- 下書き 蛭の女王
- 下書き ワルキューレとエインヘリャル
- 下書き 廃列車達のランウェイ
- 下書き 脳内彼女
- 下書き 絞首便所(SCP-553として投稿済み)
- 下書き 忌み氏(SCP-629-JPとして投稿済)
- 下書き プリンセスなりきりティアラ(SCP-725-JPとして投稿済み、改稿中)
- 人事ファイル下書き
- あれやこれや
不活性状態のSCP-XXX-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8102の標準小動物収容室内の飼育水槽に収容してください。水槽の上部は収容違反防止のため、網目幅が2mm以下の金網で覆う必要があります。週に一度、餌として哺乳動物の精液を与えてください。卵塊は、必要数を室温-2℃以下、湿度10%以下の保管庫にて保管し、それ以外は焼却処分してください。
全国のドラッグストア、コンビニエンスストア等の小売店及び宿泊施設の男性用避妊具の納入状況を確認し、不審な納入があった場合は機動部隊え-1"種無しかぼちゃ"によってカバーストーリー「不具合品の混入」により回収してください。
インシデントレポートXXX-1の内容を受けて、機動部隊む-4”虫取り少年"が都市近郊における雑食の哺乳類及び鳥類の生態系を調査します。異常繁殖が発生している地域を捜索し、未収容のSCP-XXX-JPを発見した場合は直ちに収容してください。
説明: SCP-XXX-JPは外見上男性用避妊具1に酷似した蛭の一種です。遺伝子検査の結果、90%においてヤマビル(Haemadipsa zeylanica japonica)との遺伝子の相似が見られましたが、██%においてヒルガタワムシ(Rotaria rotatoria)の遺伝子が含まれていることが判明しています。
SCP-XXX-JPは自然環境下では通常のヤマヒルと概ね同様の生活様式を取りますが、血液ではなく精液を主食とすることが大きく異なります。二酸化炭素や振動、熱によって哺乳動物の接近を感知すると取り付き、吸盤を使用して性器へと移動します。その後対象が雄の場合は対象の陰茎を包み込み、雌の場合は膣内に侵入します。いずれの場合でもSCP-XXX-JPは体内よりヒルジン2に似たポリペプチドを分泌します。この成分には催淫作用や精子形成の増加といった作用があることが分析の結果判明しており、哺乳動物に交尾を促すことにより精液を摂取すると考えられています。
精液を摂取後、SCP-XXX-JPは未生育個体の場合は脱皮を行い、生育した個体の場合は産卵を行います。産卵された卵塊は通常のヤマヒルの卵塊と外見上の相違はなく、おおよそ1ヶ月程度で孵化しますが、この際生まれるSCP-XXX-JPは全て雌であることが判明しています。ただし、過酷な環境下に置かれた場合SCP-XXX-JPは減数分裂により雄を生み出し、受精によって耐久卵を形成します。耐性卵は外見上は未開封状態の男性用避妊具に酷似しており、-20~100℃までの温度耐性、乾燥や高圧に対する耐性を有します。耐性卵が活動可能な環境下で「開封」された場合、SCP-XXX-JPはしばらくは不活性状態にありますが、哺乳動物の陰茎に接触と同時に活性化します。
SCP-XXX-JPは20██年6月頃から「動くコンドーム」の噂がインターネット上で話題になったことから財団の興味を引きました。20██年7月に██県██市の宿泊施設にて清掃作業員に偽装した財団エージェントが客室のゴミ箱から這い出したSCP-XXX-JPを発見、これを収容しました。その後同県内の複数の宿泊施設及びその周辺でSCP-XXX-JPが発見されたことから人為的に拡散された可能性があるため、SCP-XXX-JPの発見された宿泊施設の従業員から事情を聴取したところ、いずれの場合も「飛び込みの営業に来た女性が置いていったサンプルを使ってみた」と返答したため、関係者に記憶処理を施した上で、該当人物の残した名刺から入手元を調査しましたが、書かれた住所は██県郊外の廃墟となったビルであり、電話番号も既に使用されていないものでした。現在SCP-XXX-JPを配布した人物の行方と素性を調査しています。
補遺1: インシデントレポートXXX-1
20██年4月、SCP-XXX-JPを発見した宿泊施設近隣でアライグマ(Procyon lotor)が異常繁殖しているという情報を入手した財団職員が近隣を調査中、自然環境下で繁殖しているSCP-XXX-JPを発見しました。現在アライグマの異常繁殖との関連性を調査中です。
補遺2: 捕獲したアライグマを解剖した結果、血液中からSCP-XXX-JPの分泌するポリペプチドが高濃度で検出されました。自然環境で繁殖したSCP-XXX-JPが水生昆虫やザリガニといった捕食者によって捕食され、それらをアライグマが捕食することにより、SCP-XXX-JPの分泌するポリペプチドが生物濃縮の結果アライグマに対する繁殖期以外での交尾や多産をもたらしていることが判明しました。また、██県██市においてもイノシシ(Sus scrofa)の異常繁殖が発生しており、近隣で自然繁殖しているSCP-XXX-JPが発見されました。これらは周辺環境に重大な影響をもたらす恐れがあるため、可及的速やかに自然繁殖しているSCP-XXX-JPを収容する必要があります。なお現在日本国内の未収容状態のSCP-XXX-JPは██████匹いると推測されます。
補遺3: SCP-XXX-JPを配布した人物が元日本生類総研の研究者であった蒜山 美奈子(PoI-336)であることが判明しました。20██年6月12日、機動部隊ほ-4("追い込み漁")によって身柄を確保しました。
対象: 蒜山氏
インタビュアー: 信濃川博士<録音開始>
蒜山氏: さて、財団の博士は私に何を聞こうというのかな?
信濃川博士: SCP-XXX-JPを生み出した経緯と配布した理由です。
蒜山氏: SCP-XXX-JPというと、あの子達のこと?そうね、生物の本来のあり方を忘れた人間への皮肉ってところかな。
信濃川博士: どういうことです?
蒜山氏: 生物の本来のあり方って何か、財団の研究者ならご存知でしょ?
信濃川博士: 種の繁栄、ですか?
蒜山氏: ご名答。子を産み、育て、子孫を綿々と繋いでいくのが生物のあるべき姿じゃない?人間だってそう。「産めよ。増えよ。地に満ちよ」……聖書の言葉だったっけ?
