。この音色を聴くのは心地いい。けれど、時と場合によっては憂鬱になる。そして今日は、運悪くその日だった。出来れば一人が良かったと、仄暗いカフェエリアを所在無く眺めながら心の中で呟く。そんな私の目の前へ、痩せぎすで白い手と、何かよくわからないオレンジ色が急に突き出された。
「蜜柑、食べます?」
「いや、ええと。今はいいです」
諸知博士の差し出したそれを、曖昧に手を振って断った。オレンジじゃなくて蜜柑だった。
「お疲れの時は頭に良いんですよ、甘いもの。小振りだから良く熟れてて」
「酸っぱい方が好きなんです。それに、今は別に疲れているというわけでも」
「あら」
美味しいのに、という呟きを聞き流しながら、私は窓の外を見る。定期カウンセリング。なんてものも名ばかりで、最近は殆ど雑談だ。私が"こう"なってからしばらく経つ。蜜柑を頬張る諸知博士には、私が変わってしまった当初はよく世話になったけれど、今はただこうして話相手をさせられているような、むしろ自分がこの人の世話をさせられているような、そんな気にすらなっている。世話されたいのは私だというのに。
「ねえ、西塔さん。最近はどうなんです? まだ夢に見たりとか?」
「いえ……最近は、見てないです」
「そうですかあ」
残念そうな声音。人を実験台かなんかみたいに見るのはやめてほしい。まあ、この人は誰に対してもそうかもしれないけど。時々、雰囲気が違う時もあるが、本当に稀だ。
あの時見た夢は、たまに今も見る。頻度は段々減ってきているが。私はもう、私になって久しい。
「西塔さん。もう何度も言ったかもしれないけれど」
「はい」
「忘れてしまう、というのは悪いことじゃあないんだよ」
「はぁ」
雨降りの窓辺に腰かけて、諸知博士は嬉しそうに言う。その背の窓に、雨粒が滴っては流れていく。
「まだ西塔さんのことが忘れられないあなたが居て、自分が西塔さんだと信じきれないあなたが居ます。この場合、忘れられた方が良いのはどちらでしょう?」
「……忘れる、という解決策が根本的な解決にならない場合もあります。一概にどちらが良いとは言い切れません」
「いやいや。忘れるって良いものですよ。身軽で、気楽になれて。仕事もスムーズになります。記憶処理されて職務に戻る方、何人も居るの知ってるでしょう?」
「貴方も含めて、ですか」
諸知博士は肩を竦めて、身振り手振り交えながら言葉を続ける。
「私は、仕事柄忘れないといけないことの方が多いから、こうして常に身軽で居るのです。望んだことじゃありません」
「……何も持たないのは、私には少し不安が過ぎますから。諸知博士は不安になったりしないのですか?」
諸知博士は、再び肩を竦めて、蜜柑を口に放り込む。よくよく見れば、テーブルに置き晒された蜜柑は筋まで丁寧に剥かれている。一粒ごと。神経質なほどに。
「どうなのでしょうね。ただ、私は私に出来ることをしているだけで。"これ"が私だとわかっていれば、不安になる理由もありません」
「それすら要らないものだと言われたら?」
きょとん。その言葉に、諸知博士は呆気に取られたように蜜柑の粒を手にしたまま目を瞬いていた。
「……そんなの、誰にもわかりませんよ。わかりません」
「どうでしょう。一番偉い人に聞いてみたらわかるかもしれませんよ」
「……私は、私に出来ることをするだけですから」
なにやら痛い所でも突いたか、諸知博士は少々ぎこちない笑みを浮かべた後、私の向かいの席につき、再び蜜柑を剥き始めた。やはり神経質に、徹底的に"無駄"を省くように、筋の全てを剥き散らかしながら。
「白いの、体に良いんですよ」
「私、これ苦手なんです」
案の定の答えが返ってくる。もったいない。
「じゃあ、折角だし一個ください。私も食べます」
「あら、甘いですよ?」
「大丈夫です」
"捨てる"かどうかは私が判断するのだ。剥いで露わになった蜜柑は、当然ながら筋まみれだ。そんな筋だらけの甘い蜜柑を頬張りながら、私は飲み下した鬱屈を胃の腑で味わう。気持ち悪い甘み。ぐるぐる。おまけに筋が歯に挟まる。舌で取れない。気持ち悪い。
「……あまい」
「何やってるんですか。ホントにわかんない人ですねえ、西塔さんは」
「わかりませんよ……私にだって、わかんないんだから」
やっぱり、カウンセリングなんて断って寝てりゃ良かった。"捨てられない"のは、とっくの昔に分かりきってたことだ。
「……廃品回収は間に合ってるんだよなあ」
「廃品回収?」
「いいえ、なんでも。さて――」
残りの蜜柑を頬張って、私は席を立った。
「次は、"晴れの日"にでも呼んでください」
空白
空白
空白
空白
空白
空白
空白
空白
「……」
[通知音][ポップアップ][アラート]
「…………」
[通知音][ポップアップ][アラート][スヌーズ][アラート]
「…………」
[通知音][ポップアップ][アラート][スヌーズ][アラート][アラート][アラート]
「……………………」
「ぐっもーにん、はりー」
「――うわあ、驚いた。ぐっもーにん、きゃしー」
「何故アラートの方で起きないんですか。私の一声はそんなにうるさいですか」
「えっアラーム鳴ってたの……うー、ん」
針山は目を覚ます。目を覚ましてぼやけた脳内に意識を揺らめかせてから、室内に響いている雨音に気付く。
「あー……今日は雨か。っていうか、確かお休みだったよね、きゃしー?」
「はい。ですが、その、」
2014/12/27 AM11:00 - サイト-8181 第四標準資材保管棟 連絡通路
年末のサイト-8181。普段は冷ややかで淡々とした空気の流れる施設も、連絡通路には多数の人員が行き交い、和やかな雰囲気がある。年末のこの時ばかりは、財団内も少しだけ賑やかだった。
「いわんやさーん! これはどちらへ運べばー?」
「古文か何かみたいに言わないでもらえませんか。僕の名前は針山です。それは、第8保管庫のダンボールへ入れておいてもらえますか。行けば多分わかります」
「はーい」
年の瀬に行われる大掃除は、一般企業のみならず財団とて例外ではない。
針山博士の指示に従い、エージェント・猫宮――猫宮幸子は、第8保管庫へと向かう。机仕事以外は外勤が多いため、こうしてサイト-8181で動き回るのは研修や重要な連絡以外ではあまり無く、新鮮な気分だ。面倒な仕事ですら、普段は見ないサイト内部を回れる楽しいひと時である。
「~♪」
鼻歌など歌いながら、幸子は保管庫の施錠を解いて扉を開けた。真っ暗だが、開けた瞬間から埃臭さが鼻につき、一人顔をしかめる。
「ぐっ……やっぱ掃除されてないよねえ。こういう所こそ綺麗に……ん?」
文句を言いながら中に入りかけた時、自分の背中越しに入る外からの明かりに照らされ、庫内で"何か"が揺れているのが見えた――気がした。音こそ聴こえないが、誰かが居るような。
「……あの? どなたか、居るんですか?」
声を掛ける。返事はない。代わりに、くすくすとした笑い声が響いたような、そんな"感覚"。あくまで、気がしただけ。妙な薄ら寒さを感じ、幸子は慌てて入口横のボタンを叩き、庫内の照明を点ける。
「っ……?」
誰も居ない。あるのは、雑然とした資材と機材と資料だけ。そもそも鍵が掛かっていたのだ。誰一人、ここに入れるはずもない。首を傾げて、幸子は抱えた資料と共に庫内へと入る。
目当てのダンボールはすぐ見つかった。"年末掃除用"と書かれた紙切れの貼られた大きなそれが、部屋の真ん中に放ってある。特に整理は命じられなかったが、適当に突っ込んで良いものだろうか。
「まあ、いいか」
箱にまとめて資料を入れようとして――再び"それ"を感じた。
