こねてくれる方を絶賛募集中です。
ここに思いついたSCPのアイデアを。
アイテム番号:SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:Euclid thaumiel
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JP-1の異常性により"資格"の取得が確認されたセキュリティクリアランスレベル3〜4の職員、および蒐集院出身の非敵対Eクラスは、その年齢に応じて異なる期限の間SCP-XXX-JPによって与えられたテーマに沿って"卒業論文"を書き、特例プロトコルとしてO5評議会に提出する権限を与えられます。
O5職員過半数による認可が降りた場合、論文はSCP-XXX-JPによる検査が行われます。
SCP-XXX-JPに論文が査読され"卒業"するに相応しいものとして認可された場合、提出者は日本支部理事"(未定)"による卒業儀式により特別クリアランスレベル"i"を与えられます。
説明:SCP-XXX-JPは元蒐集院出身の財団日本支部理事"(未定)"と[編集済/開示にはO5評議会メンバー3名の許可が必要]の手による儀式的手順により発現する、霊子的構造により動作する非実体型AI(人工知能)です。
対象は以後、オブジェクトの異常性やアノマリー、ミーム現象の影響に対して物理的・直接的な干渉が不可能になり、記憶処理剤の効果も発揮されなくなります。認識災害に対する視覚も不可能になります。
アイテム番号:SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:Euclid
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPは████美術館の原画保存庫に収容されています。
SCP-XXX-JPを視認した職員および被験者(以下SCP-XXX-JP-Aと表記)にはSCP-XXX-JPを同一の状態で二度以上視認させることがないよう、収容室の周囲に警備員を配置してください。
単独でのSCP-XXX-JPの二度以上の視認は高い収容違反リスクのため、禁止されています。
また、SCP-XXX-JP-Aに対して記憶処理を施すことは、SCP-XXX-JPが示す重要な情報を忘却することによる収容違反リスクを増加させる可能性があることに留意してください。またその性質上、同一の職員による連続した監視、および複数の職員による収容状態の直接的な監視は行えません。
SCP-XXX-JPに対するインタビューはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員2名による認可ならびに████美術館館長である██氏の許可が必要です。
インタビューの際は、発言内容および視認した絵画の内容の概要を記録してください。
同一職員による二度目のインタビューを行う場合は、初めてSCP-XXX-JPを視認する別のインタビュアーおよびDクラスに先に絵画の状態を確認させ、その時点でSCP-XXX-JP-Aが以前に観測していた絵の内容と一致する特徴がない場合にのみ収容室内部に入室して行ってください。Dクラスを用いた場合、そのDクラスは実験後に終了することが推奨されます。
SCP-XXX-JPの発言した警告に従い、SCP-XXX-JP-Kと呼称される内容の絵(後述)を一度でも視認した職員はそのインタビュー以降のSCP-XXX-JPとの接触を完全に避けてください。
現在、SCP-XXX-JP-Kを直接視認した経験のあるエージェントと職員を中心にSCP-XXX-JP-Kのモデルである人物の捜索、および終了の任務が進行中です。
説明:SCP-XXX-JPは視認者がいない状態で視認を行う都度、枠内にランダムな絵画が展示される性質を持つ額縁です。同時に複数の人物により観測される絵画の内容は、視認者によらず同一であることが確認されています。
また、インタビューの結果複製されたレプリカを視認後に、同内容のSCP-XXX-JPによる絵画を目撃した場合にもイベントが発生します。
同一の絵画を同じ人物が二度以上視認した場合、その絵画の内容に応じた事象が発生します。また、SCP-XXX-JPは意思を持ち、視認した人物に対して音声によらない方法で語りかけることが確認されます。収容には協力的であり、自身の異常性を理解しています。
瞬きによるイベントおよび絵柄の変化は発生していないことがSCP-XXX-JPの発言により確認されています。
SCP-XXX-JP-Kは、赤い絵の具と見られる画材により白いキャンバスに描かれた、頰がこけ、目が見開かれた縦長の男性の顔と不明瞭な文字の羅列からなる絵画です。
この絵画に関してのみ、SCP-XXX-JPはレプリカの作成を強く拒絶しています。
インタビュー記録
インタビュアー:エージェント・██
アイテム番号:SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:Euclid(潜在的Keter)
特別収容プロトコル:
説明:SCP-XXX-JPはフロント企業S-Cinémaが作成したSCP-███-JP収容プロトコルの一環である深夜TVアニメーション"█-█-█ ██████"関連作品により引き起こされる、地形・構造物に作用する現実改変現象および視聴者に対するミーム災害現象です。
(ミーム災害現象をSCP-XXX-JP-1、現実改変現象をSCP-XXX-JP-2と呼称します。)
SCP-XXX-JP-1は"█-█-█ ██████"およびそのスピンオフ作品のTVや映画等のメディアを介しての放送/放映時、その作画の内容が物理的に再現可能であり、かつ法律や礼儀作法およびスポーツのルール・セオリーなどにおけるタブーを侵している場合にその状態を理に適った自然なものであると認識するように認知改変を発生させます。このミーム災害現象には感染性はなく、クラスB記憶処理により異常性の除去が可能です。
