はじめに
この解説項目はSCP-00-WoRlDページの記事全てに目を通した上で読むことを推奨します。
SCP財団は本家の財団支部のカノン(世界観設定)と概して相違ないのでSCP財団とは並びに他公式記事をご参照下さい。また公式カノンには記載されていませんが、一部公式記事とこの創作舞台ではSCP財団本部(アメリカ合衆国)は収容が確立されていないSCPのK-クラスシナリオの対処に関して政府及び軍上層部と協力体制にあることに留意して下さい。
重要な役割にある単語
まず初めにSCP-00-WoRlDページにおいて重要な役割を持つ、公式記事に存在する単語(絶対的なカノンではない)について簡潔に記載します。
アノマリー
異常性を言い換えた用語です。アノマリーを持っている実体、概念、その他諸々をSCiPやオブジェクトと呼びます。
K-クラスシナリオ
基本的にはオブジェクトの持つ異常性による文明・地球・宇宙の終焉に繋がる致命的現象を指します。K-クラスシナリオの詳細な分類についてはK-クラスシナリオ(財団サイト記事)、アニヲタwiki版K-クラスシナリオ(より分かりやすい記事)をご参照下さい。
ヒューム値(Hm)
現実性の強さを表す数値です。以下具体例です。
- 1Hm:現実とおおよそ同値です。
- 1.1Hmを超える高ヒューム値:貴方自身が高ヒューム値を持つ存在であれば「世界が滅べば良いのに」と願うことで多かれ少なかれ世界崩壊に繋がる現実改変が発生します。数値が大きくなるほどその改変能力も増幅していきます。
- 0.9Hmを下回る低ヒューム値: 貴方自身が低ヒューム値を持つ存在であれば、他人に「貴方は世界を滅ぼせる存在です」と定義されることによって多かれ少なかれそのように改変されます。数値が小さくなるほどその改変能力も増幅していきます。
スクラントン現実錨(SRA)
上記のヒューム値を空間に固定する装置です。基本的には1Hm及び現実に近い数値に固定されることが多いです。
カント計数機
オブジェクト及び空間内のヒューム値を計測する為の計測器です。一部公式記事ではスクラントン現実錨とカント計数機が一体化したものもありますが、この創作においては別々の装置として使用しています。
記憶処理
基本的には対象の一定時間の記憶、長期間の記憶、特定期間の記憶を消去する為に使用される手順です。記憶処理に関しては公式カノンが曖昧である為、改訂版記憶処理薬ガイドを参考にしています。
SCP-00-WoRlDページ内には公式カノンには存在しない創作単語が複数出てきます。以下記載の創作単語はSCP-00-WoRlDページにおいて重要な役割を担っています。
SCP-00-WoRlD・SCP群
全て揃って一つの扱いを受けるSCPの総称です。非活性状態でどれだけ安全に収容しても、SCP群の内一つでも活性化すると連鎖的に活性化する脅威的な異常存在です。以下SCP-00-WoRlD・SCP群とK-クラスシナリオの関連性を簡潔に説明します。詳細については提言解説タブをご参照下さい。
番号 |
名称 |
K-クラスシナリオとの関連性 |
SCP-E60033-WoRlD |
冷却された黙示録 |
K-クラスシナリオの発生記録を残す |
SCP-00AFCC-WoRlD |
エウレカエンディング |
並行(多元)宇宙及び現実世界の宇宙に影響するXK-クラス世界終焉シナリオに直結 |
SCP-00608D-WoRlD |
虚無主義者の嗜好品 終末国家のアイロニー |
現在収容されておらず、現在進行形でΩK-クラス死の終焉シナリオの懸念がある |
SCP-9CBB1C-WoRlD |
ゼノ収束 |
拡大規模不明のNK-クラス世界終焉シナリオに直結 |
SCP-FFF462-WoRlD |
不在の金切り声を聴け |
地球に存在する踏切が遷移事象を発生させるアノマリー化する擬似的なNK-クラス世界終焉シナリオの懸念 |
SCP-E95388-WoRlD |
カルマ的解釈ゲヱト |
既にCK-クラス再構築シナリオが発生しているが、最も懸念されるSK-クラス支配シフトシナリオに直結 |
SCP-316745-WoRlD |
構築する幸福 |
全ての人類を原初の人間へと戻すAK-クラス世界終焉シナリオに直結 |
SCP-F3F3F3-WoRlD |
沈む憩いに眠る |
将来的な地球中心部コア到達による海上気候変動由来のGH-クラス"デッドグリーンハウス"シナリオに直結 |
SCP-B36D59-WoRlD |
机上の書架と二杯のコーヒー |
K-クラスシナリオを影響外で観測可能 |
SCP-CF5CE6-WoRlD |
拝啓、貴方を待つ |
地球人類に破滅衝動を与えるAK-クラス世界終焉シナリオに直結 |
SCP-ED6D35-WoRlD |
レベルⅣリフレクタ |
既にK-クラスシナリオによって終焉を迎えた並行(多元)宇宙から遺された通信を受信する |
エリア-1945
SCP-00-WoRlD・SCP群が収容されている総面積約1,899km2の区画です。元々アイテム番号SCP-8F47B3-WoRlDを与えられていたオブジェクトで、異常性やその他エリアに及ぼす影響を吸収しやすい性質を持ちます。時折犬の鳴き声のようなものが聞こえます。SCP-8F47B3-WoRlD("[アクセス拒否]")にて隠れたメッセージを読むことが可能です。
集団連鎖K-クラスシナリオSCP群対抗計画『WoRlD』
SCP-00-WoRlD・SCP群による脅威度を鑑みてO5評議会により秘匿的に施行されていた計画です。正式名称は『Wedge of Role-lost Door(恒久任務-出口は閉ざされるままに)』。内容は以下の通りです。
- SCPの性質の媒体にする条件に適合するヒトを探す
- O5スタッフ指導の下、機動部隊を出動させ適合するヒトをエリア-1945まで輸送(目撃者と関係者には記憶処理を施す)
- クラスF記憶処理を用いた特殊手順によってヒト媒体から一般人としての自己ゲシュタルトを消失させる(潜在的な人格は残っているが記憶は完全消去されている状況)
- 『フィラデルフィア異常性粒子結合艦(SCPの性質と適合する有機物を融合させる装置)』を使ってヒトをSCPと同性質の媒体にする(各SCPと同じ異常性を持ったヒトになる)
- エリア-1945の収容区画にKクラス観測者として形式的な従事の下で適切な収容及び監視を実施(エリア-1945内部に入る総合監督官はWクラス記憶補強剤を服用しなければならない)
- 再興不可能な致命的K-クラスシナリオの発生が予測された時、O5権限を以てエリア-1945内部に無人のSRA搭載タンクトランスポーターによる『現実放射性トポロジー次元(局地的にヒューム値を低下させる空間を生み出す装置)』の移送及び作動指示
- エリア-1945内部のヒューム値が極限まで低下することにより、内部に存在する物質全てが拡散、希釈
- エリア-1945周囲を特殊隔壁によって完全封鎖区域にすることにより計画完遂(永遠に封じ込める)
Q.何故SCPの性質と媒体を融合させる必要があるのか?
