サンドボックス-8128

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Deleted

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの収容室は、実験時を除いていかなる人員の侵入も禁止してください。収容室は周囲を厚さ150mm以上の防音壁で覆ってください。SCP-XXX-JPは収容室内の一辺30cmの立方体のガラスケース内に保管されます。ガラスケースの内部にはマイクが取り付けられ、SCP-XXX-JPから発せられる音が常時監視されます。

説明: SCP-XXX-JPは、長さ19.3 cm、直径33.0mmのエリンギ(Pleurotus eryngii)です。SCP-XXX-JPは、非活性状態では異常な自己修復能力を除き通常のエリンギと同じ性質を持ちます。その自己修復能力のため、SCP-XXX-JPは完全な破壊が不可能であると考えられています。

SCP-XXX-JPの活性状態は、第一段階と第二段階からなります。第一段階では、SCP-XXX-JPは220Hz~440Hzの音を発します。この音は人間の男声に似ていますが、発音は「ア」のみです。この状態は30秒~5分続き、この状態が終了すると不活性状態または後述の第二段階へ移行します。

第二段階では、SCP-XXX-JPは第一段階より高い、440~3520Hzの音を発します。第二段階では「ア」以外の音も発音されます。第二段階の音は女声で合唱曲を「歌って」いるように聞こえます。この音にはミーム性があり、この音を聞いた対象はSCP-XXX-JPとの"合唱"を行おうとします。この"合唱"は人数に応じて女声二部合唱、混声三部合唱、混声四部合唱のいずれかの形式をとります。この"合唱"では常に、男性が女声を、女性が男声を歌います。対象の音域がこれらのパートに適さない場合、不明な方法で対象の声帯が改変されそのパートに適した音域となります。この段階は5~30分続き、終了すると不活性状態へ移行します。

SCP-XXX-JPから直接発せられる音だけでなく、この"合唱"も同じミーム効果を持ち、これを聞いた人間も同様の"合唱"を始めます。この性質により、後述のインシデントXXX-1が発生しました。

第二段階に入ったSCP-XXX-JPにより改変された声帯はSCP-XXX-JPが不活性状態になっても元に戻りませんが、声帯の改変による対象への健康状態の影響は確認されていません。

インシデント記録XXX: 2018/█/██、SCP-XXX-JPが収容違反を起こし、第二段階に突入したSCP-XXX-JPは合計███人を"合唱"に巻き込みました。この収容違反は機動部隊によって鎮圧され、"合唱"の参加者にはカバーストーリー「声別入れ替わり合唱」が適用されました。声帯が改変されなかった█人を除き、"合唱"の全ての参加者は現在財団の保護下に置かれています。

事案XXX: 2018/█/██、第一段階に入ったSCP-XXX-JPは5█Hzの音を発しました。SCP-XXX-JPの異常性に変化が見られなかったため、収容プロトコルの改定は必要ないと判断されました。

実験後、D-35201にインタビューが行われました。以下がその記録内容です。

インタビュー記録XXX:
(実験記録002で用いた男性にインタビューする。Dクラスは曲が頭の中に流れてくると説明し、声が高くなったことについて不満を抱いている)

対象: D-35201

インタビュアー: 佐藤博士

<録音開始, 2018/█/██ 7:49:20>

インタビュアー: あなたがSCP-XXX-JPの音を聞いた時のことを話してください。

D-35201: そんなことよりおれの声を元に戻してくれ!

インタビュアー: 落ち着いてください。財団の研究員があなたの声を元に戻す方法を探しています。

D-35201: こんな状況で落ち着けるわけないじゃないか!おれの声はどこへ行った!

インタビュアー: そうですね。では、1週間後にあなたの声帯を手術して声を元に戻すことを約束しましょう。

D-35201: それはありがたい。

インタビュアー: さて、改めてインタビューを行います。あなたがSCP-XXX-JPの音を聞いた時のことを話してください。

D-35201: おれはあのエリンギを見ておいしそうだと思った。あいつを食ってしまおうかとも考えた。でもおれはあいつの声を聞いた瞬間、あいつと合唱したくなった。そしたらメロディーが頭の中に流れてきて、気がついたらおれはそのメロディーを歌っていた。おれは無意識のうちにあいつと合唱していたんだ!

インタビュアー: 合唱している間、あなたはどのように感じましたか?

D-35201: 合唱してる間は、なんかこう、すごい幸せで、ずっと歌っていたい気分だった。合唱が終わった時の脱力感がすごかった。

インタビュアー: わかりました。では、あなたの声の変化について説明してください。

D-35201: おれは合唱の間、普段なら絶対でないような高い声を出していた。どこから声が出てたのか見当もつかねぇ。で合唱が終わって、気が付いたらこんな女みたいな声になってた。お前はこの声をちゃんと戻すっていうが、100%保証はできないだろ?

インタビュアー: 100%の保証はできませんが、財団として私はあなたにできる限りの努力をすることを約束します。

<録音終了, 2018/█/██ 7:58:40>

終了報告書: D-35201には記憶処理を施した後解放しました。

補遺: SCP-XXX-JPは、██県の男声合唱団の間で広まっていた「声を持つエリンギの声を聞くと高音が出るようになる」という噂を聞いた機動部隊がSCP-XXX-JPの場所を特定、██県の混声合唱団「█████」の使用する音楽準備室にあったSCP-XXX-JPを確保・収容する形で2017/█/██に財団に収容されました。「█████」のメンバーはカバーストーリー「合唱による音域の変化」が適用された後、解放されました。また、██県の全ての男声合唱団員にはAクラス記憶処理およびカバーストーリー「テノール歌手エリンギ・T」を適用しました。

補遺2: 2018/█/██、SCP-XXX-JPの底部に「8」の文字が現れました。文字の出現後も異常性に変化が見られないことから、特別収容プロトコルの改定は行われていません。