magisa(大体のものをKeter クラスにする程度の整理能力)のロッカー

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1は、サイト-8153に設置した購買エリアに偽装されたDクラス専用の売店にて販売されます。毎日05:00~10:00・12:00~15:00・18:00~21:00の3回納品にやってくるSCP-XXX-JP-2に対して店員に偽装した担当職員はSCP-XXX-JP-2にマタタビやキャットフードなどの「代金」を支払い速やかにSCP-XXX-JP-1を蒸し器の中に設置してください。納品したSCP-XXX-JP-1は解雇予定のDクラス職員に買い物許可を与えるという形で購入、消費させて下さい。

説明: SCP-XXX-JP-1はそれぞれ薄いパステルカラーのピンク、水色、黄色に着色され、ネコの顔の形を模していると思われる「中華まん」のように見える食品です。1味は人間向けに設定されているとみられ、Dクラス職員に試食させたところ「ふつうにうまい」とコメントしました。
SCP-XXX-JP-1は毎日3回、不明な方法でトラックを操作したイエネコ(Felis silvestris catus)であるSCP-XXX-JP-2が納品に来ます。これを目撃した一般人や店員は初期の段階では違和感を覚えるものの、徐々に違和感をなくし、最終的にはSCP-XXX-JP-2がトラックを運転して納品に来ることを「当たり前のこと」として認識するようになります。この時点ではSCP-XXX-JP-2以外のイエネコに対しては多少イエネコに対する愛着が増大する傾向があるものの、認識は特筆するほどの変化はしないことが確認されています。
SCP-XXX-JP-1を定期的に摂食すると、摂食した人間は徐々に反射能力の強化、動体視力、嗅覚、聴覚などの発達、平衡感覚の強化等が見られるようになり、最終的にイエネコと同程度の運動能力を持つようになります。
その反面静止視力、赤色の認識が困難になる等の変化も起こりますが、基本的に日常生活に支障のない範囲にとどまります。また、この変化とともに、徐々に全身にイエネコの体毛のような感触の毛が生えてくる、耳の位置や形状などがイエネコのそれに近くなる、瞳孔の形が縦長になるなどの容姿の変化、動いているものに反応しやすくなるなど行動にもイエネコの本能的行動に近い行動が多くなるなどの変化がみられるようになります。
最終的に対象は、体格の変化などを経て、イエネコと全く同じ姿になりますが、周囲の人間はそれを異常と認識せず、変化前と同じ態度で接します。イエネコに変化した対象は姿かたち等はイエネコにかわるものの知性、発話能力は残されており、依然と同じ生活を続けようとします。
ただし体格等が大きく変化するため、一部の作業や家事には重大な支障が出ることがあります。このような変化が起こるにもかかわらず対象含む周囲の人間は「以前からこうだった」と認識し、特に違和感を覚えることはありません。この状態になった対象はSCP-XXX-JP-3と認定され、必要に応じて財団に保護されます。
SCP-XXX-JPは地元に帰省した財団職員の家族がイエネコの姿に変化していたのを発見したことで財団の注意を引きました。

対象: エージェント・ ██の妹(SCP-XXX-JP-3)

インタビュアー: エージェント・ ██

付記: SCP-XXX-JP-3を含むエージェント・ ██以外の家族はSCP-XXX-JP-3の変化に違和感を感じていなかったことに留意してください。

<録音開始, >

エージェント・ ██: ええと……もしかして、 ██2なのか?

SCP-XXX-JP-3: うん、びっくりしたでしょ、このダイエットフードと肉まんすごいんだよ、お腹いっぱい食べたのに体重が一気に減って、体も軽くなったの。

(エージェント・ ██の両親が、引きこもりだった娘が活動的になってきたとうれしそうに付け加える声が聞こえる)

エージェント・ ██: ……そりゃ軽くなっただろうよ。ところでお前、体重が変わった以外に何か変化を感じなかったか?