A.一部SCPは収容不可能(エアロゾル素粒子、執着概念、異常ミーム粒子)または収容難易度が高く、それを希釈するには物理的な媒体が無いと現状の技術力では不可能です。
Q.何故SCPの性質の媒体はヒトでなければならない?
A.SCPの異常性はヒトに対して影響を及ぼすものが主であり、融合に関しても異常性とヒトの結びつき易さが大きく関わる為。フィラデルフィア異常性粒子結合艦はその結びつき易さを利用した接続装置になります。また、有機物を媒体にした実験(SCP-7f1184-WoRlD実験で伏せられているところが計画に直結する実験と想定しています)は失敗に終わっています。
またSCPの性質の媒体になるヒトは誰でも良い訳ではなく、性質と適合する条件を全て満たしたヒトでないと融合時点で失敗により拒否反応を起こすか人材の無駄な消費に終わる為、この計画も初期段階で限りなく不可能とされていました。以下条件の解説です。
- ヒト型群がSCP群の性質と人格が希釈し易いと判断されること:ヒトの性格や立場、思想、潜在的人格が各SCPに近似的であること
- ヒト型群は相互的な結びつきがあること:親しい友人、同盟関係、血縁関係のいずれかに当て嵌ること
- ヒト型群各々が性質的な二面性を有していること:【メタ解説】本人としての人格以外にキャラクターとしての人格を複数持っていること
- ヒト型群が財団に従事していること(一般人から選出:クラスF記憶処理の使用-許諾-O5-█)
クラスF記憶処理は対象の遁走状態、あるいは解離性健忘を誘発します。対象は自身のアイデンティティを忘却し、記憶処理班員により新たなアイデンティティを与えられるか、自らアイデンティティを確立していくことになります。
Q.ヒト媒体を生存状態で希釈し続ける必要性は?殺害や冷凍睡眠は駄目なのか?
A.SCP-8F47B3-WoRlD実験より、殺害はSCPの性質との融合が剥離する結果に終わっている為(計画記事に記述しています)。また冷凍睡眠では脳と身体組織が覚醒している為に異常性は消えません(はっきりとは記載していませんがSCP-8F47B3-WoRlD記事の伏せられた実験でこの辺りを想定しています)。
Q.生存状態で希釈され続けるとヒトとSCPはどうなる?
A.低ヒュームの影響で身体の現実性が薄まり極限まで拡散されます。痛みはありませんが顔のパーツが拡散し、複数の臓器や左脳等も体外へ拡散されても生存し続ける為、人格もまた極限まで薄まっていくと推測されています。SCPの性質がヒトを媒体にしている為に比例して異常性も極限まで希釈され、理論上無力化出来るとされています。
SCP-3001のスクラントン博士と同じ状態になると想定しています。より分かりやすい解説はアニヲタwiki版SCP-3001をご参照下さい。
プロトコル-WoRlD
集団連鎖K-クラスシナリオSCP群対抗計画『WoRlD』に抗う為に作動されるプロトコルです。
計画における最終段階の「エリア-1945内部で『現実放射性トポロジー次元(局地的にヒューム値を低下させる空間を生み出す装置)』の作動」に対して反応し自動作動します。
集団連鎖K-クラスシナリオSCP群対抗計画『WoRlD』と関係の無い致命的なK-クラスシナリオが発生した場合は“Program Essence - Sin”(主要人物項目にて解説)によって強制作動されますが、その場合のエリア-1945空間維持が不安定になり主要人物たちへの負担が甚大になると推測されています。
プロセス内容を要約すると
- 非アノマリー空間(エリア-1945を完全に包囲する空間)を生み出してエリア-1945を外と切り離す
- 現宇宙の宇宙終焉をビッグクランチに改変
- “Program Essence - Sin”領域の余剰次元を通してビッグクランチ発生前に非アノマリー空間を移動させる
- ビッグクランチの発生によって収束したエネルギーによってビッグバンが発生
- ビッグバンの膨大な熱エネルギーを使用して別宇宙(発生しているK-クラスシナリオを無かったことにした現宇宙の完全コピー)を生み出す
- ヒューム値の影響で生まれた別宇宙が現宇宙として定義される
- 非アノマリー空間が新たな宇宙に希釈され、元のエリア-1945に戻る
切り離された"元"現宇宙は永遠に放棄されます。このプロトコルは総合監督官がKクラス観測者から異常性を取り除く手段を見付けるまで継続されます。
プロコトル作動回数が████回となっていますが、プロトコルの作動期間がおよそ7日間でプロトコル非作動期間(次のK-クラスシナリオ発生予測までの期間)が最短で数日程度~最長で数十年を想定している為、後述する主要人物全員はこのプロトコルによって既に(7+プロトコル非作動期間[日])×████の途方も無い期間をエリア-1945内部で過ごしています。
【メタ解説1】プロトコルの作動期間である7日間は、風の谷のナウシカに出てくる『火の七日間』をオマージュしています。
【メタ解説2】プロトコル-WoRlDが作動する7日間はKクラス観測者の異常性が消失または緩和され、記憶が戻る期間(詳細は後述)であり、GFが一時的に総合監督官としての職務から離れて彼らと嘗てのように交流することが可能な期間です。GFの提言の記事を開く為に必要なパスのところに記載していますが『アクセスに災害対抗ミーム“休息”を接種する必要がある』というのもプロトコル-WoRlDは主要人物全員にとって一時的な救い、休息であることを表現しています。
主要人物について
SCP-00-WoRlDページ内に登場する人物は全て公式設定に基づいた役職、またはSCP-00-WoRlDページ限定使用の架空人物です。後者については以下の説明を参照。
Kクラス観測者(T,K,U,Z,S,R,O,H,E,SP,C,(N))
表向きには『T~C提言各々に記載されたSCPを管理する職員』として役割を与えられた11(12)の人型異常存在です。SCP-00-WoRlD・SCP群にのみ使用される役職で、財団内でもその存在を知るのはO5評議会及びレベル5クリアランス財団職員でもごく僅かな人のみです。
また元来は一般的なヒトであり、友人関係にありました。財団によって施されたクラスF記憶処理の影響で人格こそ保持していますが嘗ての記憶は無く、インタビュー等によって嘗てを思い出させようとすると現状との極端な違和によって苦痛と諦観の念を示します。しかしプロトコル-WoRlDが作動している期間のみ異常性が緩和され、元来の記憶を取り戻します。
SCP-00-WoRlDページではっきりとは記述していませんが、異常存在へ改変されたことで身体的な時間が止まり実質的な不死状態になっています。(プロトコル-WoRlDの作動回数で匂わせています)
Kクラス観測者の内、O5評議会すら把握していない存在がNです。
SCP-00-WoRlD総合監督官(GF)