振り返る。あるのは棚だけだ。だが、保管棚の作る影の向こうから、誰か見ている気がする。目を凝らしたところで見えるのは明かりに照らされて浮かぶ埃だけなのに。
「何もない。気のせい」
まとわりつく何かを払い除けるように頭を振ってダンボールを開き、資料を入れ、早々に出て行こうとして――幸子は気付く。
「……これは」
華美なイラストの上に大きな赤文字で何かが書かれた、その紙片に。
AM11:15 - サイト-8181 大食堂3番テーブル
「前原博士ェ~……研究棟の掃除ィ、しましょうよぉ~……」
「……」
正午を前にして、テーブルの前には大量の酒瓶と食べさしのツマミ。清酒の瓶を"直接飲み口から煽りながら"、前原博士は黙々と酒盛りを続けている。そして、その横にはエージェント・速水が、背中を丸め疲れ切った顔で立ち尽くしている。
「俺、休めなくなるじゃないスか……今年こそ年明けは日の出より速く日本列島横断するって決めてるんスからぁ……」
ギロリ。そんな擬音が聴こえてきそうな程、その鋭い眼光が速水を射抜く。口を利いたことを後悔させてしまうような目付きで速水を睨みつけたまま、前原は更に胃の腑へ酒を流し込む。
「……アンタねぇ……休めないってぇ……? ッざけんじゃないのよ……こちとら……今年は絶対旦那と初詣行くって、もうンヶ月前から決めてたってのに……何よこれは……えぇ……?」
テーブルが割れんばかりの勢いで叩き付けられたのは、一枚の書類だ。「年末スケジュールのお知らせ」と呟く可愛らしいキャラクターが大きく描かれている。
「その……あー、ご、ご愁傷さまッス……」
ずどぉん。再び、テーブルが割れるのではないかと思えるほどの凄まじい轟音。その拳からは煙さえ吹いているように見える。前原の叩きつけた拳は、どういう理屈か書類に穴を開けてテーブルに食い込んでいた。
「なんで! このアタシが! アタシだけがぁ! 年末スケジュールの尻に突っ込まれてんのよ! えぇ!? 長夜だの諸知だの骨折だの紅夜だの天王寺だの、他の博士連中はみぃんな休んでんのに! 全部神山か大和辺りにやらせりゃいいじゃない! なんでアタシだけぇー! あぁー!?」
「ま、前原博士。とりあえず、とりあえず落ち着いて」
「落ち着いてられんならアタシゃ騒いどらんわぁ‼︎」
「うっふっふ、荒れとるのぉ」
ずい、と横から現れたのは、食堂の主、鬼食料理長。小脇に抱えられた清酒の瓶を前原の目の前にどすんと置いて、にこりと笑む。
「ま、落ち着くとええよ。ほれ、愛ちゃん。新しいお酒」
「あー、いーわねー。落ち着くわ―、いただくわー」
「ちょっ、これ以上飲ませんのやめてくださいよ料理長!!」
「新年会用の新作なんじゃよー。ここらで一番舌が肥えとるのは愛ちゃんじゃからなー。利き酒してもらおうと」
「そういう問題じゃねぇー! これから俺らは研究棟の掃除しないといけねぇのー!!」
「まぁー、いーじゃないどぉせぇー。一博士とか二君とかがやってくれるわよー」
「あの人ら酷使しすぎなんですよアンタはァ!!」
――と、速水が喚き散らす合間、前原は視線を感じた。
「……前原博士?」
「何じゃ?」
二人が前原の目線の先を追うと、そこには――。
「……これは」
"闇"があった。"闇"は、頼りなげに揺らぐと――確かに、笑んだ。
AM11:30 - サイト-8181 特別放送室
「収容違反です! 収容違反が発生しました! サイト-8181内第一から第四連絡通路の封鎖、及びオブジェクト閉じ込めのため一部の資材保管棟と研究棟の完全な消灯を行っています! 当該区域の職員は放送をお聞きでしたら、決して室外に出ず、機動部隊の到着を待ってください! 繰り返します!」
同じメッセージを三度繰り返す。しばらくぶりに出した大声に、声の主は放送を切った直後に大きく咳き込んだ。
「けほっ、げほっ。ぅー……なんでこないな……」
幸坂事務員――今日は、今年度における彼女の勤務最終日だった。会議棟の清掃スケジュールを確認して、業者とのやり取りを行い、他の職員とすり合わせ、それこそ仕事は午前中で全て片付き、いざ帰ろうとした所だった。だったというのに。それなのに。
どうして私は、言いたくも聞きたくもなかった放送を流しているのか。幸坂は頭を抱えて放送机に突っ伏した。
「……こんタイミングで収容違反……」
帰れない。いや、そこまではいい。今日は、約束していた後輩君とデートだったというのに。あのイケメンは心配りも出来るしノリは良いし年下の割に……ああ、もう。内心悪態をつきながら、それでも反面膨れ上がる不安も強い。ここまで収容違反を起こしたオブジェクトの詳細は伝わってこないのだ。どんな化物かは分かったものではないが、逃げ出した"何か"次第では、サイト内全職員が死亡する事態とて有り得る。イケメンくんだって危ないかもしれない。下手をすれば、閉鎖範囲外であるこの放送室にだって何らかの脅威が……。
幸坂はため息をついた。悪い想像が膨らむばかりだ。
「……やめやめ、不安なるだけや」
室内を見渡す。他に誰がいる訳でもない。警報が鳴り響いた後に届いたメール指示に従って、大慌てでここに来て文面をそのまま読み上げただけだ。後は室内待機。言われたって外には出たくないが。
「あー……事後処理想像しとうないわー……」
ひとまず、後の放送は自動で繰り返すものを流せば良い。しかし、一介の事務員である幸坂に、これ以上何か出来る訳でもない。
「無事、片付いてほしいなあ」
AM11:35 - サイト-8181 第四標準資材保管棟 第3保管庫
「……」
息をひそめる。物音は無い。換気ダクトの回るちょっとした音だけが、室内には響いている。
「大丈夫ですか、猫宮さん。見えないけど」
「っ……あはは。だい、じょぶです。いたた……」
針山は、共に闇の中に隠れた幸子を気遣う。彼女は保管庫に居た際、"何か"に襲われ、右の肩口を切り裂かれたのだ。光一つ無い状況で怪我の様子はわからないが、照明が落ちるまでに見た限りは大した出血ではなかった。
保管棟は闇に閉ざされ、完全に閉鎖されている。恐らく、SCP-159-JPが収容違反を起こしたのだ。SCP-159-JPの情報は針山も知っていたが、幸子のこの様子はおかしい。アレに襲われたなら、血の一滴も残せず黒焦げになってしまうはずだ。だが、彼女はその肩を――切られている。
「猫宮さん、もう一度確認します。確かに黒い塊に襲われたのですね?」
「は、はい……もやもやしててよくわからなかったですけど、黒い何かに……どういう形をしていたとかは、よく……」
「……」
不定形の怪物なら、他にも居たかもしれない。とはいえ、真っ暗闇に放り込まれた現状から鑑みても、SCP-159-JP以外には思い当たらない。自分の知らない何かが存在している可能性はあるが。
「……わかりました。とにかく、外に出る訳にはいきません。機動部隊の到着を待ちましょう」
「はい」
暗闇の中で、二人は深く息をつく。
相変わらず音は無い。ファンの回る静かな音だけが響いている。10分ほど前は通路中にパニックの声が聴こえていたが、今はそれもない。収容違反を起こした何かに襲われたか、単に無事避難出来たのか――あるいは。
針山は考えていた。このような状況を起こせる存在を、起こせる何かを。今日一日、何か違和感は無かったか。何か、引き金となったものはなかったか。しかし、思い当たるものは特にない。強いて言うなら、今日は大掃除の日。ただそれだけだ。
「…………えと、黙ってるのも、意外としんどいですね」
「……そうですね」
沈黙に耐えかねたか、幸子が口を開いた。
「えーと、そういえば最近、闇子ちゃんをよく見かけませんか?」
「やみ、え?」
「闇子ちゃんですよ。あれ、山盛さんご存知ないです?」