SCP-XXX-JP-3: うん、最近よく外でかわいいねって言われるようになったよ。だからおしゃれがたのしくって。

エージェント・ ██: 確かにそうだろうけどそうじゃなくて、体が小さくなった気がするとか、容姿がめちゃくちゃ変わったとかそういうのは……。

SCP-XXX-JP-3: やだなあ、お兄ちゃん、照れるなあ。身長はもともとこんなもんだったし顔つきも痩せたからちょっとは変わったけど前からこんなもんだったよ、ねえ、お父さんお母さん。まあメイクはするようになったから雰囲気は変わったかもだけど。

(両親の同意する声が聞こえる)

エージェント ・██: そうか……………………メイク?

エージェント・ ██の両親: ところで ██3 。今回はしばらくうちにいるんだろ、お隣の ██さんがまだ付き合ってる人がいないならうちの娘はどうかってね。

エージェント・ ██: いやまって、ちょっと待って、ほんとまって……って、猫だよねこれ、これはお隣の ██ちゃんじゃなくてペットの猫だよね?いやまさかこれ ██ちゃん!?うそだよねおい、嘘だって言ってくれよ……。

SCP-XXX-JP-3: なにいってんのお兄ちゃん、お隣の ██ちゃん元からこの毛並だったじゃない。

エージェント・ ██の両親: 本当いい娘さんよ、ねずみもよく取るし。スズメも取れるし。

SCP-XXX-JP-3: チャンスだよお兄ちゃん、昔から ██ちゃん好きだったじゃん、よく尻尾引っ張って怒られてたけど。

エージェント・ ██: いや、尻尾って、ポニーテール……たしかに尻尾だけどさ。

<録音終了,>

終了報告書: オブジェクトの外見上女性に人気があったらしく、近隣の若年女性は軒並み猫になってました。しかし本人もその家族も特に異常は認識していないようでした。人間に見えるというより「元から猫だった」と認識しているようです。
ちなみに猫の種類はランダムのようです。ええ、それはもう短毛長毛入り乱れて最高……いや、とんでもない光景でした- エージェント・ ██

エージェント・ ██はミーム対策部門のエージェントとして訓練を受けていたため「猫が人間として生活するということに異常を感じなくなる」というミームの影響を受けなかったものと思われます。この件を受けてミーム対策部門が調査をしたところ、下級職員を中心にかなりの人数の職員が猫として勤務を続けていたことが判明しました。
これらの職員は多少の補助は必要であるものの業務に支障はないことから、財団サイト内のEクラス職員寮で生活することとし、引き続き業務を継続させることになりました。

猫種によっては階段の上り下りが大変だったり通常の猫用ドアでは体が通らない場合があります。職員が問題なく業務を続けられるよう設備を整える予算を申請します- サイト██管理官・ ██
認可します-財団備品管理部部長・ ██(ジャパニーズボブテイル)

財団はカバーストーリー「異物混入」を使用し、当該商品を回収することとしました。
その作業中、回収エージェント・ ██が商品を納品に来たSCP-XXX-JP-2と遭遇しました。以下はエージェント・ ██によるSCP-XXX-JP-2へのインタビュー記録です。

対象: SCP-XXX-JP-2

インタビュアー: エージェント・ ██

<録音開始, >

エージェント・ ██: こんにちは、SCP-XXX-JP-2

SCP-XXX-JP-2: えっと、それはぼくのことですか?

エージェント ・██: はい、あなたのことです。

SCP-XXX-JP-2: なんだか難しい名前ですね、数字がいっぱいです。 ところで、うちのおまんじゅうに異物が入っていたと聞いたのですが、作業猫(さぎょうにゃ)たちは手袋とマスクをして毛が入ったりしないように注意していたのですが、お騒がせしました。(SCP-XXX-JP-2は耳を寝かせて頭を下げる仕草をした)

エージェント・ ██: 作業猫、ということはこの中華まんはすべて猫が作っているということですか?

