SCP&Tale下書き

無賃、回送、終電車

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SCP-XXX-JPが存在する公衆トイレ(発見時に撮影)。

アイテム番号: SCP-XXX-JP 

オブジェクトクラス: Safe Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの存在する公園は財団フロント企業「SC PROPERTIES INC.」により買収し、総合病院の工事現場に偽装しています。

SCP-XXX-JPは実験時を除いて開放し、常に2名以上の警備員によって許可無き侵入を防ぎます。SCP-XXX-JP-1には遠隔監視カメラをSCP-XXX-JPへ向けて設置し、定期的にDまたはCクラス職員によって電池交換や点検・修理を行います。SCP-XXX-JP-1への侵入にはセキュリティクリアランスレベル3職員2名以上の許可が必要です。

説明: SCP-XXX-JPは東京都██区の公園「しあわせひろば」の敷地内に設置された多目的トイレの扉です。内側には一般的な設備が存在し、SCP-XXX-JPや多目的トイレに異常な物理的耐性は存在しません。

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SCP-XXX-JP-1内部(発見時に撮影)。SCP-XXX-JP-2は撮影の際にカメラから離れた。

インシデントXXX-JP(補遺3を参照)以前、SCP-XXX-JPを通じて被験者が多目的トイレ内部へ侵入しようとすると、日本████████社が製造販売していたエレベーターの内部に見える異空間(以下、SCP-XXX-JP-1)へ転移しました。SCP-XXX-JP-1内に存在する蛇腹式の扉(以下、蛇腹扉)や操作盤といったあらゆる物品は、全て高い物理的耐性を有しています。SCP-XXX-JP-1の地理的/平行宇宙的な座標を特定する試みは、現在まで全て失敗しています。

SCP-XXX-JP-1内部には、30代程度の日本人男性に見える人型実体(以下、SCP-XXX-JP-2)が存在します。SCP-XXX-JP-2はオレンジ色の制服を着用しており、常にSCP-XXX-JP-1内の操作盤前で直立しています。SCP-XXX-JP-2は自身の顔面が撮影/録画されることを嫌い、可能な限りそれを回避しようと試みます。後の調査により、SCP-XXX-JP-1が酷似しているエレベーターは東京都の幽幻ゆうげんホテル1本館にて使用されていたものであること、SCP-XXX-JP-2が着用している制服は同ホテルにてエレベーターボーイの制服として使用されていたものであることが判明しています。

SCP-XXX-JP-1へ被験者が侵入した際、SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP及び蛇腹扉を閉めた後、被験者へ「次の目的地」を問います。この時被験者が何も回答しなかった場合、SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP及び蛇腹扉を開き、SCP-XXX-JPが一度閉じられるまで一切発言・行動をしません。被験者が何らかの回答をした場合、SCP-XXX-JP-2は操作盤のボタンに触れます。直後、SCP-XXX-JP-1内部に衝撃が走り蛇腹扉の外(以下、SCP-XXX-JP-3)の光景が変化し、被験者は下降/上昇感を覚えます(昇降イベント)。

昇降イベントから30秒~5分後、衝撃とともにSCP-XXX-JP-3の光景が一変し、被験者の下降/上昇感は消失します。その後、SCP-XXX-JP-1内部にベル音が響きます。この時のSCP-XXX-JP-3の光景は、その時点に於けるSCP-XXX-JP-2の発言した場所と概ね一致しています。SCP-XXX-JP-3の光景が変化してから約3分経過した際、SCP-XXX-JP-2は被験者へ次の場所へ移動するかどうか問いかけます。この時被験者が断った、若しくは何も回答しなかった場合、SCP-XXX-JP-2は約3分後同様の問いかけを行い、以降同様の問いかけを了承されるまで繰り返します。この問いかけを了承した場合、SCP-XXX-JP-2は操作盤のボタンに触れ、再び昇降イベントを発生させます。SCP-XXX-JP-2は1回の侵入につき3~8回の昇降イベントを発生させます。

各使用の最後の昇降イベント後、SCP-XXX-JP-3の光景は被験者が回答した目的地に変化します。この時、SCP-XXX-JP-2は被験者が移動を指示するまで一切発言しません。被験者から移動を指示された場合、SCP-XXX-JP-2は操作盤のボタンに触れます。直後、SCP-XXX-JP-1内部に衝撃が走りSCP-XXX-JP-3の光景が昇降、SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JP-3に出現します。その後、SCP-XXX-JP-2は蛇腹扉を開き、SCP-XXX-JPが閉じられるまで一切発言を行わなくなります。

補遺1-実験ログ: 2017/10/20及び2017/10/26、担当博士の指示の下でSCP-XXX-JP及び付随する存在群の特異性を調査する実験が行われました。以下は、この時得られた記録です。

映像記録#01


被験者: D-XXX-JP-1

<記録開始、2017/10/20> 

D-XXX-JP-1: じゃあ入るぞ。

[SCP-XXX-JPを開け、SCP-XXX-JP-1へ進入する]

D-XXX-JP-1: うわ、ホントに人がいやがる……エレベーターも古臭ぇし……。

SCP-XXX-JP-2: [蛇腹扉を閉め、D-XXX-JP-1の方を向く] 次の目的地はどちらでしょうか。

D-XXX-JP-1: 挨拶も無しかよ、えーと。[持ち込んだメモを取り出す] ██年█月█日の████2だ。

SCP-XXX-JP-2: 了解しました。では、██年█月█日の████までお連れします。[D-XXX-JP-1へ一礼し、操作盤の方を向く]

[SCP-XXX-JP-2が操作盤に触れると同時に、SCP-XXX-JP-3が下方向へ流れ始める]

D-XXX-JP-1: お? なんだなんだ? [SCP-XXX-JP-1内をしきりに見渡す] マジかよ、動いてやがる!

[3分間沈黙。D-XXX-JP-1は時々SCP-XXX-JP-1内を見渡す]

SCP-XXX-JP-2: [ベルの音] 到着しました、██年█月█日の████3でございます。

D-XXX-JP-1: ああ? 言った場所と違うじゃねぇか。[静止したSCP-XXX-JP-3を確認する] 俺の実家か? ん?

[30秒間沈黙。D-XXX-JP-1は蛇腹扉に接近し、SCP-XXX-JP-3をよく観察する]

D-XXX-JP-1: 無視かよ、つまんねぇなぁ。

[2分間沈黙。D-XXX-JP-1は落ち着きのない様子を見せる]

SCP-XXX-JP-2: 次の場所へ移動しますか?

D-XXX-JP-1: うわ、急だな! とっとと移動してくれ、俺はアイツをもう1回見てぇんだよ。

SCP-XXX-JP-2: 了解しました。

[SCP-XXX-JP-2が操作盤に触れると同時に、SCP-XXX-JP-3が上方向へ流れ始める]

D-XXX-JP-1: 今度は下か? まさか元の場所に戻るんじゃねぇだろうな。

[3分30秒間沈黙。D-XXX-JP-1はSCP-XXX-JP-1の壁に寄りかかりながらSCP-XXX-JP-3を眺めている]

SCP-XXX-JP-2: [ベルの音] 到着しました、██年█月█日の██中学校4でございます。

D-XXX-JP-1: なんだよ、また違うじゃねぇか! [SCP-XXX-JP-1を蹴る] クソ……俺の中学か?

[1分間沈黙。D-XXX-JP-1は考え込んだ様子でSCP-XXX-JP-3を観察する]

D-XXX-JP-1: そういやぁ、人間の味をしめたのはここだったな。クソ生意気なガキを何人かブン殴ってやったっけか。

[2分間沈黙。D-XXX-JP-1は苛立った様子で貧乏ゆすりをしている]

SCP-XXX-JP-2: 次の場所へ移動しますか?

