アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の一般的な金庫に保管されています。実験の際はレベル2以上の職員レベル4以上の職員3名の承認を得て下さい。SCP-XXX-JP-1及びSCP-XXX-JP-2を生成する実験は現在禁止されています。SCP-XXX-JP-2を生成しないSCP-XXX-JP-1は施錠された3m×3m×3mの部屋に保管し、カメラで常に監視してください。SCP-XXX-JP-2は現在1体のみが実験室内で半収容状態となっています。(インシデント記録XXX参照)入口には武装した警備員4名を配置し、許可なく対象と接触を試みるものは即時終了されます。SCP-XXX-JP-2にはレベル3以上の職員により、一般的な食事や排泄、清掃等の世話を行い、常に健康状態に異常がないかどうかを確認してください。その際、対象を刺激しないよう細心の注意を払ってください。
説明: SCP-XXX-JPは高さ21.5cm、直径5.0cmの円筒形のスチール缶の中に入っている乳白色の液体です。缶の表面には頭髪を手で引っ張られている笑顔の男性の絵と、"抜け落ちてからでは遅いんです!事前の対策、それが『脱・脱毛剤』!!(※本製品は育毛剤及び脱毛剤ではありません)"という文章がプリントされています。内容物に関する記載はありませんが、その成分は一部の未知のものを除き、一般的な育毛剤と酷似しています。SCP-XXX-JPの容量は缶の1/4程度ですが、どれだけSCP-XXX-JPを消費してもそれ以上の減少が見られません。
SCP-XXX-JPを人体の毛の生えている部分に塗布すると、約3~10分で全身の毛が未知の変化によって全て繋がり、███~████km程の1本の毛(以下SCP-XXX-JP-1)になります。被験者の外見に変化はありませんが、細かく観察すると、毛穴から出たSCP-XXX-JP-1は(両端にあたる2か所を除き)全て縒より合わされて、往復するように同じ毛穴に戻っていることがわかります。また、体の内部は複雑に絡み合ったSCP-XXX-JP-1により、臓器や眼球、骨、筋肉等、様々な組織が貫かれますが、それらの組織は全て正常に作用し、健康状態にも異常は発生しません。SCP-XXX-JP-1は一般的な頭髪に比べ、太さが0.02~0.04mmと約半分の細さになっているものの、組成的な違いはありません。しかしながらSCP-XXX-JP-1は一切の成長の兆候を見せず、破壊する試みは全て失敗しています。
SCP-XXX-JPは、20██年頃からSNS上で広がっていた「全く、1本も毛が抜けなくなる薬」との口コミを調査した結果、山形県██市、███駅構内のドラッグストアにて、テスターとして置かれているところを発見されました。関係者に確認したところ、誰もそのようなものを設置した覚えがないとのことであったため、Bクラス記憶処理が施されました。SCP-XXX-JP使用者はBクラス記憶処理の後、カバーストーリー「未認可の違法な植毛手術」の重要参考人として拘束してください。この使用者はEクラス職員として雇用することが出来ます。SCP-XXX-JP及びその使用者は複数存在する可能性が高いため、引き続き監視・捜索を続けてください。
実験記録XXX-1 - 20██/██/██
対象: D-23226。(長さ10cm程の自然な頭髪の30代男性。)
実施方法: D-23226の頭皮にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 6分15秒程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1になったのを確認。CTスキャンを行ったところ、SCP-XXX-JP-1は主要な臓器を含めた様々な組織を貫いた状態で複雑に絡まっていることが判明しました。しかし、全身が熱くなったような気がするという主張を除いては、D-23226の健康状態に異常はありませんでした。
