SCP-857-JP "死告影"

アイテム番号:SCP-857-JP

オブジェクトクラス:Keter

特別収容プロトコル:SCP-857-JPはその特性上収容方法は確立されていません。現在は取り憑かれている人物(以下SCP-857-JP-1と呼称する)が確認される毎に10m×10m×5mの特別収容室へ収容してください。尚、SCP-857-JP-1は一般人である為、更に後述の為ある程度の生活環境を整えてください。
常にSCP-857-JP-1の生存及び動向に注意してください。尚、SCP-857-JP-1が16時間以上の睡眠を取った場合24時間以内にSCP-857-JP-1が死亡する為各エージェント及び捜索隊に通達されます。SCP-857-JP-1が死亡すると同時に新たに取り憑かれた人物(以下SCP-857-JP-2と呼称)を可及的速やかに発見、確保してください。この時SCP-857-JP-2をライトで照らし出し、その影に入らないよう注意し、SCP-857-JP専用軍用車両に乗せてください。専用車両は常に上からスポットライトで照らし出してください。

説明:SCP-857-JPは普通の人影のように見えますが、本来は175cmの高さのシルクハットを被った老紳士のような姿をしており、起源は不明です。しかし普段は取り憑いた人間の体格を模して姿を変える為、本来の姿を見ることができるのは稀とされています。SCP-857-JPは無作為に人間の影に出現し取り憑きます(この人間をSCP-857-JP-1とする)。取り憑かれたSCP-857-JP-1は一時的に痙攣し泡を吹き白目を剥くなどの反応を示しますが、その後一切の体調不良を見せなくなります。
そしてSCP-857-JP-1が30日目以降に睡眠を取った場合SCP-857-JP-1は死亡します。例外は確認されていません。
そしてSCP-857-JP-1が死亡するとその影から消えて全国の人間から一人の影に無作為に出現して取り憑きます(以下SCP-857-JP-2とする)。この特性上SCP-857-JPを完全に収容することができません。

発見からしばらくは取り憑かれた人間のみが死亡するとされていましたが、SCP-857-JP-1に近付いた人間も一ヶ月ほどで死亡することが確認され、SCP-857-JP-1の影、つまりSCP-857-JPに触れることで寿命が短縮される、という結果となりました。
よって、SCP-857-JPの確保は他のどのSCPより優先されるべき存在とされました。
SCP-857-JPの存在を見分けるのは取り憑いた人間が反応を示している時のみであり、それ以降はどのような手段を用いても発見することができません。実害が発生するのは一ヶ月後ということも発見を遅らせる要因となっています。
一ヶ月という早さで脱走するという特性を持つにも関わらずその発見の困難さ、被害の大きさから、速やかにSCP-857-JPの完全な収容が求められています。

計37回目のSCP-857-JP-1の確保にて、当時車に乗っていた誰のものでもない声が発せられました。事案857-JP-a参照。

事案 857-JP-a ██████の録音抜粋

███博士:君は喋れるのかい?

SCP-857-JP-1:え、俺は喋れますよ?

███博士:ああ、君ではなく、君の影に訊いてるんだ。で、どうなんだ?

SCP-857-JP:(低い声で咳払いし)そうとも、私は喋れるさ。

(SCP-857-JP-1が驚き暴れる)

███博士:落ち着け、今まで確認したがこれは直接害を与える存在ではない。安心していい。

(しばらくしてSCP-857-JP-1が落ち着きを取り戻す)

███博士:ああ、続けてくれ。

SCP-857-JP:ん、そうかい。では何から話したものだろうか?ああ、そうか。私の出現理由だね?だがそれを話すのは今では無い。

███博士:何故だ?

SCP-857-JP:少なくともこの[SCP-857-JP-1の本名]が起きている間は話さない方がいいだろう。恐らく先のようになるぞ。

███博士:なるほど、では質問を変えよう。このようなコミュニケーションはちゃんと取れるのに何故今までそうしなかった?

SCP-857-JP:別にとる必要もなかったからな。だが何度も何度も君達財団のところに行ってたら少し興味が湧いたからな。此度をもって話してみることにした。

███博士:これで37回目だぞ。

SCP-857-JP:もうそんなにか、特に私自身はこうあることを望んではいないが、体質上仕方ないことなんだがね。

███博士:…自らの意思ではないと?

SCP-857-JP:そうだ。さて、続きは向こうに着いてからにしよう。

〈ログ終了〉


この後の会話はSCP-857-JPの要望により記録音声はありません。代わりに███博士のレポートに記録されています。以下███博士の記載したものによる。


・SCP-857-JPは自らの意思に関係なく人間の影に現れる。
・SCP-857-JPに触れた人間は寿命が一ヶ月未満に縮む。
・SCP-857-JPに他の影を介して接触しても影響は受けないが、SCP-857-JP-1の影が他の物体の影にある場合、半径5m以内に入った人間も影響を受ける。
・SCP-857-JP-1が死亡するとき幸福感に満たされているとのこと。実際SCP-857-JP-1の脳波は幸福感情が確認された。
・SCP-857-JPが消滅することは今のところありえず、その時は全ての生命体が死滅することが第一条件となる。
・今後SCP-857-JP-1が死亡、別の人間に出現しエージェント及び捜索隊が付近にいる場合動いたり声をかけたりして確保の手助けをする、条件としてSCP-857-JP-1に普通の生活環境を提供すること。

尚、SCP-857-JP自身の談の為確定かどうかは不明だが、SCP-857-JP-1の身を案じていることから人類に対して敵意を抱いてはいないと思われる。

私はここにSCP-857-JPの安全な収容方法の確立を今後も模索していくことを表明する。███博士


███博士はSCP-857-JPが提示した条件を満たす申請をしました。現在は普通のワンルーム部屋としてSCP-857-JP-1が快適に過ごせるようにしています。
幾度に渡る対話と調査の結果SCP-857-JPの最高責任者として███(同)博士が任命されました。職員は███博士の指示の下SCP-857-JPの調査及び実験を行なってください。