SCP-00-WoRlDページ内の提言に出てくるSCP(正しくはSCPの性質の媒体となったKクラス観測者)の総合的な管理立場にある役職です。この役職に就いたのはGFが最初で最後です。
またGFはKクラス観測者となった人物の友人でした。彼は元々財団の存在を知る上層軍事関係者でしたが、友人が計画によって犠牲になることを知ってからはその計画阻止の為に財団へ表向きには積極的に協力姿勢を示し、最終的にエリア-1945総合監督官に従事しています。一ヶ月に一度クラスW/X記憶補強剤(参考記事は記憶補強薬)を服用している副作用で著しい細胞破壊による激痛と悪夢に苛まれています。この薬を恒久的に使用する限りは実質的な不死状態です。
またGFはW/X記憶補強剤の効果として総合監督官に従事してからの全ての事象を記憶しています。そして主要人物の中で現状唯一の純粋な人間です。
“Program Essence - Sin”
現在余剰次元からエリア-1945を観測している余剰次元存在です。神性的な立ち位置ではありますが、持つ異常性は余剰次元に近いエリア-1945から多少改変出来る程度です。
GFの協力者で、GFとKクラス観測者となった人物の友人でした。
【メタ解説】Program Essence - Sin→Pesin
時系列
各SCiPが発見・収容されてからプロトコル-WoRlDが初回作動するまでの簡単な時系列記載です。
期間 |
財団 |
主要人物 |
-200█
初期 |
SCP-00-WoRlD分類前に以下SCPが順不同で収容される。
- SCP-E60033("冷却された黙示録")
- SCP-00AFCC("エウレカエンディング")
- SCP-00608D("虚無主義者の嗜好品")
- SCP-9CBB1C("ゼノ収束")
- SCP-FFF462("不在の金切り声を聴け")
- SCP-E95388("カルマ的解釈ゲヱト")
- SCP-316745("構築する幸福")
- SCP-F3F3F3("沈む憩いに眠る")
- SCP-8F47B3("[アクセス拒否]")
- SCP-B36D59("机上の書架と二杯のコーヒー")
期間が空いて、SCP-00AFCC("エウレカエンディング")の異常性に対しSCP-CF5CE6("拝啓、貴方を待つ")が発現。その後特別収容プロトコルが確立されていない間にSCP-CF5CE6("拝啓、貴方を待つ")の異常性によってSCP-ED6D35("レベルⅣリフレクタ")の存在も確認され、収容。
|
記録なし |
200█ |
複数SCPの連鎖作用が発見され、その性質によるK-クラスシナリオの発生確率が超過的に増幅していることを受けて、O5評議会により集団連鎖K-クラスシナリオSCP群対抗計画『Wedge of Role-lost Door』施行の決議が行われた。以下SCP-00-WoRlD・SCP群分類されたSCP。
- SCP-E60033-WoRlD("冷却された黙示録")
- SCP-00AFCC-WoRlD("エウレカエンディング")
- SCP-00608D-WoRlD("虚無主義者の嗜好品" "終末国家のアイロニー")
- SCP-9CBB1C-WoRlD("ゼノ収束")
- SCP-FFF462-WoRlD("不在の金切り声を聴け")
- SCP-E95388-WoRlD("カルマ的解釈ゲヱト")
- SCP-316745-WoRlD("構築する幸福")
- SCP-F3F3F3-WoRlD("沈む憩いに眠る")
- SCP-B36D59-WoRlD("机上の書架と二杯のコーヒー")
- SCP-CF5CE6-WoRlD("拝啓、貴方を待つ")
- SCP-ED6D35-WoRlD("レベルⅣリフレクタ")
SCP-8F47B3-WoRlD("[アクセス拒否]")が『エリア-1945』として収容区画に適用。
また計画に必要となる『SCPの性質と希釈させるヒト媒体』の調査が難航。世界オカルト連合(GOC)と境界線イニシアチブに協力を仰ぎ、許諾意思及び全面協力を得たが結果は芳しくない。
|
記録無し |
20██ |
集団連鎖K-クラスシナリオSCP群対抗計画『Wedge of Role-lost Door』におけるヒト媒体に適したヒト群を財団が発見。早急にO5スタッフ指導の下機動部隊によるヒト群の拘束、エリア-1945への輸送及び媒体化を実行。
O5評議会及びごく一部の財団職員によりKクラス観測者の特別収容プロトコルが秘匿的に実施される。 |
上層軍事関係者であるGFが財団のSCPの計画と消息不明の友人に関連性を見出し、財団への従事を願い出て財団職員に就く。
この段階で“Program Essence - Sin”が人間としてではなく余剰次元存在としてGFのデータベースから接触。GFへの協力を申し出る。 |
20██- |
Kクラス観測者の特別収容プロトコルにエリア-1945総合監督官のシステムが追加され、GFが就任。他財団職員が管理していたSCP-00-WoRlD・SCP群が、総合監督官とO5スタッフによる管理に委任される。 |
GFと“Program Essence - Sin”によるプロトコル-WoRlD作動の為の準備が始まる。GFは財団のあらゆる技術や知識の把握及び研究を進め、“Program Essence - Sin”は余剰次元と接続されているエリア-1945からプロトコル-WoRlDを作動のプロセスを組み込み、全体を観測する。 |
-2███ |
もう間もなくの致命的なK-クラスシナリオ発生が予測され、計画最終段階実施のO5評議会が決議を行い、承認。 |
O5評議会からの計画実行連絡を受け、プロトコル-WoRlD作動に備える。
プロトコル-WoRlD作動二回目以降、GFはこの段階でSCP-00AFCC-WoRlD("エウレカエンディング")の収容場所に向かっており、“Program Essence - Sin”はSCP-E60033-WoRlD("冷却された黙示録")データベースの確認を行っている。 |
N/A |
K-クラスシナリオを免れず、世界終焉が始まる。 |
プロトコル-WoRlDの初回作動。 |
N/A |
記録無し |
嘗てからの悪友達は7日間の休息に入る。 |
この後は新たな宇宙が現宇宙に定義され、GFは財団で総合監督官として従事を再開し、Kクラス観測者の記憶は再び失われます。
そして次の収束不可能なK-クラスシナリオ発生予測による財団の計画実行→プロトコル-WoRlD作動まで継続されます。
Tの提言解説
Tの提言 - SCP-E60033-WoRlD("冷却された黙示録")
この世に存在する終末論が可視データ化された電子情報。オブジェクトクラスはAnomalusからEuclidに変更され、現在削除されている。
