Napier

[斬鉄剣にあらず]

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

かたなs.jpg

確保直後のSCP-XXXX-JP。刀身は記録から復元された模擬刀であり、後の研究で鞘に異常な性質がある事が判明した。

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはその内部から全ての金属を取り外し、木製文化財に対する一般的な防護処理を施した後、財団標準の低危険度オブジェクト収容ロッカーに収容してください。
SCP-XXXX-JPの性能に関する実験を行う場合は、刀身と切断対象の素材及びその構成情報を担当研究主任に提出し、半径15kmの安全性が確保できる屋外試験場において実施されます。また、財団標準の救急医療チームを配置して
被験者の異常性への暴露に対応してください。
被験者に対しては、その異常性が低減し安全が確保できるまで経過観察を実施してください。

説明: SCP-XXXX-JPは全長65cm程度の刀の鞘です。鞘本来の刀は発見されておらず、何らかの理由で遺失したと考えられています。
SCP-XXXX-JPの異常性は、オブジェクトに何らかの金属を収納し腰に佩く、あるいは単純にオブジェクトを腰に当てるなどして構える、一般に”居合切り”と呼称される構え・動作を行うことで発揮されます。
何らかの対象を切断するために、SCP-XXXX-JPを用いて”居合切り”と呼ばれる動作を行った場合、その使用者の身体、特に筋肉や骨格へ異常な干渉を行い、対象の切断を成功させます。
SCP-XXXX-JPに収納される刃物は刀以外でも異常性を発揮し、柳葉包丁や市販のカッターナイフ、刃引きを行った模擬刀などでもその発露が確認されています。ただし木製である等、刀身に金属を使用していない場合や、刀身の幅が広く先端部分しか入らないなどSCP-XXXX-JPに完全に収納できない場合、異常性が発揮されることがありません。切断する対象の直径が刀身を大きく超える場合も同様です。
 
補遺1: 以下のSCP-XXXX-JPの性質解明において、特に有意であると考えられている実験記録の抜粋です。完全な記録を参照する場合は、担当研究主任に問い合わせてください。
 

実験記録A-006<実施日:2013年7月27日>
被験者: 40代のモンゴロイド男性D-26457

実験方法: D-26457にSCP-XXXX-JPと刃渡り50cmの実験用模擬刀を使用させ、目の前に設置した直径40cmの石柱を切断させる。

結果: 切断成功。
模擬刀の刀身は300m/sまで加速し、石柱を破壊しながら切断した。
SCP-XXXX-JPから模擬刀を引き抜く瞬間に、D-26457の上半身の筋肉が異常に肥大し、財団標準のDクラス職員の制服が断裂した。特に刀身を握った右腕とその肩、腹筋・広背筋の肥大化が著しく顕著であり、身体の左右や下半身、首回りと比較し非常にアンバランスな姿となった。実験直後の検査で、D-26457の筋肉は肥大化とともに密度も増しており、骨密度も異常値を記録していました。実験前と比較し体重は45kg増大していました。実験後、D-26457に対して経過観察を実施。前述の筋肉・骨に関する数値を除けば異常はなく健康体でしたが、筋組織の肥大化に伴い、重心が体の右側後方に偏ったため歩行困難になりました。

付記: D-26457の筋肉・骨組織の状態は時間と共に正常化しました。これは維持に必要なトレーニングと各種栄養の不足に起因する組織の弱化であり、正常な生命活動だと考えられます。
身体組織の肥大化に伴う衣類による窒息や鬱血を防ぐため、今後被験者は特別の理由がない限り衣服の着用を認めません。

 

実験記録A-018<実施日:2013年10月2日>
被験者: 30代のアングロサクソン男性D-34365

実験方法: D-34365にSCP-XXXX-JPと刃渡り50cmの実験用模擬刀を使用させ、頭上12mに設置した直径30cmの石柱を切断するように指示。

結果: 切断成功。
D-34365は地上12mの石柱へ向け飛び上がり、その勢いを乗せて石柱を切断。D-34365自身の最大到達高度は63mであった。
SCP-XXXX-JPから模擬刀を引き抜く瞬間に、D-26457の下半身と右腕周辺の筋肉が異常に肥大。特に大腿部の筋肉の肥大化は他の部位と比較して際立っていたが、ハムストリングスなど跳躍に強く関係しない部位に変化は見られなかった。実験直後の検査で、D-26457の筋肉は肥大化とともに密度も増しており、骨密度も異常値を記録していたことが判明。また、大腿部の筋肉の肥大化により足を閉じられなくなりました。体重は74kg増大していました。

付記: D-26457は地上63mの高さから自由落下しましたが、足から着地し無傷でした。

 

実験記録A-031<実施日:2014年1月29日>
被験者: 50代のモンゴロイド男性D-29876

実験方法: D-29876にSCP-XXXX-JPと刃渡り50cmの実験用模擬刀を使用させ、目の前に設置した直径20cmの超硬合金・炭化タングステンの鉄柱を切断するように指示。

