SCP&Tale下書き

SCP下書き「蛙の子は」

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-8107の配膳用エレベーター付き標準人型実体収容房に収容されています。SCP-XXXX-JPの手首にはICリングが取り付けられており、収容房からの脱出を検知します。また、SCP-XXXX-JPの口部には精神影響フィルタリングマスクが取り付けられています。食事は備え付けられた配膳用エレベーターによって行われ、清掃は原則自動ロボットによって行われます。その他の収容手順は人型オブジェクト標準収容手順に従います。

SCP-XXXX-JPによる精神影響を受けない職員は接触担当職員に任命され、SCP-XXXX-JPと直接接触する業務を行います。それ以外の担当職員は、原則SCP-XXXX-JPとの接触が許可されません。現在の接触担当職員はD-81-XXXXです。

説明: SCP-XXXX-JPは身長154 cm、体重65 kgのモンゴロイド女性です。不明な手段によって、周囲の他者へ精神影響を及ぼします。この影響は、映像等の媒体を介しても発生することが判明しています。主な影響は以下の2つです。

  • SCP-XXXX-JPの行動に対しては、自身への問いかけ等を除いて周囲の情動反応が低下します。例として、SCP-XXXX-JPがある人物に暴行した場合、暴行された人物を含めた周囲の人間は、SCP-XXXX-JPの行動を認識しつつも反応しません。
  • SCP-XXXX-JPに何らかの命令や要求をされた人物は、ミーム的処置等で対抗しない限り疑問なくその命令や要求に従います。

SCP-XXXX-JPによる精神影響のうち、命令や要求への従順化は精神影響フィルターによって予防することが可能です。しかし、行動への情動反応の低下は、精神影響への先天的な抵抗以外に対抗手段が確立されていません。

これまでのインタビューでは、SCP-XXXX-JPは同一特性を有する複数個体の存在を証言しています。その真偽の調査も兼ねて、精神影響への先天的な抵抗を有するエージェントらによって該当個体の捜索が行われています。

補遺1: これまでの申請一覧

2019/05/12 ~ 2019/05/18
申請者 内容 合否
SCP-XXXX-JP 収容房からの解放 却下
SCP-XXXX-JP 収容房からの解放 却下
[簡潔のため省略]
SCP-XXXX-JP 高級ワイン 却下
SCP-XXXX-JP 冷たいビール 却下
SCP-XXXX-JP 柿の種 却下
[簡潔のため省略]
SCP-XXXX-JP テレビ 却下
SCP-XXXX-JP 肩揉み 却下
SCP-XXXX-JP ワンカップ大関 却下
SCP-XXXX-JP 煙草 却下
2019/05/19 ~ 2019/05/25
申請者 内容 合否
D-81-XXXX 収容房への入室 承認
D-81-XXXX SCP-XXXX-JPへのインタビュー SCP-XXXX-JPの抵抗
D-81-XXXX 自身による収容房の片付け 承認
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXによるビールの持ち込み 却下
D-81-XXXX 収容房からの退室 承認
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXによる肩揉み 却下
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXとの会話 却下
SCP-XXXX-JP ビール 却下
[簡潔のため省略]
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXの収容房への入室 承認
D-81-XXXX SCP-XXXX-JPへのインタビュー 承認
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXによる肩揉み D-81-XXXXの許可
D-81-XXXX 収容房からの退室 承認
D-81-XXXX 自身の傷への手当て 承認
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXへの叱責 却下
SCP-XXXX-JP 自身への「お母さん」という呼称 D-81-XXXXの拒否
[簡潔のため省略]
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXの収容房への入室 D-81-XXXXの拒否
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXの収容房への入室 D-81-XXXXの拒否
大友博士 D-81-XXXXの収容房への入室 D-81-XXXXの拒否
[簡潔のため省略]
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXの収容房への入室 D-81-XXXXの拒否
D-81-XXXX ナイフ 承認
SCP-XXXX-JP D-81-XXXXの収容房への入室 D-81-XXXXの許可
D-81-XXXX ゴミ袋 承認
D-81-XXXX 収容房からの退室 承認
D-81-XXXX ナイフの私的な所有 承認
[簡潔のため省略]
D-81-XXXX 乾いたハンカチ 承認
[簡潔のため省略]
D-81-XXXX 収容房への入室及びナイフの持ち込み 承認
D-81-XXXX 1時間後の収容房の清掃 承認

想定タグ: euclid scp-jp 人間型 伝染性 反ミーム 精神影響


SCP下書き「お前は?」

monkey.png

図1.1: カメラを向けられて顔を隠すSCP-XXXX-JP。

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

アーカイブ済特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-8102の標準人型実体収容ユニットに収容されます。5日 3日に1度、SCP-XXXX-JPに人間を模した玩具を与えてください。

説明: SCP-XXXX-JPはチンパンジー(Pan troglodytes)に類似した、ソフトビニル製の皮膚を有する実体です。CTスキャンの結果、体内には綿と思われる物体が詰まっていることが判明しています。SCP-XXXX-JPは、後述の遊戯イベント以外では非異常性のチンパンジーの行動パターンとほぼ同様の行動を取ります。

遊戯イベントは、人間を模した玩具にSCP-XXXX-JPが物理的に接触することで開始されます。この玩具(SCP-XXXX-JP-αに指定)はSCP-XXXX-JPに接触されると自律的な行動が可能になり、これまで確認されている全ての事例において初期段階ではSCP-XXXX-JPに友好的な態度を示します。SCP-XXXX-JPは、SCP-XXXX-JP-αを投げる・床に叩きつけるといった暴力的な行為に及びます。最終的に、SCP-XXXX-JP-αは大きく破損し活動を停止します。この時点で遊戯イベントは終了し、SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-αに興味を示さなくなります。

遊戯イベントが1週間以上発生していない場合、SCP-XXXX-JPは周囲に対し暴力的な態度を取ります。この態度は、SCP-XXXX-JPに人間を模した玩具を与え遊戯イベントを開始させることで沈静化します。

実験記録XXXX-JPより抜粋

#01

玩具: 毛糸で編まれた人形。

SCP-XXXX-JP-α: 自律的に立ち上がり歩行する人形。表情に変化はない。

遊戯の内容: SCP-XXXX-JP-αの首を掴み、振り回す、床や壁に叩きつける等。この時、周辺にいた職員は泣き声が聞こえたと証言した。


#03

玩具: スーパーマンを象った塩化ビニル製フィギュア。

SCP-XXXX-JP-α: コミックやカートゥーンにおけるスーパーマンの振る舞いを模倣した行動をとる人形。表情に変化はなし。

遊戯の内容: SCP-XXXX-JP-αを踏み潰す、蹴り飛ばす等。SCP-XXXX-JP-αは飛翔してSCP-XXXX-JPに向かったものの、SCP-XXXX-JPはこれを手で受け止め壁に叩きつけた。