1953年2月█日のソヴィエト、ウラル山脈に存在する洞窟内部の放棄されたシェルターで発見され、財団の保有するサーバのハードドライブに保存される形で収容されている。またKクラス観測者以外の閲覧は禁止されており、勝手な閲覧と変更はサーバに組み込まれた認識災害エージェントによる恒久的な精神汚染を被ることになる。
このSCPの内容は主にキリスト教や仏教、ヒンドゥー教といった主流な宗教の持つ終末論から要注意団体やマイナーな宗教による終末論、それどころか個人が定義した終末論まで余すこと無く全てが数値化、グラフ化して記載されているデータである。当然、機械信仰のあいつらや肉々しいあいつらの終末論も勿論ある。
これだけであれば世界の終末論収録の単なるマニアックなデータ群だが、このSCPの真髄は内容データが新たに更新される時にある。
このSCPは完全に外部と通信が切り離されたサーバに保存されているにも関わらず自動更新事象が発生する。その発生するタイミングというのが『K-クラスシナリオ』が発生した時である。ちなみにデータ更新が行われる前に微弱なヒューム値変動が起こっている為K-クラスシナリオの発生を事前に知らせてくれる、珍しく人類に優しいオブジェクトでもある。シナリオを回避出来ればの話だが。
財団がこのSCPの異常性を把握出来ているのは、このSCPを収容して初回、そして二回目に発生したK-クラスシナリオをどうにか収束させることが出来た為である。それによりマジックアイテム判定であるAnomalusからEuclidへと変更された。では既に記載されてある他の終末論は何故、いつに更新されたのか?それはこのオブジェクトのみぞ知る。
更新直後にK-クラスシナリオが発生する為に、このオブジェクトはKeterではないのか?という議論が職員の間で行われたが、K-クラスシナリオ発生に対する直接的な関連性が見い出せないという結果に落ち着いてEuclid判定になった。
そして現在までに新しく████回の更新が確認されている。
このオブジェクトを収容した後に財団が防いだK-クラスシナリオは2回。ではそれ以降の更新については誰が観測したのかというと、プロトコル-WoRlD関係者である『主要人物』たちである。
このオブジェクトは並行宇宙を超えても更新は継続され、記録される。様々な終末論が既に記載されてあったのもK-クラスシナリオによって滅んだ嘗ての宇宙の名残なのだろう。
この冷却された黙示録、嘗て宇宙が存在した名残は現在プロトコル-WoRlDにおけるGFの研究に役立てられている。
オブジェクトの異常性と融合するKクラス観測者は"T"。
豚の頭部を模した有機素材マスクを装着した大柄な男性で、エリア-1945の情報セクター内総合サーバルームに駐在している。要はエリア-1945の情報が集約された区域だ。
融合影響が顕著に出ている身体箇所は、彼の発する言葉及び被るマスクの周囲である。基本的に彼が喋る時に言葉がデジタルノイズのような音が走るようになり、データ更新時にはマスク周囲でヒューム値が変動し現実性が不安定になる。その影響での自己同一性の喪失に彼は苦痛を感じているようだ。
SCP-E60033-WoRlDの『E60033』カラーコード変換:█
Kの提言解説
Kの提言 - SCP-00AFCC-WoRlD("エウレカエンディング")
空の映像を映し出すアンティークの映写機。オブジェクトクラスはSafe…だったが、プロトコル-WoRlDより無意味とされている。
200█/9/█ノルウェー北部トロムスの何処かの市街にある資料館に展示されていたオブジェクトで、外部からの電磁波を完全遮断するシェルターに収容され、監視カメラによる遠隔的な監視が実施されている。
非活性状態時は映写機の周囲が碧色のフラクタルのように見える細工が施された立方体によって囲まれているが、活性状態になると細工がまるで融けるように消失して映写機が動作する。一般的な映写機であれば内部に静止画フィルムが入っているが、このオブジェクトには代わりにホログラフィーが組み込まれている。
映し出される映像は基本的に空が写っているものであり、また現実世界と一致しないもしくは存在しないものが映っている為に並行宇宙ではないかと言われていた。更に空の範囲を超えて宇宙空間が映り込むパターンも多く確認されている。
これらは視認した対象の精神に大きく干渉してくる。主に肉眼での映像視認により『漠然とした不可視の存在に対する嫌悪』『極大的な空間への信仰及び物理的圧迫』というミーム汚染及び認識災害に曝露するのである。
放置すると影響の脅威度も進行していき、最終的に曝露者は狂信じみた思想を周囲に振りかざしながら耐え切れない程の物理的苦痛を感じて自殺を図るという厄介な異常性を持っている。更にその遺体自体も視認することで同様の異常性に曝露する為に、他人へと影響がどんどん拡大していく仕組みになっている。
影響は記憶処理によって除去が可能だが、実際の空及び空の写った写真や物品を視認することにより影響が再発するという嫌な保険付きである。
オブジェクトを回収したエージェントも曝露しており、本記事に彼を対象にしたインタビュー記録があるが最終的にトランス状態に陥り、後日に彼は自殺している。
インタビューを行った███博士はオブジェクトの研究を継続していたが、内部の電磁波波長を計測すると空の波長と一致し、内部からホログラフィーを取り出した後に再度計測すると、なんと宇宙空間と同様の波長を示したのである。
並行宇宙の空が映された映像、内部からは空と同じ波長の数値、そしてホログラフィーに電磁波が干渉した後の波長は宇宙と一致…。そこから博士の導き出したこのオブジェクトの真の異常性については途方も無いものであると言えるだろう。
更に計測された波長を詳細に調査していくと、どうやら高質量高重力の天体と一致していることが分かったらしい。観察者に与える曝露影響はあくまで宇宙の深淵を見てしまったことによる単純な発狂に過ぎないのである。
その結果を受けて███博士はO5評議会に調査中止の進言を送っており、O5評議会にてオブジェクトクラスをKeterへ再分類する決議が行われている。
プロトコル-WoRlDへの関連性は『並行(多元)宇宙及び現実世界の宇宙に影響するXK-クラス世界終焉シナリオに直結』することによるプロトコル-WoRlD作動への促進。
言ってしまえば███博士の懸念通りである。計測結果の推測より、内部のホログラフィーは並行宇宙に存在する空そのものに直結しており、外部の電磁波が干渉することでその並行宇宙に存在する世界に対し規模予測不可能な崩壊をもたらし、K-クラスシナリオを発生させる。内部の波長の空と同値だったものが宇宙と同値の波長へと変動していたのにも、その並行宇宙の世界の空と宇宙の境界が突如消失し、その世界で生物の生存が不可能になったことによることを示唆しているのではないだろうか?