信濃川博士: 創世記9章1節ですね。
蒜山氏:
、尋問の結果、SCP-XXX-JP報告書を大幅に改訂すべき事実が判明しました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは標準
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその性質上収容が困難なため、SCP-XXX-JP-Aの早期発見及び無力化並びにSCP-XXX-JP-Bの所在の把握と周辺空域の監視をもって対応するものとします。財団と各国空軍との連携協定の元、監視衛星及び防空レーダーによる監視を行い、マッハ3以上の速度で飛行するSCP-XXX-JP-Aと推測される所属不明機を発見した場合、速やかに地対空ミサイルによりこれを撃墜し、カバーストーリー「航空機による自爆テロ未遂」または「領空侵犯機の撃墜」を適用します。撃墜に失敗した場合は目撃者に記憶処理をした上でカバーストーリー「爆弾テロ」または「ガス爆発」を適用します。機動部隊ゼータ-2"ギャラルホルン"はSCP-XXX-JP-Bに指定される可能性のある戦争・紛争に関与した者を把握し、その周辺空域を重点的に監視してください。
1991/11/03に発生した事案XXX-01を受け、もし可能であっても有人航空機によるSCP-XXX-JP-Aの撃墜はSCP-XXX-JP-Bの増加につながる危険性があるため禁止されます。現在Mig-25を改造した無人迎撃機による迎撃が検討されていますが、技術的な問題で実用化には至っていません。
説明: SCP-XXX-JPは出自不明の航空機(SCP-XXX-JP-A)と、その攻撃対象となる人間(SCP-XXX-JP-B)です。
SCP-XXX-JP-Aは外見上はアメリカ空軍の試作爆撃機XB-70"ヴァルキリー"に酷似していますが、兵装を有することやF-16戦闘機と同程度の機動性を有すること、乗員なしで自律飛行すること等が異なります。機体番号は不明で、破壊された場合直ちに消失するため部品番号なども確認はできませんでした。SCP-XXX-JP-Aの側面には出現する地域によって異なるルーン文字が記されており、SCP-XXX-JP-Aを撃墜した場合、当該ルーン文字を記されたSCP-XXX-JP-Aは出現しなくなることから、SCP-XXX-JP-Aは複数個体が存在するものと推測されています。。
SCP-XXX-JP-Aの攻撃対象となるSCP-XXX-JP-Bは多くの場合軍人または退役軍人であり、過去に戦争や紛争において高い戦果を挙げた経歴を持った者です。現在█████人がSCP-XXX-JP-Bに指定される可能性があると考えられていますが、正規の軍属ではない者も含めるとその数はさらに増えるものと思われます。
SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP-Bを中心とした半径600kmの円周上の空域の高度10000mに出現し、SCP-XXX-JP-Bに向かってマッハ3(時速約3240km)で飛行します。この際、超音速飛行におけるソニックブームの発生は起こらないことが確認されています。SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP-Bの直上に到達すると機体下部の爆弾庫からMk.82汎用爆弾と推測される爆弾を投下します。3爆弾は着弾後通常のMk.82汎用爆弾と同程度の爆発を起こし、周囲に爆発に見合った規模の被害をもたらしますが、その際にSCP-XXX-JP-Bは消失します。SCP-XXX-JP-Bが消失するタイミングが爆発前なのか爆発後なのかは確認が取れないため、SCP-XXX-JP-Bの生死は不明です。
SCP-XXX-JPが最初に確認されたのは1967年、ベトナム戦争に従軍していた韓国軍が空爆を受けた際、近隣を飛行中のアメリカ空軍の戦闘機のパイロットが「爆撃したのはXB-70だった」と証言した4事例ですが、未確認ながらそれ以前にも類似の事例が発生している報告があり、現在確認を進めています。
当初、無差別爆撃を行うオブジェクトかと思われていましたが、事案XXX-5から12にかけて、明確に単独の対象を狙った攻撃を行っていたことにより、SCP-XXX-JP-Aが特定の対象を標的としており、その共通点から過去に戦闘にて高い戦果を挙げた者が標的となっていることが判明しました。
以下は主なSCP-XXX-JP-1の出現事例のリストです。
事案XXX-01
日付:1967/02/12
出現地:ベトナム、タイニン州
目標となったSCP-XXX-JP-2(以降リスト中では攻撃対象と表記):韓国軍兵士だと推測されるが詳細不明。
特記事項:財団がSCP-XXX-JPの存在を確認した初めての事案。
事案XXX-03
日付:1971/10/21
出現地:スコットランド、グラスゴー
攻撃対象:不明
特記事項:投下された爆弾はショッピングセンターを直撃し、一般市民21人が死亡。カバーストーリー「ガス爆発」を適用。民間人を巻き込んだ最初の事例。
事案XXX-05
日付:1975/11/11
出現地:アメリカ、アンカレジ
攻撃対象:████ ██████元アメリカ空軍大尉
特記事項:投下された爆弾は
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの発生する駅に0時から4時までの間財団の職員を駐留させ、駅を中心とした半径1kmのエリアに一般人の侵入がないよう見回らせてください。侵入者を発見した場合、近隣で熊が人を襲ったとのカバーストーリーを告げ、退去するよう説得してください。その際、SCP-XXX-JP-1を目撃していた場合は直ちにAクラス記憶処理を行ってください。
SCP-XXX-JPの発生する駅は廃止されないよう、また全ての列車を通過させるように保有する鉄道会社に対し圧力をかけてください。線路の保守管理は財団のフロント企業が鉄道会社の子会社という名目で行います。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1はサイト8141の標準的な人型収容室に収容してください。1日に3回、食事を支給し、SCP-XXX-JP-1及びSCP-XXX-JP-2が要求した物品は適性検査の上、適切であると認められた物に限り与えても構いません。実験等でSCP-XXX-JP-1とコミュニケーションを取る際はSCP-XXX-JP-2の機嫌を損ねる恐れがあるため、男性職員が行ってください。
2017年8月25日をもってSCP-XXX-JP-1が死亡したため、当オブジェクトはNeutralizedに指定されました。収容の必要はありません。
説明: SCP-XXX-JPは30代の日本人男性(以降SCP-XXX-JP-1と呼称)と、その頭部に存在する人型実体(以降SCP-XXX-JP-2と呼称)です。
SCP-XXX-JP-1は戸籍名を██ 友樹といい、外見上の異常性は見受けられませんが、頭部の本来なら脳があるべき部位は空洞5であるにも関わらず、問題なく生命を維持しており、運動、知能に関しても同年代の平均的な数値と大きな差は見受けられません。
SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP-1の頭部空間内に存在しており、「雪」と言う名を自称しています。レントゲン、X線CTスキャン及びMRIによる検査の結果、身長が5cm程度である以外は通常の人体構造と何ら差異は見受けられないことが判明しています。SCP-XXX-JP-2はテレパシーによってSCP-XXX-JP-1や外部の他者との間でコミュニケーションを行うことが可能であり、その効果範囲は概ね50m前後で、壁などの障害物の反対側には届かないこと、対象の選択はできないことがインタビューを行った際判明しています。また、SCP-XXX-JP-2が感情的になった時、テレパシーの効果範囲内にいる者(SCP-XXX-JP-1を含む)に対し強い頭痛を引き起こします。これはテレパシーの出力を極端に高めたものであると考えられます。なお、SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP-1に対し強い恋愛感情を抱いており、SCP-XXX-JP-1が他の女性と会話することに不快感を示します。
2015年5月15日、██県████市の県道███号線でバイクに乗っていたSCP-XXX-JP-1が転倒し近隣の████記念病院に運び込まれたことが収容のきっかけとなりました。SCP-XXX-JP-1は右腕を骨折したものの命に別状はありませんでしたが、頭部を打っていたため念のためCTスキャンによる検査を行った際、本来映るはずの脳の代わりにSCP-XXX-JP-2が写っており、その際SCP-XXX-JP-2のテレパシーにより病院内のスタッフ及び患者が頭痛を訴えたことから、潜入していた財団エージェントによって収容されました。
対象: SCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2
インタビュアー: 信濃川博士
付記: 収容後最初のインタビュー。なお信濃川博士は女性である。<録音開始>
信濃川博士: それでは████記念病院での騒動に関して少々お話を聞かせていただきます。
SCP-XXX-JP-1: えっと、ここ警察じゃないですよね?なんで自分取り調べ受けてるんですか?