玩具: リカちゃんとして販売されている着せ替え人形の、浴衣を着用したバージョン。

SCP-XXXX-JP-α: 女性的に振る舞う人形。表情に変化あり。

遊戯の内容: [削除済]

付記: 女児向けの人形には、基本的に同様内容の遊戯を行うことが確認されている。

補遺1: 2019/03/24、前回の遊戯イベントから4日後、SCP-XXXX-JPが突如暴れ始めました。この暴走はSCP-XXXX-JPに玩具を与えることで収束しました。この事案を受け、SCP-XXXX-JPに玩具を与える頻度が5日ごとから3日ごとに変更されました。

補遺2: 2019/04/30、前回の遊戯イベントから3日後、SCP-XXXX-JPが突如暴れ始めました。この時、規定された遊戯イベントの定刻から1分が過ぎていました。SCP-XXXX-JPは自身を殴る、自身の頭を収容チャンバーの壁に叩きつける等の行為に及びました。玩具を与えても反応はなく、この暴走が沈静化することはありませんでした。SCP-XXXX-JPの鎮静化の為に収容チャンバーへ機動部隊が進入しましたが、SCP-XXXX-JPの激しい抵抗によって拘束は失敗しました。最終的に、SCP-XXXX-JPは自身の首を引きちぎった後に活動を停止しました。


画像 - SCP-XXXX-JP
作者: Petr Kratochvil
ライセンス: CC0 Public Domain


SCP下書き「転回動物園」

rating: 0+x
Fifth_Zoo.png

Fig 1.1: 営業当時のSCP-XXXX-JP。

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: カバーストーリー"建設予定地"の流布の下で、SCP-XXXX-JPの全敷地は高さ約4 mの鉄柵で囲われており、一般人による侵入が阻止されています。12名の警備員が、鉄柵を均等に囲む形で付近の警備を行っています。SCP-XXXX-JPへの人員投入は現在一時的に停止されており、許可なき侵入者は確保或いは終了されます。

Inside.png

Fig 1.2: SCP-XXXX-JP-1の予想される上面図。各通路に番号が振られている。

説明: SCP-XXXX-JPはアメリカ合衆国アイオワ州に存在する、資産家のサムソン・ミラー(Samson Miller)1氏が所有・経営していた動物園の跡地です。当該動物園は氏の失踪によって廃業しており、飼育されていた動物は別の施設へ移送されましたが、施設は解体されずに放置されています。外部からは、現地の植物が繁茂している施設が確認できます。

SCP-XXXX-JPの敷地内に進入した人物(進入者と呼称)は、その装着物と共に消失します。消失後のGPS信号はSCP-XXXX-JP内の座標を示すものの、進入者は"あつとだおび(Atsthdaobi)"という看板が取り付けられた、コンクリート製と思われる施設(SCP-XXXX-JP-1に指定)へと到達します。この時点で進入者がSCP-XXXX-JP-1から離れると消失した地点に再出現しますが、SCP-XXXX-JP-1から如何なる物体も持ち帰ることはできません。

進入時の時刻や気象によらず、進入直後SCP-XXXX-JP-1の存在する場所では後方から太陽が昇り始めており、SCP-XXXX-JP-1内まで霧が充満しています。太陽は通常よりも速く進み、約30分で天頂に到達、約1時間で西の空に沈みます。進入後、進入者の四肢及び頚部は徐々に細くなりながら伸びていきます。また、胴体は徐々に細く短く変形していきます。この時進入者は苦痛を訴えますが、変形による身体的不調は確認されません。SCP-XXXX-JP-1で観測される太陽が完全に沈むと、SCP-XXXX-JP-1に存在するあらゆる通信機器との通信が途絶え、GPS信号も確認できなくなります。

SCP-XXXX-JP-1は室内型の動物園のような形態であり、天井部は全域に渡って透明なガラスのような物体で造られています。入り口を抜けると、革製の椅子が複数設置され、サバンナを模していると思われる壁紙の張られた大部屋が存在します。この大部屋には入り口から見て右方向に通路が延びています。進入した時点で、室内にはスピーカーから流れているような音質の音声が流れ始めます。分析の結果は、この音声とミラー氏の声が高い確率で同一であることを示しました。以下はその内容です。

あつとだおび2園へようこそ!私はあなたのガイドです。今日は、ここにいるたくさんの仲間たちをご紹介しましょう!さあ、"i"を感じてください!

通路の側面には、1~3つの小部屋が存在します。小部屋付近の壁には、番号が刻まれたプラカードが取り付けられています。小部屋内は各番号に対応した内容の展示がなされており、中には人型実体が存在するものも存在しています。小部屋と通路は透明な壁で区切られており、この壁は高い破壊耐性を有するため、小部屋内部へと侵入できた事例は存在しません。進入者が各小部屋に接近すると、ミラー氏のものと思われる音声によって小部屋に対応したアナウンスが流されます(補遺XXXX-JP.1を参照)。小部屋の位置や内容は進入する度に変化していますが、全ての小部屋はそれぞれ同じ通路でのみ確認されています。

補遺XXXX-JP.1: 確認された小部屋の抜粋

通路1:

プラカードの番号: 013

内容: コンクリート製の部屋のように見える。内部の床には1組の男女に見える人型実体が倒れており、呻き声をあげながら這い回っている。これまでに記録された全ての映像において、実体は小部屋の外に対し反応を示していない。

音声:

幼少期に体験したことは、その人の人格形成に大きな作用をもたらします — 三つ子の魂百まで(The child is the father to the man)という諺があるように。

ヘラクレスは偉大な英雄として語り継がれていますが、実は発狂して妻やその子供を殺したことがあります。ゼウスとアルクメーネーは偉大な人々でしたが、残念ながらその子供が偉大に育ったとは言い切れないでしょう。しかし、繰り返しますが、ゼウスが偉大であることに変わりはありません。偉大なる両親に歓迎の拍手を![拍手]

通路2:

プラカードの番号: 033

内容: 窓のある鉄製の部屋のように見える。内部には4つのクッション椅子が設置されている。窓は黒く、その向こう側を確認することはできない。

音声:

何故人は過ちを犯すのでしょうか?いいえ、過ちを犯したというのは誤りです。正しくは、周りが過ちを犯させたのです。我々はそのことを深く反省し、後に活かさなければなりません。

それにしても、哀れなことです。そこに、私は奇妙な親近感を覚えずにはいられません。どうか、冥福あれ。

プラカードの番号: 067

内容: 大理石でできた部屋のように見える。内部には、2つの教皇御輿3と、そのうち左に座っている人型実体が確認できる。当該実体は座ったまま動かず、眠っているように見える。

音声:

ローマ-カトリック教会における最高権力者である教皇は、コンクラーヴェという独自の選挙で選出されます。その時、大聖堂は白、或いは黒の煙を吐き出すのです。

世の中には幾つもの方法論があります。やがて、その川は下流へと月の欠片を運んでくることでしょう。無償の愛の美しさが伝わってきますね。

通路3:

プラカードの番号: 165

内容: 大理石製の部屋のように見える。内部の床には穴が空いており、そこには赤黒い液体が貯まっている。液面には星空が映し出されているように見える。

音声:

消化酵素というものは、基本的にはあらゆるものを消化してしまうのではなく、特定の物質に作用して消化を行います。例えば、唾液に含まれるアミラーゼはデンプンを加水分解することで消化し、タンパク質等には何も影響を及ぼしません。ではタンパク質は何に消化されるかというと、胃液に含まれるペプシンなんですね。

要らぬものを捧げ、美しい星空が形作られました。あなたは見るだけで満足していますか?

プラカードの番号: 212

内容: 大理石製の部屋のように見える。内部からは歌声が響いており、聖歌「いつくしみ深き」を歌っているように聞こえる。内部の大理石の一部は液状に融けだしているような形状である。

音声:

愛、というのは、宗教においても哲学においても重要なテーマの1つです。古代ギリシャでは、愛をエロス、フィリア、アガペー、ストルゲーの4つに分類していました。ですが、それだけでは言い表すことのできない愛もまた存在します。

彼らはあなたや私のこともまた愛しています。ですが、あなたは彼らのことを愛していますか?

通路4:

プラカードの番号: 559

内容: 20~40体程度積み重なった人型実体。実体からの多量の出血が確認できる。全実体が動いておらず、死体のように見える。

音声:

東アジアにおいて、仏は夢を通して現れることがあるとされています。それは直接的な指示を出し、民衆をより良い方向へと導くと言われます。その為、この夢に解釈は必要ありません。

5人目の仏はあなたを理解しています。5人目の仏はあなたを見ています。あなたは穴の奥に隙間を見つけるでしょう。切れた先端の隙間を。それが私であり、あなたです。

プラカードの番号: 035

内容: 室内の様子は、認知症や解離性同一性障害等の発症を引き起こす認識災害として認められた。描写は保留されている。

音声:

王子は怒ります。王子は悲しみます。すすり泣く声は汽笛のようなファルセットです。憎しみと嘆きのオペラを流す周波数帯域は過疎化が進み、まるでお兄さんの民のような人々を寄せ集めています。

暗闇を恐れましょう。太陽は星々を消し去るのではなく、暗闇からそれを守る王様なのです。飛び散ることもまた、星を星たらしめる運命であることは、あまり知られていません。

補遺XXXX-JP.2: 探査XXXX-JP-03

2015/05/25、SCP-XXXX-JPへの3回目の探査(探査XXXX-JP-03に指定)が実施されました。以下は、この時記録された映像記録の書き起こしです。

投入人員: D-97544

通信担当: エスター・ウォード(Esther Ward)博士


<記録開始>

[D-97544は通路4を抜け、5つ目の大部屋に進入する。一度映像が天井を映すと、太陽が沈み始めていることが確認できる。]

D-97544: ここは……最初の大部屋の筈では?

ウォード博士: 先ほど確認したように床も傾いていませんし、GPSの位置情報も最初の部屋と完全に一致していますから、本来であればここはあなたが最初に進入した部屋の筈です。となると、SCP-XXXX-JP-1は線形空間ではないのかもしれません。

D-97544: ……とにかく、急ぎます。身体がもう自分のもののように思えなくなってきているし、日もだいぶ暮れてきたので。

[映像が、通路1と同様の位置情報を示す未知の通路へと進入していく。内部は薄暗く、光源不明の緑色の光が床を照らしている。]

D-97544: ……何やら甘い香りがします。なんというか、鼻を包むような、甘い香りが。

ウォード博士: その香りは今までしていなかったものですか?

D-97544: はい、そうで……。

[D-97544が話している途中、音声が挿入される。]

音声: ところで、1つ質問します。あなたは動物ですか?

D-97544: 私?……私は、人間です。

ウォード博士: 音声に反応しないでください、D-97544。

[2分後、映像に小部屋が映る。プラカードの番号は055である。小部屋内では、12~14体程度の人型実体が倒れている。その着衣には財団で支給されている白衣等が散見されるが、全実体の顔は財団データベースに記録された職員データと一致しなかった。実体たちはサバイバルナイフと思われるものを手に持っており、自身の肉体を執拗に傷つけている。]

音声: 多くの人たちは、カラスが白かったという歴史を信じてはいません。しかし、やがて日が経てば、人々は暗い夜に星の輝きを見ることでしょう。10進法は、人間に手の指が5本あって、それが2組あるということから生まれました。しかし、中にはこうして、数の基本が5であるということを忘れてしまった人もいます。これは、あまりにも皮肉的です。

D-97544: いや、星を見上げるのは首が痛いです。それに、太陽を直視すると目が焼けます。

ウォード博士: なに……D-97544?どうしましたか?

[D-97544は返答せず、そのまま通路の奥へと進む。]

ウォード博士: D-97544?聞こえますか?

[返答がないまま、映像に別の小部屋が映る。プラカードの番号は125である。内部は他の小部屋より曇っており詳細を確認できないものの、赤黒い何かが5つ程度蠢いているように見える。]

音声: 人類の歴史の中では、時としてあまりにも正しいことを転回する動きが起こります。しかし、それは同時に正しいことをより正しくしてくれる、人間社会の炎の間際のようなものでもあります。この動きの中で、すらふと4人を乗せた大きな船が発っていくのです。目を閉じれば、瞼の裏には果てしなく広がる星空があることでしょう。……いいえ、これは比喩表現ではありませんよ。

D-97544: 星々のようになりたいのではなく、星になりたいんです。……はい、穴の向こうには何もありませんでした。何もないことがありました(There is that nothing exists)。甘い香りはピンク色をしていました。はい。私は存在を許されていません。

ウォード博士: これを最後の問いかけとします。D-97544、聞こえているのであれば返答をお願いします。

[D-97544はウォード博士の問いかけに反応しない。この時点でD-97544は喪失したものと見なされ、博士側からの音声送信が遮断される。通路奥へと進むにつれ、映像に映る光が徐々にピンク色に変化する。3分後、映像に未知の大部屋が映る。]

音声: さあ、4と6の間を揺らめく正弦波となりましょう。550ナノメートルの旅に出て、減算の空虚に思いを馳せましょう。お待たせしました、間もなく"i"に到着します。

D-97544: あさんて・むるとぅび・第五5

[D-97544はカメラを床に置き、映像奥へと進む。30秒後、映像奥から強烈なピンク色の光が発生し、D-97544の細長い五芒星のようなシルエットが映し出される。ウォード博士を含む、この画面を見た全ての人物はオーハイ症候群を発症した。2秒後、映像が途絶する。]

<記録終了>

探査XXXX-JP-03の直後、イスラエルにて"5番目の男(The Fifth Man)"と称するユダヤ教系の新興宗教が結成されました。この構成員の多くが第五主義者であることが確認されています。探査XXXX-JP-03と"5番目の男"との関連性は立証されていないものの、更なる予想外の事象が発生する恐れから、担当博士によってこれ以上の人員投入が停止されました。再開は現在協議中です。


画像1 - SCP-XXXX-JP
作者: w:en:User:Pearle
ライセンス: CC BY-SA 3.0


画像2 - サムソン・ミラー氏
作者: Fredrik Tersmeden
ライセンス: CC BY-SA 2.5


まどろみの向こうには

著者 ©︎mikaduki003_cat(wikidotアカウント削除済), KanKanKanKan
ALPHA-LE.png

図1 SCP-XXXX-JP-αに類似する印相「触地印」。


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図2 SCP-XXXX-JP-βに類似する印相「来迎印」。

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Keter

脅威レベル:

特別収容プロトコル: あらゆる情報媒体から、SCP-XXXX-JPに関する情報は削除される必要があります。インターネット上は財団が作製したbotが走査しており、SCP-XXXX-JPに関連すると思われるページを全てフラグ付けします。情報削除の際、関係者にはクラスA/B記憶処理が施されます。

SCP-XXXX-JP-αの不用意な生成を防ぐ為、内容の閲覧は担当職員とセキュリティクリアランスレベル 3以上 5職員にのみ許可されます。 昏睡した生成者は一時的に財団管理下の病棟へと入院させられます。 インシデントXXXX-JP類似事案の発生を予防する為、SCP-XXXX-JP-αの生成者は原則終了、或いは記憶処理されます。

SCP-XXXX-JP-βの内容はセキュリティクリアランスレベル3以上職員にのみ開示されます。該当する職員には、実験や探査、及び何らかの事案の解決に有効な場合にSCP-XXXX-JP-βを生成することが許可されます。

説明: SCP-XXXX-JPはキネトグリフ6の一種である、SCP-XXXX-JP-αとSCP-XXXX-JP-βの総称です。仏教における仏・菩薩・諸尊の内証7を標示する手や指の形である印相を、人体構造上困難な形へと変化させたものです。SCP-XXXX-JP-αは、誘惑や障害に負けずに真理を求める強い心を象徴する「触地印」を、SCP-XXXX-JP-βは、信者の臨終に際して阿弥陀如来が西方極楽浄土から迎えに来る時の「来迎印」をそれぞれ変形したものとして定義されます。その特徴として、SCP-XXXX-JPの生成は約1ヶ月~3ヶ月程度の訓練を行わなければ非常に困難であることが判明しています。

SCP-XXXX-JP-αを生成した人物は即座に昏睡し、非異常性の夢を経験します。入眠した生成者は深昏睡状態(JCS3008)であり、如何なる外的刺激を受けても覚醒しません。覚醒した事例のうち約48%において、SCP-XXXX-JP-αの生成者は夢の中で何らかの強い衝撃を受けたと証言しています。また、約67%の覚醒した生成者の証言の中では、夢の中でSCP-XXXX-JP-αを生成した結果新しい夢を経験したという事象が複数回繰り返されています。

SCP-XXXX-JP-βの生成は現実では影響を及ぼしませんが、夢の中でSCP-XXXX-JP-βを生成した人物は即座に覚醒したと報告しています。また、SCP-XXXX-JP-βの内容を知った後に、オブジェクトによるものを含めた要因で意識不明状態に陥った職員のうち、約38%は覚醒して「SCP-XXXX-JP-βを生成した直後覚醒した」と証言しています。このことから、SCP-XXXX-JP-βは異常であるか否かを問わず、入眠/意識喪失からの覚醒に高い効果を示すと推測されています。

複数の夢を経験したSCP-XXXX-JP-αの生成者は、SCP-XXXX-JP-βを生成した直後には覚醒せず、1つ前の夢の内容をもう一度経験したと証言しています。SCP-XXXX-JP-βの生成の後に覚醒したSCP-XXXX-JP-αの生成者は、共通して「最初に経験した夢においてSCP-XXXX-JP-βを生成したら覚醒した」と証言しています。このことから、夢の中でSCP-XXXX-JP-αを生成した場合、生成者は夢中夢を経験するのではないかという仮説が複数の研究者によって立てられています。現在、一連の仮説の検証が進められています(補遺XXXX-JP.2を参照)。

補遺XXXX-JP.1: 研究

ファウンデーション・コレクティブ9との合同調査の結果、SCP-XXXX-JPについて以下の事実が判明しています。

  • 夢界でSCP-XXXX-JP-αを生成した場合、生成者は夢界で昏睡する。
  • 夢界内のSCP-XXXX-JP-α生成者に強い衝撃を与えると、生成者は覚醒する。ただし、夢界で昏睡している場合は効果がない。
  • 他者の夢界に移動することができる場合、SCP-XXXX-JP-αを生成した人物は問題なく別の夢界への移動が可能である。これは、2回以上SCP-XXXX-JP-αを生成して移動した夢界でも同様である。
  • 2回以上SCP-XXXX-JP-αを生成して経験した夢の内容は、覚醒するごとに記憶から脱落していく。経験するのに要したSCP-XXXX-JP-α生成の回数が多いほど記憶を保つことは困難である。
  • SCP-XXXX-JP-αによって昏睡した場合、現実世界の肉体が死亡/喪失した場合も、生成者は問題なく夢界での存在を保つ。ただし、SCP-XXXX-JP-β等の強制覚醒手段の効果は得られなくなる。

これらの特異性から、SCP-XXXX-JPを夢界への緊急避難手段として利用するナラカ計画が立案されました。ナラカ計画の内容が確定し、O5評議会員の過半数による賛成を得られ次第、SCP-XXXX-JPはThaumielクラスオブジェクトに分類される予定です。

補遺XXXX-JP.2: SCP-XXXX-JP生成実験ログ

Dream-In-Dream.png

図3 D-36411が水彩画によって表現した夢の内容。

2014/05/29、SCP-XXXX-JP-αによって経験可能な夢の回数、及びSCP-XXXX-JP-βによって復帰可能な夢の回数を調べるべく、以下の手順でのSCP-XXXX-JP生成実験が実施されました。

  1. 3名のDクラス職員を被験者として用意し、SCP-XXXX-JPの内容を各々に伝え、生成可能な状態になるよう訓練させる。
  2. 3名とも正確にSCP-XXXX-JPを生成できるようになった段階で、サイト-81██の併設病棟にて「限界までSCP-XXXX-JP-αを生成して昏睡し続け、限界だと思ったらSCP-XXXX-JP-βを生成し続けて覚醒する」ように指示する。
  3. 被験者が昏睡したら、併設病棟の生命維持設備を被験者全員に使用する。

以下は、2014/09/01現在における当該実験の結果です。

被験者 証言による夢の回数 実験後
D-34907(男性) 約1500回 35日後に覚醒し、「終わらないこと」への激しい恐怖を訴えるようになった。クラスB記憶処理により治療された為、異常な精神影響によるものではないと思われる。
D-36411(女性) 約3000~4000回 78日後に覚醒し、「近づいている気がした」「天空の向こうへワープしていた」等と証言した。詳細はインタビューログXXX-JP.1を参照。
D-37707(男性) N/A 本稿執筆時点では覚醒していない 補遺XXXX-JP.3を参照。

インタビューログXXXX-JP.1


対象: D-36411

インタビュアー: 内海研究員


<録音開始>

内海研究員: ……それで、「天空の向こう」とはどういった意味なのでしょうか。

D-36411: わかりません。ただ、繰り返し繰り返し眠り続け、夢、夢の夢、夢の夢の夢と降り続ける中で——本当になんとなくではありますが——終わらない絶望に希望が見えてきたように感じたんです。34907はあの光を感じられなかったみたいですが、私には見えました。上が。

内海研究員: 上、ですか。

D-36411: はい。[インタビュー室の天井を指して]あそこ。

内海研究員: [D-36411の指した場所を向いて]……そこに、「天空の向こう」があると?

D-36411: はい。私は、むしろ海中深くにいましたが。

<録音終了>


終了報告書: D-36411にはクラスB記憶処理を施した。以降、「天空の向こう」等の発言は確認されていない。

補遺XXXX-JP.3: インシデントXXXX-JP

Bosatsu.png

図4 インシデントXXXX-JP当時の写真。画像中央の白点が人型実体であり、周辺空間は現実改変の影響からか発光している。

2016/04/12、サイト-81██上空に人型実体が出現しました(インシデントXXXX-JP)。当該実体はサイト-81██の現実改変を開始し、出現から30分でサイト-81██の全人員の脳を改変、阿弥陀仏への帰依を中心とする未知の信仰を植え付けて支配下に置きました。その1時間後、財団の対空砲による3発の砲撃を受け、当該実体は消失しました。この時、当該実体は砲撃をかわす/自身を防御する様子を見せませんでした。被害を受けた施設は修復されましたが、被害を受けた職員の信仰を除去するための、記憶処理等の試みはいずれも成功しませんでした。

2018/10/24、SCP-XXXX-JP生成実験の被験者であるD-37707が覚醒しました。その後実施されたインタビューにおいて、D-37707はインシデントXXXX-JPの内容に言及しました。以下はその内容です。

インタビューログXXXX-JP.2


対象: D-37707

インタビュアー: 敷波博士


<録音開始>

敷波博士: ……ええと、その、もう一度聞かせてほしい。

D-37707: はい。何度でもお答え致します。

敷波博士: あー、まず、D-37707。君は、SCP-XXXX-JP-αを何回生成した?

D-37707: 申し訳ございませんが、まだまだ修行中の身である私には、夢を数えきることはできませんでした。

敷波博士: つまり、数えきれないほど……ということだったな?

D-37707: はい、その通りにございます。

敷波博士: うむ。……それで、次は「眠っている間何か特殊な出来事を経験しなかったか?」という質問だった筈だ。

D-37707: ええ、そして、私は極楽浄土と阿弥陀如来、及び私の降臨についてお話ししました。

敷波博士: そう、その「降臨」だ、私が混乱しているのは。君は、どこか財団の施設の上空に現れたと言ったな?

D-37707: はい。私は、皆様が見た「菩薩」でございました。サイト-81██の雲の上から降りて、現世(うつしよ)を動かし、衆生を教化(きょうけ)して回りました。そして、皆様の放ったマントラの砲弾を受けて浄土へ戻り、来仰の印相を結んでこちらにお戻りした次第でございます。

敷波博士: つまり……君があの現実改変実体だったと?

D-37707: その通り。私こそ十信の、名も無き菩薩にございます。移ろうこと無き浄土にて、阿弥陀如来の託宣がままに動く者。

敷波博士: ……わかった。一先ず、今回のインタビューはこれで切り上げることとする。

<録音終了>


終了報告書: この後2回のインタビューが行われたが、有力な情報は得られなかった。D-37707への終了措置は問題なく行われた。

この事案を受けてSCP-XXXX-JPの特別収容プロトコルは改定され、オブジェクトクラスはEuclidからKeterに、脅威レベルは青から赤に再分類されました。

インシデントXXXX-JPの結果は、SCP-XXXX-JP-αを生成した人物が致命的な現実改変能力者となる可能性を示唆しています。これを受け、SCP-XXXX-JP-αの生成実験は無期限に禁止されました。現在、長期間に渡りミルグラム従順性試験で90%以上のポイントを維持している職員にSCP-XXXX-JP-αを繰り返し生成させ、インシデントXXXX-JPを再現する実験が敷波博士によって複数回申請されています。しかし、日本支部理事会は一度もこれを承認していません。


画像1 - SCP-XXXX-JP-αに似た印相
作者: Rama
ライセンス: CC BY-SA 2.0 fr


画像2 - SCP-XXXX-JP-βに似た印相
作者: Sandunruki
ライセンス: CC BY-SA 3.0


画像3 - Dクラスの水彩画
作者: @sayoneko2525
ライセンス: CC BY-SA 3.0


画像4 - 人型実体
作者: The National Archives UK
ライセンス: 無制限

mikaduki003_catさんの「まどろみの底へ」を元に改稿/執筆した作品です。


SCP下書き「白光する雫が落ちて」

rating: 0+x
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活性時のSCP-XXXX-JP(認識災害フィルタリング済)

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはエリア-8173の鉄製収容ユニットに収容されています。エリア-8173内、及びその付近3 kmの全職員は、スクランブル・バイザー・ユニット10を起動させた状態で装備しなければなりません。

SCP-XXXX-JPの活性化から3週間後、収容ユニットXXXX-JP周辺に建設された天井がガラス張りの宿舎に、Dクラス職員20名が移送されます。この宿舎内ではスクラントン現実錨が起動されており、内部の現実性強度は2.0 Hmに保たれています。SCP-XXXX-JPの活性化によって発生したSCP-XXXX-JP-βは、宿舎内に設置された天井がガラス張りでない待機室にて待機している、機動部隊あ-13「雨宿り」が終了します。残存する全てのDクラス職員は、精神状態等を考慮した上で継続して宿舎に居住させるか別の業務に割り当てます。

SCP-XXXX-JPがエリア-8173外に移動した場合、エリア-8173に常駐する機動部隊あ-12「窮鼠」が出動し、上空1200 mを飛行するヘリコプター及び偽装車両によってSCP-XXXX-JPを追跡します。機動部隊あ-12は、目撃者へのカバーストーリーの流布、記憶処理、及びSCP-XXXX-JP-βの終了の任務を負います。