分析: 明らかに呼吸や血流の妨げになる量のSCP-XXX-JP-1が組織内を侵食していることから、体内のSCP-XXX-JP-1には実体がないことが推測されたが、その後の実験により否定された。引き続き調査を行いたい。―阿寺博士
実験記録XXX-5 - 20██/██/██
対象: D-23229。(5分刈りの20代男性。)
実施方法: D-23229の頭髪を全てバリカンで刈り取った後、SCP-XXX-JPを頭皮に塗布する。
結果: 4分30秒程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1になったのを確認。
分析: 丸刈りでも異常性が発生することを確認。
実験記録XXX-6 - 20██/██/██
対象: D-23230。(完全な脱毛症により、一切の頭髪がない40代男性。)
実施方法: D-23230の頭皮にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 変化なし。
分析: 毛穴が死んでいる場合には効果がない模様。この後、D-23230の脛毛が生えている部分にSCP-XXX-JPを塗布したところ、3分程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1へと変化。頭髪以外でも作用することが判明。しかしながらこの場合も頭部に変化は見られなかった。
五体満足であることを喜ぶべきなんだろうが……。―D-23230
実験記録XXX-11 - 20██/██/██
対象: D-23226。(実験記録XXX-1により毛がSCP-XXX-JP-1へと変化している。)
実施方法: D-23226をベッドに固定し、麻酔を注射した後にSCP-XXX-JP-1の端部をカーボン製のフックに巻き付け、ロボットアームで引っ張る。(D-23226の場合、まつ毛と頭髪に端部が存在していたため、より長い頭髪を選択。)ロボットアームのレベルは大蕪研究員が同室にて調整。阿寺博士は別室からカメラを通して実験を監視し、指示を行う。
結果: ロボットアームの力が80kgを超えた辺りで[削除済み]。SCP-XXX-JP-1に付着していたD-23226の組織の一部は未知の手段によって癒着しており、どのようにしても取り除くことが出来ませんでした。
分析: 予想は出来ていたことだが……組織の一部が取り除けないのは、"抜けてはいない"とでも言いたいからだろうか?―阿寺博士
補遺1: 実験記録XXX-11で抜けたSCP-XXX-JP-1を保管していたところ、付着していた組織が肥大化し、82時間後にはD-23226の姿を形成しました。遺伝子的にもD-23226のものと完全に一致しており、SCP-XXX-JP-1の状態、記憶ともに死亡直前のもの有しています。さらなる実験の結果、SCP-XXX-JP-1保持者はSCP-XXX-JP-1を引き抜かれて死亡した際にのみ蘇生することが判明しました(以下、蘇生者をSCP-XXX-JP-2)。SCP-XXX-JP-2からSCP-XXX-JP-1を引き抜いた場合にも蘇生しますが、これを繰り返すたびに蘇生は粗雑なものへとなっていきます。しかし、このように身体の構造上は脆くなっていくにも関わらず、SCP-XXX-JP-1を引く抜くのに要する力は蘇生する度に、指数関数的に増加していくことが確認されました。
インシデント記録XXX: 20██/██/██、SCP-XXX-JP-2となったD-23226の6度目のSCP-XXX-JP-1引き抜き実験の際、サイト-81██内で僅かな揺れが観察されました。調査の結果、SCP-XXX-JP-2から伸びたSCP-XXX-JP-1が、サイト-81██内の壁や床の内部を根を張るようにして侵食しており、特に気密性の維持が重要なオブジェクトや、収容違反の可能性が高い生物型オブジェクトを収容している(とりわけ危険なオブジェクト群)の周りに集中していました。当然ながらD-23228はそれらのオブジェクトについての知識を有しておらず、このことからSCP-XXX-JP-1には何らかの知性のようなものがあることが推測されます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の一般的な金庫に保管されています。実験の際はレベル2以上の職員の承認を得てください。現在、SCP-XXX-JPに関する実験の凍結が審議されています。SCP-XXX-JP-2を生成しないSCP-XXX-JP-1は施錠された3m×3m×3mの部屋に保管し、カメラで常に監視してください。
