アイテム番号: SCP‐XXXX‐JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP‐XXXX‐JPはサイト-81XXにある標準ロッカーに収容されています。オブジェクトとの誤認を防ぐためにサイト内に存在するVRゴーグルには全て識別マークを付けて下さい。
説明: SCP-XXX-JPは異常な████社製VRゴーグルです。形状材質等一般的なVRゴーグルと違いはありません。人間がSCP‐XXXX‐JPを装着すると、その異常性が現れます(以後「活性状態」と表記)。この異常性の一連の流れはいわゆる「育成ゲーム」のプロセスに酷似しています。
(2018/05/01)観察において録画機器に写ったSCP‐XXXX‐JP‐1
オブジェクトが活性状態に入ると、第一段階としてVR画面である装着者の視界上にSCP‐XXXX‐JP‐1が現れます。SCP‐XXXX‐JP‐1はゴーグルの装着者において最もポピュラーに思い浮かべられるネコの姿をしています。 年齢は容姿に関わらず0歳半と推定され、段階が進むにつれ成長していきます。
SCP‐XXXX‐JP‐1を視認すると、対象は深い幸福感と愛着を覚え、SCP‐XXXX‐JP‐1を親しい友人と認識します。オブジェクトが装着されると対象に癒着し、あらゆる手段をもっても分離が困難なため、現在まで装着者とオブジェクトを引き離す試みは成功していません。
対象がオブジェクトを装着してからおよそ1~2週間でSCP‐XXXX‐JP‐1の活性状態は第二段階へと移行します。この状態になると、対象はSCP‐XXXX‐JP‐1に実際に触れているかのような肉体的感覚を得ることが報告されています。この時、対象は世界の様々な有名な観光地に次々と旅します。これは、SCP‐XXXX‐JP‐1が対象へ旅行をしたい旨を何らかの手段を用いて表現しているのだと考えられています。
さらに1~2週間ほど経過するとSCP‐XXXX‐JP‐1の活性状態は第三段階へと移行します。対象はSCP‐XXXX‐JP-1に対して愛情に近い感情を抱くようになり、SCP‐XXXX‐JP-1を親しみを込めたあだ名で呼び始めます。この時期になると対象は自宅に帰ることが無くなるほど各地を転々とします。また、対象はこの時点で完全に他人への興味を失くし、自身への呼びかけに対して返答もしません。対象は食事、睡眠を3週間ほど取っていないにも関わらず、身体は健康状態を保っています。この理由は現在も明らかになっていません。
第三段階から1週間ほどで対象は生命を維持することも困難な栄養失調に陥り、死に至ります。しかし対象には一度たりとも苦痛を感じる様子は一切無く、死の直前まで幸福感を感じ続けていたと報告されています。対象が死ぬとオブジェクトは不活性状態になります。対象が死亡しオブジェクトの取り外しが可能になると、SCP‐XXXX‐JP‐1はすでにVR画面上から消滅しており、その存在の痕跡もありませんでした。
SCP‐XXXX‐JP‐1は対象との会話があることから知能があるとされています。また、会話においてSCP‐XXXX‐JP‐1は未知のエネルギーの存在を示唆しています。
観察記録XXXX‐JP
手順: 被験者となるⅮクラス職員にSCP‐XXXX‐JPを装着させ、SCP‐XXXX‐JP‐1を発生させる。同時に、SCP‐XXXX‐JPにある接続口に録画機器を接続し、VR画面を24時間リアルタイムで録画。
2018/05/01
被験者がオブジェクトを装着してすぐ、VR画面上にSCP‐XXXX‐JP‐1‐1が出現。一般的な明るい茶トラのイエネコの姿をしている。画面上を動き回り、時々小さな鳴き声をあげる。食事や排泄や睡眠をとることはない。画面右上に『なかよしめーた』と書かれたゲージが出現した。
2018/05/15
SCP‐XXXX‐JP‐1の活性状態が第二段階へと移行。あちこちを走りまわって尻尾をふっている。画面上に突如現れたキャットフードらしきものを食したり、眠り込んだりしている。また、被験者が誰かと会話するように呟き始める。対象は何らかの方法で被験者とコミュニケーションをとっているようだ。録画が乱れ始め、ところどころ記録されていない部分が発生し始めた。(『なかよしめーた』ゲージが30%に達している)
2018/05/24
活性状態が第三段階へと移行。被験者は対象のことを「███ちゃん」(被験者の下の名前)と呼んでいる。一般的なコミュニケーション程度の会話をしていることが確認された。SCP‐XXXX‐JP‐1‐1は一般的な人間と同程度の知能を獲得しているようである。しかし、録画の大部分はノイズが入ってしまっており、対象が何を言っているかは不明。(『なかよしめーた』ゲージが75%に達している)
2018/06/02
『なかよしめーた』ゲージが100%に到達した。
一部の会話の記録に成功した。※SCP‐XXXX‐JP‐1‐1を「ネコ」と呼称している。
ネコ: ぼく ほんものに なることが できるの!
