あー、あー、テステス…。よし、こんな感じか。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:Euclid
特別収容プロトコル:
全国の医療機関にSCP-XXX-JPの初期症状が見られる患者が確認された場合専用対策科に偽装した財団フロント企業に連絡するよう通達し、連絡が入った場合、エージェントを派遣しSCP-XXX-JPを発症していることを確認し次第患者を確保してください。担当医師及び関係者には記憶処理を施しカバーストーリー「熱中症による死亡」を流布してください。
SCP-XXX-JP-1群はサイト-81██内の専用の収容室に収容されています。収容室内は常に水蒸気で満たしSCP-XXX-JP-1の転移を防止してください。廃棄したい液体がある場合、██博士に申請し許可を得た上でSCP-XXX-JP-1を用いて廃棄することが認められています。
説明:
SCP-XXX-JPは人間が水分不足により意識不明の状態に陥った際に発生する異常症状です。日本では全国の熱中症患者のうち2.5%がSCP-XXX-JPを発症しています。
SCP-XXX-JPを発症した患者は初期症状として体温が急激に上昇し、大量の発汗が起こります。この体温上昇は冷却によって停止させることができず、患者の体内の水分がすべて消費されるまで続きこの時点で患者は完全に死亡します。その後全身の体組織及び体内の各臓器1が急速に乾燥、収縮及び硬化し、ミイラ化します。この状態になった対象は後述する異常性を獲得しSCP-XXX-JP-1と呼称されます。
SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPにより発生する異常実体であり現在42体が収容されています。外見は典型的な人間のミイラであり、知性及び運動能力はありません。
SCP-XXX-JP-1の特筆すべき異常性は液体の吸引能力及び転移能力です。SCP-XXX-JP-1は常に自身の周囲3.6m内の液体を吸い寄せておりSCP-XXX-JP-1の体表に付着した液体を瞬時に消失させます。この吸引能力は液体にのみ作用し、ゲル状のものは対象になりません。また、容器などに液体が入っていた場合容器がSCP-XXX-JP-1に接触した瞬間に容器内の液体が消失します。また、SCP-XXX-JP-1は自身の周囲に液体が存在しない場合未知の方法で瞬間的に転移します。このとき、転移先は多量の水が存在する場所に限定されます。
また、SCP-XXX-JP-1が液体を摂取できない状態が約27時間継続した場合、SCP-XXX-JP-1は付近の液体がある地点へ転移します。初期収容時には3体のSCP-XXX-JP-1が収容違反を起こしました、以下はその表です。
SCP-XXX-JP-1収容違反時の転移先リスト転移先 | 備考 |
サイト-81██屋上の貯水タンク内 | サイト内で長時間の断水が発生した。勤務中の整備員により発見され、問題なく再収容された。 |
サイト-81██下の下水道 | 転移地点から水路2km分の汚水が消失、吸引能力のおおまかな範囲及び有害な液体への耐性が確認された。 |
SCP-███の飼育水槽内 | 水槽内の水がすべて消失。同時に発生した断水によって送水が間に合わずSCP-███が衰弱、現場の研究員によってSCP-███は臨時水槽へ移動させられたがそのまま衰弱死した。 |
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは財団のデータベースに収容されています。閲覧後はQクラス記憶処理を受けてください。
説明:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 該当地域には「熊出没注意」の看板を設置し、一般人の接近を防止してください。██川上流に繋がる道路は封鎖し、道路入口に隣接したプレハブに財団フロント企業の警備員1名を常駐させ、一般人を██川上流へ侵入させないようにしてください。1週間に1度SCP-XXX-JPと元関取のエージェント███で相撲を行わせ、██川からの移動を抑制します。SCP-XXX-JPの体内のGPS装置により常に現在地を把握し、活動領域の移動が確認された場合即座に場所を特定し、同様の対応を行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは岩手県██市の██川の上流に出現する実体です。SCP-XXX-JPは██川上流で人間が「泳ぐ」、「遊ぶ」、「騒ぐ」などの行為を行っていると出現します。体長約150cm、体重約60kgの一般的なモンゴロイド系男性の外見をしています。両手足の指の間には水かきが付いており、頭髪は撥水性の高い物質で覆われています。水中での活動能力が高く、██川から離れたサイトでの大型水槽を用いた収容は壁面への衝突などによる対象の著しい衰弱を招きました。これ以上の水槽の拡張は現地での収容に比べ必要性が薄いとされ、現在の収容プロトコルが確立されました。
SCP-XXX-JPは人間と接触すると「相撲」による勝負を申し込んできます。
相手が断った場合、再度申し込んできますが断られ続けた場合SCP-XXX-JPは川に飛び込んだ後全身が液状化します。成分分析の結果、この液体は██川の水と成分完全に一致しました。このとき直径約5cmの球状の核が出現します。この核は自律して水中を俊敏に動き、その場から逃走するように移動します。SCP-XXX-JPが液状化した際に固体として残存するのはこの核のみであり、この核に防水機能とGPSを備えた機器を括り付けたことで現在地の把握が可能となりました。この核が水中に存在する場合、SCP-XXX-JPは任意のタイミングで周囲の水を元に肉体を構成し、再び実体化します。SCP-XXX-JPの体温が0℃より高いのにも関わらず身体が融解しない原理は不明です。
相手が相撲の申し込みを受けた場合、SCP-XXX-JPは川辺の砂に円を描く、または川辺の石を用いて土俵を作成します。その後両者による相撲が行われ、SCP-XXX-JPが敗北した場合SCP-XXX-JPは対戦相手を賞賛し、「賞品」としていくつかのものを対戦相手に渡します。
回収された「賞品」のリスト
- キュウリ(Cucumis sativus)13本
- ヤマメ(oncorhynchus masou masou)3匹
- アユ(Plecoglossus altivelis)4匹
- 元禄時代のものと思われる小判2枚
- ニホンザル(Macaca fuscata)の物と思しき仙骨
相撲に勝利するとSCP-XXX-JPは瞬時に対戦相手の臀部に手を突き刺し、対象の仙骨を抜き取ります。この時対象から苦痛を感じる様子はみられず、直後は外見上出血・外傷も発生しません。しかし対象はその後骨盤内での臓器変形に伴う多量の出血、また神経断裂による諸症状を現し、結果永続的な下半身不随に陥ります。
SCP-XXX-JPは2017/█/█に地元の医院から財団職員が管理する地方病院への異常患者の連絡により財団の注意を引き、その患者に接触したエージェント███により、場所の特定とSCP-XXX-JPの確認に至りました。
インタビュー記録SCP-XXX-JP
対象 SCP-XXX-JP
録音日時 2017/█/██〈録音開始〉
██博士: それではインタビューを始めます。SCP-XXX-JP: インタビュー?そんなよく分かんないことより相撲やろっさ、相撲!