活性状態の映写機が卵の殻、内部のホログラフィーが卵の中身、映像が卵の殻への亀裂とでも言えば良いだろうか。非活性状態になることで新たな卵に替えられるという様にも例えられる。
ただ内部のホログラフィーに対して外部からの電磁波を完全遮断すれば安全に収容出来るオブジェクト。なのだが、SCP-00-WoRlD・SCP群はアノマリーの連鎖性を持っているので他のオブジェクトが活性化するとこの映写機も問答無用で活性化するので詰みである。
それにこのオブジェクトの影響が並行宇宙の世界だけと決まった訳ではない。今まで発現したのが並行宇宙の世界における空であったというだけで現実世界、つまりこの財団世界の空とオブジェクト内部のホログラフィーが繋がる可能性もあるにはあるのだ。
ちなみに記事内で使用されている『SCP-00AFCC-WoRlD内部の波長観測』と銘打った画像、これ自体はNASAの「ブラックホールの存在を銀河中心のガス回転マッピングによって捉えた画像」である。
オブジェクトの異常性と融合するKクラス観測者は"K"。
赤と黒のスポーツユニフォウムを着用した金髪の青年で、エリア-1945天体観測所の遠隔映像監視室に駐在している。ちなみに天体観測所はエリア-1945となったSCP-8F47B3-WoRlD(“[アクセス拒否]”)時点で建設されており、総合監督官GFも此処に駐在している。
融合影響が顕著に出ている身体箇所は、彼の虹彩と影である。彼と接する地面の影内部にはフラクタル模様とも取れるシュリーレン現象(一般的に陽炎と呼ばれるもの)が発生し、影の輪郭が時折小型犬のように変形する。
彼の虹彩は映写機内部と同様にホログラフィー化しており、視認するとオブジェクト同様ミーム汚染及び認識災害に曝露する。また彼の虹彩のホログラフィー映像は彼自身に精神影響を与えるようで、本記事のパターン記録にある『観察者は軽度の過呼吸症状を起こした』『観察者は重度のパニック状態にある』『観察者の精神ショックによる[削除済み]』の影響を彼自身が被るようだ。
SCP-00AFCC-WoRlDの『00AFCC』カラーコード変換:█
█先生の提言解説
█先生の提言 - SCP-00608D-WoRlD("虚無主義者の嗜好品")
フランスにある海岸がプリントされたパッケージの煙草。オブジェクトクラスはEuclid。
19██/█/█にシリアの███にて明らかに致命傷の状態で生存する人の情報を聞きつけたエージェントによって回収され、製造元の会社まで特定している…が、製造した工場及び会社は異常性を全く把握していなかったようで、オブジェクトに曝露していることが確認された人は財団の標準人型収容サイトに収容され、回収されたオブジェクト自体は外気と完全遮断するように収容されている。
この煙草を喫煙することで異常性に曝露するのだが、その曝露内容というのが『対象の死因への干渉』だ。簡単に言うと喫煙することにより対象の死因が限定的になり、それ以外では頭を潰されようが黒焦げに焼かれようが老衰だろうが死ななくなるというトンデモ煙草である。死因の判別方法は主に煙草の匂いとその時に自身の身体がどのような状態に見えているかで確認が出来る。
現在確認されている匂いは『アーモンドのような匂い(青酸カリ等が当て嵌る)』や『薔薇(歴史上バラの匂いで窒息死したケースが存在する)』、更に『S/2004-N-1(海王星の第14衛星の名称、死因とは?)』というものが確認されており、これはあくまで一例である。
そして身体の状態というのが死因由来の認識災害である。これは喫煙を行った対象のみが認識するもので、周囲からは特に異常性は確認出来ない為に曝露してるかどうかが分かりにくいのが難点だ。煙草の紫煙の匂いがガソリンで、身体が丸焦げに認識出来たならば間違いなく焼死でのみ死ぬことだろう。
喫煙を行った対象は、某弾幕ゲーのもこたんのように復活リザレクションしたり某スタンド使いの吸血鬼のように不老不死化する訳ではなく、致命的な怪我等による回復は一切無く老化は普通に進行する。更に曝露対象は一般的に哲学的ゾンビと呼ばれるような状態になる。現状曝露した対象から異常性を取り除く手段は存在しない。
本記事にはDクラスを使った実験記録が記載されており、担当の研究員の見解も記録されている。結果、詳細な異常性として新たに曝露対象になるのは喫煙者だけではなく受動喫煙者も同様であることが判明した。ちなみに動物に対する実験も行われたようだが、動物は曝露しないらしい。愛護団体歓喜。
しかしその後、煙草の煙どころか一般的に知られる気体であれば完全遮断する厳重な実験室外で、待機していたセキュリティにも曝露影響が発露する事案が発生している。
これに対して研究員は『嫌な予感がする』と記述している。すぐに排出された紫煙の分析が実施されたが、なんと粒子が電子程度のサイズしかなく、現実より僅かながら上回る高ヒュームを保有していたのである。つまり煙草自体が排出を介して異常性を持つのではなく煙そのものがオブジェクトだったのだ。研究員の持つ懸念はより悪い方向で正解だった訳だ。
要レベル5クリアランスによって開示出来る情報が続く。それこそが真とされた現在の記事となっている。
Uの提言 - SCP-00608D-WoRlD("終末国家のアイロニー")
地球全体の大気に含有される粒子の総称。オブジェクトクラスはKeter、そして削除済み。
現在このオブジェクトは収容されていない、というより収容が不可能なのである。文字通り地球を取り囲む対流圏の下はこのオブジェクトの影響下にあると推測されている。排出された電子サイズの粒子に構成された紫煙は大気中に拡散し、循環し続けている。極限まで希釈しているとはいえ実質的な収容違反状態である。
…更にO5評議会は財団職員に対してこのオブジェクトに関する勧告を行っている。内容を要約すると『大気に希釈されているオブジェクトを現状収容する術が無いので研究を続けるように。薄まっているとはいえ人類の死に干渉する粒子が現状収容違反している。その間に手遅れ、つまり地球上でΩK-クラス“死の終焉”シナリオが訪れないことを祈らなくてはならない。』
地球上全人類がどんなに致命傷を負おうが、人類の寿命を優に超えて尚老化が進行しようが死という概念が与えられない異常存在になる。最悪のシナリオが訪れた時、財団は一体何を収容すべきなのか。
オブジェクトの異常性と融合するKクラス観測者は"U"。
常時喫煙しており、紺色のスーツを着用している白肌の不健康そうな男性で、エリア-1945遺物収容セクターの低危険物収容庫監視室に駐在している。彼の後述する融合影響より恐らく監視室自体も気体を完全遮断する造りになっている。