被験者: 本物?どういうこと?
ネコ: ██ちゃん(被験者の下の名前)が まいにち おせわして くれたから 『なかよしめーた』が たまったの!
ネコ: まんたんに なると あと ちょっとで ぼく キミの セカイに いけるの。 キミと まいにち あそべるの! うれしい!
被験者: 毎日?本当?
ネコ: ほんと!
被験者: 夢みたい!嬉しいわ!はやく一緒に遊びましょう!
ネコ: じゃあ いまから ほんものに なる ギシキを するの!
被験者: え[不明瞭]
[この直後、録画がノイズを発生させて急停止]
[16秒の沈黙]
[録画停止]
この直後、研究員が急いで1分ほどで被験者のもとに向かうとすでに対象は死亡していた。被験者の体からは眼球が消失。脳は著しく委縮し死亡時にはほぼ物事を思考する能力が消失していたことが判明。観察は終了。
今現在SCP‐XXXX‐JP‐1に一貫してみられる特徴は以下の通りです。
- 様々な手段で装着者と意思疎通を図ることが可能
- オブジェクトの活性状態に応じて知能の発達が確認される
- 「ほんものになる」ことを目的としている(「ほんものになる」とはどのような意味で使われるのかは調査中)
補遺:(2018/06/02)
2018/05/01に行われた実験の後、サイト-81XX内でSCP‐XXXX‐JP‐1‐1とみられる茶トラのイエネコが生きた状態で発見されました。調査を行った結果、SCP‐XXXX‐JP‐1‐1の生態は一般的なネコのそれと同様であることが分かりました。また、その眼球はDNA検査での一致により被験者のものであると断定されました。1か月の調査においてSCP‐XXXX‐JP‐1‐1には眼球のほかにいかなる異常性も見られなかったため、財団で飼育されています。
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JP実体群はそれぞれプロトコルに従って以下のように収容してください。
SCP-XXXX-JP-1 東北地方██県██市にある財団が所有する██神社の本殿に収容してください。
SCP-XXXX-JP-2 九州地方██県██市にある財団が所有する██神社の本殿に収容してください。
収容違反が発生した場合、SCP-XXXX-JP-1とSCP-XXXX-JP-2を遭遇させないようにすることを最優先としてください。
説明: SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-1とSCP-XXXX-JP-2の2体からなる異常な動物型実体群です。
私の言うことなどろくに聞きもしない他の連中には通じないだろうが、奴は確かに今も「食っている」。そもそも、 私にはあまり時間がない。確保、収容、保護。確保、収容、保護。思い出せ。財団の有るべき姿を。
O5-██
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: あ
説明:
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPの敷地及びその隣家の2軒には民間人の立ち入りが許可されていません。SCP-XXXX-JPの隣家には常に2人以上の職員を居住させてください。 SCP-XXXX-JP区域において配属された全職員はSCP-XXXX-JPに関して発生するイベント(後述)に対し
説明: SCP-XXXX-JPは██県██市██に存在する一軒家とその住人である2体の人型実体から成る異常存在です。SCP-XXXX-JPの内部には一般的な日本人の男女一組が居ます
SCP-XXXX-JP-Aは
SCP-XXXX-JPは日本時間に従って毎日イベントを行います。行われるイベントの全ては滞りなく進行します。
