SCP-1160-JP
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parasite

SCP-1160-JPの寄生が認められる蠅蛆症患部

アイテム番号: SCP-1160-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 標本として保管されている400匹のSCP-1160-JP(生体368匹含む)は生物サイト-81██にある昆虫飼育施設の一室に収容されています。一般に存在するSCP-1160-JP個体の駆除の為、感染が甚大であると判断された地域では機動部隊む-4("虫とり少年")の指揮下で合成ピレスロイドの空中散布を実施してください。

宿主からSCP-1160-JPを生きた状態で摘出する際、部分麻酔を用いたSCP-1160-JPの摘出の必要に迫られた場合は対象の生命が危険に晒される事に留意してください。(補遺2参照。)また、全身麻酔を施す事が推奨されますが、その場合でも摘出後に宿主が何らかの精神障害を引き起こす恐れがある事に留意してください。(補遺3参照。)

説明: SCP-1160-JPは双翅目ヒツジバエ科(Oestridae)に属する昆虫種です。全てのSCP-1160-JP個体は自己隠蔽子を含有しており、SCP-1160-JPの存在する周辺環境からSCP-1160-JPと幼虫寄生箇所の存在を隠蔽しています。SCP-1160-JPは進化の過程で自然発生したものであると考えられており、その性質上捕食者が存在せずに大量に生存していると考えられています。SCP-1160-JPの生体、死骸、及び寄生とそれによる症状を認識するにはクラスW記憶補強剤の服用が必要です。

SCP-1160-JPはヒト(Homo sapiens sapiens)を含むする様々な陸棲哺乳類に産卵します。SCP-1160-JPは直接寄主に卵を産み付ける、又はイエバエ(Musca domestica)などの中間宿主を介して宿主に産卵します。SCP-1160-JPは通常のヒツジバエ種と同様に宿主の真皮や皮下、鼻咽頭、腸内に産卵します。1度に1.500~2.000個の卵を産卵し、およそ15%が孵化します。孵化後SCP-1160-JPの幼虫は宿主の皮膚に穴を掘り、そこで生活します。そのため、寄生された対象は皮膚や鼻咽頭、腸内等に蠅蛆症を発症します。この際、宿主の肉体は疼痛や炎症に似た反応を示しますが宿主は隠蔽子の作用によってSCP-1160-JPや皮膚の陥没、潰瘍を認識する事が出来ません。またSCP-1160-JPは唾腺からβ-エンドルフィンを分泌し宿主の痛覚を遮断します。SCP-1160-JPが打線内でどの様にβ-エンドルフィンを合成しているのかは不明です。その為、宿主はβ-エンドルフィンによる反応から僅かな痒みを経験しますが、鎮痛作用により目立った症状を自覚する事は出来ません。

幼虫は10~20日程度で成熟し、寄生部位内部で蛹に変態します。蛹の状態になったSCP-1160-JPは寄生箇所の自然修復を防ぐために表面から微量のカルベンダジム(メチル-2-ベンズイミダゾールカーバメート=methyl-2-benzimidazole carbamate)を分泌し、寄生箇所の細胞分裂を阻害することで蛹の圧迫を防ぎます。SCP-1160-JPは25~30日程度で羽化し、寄生箇所から外部へと脱出します1。自己隠蔽子は羽化後の蛹も含有しており、寄生箇所の隠蔽を継続します。また蛹の内部には唾腺と類似した構造を持つ有機機構が残され、寄生箇所の回復によって蛹が破壊される、もしくは蛹内に残留した利用可能な養分が尽きるまで麻酔成分を含有する複数の生理活性物質を分泌し続けます。寄生箇所の再生に伴って蛹が破壊されると、蛹は皮脂や角栓と共に体外に排出されます。

SCP-1160-JPは2015年時点で日本人口のおよそ2█%がSCP-1160-JPに寄生されていると見積もられています。生存しているSCP-1160-JP個体は███,███,███匹を超えていると推測されており、不妊虫放飼法による個体の減少は期待されていません。

SCP-1160-JPは改良型記憶補強剤開発計画(M22計画)2の開発中に偶発的に発見されました。後の試験でクラスW記憶補強剤の服用によってもSCP-1160-JPを認識出来ることが確認されたため、現在のSCP-1160-JPに関する研究にはクラスW記憶補強剤の使用が採用されています。

補遺1: SCP-1160-JPの分布調査の結果、人口密集地を中心として日本各地に分布している事が確認されました。この調査結果を受け、SCP-1160-JPの根絶が提案、採用されました。特別収容プロトコルに基づいた駆除作戦が実施されていますが、無作為抽出による調査の結果、個体数に大きな変化は見られませんでした。また、広域調査の結果SCP-1160-JPがユーラシア大陸を中心とした世界各国でも確認されました。これらは主に日本人渡航者を介して拡散したものである考えられています。特にアジア圏では甚大な被害をもたらしており、早期の対応が求められています。

補遺2: 2006/04/08。皮膚表面92箇所に寄生が認められたD-22351から、SCP-1160-JP幼虫を摘出する試験が行われました。施術はクラスW記憶補強剤を服用した職員4名によって行われ、D-22351には寄生箇所への部分麻酔が施されました。施術開始から27分が経過し、37匹のSCP-1160-JPが嫡出された頃、麻酔が施されているにも関わらずD-22351が苦痛を示しました。施術は中断されD-22351の肉体と寄生中のSCP-1160-JPが調査されました。調査の結果、D-22351の血中から痛覚を増強するタンパク質3が発見されました。このタンパク質は寄生中のSCP-1160-JPが唾腺から分泌している事が判明しました。この調査結果から、SCP-1160-JPはいくつかの個体が摘出された事を察知し、身を守る為に痛覚増強タンパク質を分泌したと考えられます。この結果を受けて、D-22351への強行施術が実施されました。施術開始から41分後、D-22351の死亡が確認されました。死因は痛覚増強タンパク質の過剰分泌による神経性ショック死であると判断されました。

補遺3: 2006/04/10。D-22351死亡事案から全身麻酔によるSCP-1160-JPの摘出が提案されました。対象は皮膚表面に688匹の寄生が認められたD-99625で、皮膚表面に存在する全ての個体を摘出するのを目的として6名の職員によって試験が行われました。結果、1時間35分の時間を要して施術は終了しました。施術終了後、D-22351は順調に回復しました。この際、SCP-1160-JPが摘出されたことで自己隠蔽子を失った寄生箇所が視認可能となりました。

施術後24日目に、D-22351がトイレの個室内でベルト4を首に巻いて自殺を図ろうとしているのが清掃担当事務員によって発見されました。D-22351の自殺は清掃担当事務員による説得と駆けつけた数人の警備スタッフによって阻止されました。直ちに精神医療スタッフによるD-22351への問診が実施され、D-22351は大うつ病性障害であると診断されました。SCP-1160-JP研究チームは、SCP-1160-JPの分泌するβ-エンドルフィンの供給が停止したことによって幸福感の減退を招き、大うつ病性障害が引き起こされたと推測しています。