D-XXX-JP-1: さっさとしやがれ、この [暴言] 。

SCP-XXX-JP-2: 了解しました。

[SCP-XXX-JP-2が操作盤に触れると同時に、SCP-XXX-JP-3が上方向へ流れ始める]

[2分間沈黙。D-XXX-JP-1は苛立ちを露わにしてSCP-XXX-JP-1を蹴った]

SCP-XXX-JP-2: [ベルの音] 到着しました、██年█月█日の████5でございます。

D-XXX-JP-1: なんだよ、いい加減にしろよテメェ! [SCP-XXX-JP-2を殴る。D-XXX-JP-1の拳はSCP-XXX-JP-2の腹部に当たったが、反応はみられない。D-XXX-JP-1はSCP-XXX-JP-2を睨みつけながら舌打ちし、SCP-XXX-JP-3へ目を向ける]

D-XXX-JP-1: ここは……まさか、██ ██6をやった場所か? いやぁ懐かしいな……。

[SCP-XXX-JP-3内のD-XXX-JP-1が被害女性を殴打している。足元には赤黒い血溜まりがある。SCP-XXX-JP-1内からはSCP-XXX-JP-3内のD-XXX-JP-1の背中が邪魔になり、女性が殆ど見えない]

D-XXX-JP-1: おいおいおい、冗談じゃねぇぞ! まさか――

SCP-XXX-JP-2: 次の場所へ移動しますか?

D-XXX-JP-1: 見せろ! ちゃんと見せろッ!

[5秒間沈黙]

D-XXX-JP-1: クッソが、この……テメェ、分かっててやってるだろ……!

[5秒間沈黙]

D-XXX-JP-1: もういい、さっさと終わらせろ。

SCP-XXX-JP-2: 了解しました。

[SCP-XXX-JP-2が操作盤に触れると同時に、SCP-XXX-JP-3が下方向へ流れ始める]

[5分間沈黙。D-XXX-JP-1は指の関節を鳴らしながら呆けている]

SCP-XXX-JP-2: [ベルの音] 到着しました、██年█月█日の████7でございます。

[SCP-XXX-JP-3内のD-XXX-JP-1が、SCP-XXX-JP-1に背中を向けて狭い廊下に立っている。足元には赤い血溜まりがある。被害者はD-XXX-JP-1に遮られて全く見えない]

D-XXX-JP-1: [その場に座り込む] そうじゃねぇんだよ……死んでくところがいいんじゃねぇか……。

[5秒間沈黙]

D-XXX-JP-1: 死体だけ見て楽しいか? ええ?

[1分間沈黙]

D-XXX-JP-1: そういえばお前、殺しの現場は1回もまともに見せなかったよな。

[5秒間沈黙。SCP-XXX-JP-2が拳を握るが、D-XXX-JP-1は気付いていない]

D-XXX-JP-1: さてはアンタ、見たことがあるな。

[10秒間沈黙]

D-XXX-JP-1: まぁその歳まで生きてりゃ、1、2回は棺桶に入ったヤツ見たことあるよな。アンタが人間なら。

[1分30秒間沈黙。SCP-XXX-JP-2は拳を開いた]

[SCP-XXX-JP-1が振動し、SCP-XXX-JP-3が下方向へ流れる]

SCP-XXX-JP-2: 本日は誠に、ご利用ありがとうございました。[蛇腹扉を開ける]

D-XXX-JP-1: ん。

<記録終了> 


映像記録#02


被験者: D-XXX-JP-2

付記: 昇降イベントの流れは映像記録#01と概ね同一である為省略している。内容は以下の通り。
昇降イベント SCP-XXX-JP-3の内容 被験者の反応
1回目 D-XXX-JP-2による3件目の強盗殺人事件の現場。高齢の男性が血を流して倒れており、既に死亡しているように見える。 「あの時もっと上手くやってれば捕まんなかったんだけどな」等と発言。3分後、次の昇降イベントが発生した。
2回目 SCP-███-JPの収容セル。D-XXX-JP-2がうつ伏せの状態で収容セルの床に倒れており、背中に裂傷と広範囲に渡る出血が確認できる。 到着から約5分間沈黙、「死ぬのか、俺」とのみ発言。9分後、次の昇降イベントが発生した。
3回目 D-XXX-JP-2による1件目の強盗殺人事件の現場。被害者となる高齢女性はソファで眠っており、向かい側に設置された薄型テレビがお笑い番組「[削除済]」を映している。 反応なし。3分後、次の昇降イベントが発生した。
4回目 D-XXX-JP-2の実家の子供部屋。プラレールが散乱しており、勉強机の引き出しからテストと思われる紙がはみ出している。赤字で「0」と書いてあるようにみえる。 SCP-XXX-JP-3の光景を見ながら少し微笑む。その後、「まだ来てない未来なんて気にしてもどうにもなんないよな」と発言。6分後、次の昇降イベントが発生した。
5回目 D-XXX-JP-2の出身地に存在していた駄菓子屋。D-XXX-JP-2とD-XXX-JP-2の母親が手を繋ぎ買い物をしている。 到着して十数秒間驚愕した後、SCP-XXX-JP-3に関係する思い出について話した。6分後、次の昇降イベントが発生した。

