アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8141のにて幅4メートル、奥行き3メートル、高さ3メートルの保安型上級収容房に収容されています。
SCP-XXX-JPは████博士を雇用主とした雇用契約(雇用中の状態を労働状態とする)を交わしています。この雇用契約は名義的なものであり成立すれば問題ありませんが████博士はSCP-XXX-JPから最も信頼されている職員であるためレベル4以上の職員により適任とされました。この契約はSCP-XXX-JPによるSCP-XXX-JP-1の出現を妨げるために用意されています。
SCP-XXX-JP-1が出現した場合、SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPによって即座に[編集済み]されるため収容等の必要はありません。SCP-XXX-JPによる[編集済み]はSCP-XXX-JP-1がほぼ骨格のみになるまで続き、約50分を要します。その後は医療スタッフによってSCP-XXX-JPのカウンセリングが行われます。SCP-XXX-JP-1の残骸は無害ですが衛生管理上、焼却処分してください。
説明: SCP-XXX-JPは18歳程の外見を持つ色白の日本人男性です。彼の確保時の年齢は37歳です。また紫外線による浅黒さや年齢的な皺、たるみ等を肌表面から一切確認できません。しかし、それが特異的なものか体質的なものかはっきりとしていません。
彼自身は異常性を自覚しており、確保時のインタビューにおいて自身の異常性を説明しています。インタビューによると█████県出身で、18歳から一人暮らしを始め、土木作業員として働き、何度か転職を繰り返しながら両親への仕送りをしていました。
彼の両親は事故や病気、借金の返済などを口実に何度も彼に対して多額の資金援助を要求していますが調査の過程でその全てが虚偽であると分かりました。また調査の結果、彼の両親は彼が25歳の時以来、行方不明になっていることが確認されました。彼の精神強度は一般的なものと変わらず、彼の精神状態に配慮し、上記のことは伝えられていません。
労働状態にあるときの彼は睡眠、食事を必要とせず、身体的損傷・疾病・毒物などにも完全な耐性をもっています。
非労働状態にあるときの彼は独自の食事を必要とします。身体的損傷・疾病・毒物などについては強い耐性を有しています。非労働状態のまま約10分経過すると彼は強烈な食人欲求を訴えます。多少の自制はできますが彼には人間が食べ物に見えています。そして更に約10分経過し、食人欲求が満たされていなければ彼の半径60cm以内にSCP-XXX-JP-1が彼の意思とは無関係に出現します。彼はSCP-XXX-JP-1を[編集済み]することで食人欲求を満たします。彼がSCP-XXX-JP-1を全て[編集済み]すると彼から半径5m以内の有機物・無機物はストレスや劣化や疲労が無くなります。この現象は物理的なものから精神的な症状まで全てにみられました。その後彼は5日間、独自の食事を必要としませんでした。
SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPが非労働状態のときに全裸で出現する植物状態の人間であり、SCP-XXX-JPの食人欲求を解消することに最も適した存在です。SCP-XXX-JP-1は過去から現在までに過労が原因で死亡した人間と遺伝情報が一致しており、またそれらの複製体です。脳の広範囲が活動出来ない状態ですが、辛うじて生命維持に必要な脳幹部分は活動しています。SCP-XXX-JP-1の復帰を試みましたが成功していません。出現するSCP-XXX-JP-1は全て異なった人間であり、同一の個体は出現していません。検体として保存してあるSCP-XXX-JP-1は出現から現在までに生命活動の停止や、老化は確認されておらず、未知の要因よって状態が保たれていると推測されます。
補遺-XXX-1: SCP-XXX-JPはサイトでの生活に安心した様子を見せています。その収容態度から月に一度、SCP-XXX-JPが労働状態である場合はSCP-XXX-JPが個人的に必要とする物品の要請を受け付けることが可能になりました。現在までにSCP-XXX-JPが要請した物品は下記のとおりです。
・食事や栄養、食の楽しみに関する書籍
