カリフォルニアロール
評価: 0+x
{$name}

SCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:

説明: SCP-XXX-JPは国内に点在する地上██m、地下██mに及び存在する円柱型の巨大な構造物です。その外壁は一般的な施設の天井と酷似しており、蛍光灯や空調機器に関しては市販されているものと同一である事が確認されています。壁紙にあたる部分は外観こそ市販されている一般的な壁紙と一致しますが、その組成はヒトの肌と合致する事が分かっています。
SCP-XXX-JPはその脆い構造にも関わらず自重等で倒壊する事はありません。しかし比較的容易に損傷し、その場合内部の弱アルカリ性で無色透明の液体が噴き出します。これらの損傷は不明な方法によって徐々に修復されます。現時点で確認されている3つのSCP-XXX-JPがそれぞれ発見順にSCP-XXX-JP-1~3に指定されています。

SCP-XXX-JP-BはSCP-XXX-JPに対して崇拝に近い感情を抱く人間です。その発生原因は不明ですが、SCP-XXX-JP-Bに変化する人間にはある程度の法則性があると考えられています(男性が有意に多く、有職者よりは無職者が多い)。SCP-XXX-JP-Bは自らへの賛同者を増やそうと周囲の人間に「説得」を試みます。その内容は「救い」や「赦し」といったものですが、特徴として「死は自由である」といった死に関連する発言が多く見られます。
SCP-XXX-JPの影響が及ぶ間、知識や記憶はSCP-XXX-JP間で共有されていると考えられています。SCP-XXX-JP-Bのこれらの影響を記憶処理により治療できたのは全体の5%以下です。しかしSSRIの投与によって一時的に影響を取り除く事が可能です。

インタビューログXXX-JP-1

<録音開始>

中島研究員: 機材は……OKですね、それでは始めたいと思います。

中島研究員: まずはお名前を伺っても?

SCP-XXX-JP-B-5: ……橘だ。

SCP-XXX-JP-B-5: 貴方は?

中島研究員: ……あー、それはまだ答えられません。ご職業は?

SCP-XXX-JP-B-5: 無職、あるいは宗教家……知ってるんだろう?

中島研究員: 決まりなもので。

[編集済]

SCP-XXX-JP-B-5: それで、私はいつ出られる?

中島研究員: それは……いえ、それもお答え出来ません。

SCP-XXX-JP-B-5: ……分かった。

<録音終了>

備考: ヒューム値等の変動からテレパス、または思考の共有のような能力を有していると推察されます。機密の漏洩には十分に注意を払う事。

インタビューログXXX-JP-6

<録音開始>

中島研究員: 今日もいくつか質問をさせて貰います。

中島研究員: まず最初に。何故死は「救い」なのですか。

SCP-XXX-JP-B-5: 逆に聞かせて貰いたいくらいだ。死を生の形態の1つとして数えないのは何故だ?

中島研究員: 生の形態の1つ……ですか。

SCP-XXX-JP-B-5: 単純な言葉に落としこむなら……そう、我々は死ぬために生まれてきた。死んでこそ人生は成り立つ……そう考えている。

中島研究員: そうですか。

SCP-XXX-JP-B-5: ……君の意見は?

中島研究員: …………正直分かりかねます。私は自らの生をそのように思った事はありませんし、生きてこそ……生きてこそだと思っています。

中島研究員: 死んでしまっては……何も無くなってしまう。記録と記憶だけになってしまう。残された者は……

SCP-XXX-JP-B-5: それは間違っている。消え去ってしまったりはしない。むしろ……全てを残したままに、全てを洗い流す……それが死だ。

SCP-XXX-JP-B-5: 誰も……そうだ。誰も居なくなってはいないんだ。

SCP-XXX-JP-B-5: 待っていたよ。……君たちはなんて恐ろしい事をしたんだ。

中島研究員: ……何の事ですか?

SCP-XXX-JP-B-5: ████だ!お前達の呼び名ではエージェント████████!

中島研究員: エージェント……

SCP-XXX-JP-B-5: 知らないのか!知らされていないのか!ああ、ならば教えてやろう!████は記憶を奪われた!お前達によって!

SCP-XXX-JP-B-5: そうだ!お前達の言葉で言うならSCP-XXX-Aからただの一般人へと逆戻りだ!

中島研究員: ……治療を試みるのは当然でしょう。

SCP-XXX-JP-B-5: 治療、治療、治療!お前達もその言葉を言うのか!ああ、同じだった。私は、私達は間違っていた!

SCP-XXX-JP-B-5: 私達を認識したと思っていた!しかしお前達は呼び方を変えただけだった!

SCP-XXX-JP-B-5: そうだ、お前達はお前達がした事を分かっていない。ちゃちな記憶を消して得意がるのとは訳が違う!

中島研究員: 私には……分からない。財団の記憶処理には全て理由がある。貴方の言うような……

SCP-XXX-JP-B-5: ああ、違うんだ。違うんだよ。本当に君は何も知らないのだな、何も。

SCP-XXX-JP-B-5: 教えてあげよう。

SCP-XXX-JP-B-5: ████には運命を誓い合った者が居た。彼女は████の全てだった。そして████は彼女の全てだった。

SCP-XXX-JP-B-5: しかし彼らは不運だった。彼女は重い病を患った。

SCP-XXX-JP-B-5: ここからは分かるだろう。彼らは心中しようとしたのだ。

中島研究員: ……

SCP-XXX-JP-B-5: 愚かだと思うかもしれない。だがそれだけ……そう、全てだったんだ。

SCP-XXX-JP-B-5: お前達は「治療」した。彼女の記憶を……無造作に奪った。

SCP-XXX-JP-B-5: それが何を意味するか分かるか?

中島研究員: ……分からない。

SCP-XXX-JP-B-5: 分かるまい。分からないだろうよ。ああ、分からないだろうとも!

SCP-XXX-JP-B-5: 彼女は待っている!あの樫の木の下で!今も!彼を待っている!

SCP-XXX-JP-B-5: 全ては無意味だと分かっているのに!もう、二度とそこに現れる事は無いと知っているのに!

SCP-XXX-JP-B-5: ずっとだ!彼女は永遠にあそこを離れる事は無いだろう!

SCP-XXX-JP-B-5: もはや、誰にも助けられはしない!