「僕は食べ物でも盛り付け方でもありません。知ってますよ。財団のマスコットキャラクターのアレでしょう?」
「そうですそうです。今日も実は何回か見かけたんですけど。可愛いですよね。最近の話だとプロデューサーみたいなのまで現れてるみたいですし」
「えーと、あんまりそういうのは興味ないんです……」
「あらら、残念です」
「……」
再び、少々の気まずい沈黙。
「そ、そうそう。今日も片付けてた時、ダンボールの中に入ってた闇子ちゃんのイラストを見かけたんですよ。初めて見る絵でしたし、普段とちょっとノリが違うイメージでしたけど、実はハロ山さんファンなんじゃないのかなーって」
「僕はそんなどこかのロボットみたいな名前じゃ……え?」
イラスト。絵。普段と違う。イメージ。何かが、引っ掛かる。
「待ってください、猫宮さん。そのイラスト、何かおかしくありませんでしたか?」
「え? う、うーん? おかしいってことは……ちょっといつもよりキツめな感じの、シリアスなイラストでカッコいいなーとは思いましたけど……あ、一つあったかも」
「……それは?」
「飛び散った血みたいなデザインと一緒に、"闇を畏れよ、我ら再びここに集いけり"って。イラストの上に、おっきく赤い字で」
――まさか。今、収容違反を起こしているのは。
AM11:40 - サイト-8181 第四研究棟資材搬入通路
「……何なのかねぇー、こいつら」
「さあ。敵意があるんだかないんだか」
「さっき斬りつけられた。なんかのオブジェクトなんでしょ、これも」
「もーぼく帰ってご飯食べたーい」
西塔は本当に面倒そうに、餅月は腹をさすりながら、目の前の状況にため息をつく。
何があったか、ここだけは照明の落ちる気配がない連絡通路。荷物を運んでいた最中、唐突に鳴り響いた収容違反の警報、後にも先にも隔壁が立ち上がる通路。そして、壁から染み出すように現れた数体の黒い不定形の影。
「ぼくはお腹が空きました。なので、ここは交渉で切り抜けようと」
「へぇ。会話する余地あると思う?」
「あんまり! でもほら、話せばわかってもらえる気も」
ぶおん。影の一体がゆらゆらと接近、近場に居た餅月に向けて牛刀のような何かを振るう。餅月はそれをワンステップにて回避、その挙動の鈍さに鼻を鳴らすが、当たれば充分致命傷になり得る攻撃だ。
「こーしょーけつれつだそーです。しゃーないね」
「まあ、私もとっとと帰って寝たい。どーにかこーにか逃げようじゃないか」
「さんせー」
話している間にも、影は"物陰"から現れる。通路の角が生み出す陰や、二人の陰が交差する点から滲み出すように。このまま黙っていればいずれは逃げ道すら無くなる。
「面倒臭いオブジェクト。収容違反起こした人はクビかね?」
「さあ。クビで済めばいいけど。私達には関係ない」
「ごもっとも。どれ、あのダクトっぽいのがいい。あすこから逃げませう」
群れる影の向こう側を餅月が指差す。排気ダクトらしいものが天井部に見えているが、一見して通り抜けるには厳しそうに見える狭さだ。
「さ、行ーくよ道香ちゃん」
「待った。榴子はいいかもしれないけど、私にあんなトコ通れると思う?」
「やってみないとわからなーい!」
「マジか」
西塔の何処か間の抜けた声を背に、餅月は全力で影の群れへと飛び込んだ。目指すは連中の向こう側へと。
(――こいつら、物理的に接触しても平気か? いや、変に触って妙なことになるのは困る)
視界の右端から振り下ろされた牛刀が迫る。考え事を放り出し、可能な限り姿勢を低く低く、そして駆ける。餅月の小さな体は、刃が落ち切る直前にからくもくぐり抜ける。そのそばから、今度は正面に三体の影。形は定まらないが、どうやら脚らしきものは見える。餅月は駆けながらも続けて深く体を落とすと、冷たいリノリウムの床をスライディングして脚らしいものの合間を抜けた。少し影の一部に接触した気もするが、速効性の何かがあるような感覚はない。今は問題なく動ける以上、現状は無視。
抜けた三体が反応する前に、餅月は軽々と跳躍しダクトに飛び付いた。ダクトの蓋に張られたパイプがぎいと悲鳴じみた音を立てるが、元々簡単に外れるような設計ではないだろうし、そもそも餅月の体重如きで外れてくれる気配はない。
「うぬっ、うぎぎーっ!? 硬あーっ!? 道香ぁ!! 手伝えぇ!!」
「手伝えと……言われてもな、わっ!?」
更に増えた影は、西塔を包囲するように接近の輪を縮めている。刃を回避する毎に、影との距離は着実に近づく。
「飛び越えちゃえよ! そいつらみんな道香より背低いだろ!」
「榴子ほどではないけどな!」
「うるせえー! いいからさっさと来てよ!」
「くそっ」
西塔は屈み込み、身体をねじるようにして思い切り跳躍する。見惚れるように影達はその姿を追うも、追撃が来る気配はない。
「ナイスだ道香ってわぁ!?」
「榴子!?」
ぬるり。そんな音が聴こえてきそうな調子で、ダクトから現れたのは牛刀と黒い影。パイプに掴まっていた餅月は間一髪で手を離し、つい一瞬前まで指があった部分を刃が通り抜ける。耳障りな音がして、ダクトの蓋は意図せずして開いた。おまけに影の増援を連れて来ながら。
「っぶなー! くっそ、暗い所ならどこからでも出てくるのか!?」
「……逃げ場、無いかもしれないな」
粘度の高い液体のように、影はずるんと天井から落ち、バウンドもせずに床へびちゃりと激突した。しばらくその場で蹲るように震えていたが、やがて人のような形状を取り戻し立ち上がった。
「…………道香、遺言のこしとく?」
背後からも影は迫る。
「ああ、いいね。で、誰が聞いてくれんの?」
「さあ。少なくともコイツらが聞いてくれんじゃない?」
「そりゃいい。言い寄ってくる男共に聴かせるよりかずっとマシだ」
「まー端末が全部録音してんだけどね」
「知ってる」
・博士、闇子を利用して性質を書き換えたミズ・くらやみを量産する。
・財団外に偶然漏れでたプロトコル・アイドルを利用された。
・322-JPで斬られて闇でなくなるミズ・くらやみ
・認識災害の効かない魚住
・SCP-835-JPの潜在的で本能的な恐怖はそうたやすく防げるものではない
・プロトコル・アイドルにより再度封じ込められる闇子
・幸坂の放送は博士の手によるもの
・みず・ふぉーてぃえいと。「博士」Pの闇子のユニット。
・闇に対し恐れの無い前原博士は襲われない。
・私は私を取り返したい→みず・くらやみ
(暫定)
一博士 ―― 一 桐由(Kiriyoshi Hazime)
自分が良く使う博士の黒塗りの裏側、そのいち。
はじめ博士。担当SCPはたぶん自分が書いたSCP。
身長161cm(コンプレックスらしい)。体重85kg(最近体重が気になる)
中肉中背を絵に描いたような……? ちょっと太ってるかも。おっさん。良いおっさん。
厳格であり、財団に忠実だ。奥さんがいる。美人らしい。料理長のご飯がだいすき。サイト-81██の大食堂に行くと見つかるかもしれない。
が、時々夕飯まで食堂で食べて帰るので奥さんに怒られる。
二研究員 ―― 二 光太郎(Kotarou Shitanaga)
自分が良く使う博士(研究員)の黒塗りの裏側、そのに。
したなが研究員。よく苗字をからかわれてガンギレする。
身長192cm(あだ名はノッポ、████など。後者で呼ぶとマジギレする)、体重60kg。
ひょろ長い。でもちゃんと食べてるし健康だ。運動はニガテ。ちょっとオタク。
財団に忠実。でも時々研究対象に感情移入しちゃって胃を痛める。はじめ博士とは割と歳が近く、また、博士と同じように苗字ネタでイジられるため割と仲が良い。