・█████社のチューインガム
・██████社のキャンディー
・█████社のカップ麺
(SCP-XXX-JPは食事を必要としないため娯楽目的と確認されました。)
SCP-XXX-JPの財団に対する協力的な態度が継続されれば更なる収容待遇の改善が検討されます。
補遺-XXX-2: 彼の説明する年齢と外見年齢に15歳程度の差があるため、労働状態にある彼は身体の老化が停止しているとの見解を示した█████・████博士は、その仮説を裏付けるための実験方法を思案中です。
彼の労働状態である場合の異常性を把握し確認・記録するためにいくつかの実験を実施しました(実験記録-a)。また、非労働状態である場合の異常性を把握し確認・記録するためにいくつかの実験を実施しました(実験記録-b)。主な実験記録は下記のとおりです
実験記録-XXX-jp-a-1 - 日付20██/██/██
担当者: ████博士
対象: SCP-XXX-JP
実験内容: 労働状態のSCP-XXX-JPに殴る・ナイフ・銃を段階的に使用し身体的損傷を試みる。
結果: いずれの試みもSCP-XXX-JPに身体的損傷を与えることはできませんでした。SCP-XXX-JPの皮膚は銃弾を跳ね返しました。しかし、皮膚は柔らかく一般的なものと変わらない感触です。
実験記録-XXX-jp-a-2 - 日付20██/██/██
担当者: ████博士
対象: SCP-XXX-JP
実験内容: 労働状態のSCP-XXX-JPに高さ200m地点から落下する様に指示。破壊を試みる。
結果: SCP-XXX-JPに身体的損傷を与えることはできませんでした。SCP-XXX-JPは「浮遊感と軽い衝撃を感じた。」と報告しています。これ以上の破壊実験は無意味と思われます。
実験記録-XXX-jp-a-3 - 日付20██/██/██
担当者: ████博士
対象: SCP-XXX-JP
実験内容: 労働状態のSCP-XXX-JPに、睡眠薬を服用させ、効果がない場合段階的に服用量を増やす。
結果: いかなる服用量の場合もSCP-XXX-JPは眠ることなく、通常ならば致死量のはずの服用量も効果はありませんでした。
実験記録-XXX-jp-a-4 - 日付20██/██/██
対象: SCP-XXX-JP
実験内容: 労働状態のSCP-XXX-JPに、麻酔剤のクロロホルムを吸入させ、効果がない場合段階的に吸入量を増やす。
結果: いかなる吸入量の場合もSCP-XXX-JPはこちらの呼びかけに応答し続けました。その後の健康状態にも異常はみられず、通常ならば血圧や呼吸、心拍の低下を引き起こし、死に至るのはずの吸入量も効果はありませんでした。
実験記録-XXX-jp-a-5 - 日付20██/██/██
担当者: ████博士
対象: SCP-XXX-JP
実験内容: 労働状態のSCP-XXX-JPに免疫がない新型のウイルスを吸入させ、その後の経過を観察する。
結果: 高熱等の症状は確認されず、SCP-XXX-JPの健康状態に変化はありませんでした。吸入時に付着がある口腔内のウイルスは全てSCP-XXX-JPの免疫の働きによって死滅していました。
XXX-jp-b-1現象に暴露して錆や傷等の劣化が消えた灰皿
実験記録-XXX-jp-b-1 - 日付20██/██/██
担当者: ████博士
対象: SCP-XXX-JP・SCP-XXX-JP-1
実験内容: 非労働状態のSCP-XXX-JPの協力のもとSCP-XXX-JP-1の回収をDクラス職員が試みる。
結果: SCP-XXX-JPは指示どおりSCP-XXX-JP-1の[編集済み]を堪え、待機していたDクラス職員がSCP-XXX-JP-1を回収しました。
しかし、SCP-XXX-JP-1がSCP-XXX-JPから約70cm離れると新たなSCP-XXX-JP-1が出現しました。2体目のSCP-XXX-JP-1も回収に成功しましたが、更に新たなSCP-XXX-JP-1が出現しました。3体目のSCP-XXX-JP-1にも回収を試みましたが回収前にSCP-XXX-JPによって[編集済み]されました。