結果: 切断成功。
SCP-XXXX-JPに収納された模擬刀は、推定で█████m/sの速度に到達し、模擬刀の刀身はその異常な加速度に曝されたことでメタルジェット化しました。メタルジェットは炭化タングステンの鉄柱を切断し、その断面を溶解させた。鉄柱に接触しなかったメタルジェットの一部は、扇状に広がって飛散し、サイト-2718の実験室の内壁に衝突し貫通。サイト-2718を半壊させました。その後サイト-2718外部で大気との摩擦により燃焼し、焼失したと考えられています。
SCP-XXXX-JPによって模擬刀の刀身が音速を超えたためにソニックブームと衝撃波が発生。D-29876は至近距離からその衝撃波と飛散した鉄柱の断片を受けたことで瀕死の重傷を負いました。

付記: D-29876は一命を取り留めました。D-26457が致命傷を免れたのは、異常に強化された筋肉・骨格によって守られていたためでした。実験後、筋肉の肥大などによりD-29876の体重は████kg増加しました。現在D-29876の健康状態は概ね良好ですが、肥大化した筋肉に血中の栄養が消費され、慢性的な栄養失調に陥っています。
本実験以降、屋内で性能試験を実施することは禁止されました。

 
補遺2: 収容の経緯及び事故記録XXXX-JP-01
SCP-XXXX-JPは奈良県██████市の居合道場の師範代である上井氏が保有していました。その来歴などは不明で、道場の価値ある備品の1つとして管理されていました。
エージェント笹原は当該の居合道場にある名刀の噂を調査するために、居合道場の主である上井氏の元を訪れており、調査をスムーズに行うために、上井氏とのコミュニケーションの一環として居合の手ほどきを受けていました。
その際、上井氏が言い伝えから、SCP-XXXX-JPの性質を鞘ではなく刀身に由来するものであると誤解していたため、エージェント笹原が居合の手ほどきを受ける中で意図せずSCP-XXXX-JPを把持し、その異常性に暴露しました。
エージェント笹原は切断対象であった巻き藁へ居合切りを試したところ、その6~7m手前で道場の劣化した床板に足を取られ転倒。その直後、不足した距離を補うようにエージェント笹原の両足・右腕が勢いよく伸長し、刀身が巻き藁を切断しました。
後日、SCP-XXXX-JPの異常性がエージェント笹原の証言から立証され、上井氏への記憶処理の後、オブジェクトの収容に至りました。
エージェント笹原にSCP-XXXX-JPが付与した異常性を取り除く試みは、現在まで成功していません。
この試みが成功するまで、エージェント笹原に対して獲得した異常性を有効に活用できる任務を与えることが許可されています。

三つの部位は最大20mまで伸びるようです—境原博士

補遺3: 回収された文書1580-A
下記は上井氏の収集品調査の過程で発見された文書です。文書に刀を収めたSCP-1580-JPと思われる図が貼り付けられています。貼り付けられた図と比較し、文書が記された紙は新しいため記載内容は写し、あるいは翻訳であると考えられます。上井氏の収集品の中に、図のSCP-1580-JPに納められている刀と一致するものはありません。

用ゐ方
刀何某に突き刺しおくが要りあり。
刀に突き刺されし何某より、力奪ひ取るべきものなり。
奪ひ取られしものは、干からぶる事を待つばかりなり。
本来ならば。
用ゐ続けよ。

 
_________記事ここまで__________
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権利表記
photo by まぽ  from photo-ac
https://www.photo-ac.com/main/detail/1560810?title=%E6%88%A6%E5%9B%BD%E6%AD%A6%E5%B0%86%E3%81%AE%E5%A4%AA%E5%88%80
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以下の記述は改稿中のSCPである。
 
 説明: SCP-XXXX-JPは直径が最小で3m、最大で5mほどの球形をした異常な空間です。2004/12/11に一斉に出現したSCP-XXXX-JPをSCP-XXXX-JP-Aに、2005/3/6に一斉出現したSCP-XXXX-JPをSCP-XXXX-JP-B群に指定します。

財団の研究者グループは、他の類似するオブジェクトとの技術的な関連性からSCP-XXXX-JP内の異常空間では空間のみならず、正常でない時間経過が発生している可能性が指摘されていました。

すべてのオブジェクトの異常空間内部には[データ検閲]によって構築された構造体と、その冷却機材と推測される物体が出現しており、構造物などの経年劣化を防止するためと思われる不活性ガスが充填されています。
また、構造体を制御すると考えられる電子機器は、未知のプログラムコードが用いられており、機器本体も現存するあらゆる電子機器に該当しません。ただし、内部部品のパーツには一部M██████、やF███████など現存するメーカーのロゴマークなどが確認できます。
  

補遺3: 後日、財団の歴史資料の調査チームにより、SCP-XXXX-JPが現在の三重県伊賀市で1500年代に作り出された忍者刀であると判明しました。

権利表記
1枚目
photo by ArtTower  from pixabay
https://pixabay.com/ja/photos/大聖堂-洞窟-自然-岩-51483/
2枚目
photo by Surrey NanoSystems CC-BY-SA, from Wikimedia Commons
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Vantablack_01.JPG

評価: 0+x

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter

特別収容プロトコル:

説明:

補遺: