SCP-000-JP 憂鬱な受験生
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-000-JPは密閉された標準的な金庫の中に保管し、机と椅子が設置された部屋に収容してください。収容室の外には最低二人の警備員を常駐させてください。
収容室及び金庫の内部にはカメラを取り付け、常に監視をしてください。
SCP-000-JPの移動、収容室の清掃の際には、【検討中】を使用してください。
実験以外に収容室の中に立ち入ることは許可されていません。
無断に収容室に立ち入るものがいた場合、即座に捕えられ、相応の罰則が与えられます。

説明: SCP-000-JPは標準的なA4用紙(SCP-000-JP-1)とその上にランダムに出現する文書といくつかの問題(SCP-000-JP-2)①(問題は英語教化以外は大抵日本語)です。
問題は科目に応じて出題され、科目②(今までに確認された科目は、数学、国語、英語、世界史などの比較的基礎的な科目から量子力学、生物工学など専門的な科目にまで及びます)と問題数③(今までに確認された問題数は、1〜1██問)、問題の難易度はそれぞれ完全にランダムです。
SCP-000-JPを-目視及び接触-(ここ斜線)五感のいずれかで直接認識した場合、認識した対象は、いかなる状態であっても、SCP-000-JPに表示された問題SCP-000-JP-2を解こうとします。
対象が問題を解き終わった場合、SCP-000-JPは瞬時に消失し、数秒後④(3〜5秒)、解かれた問題に応じて、100点満点換算で赤いインクで採点された状態で再出現します。
この時、採点結果が100点以外だった場合、対象は一番最初にSCP-000-JPを認識した部位に応じ、多くの場合身体の欠損を伴って死亡します。
満点だった場合、対象はSCP-000-JPの再出現と同時に数秒間消失し⑤(対象は自らが消失したことを自覚していませんでした)、再出現します。
再出現した対象は、必ず何らかの異常性を取得します(対象はSCP-000-JP-3と呼称)。
対象の身体の欠損、または再出現と同時に、SCP-000-JP-2の問題は消失し、数秒後に新しい問題が表示されます。
SCP-000-JP-3の収容手順に関しては、人間型オブジェクト標準収容手順を参照してください。

SCP-000-JPの異常性に関するさらなる理解のため、SCP-000-JPの実験及び記録が行われました。(要改定)

SCP-000-JP実験記録

実験記録000-1 - 日付20██/█/██

対象: D-389898

実施方法: 対象にSCP-000-JPを視認させ、問題をわざと間違えるように指示。金庫の扉は開いている状態である(以下略)。

題: 『数学Ⅰ一年次一学期中間テスト』

問題数: 27

結果: 0点
対象はSCP-000-JPを視認した。
対象は苦悶するように頭を掻きむしり、指を噛んで流血させ、地面に伏せた後、血で問題を解いた。
50分後SCP-000-JPが消失し、採点がなされた状態で再出現した。
対象は目を抑え、その場に倒れてもがいた後、動かなくなった。

検死の結果、眼球の破裂、視神経の断絶が確認された事から、出血性ショックによる死亡だと推測される。

メモ: 結果はともかく、この実験の際には被験者には鉛筆と消しゴムを持たせた方が良さそうだ。地面だと解きにくいだろうから机と椅子も。

実験記録000-2 - 日付20██/█/██

対象: D-085990

実施方法: 対象にSCP-000-JPを視認させ、問題をわざと間違えるように指示。対象には鉛筆と消しゴムを持たせた。

題: 『こくご いちねんせい しょうてすと』

問題数: 10

結果: 80点
対象はSCP-000-JPを視認した後、すぐに問題を解き始めた。
5分後、SCP-000-JPが消失し、採点がなされた状態で再出現した。
対象は動揺するような素振りを見せた後、椅子から転げ落ち、動かなくなった。

検視の結果、眼球の破裂が確認された事から、出血性ショックによる死亡だと推測される

メモ: 問題を間違えるように言ったが点数をとれているのは、対象が問題を解くことしか頭にないからだろうか。
死亡理由が若干軽くなっているのは、何かに関係しているのだろうか。
さらなる実験が必要だと思われる。

実験記録000-3 - 日付20██/█/██

対象: D-574327

実施方法: 対象にSCP-000-JPを視認させ、問題をわざと間違えるように指示。対象には鉛筆と消しゴムを持たせた。

題: 『〔編集済み〕大学入学試験問題 理科』

問題数: ██

結果: 13点
対象はSCP-000-JPを視認した後、すぐに問題を解き始めた。
対象は途中で消しゴムを落としたが、すぐに拾った後、再度問題を解き始めた。
1██分後、SCP-000-JPが消失し、採点がなされた状態で再出現した。
対象は痙攣するように震えた後、椅子にもたれかかった状態で動かなくなった。

検死の結果、眼球の破裂、視神経の断絶、脳の視覚中枢の破裂が確認された事から、出血性ショック及び脳の直接損傷による死亡だと推測される。

メモ: テストの難易度と点数の低さで死亡時の損傷の大きさが変化すると予想する。

実験記録000-4 - 日付20██/█/██

対象: D-867890

実施方法: 対象に目隠しを付け、スピーカーによる指令で、右手でSCP-000-JPに触れさせる。問題をわざと間違えるように指示。対象には鉛筆と消しゴムを持たせた。

題: 『国語十問漢字テスト』

問題数: 10

付記: SCP-000-JPに触れたのみの場合はどうなるかの実験である。筆記用具は念のための物である。

結果: 100点
対象はスピーカーの音声に誘導され、約2分かけて右手でSCP-000-JPに触れた。
対象はすぐに目隠しを外し、問題を解き始めた。
1分後、SCP-000-JPが消失し、採点がなされた状態で再出現した。
それとほぼ同時に対象が消失し、数秒後再出現した。

再出現した対象にはインタビューが行われた(インタビュー記録000-1を参照)

メモ: 対象は何らかの異常性を持つと判断されたたため、SCP-000-JP-3-1とする。

実験記録000-5 - 日付20██/█/██

対象: D-097787

実施方法: 実験方法:対象に目隠しを付け、スピーカーによる指令で、右手でSCP-000-JPに触れさせる。問題をわざと間違えるように指示。対象には鉛筆と消しゴムを持たせた。

題: 『保険 1年2学期末』

問題数: 3█

結果: 28点
対象はスピーカーの音声に誘導され、右手でSCP-000-JPに触れた。
対象はすぐに目隠しを外し、問題を解き始めた。
50分後、SCP-000-JPが消失し、採点がなされた状態で再出現した。
対象の右ひじから先が瞬時に消失し、対象は叫び喚き椅子から転げ落ちた。数秒後、対象は動かなくなった。

検死の結果、多量出血か痛みによるショック、またはその両方による死亡だと推測される。

メモ: 一つ前での実験でも分かったが、目隠しをしたとしても、それを外してしまうようだ。さらに触った部位によって損傷する場所も変わるようである。

実験記録000-9 - 日付20██/█/██

対象: D-887964

実施方法: 対象は盲目である。スピーカーによる指令でSCP-000-JPに触れさせる。問題をわざと間違えるように指示。対象には鉛筆と消しゴムを持たせた。

題: 『センター試験 外国語 英語(筆記)』

問題数: ██

結果: 0点
対象はスピーカーの音声に誘導され、左手でSCP-000-JPに触れた。
対象は苦悶し、唸り、自分の顔、主に目の部分を爪で傷つけ始めた。
80分後、SCP-000-JPが消失し、採点がなされた状態で再出現した。
対象の肩から先が瞬時に消失し、対象は大声で叫び喚いた後、椅子から転げ落ち、数秒後動かなくなった。

検死の結果、多量出血か痛みによるショック、またはその両方による死亡だと推測される。

メモ: おおむね予想通りの結果。どのような条件で、どのような損傷を受けるのかはおおむね把握できた。これからは実験の方向を『満点を取らせる』という方向にシフトさせて行こうと思う。