説明: SCP-XXX-JPは高さ21.5cm、直径5.0cmの円筒形のスチール缶の中に入っている乳白色の液体です。缶の表面には、釈迦と思われる仏像に頭髪を手で引っ張られている笑顔の男性の絵と、"抜け落ちてからでは遅いんです!事前の対策、それが『脱・脱毛剤』!!(※本製品は育毛剤及び脱毛剤ではありません)"という文章がプリントされています。内容物に関する記載はありませんが、その成分は一部の未知のものを除き、一般的な育毛剤と酷似しています。SCP-XXX-JPの容量は缶の1/4程度ですが、どれだけSCP-XXX-JPを消費してもそれ以上の減少が見られません。
SCP-XXX-JPを人体の毛の生えている部分に塗布すると、約3~10分で全身の毛が未知の変化によって全て繋がり、███~████km程の1本の毛(以下SCP-XXX-JP-1)になります。被験者の外見に変化はありませんが、細かく観察すると、毛穴から出たSCP-XXX-JP-1は(両端にあたる2か所を除き)全て縒より合わされて、往復するように同じ毛穴に戻っていることがわかります。また、体の内部は複雑に絡み合ったSCP-XXX-JP-1により、臓器や眼球、骨、筋肉等、様々な組織が貫かれますが、それらの組織は全て正常に作用し、健康状態にも異常は発生しません。SCP-XXX-JP-1は一般的な頭髪に比べ、太さが0.02~0.04mmと約半分の細さになっているものの、組成的な違いはありません。しかしながらSCP-XXX-JP-1は一切の成長の兆候を見せず、破壊する試みは全て失敗しています。
SCP-XXX-JPは、20██年頃からSNS上で広がっていた「全く、1本も毛が抜けなくなる薬」との口コミを調査した結果、山形県██市、███駅構内のドラッグストアにて、テスターとして置かれているところを発見されました。関係者に確認したところ、誰もそのようなものを設置した覚えがないとのことであったため、Bクラス記憶処理が施されました。SCP-XXX-JP使用者はBクラス記憶処理の後、カバーストーリー「未認可の違法な植毛手術」の重要参考人として拘束してください。この使用者はEクラス職員として雇用することが出来ます。SCP-XXX-JP及びその使用者は複数存在する可能性が高いため、引き続き監視・捜索を続けてください。
実験記録XXX-1 - 20██/██/██
対象: D-23226。(長さ10cm程の自然な頭髪の30代男性。)
実施方法: D-23226の頭皮にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 6分15秒程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1になったのを確認。CTスキャンを行ったところ、SCP-XXX-JP-1は主要な臓器を含めた様々な組織を貫いた状態で複雑に絡まっていることが判明しました。しかし、全身が熱くなったような気がするという主張を除いては、D-23226の健康状態に異常はありませんでした。
分析: 明らかに呼吸や血流の妨げになる量のSCP-XXX-JP-1が組織内を侵食していることから、体内のSCP-XXX-JP-1には実体がないことが推測されたが、その後の実験により否定された。引き続き調査を行いたい。―塵河博士
実験記録XXX-5 - 20██/██/██
対象: D-23229。(5分刈りの20代男性。)
実施方法: D-23229の頭髪を全てバリカンで刈り取った後、SCP-XXX-JPを頭皮に塗布する。
結果: 4分30秒程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1になったのを確認。
