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caption=男性宿主にコロニー形成を試みるSCP-2401 |
アイテム番号: SCP-2401
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2401とSCP-2401-αは研究サイト-45のセル-22に収容されます。セル-22内には3m2のドリップ式自動給水システム付きの鉢植え植物が常設されます。
セル-22付近には、松葉への着火用の小型電気式焼却装置が設置されます。担当職員はこの装置を補充、操作することが許可されます。SCP-2401が興奮、錯乱した場合には、焼却装置の排気口を直接セル-22に接続します。
隣接するセル-22とセル-23を接続する計画は現在承認待ちです。SCP-2401-βのナンバリングは追加情報があるまで分類予約待ちです。
説明: SCP-2401は人間の宿主の性別によって寄生性もしくは共生性に変化するミツバチの未知種です。現在に至るまで、継続維持されるSCP-2401のコロニーは1体の人間の女性宿主の例でのみ観察されています。
これまで観察されたあらゆる事例で、男性の宿主はコロニー形成から9〜12日以内で、蜂刺しや外皮組織の全体的な変質による炎症性合併症で死亡します。これは免疫系にも悪影響を与え、結果的に男性宿主は嫌気性感染症に陥りやすくなります。男性宿主の死後、SCP-2401は死亡者の身体を離れ新たな宿主を探します。
女性宿主へのコロニー形成は若干異なり、高度のプロポリス分泌により感染症リスクが低減されます。30〜50%の皮層がケラチン質の蜂の巣に置換されると、コロニー形成は安定化しそれ以上の拡大を停止します。このプロセスが完了すると、SCP-2401は宿主を巣として扱い、標準的な保護的行動を示します。SCP-2401は宿主の臭いマーカーを利用し、コロニーの臭いマーカーが同一になるよう調整します。このプロセスにより、SCP-2401は宿主の精神的および身体的状態と同期します。
女性宿主はさらにSCP-2401を受け入れかつ守るために急激な変化を遂げます。この変化には、細胞再生の増加、アンフェタミン分泌量の増加、食物や水分への依存性の低下が含まれます。大半の例では女性宿主が従来の人格と記憶を保持し、結果的にSCP-2401との共生の進行に関わる心理的外傷を負います。これにより、共生を全面的に拒否する宿主が自殺する割合は高くなります。
SCP-2401と自身の共生関係を維持することに確かな関心を示した例は1件のみです。この例となった女性は事実上SCP-2401-αと認定されました。
資料DOC-2401-T1
付記: 以下の記述はケネス・ラム博士のハードドライブから押収されたものです。SCP-2401-αに関わる重要な情報が含まれているため、現在も高セキュリティデータサーバーに保管されます。
日付: 2015年1月4日
時刻: 16:32
D-6780とD-0343は両方ともSCP-4201に曝露された。これはSCP-2401の人間への影響を確認する2度目の実験である。現状、30日以上維持できた宿主は確認されていない。コロニー形成プロセスを生還できる宿主こそが、プロセスを逆転させ宿主を正常に戻す手段を開発するための第1歩なのだ。
女性Dクラスは数の少なさ故に確保に苦慮した。SCP-2401が男性Dクラス宿主を死なせずに共生できないため、唯一の選択肢だ。前回実験の問題に基づき、2名の女性宿主は症状が進行する間、自殺防止のために監視が行われる。
日付: 2015年1月8日
時刻: 09:44
D-6780とD-9343の両名のSCP-2401は急速で、比較的健康だ。なお本日、D-6780は宿主の自傷行為が実行される前にガスで鎮静化された。この間のD-9343の反応は最小限なものだった。両Dクラスの実験前の医療記録を何度か申請している。 どうやら書類手続きで都合よく不備があるようだ。
日付: 2015年1月15日
時間: 22:01
4時間前、D-6780が房の便器を使った自殺の試みに無事成功したらしい。毎日食用レーションで詰めて水で満たしていたそうだ。房-21は洗浄チームが午前中に結成するまで閉鎖措置がなされることとなった。前回よりは有意義な解剖になることを願う。
D-9343はこの間も、前回にも増して落ち着いていた。今のところ彼女は唯一、ここまでSCP-2401のコロニー形成を耐えることができた宿主だ。私はメンテナンス班とサイト管理官に、SCP-2401と宿主の状態を保護するためにセル-22の改良を要請した。正式な医療記録の結果も待つ。
日付: 2015年1月26日
時刻: 12:55
D-9343とSCP-2401は無事完全な共生状態となった。D-9343はSCP-2401-αに分類され、その後は活性度が増していることが観察されている。映像記録を確認したところ、私はSCP-2401-αは飲食を必要としないことに気づいた。
本部がようやくSCP-9343の記録を送付してくれたが、それは彼女が以前投獄されていた施設のものだった。残念なことに、詳細な情報に欠くものだった──彼女の犯罪経歴を除いては。この経歴を確認し、予定されているインタビューで使用できないかと考えている。
日付: 2015年1月27日
時刻: 14:03
SCP-2401-αと第1回目のインタビューを実施した。1ヶ月近く独房に閉じ込められてきたせいか、彼女は他人と顔を合わせることに比較的前向きだった。症状について尋ねたところ、最初こそは激しい痛みを味わったものの、おおかた落ち着いて今はだいぶ気分がいいと発言した。