彼女募集中だそうです。よく見ると時々長夜博士を目で追ってる。
杭帆保育士 ―― 杭帆 純也(Jyunya Kuiho)
育良さん(苗字。ほいく→くいほ)発案の、串間保育士の他にもいる保育士の一人。
普通。「爽やか」。一般的な男性。
身長184cm。体重79kg。がっちり。いけめん。さわやか。料理好き。運動好き。理想の男性?財団というよりは雇われ保育士的な。一般市民寄り。
(出すのであれば)SCP-159-JPに曝露して両腕を失い記憶処理を受け、
その後財団支給の義腕を取り付けたので今はほぼ完全に財団管理下に置かれている。子供好きの良い人といった立ち位置。串間保育士に対して憧れとかあると良い。あと正義感が強い。
それゆえにSCP災害に巻き込まれたと言ってもよい。※たぶんあと二人くらい当直の保育士が居てもおかしくはない。気がする。
SCP-159-JPに登場させました(黒塗りだけど)。
三研究員 ―― 三 千歳(titose Ninotugi)
自分が良く使う博士(研究員)の黒塗りの裏側、そのさん。
にのつぎ研究員。女性のレア苗字キャラ。前述二人とは意外とあまり関わらない。
身長141cm、体重██kg。
身長が低いのがコンプレックス。長夜博士に羨ましがられている。あと乳がデカイ。
財団に忠実。若くて美人なのでモテるけど、割と[編集済]ため独身。主にSCP-272-JPの管理を任されているが、基本的には触れたがらない。
SCP-401-JPと対話してた女性研究員もこの人。あとやっぱり苗字ネタでいじられる。
最近877-JPの管理サイトで転倒してこっ酷く怒られた。納得が行かないらしい。
田辺博士 ―― 田辺 裕一(Yuuichi Tanabe)
新しく作った博士(研究員)の黒塗りの裏側、そのよん。
たなべ博士。モデルは私。胃をよく痛める。
身長172cm、体重62kg。
人型SCPオブジェクトによく肩入れして精神的に死ぬ。胃を痛める。
財団に忠実。クソ真面目。言葉を額面通りに受け止めすぎる節も。SCP-175-JP「暴食」の管理を始め、605-JP、718-JP、850-JP、877-JP等を管理する。
最近は訳の分からないオブジェクトばかりで更に心労が加速中。
☆途中だよ☆
「恋の2-4-11」 替え歌 「恋の-収-容-違反」
気付いてるわ みんなが 私を
収容しようと 見つめてるの
SCiPだから 慣れっこだけど
Keter分類されちゃって
ドキッとしちゃった
他のSCiPとは違う (ちーがうー)
「トクベツ」を感じたの
その時から私の (わーたーしのー)
プロトコル アイドル できちゃったのーよー
恋の収-容-違反
ハートが高鳴るの
闇の力治まらない
どうすればいいの?
恋の収-容-違反
もうごまかさない
静かに でも大胆に
アナタを闇へと引きずり込むから
(2番)
気付かないの? 私が闇から
向けてる視線と この牛刀(かたな)に
Keterだけど 慣れてないのよ
自分の気持ちを素直に
伝えられないわ
他のSCiPとは違う(ちーがうー)
「収容」の難しさ
あの時から私の
クラスは 改訂されちゃったのよ
「Safe」なの!
恋の収-容-違反
ドキドキが止まらない(SCP-828-JP)
終了の練習は [データ削除]ばかり
恋の収-容-違反
でもごまかせない
Safe Keter Euclid
アナタのココロも収容しちゃうから
SCP財団って何だか知ってる?
「S」は、Secure(収容)
「C」は、 Contain(確保)
「P」は、Protect(保護)
「財団」は、SCiPのことが 世界で一番 大好きだよ!!
恋の収-容-違反
バッチリ違反して
私はアイドルだから
確保なんてされないわ
恋の収-容-違反
Skip Die Skip 世界一ワタシがSkip
Skip Die Skip 世界一ワタシがSkip
Skip Die Skip 世界一ワタシがSkip
Skip Die Skip 世界一ワタシがSkip
Die Skip !!
名前 | 職業 | STR | CON | SIZ | POW | INT | APP | DEX | EDU | 特殊技能 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
猫宮 幸子 | エージェント/SCLv1 | 7(17) | 12(18) | 11 | 9 | 10 | 15 | 14(21) | 12 | 不死。死ぬと一時間意識朦朧、加えて前後の記憶を失う。また、周囲の人間に対し1/1d4のSANチェックを強要。 |
育良 啓一郎 | エージェント/SCLv1 | 9 | 12 | 13 | 21 | 15 | 12 | 13 | 16 | 直感。即死級のダメージロールをセッション中一度だけどのような形でも回避。GM裁量で「ここは使えません」を宣言してもよい。 |
日野 千春 | 博士/SCLv2(3) | 10 | 8 | 12 | 16 | 15 | 12 | 13 | 17 | 無痛。痛みを感じない。ダメージを受けた際に気絶判定が為されず、スタン等のペナルティを受けない。 |
神山xx | 博士/SCLv3 | 12 | 12 | 15 | 15 | 18 | 12 | 12 | 18 | 交代。死亡時、即時的に他の神山博士と入れ替わる。ペナルティ無し。交代時、周囲に対しSANチェック強要。0/1。 |
前原 愛 | 博士/SCLv2 | 18 | 18 | 12 | 18 | 17 | 18 | 18 | 17 | (未定) |
諸知 | 博士/SCLv4 | 10 | 10 | 10 | 21 | 21 | 10 | 10 | 21 | 処理。記憶処理の実行。人型オブジェクトを含む適当な対象に対し記憶の消去ロール(初期値99)が可能。 |
西塔 道香 | エージェント/SCLv1 | 14 | 15 | 13 | 18 | 16 | 10 | 16 | 15 | 鈍感。SANチェックを一度無効にする。任意の時に使用してかまわない。 |
結城 久磨 | 博士/SCLv3 | 7(25) | 8 | 12(7~12で可変) | 21 | 19 | 14(可変) | 7 | 19 | 義腕。セッション中一度だけ義腕の力で攻撃可能。命中初期値50、威力2d6+燃焼ダメージ。 |
餅月 榴子 | エージェント/SCLv2 | 15 | 17 | 5 | 16 | 15 | 12 | 17 | 14 | うに。ガンガゼ、ウニ、カニなどの力を借りる。要するにパルプンテ(と言われても正直自分でどういうものを設定するか思いつかない) |
串間 小豆 | エージェント/SCLv3 | 14 | 14 | 13 | 14 | 15 | 14 | 15 | 16 | 抱擁。対人系ロールに+20。当然ながら言葉の通じない対象には適用されない。 |
【宣伝】TPPGのプレイヤー募集中! 詳細はツイッター@nekomiya_guuまでお気軽にお訊ねください。【オフセな】
以下、SCPに関係ありません。
これは猫宮の財団外活動のメモです。全く財団とは関係ないことを記していくので、あしからず。
※猫宮が作成中のTRPGシナリオのネタバレが満載です。構わない人はどうぞ。
「冷たく真っ暗な空を見上げるのは、もう嫌なんだ」
月の涙が注ぐ時、世界は再び始原へ還る
世界を守るか、彼女を守るか。
それは、巡り合わせてしまった探索者の選択次第。
・クトゥルフ、ハスター、アザトース、ヨグソトース、シュブニグラス、ニャルとか、
あるいは始原の存在であるウボ=サスラ?