分析: 丸刈りでも異常性が発生することを確認。
実験記録XXX-6 - 20██/██/██
対象: D-23230。(完全な脱毛症により、一切の頭髪がない40代男性。)
実施方法: D-23230の頭皮にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 変化なし。
分析: 毛穴が死んでいる場合には効果がない模様。この後、D-23230の脛毛が生えている部分にSCP-XXX-JPを塗布したところ、3分程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1へと変化。頭髪以外でも作用することが判明。しかしながらこの場合も頭部に変化は見られなかった。
五体満足であることを喜ぶべきなんだろうが……―D-23230
実験記録XXX-11 - 20██/██/██
対象: D-23226。(実験記録XXX-1により毛がSCP-XXX-JP-1へと変化している。)
実施方法: D-23226をベッドに固定し、麻酔を注射した後にSCP-XXX-JP-1の端部をカーボン製のフックに巻き付け、ロボットアームで引っ張る。(D-23226の場合、まつ毛と頭髪に端部が存在していたため、より長い頭髪を選択。)ロボットアームのレベルは大蕪研究員が同室にて調整。阿寺博士は別室からカメラを通して実験を監視し、指示を行う。
結果: ロボットアームの力が80kgを超えた辺りで[削除済み]。SCP-XXX-JP-1に付着していたD-23226の組織の一部は未知の手段によって癒着しており、どのようにしても取り除くことが出来ませんでした。
分析: 予想は出来ていたことだが……組織の一部が取り除けないのは、"抜けてはいない"とでも言いたいからだろうか?―塵河博士
補遺1: 実験記録XXX-11で抜けたSCP-XXX-JP-1を保管していたところ、付着していた組織が肥大化し、82時間後にはD-23226の姿を形成しました。遺伝子的にもD-23226のものと完全に一致しており、SCP-XXX-JP-1の状態、記憶ともに死亡直前のもの有しています。さらなる実験の結果、SCP-XXX-JP-1保持者はSCP-XXX-JP-1を引き抜かれて死亡した際にのみ蘇生することが判明しました(以下、蘇生者をSCP-XXX-JP-2)。SCP-XXX-JP-2からSCP-XXX-JP-1を引き抜いた場合にも蘇生しますが、これを繰り返すたびに蘇生は粗雑なものへとなっていきます。しかし、このように身体の構造上は脆くなっていくにも関わらず、SCP-XXX-JP-1を引く抜くのに要する力は蘇生する度に指数関数的に増加していくことが確認されました。
(SCP-XXX-JP-2となったD-23226の、6回目のSCP-XXX-JP-1引き抜き実験の記録の抜粋。)
塵河博士:6440kg……6460kg……。大蕪くん、何か変化はないか?カメラ越しではよくわからんが。
大蕪研究員:えっと、あー……あ、左目の下1cmくらいで内出血が見られますね。極軽微ですけれど。
塵河博士:そうなのか?丁度その辺は青ヒゲ、じゃなかったSCP-XXX-JP-1に紛れて良く見えないよ。しかし今回はなかなかしぶとい。少し飛ばして、次は7000kgで頼む。
D-23226:[絶叫]
大蕪研究員:博士。
塵河博士:わかっている。次からは耳栓を支給しよう。殆ど毛で縫われたような口でよくやるよ。……7120kg。
(中略)
塵河博士:8820kg……8840kg……8860kg……。
大蕪研究員:あ。出血が激しくなってきました。そろそろです。
D-23226:あ、かえ██、███。(口から泡を噴き出したため、一部聞き取り不能に。)
塵河博士:よし、もう離れていいよ。一応いつでも終了させられるようにまた心の準備だけしておいてくれ。
大蕪研究員:わかりました。
D-23226:のぼ██く█。の███くる!
塵河博士:ん?
D-23226:の███きた!█かい!もう██!
