アイテム番号: SCP-1207-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1207-JPは換気設備付き耐熱性収容室に収容されます。定期的にカウンセリングを実施し、精神の安定を図ってください。分娩の兆候が確認された際は、排熱処理班及びSCP-1207-JP-1回収班を召集してください。分娩直後のSCP-1207-JP-1については、急速冷却プロセスに従って異常性を喪失させた後、利用手順-1207に従って適切に処理してください。
追記: SCP-1207-JPに対し、定期的に子宮収縮剤を投与してください。SCP-1207-JPにインシデント発生事案と同様の兆候が確認された際は、反重力設備付き収容室に移動させてください。その後の分娩については、SCP-1207-JP-1埋却用ホールに向けて行うよう促してください。その後、利用手順-1207に従って適切に処理してください。
説明: SCP-1207-JPは、異常な胎児ないしは嬰児(SCP-1207-JP-1と総称。)を生成可能なモンゴロイド系の女性です。1日を通して非活動的で、食事及び排泄行為を除く全ての時間において横たわる体勢をとります。19██年に異常性を発現して以降、加齢による身体的変化は確認されず、当時の13歳の肉体を維持しています。後述する体重の異常増加、熱傷等を負わないなどから破壊不能の性質を有することが判明しています。
SCP-1207-JPは不定期に単為生殖し、SCP-1207-JP-1を子宮内に1~2体程度 1~複数体生成します。単為生殖は生理現象の1つとされ、SCP-1207-JPの意思に基づかないことが判明しています。懐妊による下腹部の膨張を伴わない点を除き、一般的な妊婦と同様の症状、分娩時には同様の痛みを伴います。一部を除き、SCP-1207-JP-1は不定の期間で一般的な40週目の胎児と同規模まで成長し、身体的構造及び成長段階は一般的な胎児(Homo sapiens)に準拠します。
SCP-1207-JPが分娩する際、子宮口から水蒸気、二酸化炭素及び二酸化硫黄等で構成された、500~600℃のガスを噴出します。また、分娩に伴い流出したSCP-1207-JPの体液は1000~1100℃を示し、高い粘性を有します。
分娩時、SCP-1207-JPはSCP-1207-JP-1を時速230km程度で射出します。射出直後のSCP-1207-JP-1は、重力的負荷及び地面等との接触による損傷を受けません。また、体温が300~400℃に達しているにも関わらず、それによる影響を受けません。SCP-1207-JP-1の体温が36℃まで低下した際に異常性を喪失し、非異常性の嬰児となります。分娩直後のSCP-1207-JPは、3~5分の間全身で振動運動を起こします。射出に伴う反動に起因するものと推測されますが、詳しい原因は判明していません。
SCP-1207-JPの子宮内は前述のガスが常態的に充満しているため、人工受精及び内部の様子を正確に捉える試みは全て失敗という結果に終わっています。また、懐妊に伴う体重増加は確認されているものの、それよる子宮の位置変動は確認されていません。これらの要因により、SCP-1207-JPの懐妊の有無は体重の変動及び懐妊に伴う症状により判断されます。
2011年█月█日、以下のインシデント発生報告がされました。
インシデント発生報告書-1207
対象: SCP-1207-JP
発生経緯: 2009年██月██日以降、対象は分娩をしていなかった。しかし、対象の体重は加速度的に増加しており、SCP-1207-JP-1の生成自体はされていたと推測される。
インシデント概要: 対象が陣痛を訴えたため、前述の事実を踏まえ、対象に隔離施設へ移動するよう促した。しかし、対象は陣痛を理由としてその場からの移動を拒否した。応急的措置として、対象の子宮口の方向を被害を最小限に抑えられる位置に固定した。その後の分娩により、SCP-1207-JP-1群が出現し、サイト全域が埋め尽くされた。
被害概況等: SCP-1207-JP-1群の圧力による壁等の破壊、大規模火災の発生する事態となったが、事前にサイト管理者が避難警報を発令していたため被害は建物等のみで死傷者の発生には至らなかった。13時間に及ぶ消火活動により鎮火されたが、SCP-1207-JP-1群の悪臭の除去には2週間要する見込みである。また、SCP-1207-JP-1群の発声により軽度の聴覚障害、精神的磨耗を訴える職員が続出したため、全職員にメンタルケアを施した。