適当にこの辺の神々の「幼生」時代を描いたシナリオ。→現状ズレてる。どうしよう。
あるいは、幼生である存在と、それにちょっかいを掛けるニャル、
もしくは「神が世界を始原に戻す為の布石」として置いた幼生を、探索者たちがどうにかするお話でもいいかも。
既に存在している単一の神、あるいはニャルのような存在が数多ある連中の幼生でも良いかもしれないけど、
「無垢」と被るので恐らくこの方向は無し。シナリオイメージとしては「沙耶の唄」に近い。
むしろ、二体目のウボ=サスラというのはどうか? 新しい生命のトリガーとして。
ニャルが「遊び場を壊されるのはごめんだ」とばかりに手伝ってくれるシナリオとかみたいなね。
あるいはそれに反対したり賛成するニャルさんとかね。
(前プロット)
古のものが利用したウボ=サスラ、生命を産み終え深海の底に横たわる→
しばらくの間ほぼ封印された状態で眠り続ける→
ニャルがちょっかい掛けて起こし、この世界で最も面白い存在(人間)に整形し近付けた→
「サラ」としてウボ=サスラ、人の身を手に入れる。この時点でAPP15くらい→
彼女は次第にAPPが増えていく。18を越えた段階で、人間は「サラに近付きたい」という衝動を抱く→
20になるまで、彼女自身は知らずの内に周囲の人間を取り込み始める→
21に到達した時点で彼女は人間、ひいては生命のあらゆるそれを愛していると自ら気付く→
「私は私として貴方達を産みたい。私は私のまま、貴方達を知った上でもう一度、全ての生命を愛したい」→
全生命を取り込み、全ての邪神を内包し取り込んだうえでもう一度人の住まう星を取り戻そうと動き始める→
勿論人間にとってみれば大迷惑。邪神をやっつけるのは構わないけど、全部取り込んでやり直しとか無茶言うな→
倒すために…邪神を呼ぶ。クトゥルーとかを取り込むような化物だから、アザトースかなんかで追っ払うか?
(現プロット)
→二体目のウボ=サスラ、地球へ飛来。大元になった存在の断片であり、同一の存在。
→二体目の断片、人に触れたことで意思を持ってしまう。飛来地で触れた人間が消える、とかの事件か?
→人間名「雫」。とある夫婦の下に子供として生まれる?
→「雫」はウボ=サスラの断片だと思ってたら実はアブホースだった? みたいな。
☆助けるんだけど、結局APPオバケの人喰い怪物には変わらず、PCごとニャルに殺されるオチ?
☆どのみちバケモノ殺すマンと化すPCたち?
☆人とあまりにも違いすぎると、人は「それ」を嫌ってしまう。
☆ディープインパクトの際に分離したウボ=サスラの断片が「雫」?
☆月に残るウボ=サスラの断片を地球に呼び戻し、地球の本体と結び付け元に戻そうとする狂信者集団。
☆ウボ=サスラの断片をどうにか招来しようとして、それと一緒に居たアブホースの断片である「雫」を呼び寄せてしまった。
☆「雫」を見た探索者は「何故か酷く懐かしい気持になる」アイデアを振る? あるいはクトゥルフ神話で。
☆「雫」と「雫」? ウボから産まれた雫とアブから産まれた雫が別々にいるみたいな。
☆ウボ=サスラは始原存在→アルケタイプは上澄みで、アブホースはその中の穢れを弾き出したものというイメージ
☆ウボ=サスラを呼ぶ呪文で本体が顕現し月の鳴動が激しくなるが、本体を追っ払っても鳴動が止まない。実は本当に呼んでいたのは「雫」だった。
☆こんなこと起きないと、こんな風にはならないだろうって、心のどこかで願ってた。でもやっぱり、私がここに居る限り、だめみたい。
☆「私」が呼んでる。「私」が、「雫の本当の心」があそこにある。「私」はここに居る。「私」を止めるには、「私」を止めるしかないよ。私を、殺すしか、きっと。
☆…でも、違うかもしれない! 私は、ただあそこから戻ってきて、一緒になりたいだけなのかも。ひょっとしたらそうなのかも。
☆だから、私が「私」と一緒になって、それでおしまいかもしれない。だから、このまま待つのも良いのかもしれない。「私」がここに来るのを。
☆ね、○○さん。ううん、皆。「私」は、どうしたら良いのかな。「私」は、あそこにずっと居るしか、無いのかな。
以下そこそこ決定稿
☆シナリオ概要
・回帰の終円派
ウボ=サスラ、ある組織(ウボ=サスラ教団?)からの召喚により東京に顕現するが、
断片が無かった為に「始原の儀」を執り行うことが出来なかった。
その為、組織は断片を探すためにウボ=サスラに何らかの刺激を加えそれにより断片の位置を
特定する儀式を行った。
結果、「全生物の始まり」であるウボ=サスラへの刺激により、
地球上全ての生物に何かしらの思念が飛んだ。その思念を最も強く受け取った存在の「雫」が、
断片を招来する憑代として選ばれた。
雫は招来が近付くと、ウボ=サスラが何をしようとしているのか察してしまうと同時に、
ウボ=サスラにより近い存在として体質が書き換わる為SANチェック等は無い。
☆ウボ=サスラの受信機である少女
☆ウボ=サスラの受信機である少女
・野仲 雫(仮)(16)
STR 10 SIZ9 CON10 POW18 APP16 INT15 EDU11 SAN90/99 HP8 MP18
月に潜むウボ=サスラ(本体ではない)の断片の思念波を受信する力を持つ、殆ど普通の少女。
その影響により、相対した人間とPOW対抗し勝った場合「どこか懐かしい」と思わせる力を持つ。
上記は思わせるだけで、何かしらの精神影響を及ぼすわけではない。
ウボ=サスラへの過度な干渉により、
感応能力の高い雫とウボ=サスラ(断片)は現在リンクした状態にある。
ただの女子高生だが、ウボ=サスラと半ば繋がっている影響でPOWが高く、
ウボ=サスラが月から見ている視点を夢を通じて体感しており、
それを通じて「他人事のようにも思える、強烈だが奇妙な孤独感」を味わっている。
ウボ=サスラは、雫を「自身の目指すべき到着地点」として利用し本体と合流しようと試みているが、
その思念自体が弱い上に、思念そのものが「人間の持つ集団帰属意識」に近いものであるため、
これを「寂しい」と解釈した雫は「自分は寂しいのだろうか」と誤解している。
勿論これは雫本人の意思でなく、ウボ=サスラの飛ばした思念の影響であり、
雫とウボ=サスラとの間で思考がループしているだけである。
なお、ウボ=サスラの断片程度の力では、月面から雫に対し思念を送るのがやっとである。
彼女が何らかの手段によりウボ=サスラの断片を月面から招来した場合、
雫と合流した影響で更に増幅された思念が地球内部に潜む本体を目覚めさせ、
再統合の為にウボ=サスラは全てを呑み込み、世界は再び始まりへと戻ることだろう。
☆雫の友人、あるいは幼馴染
・弓野 幸広(16)
STR 13 SIZ 12 CON13 POW 9 APP 11 INT 13 EDU 12 SAN 45 HP 13 MP 9
雫の幼馴染であり、友人。POW対抗に失敗しているので、雫に対し不思議な懐かしさを感じている。
雫と同様に普通の人間であり、これと言って何かに秀でているということも無い。
最近雫が妙に遠くを見つめ呆けているのをよく目にしているため心配している。
彼を通じ、探索者に何かしらの依頼、あるいはお願いとして雫の調査をさせる?
☆狂信者、あるいは敵としてのNPC
・(未定)理事長代理
雫の通う高校の校長。ウボ=サスラに感応しやすい人間を多数の中から探し出すため、
隠れ蓑として教育機関を利用している。
☆狂信者、あるいは敵としてのNPC
・(未定)
☆何らかの敵対的集団の教祖
・(未定)
雫の通う高校の校長。ウボ=サスラに感応しやすい人間を多数の中から探し出すため、
隠れ蓑として教育機関を利用している。
砂州良学園との交錯メモ
ニオス・コルガイが死んだから、ウボ=サスラを広げる手順が前倒しに発生してしまった?