実験記録000-17 - 日付20██/█/██

対象: D-680341

実施方法: 対象にSCP-000-JPを視認させ、問題を解かせる。対象には鉛筆と消しゴムを持たせた。

題: 『こくご 一ねん生 テスト』

問題数: 11

結果: 92点
対象はSCP-000-JPを視認した後、すぐに問題を解き始めた。
20分後、SCP-000-JPが消失し、採点がなされた状態で再出現した。
対象の眼球が消失し、対象は叫びながら椅子から転げ落ち、数秒後に動かなくなった。
検死の結果、出血性ショックによる死亡だと推測される。

メモ: かなり簡単なテストだったと思うのだが、それでも満点をとれないものもいるようだ。適当なDクラスではなく、少しは教養のあるDクラスを選出する必要があるかもしれない。

実験記録000-20 - 日付20██/█/██

対象: ██博士

実施方法: 対象にSCP-000-JPを視認させ、問題を解かせる。対象には鉛筆と消しゴムを持たせた。

題: 『SCP財団忠誠心理テスト』

問題数: ██

付記: ██博士は直近での財団忠誠心理テストにおいて〔編集済み〕点を取得していました。それに及び本人の意思によってこの実験が行われました。

結果: ███点
対象はSCP-000-JPを視認した後、すぐに問題を解き始めた。
60分後、SCP-000-JPが消失し、採点がなされた状態で再出現した。
それとほぼ同時に対象が消失し、数秒後再出現した。
対象は周りを見回した後、椅子から立ち、ドアから外に出た。

対象は警備員に捕縛され、連行されることに快く応じた。

再出現した対象にはインタビューが行われた(インタビュー記録000-2を参照)

+インタビュー記録

インタビュー記録000-1 - 日付20██/█/██

対象: D-867890

インタビュアー: 小金井博士

付記: SCP-000-JPの実験において、SCP-000-JP-2の問題において100点を取得したD-867890への事後インタビューです。
インタビューはガラスを隔てた部屋にて行われました。

<録音開始>

小金井博士: やあ、D-867890。調子はどうだい?

D-867890: 普通です。ただ、少し……

D-867890が俯く

小金井博士: 少し?

D-867890: やっぱり、普通、って言うのはやっぱり違うかもしれません。ただ、その、えっと……

小金井博士: どういう事だ?

D-867890: ……なんか、なんだろう、調子が悪い訳ではないんですが、いつもと違う、って言うような……。自分の体が、自分の物じゃないような、なんか、現実離れしているというか……思ったように動かない……いや、動くんですが……
小金井博士: ますます分からないな。いったいどういう事だ?

D-867890が座っていた椅子から立ち上がる。

小金井博士: 何をする気だ?

D-867890: ちょっと、見ててください。

D-867890が椅子を横によける。

D-867890がその場で宙返りをする。

D-867890: 見ました? 今までこんなことはできなかったのに。

小金井博士: なるほど……体が異様にパワーアップしているような感じかな?

D-867890: ええ、まあ……多分。

小金井博士: ならば現実離れしているというのはあながち間違えではないかもしれないな。測定をする必要があるかも。

D-867890: どういうことです?

小金井博士: もしもの話だ。次の質問に移ろう。君はあの答案用紙が再出現した後、消失した様に見えたが……覚えているか?

D-867890: あー……はい。多分。

小金井博士: 君はどんな状況だったか、聞かせてもらえるかな?

D-867890: 正直口で説明するのがむずかしいんですが、何て言うんでしょうか……すごく、眠かったです。もしかしたら寝てたかも。

小金井博士: その時君はどこにいたのかわかるか?

D-867890: 分からない……ですね。うーん、夢の中のような……

小金井博士: ふうん、なるほど。分かった、じゃあ最後の質問だ。君は、問題を解いている時はどんな感覚だった? 私達の指令も忘れて熱心に問題を解いていたようだが。

D-867890: あー……ええっと、そうですね。なんか……どうしても、解きたかったと言うか……どうしても譲れなかったというか……

小金井博士: 好きなゲームをやっていて熱中しているような感覚?