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPを用いた実験は申請書を提出しサイト上層部から承認を受けた者のみに限られます。SCP-XXXX-JPはサイト-81XXの防音研究室に保存し、研究室に入る際は必ず1人のみで入退室してください。認識災害防止の観点から、研究室内では観察、実験以外の無作為な行動は行わないでください。研究室から退室する職員には言語機能に関するテストが行われ、記憶処理が施されます。
説明: SCP-XXXX-JPは2000以上の部品と22インチディスプレイパネル、直径約30cmのパラボラアンテナから成る重さ約1tの電気駆動式の機械です。本体はパラボラアンテナが接続されている部分を除いて未知の方法で接続されており、分解または接合は成功していません。アンテナが接続された部分のみ本体との分離が可能ですが、インシデント防止の観点から分離することは許可されていません。調査の結果、SCP-XXXX-JPは西暦700年ごろから存在していることが明らかになっており、度重なる改造の過程で今現在の電気駆動式になったと推定されています 。
SCP-XXXX-JPのディスプレイ上に表示された画面
ディスプレイには常にインターネット上の翻訳サイトのような構成の画面が表示されています。「入力」と表示されたブースに文字を入力すると、「出力」と表示されたブースに入力した言葉を端的に表す擬声語または擬態語が表示されます。出力された擬声語や擬態語は一般に社会に共通の認識がなされていない未知のものを含みます。また、アンテナ部は声、音、動作などに反応して入力ブースと連動し、アンテナ部が受け取った事象が言語化されて自動的に入力されます。どの入力方法においても、出力ブースに文字が入力されたときには必ず出力されています。
出力された擬声語、擬態語はヒトの会話に用いられることによって爆発的にその社会的共通認識を高めていきます。この異常性による重大なインシデントや事件は発生していませんが、新たな擬声語、擬態語が大量に発生するのを防ぐため、SCP-XXXX-JPによる実験はサイト上層部から承認を受けた者のみに限られています。
実験記録XXXX-JP-021,037,475,272,370(2019/05/23-2019/07/31)
対象: 直径約20cmの大きな綿あめ
結果: アンテナを向けると入力ブースに「わたあめ」と入力、「ふわふわ」と出力された。
分析: 既知の言葉も出力するようだ。特に異常は見られない。
対象: 京都の茶屋『████』の舞妓 ██氏
結果: アンテナ部を向けると、出力ブースに「京美人」と入力、「はんなり」と出力。
分析: これも親しまれてきた表現だ。異常なし。
追記: 出力ブースに「京美人」と入力されたことを伝えると██氏が笑顔で微笑んだ。その時、まだ██氏に向いていたアンテナが反応して出力ブースに「にっこり」と表示された。オブジェクトは細かな変化も正確に読み取ることが分かった。
対象: 水着姿の男女 475-1(男性) 475-2(女性)
結果: 475-2「みずぎのおんな」と入力され、「ぴちぴち」と出力。475-1「みずぎのおとこ」と入力され、出力まで一分ほどかかる。結果、「むさむさ」と出力。
分析: オブジェクトには女性への好意的な目線でもあるのだろうか。
対象: 20本の線香花火。物部博士が昨年夏に購入したが使われず保管されていた。
結果: 「線香花火」と入力。「しゅぱ しゅぱ」と出力。
分析: 未知の擬音が出力された。
追記: この実験の1週間後に既にサイトの職員間で該当擬音についての共通認識を確認済み。
鹿島研究員: 「しゅぱ しゅぱ」…いいですね。美しさと儚さが表されていて。言葉の響きに、「自分の思い人と花火を見ることができない乙女の寂しさ」という感じが…。
物部博士: え?思い人?いや、い、いいからお喋りは後でやれ。
鹿島研究員: 急にどうしたんですか?
