Mochimeso
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、半径15mを封鎖した標準人型収容セルに収容します。食事や清掃は全て無人機を用いて行い、職員はSCP-XXX-JPの周囲半径14m以内に立ち入らないようにしてください。

誤って半径14m内に立ち入ってしまった際は、即座に退去することが推奨されます。自発的な行動が困難になった場合、担当職員に連絡を取ってその場で待機してください。

説明: SCP-XXX-JPは、6█歳の日本人女性(本名 丹野███)です。心身共に健康であり、外見的な異常は見られませんが、周囲半径14m以内に進入した人間に影響を及ぼします。

SCP-XXX-JPの影響範囲内に入った人間(以下、対象)は、様々な中毒症状を発症します。範囲内で70cm移動するごとに症状は変化すると共に悪化し、平均7mの移動によって自発的な移動が困難になります。最終的に対象はショックに陥り昏睡しますが、SCP-XXX-JPの影響外に出ることで即座に症状は消失します。

SCP-XXX-JPは、2018/10/██に大量の睡眠薬を服用し、自室で昏倒しているところを偶然訪れた妹に発見されました。通報によって駆け付けた救急隊員らが相次いで昏倒したという旨の応援要請を不審に思った潜入エージェントの報告によって、収容に至りました。その後SCP-XXX-JPは治療が行われる前に意識を取り戻し、睡眠薬の過剰摂取の症状は全く見られませんでした。SCP-XXX-JPは、この自殺未遂以前は異常性を持っていなかったと主張しています。

インタビュー記録XXX-JP-1

対象: SCP-XXX-JP

インタビュアー: ██研究員

付記: 収容セルに取り付けられたモニターを用いてインタビューを行った。

<録音開始>

██研究員: 貴方が異常性を発現させた10月██日のことを教えてください。

SCP-XXX-JP: こうちゃん1が私のことを助けてくれたの。

██研究員: すみませんが、順を追って話していただけませんか?

SCP-XXX-JP: こうちゃんが旅立ってから、毎日生きているのが辛くて。早くあの子のところにって、ずっと考えてたの。遺品の整理をしてたら薬を見つけて、これをたくさん飲めばって……。

██研究員: それで睡眠薬を摂取したと。服用した際におかしな事は起こりませんでしたか?

SCP-XXX-JP: それでね、あんなにお薬を飲んだのに、私こうしてピンピンしてるでしょ? だからこうちゃんが天国から、私を助けてくれたんだと思うのよ。

██研究員: ですから、何かおかしな事は……。いえ、質問を変えます。「息子さんが助けてくれた」と思う根拠はありますか? 昏睡中に何かを見た、など。

SCP-XXX-JP: 母親なら分かるものでしょ? こうちゃんはね、優しいけど気弱な子だったわ。私が面倒を見てあげないと何もできなくて……。人に影響されやすい子だから、小さい頃から悪い友達ができないように守ってあげるのに必死だったの。高校の時に連れて来た彼女なんかね、大人しそうに見えて、膝が見えるぐらい短いスカートでうちに来たのよ! 高校生なのに化粧までして。家から叩きださなきゃどうなってたか……。

██研究員: SCP-XXX-JP、話を戻しても?

SCP-XXX-JP: あら、ごめんなさいね。何の話だったかしら? ああ、それでね、こうちゃんは優しい子だったのよ。そりゃあ反抗期もあったけど、私が毎日「愛してるわ」って伝えて、学校にお迎えに行ったの。そうしたら「僕が悪かったから」って、ぽろぽろ泣いて……。私の気持ちがやっと伝わって、一緒に泣いちゃったわ。そうやってずっとあの子を守ってきたんだから。「ゲーム会社に入りたい」なんてバカなこと言いだした時も説得して████社に行かせたし、残業で遅く帰る日が続いた時も上司と話をしたし……。だから、本当は病気からも私が守ってあげたかった……。(この間、SCP-XXX-JPは██研究員の呼びかけを数度無視している)

██研究員: 大丈夫ですか?

SCP-XXX-JP: ええ、大丈夫。あの頃を思い出すと、まだどうしても……。入院してからは毎日お見舞いに行ってたの。こうちゃんがずっと大切にしてた犬のぬいぐるみに、フェルトの王冠とマントを縫って病室に持っていったわ。「こうちゃんは勇者だから、病気にも勝てるよ」って渡したら、また泣いてね。「僕のお見舞いに来てくれるのはママだけだ」なんて……。それから病室にこもるようになったのは、弱っている姿を見せて私に心配をかけたくなかったのね。……先生、私、こうちゃんに命を助けられて「しっかり前を向いて歩いていこう」って決めたのよ。退院したらあの子との思い出を本に書いて出版したいの。一人でも多くの人に、こうちゃんのことを覚えていてほしいから……。

██研究員: 何度か説明しましたが、ここは病院ではありません。

SCP-XXX-JP: 前に言ってた異常性、とかいうもののせい? でも人が死ぬわけじゃないでしょう? 私も気を付けて生活しますから、早めに退院させていただけませんか?

██研究員: ……もう一度最初から説明します。

<録音終了>

2019/03/15追記: SCP-XXX-JPの胆嚢に異常性が発見されました。SCP-XXX-JPの胆嚢と胆管には、約30時間に1つのペースで胆石が発生します。全ての胆石は、王冠とマントを付けデフォルメされた犬のような形状をしており、現在███個の胆石が胆嚢と胆管に存在しています。現在、胆石の摘出手術を検討中です。

SCP-XXX-JP自身には、胆石症による影響は一切確認できません。

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