知られない男
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俺は誰にも知られない、認識されない、誰の中にも
存在出来ない

 
SCP-XXX-JPが失踪する直前に記述したと思われる紙に書かれていた言葉。

アイテム番号:SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPはサイト63内の収用プロトコル683に決してSCP-XXX-JPが脱出出来ないように厳重に鍵をかけて収用していました。SCP-XXX-JPは収用サイト63内の収用プロトコル638に自ら望んで収用されたと言われています。SCP-XXX-JPの存在はサイト63外に決して不要に漏らさないで下さい。SCP-XXX-JP特異性を利用する組織の手に彼(?)が渡らないようにするためです。SCP-XXX-JPは典型的な20代の東洋人の男性の見た目をしていたと言われています。

説明:
SCP-XXX-JPが関連して起こった事は誰にも認識することができません。それはこの男との会話や接触をしたり例え深い関係になったとしても同様です。会話内容は愚か男がどんな見た目だったのか、はたまたSCP-XXX-JPが男だったのかすら思い出せなくなります。これはSCP-XXX-JPから目を離すと起こるようです。しかし暴露者はSCP-XXX-JPが人間の見た目をしていて喋っていたということだけ明確に覚えています。紙やコンピュータにSCP-XXX-JPに関する事を記録し、その記録の閲覧を試みた場合SCP-XXX-JPに関することが書かれた文字、または言葉のみ認識することが出来なくなります。これは機械による読み上げも同様です。SCP-XXX-JPとの唯一のコミュニケーション方法はSCP-XXX-JPが自ら紙に言葉を書くことです。SCP-XXX-JPが書いた文字のみSCP-XXX-JPの特異性の影響を受けないようです。SCP-XXX-JPの書いた言葉について他人に話す事、または言及する事も可能のようです。原因はわかっていません。SCP-XXX-JPの特異性については謎が多く、インタビューでは自らが不死身であると語っています。真相はわかりません。SCP-XXX-JPを[SCP-173]と対面させたところ[SCP-173]はガタガタとSCP-XXX-JPを恐れるように揺れ、SCP-XXX-JPが目をそらしたとしても襲ってこなかったとSC-PXXX-JPは証言しています。また[SCP-053]に約一時間会わせたり[SCP-040]を直視させましたがそれらの特異性の影響を全く受けなかったとSCP-XXX-JPは証言しています。また[SCP-053]にSCP-XXX-JPについて聞いてみると「あのおじさん優しかった!また会いたい!」と発言したそうです。これにより[SCP-053]に対してはSCP-XXX-JPの特異性は発揮されないと思われます。原因はわかっていません。また[SCP-597]と対面させたところ「あんなにおぞましいものは初めて見た」と証言したそうです。また[SCP-005]や[SCP-662]などの道具系のSCPなどはSCP-XXX-JPと接触することでその特異性を一時的に失うようです。SCP-XXX-JPは他のSCPとの対面を楽しんでいるようです。またscpに博士とSCP-XXX-JPの会話、仕草を完全に記述させることでインタビューを試みたようです。以下、SCP-XXX-JPから提出されたSCP-XXX-JPと███博士とのインタビュー記録と思われるものです。

インタビュー246

対象:SCP-XXX-JP:

インタビュアー:███博士

インタビューの記録は全て漢字、平仮名、片仮名
を含んだ日本語で記述されています。

███博士: ではインタビューを始めさせてもら
うよと言いたいところだが私は君との会話を覚える
ことも記録することも出来ないので君に記述しても
らうことになるが構わないかな?

SCP-XXX-JP: 構わない、貴方との会話の後に直ぐ
に提出するよ。

███博士: 助かるよ、では改めてインタビュー
を始めさせてもらう。君は自分の特異性にいつ気づ
いたんだい?