D-867890: はい、多分、そうですね。

小金井博士: ふうん、よし分かった。質問はここまでだ。付き合ってくれてありがとう。君から何かあるかな?

D-867890: 特に、大丈夫です。

小金井博士: では、インタビューはここまでとする。

<録音終了>

メモ: テストで満点をとったらご褒美が貰えるような感じだろうか。まだいろいろ確かめておくべき事が多い。まずはこのD-867890をSCP-000-JP-3-1と指定し、個別に収容する必要があるだろう。

インタビュー記録000-2 - 日付20██/█/██

対象: ██博士

インタビュアー: 小金井博士

付記: SCP-000-JPの実験において、SCP-000-JP-2の問題において███点を取得した██博士への事後インタビューです。
インタビューはガラスを隔てた部屋にて行われました。

<録音開始>

小金井博士: こんにちは、██博士

██博士: こんにちは。今回は、私がどのような異常性を獲得したかのインタビューですね? ああ、あと体調は絶好調です。

小金井博士: ありがとうございます。話が早くて助かります。それで、何か異常性のようなものは獲得しましたか?

██博士: 正直なところ、自覚症状のようなものはなくてですね。

小金井博士: 自覚症状がない、ですか。

██博士: はい。触っていないものを動かすこともできないし、クリプトン星人になれたわけでもないですね。

小金井博士: わかりました。今後何かしらの異常性が発現する可能性を考慮して、しばらくは000-3-2として監視させていただきます。

██博士: わかりました。私は一向にかまいませんよ。

小金井博士: では、インタビューはここまでとします。

<録音終了>

メモ: 必ずしも異常性が発現するわけではないのか、もしくはただ単に自覚をしていないのか。経過観察が必要であると思われる。

補遺: 20██/█/██、██博士による一度SCP-000-JP-2の実験が行われた結果、事案-000-JP-1が発生しました。今後SCP-000-JP-2の実験は凍結するものとします。

+事案-000-JP-1記録ログを開く セキュリティクリアランス3要求
-セキュリティクリアランスを承認しました。事案-000-JP-1記録ログを開きます。

20██/█/██午前█時█分、█博士によるSCP-000-JP-2の実験が行われた。SCP-000-JP-2に表示されていた内容は財団の中世テストだった。その結果、█博士が██点を取得。消失し数秒後に再出現した後、█博士が採点された状態のSCP-000-JPを手で破った。
以下のログは、それ以降に撮影された映像の文字起こしである。

破られたSCP-000-JP-2が地面に散らかっている。██博士が頭を押さえ、苦悶しているように見える。
破られたSCP-000-JP-2がすべて消失。数秒後に██博士の足元に再出現する。
██博士が不明瞭な叫びを上げ、SCP-000-JPを踏みつける。SCP-000-JPが部分的に破れる。
部分的に破られたSCP-000-JPが全て消失。数秒後に██博士の足元に再出現する。

██博士:この野郎!

██博士が実験開始の直前に持たされていたペンを使用し、SCP-000-JP-2の表面を乱雑に塗りつぶす。

██博士:とんでもないものを知らせやがって!

██博士がペンをSCP-000-JPに投げつける。
SCP-000-JPが消失。数秒後に採点された状態で再出現する。
黒く塗られたSCP-000-JP-2の上から、大きく赤い文字で乱雑な筆跡で『0点』と書かれている。
その直後、██博士が胸を押さえこみ、苦悶する。数秒後に地面に倒れ、そのまま動かなくなる。五分後、██博士が回収され、死亡したものとみなされた。

検死の結果、心臓及び周辺の動脈の消失による失血死であるとみなされた。

メモ:問答無用で実験は凍結だろう。彼が何を知ったかは分からないが、それがよいものではなかったと思う。
最後の黒塗りで彼が死んだ理由は、それが回答とみなされたからではないかと思う。
逆になぜ最初のもので██博士に何も起きなかったのか、見ても問題を解こうとはしなかったのか、消失したのがなぜ心臓部だったのか、採点の筆跡が乱雑であった事は少し原因が知りたいが、これ以上試したくはない。