サイト外への影響としては、未成熟のため変質した一部のSCP-1207-JP-1が粉塵化し、風により広範囲に渡り散布された。曝露又は吸引した一般人については、カバーストーリー「高濃度PM2.5の発生」を適用し、健康診断と称した検査を実施した。多数の被検者の胃内からSCP-1207-JP-1とされる肉片が発見されたが、非異常性であることが確認されたため摘出等の処置をしていない。
付記: SCP-1207-JP-1群の個体数を計測したところ、800万を越える結果となった。利用手順-1207の実施及び特殊処理班の活動により、サイト内に存在するSCP-1207-JP-1群の処理が完了した。本事案を受け、分娩の長期的停滞はSCP-1207-JP-1の異常生成に至ると推測されるため、対象に子宮収縮剤を定期的に投与する旨のプロトコル改訂がされた。
補遺: インシデント発生時に出現した未成熟のSCP-1207-JP-1については、現在も完全な回収には至っていません。上層部と協議した結果、時間経過等により非異常性の肉片に変化することを理由として、回収作業は不要不急と判断されました。
予定タグ: scp-jp Euclid 外部エントロピー 人間型 生殖 破壊不能
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、赤外線カメラ用いて特定し回収してください。回収されたSCP-XXX-JPはサイト-8181の標準的収容ロッカーにて収容されます。現在、マスメディアを通じて「供えられた飲食物等による異臭及び害獣の発生」を社会問題として提起し、SCP-XXX-JPを原因とする被害発生の低減を図っています。
説明: SCP-XXX-JPは、国内における不定の歩道等に出現する動物性たんぱく質等の塊です。外見は透明のラッピングペーパー及び3~5本の仏花に指定される花で構成されており、それらは一体化しているため分解することは不可能です。SCP-XXX-JPは出現から22~25日経過すると異常性を喪失し、一般的な腐敗現象を示します。現在までに███箇所でSCP-XXX-JPが確認されており、出現頻度は年々増加傾向にあります。
SCP-XXX-JPを目視した人間はSCP-XXX-JPを「交通事故現場に供えられた献花」として認識します。一部の人間(宿主と呼称。)は、弔意などの感情を理由にSCP-XXX-JPの存在する場所で立ち止まる、祈る等の行為を実行します。その間にSCP-XXX-JPから、頭部を除くハリガネムシ(Gordioidea)と類似した身体的構造を有する体長1cm程度の寄生生物(SCP-XXX-JP-1と呼称。)が出現します。SCP-XXX-JP-1は宿主と接触し、角状の頭部を用いて15秒程度で宿主の体内に侵入して寄生します。侵入前であれば簡単な動作で排除できますが、多くの場合宿主はその行為の都合上SCP-XXX-JP-1の存在を察知できません。
SCP-XXX-JP-1に寄生された宿主は、6~7日以内にSCP-XXX-JPから離れた場所で交通事故に遭い██%の確率で死に至ります。その際、SCP-XXX-JP-1は体内から離脱し、事故現場付近にて5~6時間かけてSCP-XXX-JPに変異します。
2017年4月3日愛知県██市立██小学校付近の交差点で発生した交通事故に宗川博士が疑念を抱き、独自に調査した結果SCP-XXX-JPの発見に至りました。
以下は、関城研究員によって作成されたSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-1に係る研究レポートを一部抜粋したものです。
宗川氏へのインタビュー記録 日付2017/04/05
対象: 宗川 優(宗川 姫華の父親、サイト-8181勤務)
インタビュアー: 関城研究員
<録音開始>
関城研究員: 宗川博士、質問を始めます。よろしいですか?
宗川氏: 私がこちら側になるとはね。[苦笑]ああ、何でも聞いてくれ。
関城研究員: 事件発生日の直近における姫華氏の行動についてお聞きします。何か気になる点はありましたか?
宗川氏: あったよ。私が事故に疑念を抱いた根拠でもあるが、事故の前日に姫華が学校に早く行きたい、って言ったんだ。つい1週間前までは入学するのをすごく拒絶していてね、あのときはてっきり心情に変化があったんだ、と思っていたよ。
関城研究員: SCP-XXX-JP-1による思考の改変ですか。しかし、それだけでは異常存在によって引き起こされた事故だと断定するには不十分だと感じます。他にも根拠があるのではないでしょうか?