信濃川博士:
<録音終了>
この聴取の後、すべての関係者に記憶処理を施しました。なお、財団の調査の結果、玩具問屋の男性である██氏はSCP-725-JPの発見の3ヶ月前から行方不明となっていることが判明しています3か月前に滋賀県内の山林で発見された身元不明の遺体が██氏であることが判明しました。死因は自殺であることが判明しています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPを含む公園全体を高さ5mの塀で覆い、一般人の公園内への進入及びSCP-XXX-JPの目視を阻止してください。この封鎖について一般に公開している情報には"重金属による土壌汚染"という内容のカバーストーリーが適用されています。担当職員はSCP-XXX-JP付近を常時監視し、侵入者を発見した場合は直ちにこれを退去させてください。また、SCP-XXX-JPの入口は鉄製の扉を取り付けて常時施錠し、その他の開口部はすべてセメントで埋めるか鉄板で封鎖してください。
内部への立ち入りはセキュリティクリアランス3以上の職員の許可がある場合のみ許可されますが、その場合もDクラス職員のみ入ることが許されています。また、いかなる場合でもSCP-XXX-JP-2出現中にSCP-XXX-JP-1の扉を開けることは許可されません。
説明: SCP-XXX-JPは██府██市に存在する公園内の公衆便所です。SCP-XXX-JPそのものには通常の公衆便所と外見上の差異は見受けられず、異常性も発揮しません。
SCP-XXX-JP内の男子用トイレの個室(以下SCP-XXX-JP-1と記述)にヒト(以下被験者と記述)が入り、施錠してから5分が経過すると、SCP-XXX-JP-1内部に20代前半の日本人女性と推定されるレベルⅢ霊的人型実体(以下SCP-XXX-JP-2と記述)が出現します。
SCP-XXX-JP-2を肉眼で視認した被験者は頸部に何かが巻きつく感覚を覚えた後、極めて強い力で天井方向へと引き上げられ、非実体の紐で首を吊った状態となります。この際頸部を保護する試みや被験者を救出する試みはいずれも失敗に終わっています。
被験者が縊死するとSCP-XXX-JP-2は消失し、同時に被験者は宙吊りから開放されます。
実験記録D-XXX-JP-01 - 日付20██/10/17
対象: D-81080及びD-81081
実施方法: 小型ビデオカメラを装備させたDクラス職員1名にSCP-XXX-JP-1に入らせ、施錠後SCP-XXX-JP-2が出現するまで待機させる。
結果: D-81080がSCP-XXX-JP-1に入り施錠して5分後、SCP-XXX-JP-2実体が出現。D-81080は宙吊りになる。D-81080は紐を外そうとするが触れることができない。痙攣、弛緩、終末呼吸を確認。
宙吊り状態になって4分25秒後、D-81080は心肺停止状態になり、その直後にSCP-XXX-JP-2が消失。 同時にD-81080は落下。死亡が確認された。その後ビデオカメラを回収し、D-81081に確認させたが、異常性は確認されず。
分析: この実験によりSCP-XXX-JP-2は映像媒体による確認が可能な事、肉眼による視認でないとSCP-XXX-JP-2の異常性は発揮されない事が判明した。
実験記録D-XXX-JP-02 - 日付20██/10/18
対象: D-81081及びD-81082
実施方法: Dクラス職員2名にSCP-XXX-JP-1に入らせ、施錠後SCP-XXX-JP-2が出現するまで待機させる。可能なら宙吊り状態からの救出を試みる。
結果: D-81081及びD-81082がSCP-XXX-JP-1に入り施錠して5分後、SCP-XXX-JP-2実体が出現。D-81081及びD-81082は宙吊りになる。以降実験記録D-XXX-JP-01と同様の結果をたどる。
分析: 視認したものが複数でも問題なく絞首するようだ。
実験記録D-XXX-JP-03 - 日付20██/10/19
対象: D-81083及びD-81084
実施方法: Dクラス職員1名にSCP-XXX-JP-1に入らせ、施錠後SCP-XXX-JP-2が出現するまで待機させる。出現を確認後もう一人のDクラス職員にSCP-XXX-JP-1の扉を外部から開けさせる。
結果: D-81083がSCP-XXX-JP-1に入り施錠して5分後、SCP-XXX-JP-2実体が出現、D-81083は宙吊りになる。その直後にD-81084によってSCP-XXX-JP-1の扉を開けさせたところ、D-81084も同じく宙吊りになった。直ちにアイマスクをした機動部隊員によってD-81083及びD-81084の救出が試みられたが、失敗に終わる。おおよそ5分後にD-81083及びD-81084の縊死を確認。
分析: SCP-XXX-JP-1内にいなくても視認すれば絞首されるようだ。何らかの理由でSCP-XXX-JPの外や公園の外から視認してしまった場合でも絞首される可能性があるため、公園そのものの封鎖が必要と思われる。
SCP-XXX-JPは20██年4月3日から10月15日にかけて、同じ死因による変死体が発見される事案が3件相次いで発生したことで財団の目を引きました。捜査にあたった警察内部に潜入していた財団エージェントによってSCP-XXX-JPの異常性が確認された後、関係者に記憶処理を行いました。
補遺1:
実験記録D-XXX-JP-01の映像を解析した結果、SCP-XXX-JP-2の外見が近隣住民であった██ ██という女性と酷似していることが判明しました。
彼女は20██/04/03にSCP-XXX-JP-1内で首を吊った状態の遺体として発見されました。、当初捜査当局は自殺だと見ていたのですが、検死の結果他殺であると断定されました。以下は██ ██を知る近隣住民に対するインタビュー記録です。
対象: ██ ██の近所に住んでいる50代主婦。
インタビュアー: エージェント・一宮付記: エージェント・一宮は週刊誌記者と称してインタビューを行っている。
<録音開始>
エージェント・一宮: ██ ██さんについてお聞かせ願えますか?
