Nanoskalig

 世界の歪み、宇宙のどこかで一瞬、または数千年、もしくは数万年生じる、概念の裂け目。
以前に地球付近で発生したものは巨大な隕石を作った。そして、今は日本、静岡にある。
男は住宅街の中思索した。
――俺は今何をしているんだ。今どこにいてこれからどうしようというのだ。――
男は、いつも彼がそうするようにコンビニでフライドチキンを買い、晩酌を想像して自転車を走らせていた。
霧の深く立ち込める中――濃霧注意報が出ているらしい――男はいつも通る道と違う道に進んだ。
異常の無い家々の前を通り、どこにでもいるような巨大生物を素通りし、チキンを冷やすまいと急いでいた。