indonootoko

「主任、お送りしました資料、お読みいただけましたか?」
「ええ、はい、それです。」
「それは医師兼自称冒険家のゴードン・フィリップスの著書、"紀行"の12巻です。」
「入手には大変苦労をさせられました。自主出版で発行された紀行12巻は、発行部数わずか30冊、売れたのはたったの4冊。残りは古紙処分されていました。」
「4冊のうち3冊はすでに解読不能なほどボロボロな状態でして….、今主任がお持ちの1冊が、恐らく現存する最後の1冊です。」
「医師として評判の高かった彼ですが、しばしばそのような冒険譚を執筆しては世に送り出し、自らを冒険家だと自称していたようです。そしてその内容ですが….、その….、出来の悪い創作にしか思えない内容ばかりなのです。ですから誰も信用していなかったし、だからこそ本も全然売れていないのです。」
「はい、まぁたしかに…、いえいえ、それがこの本に興味深い内容が書かれているんです。」
「132ページです、"ベヒーモス"という項目の。その内容がですね….、はい、ええ、そうです。例の南米で見つかった異常実体についての記述であると思われます。」
「はい、ああ、そうですか。では読み終わったら教えてください。ぜひご相談したいことがありますので。」
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「ベヒーモス」

私は雇う船乗りを間違えたようだ、大西洋の….いや、ここはどこだかも分からん、分からんらしい。こんな大海原の真ん中で遭難したことを悪びれる様子も無く報告してきやがった。幸い食料は潤沢だが….、このままでは危険だろう。まったく海図も読めなければコンパスももってないコイツが船乗りを自称しているとは….ハズレを引かされたにも程がある…。ああ、すまない神秘の国ジパングよ、いつか必ず行くから待っていてくれ….。

遭難2日目、光明はすぐに差した、陸が見えるではないか。上陸した瞬間、差し込んだ光明は暗雲によってかき消されてしまった。みわたす限り密林、中に入って