主婦: ほんまええ子やったよ。いつもにこにこしとって礼儀正しゅうて、██ちゃんみたいなええ子がなんであないな酷い目に遭わなあかんのやって近所の人はみんな言うとるわ。親御さんもえらいショック受けてもうてな、奥さんはショックで倒れて未だに入院しとるし、ご主人もえらい気落ちしとるしねぇ。
エージェント・一宮: ええ。それで、██さんが事件に巻き込まれた時の事で、何か覚えてることがあれば教えていただけませんか?
主婦: それはええんやけどさ、うちらよりご主人に聞いた方がええんちゃう?
エージェント・一宮: まだ心の整理がついてなさそうでしたので。
主婦: 週刊誌の記者ってのはそないな時でもお構いなしに根掘り葉掘り聞くもんやと思うとったんやけど、あんたええ人やね。
エージェント・一宮: それはどうも。で……
主婦: ██ちゃんが死んだ日の事やったね。最後に██ちゃんに会うたんは確か2日の昼頃やったかなぁ。うちがお隣の奥さんと喋っとったらあの子が通りかかっってな。えらいおめかししてどこ行くんって聞いたら、あの子今から彼氏と買い物行くんやって嬉しそうに笑ろうとったわ。そん時は若いってええなぁ、ってお隣の奥さんと言っとったんやけど、まさかあないなことになるとは思わんかったわ。
エージェント・一宮: なるほど。で、その彼氏についてはご存知ありませんか?
主婦: それな、うちらもあの子が殺されたって聞いた時、その彼氏が怪しいんちゃうかって調べに来た警察に言うたんやわ。でもそれから何件も似たような事件が起きとんのに犯人捕まらんやろ?そんなことやから府警は信用できへんとか税金泥棒とか言われんねん。
エージェント・一宮: そうですね。
主婦: あ、そういや
エージェント・一宮: なにか思い出したことでも?
主婦: 前に██ちゃん言うとったんやけど、彼氏はアメリカ人や言うとったな。名前は確か……ジェームズなんとかやったんやけど。なんやったっけ……ちょっと思い出せへんわ、堪忍な。
エージェント・一宮: いえ、貴重なお話ありがとうございます。
<録音終了>
20██/10/20の近隣住民に対するインタビューの後、██ ██の両親からの聴取及び██ ██のスマートフォンの解析により、██ ██の交際相手の名前がJames Franklinであることが判明しましたが、入国管理局及び在日米軍、合衆国社会保障局のデータベースには該当する人物が日本国内にいた形跡はありませんでした。
██ 12月15日
合コンにアメリカ人がいたんですけど。しかもイケメンでマジどうしよう。██ 12月15日
イケメンアメリカ人、ジェームズって名前だった。メアド交換しちゃった。██ 12月17日
ジェームズから妹のクリスマスプレゼント何がいいって相談のメールがあって今からちょっと出かけてきます。██ 12月17日
ジェームズの買い物に付き合ったついでにプチデート。彼イケメン過ぎてヤバいんですけど。マジ好みだわ。██ 1月20日
どうしよう、彼と会う度にどんどん惹かれてく自分が怖い。██ 1月27日
彼に告白されました。まだ頭の中パニクっててどう言っていいやら。夢なんじゃないか、もし夢なら醒めないで欲しい。██ 2月15日
一晩中彼と一緒にいて思った事。私彼なしじゃもう生きていけない。彼の言うことなら何でも聞いちゃう。██ 3月25日
彼が一緒に住もうって言ってくれた。もう幸せすぎて死んじゃいそう。██ 4月3日
彼と一緒に住む新居をこれから見に行ってきます。██ 4月3日
わたしきょうからここにすみます
かれのいうことならなんでもききます
かれがつるせっていうからつるします
ああわたしとってもしあわせ
しぬほどしあわせ付記:最後のツイートは██ ██の死亡推定時刻の6時間後に書き込まれたことが判明しています。
補遺2:
██ ██のツイートにあった合コンの参加者にインタビューを試みたところ、全員がJames Franklinという人物について「いたとは思うが顔は覚えてない」と証言しました。また、合コン当日James Franklinをスマートフォンのカメラで撮影したと複数人の参加者が証言しているにも関わらず、それらの画像はいずれも発見されていません。加えて、██ ██のTwitterに投稿されたJames Franklinの画像も全てサーバー上から消失していることが確認されています。
James Franklinを写した画像はすべて不自然に消失しています。また、彼の顔を覚えている人間が誰もいません。これは現実改変の可能性を疑うべき案件だと思われます。―信濃川博士
James Franklinについて不自然な点があり、未収容のSCPオブジェクト、あるいは要注意団体の関与が疑われるため、財団本部に関連資料がないか連絡を取って調査協力を依頼したところ、関連性のあると思われる「SCP-████の報告書」の存在を示唆されました。しかし、当該報告書は現実改変によるものと思しき改竄の形跡があり、James Franklinについて明確な情報は得られませんでした。James Franklinに関する財団本部との共同調査が現在検討中です。
██ ██と交際していたJames Franklinが件のSCP-████の報告書に名前の上がっているJames Franklinと同一存在なのかは確証がない。ただ単に名前が同じだけの可能性もある。だがJames Franklinが現実改変能力を有する人型存在である可能性を有する以上、楽観論を語ることは危険であると考える。過去にも事態を楽観視した結果、最悪の結果を招いた例がある。失敗を繰り返さないためにも、打てる手は打っておくべきだろう。—日本支部理事・███████
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその性質上物理的収容は困難なため、SCP-XXX-JPの影響を受けた人間(以後被験者と記述)の捜索及び記憶処理とSCP-XXX-JPの記載された文章媒体の破棄により対処されます。日本全国すべての家庭裁判所に対ミーム処置を施した、あるいはミーム汚染耐性を持つエージェントを配置し、氏の変更許可申立書をチェックします。SCP-XXX-JPへの変更申請が確認された場合、直ちに機動部隊ん-0"名無しの権兵衛"によって申請を出した被験者の身辺調査を行い、周囲に他の被験者およびSCP-XXX-JPの書かれた文章媒体がないか確認してください。確認されたすべての被験者にBクラス記憶処理を行い、SCP-XXX-JPの書かれた文章媒体は焼却あるいは適切と判断される方法により確実に破棄してください。
SCP-XXX-JPを用いた実験はセキュリティクリアランス4以上の職員の許可が必要です。実験前に被験者となるDクラス職員を除くすべての実験参加者は対ミーム処置を受け、実験終了後Dクラス職員も含むすべての実験参加者がBクラス記憶処理を受けてください。不測の事態を防ぐため、実験室内への筆記用具の持ち込みは一切禁じられています。また、実験記録は音声記録のみとし、画像や映像記録を取ることは禁止されています。