SCP-XXX-JP: 大学生になってしばらくしてから
だ。一人暮らしを始めて4ヶ月ぐらいたってからだ
ったかな?よく覚えてないがいつも通り大学に行っ
て友人に話しかけると一瞬キョトンとしてから「あ
ぁ、〔削除済み〕(SCP-XXX-JPの名前と思われる)
か、一瞬誰かわからなかったぜ」って言われたのが
始まりだ。

███博士: その特異性は日に日に強くなってい
ったのかい?

SCP-XXX-JP: あぁ、その通りだ。今も日に日に
強くなってるみたいだが……。一週間後には「誰
だ?」と言われてしまった。それから座学で手を挙
げて発言をしても無視されたり誰にも気づかれなく
なってしまってな……寂しかったよ……。

███博士:それは辛かったでしょう……。

SCP-XXX-JP: まぁ大分昔の話しだが……。それか> ら俺は仲の良かった大学の教授に退学届けを出しに
行った。その教授からは「〔削除済み〕……ねぇそん> な生徒はうちにはいないが……」と言われてな…そこ
までは良かったんだが問題は実家に帰ってからだ。

███博士: 何かあったんですか?

SCP-XXX-JP: あぁ……少し話しにくいんだが……
良いか?

███博士: 大丈夫ですよ。

SCP-XXX-JP:……家に帰ると玄関から出てきた母> から「誰ですか?」と言われてな……。

███博士: それは……。

SCP-XXX-JP: もちろんショックを受けたが話は
これからだ。母が「あれ?でも私……この人を何処
かで……」と言い出した。俺は一瞬、ほんの一瞬映
画なんかでよく見た『家族の絆』というものを期待
した。が……。(言葉に詰まる) 

███博士: 話せますか?

SCP-XXX-JP: ……あぁ、話させてくれ、母は……
発狂した……「あれ?これは私の息子?でも私の
息子は一人で……その息子は今……あれ?何処にい
るの?何をしているの?名前は?何で?何で?」
とな、その後大きな叫び声を挙げた後、消えた。文
字通り、消えた……その後母と親しかったはずの隣の
おばさんから母の記憶は消えていた……。もちろん
俺の記憶も……。

███博士: …………。

SCP-XXX-JP: そうして一人になった俺は……あ
ぁ、俺は元々母子家庭で育って父親はいないんだ。
で、一人になった俺は自殺を図った。結果、生きて
るんだけどな……俺は自殺が出来ないらしい……もち
ろん他殺もダメ。死ぬためなら何でも試したよ。

███博士: ……不死身、という訳ですか?

SCP-XXX-JP: かもな、現に20年近く見た目は変
わってない。

███博士: ……では……君が過去に接触したと言
う他のscpについてだが……。

SCP-XXX-JP: あぁ、あの変な動きの彫刻や小さ
い女の子の話しか?

███博士: その通りです。

SCP-XXX-JP: そうだな……もう彫刻や女の子の話> しはしたからな……。

███博士: そうですね。

SCP-XXX-JP: あ、そうだ、じゃああの古くさい
廃屋はどうだ?なんの変哲もなくてつまらなかった
が。

███博士: それは……[SCP-040]のこ
とかい?

SCP-XXX-JP: あぁ、そういや白い服のひとたち
が猫だのなんだのって聞いてきたな、多分それだ。

███博士: それで……その……何か変化は?

SCP-XXX-JP: 何も俺の生活には何の変化はな
いが?

███博士: そうですか……。他には?

SCP-XXX-JP: あんまり思い出したくないが……
一つの生物の乳を複数の人間が飲んでる……あれは何
だ?

███博士: [SCP-597]のことです
ね……貴方は影響を受けていないようですが……。

SCP-XXX-JP: あんなにおぞましいものは初めて
見た……。二度と見たくない。

███博士: なるほど……他には?