宗川氏: 事故の…1週間くらい前かな?姫華が私に、パン屋さんの前の道路に花束が落ちてた、って言ったんだ。でもパン屋さん、ああ、パン屋は██店のことだね、私の知る限りあそこの近くで事故なんて発生していないんだ。
関城研究員: ええ、仰るとおりあの付近で交通事故は発生した記録はありません。姫華氏はそのときに寄生された、というわけですね。
宗川氏: [11秒間の沈黙]少し前に姫華に献花のことを教えたことがあってね。きっとそれが原因だったんだろう。
関城研究員: …確かに宗川博士が存在しないはずの献花に違和感を感じたのは事実かもしれません。しかし、献花を模したSCiPの存在は後に発覚したことであり、やはり決定的な根拠にはなりません。その根拠を教えてください。
宗川氏: [8秒間の沈黙]姫華はね、決してルールやマナーを破らないんだ。昔、私がタイ焼きを立ち食いしていたら怒られたよ。マナーを守ってよパパ、てね。[苦笑]これだけだよ、私があの事故をおかしいと思った根拠は。関城君は満足しないかもしれないが、本当にこれだけなんだよ。[俯く]
関城研究員: …わかりました、インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: 宗川姫華氏の解剖記録によれば、脳からSCP-XXX-JP-1の活動痕跡及び未知のたんぱく質が検出されたとある。このため、「早く学校に行きたい」旨の発言及び事件時における異常行動は、交通事故に遭うための未知のたんぱく質による思考の改変だと思料される。また、未知のたんぱく質からは自己再生機能を著しく低下させる作用についても判明しており、SCP-XXX-JP-1への抵抗力を低下させる目的だと推定される。
SCP-XXX-JPが外見を献花に模していることから、故意に人間を寄生対象としていると思料される。SCP-XXX-JPが人為的に作成された可能性に留意し、要注意団体との関連についても別途調査を進める。
付記: インタビュー後、宗川博士がSCP-XXX-JPの研究への参加を希望する旨の申し出をしたが、客観的な研究を実施できないと判断し、これを棄却した。宗川博士の精神的磨耗を鑑みて、SCP-XXX-JPに係る記憶処理を今後検討する。
SCP-XXX-JP-1の変異過程に係る観察記録 日付2017/04/30
目的: 宿主から離脱したSCP-XXX-JP-1を観察し、SCP-XXX-JPに変異過程を確認する。
実施方法: D-55742に通常の寄生手順に従ってSCP-XXX-JP-1を寄生させる。SCP-XXX-JP-1の寄生から7日経過したD-55742を一般道路に模した実験場にて轢死させ、体内から離脱したSCP-XXX-JP-1の行動を定点カメラを用いて観察する。
<再生開始>
00:02:43 D-55742の左眼窩からSCP-XXX-JP-1が離脱する。SCP-XXX-JP-1は蛇行し、変異場所を探索している様子。
00:05:19 SCP-XXX-JP-1は歩道端に到達後、その場に静止する。角状の頭部が5つに分岐し、伸長し始める。並行して、体色が薄青色に変化し始める。
01:57:35 体色が完全に薄青色に変化し、体長30cm程度に達した時点で頭部の伸長が停止する。頭部の先端が膨張し始める。
03:09:14 直径2cm程度に達した時点で先端の膨張が停止する。先端の表皮が垂直方向に剥け始める。頭部ごとに姿形は異なるが、剥けた表皮はいずれも仏花に指定される花の花弁に類似する。その様子は、一般的な被子植物の「開花」の過程と類似している。
04:21:38 「開花」が完了する。頭部を除き、無色透明のクチクラが下半身部を覆うように拡張し始める。
05:58:09 下半身部を完全に覆った時点でクチクラの拡張が停止する。
[以降、SCP-XXX-JP-1に変異は認められなかった。]
<再生終了>
分析: 約6時間かけての変異には相当なエネルギーを必要とすると思料される。離脱直後のSCP-XXX-JP-1の体長が寄生前に比べ約3倍に増大していた理由は、宿主から得た栄養分を蓄えたためだと思料される。
付記: 宗川博士が失踪したとの報告を受けた。SCP-XXX-JP-1に係る重要参考人として、本日付けで宗川博士の捜索活動を開始した。
D-42115に係る観察記録(5日目) 日付2017/05/07
精神状態: メンタルチェックの結果、特に異常は確認されなかった。
脳の状態: 未知のたんぱく質が微量ながら確認された。
特筆事項: サイト外に関心を示し、可能であれば外出したい旨の発言をした。
付記: SCP-XXX-JP-1に係る記録の不正閲覧が確認された。調査の結果、閲覧者は宗川博士だと判明し、失踪前に閲覧したと推定される。宗川博士については現在捜索中。