説明: SCP-XXX-JPは、ミーム汚染を引き起こす日本人のものと思われる苗字(以降法律上の表記である氏と記述)です。
SCP-XXX-JPの異常性はSCP-XXX-JPを視認し、それを氏であると認識することにより発現します。被験者は、SCP-XXX-JPを自分の氏であると認識します。そのため、自らの氏名を記入する際にSCP-XXX-JPを記述し、結果としてSCP-XXX-JPを増殖させることとなります。SCP-XXX-JPを視認したことによるミーム汚染は、日本語の知識がない、あるいは失語症などの要因により文字を判読できない者でも、SCP-XXX-JPを氏であると認識さえしていれば影響を受けます。
大抵の場合被験者は自らの認識と戸籍謄本や住民票、免許書などの公的な書類との相違に違和感を覚え、その結果氏の変更を裁判所に申請し、殆どの場合却下されますが、その際にミーム汚染が拡大することとなります。
実験記録XXX-JP-1 - 日付20██/10/10
対象: D-33501。本名島村██。
実施方法: SCP-XXX-JPを見せた後、本名を尋ねる。
結果: D-33501は自分の本名を島村██と名乗った。
分析: どうやらSCP-XXX-JPを氏だと認識していなかったようです。
実験記録XXX-JP-2 - 日付20██/10/10
対象: D-33501
実施方法: SCP-XXX-JPを見せて氏であることを説明した後、本名を尋ねる。
結果: D-33501は自分の本名を[データ削除済]██と名乗った。実験後、クラスB記憶処理を行った上で再度本名を尋ねると、今度は島村██と名乗った。
分析: 記憶処理は有効なようです。無駄に被験者を増やすこともないでしょうし、可能な限り実験対象は使いまわすことにしましょう。
実験記録XXX-JP-3 - 日付20██/10/10
対象: D-33501
実施方法: SCP-XXX-JPを平仮名、カタカナ、アルファベット、点字で表記した物を見せて氏であることを説明した後、本名を尋ねる。
結果: いずれの場合もD-33501は自分の本名を島村██と名乗った。
分析: 漢字で表記した場合のみ異常性が発揮されるようです。
実験記録XXX-JP-4 - 日付20██/10/11
対象: D-33502。本名カルロス██████。対象はブラジル人で日本語は未習得である。
実施方法: SCP-XXX-JPを見せて氏であることを説明した後、本名を尋ねる。
結果: D-33502は自分の本名をカルロス[データ削除済]と名乗った。表記方法を尋ねたところ、漢字で表記すると答えた。
分析: 日本語を知らなくてもSCP-XXX-JPを氏だと認識していれば影響を受けるようです。[データ削除済]の表記法に関してローマ字でなく漢字で書くと答えたということは、海外でも拡散する可能性があるということでしょう。
SCP-XXX-JPは20██年10月9日、東京都██市の家庭裁判所に潜入しているエージェントから「不自然な氏の変更申請が相次いでいる」という情報がもたらされたことにより発見されました。調査の結果、ミーム汚染を伴うオブジェクトであり、既に都内大手出版社と家庭裁判所内にてミーム汚染の拡大が確認されたことから、直ちに認識災害・ミーム汚染を専門に扱う機動部隊によってすべての被験者とその関係者への記憶処理及びSCP-XXX-JPの記載された文章の破棄が行われました。
調査の結果、同出版社が行ったティーン向け小説の新人賞応募作品の一つに氏がSCP-XXX-JPである登場人物がいたことが判明したため、作者である中野 伸也氏に命名した経緯を聴取した上で身辺調査を行いました。
対象: 中野 伸也氏
インタビュアー: エージェント・一宮付記: 中野氏は確保時SCP-XXX-JPの影響を受けていましたが、インタビュー前にBクラス記憶処理を受けています。
<録音開始>
エージェント・一宮: それでは、あなたが██████大賞に応募された作品の主人公の苗字の[データ削除済み]の由来について、お話いただけますか?
中野: はぁ、あれっすか。あれはうちの家に伝わる「忌み氏」なんすよ。
エージェント・一宮: 「忌み氏」?
中野: ええ、自分の親父は██県のド田舎の出なんすけどね、そこの集落の長の家に代々伝わる苗字だそうっす。まぁ親父がその家の三男坊なんすけどね。
エージェント・一宮: で、その「忌み氏」ってのはどういうものなんです?
中野: 詳しいことは分かんないけどさ、普通に名乗る苗字とは別に、一族の中でのみ使われる苗字だそうっすよ。昔使われてた諱に近いものみたいっすけど、わかるかなぁ?
エージェント・一宮: ええ、わかります。で、あなたのお父様からその「忌み氏」を聞いたと?
中野: いやー、それが親父は「忌み氏」について決して話そうとはしなかったんすよ。なんでもあの集落から出た者は決して「忌み氏」を明かしてはならない、って掟があるそうなんで。
エージェント・一宮: なるほど。ではあなたは「忌み氏」をどうやって知ったんでしょうか?
中野: 親父のいた集落だけど、過疎化が進んで今や廃村なんすよ。親父の家も長男次男が相次いで早くに亡くなるし、三男の親父は帰ることを拒否しちゃったし、他の兄弟もどこにいるやら、って状態でさ。そんなわけだから親父の実家は今廃墟になってるんすよ。なんていうか、廃墟ってワクワクするっしょ?ちょうど██████大賞の応募作品のためのネタを探してたし、取材旅行気取って行ってきたんすよ。まぁ、最寄駅のローカル駅からバスに乗って2時間の山ん中で降りたときは愕然としたけどさ。想像以上に何もないところだったし、ここからさらに一時間以上歩かなきゃいけないのかって思ったら旅行気分とか吹っ飛んじまったしさぁ。
エージェント・一宮: で、その廃墟で何か見つけたんですか?
中野: まぁ、母屋ん中は全く手入れされてないまま20年以上放っとかれたからかボロボロでさ、もう日も暮れかかってたから不気味だし、正直さっさと帰りたかったんだけど、帰ろうにももうバスがなかったし。一日2本しかバスがないってどうなのよ?
エージェント・一宮: 地方にはよくあることです。まだバスがあるだけマシですよ・・・・・・失礼、続けてください。
中野: それでさ、夜をどこで過ごそうかって見て回ったんだけどさ、母屋の中は床とか腐ってる上になんかよくわからない獣の糞とか落ちてるし、とてもじゃないけど寝れないよなぁ、と思って外に出た時にさ、蔵があることを思い出したわけ。そういやあそこはまだ見てなかったな、と思って。
エージェント・一宮: 蔵ですか。
中野: 結構大きい蔵でさ。入口に大きな南京錠がかかってたから面倒くさいなぁ、と思って後回しにしてたんすよ。ここなら寝る場所くらいありそうだな、と思って。
エージェント・一宮: で、中には何がありました?