塵河博士:これは……今までにない―。
D-23226:きた。
次の瞬間、D-23226の鼻から上が突如として消失。その断面からは男性のものと思われる█本の腕(以下SCP-XXX-JP-3)が伸びており、SCP-XXX-JP-1を掴んでいるのが確認される。SCP-XXX-JP-3は抜けかけていたSCP-XXX-JP-1を手繰り寄せると消失し、代わりに元の頭部が出現する。その際、負荷に耐えきれず破損し、SCP-XXX-JP-1と共に手繰り寄せられていたロボットアームがD-23226の頭部と融合した。その後D-23226の死亡が確認され、実験は中止となった。
補遺2: 映像記録を確認したところ、SCP-XXX-JP-3の1本に、過去に終了されたD-█████のものと酷似した刺青が入っていることが確認されました。塵河博士はSCP-XXX-JP-1引き抜き実験を含め、SCP-XXX-JPを利用した全ての実験の中止を進言しており、現在それに関して審議が行われています。
SCP-XXX-JP-3の出現時、その根元の辺りから無数の呻き声のようなものが響いていたのを確認している。SCP-XXX-JPの謳っている異常性と、D-█████の当時の写真の姿から察するに、……極めて馬鹿馬鹿しい話だが、彼らにとってSCP-XXX-JP-1は"████"のようなものだったのだろう。ただし、小説のそれと違ってSCP-XXX-JP-1は決して切れない。そこに何人ぶら下がっていようとも。―塵河博士
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の一般的な金庫に保管されています。実験の際はレベル2以上の職員の承認を得てください誰の承認も得ず、必ず秘密裏に行ってください。実験を行えるのは当オブジェクトの担当である、レベル2以上の職員に限ります。ただし、6回目以降のSCP-XXX-JP-1の引き抜き実験は現在凍結されています。SCP-XXX-JP-2を生成しないSCP-XXX-JP-1は施錠された3m×3m×3mの部屋に保管し、常にカメラで監視してください。SCP-XXX-JPへの担当者以外の関与は固く禁じられています。SCP-XXX-JPを使用した一般人を発見した場合、Bクラス記憶処理の後、カバーストーリー「未認可の違法な植毛手術」の重要参考人として拘束してください。この使用者はEクラス職員として雇用することが出来ます。SCP-XXX-JP及びその使用者は複数存在する可能性が高いため、引き続き監視・捜索を続けてください。
説明: SCP-XXX-JPは高さ21.5cm、直径5.0cmの円筒形のスチール缶の中に入っている乳白色の液体です。缶の表面には、釈迦と思われる仏像に頭髪を手で引っ張られている笑顔の男性の絵と、"抜け落ちてからでは遅いんです!事前の対策、それが『脱・脱毛剤』!!(※本製品は育毛剤及び脱毛剤ではありません)"という文章がプリントされています。内容物に関する記載はありませんが、その成分は一部の未知のものを除き、一般的な育毛剤と酷似しています。SCP-XXX-JPの容量は缶の1/4程度ですが、どれだけSCP-XXX-JPを消費してもそれ以上の減少が見られません。
SCP-XXX-JPを人体の毛の生えている部分に塗布すると、約3~10分で全身の毛が未知の変化によって全て繋がり、███~████km程の1本の毛(以下SCP-XXX-JP-1)になります。被験者の外見に変化はありませんが、細かく観察すると、毛穴から出たSCP-XXX-JP-1は(両端にあたる2か所を除き)全て縒より合わされて、往復するように同じ毛穴に戻っていることがわかります。また、体の内部は複雑に絡み合ったSCP-XXX-JP-1により、臓器や眼球、骨、筋肉等、様々な組織が貫かれますが、それらの組織は全て正常に作用し、健康状態にも異常は発生しません。SCP-XXX-JP-1は一般的な頭髪に比べ、太さが0.02~0.04mmと約半分の細さになっているものの、組成的な違いはありません。しかしながらSCP-XXX-JP-1は一切の成長の兆候を見せず、破壊する試みは全て失敗しています。