付記: SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JP-1を全て[編集済み]した直後、SCP-XXX-JP・████博士・Dクラス職員・その他職員の衣服や肌表面などにおいて、劣化や皺がなくなりました。この現象(XXX-jp-b-1現象とする)はSCP-XXX-JPの周囲約5mの範囲で確認されました。後に実験関係者に実施したインタビューでは、全ての職員が「疲れがなくなった」や「悩むことやストレスがなくなった」と回答しています。
実験記録-XXX-jp-b-2 - 日付20██/██/██
担当者: ████博士
対象: SCP-XXX-JP
実験内容: 非労働状態のSCP-XXX-JPに対して、労働状態で見られた耐性の確認。また経過観察。
結果: 身体的損傷を与えることはできませんでした。しかし、銃を用いた際にSCP-XXX-JPは「少し痛い」と報告しています。このことから非労働状態のSCP-XXX-JPは、身体的損傷への耐性の程度が下がっていると推測されます。非労働状態のSCP-XXX-JPは5日おきにSCP-XXX-JP-1を[編集済み]するという独自の食事を行います。この独自の食事を行うたびにXXX-jp-b-1現象が発生しました。2ヶ月の経過観察後、SCP-XXX-JPは労働状態に移行されました。
実験記録-XXX-jp-b-3- 日付20██/██/██
担当者: ████博士
対象: SCP-XXX-JP-1
実験内容: 実験には食人行為が一般的なものであると思うよう、精神操作を施したDクラス職員を使用。Dクラス職員にSCP-XXX-JP-1をすべて[編集済み]させ、XXX-jp-b-1現象の発生を試みる。
結果: XXX-jp-b-1現象の発生は確認できませんでした。
付記: 人が人を[編集済み]ただけで何も収穫は無かった。気の毒だがあのDクラスは終了するほかないだろう。████博士
補遺-XXX-3: 以下は日課であるインタビューの記録です。注意する必要があると思われるSCP-XXX-JPの発言があったため特筆しています。
インタビューは2名の非武装のセキュリティ担当者立会いの下、████博士によって実施されました。
インタビュー記録
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ████博士
<録音開始, 20██/██/██>
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
████博士: おはようございます。いつもどおり日課のインタビューを行います。
SCP-XXX-JP: はい。お願いします。
████博士: 調子はいかがですか。
SCP-XXX-JP: いやあ、何回も挑戦しましたけど相変わらず眠れません。
████博士: そうですか、諦めずに続けてみてください。睡眠はいいですよ。ストレスレベルを下げる効果などがありますから。
SCP-XXX-JP: ありがとうございます。いつも親に楽させようと狂ったように働いていたのに。なんとお礼をいったらいいか。ここの生活は本当に幸せです。
████博士: いいえ、あなたが感謝する必要はありません。あなたの存在が人類になんらかの有益な情報をもたらすことは明らかですから。
SCP-XXX-JP: でも先生(████博士の事)。僕は今の生活よりもっと、幸せを感じる瞬間があるんですよ。これを言ったら先生、驚いてしまうかもしれません。
████博士: ほう。気になりますね。言ってみてください。
SCP-XXX-JP: 人を[編集済み]ていときですよ。退屈してまして。またあの実験(実験記録-bと思われる)やってもいいですよ。
████博士: 本気で言ってますか。あなたの発言はすべて録音していますよ。
SCP-XXX-JP: いやですね、先生。まさか、冗談ですよ。
████博士: ああ、そうでしたか。驚きましたよ。どうしたんですか、冗談を言ってくれるようになりましたね。
SCP-XXX-JP: 日々にメリハリがないと言うか、刺激がない感じで退屈なのは本当なんです。わがまま言って申し訳ないんですが、紛らわす物はありませんか。
████博士: 分かりました。次回の物品要請までにメニューに追記しておくよう検討します。
SCP-XXX-JP: ありがとうございます。なんだか、また心が楽になりました。
████博士: そうですか。それではそろそろ時間ですので、以上とします。
SCP-XXX-JP: ありがとうございました。
<録音終了>