ニオス・コルガイが探索者により撃破/追い払われ、
砂洲良学園に眠る全ての七不思議は解き明かされた。
しかし、小さな異変の芽が起こった。
貴方達は不思議な夢を見た。緩やかで暖かな水の中に居て、揺りかごに揺られるように優しく快い何かに抱かれている夢だ。心の奥深くまで洗われ、冷え切った体を芯まで温められるかのように、多幸感に満ちている。貴方達は目覚めた時、まるで新しく生まれ変わったように爽快な気分で目が覚めた。あまり詳しくは思い出せないが、最近見た中では恐らく一番に寝覚めの良い夢だろう。貴方達は、いつもより少し浮かれた気分で、あるいはまだ夢に揺られる心地で、それぞれ学校へと向かい始めた…
そんな夢を見てから、およそ一ヶ月後の話。砂州良学園の恐るべき七不思議は探索者達に解決され、平和になった学園にも例外なく、冬の冷え込みが満ち始めた。クリスマスも近く、12月の街はほんのりと聖夜のムードだろう。そんな中、街の至る所で「世界に始まりへの回帰を」と啓蒙する奇妙な集団が目につき始める。それらは本当に少しずつだが、街へと浸透しているように見える。ありはしないと思いながらも、奇妙で信じ難い体験を乗り越えてきた貴方達は僅かながらでも危惧せざるを得なかったーーひょっとしたら、まだ何か起こるのではないか、と。
〜導入
・PC1が校内を歩いて移動していると、不意にとても見覚えのある女子が前から歩いてくるのが目に入った。鮮烈すぎるほどの感覚に思わず、PC1は声を掛ける。何処かで会ったことは無いか、と。偶然一緒に居た他の探索者は、相手が誰かを知っている。PC1もその例に漏れず、彼女のことを知っているはずだ。にも関わらず、不思議なほど強烈な印象は、彼女と知り合う前に何処かで出会っていたのではないか、そう思うほどに大きなものだった。「…どうしたの? PC1君。そんな顔して」そう言って彼女は、雫は貴方に対し首を傾げる。どこか、自分さえ自覚出来ないほど遥か昔に見たような、懐かしい笑みを浮かべながら。
・探索者の
来年受験だし、遊んでらんないし…」それでも一人くらい居るんじゃ、等としつこく聞くと、雫との仲良しレベルによって対応が変わる。これまでのセッションを通して仲良しであった場合、「…そりゃ、気になる人が居ないわけじゃないけど」と返される。PCの誰かと仲が良い場合その探索者が、居ない場合は幸広のこと。心理学持ちで、かつ自分が該当PCであったなら、それに気付くことができる。仲が良くない場合「…本当に、そろそろやめてくんない? 私帰る/教室戻るね」と相手にしてくれない。仲の良さの度合いは、これまでのセッションを鑑みてGMが判断してよい。
・上記に加え、クラスが同じ探索者に対して目星を振らせ、授業中に雫が上の空である、という描写を行う。もし学年やクラスの同じ者が居なかった場合野枝にこの話をさせても良いが、印象的には同じクラスの探索者に目の前で体験させた方が雫の存在感を演出する描写としては強いだろう。教師に当てさせ、話を聞いていない様子を見せたり、何か落書きをしている、外の様子ばかり見ている、などを情報として与える。探索者が話を聞きたい、と提案したならこれも積極的に受け、雫となるべく会話させる。
雫と会話させる場合→
「…ねえ、月に生き物っていると思う? いや、何て言うか、ホントに居るとは思わないんだけど、その…もし、居たらの話って言うか」
「…変な夢見るんだよね最近。すごく寂しい気持ちになる夢。そういうの、見たりしない?」
「ううん、なんでもないの。ただ、ひとりぼっちってとてもつらいことよなあって…最近よく思って…あ、いやいやいや別に私は寂しくなんかないけど! 寂しくなんかないんだけど! 今のは気にしないで!」
上記は一例である。情報を出し過ぎないよう注意。
・放課後、新聞部(及び親しい)の探索者は石崎に呼び出される。新しく就任して来た理事長について噂を集める為だ。旧理事長の行方不明直後に、新理事長の就任が決まり、続くように一ヶ月後、旧校舎の取り壊しが決まる。石崎はこれを知り、色々な出来事が急すぎると判断。「あんな事件に化物だらけな場所、そう簡単に壊せるわけない。代わりに来たあの理事長も怪しいと思わない? きっとそう、なんか企んでんのよ。というわけで、あの理事長に黒い噂とかそういう話がないか、確かめに行きましょ!」という話になる。また、彼女に対し「来年受験だけど遊んでて良いの?」的なことを聞くと、恥ずかしそうに「…さ、最後の思い出作り。二年最後の思い出作りだから!」と言われ結局付き合わされることになる。
☆理事長の噂集め/理事長に会って話す
放課後、新聞部の部活動として、あるいは個人的な行動での聞き込みが可能。理事長の噂やどんな人物か等を職員や生徒に聞く場合、以下の情報を得ることが出来る。提供される情報は聞き方により、1時間に一つ〜二つ。GMの采配で、ロールの仕方次第、あるいはクリティカル等が出た場合は二つ以上情報を提示しても構わない。
とても良い人。生活委員の生徒と和やかな雰囲気で花壇の手入れをしていた。プール掃除を手伝った、修学旅行で生徒と一緒に仲良く回った、古い話ではPTAを敵に回してまで一人の生徒を救った、などという噂まである。
この道30何年を教育に費やしたと有名な人。数多の名門校を渡り、その時いた学校からは優秀な生徒を数多く輩出させている。各方面からの信頼は厚い。曰く、学びの道にその人有り。
前理事長とかつては懇意にしていたらしいが、何らかの諍いがあってからは交友を断ったそうだ。ちょうど旧校舎が使われなくなった前後くらいの頃のことらしい。
不思議な雰囲気の人。さっきまで向かいの校舎に居たのに、いつの間にか近くにおり場に馴染んでいて、手伝ってくれたりする。
旧校舎の取り壊しは理事長代理の指示。詳しくは不明(理事長本人に聞くと、「あそこは色々危ないからね、工事の人や警察の方と相談しながら解体を進めてもらっているよ」という話が聞ける)
色々な事件があって不安だろうが、私が居る間は大事な生徒は守り抜く、安心して欲しい、と言った話をしていた(あるいは本人からそう聞く)。
かつての事件について聞く、あるいは話をすると、やんわりと話を避けるような素振りを見せるが、それでも話してみると「…きっと辛い目に遭ったことだろう。何かあれば相談しなさい。力になろう」と親身に対応してくれる。決してそんな事がある訳ない等と頭ごなしに否定したりはしない。以後、何かあった際に相談するとヒントをくれたりする。
また、この情報は後述の野枝も殆ど知っている内容である。
※なお、理事長は砂州良学園に潜むニャルラトホテプの一体である。この学園にはニャルラトホテプが二体おり、理事長に化けている方は、このまま捨て置けばウボ=サスラに対して人間は敗退するだろうという予想を、後述するニャルラトホテプは人間がその運命に抗うだろうということに賭けて遊んでいる。
☆部室に戻る
・時刻は6時前後。取材を終え、石崎の控える新聞部の部室へ帰り、これと言って怪しい点は無いのではないか、等と会話することになる。
・話していくうち石崎は「全くもってシロね…あーもう埒が明かないわ! こうなったらいっそ、またあの旧校舎にでも乗り込んでみたらいんじゃないの!?取り壊しも決まってるみたいだし、 ガサ入れよ! ガサ入れ!」という提案が為される。現時点では忍び込む動機は薄く、理事長周りで何ら問題も起きていないため無理に侵入する必要は無い。探索者次第。また、その点を指摘すると「それもそうかあ…またあんな怖い目に遭いたくはないもんね。しょーがない、ボロが出るまでしばらく放っとくかあ」と石崎も割と容易に引き下がる。
→侵入する場合
・夜を待って侵入を試みると、旧校舎全体を工事用の白い防音壁の覆いが囲ってあることがわかる。これは昼の段階にはなかったものだが、一箇所ある扉に鍵はかかっていない。侵入し、旧校舎へと向かう途中、かつて聞いたショゴスの鳴き声を聞き、石崎含む全ての探索者は「引き返した方が良いのではないか」と思い、かつて追われた経験を思い出して0/1のSANチェック。また、アイデアで振らせてそう思わせてもいい。それでも無理に侵入した場合、旧校舎入口で幸運に失敗した者にショゴスが襲いかかり、STR20との対抗になる。また、逃げようとしている間は1回の抵抗ごとに1D6のダメージを受ける。ここで探索者が死亡した場合…理事長(ニャルラトホテプ)が蘇らせてくれ、翌日何事もなかったかのように犠牲になったPCか再登場する。ペナルティは無いが、目の前で親しい友人を失った場合、1d3/1d8のSANチェック(親しくない人間の場合、1/1d6)。更に翌日の復活を目にした場合も1/1d4のSANチェック。見た限り旧校舎の出入口は全てショゴスに埋め尽くされ、侵入できないことがわかる。ここでアイデアを振り、成功した者は「旧理事長を倒す直前、ここの怪物達は弱っていなかっただろうか?」ということに気付くことが出来る。