監視窓越しの簡易的な身体検査の結果、彼女の肉体の50%は蜂の巣状構造に置換されており、多くはいくつかの発育段階のSCP-2401を内包していた。SCP-2401がどこから発生するか訪ねたが、SCP-2401-αはそれを答えられなかった。
日付: 2015年1月30日
時刻: 09:12
SCP-2401-αの犯罪経歴を本人と一緒に振り返った。どうも彼女は過去を振り返ることがうまくできないようだ。その多くは彼女が幼い頃から、15歳の時に里親に引き取られるまで親族による虐待を受けていたことに関していた。それ以上の過去の詮索は、彼女が次第に動揺してきたことから続けることができなかった。
彼女を落ち着かせるために、新規導入された噴霧器を初使用した。彼女は無事鎮静化し、その日の面接は終了とした。
日付: 2015年2月2日
時刻: 13:47
インタビューを開始する前に、SCP-2401-αは前回のインタビューでの行動を詫びようとして譲らなかった。彼女はファーストネームのメアリーで名乗り、続けて私の名前を要求した。私も同じく名乗った。彼女に害意はないように思えた。そこから彼女は雑談でインタビューの話を逸らそうとした。どうにか彼女の症状の説明の話は逸らさずにいられた。
メアリーは、私にまつわる夢について語ろうとしたが、詳細までは思い出せなかったようだ。後ほどサイト内の心理学者に相談できるよう、彼女の精神状態についていくつか質問をし、記録を取った。
日付: 2015年2月3日
時刻: 22:25
メアリーは本日のインタビューで、彼女が繰り返し見る夢があることを証言した。しかし目を醒ます頃にはほとんど忘れて、唯一覚えているのが私が夢に登場することだけのようだ。私は彼女が夢日記を取るために筆記用具が欲しいか尋ねてみた。彼女は同意した…が、要請は上司に却下されてしまった。
メアリーは時間の大半を自分のことに没頭している。ときどき彼女はどこか正気でありながら反応に薄かったりする。彼女の反応を促進するような小道具を申請したが、何度も却下されている。
日付: 2015年2月4日
時刻: 01:10
今やメアリーと私は毎日会っている。彼女の状態は日に日に悪化しているように見える。非番の警備員の知らせてくれたことによると、彼女は毎晩噴霧をいけなければならないようだ。私がメアリーにこのことを問い詰めたところ、彼女は夢のせいだと証言した。彼女は未だにそれを覚醒までに維持できないと主張を続けている。
私の取った記録について、サイトの心理学者とのここ最近の相談では、現状の記録ではメアリーの心理状態を確定するには決定打がないとのことだった。それを別として、SCP-2401コロニーは現状問題なく繁栄し、健康状態も良好だった。
インシデント報告フォーム
インシデント日時: 2015年2月14日
インシデント時刻: 11:15
サイト/場所: 研究サイト-45、確保済み人型実体収容翼、セル-22
固有ID (自動入力): 2401-021415
一般市民関係者(Y/N): N
財団職員関係者(Y/N): Y
- 関係者人数: 3名
- 負傷者/死者: 1名軽傷、2名重傷
- 記憶処理の使用(Y/N): Y (申請による)
関連したSCPの有無 (Y/N): Y
- 分類: SCP-2401-α
- 収容違反の有無 (Y/N): Y
詳細: 事件前、SCP-2401-αは10日間興奮をする様子が確認されていました。SCP-2401-αはこの興奮の理由を答えることができないと振る舞い、不可解な発言を繰り返したり共生前の本名を複数形で名乗るようになりました。SCP-2401の当時の担当であるケネス・ラム博士はSCP-2401-αが錯乱していると想定しました。
事件の72時間前、SCP-2401-αは明らかな発作に陥り床に昏倒しました。発生時刻は記録、ログに保存されました。昏倒した実体は人型実体の標準的隔離措置手順として監視下におかれました。48時間後、サイト管理官はセル-22の隔離をさらに24時間延長指示を実施しました。宿主とコロニー、どちらからも活動は確認されませんでした。この時、房内の床は死亡したSCP-2401に埋め尽くされていました。
隔離期間満了後、死体を回収し解剖検査を行うために職員や警備員がセル-22に進入しました。房内を洗浄し死体の搬送を試みたところ、SCP-2401-αは突然覚醒し、警備員に肉体攻撃をしました。攻撃を受けた警備員2名は脳震盪に陥りました。
その後ラム博士はSCP-2401-αにより収容室の外の床に押し倒され、衣服を脱がされました。映像上ではラム博士が仰向けに倒れた上にSCP-2401-αが90秒間騎乗していました。映像の視点からはラム博士に何が施されたのか判然とせず、また大きな抵抗も確認されませんでした。
後ほど、警備部隊はSCP-2401-αをスタンガンにより鎮圧してラム博士から強制的に除去し、収容に戻しました。ラム博士は肩の脱臼と少々の擦り傷などの負傷を受けていました。以降SCP-2401-αはSCP-2401を本来の個体数まで補充し、インシデント前よりも落ち着いた様子を見せるようになりました。
補遺-2401-001: 直近のSCP-2401-αの収容違反の結果、職員や警備員がセル-22への進入、およびサイト管理官からの直接の許可なしでSCP-2401-αと対話することが禁止されました。SCP-2401およびSCP-2401-αの研究は現在無期限に凍結されています。
インシデント後インタビューINT-2401-03
インタビュー日: 2015年2月15日
インタビュー時刻: 04:30
サイト/場所: 研究サイト-45オフィス
インタビュアー: 上級内部調査官 ルーベン・フォスター
対象: 研究員 ケネス・ラム博士
エージェント・フォスター: よし、記録装置オン。その後いかがですか?