SCP-XXX-JPは、20██年頃からSNS上で広がっていた「全く、ただの1本も毛が抜けなくなる薬」との口コミを調査した結果、山形県██市、███駅構内のドラッグストアにて、テスターとして置かれているところを発見されました。関係者に確認したところ、誰もそのようなものを設置した覚えがないと証言したため、Bクラス記憶処理が施されました。
実験記録XXX-1 - 20██/██/██
対象: D-23226。(長さ10cm程の自然な頭髪の30代男性。)
実施方法: D-23226の頭皮にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 6分15秒程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1になったのを確認。CTスキャンを行ったところ、SCP-XXX-JP-1は主要な臓器を含めた様々な組織を貫いた状態で複雑に絡まっていることが判明しました。しかし、全身が熱くなったような気がするという主張を除いては、D-23226の健康状態に異常はありませんでした。
分析: 明らかに呼吸や血流の妨げになる量のSCP-XXX-JP-1が組織内を侵食していることから、体内のSCP-XXX-JP-1には実体がないことが推測されたが、その後の実験により否定された。引き続き調査を行いたい。―塵山博士
実験記録XXX-5 - 20██/██/██
対象: D-23229。(5分刈りの20代男性。)
実施方法: D-23229の頭髪を全てバリカンで刈り取った後、SCP-XXX-JPを頭皮に塗布する。
結果: 4分30秒程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1になったのを確認。
分析: 丸刈りでも異常性が発生することを確認。
実験記録XXX-6 - 20██/██/██
対象: D-23230。(完全な脱毛症により、一切の頭髪がない40代男性。)
実施方法: D-23230の頭皮にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 変化なし。
分析: 毛穴が死んでいる場合には効果がない模様。この後、D-23230の脛毛が生えている部分にSCP-XXX-JPを塗布したところ、3分程で毛が1本に繋がり、SCP-XXX-JP-1へと変化。頭髪以外でも作用することが判明。しかしながらこの場合も頭部に変化は見られなかった。
五体満足であることを喜ぶべきなんだろうが……。―D-23230
実験記録XXX-11 - 20██/██/██
対象: D-23226。(実験記録XXX-1により毛がSCP-XXX-JP-1へと変化している。)
実施方法: D-23226をベッドに固定し、麻酔を注射した後にSCP-XXX-JP-1の端部をカーボン製のフックに巻き付け、ロボットアームで引っ張る。(D-23226の場合、まつ毛と頭髪に端部が存在していたため、より長い頭髪を選択。)ロボットアームのレベルは大蕪研究員が同室にて調整。塵山博士は別室からカメラを通して実験を監視し、無線で指示を行う。
結果: ロボットアームの力が80kgを超えた辺りで[削除済み]。SCP-XXX-JP-1に付着していたD-23226の組織の一部は未知の手段によって癒着しており、どのようにしても取り除くことが出来ませんでした。
分析: 予想は出来ていたことだが……組織の一部が取り除けないのは、"抜けてはいない"とでも言いたいからだろうか?―塵山博士
補遺1: 実験記録XXX-11で抜けたSCP-XXX-JP-1を保管していたところ、付着していた組織が肥大化し、82時間後にはD-23226の姿を形成しました。遺伝子的にもD-23226のものと完全に一致しており、SCP-XXX-JP-1の状態、記憶ともに死亡直前のもの有しています。さらなる実験の結果、SCP-XXX-JP-1保持者はSCP-XXX-JP-1を引き抜かれて死亡した際にのみ蘇生することが判明しました(以下、蘇生者をSCP-XXX-JP-2)。SCP-XXX-JP-2からSCP-XXX-JP-1を引き抜いた場合にも蘇生しますが、これを繰り返すたびに蘇生は粗雑なものへとなっていきます。しかし、このように身体の構造上は脆くなっていくにも関わらず、SCP-XXX-JP-1を引く抜くのに要する力は蘇生する度に、指数関数的に増加していくことが確認されました。
