Mokomokoの砂場

「あんたは変わってる!さっきは男、今は女!何もかも変わってる!」
毛布にくるまった男が喚く。全く、うるさいな。
「そうですか。まぁ、とりあえず食器を返却して下さい。」
だが、財団に雇われている以上、業務は遂行しなくてはいけない。それに、タダ飯を食う事は嫌いなのだ。
「ああっ、クソッタレが…次はおっさんかよ。」
全く、こいつはどうして収容されたんだ?ただ、変な薬でもやって幻覚見てるだけだろ。こんな奴に金使うなら給料を上げてくれよ。あぁ、上の連中は何考えてんだ?
「なぁ、あんたは分かんねぇのかよ!この世界は、おかしいんだよ!わかってくれるだろ!?」
知るかよ。クソッ、なんでこいつの相手なんかしないといけないんだ。
「そうですか。とりあえず、食器を回収してもよろしいですか?」
仕事を終わらせたい俺はそう言って、食器に手を伸ばす。
「あぁ、良いさ。勝手にしろよ。…なんで理解してくれないんだ。」
俺はその言葉を無視して収容室を出た。

「なぁ、考えたんだ。」
夕食を収容室の中にある机に置いた時、奴は言った。
「もし、この世界が誰かにーー神みたいな奴にーー造られた物だったらその造った奴の考えで、世界を簡単に変えられるんじゃねぇか?」
その言葉を無視して食器を置く。
「その神みたいな奴が何人も居たら…、世界はどんどん変わるはずだ。全員の考えが同じなんて有りえねぇ。」
「では、なぜあなたは変化しないのですか?」
そう言った直後に、自分でも驚いた。俺は、なんでこんな事聞いたんだ?
「わからねぇ。でも、神みたいな奴が俺の設定を作っているとしたら、俺が変化しないのも納得出来ねぇか?」
「確かに筋は通っていますが、あくまで仮説です。正しいという証拠はありません。」
「俺という証拠があるじゃねぇか。俺は、周りの変化を理解出来ない設定をされているんだよ。」
はぁ。こんな男の妄想に付き合うんだったら、あの上司といる方がマシだ。
「なるほど。とりあえず夕食は7時30分までです。時間になったら食器を回収しますので、それまでに食事を終わらせて下さい。」
俺は、そう言って収容室を出た。後ろから男が喚く声が聞こえるが、知ったこっちゃない。

Anomalousアイテム記録-JP
説明: 薬物などの反応は見られないが、常に幻覚を見ている男性。幻覚の内容は大抵、「周りの物品、人の特徴が変化する」というものである。
回収日: 20██年██月██日
回収場所: ██市警察署
なんでこいつ、収容されてるんだ?「おっさん」とか言われて不快なんだが。-一角研究員