<記録開始、2017/10/26> 

D-XXX-JP-2: ……いやあ、ありがとう。とても良いものを見させてもらった。ちょっとだけ元気をもらえたよ。

SCP-XXX-JP-2: [8秒間沈黙]

D-XXX-JP-2: なあ、アンタ。1つだけ聞いてもいいかな?

SCP-XXX-JP-2: [3秒間沈黙]

D-XXX-JP-2: ……アンタも、いつか降りないといけないんじゃないか?

SCP-XXX-JP-2: ……え?

D-XXX-JP-2: ホラ、エレベーターは降りるものだろ?だったら、アンタもずっとここにいるんじゃなくて、いつかここから出ていかないといけないんじゃないか?何となくだけどさ。

SCP-XXX-JP-2: [7秒間沈黙]

D-XXX-JP-2: ……何なら、俺が外へ引っ張ってやっても……。

[遮るように、SCP-XXX-JP-2がD-XXX-JP-2をSCP-XXX-JP-1外へと押し出す]

D-XXX-JP-2: ちょっ、オイ!

SCP-XXX-JP-2: 本日は!誠に!ご利用ありがとうございました!

[SCP-XXX-JPが閉まる]

<記録終了> 

終了報告書: 2017/██/██、D-XXX-JP-2はSCP-███-JP収容セルにて死亡した。7回目の本稿の更新時(2018/03/07)まで、#02はSCP-XXX-JP-2が通常の行動パターンを逸脱した唯一の映像記録である。

補遺2-関連が疑われる事件: SCP-XXX-JP-2の顔や声は、東京都██区に住んでいた行方不明者の██ 恵一郎けいいちろう氏(当時32)に酷似しています。恵一郎氏は2012/04/29に██区にて発生した██ 美子よしこ氏(享年27)殺害事件の容疑者であり、美子氏の夫です。警察の捜査によると、当時美子氏は娘である██ 恵美めぐみ氏(享年7)に対して日常的な虐待を行っており、事件発生時は恵美氏の頭を湯を張ったバスタブに強引に沈めていました。帰宅してこれを発見した恵一郎氏は美子氏をバスタブから引きずり出しましたが、美子氏は拘束から脱し台所の包丁で恵一郎氏の殺害を試みました。格闘の末に美子氏の胸部に包丁が刺さり、その後失血死しました。恵美氏もバスタブにて溺死し、恵一郎氏はその場から逃走しました。

恵一郎氏の自宅マンションは、「なかよしひろば」から北東約50mの位置に建設されていました。「なかよしひろば」内に設置された監視カメラの映像には、事件発生から約5分後に同氏がSCP-XXX-JPを通って多目的トイレへ侵入する様子が記録されていました。多目的トイレ内部に恵一郎氏は存在しておらず、現在まで恵一郎氏の行方は判明していません。

補遺3-無力化事案: 2018/██/██、いかなる人物も侵入していないにも関わらずSCP-XXX-JPが閉まりました(インシデントXXX-JP)。約1時間後にSCP-XXX-JPが開いた為警備員が内部を確認したところ、多目的トイレの設備以外は存在しませんでした。その後4回実験が行われ、いずれの実験でもSCP-XXX-JP-1への転移が発生しなかったことから、担当博士によりSCP-XXX-JPの無力化が宣言されました。
以下は、インシデントXXX-JP時に遠隔監視カメラによって記録された映像記録の内容です。