中野: 蔵の入口の南京錠をぶっ壊して入ったんすけど、中の物はとっくに整理されてて空っぽでさ。まぁ、とりあえず寝るところ確保しようと思って床の埃払ってたらさ、落とし戸があるの見つけちまったんすよ。
エージェント・一宮: 落とし戸、ですか。
中野: 見つけたときはおお、って思ったね。こういうの男の子ならワクワクするっしょ?んで、早速開けてみたらさ、結構しっかりした石の階段があってちょっと安心したわけ。木の階段とか腐ってそうだし、母屋を探索してた時、踏み抜いて危うく落ちるところだったしさ。
エージェント・一宮: で、下には何が?
中野: まぁ蔵の地下にあるものなんてだいたい想像はつくっしょ?座敷牢だよ、座敷牢。こういう大きな旧家には付き物なんじゃないかな。
エージェント・一宮: 座敷牢の中には何かありましたか?
中野: ううん、何もなかった。なかったけど・・・・・・
エージェント・一宮: なかったけど?
中野: ・・・・・・座敷牢が使われてた痕跡があった。それも多分20年位前まで。
エージェント・一宮: 何を見たんです、座敷牢の中で?
中野: ・・・・・・「忌み氏」っすよ。座敷牢の壁一面に書かれた「忌み氏」。
エージェント・一宮: それは・・・・・・
中野: よくわからないけどさ、ここに閉じ込められてた誰かが書いたものなんじゃないかな。閉鎖的な集落じゃ障害者を外に出さないよう閉じ込めてたって聞いたことあるしさ。
エージェント・一宮: 座敷牢が20年前まで使われてたんじゃないか、ということですが、それはどうしてわかったんですか?それと、あなたは「忌み氏」をその時初めて見たはずですが、なぜ座敷牢に書いてあったのが「忌み氏」だったとわかったんです?
中野: 座敷牢の中に雑誌が積んであった。20年くらい前の週刊少年█████だった。座敷牢には南京錠が外からかけてあったから、あそこに閉じ込められていた誰かが読んでたんじゃないかって思うんだ。んで、「忌み氏」はさ、全部「忌み氏」の後ろに名前が書いてあったんだよ。多分あの家の人間全ての。少なくとも、親父の2人の兄貴と親父、そして自分の名前があるのはわかった・・・・・・自分、あの日行くまで親父の実家行ったことないのにさ。それで、なんか怖くなって慌てて飛び出して、真っ暗な中バス停まで逃げるように走ってさ。で、バスもないもんだから駅まで歩いて、朝まで駅で過ごして始発で家に帰ったわけ。
エージェント・一宮: なるほど、経緯はわかりました。で、その「忌み氏」をあなたの作品の主人公の苗字にしようとしたのはなぜなんです?
中野: それがさ、喉もと過ぎたらなんとやらでさ、家に帰ったらなんか妙に落ち着いちゃってさ。無性にこの経験を作品に生かしたいって気がしたわけ。で、自分を主人公にして書き始めたらあれよあれよという間に書き上がっちゃって。これなら賞取れそうな根拠のない自信があったんでついそのまま応募しちゃったんだ。あれは失敗したわ、誰かに意見を聞いときゃよかったし、流石に自分の苗字そのまんま主人公の苗字にするのはどうなのよ、って気はするよな・・・・・・あれ、主人公の苗字「中野」だっけ?「忌み氏」が中野?あれ?
エージェント・一宮: ありがとうございました。以上でインタビューを終了します。
<録音終了>
<事後処理> インタビュー終了後、中野氏の父親の実家だった廃屋へ機動部隊を派遣し、供述通りの座敷牢を発見しました。中野氏の父親とその兄弟のうち存命な者█名に対し、座敷牢に誰が入れられていたのか、その後どうなったのかについて聴取しましたが、故人である長男の中野惣一郎氏だけしか知らない、との返答しか得られず、また戸籍登録もされていなかったため特定はできませんでした。その後、座敷牢のあった蔵の地下をコンクリートで埋め立てて封鎖し、中野家の存命な者全員にBクラス記憶処理を施しました。
補遺:インシデントXXX-13-1報告:
20██年11月18日、██県██村の村長選にSCP-XXX-JPの被験者が立候補していることが判明。機動部隊が急行しましたが、全村民の80%がSCP-XXX-JPの影響を受けていることが判明。記憶処理剤の空中散布により事態を収拾しました。この事案により、より大規模な収容違反が発生する可能性が懸念され、その場合対処が不可能になることが予想されることからSCP-XXX-JPのオブジェクトクラスはketerに指定されました。
アイテム番号: SCP-725-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-725-JPはサイト-8154の標準的収容ロッカーに保管されます。実験のために取り出す際はセキュリティクリアランス2以上の職員が立ち会ってください。保管されていない間は、実験に関わるDクラス職員を除き、3歳以上17歳以下の女性を遮蔽物なしで10m以内に接近させないでください。実験にあたっては、発生した人格とのコミュニケーション及びパニックの沈静化のため、言語学を専門とする職員が立会って発生した人格の使用する言語を特定し、その言語の話者が通訳を行うか、話者が存在しない場合は当該言語の知識を持つ者による筆談を行うようにしてください。なお、実験に携わるDクラス職員は少年院から更生が困難な17歳以下の女性を確保して使用するものとします。
プロトコル更新: 現在、サイト管理者の許可なく実験を行うことは禁止されています。サイト8154管理者の通達を参照して下さい。
説明: SCP-725-JPはティアラを模した女児向け玩具と、それを着用した者に対して発生する異常性です。SCP-725-JPは外見上は銀とダイヤ、ルビーを使用した本物のティアラと区別がつきません。触感も金属及び宝石のような硬質なものですが、成分分析の結果、全体がポリ塩化ビニルで作られており、特性や比重もポリ塩化ビニルのものであることが判明しています。SCP-725-JPを破壊する試みは、どのような状態からでも24時間以内に再生することにより成功していません。
SCP-725-JPを3歳以上17歳以下の女性が頭部に着用すると、着用者の人格は別人の物に置き換わります。発生する別人格は毎回異なる物となりますが、いずれの場合も実在した、あるいはしたと推測される現在故人である王女、皇太子妃、領主や族長の娘等のものとなることが判明しています。
別人格は着用者の頭部からSCP-725-JPが取り除かれない限り永続的に置き換わったままですが、着用者の頭部からSCP-725-JPが取り除かれた場合、即座に人格は着用者の物と入れ替わり、同時に着用者は該当する人格が死亡したとされるのと同じ状況で死亡します。
発生した別人格とのコミュニケーションは可能ですが、人格が置き換わった時点で大抵の場合状況の把握ができておらず、パニック状態にあるケースが多いことに留意してください。別人格の使用する言語は着用者の人種や使用言語に関わらず人格の元となった人物の使用していた言語であり、また声紋鑑定を行った場合も人格の元となった人物と同一のものであるという結果が出ます。ただしあくまで「人格」であり、別人格が本来いた時代より後の時代の知識を知った状態でSCP-725-JPを着用者から取り外しても過去改変等は生じないことが判明しています。現在別人格は収容に至った事案での出現を含めて6つの人格が確認されており、それぞれSCP-725-JP-AからFに指定されています
SCP-725-JPは20██年7月██日、滋賀県██市にて「5歳の娘が自宅で突然英語で喚きたてたかと思うと胸と頭から血を出して倒れた」という119番通報を財団エージェントが傍受したことが発見に繋がりました。当初犠牲となった少女、██ 沙羅の母親である██ 沙織による虐待の可能性があるとして警察から事情聴取を受けていましたが、司法解剖の結果死因は極めて強く胸部と頭部を打ったことによるものであり6、母親一人では不可能なこと、母親がその時の様子を動画に撮影していたことから嫌疑は晴れました。財団が母親の撮影した動画を分析した結果、少女の喋っていた英語は流暢なイギリス英語であり、声紋鑑定の結果、故ダイアナ元皇太子妃の声と一致することが判明し、少女が死亡する直前に着用していたティアラを模した玩具が原因の可能性があるとして回収、調査の結果SCPオブジェクトであると断定、SCP-725-JPに指定しました。
対象: ██ 沙織氏
インタビュアー: ███博士<録音開始>
███博士: それでは、お嬢さんが亡くなった時のことを話していただけますか?