ラム博士: 私は…たぶん、まだあの事件のショックが抜けていない。
エージェント・フォスター: よろしい、では単刀直入に聞きましょう。なぜあなたが選ばれたのかわかりますか?
ラム博士: わかりません。
エージェント・フォスター: まあ、あなたは彼女の担当として抜擢され──
ラム博士: 「アレ」だ。
エージェント・フォスター: 失礼、アレの担当として、3ヶ月勤めたんでしたね。どうやらほぼ毎日インタビューをしていたようですね?
ラム博士: 私は他の人型実体の監察も担当していますから。
エージェント・フォスター: では最初の質問に戻りましょうか。
ラム博士: お、おそらく…彼女、いやアレが内に抱える人間性が、絆を感じたのかもしれない。いずれにせよ、アレは…(ため息)私に求めるものを得られたようです。ああもうなんということだ。
エージェント・フォスター: 続けられそうですか?
ラム博士: たぶん。すみません、ちょっと…まだちょっと、あの出来事で戸惑いがぬぐいきれないみたいなんです。
エージェント・フォスター: ええ、まあ身体的には大丈夫のようですね。打撲と小さな傷を除いてはね。そんなところでしょう。
ラム博士: …
エージェント・フォスター: 博士、私はあんなトラウマ的展開を過ぎた後のあなたに無理強いはしたくないんです。記録用として他に言いたいことはありますか?
ラム博士: 私に処理をしてくれ。さっさと処理をして異動をさせてほしい。た、頼むよ。
エージェント・フォスター: (記述の音)了解。できるところまでやってみせましょう。
(click)
補遺-2401-002: SCP-2401-αの収容違反当事者としての聴取ののち、████博士は研究サイト-45から異動となりました。氏は即効性記憶処理剤の適用を選択し、その後セキュリティ上の都合により恒久的にレベル0職員に降格されました。財団内での氏の行動の継続観察および報告は最低3年継続されることが決定されました。
インシデント後インタビューINT-2401-06
インタビュー日: 2015年6月16日
インタビュー時刻: 22:05
サイト/場所: 研究サイト-45、確保済み人型実体収容翼、セル-22
インタビュアー: 上級内部調査官 ルーベン・フォスター
対象: SCP-2401-α
エージェント・フォスター: 音声記録オン。エスシーピーダッシュ……
SCP-2401-α: メアリー。
エージェント・フォスター: あ、なんだって?
SCP-2401-α: 私たち、メアリーって呼んでもらいたい(ハチの唸り音)
エージェント・フォスター: わかった。メアリー。君とラム博士との関係はなんだ?
SCP-2401-α: 関係?彼はそう言ったの?彼の私たちの?(軽い唸り音)
エージェント・フォスター: なんでもない。2月ごろに、君たちが最後に2人きりになったあの日に彼に何をしたか説明してくれ。
SCP-2401-α: 彼はそのことをあまり話さないし、満足していると思うわ。
エージェント・フォスター: そうか。彼は断固として二度と君に会いたくないようだったがね。
SCP-2401-α: (唸り音が止まる) ふーん、信じないわ。それでも結果について満足だもの。
(SCP-2401-αは膨張した腹部をゆっくり撫でる。)
エージェント・フォスター: そのー…このサイクルの段階か?
SCP-2401-α: (唸り音が戻る)そうだしそうじゃない。私たちには確固たる宿主が要る。女は弱いけれども気ままなもの。強いコロニーのための、強い女王。
エージェント・フォスター: …
SCP-2401-α: 私たちのかわいいケニー。彼の子種たちが日々強くなっていることを伝えてあげて。私たちがいつまでも彼が戻る日を待っていることも。
エージェント・フォスター: (筆記する音)そうだね。伝えておこう。
(安定した唸り音)
(エージェント・フォスターはセル-22のインターコムを切断。)
技術士: まさか…本当にあの要求に応えるつもりはないですよね?
エージェント・フォスター: ないよ、バカバカしい。ところで1つ頼みたいのだが、そこに焼却装置のボタンがあるだろ?
技術士: ええ、ありますね?
エージェント・フォスター: いぶしてやれ。
(スイッチの音)