██博士: お誘いは嬉しいですが、またの機会にさせていただきます。
SCP-XXX-JP: えー、やろっさ相撲、絶対楽しいって。あっ、あんたが勝ったら賞品あげるからよ、ほら、1回だけでも。
██博士: …ずいぶんと相撲がお好きなんですね?
SCP-XXX-JP: ん、まぁな。相撲は好きだぜ、それに親父が言ってたんよ、俺くらいの年なら相撲で人間さ負かすのが当然だったってな。
██博士: あなたの父親は人間と勝負をしたことがあるということですか?
SCP-XXX-JP: おう、勝利した証って言って沢山の尻子玉の殻を見せてくれたぞ。
██博士: 尻子玉?
SCP-XXX-JP: 知らないんか?俺らは人間に相撲で勝ったら勝利の証として尻子玉を抜き取らせてもらうんよ。あ、もしかしてそれが怖いから相撲やらないんか?大丈夫大丈夫!痛かないって!
██博士: なぜあなたは対象に痛みを感じさせずにその尻子玉とやらを抜き取れるのですか?
SCP-XXX-JP: うーん?俺もよく分かってねぇんだけど、相撲で勝って興奮すると手の先がこう、ジュワジュワしてなぜか手が突き刺さるようになるだよ、そんで手を突っ込んで手の先にある丸っこいもんを引っこ抜くわけさ、親父もそう言ってたし。でもなんか変なんだよな、親父が見せてくれたやつほど丸っこくねぇような気がすんだよ、俺が取った尻子玉。まぁ気のせいだよな。
██博士: なぜあなたは相撲をして尻子玉を集めようとするのですか?
SCP-XXX-JP: だってよー、親父は俺に尻子玉を見せるときいっつも嫌になるほど自慢してきたんよ、「俺はこんなにも沢山の人間に勝ったんだ。俺たちはただでさえ数が少ないんだから、お前も1つや2つ取ってもっと家族を増やしてくれや。」ってさ。あんまりにも同じこと言われて鬱陶しくなったから、ある日「俺だってそんぐらい集めてやらぁ!」って言い捨てて家出してやったんさ。
██博士: それでこの場所にたどり着いたということですか。
SCP-XXX-JP: ああ。でもやっぱり変だよなぁ、そろそろ家族が生まれてきてもいい頃なんだけんど…。まぁでもよ、俺は親父を見返すためにも人間の尻子玉さ欲しいんだ。ほら、相撲やろっさ!
〈録音終了〉
SCP-XXX-JPの発言から繁殖方法の異常性が予測されます。次はより異常性に詳しいと思われる父親について聞き出すことにしましょう。 -██博士
対象 SCP-XXX-JP
録音日時 2017/█/█〈録音開始〉
██博士: 今日はあなたの父親について質問させて頂きます。
SCP-XXX-JP:
██博士:
SCP-XXX-JP:
██博士:
SCP-XXX-JP:
██博士:
SCP-XXX-JP:
██博士:
SCP-XXX-JP:
██博士:
〈録音終了〉
SCP-XXX-JPの父親と見られる存在の調査は現在進行中です。また、SCP-XXX-JPに類似した異常性をもつオブジェクト群の存在が懸念されており、その調査も同時に行われています。
████/█/██、警備員を常駐させているプレハブから襲撃があったとの連絡がありました。急行したエージェントにより保護された警備員は、複数箇所の外傷に加えて一時的な歩行障害2に陥っていましたが、検査の結果特筆すべき異常は確認されませんでした。
プレハブに設置された監視カメラの映像を解析したところ、襲撃者と思われる実体の外見が██研究員に酷似していました。しかし、██研究員は当時別サイトにてオブジェクトの研究を行っていたことが同サイトの職員により明言されています。
██研究員にインタビューを行ったところ、██研究員は幼少期にSCP-XXX-JPに似たオブジェクトと遭遇し相撲を行っており、敗北した後上記の警備員と同様の歩行障害に陥ったことが判明しました。なお、襲撃者と思われる実体は現在まで発見されていません。