██ 沙織: はい・・・・・・あの日はちょうど娘・・・・・・沙羅の誕生日でした。沙羅は███████7が好きで、私もお姫様になりたいって以前からずっと言ってました。だから誕生日にはなにかそれらしい物をあげたいと思っていたんですが、ちょうどいい物が見つからず、別の品物を用意してたんです。そしたら誕生日の3日ほど前に知人の██さんって人がせっかくだからっておもちゃの王冠をくれたんです。
███博士: その██氏というのはどういう関係の方なんですか?
██ 沙織: 別れた夫の知り合いでおもちゃの卸売をしている人です。夫と離婚した後も色々と世話になった人で、沙羅と二人で今までやってこれたのは██さんのおかげでした。
███博士: なるほど。
██ 沙織: ここ3ヶ月くらい音沙汰がなかったのですが、不意に訪ねてきまして。それで、取引先が倒産した際に引き取ってきたものだけど置いてても処分するしかないので良ければ、って。おもちゃとは思えないくらいよくできた王冠で、母親の私でも欲しくなるくらい綺麗でした。
███博士: その王冠を娘さんに誕生日にプレゼントとしてあげたのですね?
██ 沙織: はい。沙羅も箱から出した瞬間ひと目で気に入ったようで。今までで一番の笑顔で「ママ、ありがとう。かぶってもいい?」って。だから私、スマホで動画を撮りながら言ったんです。「お姫様になった沙羅をママに見せて頂戴」って。そしたら、そしたら・・・・・・[対象は慟哭し始める。落ち着くまでインタビューは30分間中断した]
███博士: 落ち着きましたか?
██ 沙織: はい、すみません。
███博士: 辛いかもしれませんが重要なことですので。
██ 沙織: はい、大丈夫です、多分。
███博士: では、続きを。
██ 沙織: ・・・・・・あの王冠をかぶった途端、沙羅の表情が見たこともない強ばったものになって、そして突然英語で喚きだして。私びっくりして、でもどうしたらいいかわからなくって、あの子の肩を持って揺さぶっちゃったんです。そしたら、あの王冠が沙羅の頭から取れて、その瞬間まるで何かにぶつかったように沙羅の体がびくんっ、って跳ねて、血が、血が・・・・・・[対象は嗚咽を漏らす]
███博士: それで119番に電話された、と。
██ 沙織: 病院に着いた時には沙羅はもう・・・・・・[対象は再び慟哭し始める]
███博士: (しばらくの沈黙)インタビューを終了します。
<録音終了>
この聴取の後、すべての関係者に記憶処理を施しました。なお、財団の調査の結果、玩具問屋の男性である██氏はSCP-725-JPの発見の3ヶ月前から行方不明となっていることが判明しています3か月前に滋賀県内の山林で発見された身元不明の遺体が██氏であることが判明しました。死因は自殺であることが判明しています。
以下はSCP-725-JPをDクラス職員に着用させた実験記録です。
実験記録725-JP-1 - 日付20██/07/17
着用対象: D-19735(16歳、女性)
変更後の人格: 近代ロシア語を話す10代後半と思われる女性。SCP-725-JP-Bに指定。結果: SCP-725-JPを着用後、D-19735の人格はSCP-725-JP-Bと入れ替わった。SCP-725-JP-Bは困惑した様子を見せ、ロシア語で実験担当者にここはどこか、と尋ねた。療養所の診察室であるという虚偽の説明をして素性を尋ねた結果、名前をアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァと名乗った。
インタビュー中、SCP-725-JP-Bは頭部のSCP-725-JPを気にしだし、おそらく意識せずに外した。その瞬間人格は元に戻り、D-19735は崩れ落ちるように倒れた。インタビュー担当者である███博士により医療班が呼ばれるもすでに死亡していた。D-19735の遺体からは複数の銃創と頭部への打撃の痕が発見された。分析: SCP-725-JP-Bはロシア最後の皇帝ニコライ2世の四女アナスタシアの人格で間違いないと思われます。
実験記録725-JP-2 - 日付20██/07/25
着用対象: D-19736(18歳、女性)
変更後の人格: N/A結果: 人格の変化は見られなかった。
分析: 人格の変更が見られるのは17歳までに限られるようです。
実験記録725-JP-3 - 日付20██/07/28
着用対象: D-19737(17歳、男性)
変更後の人格: N/A結果: 人格の変化は見られなかった。
分析: 着用者が男性の場合も人格の変更は発生しないようです。
実験記録725-JP-4 - 日付20██/08/01
着用対象: D-19738(16歳、女性)
変更後の人格: 恐らく古ノルウェー語と推測される言語を話す推定年齢2、3歳の幼女。SCP-725-JP-Cに指定。結果: SCP-725-JPを着用後、D-19738の人格はSCP-725-JP-Cと入れ替わった。SCP-725-JP-Cは周囲を見回した後パニック状態で泣き喚いた。その際SCP-725-JPが外れ、人格は元に戻る。D-19738は乗り物酔いに似た症状を訴え、嘔吐を繰り返す。医療班が即座に治療を行うも症状の緩和は一切見られず、10分後に脱水症状で死亡。死因は極度の乗り物酔いを原因とする嘔吐による脱水症状と推測される。
分析: D-19738の死亡時の状況と映像記録から解析したSCP-725-JP-Cの使用言語から判断するに、後のスコットランド女王である「ノルウェーの乙女」マーガレットではないかと思われます。
実験記録725-JP-5 - 日付20██/08/09
着用対象: D-19739(17歳、女性)
変更後の人格: 古風な日本語を話す10代前半と推測される少女。SCP-725-JP-Dに指定。結果: SCP-725-JPを着用後、D-19739の人格はSCP-725-JP-Dと入れ替わった。SCP-725-JP-Dは状況に困惑しながらも、実験担当者に説明を求めた。これは明晰夢であるとの虚偽の説明と、頭部に付けたSCP-725-JPは外さないように、という指示をして素性を尋ねたところ、名前を伊万と名乗った。