融合影響が顕著に出ている身体箇所は、彼の喫煙行為と影である。彼の手元には支給されていないにも関わらず何故か煙草を一本常備しており、吐き出される副流煙はオブジェクトと同様に対象の死へ干渉する。彼の喫煙を強制的に止めようとすると、本記事によるとどうやらとんでもない事象が発生したらしい。その為監視室への接近と喫煙を止める試みは全面的に禁止されている。
更に彼の接する地面の影内部は凡そベンタブラックと同じレベルで真っ黒らしく、直視すると希死念慮的な思考に陥らせるようだ。
SCP-00608D-WoRlDの『00608D』カラーコード変換:█
Zの提言解説
Zの提言 - SCP-9CBB1C-WoRlD("ゼノ収束")
絶滅種であるニホンオオカミの剥製。オブジェクトクラスはSafe、そして削除されている。
19██/12/█の日本の奈良県██群██村にて異常性が確認され、重力系オブジェクト専門の機動部隊によって回収されて重力制御装置に収容されている。剥製なので非活性状態の時に破損や風化の補修メンテナンスが行われる。監視は視覚問題というより純粋に接近が危険である為に遠隔で行われる。██村での異常性による被害の目撃者には記憶処理、そしてカバーストーリー『大規模な地盤沈下』が適用されている。
見た目は凡そ一般的なニホンオオカミの剥製だが、活性化すると剥製を中心に強い重力が発生する。その重力範囲は時間経過により二乗単位で拡大していくのである。つまり重力範囲に入ってしまった物質や生物は例外無く剥製に引き寄せられるのだが、その剥製と接触した瞬間に消失してしまう。悪意マシマシの塊魂である。
このオブジェクトに関する調査を進めていくと、どうやら引き寄せられた際の消失は瞬時に発生する異常温度による蒸発及び昇華によるものらしいと推測が立てられた。その数値なんと約2×106 Kという超高温である。更に発生する重力数値は約274 m/s2(地球重力は約9.81 m/s2)という値だ。
天体に自信ニキであれば、この数値でまず思い付く天体があると思われる。そう、我らが太陽系の恒星『太陽』である。
その推測より瞬間出現する構造や磁場、熱エネルギーの分析等が実施され、尽く太陽と同一の数値を割り出したのだ。それにより今までの活性化記録の見直しで活性化する周期も約11年(太陽の活動周期)であることが判明し、ヤバい脅威度こそ感じるが現在安全に収容されているのでSafeという訳である。
…とは行かなかった。活性化周期でないにも関わらず突如活性化し、対応の遅れた事により標準型生物収容セクター一帯が壊滅する大規模な事案が発生したのだ。引き寄せ事象による消失人数はセクターに居たと思われる職員███人。安定して収容出来ていたというのに何故突然活性化したのか?
その事案の原因こそSCP-00-WoRlD・SCP群の集団連鎖作用である。
そして厄介な事に、事案によって引き寄せ事象の真の仕組みが判明した。太陽と同一の数値であるには違いないのだが、引き寄せ及び消失事象はオブジェクトの表面重力によるものではなく反エントロピーによるものだった。 ここで言う反エントロピーとはエネルギーの不可逆方向を自然の摂理と相反させるもの、喩えるならば地面に零したコーヒーがマグカップの中に戻るという通常なら有り得ないエネルギー方向だと考えて欲しい。
その有り得ないエネルギーに付随して発生する熱エネルギーが丁度太陽と同値だったということである。
それで終わらないのがこのSCP。このオブジェクトの中心部には何やら超密度の質量を持つ特異点が存在していることが判明した。しかも太陽と同値というだけで仕組みが異なるのであれば、引き寄せられた物質は特異点に蓄積され続けている可能性が出てきたのである。
そうなると超密度な質量が更に密度アップし、本記事によるとどうやらヤバイ特異点になる恐れがあるらしい。そしてまた事案が発生した場合には再収容難易度がガン上がりするということである。
プロトコル-WoRlDへの関連性は『拡大規模不明のNK-クラス世界終焉シナリオに直結』することによるプロトコル-WoRlD作動への促進。財団が再びこのオブジェクトの安全な収容方法を見付けれなければ活性化周期の11年以内、もしくはSCP-00-WoRlD・SCP群の集団連鎖作用によってK-クラスシナリオが確実に訪れるということだ。
財団の明日はどっちだ。
ちなみに発見場所である奈良県██群██村、実際にオスのニホンオオカミの最後の確実な生存記録があるのが奈良県吉野郡小川村である。
オブジェクトの異常性と融合するKクラス観測者は"Z"。
匠もとい緑の怪物を模したフードを深く被る暗殺器具を身に付けた青年で、エリア-1945の標準型生物収容セクターの遠隔映像監視室に駐在している。彼の後述する影響より監視室にも重力制御装置が併設されている。
融合影響が顕著に出ている身体箇所は、彼の言動と性格及び周囲である。彼は基本的に沈黙しているが警戒心が非常に強く、財団職員を視認すると極度の激昂状態且つ攻撃的になる。その影響で彼はかなりの精神ストレスを受けていたようで、言動に吃音が頻発している。
また彼の周囲からは活性化オブジェクトと同様ではあるが、微弱な重力影響が常時発生している。
SCP-9CBB1C-WoRlDの『9CBB1C』カラーコード変換:█
Sの提言解説
Sの提言 - SCP-FFF462-WoRlD("不在の金切り声を聴け")
廃線になった場所の踏切と警報器。オブジェクトクラスはEuclidからの削除。
元々財団日本支部にてオブジェクトを収容した際に廃線地域を包囲するように収容区域として指定し、一般人の侵入を阻止するといった標準的なプロトコルが定められていたが、SCP-00-WoRlD・SCP群の集団連鎖作用の発見によって何やら特殊な財団技術で本部のエリア-1945に遷移され、大型収容コンテナに収容されて管理されている。
オブジェクトが発見されたのは廃線となった場所で、該当地域やネットのオカルト系掲示板にて『通過すると神隠しに遭う踏切』として都市伝説になっていた事により異常性が判明した。
GPS機能は効かないがカメラは途中まで機能したようで、内部の様子はDクラスを使用した実験によって一部判明しており『幾何学的』『空間が流動』『周囲に肉が散乱』という具合に明らかに異常なものである。
更に進んでいくと何やら恐ろしい異常存在が居るようだが、カメラのノイズによりその姿は判明していない。が、本記事での侵入実験により対象が視認すると即座に発狂している為、直接見てはいけない何かのようだ。
