kotarou611の書類鞄
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 現在のところSCP-XXX-JPの発生を防ぐ手段は解明されていません。その為、SCP-XXX-JPの特別収容プロトコルはSCP-XXX-JPにより出現したヒト体液の除去及び隠蔽に重点が置かれます。

SCP-XXX-JPによるものと見られるヒト体液が発見され次第、清掃業者・賃貸住宅の管理会社・団地管理組合等に潜入あるいは偽装したエージェントを中心としてヒト体液の除去が行われます。また、SCP-XXX-JP及び出現したヒト体液の目撃者が存在する場合、その人物に対する記憶処理が実施されます。

説明: SCP-XXX-JPは空き家の床にヒト体液の染みが出現する現象です。SCP-XXX-JPにより出現したヒト体液は、何ら異常な成分が検出されていないにもかかわらず臭気を発することはなく、ハエが摂食や産卵を行うこともありません。また、DNA鑑定の結果は財団が把握するどの個人の物との一致も示していません。SCP-XXX-JPはこれまで日本全国で報告されており、特に東京都や大阪府といった都心部の賃貸住宅での発生が顕著です。

これまでに数十件の空き家を継続的に監視しSCP-XXX-JP発生の瞬間を捕捉する研究が実施されましたが、財団が監視を行った空き家にのみSCP-XXX-JPの発生が確認されませんでした。その為、空き家に対する継続的な監視は有効でないと判断され、現在の特別収容プロトコルの策定に至りました。

以下は、20██年██月██日に東京都██区のアパートの203号室でSCP-XXX-JPが発生した際に、当時そのアパートの隣に住んでいた佐藤 ██氏に対して行ったインタビュー記録の抜粋です。

対象: 佐藤 ██氏

インタビュアー: ██博士

<記録開始>

佐藤氏: 私はあのアパートの隣に住んでるんですがね。あの日は仕事から帰ってきてから晩飯を食べた後、部屋の窓を開けて、親父とお袋は元気にしてるかなあ、たまには顔見せに行かなきゃなあとかそんなことを考えながら煙草を吸ってたらですね、いつの間にか隣のアパートの部屋の窓が開いてることに気が付いたんですよ。

██博士: その部屋というのは203号室のことで間違いありませんか。

佐藤氏: ええ。それで不思議に思って中を見たら、部屋で真っ白な人が動いてたんです。それも一人や二人とかじゃなくて、私が見た限りだと多分10人くらいは居たはずです。

██博士: 随分と多いですね。「真っ白な」というのは具体的にどういうことですか。

佐藤氏: ああ、それはその人たちが着ていた服が真っ白だったという意味です。全身を頭まで覆う真っ白な服で、手袋と長靴、あとゴーグルとマスクみたいなのも着けてましたね。

██博士: それはつまり、いわゆる防護服のような物を着ていたと。

佐藤氏: 言われてみればそんな感じでしたね。顔はよく見えませんでしたが。

██博士: なるほど。その人たちは部屋で何をしていたのですか。

佐藤氏: それが、おかしな話なんですがね、あの人たち何もない部屋の中で引っ越し作業みたいなことをやっていたんです。みたいなこと、というのは実際に何か部屋の物をどうこうしているんではなく、そういう風に見えるような動きをしていたという意味です。パントマイムみたいな感じですね。

██博士: 引っ越し作業というと、部屋の中に何かを運び込んでいたということでしょうか。

佐藤氏: いえ、その逆です。箪笥か机か何かの重い物を持ち上げて運んだり、布団のような薄い布みたいな物を丸めて持って行ったり、とにかく部屋中を片付けるような。本当にやっているとしか思えないほど真に迫る動きでしたよ。

██博士: 中に運び込むのではなく外へ運び出していたと。

佐藤氏: そういうことです。中でも一番印象に残ったのは、ちょうど棚か何かの上に立て掛けてあった薄い板みたいな物を手にとって、その中から更に薄い物を取り出したかと思うと、それをビリビリに破いて袋に詰めたように見える動きでしたね。あくまで私の予想なんですが、あれは多分大きさからして写真を破ってたんだと思います。

██博士: 他には何をしていましたか。

佐藤氏: 次に真っ白な人はどこからか大きな袋を取り出して、袋のチャックを開けて、今度は部屋の中央の床にある何かを抱えて、その袋の中に入れるような動きをしていました。

██博士: 袋は「真っ白な人」が実際に取り出した物ですか。

佐藤氏: ええ。不透明で、縦長で、真ん中にチャックがあって、大きさは大体人が一人収まるくらいの袋でした。というか見た感じ人を入れるための袋なんでしょうねあれは。

██博士: [沈黙]その特徴を聞くに、「真っ白な人」が取り出した袋というのは、まさか遺体袋のことなのですか。遺体袋を取り出して、その中に何かを入れていたと。

佐藤氏: 私にはそう見えました。それと、真っ白な人が抱え上げる動きをしたその場所の床には、人の形をした染みのようなものがあったことを覚えています。ちょうどその染みの上にある何かを抱えるような感じの動きでしたね。

██博士: なるほど。それで、その後には何かしていましたか。

佐藤氏: 何か部屋の掃除みたいな動きをしていました。これはかなり、というか執拗なまでに念入りでしたね。ただ、何故か人の形をした染みには適当に霧吹きみたいなものを吹きかけたような動きをした後は誰も触れていませんでしたし、それどころか避けていたようにすら見えました。それが終わると真っ白な人たちは開いていた窓を閉めて、袋を担いでそのままぞろぞろと玄関の方へ向かっていきました。私が部屋の中を見始めてから出て行くまで10分もかかってなかったと思います。

██博士: その間向こうがこちらに気付く様子はありましたか。

佐藤氏: いえ、全く。ただ、かなり慌ただしい様子だったので、もしかしたら無視していただけなのかもしれませんが。

██博士: 他に何か気になったことはありますか。

佐藤氏: あれだけ大勢の人が動き回っていたのに全く物音がしなかったことですね。足音の一つも聞こえませんでしたよ。実際部屋の窓が開いてるのを見るまでは気付きませんでしたし。

██博士: そうですか。本日はこれくらいにしておきましょう。ご協力感謝します。

佐藤氏: こちらこそ。それにしてもあの部屋、別に立地も悪くないし人が死んだ訳でもないのに、もう何年も空き部屋なんですよ。なのにあの人たち、なんであんな所に居たんでしょうかね。

<記録終了>

追記: インタビュー後、佐藤氏には記憶処理が施され、出現したヒト体液の染みも問題なく除去されました。なお、除去の為に職員が203号室に立ち入った際には203号室の鍵は全て施錠されており、室内からは大勢の人物が出入りしたようないかなる痕跡も発見されませんでした。

補遺: SCP-XXX-JPの発生が顕著な地域や佐藤氏の証言、そしてヒト体液が床に出現するという異常性から、SCP-XXX-JPと孤独死1との関連が一部のSCP-XXX-JP研究担当者から指摘されています。しかしながら、目下のところ決定的な科学的証拠が存在しない為、この指摘は未だ推測の域を出ていません。

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