★ここまでで1日目終了。適宜帰宅ロール。仲間達と話したり、泊まりで遊びに行くロールなんかしても構わない。
☆2日目開始。旧校舎へ向かわなかった、様子を見なかった場合、この日の朝の時点で白い覆いが為されていることに気付く。また、授業中に外に対して適宜聞き耳を行うと、工事のようなものは行われていないのではないか? ということに気付ける。それについて理事長に尋ねると、まだ工事は始まっていない旨が聞ける。他の職員や生徒(石崎や探索者と親しい生徒は除く)は工事現場についての事を何も知らない。何も、である(ニャルラトホテプにより探索者以外は工事そのものを認識出来ていない)。
・昼休み、幸広から「雫はどうだった!? 好きな人いるって!?」と熱烈に質問される。探索者はどう答えても構わないが、幸広を喜ばせても落ち込ませてもどちらの返答をしても問題ない。一喜一憂ロールをさせる。「あーそうそう。そう言えば雫、学校来てないっぽいんだけど、お前知ってる?」と探索者に対し聞いてくる。また、クラスが同じ人間がいた場合、朝の段階で気付くことになる。ここで親しいPCがメールをするなりして連絡しても構わないが、返事はかえってこない。
・連絡が返って来ないことに痺れを切らした探索者、あるいは石崎辺りは「そう言えば雫には仲の良い友人が居たはずだ」ということを思い出し(PCにアイデアを振らせても構わない)、放課後、雫と同じクラスの女子を訪ねることになる。女子の名前は「五木田野枝」で、雫について質問すると快く応えてくれる。また、彼女は理事長と共に学園に潜むニャルラトホテプの更なる片割れであり、人間がこの危機を乗り越えると信じて探索者達を見守り弄んでいる(なお、野枝は楠木さん作成のシナリオ「蠢く島」に登場したNPCであり、実際はこの4年前に死亡している)。また、この設定を採用せず、普通の人間として取り扱っても「島」を経験したPLを困惑させるには面白いかもしれない。
野枝は中等部の頃から雫と仲良くしており、寮生である自分の部屋によく遊びに来てくれていると話す。
雫は寮生ではないが、一緒に勉強したいという体で訪ねて来る。実際寂しいだけなのでは? と野枝は笑って言う。「雫は寂しがりだから、構ってあげないとよく拗ねちゃうんだよね。最近なんか毎日来てるよ。いつもならそろそろ来ると思うけど…」(アイデアで、野枝は学年トップクラスの成績だったということを思い出す)
最近とはどのくらい? について尋ねると、丁度最初のシナリオでの旧校舎騒ぎがあった頃と一致していることがわかる。最初のシナリオにおいて雫(元シナリオでは死亡する日高京子のポジションである)を助けていた場合、あの時は心配で心配で大変だった、と野枝は懐かしそうに話してくれる(この際、死にかけた雫はショゴスを通じてウボ=サスラとリンクしてしまったのだ)。
雫は一人っ子であり、また両親も忙しい為によく家を空けるらしく、それもあって頻繁に寮へ遊びに来るのだろうと教えてくれる。
最近、雫は遠くを見つめて何か悩んでいるような様子だったと教えてもらえる。恋の病かな? などと野枝は茶化したりもする。「でもまあ、恋って言うか…本当にただ、寂しそうな感じ。心ここに在らずって言うのかな。どうしたんだろうね、雫」
家の場所を聞くと「私も心配だし、案内するから一緒に行こう」と提案してくれる。
☆雫の家へ
・夕方〜夜。雫の家を訪ねると、当然ながら家には鍵が掛かっていることがわかる。チャイムを押しても反応はない。しかし野枝は「実はね…合鍵の場所、知ってるんだ。入っちゃおうよ!」と言い、ポストの裏に貼り付けてある鍵を使い勝手に入ってしまう。探索者達が戸惑っている場合、野枝に「バレたら私が謝るから大丈夫だって。ね?」と同行を促す。
・家の中は静まり返っており、誰も居る気配は無い。小綺麗に片付いたデザイナーズマンション、と言った雰囲気である。野枝は「雫の部屋、見て来るから待っててね!」と行ってしまう。これに同行を申し出ても構わないが、雫とそこまで仲の良くない男子探索者は野枝にやんわりお断りされることだろう。また、リビングの大きなダイニングテーブルの上には雫の筆記用具と落書きのされた紙切れが置いてある。それには、丁寧に描かれた地球と、まるでそれを眺めているような構図で月面らしい雰囲気の場所に女の子が立っている絵が描かれている。
・雫の部屋について行った探索者は、やはり小綺麗に整理された女子の部屋である、ということがわかる。加えて、目星に成功することで机の上にはダイニングに置いてあったような数枚の落書きと、月に関する本が無造作に置かれていることに気付く。軽く目を通すと、折り目の付いたページの、月に生命体は居るのか? という考察的な表記の部分にマーカーでラインが引いてあることに気が付く。また、部屋に普段着だろうそれは置いてあるもののコートや制服が無く、少なくとも家を出ているのではないかと予想できる。
・探索をしばらくしている、あるいは野枝や探索者が雫の部屋に入って「やっぱり居ないみたい」ということを確かめれば、ひとまずここでの探索は終了。家を出ない場合、裏の駐車場に車が止まるような音がしたことを聞き耳で気付かせ、家を出ることを促すと良い。
★ここまでで2日目終了。
・3日目開始。今学期の最終日であり、クリスマスである。やはり雫は学校に来ておらず、教師に話を聞くと「実は連絡が来ていない」ということがわかる。他の生徒、野枝やメール等を送った探索者も同様に連絡は来ていない。理事長に尋ねても彼女の行方は分からない。
・図書館に行き、月について調べることが可能。また、図書館に行った探索者は目星に成功すると、持ち出し禁止の棚に、かつての理事長室で見たような本が増えていることに気付く。丁度その場に居合わせていた理事長に聞くと、前任の理事長の蔵書には貴重なものもあった為、図書館に移動した、という話が聞ける。
・月について調べた場合
月面は生命が存在出来るような環境ではとてもなく、仮に存在していたとしても極環境に適応した微生物程度が関の山だろうということがわかる
月の生成については諸説あるが、現在最も有力な論として、原始地球に衝突した隕石により抉られた地球の一部が月になったとするものがある
月に地球由来の物質、及び何らかの生命を形作る素となったそれが存在しても不思議ではないが、普通の生き物では生存できないし、そのような存在の証明は為されていない。
・旧理事長蔵書について調べた場合、図書館で振った後三時間ほどを掛け、これらの蔵書に記されているおおよその情報を推測することが出来る。
調べた者は「始原であり終焉」である存在についての書籍が多く取り扱われているということに気付く。
また、アイデアに成功した場合、これらの書籍に散逸する「ウボ=サスラ」という存在は、そもそもこの学園の名前の元になっているのではないかと気付いてしまう。恐るべき存在への崇拝がかつての理事長であった怪物や野望、それに対して抱いていた恐怖を想起させる。調べた者は0/1のSANチェック。
ウボ=サスラは今もこの地球の何処かで、いつか始まるであろう「終わり」を待ち続けているが、何らかの手段でこの存在を招来することも可能であるとわかる。前シナリオにてウボ=サスラと何らかの接触があった場合、あの洞窟に潜むそれがそうではないかと探索者は気付くだろう。
※また、アイデアで振らせたりはしないが、この「終わり」が現在実は進行しているのでは、などに思い至った、及びそのようにPLが推測した場合、「それはPCが考えているということで良いか?」と質問をし、そうであると答えた場合PCはその恐怖に慄き1/1D6のSANチェックを行わせる。当該の探索者が図書館に一人で赴いていて、かつ発狂してしまった場合、理事長が精神分析で気を鎮めてくれる。
☆再び、雫の家へ
