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アイテム番号: SCP-1870-JP

オブジェクトクラス: Keter Euclid(検討中)

特別収容プロトコル: SCP-1870-JP-A群は全て財団の監視下に置かれます。担当の職員を1名、少なくとも年1ヵ月以上財団系列の███大学所属の研究者として(民俗学者或いは文化人類学者を名乗るのが通例です)SCP-1870-JP-A群の集落を訪問させてください。その際、SCP-1870-JP-A群の最近の活動、変化に関する報告書を作成してください。報告書は財団内部で共有されます。

SCP-1870-JP-B群もA群と同様に財団の監視下に置かれます。担当職員は逐一各地の新聞・ニュース・雑誌・その他情報媒体をチェックし、SCP-1870-JP-B群の動向を把握してください。また職員1名以上が定期的にSCP-1870-JP-B群とコンタクトを取り、年1ヵ月以上現地で滞在し、オブジェクトに関する報告書を作成してください。

新たなSCP-1870-JPが財団あるいはそれ以外によって発見された場合は速やかに情報を隠蔽し、新たに発生したSCP-1870-JPに適した特別収容プロトコルを作成してください。SCP-1870-JPを確保、収容、保護する為に使用できる予算・施設・職員・及び権力行使可能レベル等に関する詳細な内容は、別記のファイルを参照してください。

説明: SCP-1870-JPは大規模な集団記憶障害です。SCP-1870-JPの影響を受けたヒトは自身のルーツが月であると主張します。SCP-1870-JPの発生は2019年9月12日現在までに2回確認されています。SCP-1870-JPに暴露した人間は自身がある民族集団に所属していると主張します。彼らが所属していると主張する民族はいずれも実在しない架空の民族です。現在確認されている民族は2種類で、発生順にA群、B群と呼称され、A群に所属していると主張する不特定の個人をSCP-1870-JP-A、B群に所属していると主張する不特定の個人をSCP-1870-JP-Bと呼称します。

SCP-1870-JP-A群は日本国東京都あきる野市を中心に発生した集団です。2019年4月24日以降、「隣人・家族・知り合いが突然おかしくなった」という内容の報告が同地で相次ぎ、各報道機関、各研究機関と共に財団職員が調査を行った結果、複数の人間が自分達を月の末裔だと主張している状況を把握しました。4月25日以降は財団が調査を独占しています。24日に流布されたニュースはフェイクニュースとして処理しました。

SCP-1870-JP-Aは自分達が大昔に地上に降り立った月の人々の末裔であると主張していますが、彼らの身体・遺伝情報に異常な点は見当たりません。また2019年8月2日現在まで、SCP-1870-JP-Aに変異した個体とそうでない個体の間に明確な差異は見受けられません。

2019年8月2日現在「月から来た」という彼らの主張を完全に否定することはできていませんが、科学的根拠は極めて薄く、神話伝説の域を出ないものであるというのが財団全体の見解です。しかし根拠と証拠を提示して説明しても、SCP-1870-JP-Aは自身が月人族であると主張し続けます。SCP-1870-JP-Aに対しての記憶処理措置は種別を問わずいずれも有効です。一部のSCP-1870-JP-AはSCP-1870-JP-A群の自治権、各種優遇制度を要求してあきる野市・東京都・日本国に対してテロリズムを行います。彼らへの対応としての記憶処理措置は許可されています。

2度目のSCP-1870-JPは2019年8月28日、中華人民共和国各地で確認されました。これによって出現したSCP-1870-JP-Bはおよそ1000万人ほどで非常に数が多く、出現した地域も広範囲に渡るため完全秘匿状態での収容は極めて困難です。これにより当該オブジェクトクラスがKeterに分類されました。

SCP-1870-JP-Bは自分達が西アジアから移住してきた人々の子孫であると主張していますが、固有の言語は持っていません。居住する地域の中国語方言をそれぞれ話します。傾向としてSCP-1870-JP-Bは都市部に集中し、寧夏、甘粛、青海等の西北部各省区に比較的多く存在しています。イスラームの信者(スーフィズム・新教・老教等が混在)である場合がほとんどですが程度には個人差があります。豚肉の摂取や飲酒を行う個体も散見されます。西アジアをルーツと主張している通り、堀りの深い顔立ちの人々もSCP-1870-JP-B群の中に確認できますが、形質的には漢族と全く変わらない純東アジア的な顔立ちのSCP-1870-JP-Bも少なからず存在します。SCP-1870-JP-Bに対しての記憶処理措置は種別を問わずいずれも有効です。大多数のSCP-1870-JP-Bは自治権および少数民族優遇制度をSCP-1870-JP-B群に適用することを各地方行政組織、中国共産党委員会に要求しています。

補遺1: 世界オカルト連合は当初SCP-1870-JP-A群の殲滅計画を進行させていましたが、2度目のSCP-1870-JP発生を受けて殲滅計画を凍結し、SCP-1870-JP発生メカニズムを特定することを目的として財団との共同調査を了承しました。

補遺2: 2019年10月2日、SCP-1870-JPによる影響は時間経過によって取り除かれるという仮説が菅原博士によって提唱されました。菅原博士は自身をSCP-1870-JP-Aと主張する人口が同年5月と比較しておよそ3/4まで減少していることが示された報告を提出しています。これを受けて中国国内でも調査を行った結果、SCP-1870-JP-Bは400万人まで減少していることが判明しました。これにより当該オブジェクトクラスはKeterからEuclidへの格下げが検討されています。

補遺3: SCP-1870-JP-C群に関する報告
2019年12月10日、新たなSCP-1870-JPの発生がイギリス北部で観測されました。これより自らをスコットランド人と名乗る個体を全てSCP-1870-JP-Cと呼称します。