…また、本記事2項目目の侵入実験にて外部で待機していた博士が消失する事案が発生しており、遷移事象範囲が踏切通過のみならず周囲50mまで拡大していることが判明した。そして現在まで事象範囲は微弱ながら拡大し続けている。
そして追い打ちとでも言わんばかりに、日本国内の廃線となった地域で新たなSCP-FFF462-WoRlDが発生したのである。別次元に強制遷移される領域を持つオブジェクトが新たに増殖する事案を受けて、オブジェクトクラスを再分類すべきという議論が行われている。
そしてSCP-00-WoRlD・SCP群の集団連鎖作用の判明より、現在特殊な財団技術で本部のエリア-1945に遷移され大型収容コンテナに収容されて管理されている。今後は新たなSCP-FFF462-WoRlDが発生する度にエリア-1945へ移動して収容される為、このオブジェクト自体の脅威度はSCP-00-WoRlD・SCP群内でも低いものとなっている。
しかしこのオブジェクトはSCP-00-WoRlD・SCP群の集団連鎖作用の最も懸念材料となっている。何せ新たなオブジェクトは前兆無く突然発生する為に他のSCP-00-WoRlD・SCP群の連鎖が始まるタイミングも予測できないからだ。その為、全国の廃線となった地域にフィールドエージェントが監視に就いている。
更に遷移先との境界にて発生しているノイズ音がKクラス観測者によって以下文が解析されている。
「The boundary between Ain and Ain Soph is released」
(アインとアインソフの境界が解放される)
旧約聖書よりアインは「無」、アインソフは「無限」を意味するが、このオブジェクトにおいてどのような意味を持つのかは判明していない。
プロトコル-WoRlDへの関連性は『地球に存在する踏切が遷移事象を発生させるアノマリー化する擬似的なNK-クラス世界終焉シナリオ』における突発的な発生によるSCP-00-WoRlD・SCP群の集団連鎖作用及びプロトコル-WoRlD作動への促進。
オブジェクトの異常性と融合するKクラス観測者は"S"。
赤いニット帽に黄色いオーバーオールを着用した青年で、エリア-1945の大型収容コンテナを監視する職員として駐在、見回りをしている。
融合影響が顕著に出ている身体箇所は、彼の輪郭である。彼の輪郭に時折ノイズが走り、空間との境界線が曖昧になる。またその輪郭線への接近は、SCP媒体者群同様に自己ゲシュタルト認識の喪失、つまり対象に自分が何者であるかを忘却させることに繋がる為に禁止されている。
SCP-FFF462-WoRlDの『FFF462』カラーコード変換:█
Rの提言解説
Rの提言 - SCP-E95388-WoRlD("カルマ的解釈ゲヱト")
仏教の輪廻に関する遺物オブジェクト。オブジェクトクラスはKeter、その後プロトコル-WoRlDの影響で消されている。
要注意団体に区分されている蒐集院によって蒐集されていたオブジェクトで、現在はエリア-1945にて単独建設された放射性防御収容ユニットに個別且つ決まった位置で収容されている。
アジア仏教圏内に凡そ██年単位で出現し、機動部隊によって早急に回収される。出現場所の詳細は何か理由があって伏せられているようだ。
このオブジェクトは壁に描かれた複数の和製漢字及び十二道輪廻図一部に類似した抽象模様、つまり『アジア圏に突如出現する漢字と何らかの模様の描かれた壁』で、現在まで12つの壁が収容されているがどうやら今後も増える可能性があるらしい。
具体的には天道、人間道、修羅道、地獄道、畜生道、餓鬼道、そして█幻道、靈█道、虚道、[削除済み]道、界█道、██裏道に関する壁が現在収容されている。
しかし『十二道』と言っているのだから12つで終わりじゃないのか?と思われるだろう。実はこれこそがこのオブジェクトの異常性である。
本記事にて『この記事は一部複数回の改変影響を受けていることに留意して下さい。(改変影響箇所を青色に着色しています)』と表記されているが、文字通り世界に歴史的な改変事象が発生している。その為本記事に記載されている情報やインタビューにも改変が起こる。
『六道』をご存知だろうか?仏教における六道輪廻のことである。今我々が生きている世界が人間道で、死んだ後に地獄道にて裁きが行われ、その後各々の行い如何によって適切な道(生まれ変わり)へと向かうことである。
仏教徒が修行による悟りの境地に達することによって、『誕生、生、死の繰り返しである六道輪廻』から脱するというのが『解脱(涅槃)』であるが、このオブジェクトに関しても同様だ。
このオブジェクトはその六道における境涯、簡単に言うとあの世の種類が実際に増殖し、史実上においても改変されてしまう。
蒐集院の元メンバーによって元々存在していた六道についての情報が保護されており、現実世界における常識は『十二道』であるものの財団でのみ『元は六道であった』ことが記録として残っている。
これCK-クラス再構築シナリオ発生してね?仏教における常識が変わるだけで宇宙や地球、人間の文明は滅んでいないのでセーフったらセーフ。
ではこのオブジェクトの何が危険なのかと言うと、このオブジェクトが出現し、長時間適切な収容が行われずに外部に放置されることである。
本記事にて[削除済み]道に関する壁が出現した際に収容が遅れ、何やら事案が発生したことが記載されているが詳細は削除されている。
その後、事案での唯一の生き残りである機動部隊の男に対してインタビューが行われており、彼の証言から異常性について語られている。
要約すると『オブジェクトの周囲から境涯が漏れ出す』のである。
…つまりどういうことか?この事案にて、新たに発生した『[削除済み]道』に関する壁の周囲から『[削除済み]道』へと環境が変化していったのである。あの世のひとつとして加えられた『[削除済み]道』がこの世である『人間道』に侵食し始めたのである。
その侵食によって『[削除済み]道』にのみ存在する存在が出現、壁の収容を実施している最中の機動部隊に対して致命的な攻撃を行った。有能な機動部隊隊員の対応によって何とか収容されたが侵食された環境はそのまま残り、機動部隊は壊滅、唯一生還した男も重傷を負った。現在その場所は立ち入り禁止区域になっており、内部の存在はこちらが侵入さえしなければ攻撃してこない為にどうにか現状を維持出来ている。
しかし現状が維持出来ているとはいえ、この世である『人間道』にあの世の境涯が侵食しているということは、唯一の生還者である機動部隊隊員は実質的に生き返ったことになってしまうのだろうか?