Preach-Like-a-Lullaby.jpg

不活性時のSCP-XXXX-JP

説明: SCP-XXXX-JPは高さ約760cmの木製の勢至菩薩11立像です。放射性炭素年代測定の結果から、平安時代後期に製作されたと思われます。異常な物理的耐性は有しておらず、内部は空洞です。CTスキャンによる非破壊検査の結果、SCP-XXXX-JPの腹部内部には20代程度の男性(SCP-XXXX-JP-αに指定)が存在していることが判明しています。SCP-XXXX-JP-αの内部現実性強度は約30.9 Hmであり、常に深昏睡状態(JCS30012)です。

SCP-XXXX-JPは26日~34日の周期で活性化します。活性時、SCP-XXXX-JPの全体は白色光を帯び、浮遊し始めます。この時、SCP-XXXX-JPはあらゆる物体を透過するようになります。活性化直後、SCP-XXXX-JPは上空600 m~900 mを浮遊しながら、時速200 kmで最も近い人口密集地への移動を開始します。目的地点に到着すると、SCP-XXXX-JPは両手を来迎印13に変型させ、直後地上に向けて白色光線を7~16本発射します。この時、白色光線はSCP-XXXX-JPに近い人物に向けて発射されます。30秒程度発射した後、SCP-XXXX-JPは活性化した時点で存在していた地点へと時速200 kmで移動し、到着すると白色光は消滅し不活性化します。

直接的/間接的問わず、SCP-XXXX-JPが発する白色光を視認した人物(SCP-XXXX-JP-βに指定)は即座に入眠し、深昏睡状態(JCS300)に陥ります。入眠から3日~5日後、SCP-XXXX-JP-βは覚醒し現実改変能力(1.0/1.9 Hm)を獲得します。この時、全てのSCP-XXXX-JP-βは阿弥陀如来の殺害を目的とする未知の信仰を獲得します。この信仰はクラスD記憶処理によって除去が可能ですが、SCP-XXXX-JP-β自身の現実改変による抵抗により失敗する場合があります。

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行軍するSCP-XXXX-JP-β群(認識災害フィルタリング済)

補遺XXXX-JP.1: 収容経緯

記録上では、SCP-XXXX-JPは1600年代より京都府の知恩院によって管理されていました。知恩院の伝承によると、SCP-XXXX-JPは空から知恩院に降臨し、住職に対し自らを封印するよう夢告を行ったとされています。これらの伝承の真偽は不明です。

蒐集院の記録によると、太平洋戦争末期、SCP-XXXX-JPは突如浮遊して知恩院から離れ、20回~30回に渡って白色光線の発射を行いました。これにより、約3000体のSCP-XXXX-JP-βが出現、組織化された状態で京都府に集合しました。その後、SCP-XXXX-JP-β群は蒐集院の主要施設を襲撃し、大規模な戦闘が開始されました。このSCP-XXXX-JP-β群は「浄土兵団」を自称していました。当初はSCP-XXXX-JP-β群が優勢だったものの、日本国が敗戦し財団が蒐集院を吸収する過程で派遣された対現実改変者部隊によって鎮圧されました。SCP-XXXX-JPは付近の山にて不活性状態にあるところを回収され、現在のエリア-8173に収容されました。

インタビューログXXXX-JP.1


対象: 西城さいじょう孝雅たかまさ旧上級秘儀官

インタビュアー: ジョージ・ゴールドスミス博士


<記録開始>

ゴールドスミス博士: ……では、SCP-XXXX-JP-β群に遭遇した時のことについてお聞かせください。

西城旧上級秘儀官: はい。ご存じかとは思いますが、当時、蒐集院は戦火の中で蒐集物を守ることに尽力しておりました。蒐集物の大半を京都に擁しておりますから、京都だけはどんな努力をしてでも守護せねばと。その流れで上級神祇官様のご命令を受け、我々秘儀官は京都の西陣にて待機しておりました。その中で、あの浄土兵団が突如として襲い掛かってきたのです。

ゴールドスミス博士: SCP-XXXX-JP-β群は、確か一般市民が大半でしたね?

西城旧上級秘儀官: はい。兵士も大勢おりましたが、その殆どは京都に住まう民草でございました。そのせいで、我々が攻撃に気づいた時、はじめは彼らがそれをやっているとは気づきませんでした。ですが、それでも敵は彼らだったのです。そのことに気づくまでに、結界は大きく損傷しました。

ゴールドスミス博士: その攻撃はどのようなものでしたか?

西城旧上級秘儀官: それはもう、まさに御仏の御業でございました。空の雲は歪みうねり、炎の矢が放たれ、天上に咲く蓮の花の花びらがひらひらと舞い降りてこの身を溶かしました。我々は結界を張り、秘儀で以て必死に彼らの猛攻を防ぎましたが、それも天人たちが雲から現れた頃には限界に達しました。私と共に戦っていた秘儀官たちは、一人、また一人と倒れ、瞬時に起き上がって浄土兵団の側に付きました。あの時の混乱は、何とも筆舌に尽くし難い程でした。

ゴールドスミス博士: なるほど。それでも、あなた方は京都の町を守ったのですね?

西城旧上級秘儀官: はい。他の秘儀官たちが大急ぎで簡単な結界を張り、それが破られては張り、を繰り返したこと、加えて、蒐集院の持てる全てで以て彼らに立ち向かったことが功を奏したのでしょう。ともかく、戦争が終わる頃まで、我々は何とか京都の町を守り続けました。あなた方財団の皆様がいらっしゃったのはその頃です。……正直、あと少しでも米国の勝利が遅れていたら、我々は奴らに敗北していたでしょう。皮肉なものですが。

<記録終了>

補遺XXXX-JP.2: インタビューログXXXX-JP.1

これまでの調査により、SCP-XXXX-JP-αにはオネイロイ14が存在することが判明しています。以下は、SCP-XXXX-JP-αの夢界に進入した職員らによって報告されたSCP-XXXX-JP-αへのインタビュー記録です。

インタビューログXXXX-JP.2


対象: SCP-XXXX-JP-α

インタビュアー: 小早川謙一博士

記録者: 桐生きりゅう嘉章よしあき研究員

付記: インタビューはSCP-XXXX-JP-αの夢界において前期中世日本語で行われ、全て小早川博士によって現代語訳されている。記録は桐生研究員によってリアルタイムで行われた。


<記録開始>

[SCP-XXXX-JP-αの夢界に2名が進入する。SCP-XXXX-JP-αのオネイロイはSCP-XXXX-JPとほぼ同様の形態を取っているように、夢界は白く何もないように見える]

SCP-XXXX-JP-α: ん?……何者だ、お前たちは。

小早川博士: 初めまして。私は小早川と言う者です。こちらは、記録を担当する桐生です。

SCP-XXXX-JP-α: ……お前たち、夢を自在に移り行くことができるな。現人神か?

小早川博士: それよりも、ここはあなたの夢で間違いありませんね?

SCP-XXXX-JP-α: [沈黙]

小早川博士: あなたが、現実世界で浄土兵団を作り続けている勢至菩薩ですか?