映像記録#03


被験者: SCP-XXX-JP-2

<記録開始> 

[SCP-XXX-JP-2がSCP-XXX-JPと蛇腹扉を閉める]

SCP-XXX-JP-2: [12秒間沈黙後、深呼吸] ……次の目的地は……。

[5秒間沈黙]

SCP-XXX-JP-2: ……どこへでもいい。どこか、私が行くべきところへ。

[SCP-XXX-JP-2が操作盤に触れ、SCP-XXX-JP-3が下方向へ流れ始める。3分間沈黙後、ベルの音が響く]

SCP-XXX-JP-2: ……到着しました、████/██/██、████でございます。

[SCP-XXX-JP-3は映画館であり、スクリーンでは「タイタニック」8が流れている。前方の席に男女と思われる2名が座っており、時折互いを向いて話している。制服は恵一郎氏と美子氏のものに見える]

SCP-XXX-JP-2: [SCP-XXX-JP-3を見つめながら、沈黙]

[3分間沈黙]

SCP-XXX-JP-2: ……次の場所へ移動しますか? [2秒間沈黙] ……了解しました。

[SCP-XXX-JP-2が操作盤に触れ、SCP-XXX-JP-3が上に流れる]

SCP-XXX-JP-2: ……到着しました、████/██/██、██総合病院でございます。

[SCP-XXX-JP-3内のベッドに美子氏が寝ており、左に恵一郎氏が立っている。美子氏は乳児を抱いており、産声をあげる乳児をあやしている]

SCP-XXX-JP-2: ……恵美……。

恵一郎氏: 元気だなあ、恵美。こりゃパパよりやんちゃに育つかもしれない。

美子氏: [笑い声] そうね、私譲りの元気な子になるかも。でも、ほら。目の辺りは恵ちゃんに似てる。

恵一郎氏: ホント?

美子氏: ホントよ。このぱっちりした目、間違いなく恵ちゃん譲りだと思う。

[SCP-XXX-JP-2が手で目を擦る。涙を流しているように見える]

恵一郎氏: ……はは、そっか。そっか……。[笑い声]

美子氏: ホント、キレイな目。良い子になってね、恵美……。

SCP-XXX-JP-2: [呻き声] 何で、何で、こうだったのに……。

[SCP-XXX-JP-3内で、恵一郎氏と恵美氏が微笑む。SCP-XXX-JP-2は床に膝をつき、泣き始める]

SCP-XXX-JP-2: ……次……。[操作盤に触れる]

[SCP-XXX-JP-3が上に流れる]

SCP-XXX-JP-2: ……到着…… [震えながら] 遊園地、トイレ、前……。

[SCP-XXX-JP-3内で、清掃員の服装をした初老の男性が恵美氏に視線を合わせるようにしゃがんでいる。恵一郎氏と美子氏は男性に目線を向けている]

初老の男性: ……だからな、お嬢ちゃん。我慢も大事だが、子供のうちはもっとワガママを言うことだ。子供でいられるのは今のうちなんだから。な?

恵美氏: うん、わかった!おじさんありがと!

美子氏: [小声で] ……せーんだよこの [判別不能] ……。

初老の男性: んー良い返事だ!その意気だぞお嬢ちゃん! [立ち上がり、恵一郎氏に振り返って] ……で、アンタ。最後に、アンタに言っときたいことがある。

恵一郎氏: は、はい。何でしょうか。

初老の男性: アンタ、見えてるか?目の前の現実が。

SCP-XXX-JP-2: [慟哭]

恵一郎氏: 現実……?

初老の男性: ああそうだ。アンタ、ちょっとあんまりにも呆けてやがるから気になったんだ。アンタは一家の長なんだから、もっとしゃんとしろ。お前が目を背けてどうする?お前の奥さんだろ?お前のお嬢ちゃんだろ?それなら、お前が向き合わなきゃいけない。お前にしか救えないんだ。なあ、それだけは胸に刻んどけよ?いいな?

恵一郎氏: は、はあ……。

美子氏: [恵美氏の腕を掴み] ほら、行くよ2人とも!

恵美氏: きゃっ!

恵一郎氏: あっ、ま、待って!