放課後、心配した野枝(あるいは探索者)が、再度雫の家へ様子を見に行くことを提案するだろう。雫の家へと向かう途中、黒塗りの大きなバンが一台探索者達を轢きかねない速度で横切って行く。
雫の家へ辿り着くと、扉がこじ開けられており家内が荒らされている。「大変! こ、これ警察とかに通報した方が良いのかな⁉︎ って言うか雫は…私見てくる!」そう言って野枝は飛び出すが、状況保存の為に制止しても構わない。また、一緒になって中を見、目星に成功すると、リビングに置いてあったはずの落書きが消えていることに探索者は気付くだろう。家の中は荒らされてはいるものの、家具や金銭が盗られた形跡は無く、まるで荒らすことが目的のようにさえ見える。なお、昨日の時点で雫の家へ付けていたのは雫の親ではなく、先程のバンである。また、もし中に入らなかった場合は玄関のすぐ外に昨日見た紙片が散らばっていることにして目星で気付かせるとよい。野枝は出てくると、中に雫が居ないことと、「何か盗られてるわけじゃないみたいだけど、中、すごい荒らされちゃってる…」と様子を教えてくれる。
探索者の通報があれば警察はすぐにでも駆けつけるが、通報しない場合は付近住民が通報し、参考人として近辺に居た探索者達と野枝は警察へと連れて行かれる事だろう。が、証拠や動機不十分という点、友人であるということからすぐに解放される。また、この時点で雫の両親に雫が行方不明であるという情報は伝わっている、ということが警察から教えられる。警察は通報してくれたことに礼を言うが、勝手に入った者(野枝や侵入した探索者)は特にペナルティは無いものの厳重注意を受けてしまうことだろう。
帰り道、野枝は「雫、本当にどこに行ったんだろう…」と心配そうに雫の安否を気にかける。何か思い当たることは無いかと聞くと、「…そう言えば、大したことじゃないかもだけど、つい最近雫と喧嘩した時、拗ねたあの子が学校の裏山に行っちゃってたことがあったかも…雫、あの山から見える月がすごく好きなんだって言ってたから。結局、暗いし寂しい! って言って帰って来たけど。あ、で、でも立ち入り禁止だから、私入ったことないよ。あの時は、帰ってきた雫がそう話してただけで」と誤魔化すように漏らす。心理学を振ると、本当に行ったことは無いだろうな、ということがわかる。
野枝と別れた後、雪が降り始める。アイデアで振り、しばらくは雪が降る予報などなかったはずだ、ということに探索者は気付くことができる。とはいえ、時期が時期である為そう珍しいものではない。が、更にもう一度目星を振り、成功したものは薄青い「満月」が出ていることに気づく。雲ひとつない快晴であるのに異様な存在感を持って天に張り付くそれに、探索者は言いようのない不安を覚え0/1のSANチェック。適宜ロールさせても構わないし、また、野枝の話を元に裏山へと向かっても構わない。向かわないなら4日目へ。
☆裏山へ
紙屋が死んだ影響もあってか、以前と同じく監視カメラは動いていないままだということがわかる。また、扉は前探索時と同様に開いており、洞窟へ向かうことは容易なようだ。更に、洞窟の奥からは吹雪を伴った猛烈な寒気が吹き出していることもわかる。常軌を逸した現象を目にした探索者は、恐怖に駆られ0/1d2のSANチェック。なお、洞窟に入る場合、適切な防寒具が無ければ全ての技能値に-20し、1時間の滞在毎にCONx5で対抗、失敗した場合洞窟内で倒れる。加えて暗い為、ライト等が無ければ更に技能値に-20する。また、学校から家へ戻り、再び洞窟へ向かうことは親などに止められ出来ないと思われるので、この日の侵入は不可能としてもよい。
★3日目終了
☆4日目
・冬休みに入る。
最近更新されたサンドボックス
ページ名 | 編集者 | 編集日時 | 作成日時 |
---|---|---|---|
Comrade_Nova | Comrade_Nova | 18 Mar 2016 01:08 | 18 Mar 2016 00:23 |
カリフォルニアロール | kasyu-maki | 17 Mar 2016 06:55 | 29 Jan 2016 02:16 |
buono_no | buono_no | 16 Mar 2016 16:11 | 16 Mar 2016 16:11 |
midori_fld | midori_fld | 15 Mar 2016 14:33 | 11 Mar 2016 12:08 |
NKMKNSN | NKMKNSN | 15 Mar 2016 11:51 | 15 Mar 2016 11:51 |
Rei_9500 | Rei_9500 | 14 Mar 2016 08:17 | 09 Mar 2016 16:40 |
M0ch12uk1 | m0ch12uk1 | 12 Mar 2016 15:51 | 06 Dec 2015 12:17 |
miai | miai | 11 Mar 2016 13:18 | 11 Mar 2016 01:22 |
cad-kado | cad-kado | 10 Mar 2016 09:15 | 10 Mar 2016 04:41 |
Sigma_Hartmann | ![]() |
09 Mar 2016 12:39 | 07 Mar 2016 09:18 |
kuromaku0217 | kuromaku0217 | 07 Mar 2016 13:09 | 05 Mar 2016 13:37 |
tenjisippo | tenijsippo | 06 Mar 2016 05:21 | 13 Feb 2016 07:52 |
nishikigoi8492 | NeonTetra8492 | 05 Mar 2016 18:00 | 07 Dec 2015 01:29 |
SCP-993-JP-Test | Horippy | 05 Mar 2016 16:39 | 05 Mar 2016 16:29 |
MAKAISEIBUTU | MAKAISEIBUTU | 05 Mar 2016 04:45 | 05 Mar 2016 04:45 |
aa 拒絶するトンネル | Tyatya_Re | 04 Mar 2016 05:23 | 04 Mar 2016 05:13 |
yujcy | yujcy | 01 Mar 2016 14:29 | 01 Mar 2016 13:46 |
atuiyakan | atuiyakan | 29 Feb 2016 07:54 | 21 Jan 2016 07:25 |
kizm_c5 | kizm_c5 | 28 Feb 2016 11:45 | 26 Feb 2016 03:44 |
エージェント・猫宮のダンボール箱 | nekomiya_guu | 24 Feb 2016 08:58 | 07 Dec 2015 01:27 |
Gearboxのがらくた箱 | Gearbox2431 | 23 Feb 2016 12:43 | 21 Feb 2016 02:15 |
ituka | ituka | 23 Feb 2016 12:04 | 18 Feb 2016 16:56 |
小山の箱 | koyama_hinata | 23 Feb 2016 07:27 | 27 Dec 2015 08:55 |
gangerio | GANGERIO | 20 Feb 2016 02:57 | 17 Feb 2016 13:29 |
sukoooo | sukoooo | 15 Feb 2016 07:43 | 14 Feb 2016 14:23 |
神宮寺博士に綴られた文書 | PertProducer | 15 Feb 2016 02:50 | 06 Dec 2015 11:54 |
baketu | baketsu | 14 Feb 2016 10:40 | 21 Jan 2016 11:16 |
H-K | H-K | 13 Feb 2016 04:26 | 21 Jan 2016 04:38 |
tararab | tararef | 12 Feb 2016 05:17 | 12 Jan 2016 04:01 |
anknown | anknown | 10 Feb 2016 12:49 | 10 Feb 2016 12:27 |