SCP-XXXX-JP-α: ……その呼び方はやめろ。私には済覚さいかくという法諱15がある。

小早川博士: 済覚……。

SCP-XXXX-JP-α: そうだ。お前は……救土宗の者ではないな、恐らく。

小早川博士: はい。私は、勢至──いえ、あなたを調べる為に来た者です。お話を聞かせていただいても宜しいですか?

SCP-XXXX-JP-α: いいだろう。残念ながら今の私には、お前たちを信者にしてしまうにも、追い出してしまうにも、力が貯まっていないようだからな。

[SCP-XXXX-JP-αが小早川博士の方に手をかざす。直後、小早川博士と桐生研究員の背後に座布団が出現する]

SCP-XXXX-JP-α: そこにでも座れ。

小早川博士: ありがとうございます。 [座って] ……ではまず、「信者にする」ということについてお話いただけますか?

SCP-XXXX-JP-α: わかった。簡単に言えば、私は救土宗の信者を作る為に置かれたのだ。あの白い光を見た者の魂はここに導かれ、私の夢告によって現人神となる。ちょうど、阿弥陀如来の御業のようなものだ。

小早川博士: 阿弥陀如来、ですか。

SCP-XXXX-JP-α: 救土宗の開祖。浄土より下った覚者。それが阿弥陀如来だ。

小早川博士: なるほど。では、その阿弥陀如来や救土宗のことについて詳しくお聞かせください。

[SCP-XXXX-JP-αの左に、ぼんやりと人間の形を取っているように見える白煙が出現する]

SCP-XXXX-JP-α: もう、数百年は前になるか。私が済覚でなかった頃、如来に出会った。まさに生き仏のように思えた。彼の者は村々を回り、信者を集め、山に寺をこしらえた。今はもう無いようだが、かつては厳しいながらも心が清らかになってゆく修行を積み、互いに支えあって暮らしていた場所だった。

小早川博士: その寺の名前は?

[SCP-XXXX-JP-αの背後に、木製の寺院に見える実体が出現する]

SCP-XXXX-JP-α: 回現寺16といった。現世を回す為の寺だとか、そのような由来だった筈だ。あまり覚えてはいないのだが。

小早川博士: なるほど。

[寺院内部に複数の黒煙のような実体が出現する。その中に、目・鼻・口のない群青の着物を来た人物が確認できる。夢界の色が少しピンク色に変化する]

SCP-XXXX-JP-α: とにかく、私はそこで彼の者やその信者と暮らしていた。その中で、私はいつしか皆に敬われるようになり、彼の者に「済覚」の名をもらった。皆が言うには、私は他のものよりも優れた能力を有していたという。そして、私はやがて皆を指導する立場になり、教団は十数人程度にまで大きくなった。あの頃、皆で景色を楽しみ、鳥の鳴き声に心を傾け、風に身を任せたのをよく覚えている。だが、そんな中で災厄が立て続けに起こった。

小早川博士: 災厄、ですか。

[夢界の色が黒く変化すると同時に、寺院やその内部の実体や黒煙群が消失する。その後、小早川博士の背後に多くの灰色の煙が出現する。金属音が鳴り、小早川博士が振り返る]

SCP-XXXX-JP-α: 治承から始まった戦乱に、養和に起こった飢饉。これらは、この国を愛する阿弥陀如来の心に深く響いたらしい。そして、彼の者は弟弟子たちを使い──

[SCP-XXXX-JP-αの左の白煙の更に左に、赤い煙が出現する]

SCP-XXXX-JP-α: ──観音菩薩を作った。おぞましくも、弟子たちの首を使って。彼らは喜んで観音菩薩の人柱となったが、それはまさに外法が如きだった。その心に穢土を受け入れ救済することがどれ程の苦行か、想像には難くなかった。

小早川博士: 首を……なるほど。つまり、あなたも同じような経緯で?

SCP-XXXX-JP-α: いや、私は違う。彼の者によってこの姿に変えられたのは確かだが、飢饉とは関係ない。あれは……そう、彼の者が隠れた時だった。彼の者は勢至菩薩像を残し、私に勢至菩薩になるように命じて、突然に穢土から姿を消した。

[SCP-XXXX-JP-αの左の黒煙と赤い煙が消失し、夢界の色が白に戻る]

SCP-XXXX-JP-α: 目覚める、と彼の者は言っていたか。そして、私は彼の者に言われるがまま、それが救世に繋がると信じて、勢至菩薩となった。

小早川博士: 何故、勢至菩薩になることが救世に繋がると?

SCP-XXXX-JP-α: 私のこの力は、衆生をこの夢へと引きずり込み、現世を動かす方法を悟らせることができる。同時に、私は引きずり込んだ衆生を教化し、阿弥陀如来に従うようにすることができた。つまり、私の使命は現人神の信者を増やすことだった。

小早川博士: なるほど。それで、どのようにあなたは勢至菩薩になったのですか?

SCP-XXXX-JP-α: 即身仏、と言えば伝わるだろうか?

小早川博士: ……わかりました、ありがとうございます。続けてください。

SCP-XXXX-JP-α: わかった。そうして私は勢至菩薩になったが、信者を増やすうちに少しずつ疑念を抱くようになった。このまま、現人神の運命を背負う者を増やして良いのか、と。私の心には常に、観音菩薩となった弟弟子たちのことがあった。彼らのような末路に、この者たちを導いて良いものなのか。私は悩み、そして、この身を寺に置いて教化をやめようと決めた。名も知らぬ寺の住職の夢枕に立ち、私を封じてしまうように命じて。

小早川博士: [沈黙]

SCP-XXXX-JP-α: だが、何もせず、誰にも会わずにこの夢に囚われ続けるのは、思ったよりも虚しいものだった。あらゆる物は私の意のままに創られ、あらゆる物は程度の低い虚構だった。色即是空空即是色を、その時真に理解したように思う。

[夢界に、青空、風に揺れる木々やヒガンバナ、ホトトギスが出現する。どれも色褪せた印象を受ける]

SCP-XXXX-JP-α: 外を覗いても魂しか見ることができず、本来の花鳥風月を楽しむことは叶わなかった。それどころか、目の当たりにしたのは醜い人間の業だった。そこにあったのは、空虚のみだった。私はとても疲れた。……そして、このような呪いを与えた彼の者を憎むようになっていった。

小早川博士: 阿弥陀如来を、ですか。

SCP-XXXX-JP-α: そうだ。やがて、私はこう考えるようになった。阿弥陀如来を殺す現人神の軍を作って、彼の者の再来に備えるべきだ、と。そして、それを実行しようと久しぶりに外を見たとき、私はそこに数多くの死を見た。竜さえも死ぬ大きな戦争だった。次々と魂が消え失せていく、業の深い戦争。

[夢界の色が再び黒く変化する。直後、SCP-XXXX-JP-αや小早川博士の周辺を、1945年当時の武装をした大量の日本兵やアメリカ兵が走り始める。SCP-XXXX-JP-αの背後ではきのこ雲が上がっている]

小早川博士: [小声で] 太平洋戦争……。

SCP-XXXX-JP-α: お前たちはそう呼ぶのだな。とにかく、私はその戦争の中で、衆生に光を与えて、現人神を生み出し続けた。だが、そこで私は、最も恐ろしいものを見てしまった。それは、あまりにもひどく歪んだ魂の形。かつての仲間の、弟弟子たちの、観音菩薩の発狂だった。涙を禁じ得なかった。私が虚ろに飽きるよりも、遥かに残酷な苦しみを味わったというのが、一目見てわかったのだから。そして、私は彼らを解放せずに守る者たちを見て、とても腹が立った。だからこそ、現人神に奴らを襲わせたのだ。

小早川博士: ですが、最終的には敗北しましたね?

