indonootoko
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アンタもゲームはやるだろ?
 
嘘をつけ、俺とアンタは同じゲームをプレイした仲じゃないか。


 
アイテム番号: SCP-001-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 当報告書を含むSCP-001-JPの情報は、ミーム殺害エージェントによる情報保護を施し複数のカバーストーリーと共に保管してください。

SCP-001-JPの発生が確認された場合は機動部隊Ω-4000("力の塔")を派遣し、SCP-001-JPの鎮静化と情報の抹消を行ってください。該当する機動部隊には、SCP-001-JPの発生が起因となった顕現したアノマリーの収容が義務付けられます。また、SCP-001-JPを発生された存在は、エリア-00001のフォビトン指定収容室へ収容してください。 

意味が解らない….って顔だな?
 
『この世界はシミュレーションにすぎない。』って話、よくある話だろ?


説明: SCP-001-JPは人間が特定の怪音声を発する事を条件に発生する超常現象です。SCP-001-JPには、大規模な外部エントロピーを発生させるものや、複数のアノマリーを出現させるものなど多くの種類が存在ます。現在までに確認されたSCP-001-JPについては補遺1を参照してください。いずれも事態の収拾と隠蔽には多大な労力が掛かるため、SCP-001-JPの完全なる封印方法の研究が進められています。

SCP-001-JPを発生させる怪音声は、人間には発音と理解が本来不可能な音声です。解析機材を利用しての解析にも失敗しており、この音声には反ミーム性が指摘されています。この音声を人間が発音する方法は現在も不明であり、研究が難航しています。

ある日、俺は時空連続体における異常事象の観測に成功した。
 
調査を進めるうちに、これが「良くできたシミュレーション」に残ってしまっていた致命的な"バグ"の1種であることを突き止めた。

補遺1: 1912年10月に、ボリビア多民族国バジェグランデにてSCP-001-JPが初めて確認されました。PoI-00001とする人物が怪音声を発すると同時に大量のアノマリーが発生し拡散しました。このインシデントに際し、████████は自らの私財を元に財団を結成し、PoI-00001の鎮圧を行いました。以下はPoI-00001へ███████剤を投与して行ったSCP-001-JPの実験記録の抜粋です。

このシミュレーションは会話…、そうだなチャットとでもいうか。チャット欄からバグらせる事ができる。
 
特定の言語を発する事でこの世界は
バグるんだ。


実験記録001-10 - 日付████/██/██

対象: PoI-00001

実施方法: PoI-00001に███████剤を投与し、強制的に怪音声を発させる。SCP-001-JPの影響を考慮し、実験室から半径3km範囲にはD-064を除く人物の立ち入りを制限して実施する。D-064には無線機にて指示を送る。

結果: 実験室の床にD-064が埋まる。D-064の肉体が完全に床と一体化しており、間もなく死亡した。

分析: 今回の実験で10回目だが毎度毎度結果が変わる。なんと言っているのか分からないし、法則性はまったく見当たらない。

 
実験記録001-27 - 日付████/██/██

対象: PoI-00001

実施方法: PoI-00001に███████剤を投与し、強制的に怪音声を発させる。SCP-001-JPの影響を考慮し、実験室から半径3km範囲にはD-077を除く人物の立ち入りを制限して実施する。D-077には無線機にて指示を送る。

結果: D-077が壁を通り抜ける能力を獲得した。獲得した能力により脱走が懸念されたため終了処分とした。

分析: 壁を通り抜けることができても床を通り抜けることは無かった。霊素体として能力を獲得したことが指摘されたが、その後問題なく終了処分が行われたことから否定された。

実験記録001-35 - 日付████/██/██

対象: PoI-00001

実施方法: PoI-00001に███████剤を投与し、強制的に怪音声を発させる。SCP-001-JPの影響を考慮し、実験室から半径3km範囲にはD-096を除く人物の立ち入りを制限して実施する。D-096には無線機にて指示を送る。

結果: 時空連続体の回帰が観測された。時刻が4時間程度巻き戻されていた。

分析: TK-クラス:世界永劫回帰シナリオが予想、PoI-00001を終了処分とした。35回の実験が行われたが発生した事案はいずれも異なる物だった。

世界をバグらせたら、ただでさえ終わりかけている世界にトドメを指すだけだ。って?
 
そうとは限らない。バグっていうはエントロピーの崩壊や、次元の圧壊だけを齎すものだけではない。
 
このバグを利用すれば、焉り逝くこの世界を救えるかもしれない。

補遺2:

地底遥か3,000m、地下高速鉄道の国際線こと『マクロライン』。そのマクロラインにおける日本支部の停車駅であるターミナル-8100は、ラッシュタイムを終え、プラットフォームの人気にバラつきが見えはじめていた。

そんなプラットフォームに、ひときわ目を引く人影が見える。夏場だというのに長袖長ズボンにロングコートという季節感の欠片も無いファッションの男が一人。彼の名は通称ももちパレス運転手、マクロライン東アジア線の運転手だ。この後の貸切便の運航の為、車両をプラットフォームに停車させたまま、貸切利用者である財団職員を待っている所である。

マクロラインには定期便が存在しているが、実際に重宝されているのは貸切便である。財団職員達の中には、多忙なスケジュールによって定期便の時刻を守るのが難しかったり、特殊な機材を持ち込む必要があり、貨物室を完全に占有してしまったりする職員も少なくないため、ほとんどの場合で貸切便が使用される。今回の貸切便も、とある財団職員の職務上の都合によって運行される訳だ。

ももちパレス運転手が運行指示書と、添付されている人事ファイルに視線を落とす。

(利用者氏名、梁野武一。セキュリティクリアランス3。目的地、ロシア支部ターミナル-6155。)

「梁野….。聞いたことあるな….。確か人型オブジェクト専門の博士だったような。」

梁野武一。当時の学会を大いに騒がせた名論文「人ならざる者」の著者として知られる人型オブジェクトの権威である。女性職員や人型オブジェクトへの素行に難有りとされており、輝かしい実績と確かな実力を持ちながらも、与えられているセキュリティクリアランスはレベル3である事から、その実態が窺い知れる。

「ちょいと難しそうな御方だけども….。まぁアッシは野郎だし….、大丈夫だろ!」

人事ファイルの確認を済ませると、ももちパレス運転手は持っていた鞄に、運行指示書と人事ファイルを閉まいこんだ。それから数分待つと、やがて疎らな人混みの中から、手を振りながら歩いてくる男が一人見えた。白衣姿に深紅の縁の眼鏡を掛けた姿は、ももちパレス運転手に負けず劣らず目立っていた。

「いやー、お待たせ。助手の子に留守の間の事を頼んでいたら、これが中々時間がかかってね。」

「いえ、問題ありやせん。本人確認を行いますから、職員証を呈示願えますかね?」

梁野博士は胸ポケットから職員証を取り出し、ももちパレス運転手へ手渡した。ももちパレス運転手が本人確認を行っている間、梁野博士はももちパレス運転手の顔を見つめ続けていた。

「確認できました。職員証をお返ししやす。ようこそ梁野先生、どうぞ御乗車ください。」

「はい、どうも。」

梁野博士が乗車するのを確認すると、ももちパレス運転手は小走りで運転席に乗り込んだ。程なくして乗降口が閉まり、密閉隔壁がプラットフォームと車両を隔離する。軌道内が真空状態になった事を知らせるベルが鳴ると、凄まじい轟音と共に、オーロラE877は運行を開始した。