D-42115に係る観察記録(6日目) 日付2017/05/08
精神状態: メンタルチェックの結果、特に異常は確認されなかった。
脳の状態: 未知のたんぱく質が、前日に比べ1.3倍程度に増加している。
特筆事項: サイト外の状況を把握し、職務遂行に役立てたいとの理由で外出許可を申請した。これを棄却したところ、おおむね好意的に了承した。
付記: 宗川博士の不正閲覧について協議した結果、「娘の死を原因とする錯乱」と判断し、戒告処分とすることが決定された。宗川博士については現在捜索中。
D-42115に係る観察記録(9日目) 日付2017/05/11
精神状態: メンタルチェックの結果、低度の錯乱、精神の不安定が確認された。
脳の状態: 未知のたんぱく質が、前日に比べ2.1倍程度に増加している。
特筆事項: 外出したいとの理由で71度目の外出許可を申請した。これを棄却したところ、重度の意識低下に陥った。3時間後に意識レベルが正常値まで回復し、早急外出したい旨を繰り返し発言した。
付記: 古橋捜査員が宗川博士との接触に成功。しかし、宗川博士は、接触直後に古橋捜査員に怪我を負わせた後に逃走した。この事案を受け、宗川博士を低脅威度人物に指定、捜索活動における増員、及び捜索班の再編成が実施された。宗川博士については現在捜索中。
D-42115に係る観察記録(11日目) 日付2017/05/13
精神状態: 重度の錯乱状態に陥ったため、急遽抑制剤を投与し、メンタルチェックは中断された。
脳の状態: 未知のたんぱく質が、前日に比べ4.4倍程度に増加している。
特筆事項: 収容違反を試みたため、監視員による抑制剤の投与が行われた。収容室の扉を数十回殴打したため両腕を骨折し、過度な運動により重度の意識低下に陥った。その38分後、未知のたんぱく質の過剰分泌により血管が圧迫され、脳梗塞による死亡が確認された。遺体を解剖した結果、脳から死亡したSCP-XXX-JP-1が確認された。
付記: 複数の地域において、短期間に「事故現場のお供え物を荒らす人がいる」との通報が相次いだ。周辺の監視カメラにより宗川博士によるものだと判明している。宗川博士については現在捜索中。
補遺1: 19██年█月█日に記録された監視カメラにより、日本生類創研の構成員がSCP-XXX-JPと接触する様子が確認されました。日本生類創研がSCP-XXX-JPの起源に関与すると推定し、2017年5月15日付けで関連施設に機動部隊ら-19("黙する庭師")を派遣、鎮圧に成功しました。以下は、当該施設より入手した文書です。
███遺跡に安置されていた遺体から████年前の当該寄生生物の化石が発見されたとの報告を受けた。当時、当該寄生生物が何らかの原因により献花に混入する機会が多く、必然的に遺体に寄生する場合が多かったと推定される。当該寄生生物が効率的に活動できるよう進化したものがあの模倣献花であり、その姿の都合上交通事故現場に生育域を絞ったと推定される。
当該寄生生物は凄まじい速度で変異、進化している。人間の脳付近で活動するのは、きっと何かを学ぼうとしているのだろう。実に健気な生物といえる。
5月14日追記: 宗川と名乗る人物が接触してきた。財団所属の博士を自称(後に事実だと判明。)し、彼の所有する9体のサンプルと引き換えに、当該寄生生物に係る情報提供を求めてきた。サンプルについてはその場で回収できないため後日回収する約束を取り付け、情報提供を行なった。また、最近発見された"あの"献花を手土産として提供した。既に複製済みだから提供しても問題はないだろう。彼の所有するサンプルの入手手順については検討中である。
補遺2: 2017年5月17日、宗川博士の死亡が確認されました。現場状況から飛び降り自殺だと推定され、宗川博士の頭部から10体の死亡したSCP-XXX-JP-1及び現場付近からSCP-XXX-JPが発見されました。発見されたSCP-XXX-JPが従前のSCP-XXX-JPと異なる性質を有することから、回収文書にて言及されたSCP-XXX-JP亜種だと推定されます。
宗川博士は関城研究員に対し、「迷惑をかけてすまなかった。SCP-XXX-JPについて直接話したいことがある。」旨のメールを死亡推定時間の4時間前に送信していたことが判明しました。また、現場で回収された宗川博士の鞄からは、多数の抑制剤及び使用された痕跡が発見されました。このことから、宗川博士に自殺する意思はなかったと推定され、宗川博士の自殺とSCP-XXX-JP亜種との関連性について調査が進められています。
予定タグ: scp euclid 寄生 擬態 日本生類創研