インタビュアーの研究員もそこが懸念点であるようだ。
蒐集院元メンバーの提言によって適切な収容方法が確立されたが、まだ完全にはなっておらず、位置の空白具合からどうやら『二十四道』へと改変されていく可能性があるらしい。
現在までは何とか収容出来ているが、今後出現する境涯の危険性によっては、人間道以外の存在によるSK-クラス支配シフトシナリオが発生する懸念がある。それにより、Keter分類されたということである。
プロトコル-WoRlDへの関連性は『既にCK-クラス再構築シナリオが発生しているが、最も懸念されるSK-クラス支配シフトシナリオに直結』することによるプロトコル-WoRlD作動への促進。
オブジェクトの異常性と融合するKクラス観測者は"R"。
和製漢字で“天”と書かれた紙を眼前に下ろし、橙和服を着用している少年…ではなく青年で、エリア-1945に単独建設された放射性防御収容ユニット付属監視室に駐在している。
融合影響が顕著に出ている身体箇所は、彼の顔前に下げられた紙である。彼は紙を外すことはなく、強制的に外そうと試みても未知の作用によって離れることが無い。また紙表面は基本的に“天”の状態であるが、稀に形が変化しているように見え、その原理については現在調査中とのこと。
SCP-E95388-WoRlDの『E95388』カラーコード変換:█
Oの提言解説
Oの提言 - SCP-316745-WoRlD("構築する幸福")
11種の植物の標本。オブジェクトクラスはSafeからのEuclid、そして現在クラスが外されている。
198█/10/2█、アメリカ合衆国██████州の████大学の教員及び学生の異常行動の話を聞きつけたフィールドエージェントによる聞き込み調査によって異常性が見付かり、その大学の教授が所持していた標本が原因であると判明した。
現在その標本はレベルⅢバイオユニットにて真空状態及び低温度を保ちながら保存されており、活性化において標本から放出される気体がユニットに接続された専用の通気口から気体密封容器に収容される。
この標本自体は一般的な植物標本であり、11種の植物が著者不明の文章と共に保存されている。その文章には旧約聖書の生命の樹由来の用語、そして主に『彼女』『貴方』という人称が記載されているが、詳細な意味については判明していない。
オブジェクトの異常性は標本から排出される気体(粒子)である。
標本であるにも関わらず光合成及び呼吸をしているように見えるが、排出される気体を吸引した対象は社会的欠如と幸福感に近似的なミーム汚染効果に曝露する。具体的には対象の大幅な知能退行、善悪の判断の曖昧化、倫理観欠如、その他社会学上致命的なマイナス影響を与え、対象はそれを幸福であると表現するようになるのである。
曝露した対象は日常の中で他者へ積極的にそれらの共有を行おうとし、外部から社会的にマイナスな行動を行うことについて注意されても一切聞き入れなくなる。曝露影響はクラスC記憶処理によって除去が可能…と思われていたが、後述の事案によって除去は不可能とされている。また、気体を吸引したDクラスの検死から海馬領域の脳細胞に異常性が集中していることが判明している為、記憶に影響が大きく出るようだ。
本記事でこの標本を所有していた大学教授であるアダムス氏にインタビューが行われている。
これにより、標本はアダムス氏の講義履修生であった女子生徒から手作りの標本として貰い、その精巧な造りから同僚や他生徒に自慢し、異常性が拡大していったことが判明した。
しかし、当人のアダムス氏には曝露影響が出ておらず、標本を渡してきたという女子生徒は既に退学して消息不明。
この時点でクラスC記憶処理による曝露影響の除去が可能とされていた為、担当博士はインタビュー後にアダムス氏にも記憶処理を行って解放した。女子生徒に関しては大学の記録から行方を調査することになっていた。
…なっていた、のである。
何が起こったか結論から言うと除去されていた筈の曝露影響が復活し、インタビューを実施した対象であるアダムス氏が消息不明になったのだ。ここで判明するが、アダムス氏のフルネームはリリアナ・アダムス(Ms.Liliana Adams)である。女性だったのか。
アダムス氏の研究室には財団に宛てたと思しきメモが残されており、以下内容。
彼女には悪いことをしました。私は決して忘れてはならないことを忘れていたのです。エホバの領域に。
彼女は途方も無い時間の中を孤独に生き永らえていたのです。常人ではないなどと、彼女を象る別の何かなどと。真逆です、彼女は紛う事無き純なる人間なのです、私と同じ原罪を重ねる。いえ、正しくは私こそが最初の姿を失った別の人間でした。それも幾度も私は存在そのものが土に還り、新たに形作られを繰り返し続けてきたのでしょう。それが喩え戦争へのアンチテーゼを描く芸術家や盲目の音楽家、何不自由無く家族と幸せに暮らす男、靴磨きの少女、死にたがりの浮浪者でも関係はありませんでした。今の私が大学教授であったというだけの話です。
あの標本は私を探し出す為のラブレターでした。あれがセフィロトの樹を示す事は貴方々も理解出来たことでしょう。異常性も然り。ですが私は何も変わらなかった。その必要性が無かった。曝露する、というのも正しくは嘗てに戻っただけなのです。原罪を持つ前の姿に戻るだけ。本当にたったそれだけの些細な事象。彼女は嘗てに戻れないことを知っています。理解していました。ですが彼女は私と共に永久を過ごす事を迷いも無く選んだのです。だから、彼女は嘗てを新たに創り出そうとしています。█████の復活を。その為に今のヒト及び文明は不必要なのだと。幾重にも続く私の創り替えに積み重なった彼女の寂寥を想うと、私は胸が押し潰される様に堪らなくなるのです。その為には時間が必要だ。
もうお分かりでしょう、彼女の名については貴方々も良くご存知の筈です。
気に病まないで下さい、私は嘗てに戻るだけなのですから。
-リリアナ・アダムス
嫌な予感がプンプンする内容である。文章の付属するオブジェクト、アダムス、メモに残された単語の数々、これらは旧約聖書に関連しているものが多い。ちなみにこの後インタビュー担当した博士は解放してはならない人物の解放による自責の念からか自殺をしてしまった。
更に、
SCP-316745-WoRlDの『316745』カラーコード変換:█
Hの提言解説
Hの提言 - SCP-F3F3F3-WoRlD("沈む憩いに眠る")
旧日本軍の軍用潜水艦の外観を持つオブジェクト。例の如くオブジェクトクラスはKeterからの削除。
SCP-F3F3F3-WoRlDの『F3F3F3』カラーコード変換:
█
Eの提言解説
Eの提言 - SCP-B36D59-WoRlD("机上の書架と二杯のコーヒー")
大学の研究室一室。オブジェクトクラスはSafeからのKeter、更にEuclidに下げられて最終的に削除という具合にクラス変動が多いオブジェクトである。
SCP-B36D59-WoRlDの『B36D59』カラーコード変換:
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SPの提言解説
SPの提言 - SCP-CF5CE6-WoRlD("拝啓、貴方を待つ")
SCP-CF5CE6-WoRlDの『CF5CE6』カラーコード変換:
█
Cの提言解説
Cの提言 - SCP-ED6D35-WoRlD("レベルⅣリフレクタ")
SCP-ED6D35-WoRlDの『ED6D35』カラーコード変換:
█
エリア-1945解説
エリア-1945 - SCP-8F47B3-WoRlD("[アクセス拒否]")
SCP-8F47B3-WoRlDの『8F47B3』カラーコード変換:
█