アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の生物収容室に収容されています。収容室の天井と床の四隅に監視用のカメラとマイクを設置し、モニターで監視をしてください。SCP-XXX-JPは毎日平均1800〜2200kcalの食事を朝昼夜に分けて摂る必要があります。SCP-XXX-JPの担当職員には、業務前と終了後の身体検査及び、自室の定期的な捜査を行なってください。SCP-XXX-JPと関連があるとみられる物体が検出された場合、職員にAクラス記憶処理を行なってください。
説明: SCP-XXX-JPは、現在4体存在する未知の生命体群の総称です。SCP-XXX-JPは常に透明状態であり、現在までSCP-XXX-JPを目視可能にするいずれの試みも成功していません。
SCP-XXX-JPはその性質上、生態等の詳しい情報を知ることは困難です。回収時の状況から人間によく似た声帯と高い身体能力を持つ獣のような生命体と考えられていますが、現在まで視認が出来ていないため、生態に関する情報は不確定なものとなっています。以下は個体ごとの特徴です。
名称 | 特徴 |
---|---|
SCP-XXX-JP-01 | 人間の男性によく似た声をしています。常時唸り声や鼻息の様なものを上げ、収容部屋の壁を叩くような動きを見せています。非常に攻撃的な性質を示しており、収容室の破壊はほぼ全てがSCP-XXX-JP-01によるものです。現在は攻撃的な性質が以前より軟化しています。 |
SCP-XXX-JP-02 | 人間の女性によく似た声をしています。嗚咽の混じった泣き声を上げており、攻撃的な態度は特に見られていません。事件SCP-XXX-JP-a以来、攻撃的な態度を見せていましたが、現在は態度が軟化しています。 |
SCP-XXX-JP-03 | SCP-XXX-JP-03…事件SCP-XXX-JP-aで確認されました。現在は消失したと考えられています。詳しくは事件SCP-XXX-JP-aの記録を参照してください。 |
SCP-XXX-JP-04 | SCP-XXX-JP-04…事件SCP-XXX-JP-bで新しく確認されました。収容担当のDクラス職員であったD-790と声紋が一致しており、オブジェクトの特異性により変化したものと考えられています。赤ん坊の喃語のような声を発しており、攻撃的な要素は見られていません。 |
事件XXX-JP-a: 事件概要
観察担当の職員の「収容部屋から赤ん坊の声がする」との報告を受け、発覚しました。収容部屋へ確認を取った職員達に対し、SCP-XXX-JP-01とSCP-XXX-JP-02は激しく攻撃を行いました。職員が全員退却した後も攻撃は止まず、収容部屋の装置や備品を壊し、観察は困難となりました。発覚から数時間後、対象の声が聞こえなくなったため、終了したと考えられました。対象はSCP-XXX-JP-03と名付けられ、現在も調査中ですが、未だ収容部屋からは発見されていません。SCP-XXX-JP-01とSCP-XXX-JP-02はこの事件から、今までより攻撃的な態度を示しています。
事件XXX-JP-b: 事件概要
SCP-XXX-JPの特別収容プロトコルに使われていた食品を、担当のDクラス職員であるD-790が盗み取る事件が起きました。当時行った身体検査では、対象のDクラス職員は異常なしという結果だったと報告されています。事件から1日後、Dクラス職員が部屋から消失し、SCP-XXX-JPの収容部屋にて反応が発見されました。原因は不明ですが、新たな異常性の発生とみなされ、Dクラスの盗難行為はこの異常性と関連性があると考えられています。異常性はこの事件でのみ確認された偶発的なものであり、詳細は現在研究中です。また、この事件からDクラス職員はSCP-XXX-JPに変化したと考えられ、SCP-XXX-JP-04と名付けられました。
事件XXX-JP-b: 事件後インタビュー
対象: D-909
インタビュアー: ██博士
付記: D-909は、異常性に暴露したD-790と事件後直接接触していると考えられています。
<録音開始、20██/██/██>
██博士: 事件当時、D-790に異変は見られませんでしたか?
D-909: 俺は関係無い!俺は何もしてない、あいつに何も言ってないぞ!あいつが勝手にやったんだろ!
██博士: 落ち着いて下さい。我々はそのように考えてはいませんよ。…あなたはD-790とは相部屋でしたね。D-790に変わった点は見られませんでしたか?
D-909: 知らない…俺は本当に何も知らないんだ。あいつが今朝、俺に何かを隠していたぐらいで。それがどうして…██博士: 業務に使われていた食品を、D-790が盗んだと考えられている事については、どう思いますか?
D-909: あいつ、メシをパクったのかよ?いや、確かに朝飯前と後にやたらソワソワして便所に行くとか言ってたな…。でもそれだけだ。心配してやったら急に「うるせえ」ってキレだしたからな。
██博士: その後、D-790が変異するまでに至った経緯を教えて下さい。
D-909: 昼メシの後は別に普通だったな。夜になって、あいつが消灯時間になっても帰って来なかったから、俺は先に電気を消して横になったんだ。そうしたら…あいつが帰って来て、部屋の中で俺を呼ぶんだよ。「どこだ、見えない、おい、見えない」って。どうも必死で気味が悪かったから、電気を点けて確かめようとしたら…誰も居なかった。だからあいつがふざけてるんだと思って、入り口のドアを開けたんだ。そうしたら…(長い沈黙)
██博士: そうしたら?
D-909: すぐ後ろでまた俺を呼ぶ声がしたんだ。…反射的に俺は振り返っちまった。部屋の家具しか見えない正面からあいつのすすり泣く声がするんだ…「いてえ、いてえよお、くそ、何も見えない、熱い…痛い…」って。…その時、強烈に生臭い何かの臭いと…左右から俺の耳に熱い風が吹き掛かっ、て…うえ、ぐ、(嘔吐)
██博士: その後は覚えていないのですか?
D-909: 知らねえよ!なあ、おい、俺がぶっ倒れる前に見たあいつは、化け物になったのか?俺もそうなるのか?嫌だ、そうなんだろ、お前は知ってるんだな、助けてくれよあれは何なんだ?あんなのになりたくない(再び嘔吐)
<録音終了、20██/██/██>
終了報告書: これ以上はD-909が質問に回答不可能であるとみなされ、インタビューは中止されました。インタビュー後からD-909は重度の錯乱状態になったため、対象にAクラス記憶処理が施されました。処置後は身体、精神状態共に異常は見られず、D-909は引き続きSCP-XXX-JPの収容担当となっています。また、事件当時の身体検査では、D-790に異常は見られなかったとの報告から、新たな特異性が発生したと考えられました。
あの事件から、SCP-XXX-JP-01とSCP-XXX-JP-02は攻撃的な姿勢を見せなくなった。どうやら父親と母親は新しい息子が大層気に入ったらしい。 -██博士