SCP-XXXX-JP-α: ああ、あと少しだった。あと少しで、私は弟弟子たちを解放してやれたのに。あの黒い甲冑の者共によって、私が教化した者たちは皆息絶えた。そして、私自身さえ、ここに縛られることとなってしまった。……お前たちの手によってな。

小早川博士: [沈黙]

[兵士たちやきのこ雲が消失する]

SCP-XXXX-JP-α: お前たちの魂の形は、あの時見た黒い甲冑の者共と似ている。同じ志を持っているのだから当然なのだろう。

小早川博士: では、何故私たちにお話をしていただけたのですか?

SCP-XXXX-JP-α: 単なる暇潰し……という訳でもない。私を縛るお前たちに、彼の者の傲慢さを伝えたかったのだ。それに、お前たち2人は、こんな不気味な仏の言葉も聞いてくれた。教化してしまうのはあまりにも不義だ。

小早川博士: ならば、これ以上の教化を止めては──

SCP-XXXX-JP-α: [遮って] 断る。私のこの怒りはその程度では揺らがない。むしろ……お前たちが、阿弥陀如来への反逆を誓うのを待っている。既に数百年は待った、もう数百年待つことも訳はない。弟弟子たちを解放し、彼の者への復讐を果たすことこそが、私の唯一の望みだ。どうか、理解してほしい。

<記録終了>

補遺XXXX-JP.3: インシデントXXXX-JP

1946/06/23、SCP-XXXX-JPが活性化した際、小早川博士が白色光線に曝露しました(インシデントXXXX-JPに指定)。スクランブル・ザイザー・ユニットが起動していたにも拘わらず博士は3日に渡って昏睡し、覚醒した後に現実改変能力を発現しました。これ以降SCP-XXXX-JPは活性化しておらず、複数回に渡ってSCP-XXXX-JP-αの夢界への人員投入が行われていますが、いずれもSCP-XXXX-JP-αの無反応という結果に終わっています。SCP-XXXX-JPの無力化宣言は見送られています。

以下は、小早川博士へのインタビューの内容です。

インタビューログXXXX-JP.3


対象: 小早川謙一博士

インタビュアー: 大和田おおわだ吉江よしえ博士

付記: インタビューはエリア-8173の尋問室で行われ、尋問室内部の現実性強度はスクラントン現実錨によって2.0Hmに保たれた。


<記録開始>

大和田博士: 小早川博士、白色光に曝露した際に何があったのかお話ください。

小早川博士: [沈黙]

大和田博士: 答えないのでしたら、ここの外にいる機動部隊があなたを即座に終了する場合があります。そのことに十分留意してください。

小早川博士: ……博士。

大和田博士: 何でしょう。

小早川博士: わ、私は、憎悪にうち震えています。でも、まるでそれは、私ではないかのようで……。

大和田博士: 続けてください。

小早川博士: 勢至菩薩は、私に多くの物を見せました。阿弥陀如来の偉業から悪行まで、それはもう多くの物を。ま、まだ全てを理解した訳ではありません。でも……。 [ため息] 彼の者の目が私を見たとき、私は怒りに任せてそれを殴りました。ああ、憎い。まるで己が覚者であるかのような嘲笑った顔が。でも、わからない。あの時、私はもっと何か、何かを……。

大和田博士: どうか、落ち着いて。焦る必要はありません。

小早川博士: ……そうだ、伝言。私は、尊きお方から、言葉をいただきました。

大和田博士: 言葉、ですか。

小早川博士: はい。それは、ええと……。そう、そうです。時を待て、と。秘密にせよと言われましたが、それでも、私は言わなければ。彼の者を討つには、我々も力を貸さなければならないから。

大和田博士: 時を待て、とはどういうことなのですか?

小早川博士: 尊きお方は、次なる報復の為、時が来るのを待ち続けています。彼の者が再び降り立った時に、確実に殺せるように。……私は、次の教化の映像を見ました。勢至菩薩の怒りを見ました。それは、あまりにも広く届き、あまりにも多く放たれ、あまりにも多くの一般人を巻き込む、白光のかぶら矢17。あのお方の怒りは、彼の者だけではなく、我々にも向けられていました。……どうか、時を待ちましょう。彼の者への復讐は、必ずや果たされます。

<記録終了>


終了報告書: この後のインタビューにおいて黙秘を貫いた為、小早川博士は終了された。


画像1(加工済)
作者: LA Times.
ライセンス: Public Domain


画像2(加工済)
作者: Gryffindor
ライセンス: Public Domain


画像3(加工済)
作者: 不明
ライセンス: Public Domain


SCP下書き「シーランド広告」

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid (暫定)

特別収容プロトコル: 財団ウェブクローラーが、SCP-XXXX-JPに関連する可能性のある全てのキーワード、及びSCP-XXXX-JPに類似する全ての画像をフラグ付けしています。インターネットやマスメディアにおいてSCP-XXXX-JPが掲載/放映された、或いはSCP-XXXX-JPの情報が確認された場合、レベル4情報隠蔽プロトコルに従って関連情報を制限します。全てのSCP-XXXX-JP-1は、クラスA/B記憶処理の後に解放されます。

説明: SCP-XXXX-JPは「シーランド公国へようこそ!」という文字列が含まれる異常な画像です。SCP-XXXX-JPを視認したシーランド公国国民(SCP-XXXX-JP-1)は、視認の直後に軽度の頭痛を訴えます。SCP-XXXX-JP-1は自身の国籍に関して告げられると72.5%の確率で動揺するものの、直後に平静さを取り戻します。SCP-XXXX-JP-1が視認する全ての広告はSCP-XXXX-JPに改変されます。SCP-XXXX-JP-1は記憶処理によってその異常性を失います。

2017/09/02に発見されて以降、SCP-XXXX-JP及びSCP-XXXX-JP-1の数は爆発的に増加しており、2017/09/04現在までに確認されているシーランド公国国民の全員(205,131名)がSCP-XXXX-JP-1となっています。


想定タグ: euclid scp-jp 時間 現実改変 記録媒体 認識災害