SCP-XXX-JP: んーと……[SCP-055]だったな、あ
れはかなり思い出深い、かなりはっきり覚えてるよ。

███博士: 055……[正体不明]をしっている
のか!?(机を叩いて立ち上がりながら本当に驚い
たような声)

SCP-XXX-JP: まぁ……(驚いたような顔)

███博士: どんな姿をしていた?どんな能力を
持っていた?いや、それはわからないか……とにかく
知ってることなら何でも良い、教えてくれ!(興奮し
たような声)

SCP-XXX-JP: 博士……。(なだめるような声)

███博士: どんな声だ?どんな色だ?それを記
録しているものはないか!?

SCP-XXX-JP: 博士!

███博士: ……!すまない……取り乱した……。
(机に座り直す)

SCP-XXX-JP: 話してもいいが……多分意味は無い
ぞ?あれは(これから先の文字は誰にも解読すること
が出来ませんでした)

███博士: :**はぁ~……(狼狽する声)

SCP-XXX-JP: 記憶出来たか?

███博士: いいや、ダメでした。

SCP-XXX-JP: だろうな。

███博士: 他にSCPと接触した経験は?

SCP-XXX-JP: そうだな……何か古びた鍵?みたい> なやつとハンドベル?っていうのか?あのー、音が
鳴る楽器だよ。

███博士: [SCP-005]と[SCP-662]ですね。

SCP-XXX-JP: そんな名前なのか?何にも起きな
かったけど……鍵はやたらいろんなドアの鍵穴に入れ
させられたしハンドベルは何回も振らされたよ。

███博士: なるほど……。

SCP-XXX-JP: あ、そうだあのトカゲは?

███博士: それは[SCP-682]のことですね?

SCP-XXX-JP: 多分それだなあいつとも会いたく
ないな、俺を見るなり「薄い……お前は世界から孤立
している」だの言いやがってよ。(怒った様子)

███博士: ふむ……。他には?

SCP-XXX-JP: 博士、すまないがこれ以上俺と話
さない方が良い。もう手遅れかも知れないが……。

███博士: どうしてですか?

SCP-XXX-JP: 母のような者を増やしてほしくな
い。

███博士: ?(首を傾げる)わかりました、では
インタビューを終了します。

これ以上は話したくないというSCP-XXX-JPの意向
によりインタビューは中止されたと記録されていま
す。

以上インタビュー246の記録です。

追記:SCP-XXX-JPをインタビューしたと思われる███博士という名前の博士は現在と過去の博士のリストどちらにおいても確認されていません。

インタビューの後、直ぐにSCP-XXX-JPは収用プロトコル246より失踪。その際何人かの財団職員と接触したようですがサイト63の職員達はみな一様に「確かにその日はscp-xxx-jpと会った覚えがあるが何をしたか思い出せない」と証言しています。またSCP-XXX-JPが失踪したその日、いくつかのサイト63に収用されていた複数の道具系のSCPが収用場所から消えていました。原因はわかっていません。

補遺:
財団職員による追記:ここまでの記述全てはSCP-XXX-JP自身が書いたものです。どうやってこのサイトにたどり着いたのか、どうやって書いたのかは不明です。しかしSCP-XXX-JPが提出したと思われる紙に書かれていたものを総合したものと記事はほとんど合致、インタビュー内容は完全に合致しており、本来SCP-XXX-JPの存在を知らないはずの他のサイトの職員([SCP-173]を収用しているサイトの職員など)がSCP-XXX-JPと思われる人物とすれ違ったと証言しており、SCP-XXX-JPが財団職員と一緒だったかは別としてSCP-XXX-JPは確かに他のscpと接触していたようです。また、財団職員が書き直した場合、記事が読めなくなる可能性の危惧や、記事には書き直す箇所がほとんど見当たらない事からSCP-XXX-JPに関するこの記事を書き直す必要は無いと判断しました。またSCP-XXX-JPとインタビューしたと思われる███博士についてSCP-XXX-JPの追記については我々も確認した上で正しいとしています。