SCP-XXX-JP-2: はい、私のような長毛だと毛が入ってしまうので短毛の方が多いのですが、あとお顔を書くのはこの手ですと難しいので猫ではない方がやってますがたいていの作業は猫が手掛けております。

エージェント・ ██: 猫ではないというと、それは……ええと、どんな動物……じゃなくてどんな方がやっているんですか?

SCP-XXX-JP-2: 狐さんとか狸さんです、あの方たちは人間の格好になれるので。 あと最近は工場が増えたのでお猿さんなんかも手伝ってくださいます。

エージェント ・██: そうですか、ところでこのおまんじゅうを食べた人間が、猫になるという現象は把握していますか?

SCP-XXX-JP-2: ええ、もちろんですとも、このおまんじゅうを食べるだけでふわふわの、完璧な猫になれます。

エージェント・ ██: あの、あなた方の目的は……なぜ人間を猫に変えようとおもったのですか?

SCP-XXX-JP-2: そりゃもう、日ごろ缶詰をくれたりブラッシングをしてくれたりしている感謝の気持ちを込めてですね、猫になれば高いところにも楽に上れますし、ネズミも簡単に取れますし、訓練次第ではすずめだって……。

エージェント ・██: あの、人間がすべて猫になってしまったら、缶詰が開けられないと思うのですが。

SCP-XXX-JP-2: ……あ。

エージェント・ ██: あと、体が猫の大きさだと……小さすぎるというか、ええ、人間のものが使いにくいというか……。

SCP-XXX-JP-2: ううん、確かにそれは……人間の皆さんが全員猫になるとそうなるんですね……ちょっと会議で幹部狐や狸の皆さんに報告と相談をしないとです、あ、もしよかったらこれどうぞ、新製品のシニャモンロールとシニャモンツイストです。

とりあえず、末端の猫たちに人間に危害を加える気はないらしい。新商品のサンプルは担当研究者および担当研究猫に提出しました。

その後、エージェント・ ██の説得の結果、当該オブジェクトは財団内の指定した施設でのみ流通させることを了承させました。

補遺: 納品に来た猫たちが新商品として以下のものを提示しました。

商品名 概要 食べた場合起こる変化
わんこそば 通常サイズのそば 摂食したDクラス職員数名は品種はバラバラでしたが全員大型犬になりました
シナモンキーロール 一口サイズのシナモンロール 摂食したDクラス職員はピグミーマーモセット(Cebuella pygmaea)、リスザル(Saimiri sciureus)、ニホンザル(Macaca fuscata)、ゴリラ(Gorilla)等の霊長類に変化しました
桃太郎印のキジ団子 一口サイズの餅菓子、きなことあんこ各2つの4個入り 摂食したDクラス職員は雉になりました

猫じゃなきゃいいってもんじゃない。- ██博士(スローロリス)

補遺2

説明: 猫の形をしたチョコレート█個。摂取するとすぐに平均的な大きさのロシアンブルーに変異する。知能と記憶は消えない。
回収日: 20██/██/██
回収場所: サイト-██レストラン
現状: サイト-██標準安全Anomalousアイテム倉庫に滅菌して真空包装後、保管。

韓国で類似の効果のあるアノマリーがAnomalousアイテムとして回収されていることが判明しました。
このようなオブジェクトが世界各国に存在する可能性があるためさらなる調査が必要と考えます。

却下
我が国の知的生命体のうち人類は1割程度である。また比較的人類の多い欧米でも5割に満たないうえ、その多くが大きすぎる体躯や運動能力の低さに悩んでおり、猫あるいはその他の生き物への変化を望んでいる。
このアイテムの社会への害や影響はきわめて少ない物と判断される。 財団職員の時間や資源はもっとほかの脅威性の高いものに振り分けられるべきである。
日本支部理事 獅子

追記: 現在このオブジェクトを人間から猫に変化させる猫転換手術に利用することが検討されています。