SCP-XXX-JP-2: ……ごめん、ごめんなさい、許してくれ、ああ…… [嗚咽しながら操作盤に触れる、ボタンではないところを6回押している]

[SCP-XXX-JP-3が上へ流れる]

SCP-XXX-JP-2: ……ここは……。

[SCP-XXX-JP-3は恵一郎氏の自宅の台所であり、美子氏が倒れている。美子氏の近くには割れた花瓶と思われる破片が散乱しており、その中心にはキンセンカ9が落ちている。]

SCP-XXX-JP-2: [蛇腹扉を掴んで] 美子!

[5秒間沈黙。SCP-XXX-JP-3に変化はない]

SCP-XXX-JP-2: ああ、美子。何てことを、ああ、私は……。[嗚咽]

[12秒後、物音がしSCP-XXX-JP-2がSCP-XXX-JP-3を見る。26秒後、恵美氏が床を這いながら出現する]

SCP-XXX-JP-2: [驚愕した表情で] 恵美……!?

恵美氏: ……ママ……。

SCP-XXX-JP-2: [蛇腹扉を激しく揺さぶりながら] 恵美!パパだ!ここにいる!ここにいるよ!

[13秒かけて、恵美氏が美子氏の近くまで移動する。恵美氏は美子氏に手を伸ばすが、届かない]

恵美氏: ……ママ……パパ……。[伸ばしていた手から力が抜け、床に倒れる]

SCP-XXX-JP-2: 恵美!

[SCP-XXX-JP-2は激しく蛇腹扉を揺さぶるが、蛇腹扉は開かない]

恵美氏: [小さな声で]……パパ……。

SCP-XXX-JP-2: …!何だい、恵美?

[6秒間沈黙]

恵美氏: ……帰って、きて……。

SCP-XXX-JP-2: [沈黙]

[恵美氏の呼吸が止まったように見える。これ以降、SCP-XXX-JP-3の光景に変化はない]

SCP-XXX-JP-2: [6分13秒間嗚咽。その間、「ごめん」「私は」などと呟く]

[SCP-XXX-JP-2が操作盤に触れ、SCP-XXX-JP-3が上へ流れる。SCP-XXX-JPが出現する]

SCP-XXX-JP-2: [12秒間嗚咽] ……ああ。そうだな。私も、そろそろ、いい加減、お前たちに向き合わなきゃいけない。

[SCP-XXX-JP-2が立ち上がる]

SCP-XXX-JP-2: ずっと、ずっと目をそらし続けてきたが、もう、そんなのは終わりにしないと。今日で、もう、ここから降りないと。

[SCP-XXX-JP-2が操作盤に触れる]

SCP-XXX-JP-2: ……ああ、すまなかった。美子、恵美、2人とも……。

[SCP-XXX-JP-2が操作盤のボタンを押し、蛇腹扉とSCP-XXX-JPを開く]

SCP-XXX-JP-2: ……今、帰るよ。

[SCP-XXX-JP-2がSCP-XXX-JP-1外へと歩いて出ていく。SCP-XXX-JP-2が完全にSCP-XXX-JP-1から出た瞬間、映像が暗転する]

<記録終了> 

終了報告書: インシデントXXX-JP後にSCP-XXX-JPが開いた時、いかなる人間も付近に転移しなかった。SCP-XXX-JP-3に確認された初老の男性の身元は判明していない。

インシデントXXX-JPから13日後、██警察署に恵一郎氏が出頭しました。出頭当時、同氏の外見には逃走時からの差異が見られませんでした。同氏は直後逮捕され、署内に潜入していた財団エージェントによる取り調べが行われましたが、SCP-XXX-JP及びその付随事象に関する一切の記憶が存在していないことが確認されました。勾留中に行われた健康診断の結果にも異常が見られなかったことから同氏はそのまま送検され、同年10/21に懲役11年の実刑判決を受けました。現在、恵一郎氏は██刑務所10に拘留されています。


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トイレ
https://www.photo-ac.com/main/detail/449624?title=%E5%A4%9C%E3%81%AE%E5%85%AC%E8%A1%86%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC

エレベーター(加工済)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%3AElevator-280kg.jpg

the-one-witchthe-one-witchさんとの共著作品