対象: 鹿島研究員と激怒するその息子の██氏
付記: ██君は授業参観に出席した鹿島研究員が[編集済]したことに怒りを覚えている。
結果: アンテナを向けると「親子げんか」と入力され、「だっしゃんがっしゃん」と出力。
分析: 「だっしゃんがっしゃん」。まさにふさわしい。私と妻との夫婦喧嘩も「だっしゃんがっしゃん」な感じだ。
対象: 体長約10cmのナメクジ(学名:Meghimatium bilineatum)
結果: 「なめくじ」と入力され、出力ブースに「とらり てらり」と出力。
分析: いかにもノロマそうな擬音だな。ナメクジにはぴったりじゃないか?
インシデント記録XXXX-JP
2019/08/03: SCP-XXXX-JPの研究に当たっていた鹿島研究員から「正体不明の実体が現れた」との連絡が有りました。エージェントが駆け付けると身体中が未知のゲル状物体で覆われている体長2m程度の黒い実体が廊下を歩いているところを目撃され、武装したエージェントにより銃撃されましたが、実体は即座に悲鳴に似た激しい嫌悪感を抱かせるような音を発声し、エージェントを無力化してそのまま逃走しました。回復したエージェントは実体について激しい嫌悪感を抱かせると報告し、頻繁な嘔吐の症状が有りました。エージェントに記憶処理を施した結果、体調は回復しました。
インタビュー記録XXXX-JP
対象: 鹿島研究員
インタビュアー: 物部博士
付記: 事故後鹿島研究員には軽度のうつ状態がみられる。
<録音開始>
物部博士: 気分はどうかな。
鹿島研究員: まだ落ち着きが、[呼吸を整える]いえ、大丈夫です。初めて下さい。
物部博士: 君は、あれについてはなかなか肯定的に実験をしていた。何があったんだ?
鹿島研究員: 全部私が悪いんです、私のせいで、この世に生まれるべきでないものが生まれてしまった[呼吸が乱れる]。
物部博士: 分かった、分かったから、落ち着いて話ししてくれ。
鹿島研究員: はい、あれは、私が未知の擬音を作ることの危険を知らなかったから。私は、あの日いつものように未知の擬音を生み出す実験をしていました。でも、私は、機械が変わっていたことに気づかなかったんです。あの機械、いつの間にかアップデートされてましたよ。
物部博士: 今までそんなことは確認されて無かったぞ。
鹿島研究員: それで私は、機械に新たな機能が付いてることに気づいて、それを実行したい欲にかられました。逆の機能です。実験で僕達はいつもこの世に新たな美しい言葉を生み出してるのに、誰もそのことを素晴らしく思わない。当たり前だと思い込んでいる。なんか悔しくなったんです、それで、ごめんなさい[涙を流す]。
鹿島研究員: 「████」って打って、出力しました。
鹿島研究員: 「████」は多分、人間界には存在しちゃいけない言葉だったんです。昔から日本人は、オノマトペに、そういう禁忌があることに多分気づいてた。だからこそ、今の今まで怪物を生み出すことなんて無かったんです。それが、私が「████」なんて言葉を生み出したからこんな事故が、起こってしまった[嗚咽]。
鹿島研究員: 私が生み出したあいつは、「████」そのままの姿でした。私はあれを見て、気持ち悪いという感想しか出ませんでした。それ以外に表す言葉がなかった。吐き気に襲われました。言葉には、モノ自体を作りだす強大な力がある。それに気づかなかった。私は…[涙を流す]。
物部博士: もういい、無理しないで、もう休め。
<録音終了>
終了報告書: このインタビューの後、鹿島研究員は失語症に陥りました。
会った相手に自分をライバル視させ、最後には勝たせる
財団との収容合戦もする。逃がしたけど。
太り始め、相手が自分に勝ってハイタッチした瞬間に爆発してしまう。
実はイライラ募りまくり性格悪すぎな奴だった。