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アイテム番号: SCP-XXX-JP-EX

オブジェクトクラス: EuclidExplained

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-EXの異常性を秘匿するため、カバーストーリー”健康食”を適用してください。SCP-XXX-JP-EXの物理的な収容は不要です。SCP-XXX-JP-EXの新たな個体が確認された場合には、調査の上、ナンバリングと名簿への追加を行ってください。

説明: SCP-XXX-JP-EXは記憶に関する異常性を保持する人型実体の総称です。SCP-XXX-JP-EXはその大半が████県██████村の住民であり、20██年3月現在までに1██体が確認され、SCP-XXX-JP-EX-1からSCP-XXX-JP-EX -1██までのナンバリングがされています。

SCP-XXX-JP-EXは、SCP-XXX-JP-EXが保持する、1997年3月31日以前の記憶(以下SCP-XXX-JP-EX-A)の消去について強い耐性を持ちます。SCP-XXX-JP-EX-Aは老化や記憶障害を伴う病気の影響を受けないほか、財団の保有する記憶消去技術によっても失わせることができません。SCP-XXX-JP-EX-Aを完全に除去するためには、SCP-XXX-JP-EXの脳に対する外科的な処置が必要であると予想されていますが、これは財団の医学力の限界のため実証はなされていません。

SCP-XXX-JP-EXが保持する1997年4月1日以降の記憶については異常性が存在しないため、SCP-XXX-JP-EXの中には1997年4月1日以降の記憶をほぼ忘却し、新たに記憶することも困難であるにもかかわらず、SCP-XXX-JP-EX-Aについて明瞭に説明を行える個体も存在しています。

SCP-XXX-JP-EX-Aを含むSCP-XXX-JP-EXの保持する記憶の内容そのものについては、特に異常性は確認されていないものの、通常であれば記憶に残らないような内容の情報についても記憶していることが判明しています。

インタビュー記録(20██年██月██日)

対象: SCP-XXX-JP-EX-1

インタビュアー: エージェント████

付記: SCP-XXX-JP-EX-1は6█歳の男性であり、SCP-XXX-JP-EX-Aに関わりのない記憶については記憶障害などの問題は存在しない。またSCP-XXX-JP-EX-1の妻も異常性を保持しており、SCP-XXX-JP-EX-2に指定されている。インタビューは認知症の定期検診という名目で行われた。

<録音開始>

エージェント████: では、いくつか質問させて頂きますので、お答えください。

SCP-XXX-JP-1: はい、よろしくお願いします。

エージェント████: ではまず、今朝の食事の内容について教えていただけますか。

SCP-XXX-JP-1: はい、焼き鮭と納豆に、ワカメの味噌汁とご飯を食べました。

エージェント████: ありがとうございます。では、ちょうど一週間前、木曜の夕食については覚えていますか?

SCP-XXX-JP-1: えーっと、たしか八宝菜だったような、いや、タラの煮付けだったか?

エージェント████: ふむ、なるほど、ありがとうございます。では、その日の昼間、雨は降っていましたか?

SCP-XXX-JP-1: たぶん、晴れていたと思います。…あまり自信はありませんが。

エージェント████: ありがとうございます。では、1994年2月7日の昼間、雨は降っていましたか?

SCP-XXX-JP-1: ああ、午前11時過ぎから降り始めました。その日は仕事が休みだったので布団を干していたのを、慌てて取り込んだのを覚えています。

エージェント████: 30年以上前のことなのに、よく覚えていますね。

SCP-XXX-JP-1: いやあ、年のせいか昔のことははっきり覚えているのですよ。

エージェント████: いえ、素晴らしいと思いますよ。では最後に失礼ですが、奥様と最初にお会いになった日付は覚えていらっしゃいますか?

SCP-XXX-JP-1: そんなことまで聞かれるのですか。妻とは幼なじみでして、最初にあったのは1974年の、2月4日ですね。ちょうど隣の家に妻の家族が引っ越してきて、挨拶されたのを覚えています。

エージェント████: では、その時奥様が着ていた服装はどのようなものでしたか?

SCP-XXX-JP-1: 腰にリボンのついた、ノースリーブの白いワンピースでしたね。

エージェント████: なるほど、ありがとうございます。今のところ、認知症の初期症状などはとくに見られないようです。お疲れ様でした。

SCP-XXX-JP-1: ありがとうございました。
<録音終了>

終了報告書: 過去の天気の記録から、SCP-XXX-JP-EX-1の述べた1994年2月7日の天気は正確であると判明した。また、SCP-XXX-JP-EX-2にも同様のインタビューを行い、両個体の保有する互いに関する記憶には齟齬がみられないことを確認した。

補遺1: SCP-XXX-JP-EX個体がSCP-XXX-JP-EX-Aを思い出そうとする際の脳波を測定したところ、共通する特異なパターンが検出されました。このパターンの発見はSCP-XXX-JP-EX個体の特定に役立てられるほか、SCP-XXX-JP-EXの特異性の解明につながる可能性があるとして、研究が進められています。

補遺2: 20██年██月██日、財団の記憶処理部門における研究の新たな成果として、それまで実現不可能であった”記憶の植え付け”が可能になりました。現在この技術は、記憶処理の実施に際して消去される記憶の代わりに自然な記憶を植え付けることによって、財団の活動を円滑にするために活用されています。

”植え付け”に伴う副作用として、植え付けた記憶がSCP-XXX-JP-EX-Aと同様の性質を持つことが確認されましたが、これはさらなる”植え付け”によって解決可能であることが判明しており、また既知のSCP-XXX-JP-EX個体に対しても、”植え付け”処置によってSCP-XXX-JP-EX-Aを消去することが可能であることが分かっています。これらの事実から、SCP-XXX-JP-EXの発生原因と開発された”植え付け”技術は同一のものであると判断されたため、SCP-XXX-JP-EXのオブジェクトクラスはExplainedに変更されました。

補遺3: SCP-XXX-JP-EXの直接的な発生原因については未だ不明です。