インタビュー終了後、SCP-725-JPを外れないよう固定した上で標準人型収容室に収容した。翌日再度インタビューを行った後、SCP-725-JPを取り外した。SCP-725-JP-Dは消失し、D-19739は頭部が切断されて死亡した。分析: インタビュー内容に関してはSCP-725-JP-Dインタビュー記録参照。
実験記録725-JP-6 - 日付20██/08/15
着用対象: D-19740(17歳、女性)
変更後の人格: ラコタ語8を話す10代~30代と推定される女性。SCP-725-JP-Eに指定。結果: SCP-725-JPを着用後、D-19740の人格はSCP-725-JP-Eと入れ替わった。SCP-725-JP-Eは興奮状態で喚きたて、インタビュー担当者である███博士に殴りかかった。即座に保安要員がを取り押さえようとするが、SCP-725-JP-Eは武装した保安要員4人を素手で無力化し、なおも███博士に襲いかかった。博士が咄嗟に突き出した手がSCP-725-JPを頭上から叩き落とし、結果人格は元に戻る。D-19740は体に突如発生した銃創からから出血して死亡。銃創は解剖の結果、スプリングフィールドM18739によるものだと判明。なお███博士は全治2週間の怪我を負ったものの命に別状は無し。
分析: SCP-725-JP-Eが何者なのかは不明です。これまでの傾向からしておそらく酋長の娘だと推測されますが、インディアンは合議制であり酋長は指導者ではなく調停者であるため酋長の娘をプリンセスとするのは間違いですが、SCP-725-JPを作った何者かは誤解している可能性があります。
実験記録725-JP-7 - 日付20██/09/04
着用対象: D-19741(16歳、女性)
変更後の人格: 不明。SCP-725-JP-Fに指定。結果: SCP-725-JPを着用後、D-19741の人格がSCP-725-JP-Fに置き換わる。SCP-725-JP-Fは未知の言語で話し始め、実験室の壁を不明な方法で破壊して逃走。収容違反が発生したことを受けて保安要員が追跡、サイト8154第3エリア廊下にて狙撃でD-19741の頭部からSCP-725-JPを除去、SCP-725-JP-Fは消失。D-19741は[削除済]。
分析: 使用していた言語について、言語学や音響工学の専門家、医師による調査の結果、人類には発音不可能であることだけが判明しています。
実験725-JP-7の後、サイト8154管理者から以下の勧告がなされました。
これ以上のSCP-725-JPを使用した実験を行わないよう通達する。
SCP-725-JPの実験には17歳以下の女性Dクラス職員という特殊な職員を使用することに加え、現時点で全員が死亡している。SCP-725-JPの特性及び収容方法の調査はこれまでの実験で十分であるはずだ。どのような人格が発生するかという知的好奇心を満たすためにこれ以上実験を行うことはDクラス職員の浪費であると言わざるを得ない。もし今後実験を行う必要が出た場合は私の許可を得るように。許可のない実験を行なった場合は懲戒処分の対象となる。 ―サイト8154管理者████
これにより、以降の実験は原則として禁止されます。
補遺: SCP-725-JPが入っていたと思われるパッケージに以下の文章が記載されていました。
きれいなドレスをきたお姫さまになりたいってあこがれはおんなのこなら誰だってもってるよね?
そんな夢みるおんなのこに博士がおくる『博士のプリンセスなりきりティアラ』!
これをつければきょうからきみもお姫さま!みんなががうらやましがるステキなプリンセスになれちゃうぞ!
さぁ、きみも『博士のプリンセスなりきりティアラ』をつけてステキなプリンセスの仲間入り!おんなのこの夢をかなえちゃおう!
楽しもうね!おとこのこのための誰でも王様になれる『博士のキングなりきりクラウン』もよろしく!
保護者の方へ:この商品には尖った部品があります。小さなお子様が使用されるときは必ず近くで見守ってあげてください。
この記述を受け、同様の性質を持つオブジェクトが他にも存在するとみて現在調査を行っています。
名前: 信濃川 桂子しなのがわ けいこ
セキュリティクリアランス: 3
所在: 基本的にサイト8141
職務: 低危険性人型オブジェクトへのインタビューと分析、言語学的アドバイザー、海外の財団施設との折衝、新人職員(男女問わず)を誘惑する
人物: 19██/02/██、身長168cm、体重██kg。
長野県██市にてイギリス人と日本人のハーフである父親とイギリス人の母親との間に生まれました。
19██年、ケンブリッジ大学に入学。20██年、大学院博士課程在籍中にSCP-████を財団が収容しようとした際、言語学の見地から有用なアドバイスを行い収容に協力したことによりスカウトされ、ライツ博士の下で研究助手として勤務することとなりました。
その後、順調に昇格しましたが、上級研究員となった20██年にサイト-[編集済]にてSCP-682の収容違反に巻き込まれて瀕死の重傷を負いました。一命はとりとめましたが、職務遂行に支障をきたすレベルの精神的外傷のため一時休職していました。
職務復帰後の20██年より本人の希望もあり出向という形で日本支部で勤務しています。
説明: 1870年代に作成されたと推定されるウェディングドレス。材質は綿100%であるにも関わらず、防弾防刃防爆防虫性を備えている。ただし未婚の女性が着用した場合、視認した男性に対して着用者を自分の母親であると認識させる影響を与える。
回収日: 20██/██/██
回収場所: アンティークドレス通販サイトから信濃川博士が購入。「あなたの大切なご息女を銃弾や凶刃、悪い虫からお守りします」という説明が付いていた。
現状: サイト81██に保管中。
ああ、防虫ってそういう……しかし、相手の性癖によっては逆効果なのではないかと思います -エージェント・一宮
防刃防弾防爆性があるからといってもウェディングドレスを着て実験を行うのはやめてください。実験中につい「おかあさん」と呼んでしまった時の気恥ずかしさと言ったらもう…… -草枕研究助手