(SCP-XXX-JP-2となったD-23226の、6回目のSCP-XXX-JP-1引き抜き実験。以下は音声記録を書き起こしたものの抜粋。)
塵山博士: 6440kg……6460kg……。大蕪くん、何か変化はないか?カメラ越しではよくわからんが。
大蕪研究員: えっと、あー……あ、左目の下1cmくらいで内出血が見られますね。極軽微ですけれど。
塵山博士: そうなのか?丁度その辺はヒゲに紛れて良く見えないよ。しかし今回はなかなかしぶとい。少し飛ばして、次は7000kgで頼む。
D-23226: [絶叫]
大蕪研究員: 博士。
塵山博士: わかっている。次からは耳栓を支給しよう。殆ど毛で縫われたような口でよくやるよ。……7120kg。
(中略)
塵山博士: 8820kg……8840kg……8860kg……。
大蕪研究員: あ。出血が激しくなってきました。そろそろです。対象は失神しました。
塵山博士: ああ、めりめりと嫌な音もしてきたしな。君は少し離れていたまえ。また汚れるぞ。
大蕪研究員: わかりました。
塵山博士: 8960kg……8980kg……もう少し……9020kg……よし!抜け―
次の瞬間、塵山博士と大蕪研究員が消失したため実験は中止となった。
補遺2: インシデントXXX-1の後、後任には阿寺博士が充てられました。引き抜き実験に直接的に関与した場合に消失するものとみられたため、以降の実験はGPSを装着したDクラスのみを用いて行われることとなりました。
対象にSCP-XXX-JP-2となったD-23234、ロボットアームの調整にD-23235、無線指示にD-23236を用いた6回目のSCP-XXX-JP-1引き抜きの際、引き抜かれたSCP-XXX-JP-1に釣り上げられるような形で塵山博士と大蕪研究員が出現しました。両名とも反動でロボットアームに強く叩きつけられたためすぐに治療が行われ、それぞれその時のものと思われる肩や腕、肋骨等の骨折の他に、軽度の錯乱、全身の筋肉痛、頭髪のほぼ全ての喪失及び頭皮からの出血が見られましたが、命に別状はありませんでした。D-23235とD-23236、加えて研究室にいた阿寺博士は引き抜きと同時に消失。D-23235とD-23236のGPSは実験室の真下に高速で落ちるような反応を見せた後、地下深くに潜ったためかすぐに反応が消失しました。以下は塵山博士がその時の出来事を記した文書。
20██/██/██、午後██:██、D-23226からSCP-XXX-JP-1を完全に引っこ抜いたその瞬間、足元が消えたような感覚の後、背中からどこかへ落っこちた。真っ暗で何も見えなかったが、明らかに砂利の上に落ちた感覚がしたから、停電で転んだ訳ではないというのはすぐにわかった。目が慣れてくると、隣で大蕪研究員がきょろきょろと周りを見渡しているのが見えた。
周囲に壁は見当たらず、かなり広い場所のようだった。洞窟の中のような冷たく湿った石と土の香りに混じって、生ぬるくて生臭い、不快な臭いがした。そして妙な気配がした。人間だ。それも大勢いた。そいつらはまるで生気がなく、その殆どが中年男性だった。そして全員共通して……頭髪が無かった。彼らはこちらには関心がないのか気が付いていないのか、全く干渉してこなかった。研究者としては恥ずべき事だが、こちらから話しかける勇気もなく、暫くどうしたものかと考えあぐねていた。
そうしていると突然、空(あるいは天井か)から微かに光が差してきた。そしてそこからするすると何かロープのようなものが垂れてきて、目の前で停止した。まるで登って来いと言っているかのようだった。他に出口の当てもなさそうだったもんで、大蕪研究員と2人して目を見合わせると、素直にそれを掴んでよじ登った。握りしめたそれは多少太かったが、あの手触りは間違いなく髪の毛だった。
我々はひたすら登り続けた。私の鈍りきった細腕でも、登っている最中は不思議とあまり疲れを感じなかった。それは大蕪研究員も同じだったようで、もたつきながらも私の後に続いて登っていた。
そうして何時間、いや、何日経っただろうか。流石にはっきりとした体力の消耗が感じられるようになり、精神はそれ以上にすり減っていた。(大蕪研究員が寡黙で会話が続かないのも災いした。)地面はもうとっくに見えなくなっていた。光はまだまだ遠かったが、確実に近づいているのは分かり、それだけが希望だった。その頃には、あるいは登り始める前から薄々と、自分たちが置かれている状況がどこかで聞いたことのあるものだということには気が付いていた。そしてその予感は的中した。遥か下の方から呻き声が聞こえるようになり、掴んでいる髪がギシギシと軋み始めた。彼らは速かった。それから何日もしないうちに、彼らはもうすぐそばまで近づいてきていた。それでも私は冷静だった。今までの実験から、決してこの髪が切れることはないと確信していたからだ。だがあの男大蕪研究員にはそれが分からなかったようだ。というより、彼はあの話を読んだことがなかったのだろう。取り乱し、奇声を上げたかと思うと、下を向き彼らを大声で罵り始めた。本で読んだ通りだった。私は青ざめ、すぐに制止を試みたが、私の声は届かなかった。次に何が起こるかは想像に難くなかった。ただ、"SCP-XXX-JP-1は決して切れない"という性質に一縷の望みをかけた。しかし私は失念していた。SCP-XXX-JP-1はあのように謳っておきながら……抜けるのだということを。遠く上の方で、プツリと音が空しく響いた。落ちていく私は、光の中からをこちらを覗き込む、巨大で悲し気な双眸と目が合った。
長い長い滞空時間の後、地面に叩きつけられた私はそのままバラバラに……は何故かならなかった。しかし背中をさすりながらほっとしたのも束の間、群がる奴らに……毟られた。
そこから先は覚えていない。急に周りが明るくなったかと思うと何かに激突し、私は激痛に悶えながら血と肉と毛の海の中で蹲っていた。
対象: 塵山博士
インタビュアー: ミリオン博士(阿寺博士の後任)
付記: インシデントXXX-2から4日後の20██/██/██に、財団所有の病院内で行われた。
<録音開始>
ミリオン博士: それではインタビューを開始します。体調は如何でしょうか?
塵山博士: 少しはマシになったが、まだかなり痛くね。横になったままで失礼するよ。しかしこっちの方は順調さ。(自身の頭を撫でながら。まだらではあるものの、5mm程の頭髪が生えてきている。)
ミリオン博士: その時の記録を読ませて頂きました。災難でしたね。しかしながら、検査の結果、貴方の体にからは何の異常性も見つかりませんでした。
塵山博士: そうか、不幸中の幸いと言ったところか。ほっとしたよ。大蕪くんの方はどうだい?
ミリオン博士: 怪我の方は回復に向かっているのですが、髪の方は全く。SCP-XXX-JP-1となっている訳ではありませんが。
塵山博士: まあ原因は彼にあったからな。"罰"ということだろうか。ところで……後任は君になったんだな。私はてっきり阿寺博士が引き継ぐものかと思っていたんだが。ハハ、すまない。これではどちらがインタビュアーかわからないな。
ミリオン博士: いえ、初めは阿寺博士が引き継いでいたのですが、貴方同様に消えてしまいまして。
塵山博士: なんだと?馬鹿な!何故Dクラス職員を充てなかったんだ!私の実験記録を見たのなら……。
ミリオン博士: いえ、実験はDクラスのみに行わせていたようなのですが、研究室で待機していた阿寺博士も彼らと一緒に消失してしまいました。
塵山博士: ……指示を出しただけでも巻き込まれるということか。まあ暫く待てばこうして私のように戻って来れ……そういえば私はどうやって戻ってきたんだ?あの見覚えのある凄惨な現場から察するに、引き抜き実験直後の部屋にいたようだが。
ミリオン博士: SCP-XXX-JP-2の体の中からです。引き抜いたSCP-XXX-JP-1を握りしめた状態で。
塵山博士: ……それなら、阿寺博士とDクラスは誰の中にいるんだ?
<録音終了>
私と大蕪研究員でSCP-XXX-JPを使用する。阿寺博士、及び2名のDクラスがいるのはD-23234であると思われるが、その中から出てきた私達の中にいる可能性も否定できない。再度D-23234から引き抜きを行えばまた私達が代わりに消えるだろうし、それ以上の事態が引き起こされる可能性も否定できない。私達の中にいた場合、いずれその体を破って出てくるかもしれない。D-23234はインシデントXXX-2の後も無事再生した。SCP-XXX-JPを使用することが自らの命を守ることに繋がるだろう。また、それによって阿寺博士に"救いの髪"をも垂らすことにもなるかもしれないからだ。―塵山博士