SCP-XXX-JP-2は不自然な地形、およびモデルの史実および事実との極端な差異、法規違反が含まれる描写が意図せずに行われた構造物が同アニメーションの放送内容に存在する場合、構造物のモデルそれ自体および描写された背景に類似した特定の地形複数箇所に対して構造の改変を発生させます。この構造の改変による物理法則の変化は発生せず、そのため改変内容により地形が変動直後に崩落する可能性があります。
アイテム番号:SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:safe Euclid
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPは、水棲実体用収容サイト-81██の冷凍保管庫に収容してください。
近隣各地の漁場および市場にて、フロント企業によるズワイガニの検閲およびSCP-XXX-JP-2の捜索を行い、押収後、カバーストーリー"寄生虫チェック"を適用してください。
新しくSCP-XXX-JPに関連する実体が発見された場合は同サイト-81██所属のエージェントを出向させ、必要に応じて現地の漁師に同行して実体の回収を行ってください。回収後、漁師および目撃者にはクラスA記憶処理を施してください。
SCP-XXX-JP-1およびSCP-XXX-JP-2のサンプルは海水の循環機能を備えた収容水槽にて飼育・管理されます。SCP-XXX-JP-1には餌として、一般的な可食の藻と、必要に応じて適切な種類のヤドカリ類のエキスを与えてください。SCP-XXX-JP-2には特に餌を与える必要はありませんが、品質保持のためには水質管理の必要があります。
20██/8/1 追加
SCP-XXX-JP関連実体を食したと思しき民間人の被験者および一部のDクラスは、現在エージェントと担当研究員により"カニ"の和名を持つヤドカリ類を摂食しないよう、監視が行われています。摂食の兆候を確認した場合、対象の意識をそれらから遠ざけてください。必要であればクラスB記憶処理剤の使用が許可されます。
摂食によるインシデント発生時は被験者および関係者にクラスB記憶処理を施し、現場の事後処理、被験者の医療機関への引き渡しを行なった後、怪我の内容およびそれに伴う手術痕、死亡事例それぞれにカバーストーリー"食器による刺傷事故"を被験者の状況に合わせ行ってください。
説明:SCP-XXX-JPはスケトウダラ(Theragra chalcogramma)と未知の甲殻類もしくは貝類と見られるDNA塩基配列を持つ魚肉から成るすり身もしくはかまぼこです。学術上におけるカニ類の持つDNA塩基配列との間には、特筆すべき類似性はありませんでした。
SCP-XXX-JP自体の異常性として、特定の種類の消費/賞味期限の記された缶詰にSCP-XXX-JPを充填し、蓋をすると密閉状態が形成され、石灰質の脚部が生成された後に、ヤドカリ類のような振る舞いを行い始めます。
これをSCP-XXX-JP-1と呼称します。
SCP-XXX-JP-1内部を透析する試みを行ったところ[編集済]のように内臓器官を形成しており、中空の脚部を通して餌を吸引して捕食活動を行っていることが明らかになっています。SCP-XXX-JP-1は草食性で、主に藻を主食としていますが、時折凶暴化しヤドカリ類を攻撃してその体液を吸収する習性があることが知られます。捕食に応じて成長し、缶詰ごとサイズが肥大する特性があります。
缶詰の蓋を開けるか、缶詰に記載の消費/賞味期限を経過するとSCP-XXX-JP-1は死亡し、脚部が崩壊・消失します。この時、形成された内蔵も瞬時に崩壊し、練り物のように均質化された状態になります。
この状態のSCP-XXX-JPは缶詰に充填した時点と比較してタンパク質、アミノ酸等の栄養価が与えられた餌に応じ上昇している代わりに、再び缶詰に充填してもSCP-XXX-JP-1に戻ることはありません。
また、ヤドカリ類の中でもタラバガニ(Paralithodes camtschaticus)やハナサキガニ(Paralithodes brevipes)など、「カニ」の名が付くヤドカリ類1の抽出物をSCP-XXX-JPおよびSCP-XXX-JP-1に投与すると、それぞれの状態を問わずその大きさに比例した"ズワイガニ(Chionoecetes opilio)"2の形状を模した甲殻を持つ実体に変形します(この時、SCP-XXX-JP-1は缶詰を突き破ります)。この実体をSCP-XXX-JP-2と呼称します。
死亡したSCP-XXX-JP-1もこの状態に変化しますが、こちらは自発的に動くことはありません。
SCP-XXX-JP-2の解剖の結果、一般的なズワイガニの足に相当する部位の肉の成分はSCP-XXX-JPにカニと称されるヤドカリのエキスが異常性を発揮せずに均質に練り混ぜられた状態の想定結果とほぼ同質ですが、筋繊維に近い状態を形作っています。
カニ味噌に相当する部位および甲殻の裏側表面には、本来カニ類およびヤドカリ類に含まれないコチニール色素の他、赤色2号・赤105号等の日本国内において禁止された合成着色料、および水中における可燃性のある[編集済]が多量に検出されました。
SCP-XXX-JP-2はサイズを肥大させることはありません。捕食活動を行わずに、蓄えられた栄養および水分のみに依存し活動します。鮮度を失い腐敗するまで活動は続けられますが、合成着色料の作用に加え、未知の要因により腐敗は非常に遅くなっています。
その特性から要注意団体である日本生類創研との関連性が推測され、調査が行われていますが、SCP-XXX-JPの詳しい起源は分かっていません。
補足:最も肥大したSCP-XXX-JP-1実例は、缶詰の直径が███m、全高が██mになり、自重によりその個体は移動が不可能な状態で収容サイト-81██近傍の地盤と一体化した状態で発見されています。当個体は、缶詰の消費期限の記載が[編集済]であり、捕食活動も問題なく行われているため現在も生存し、肥大を続けています。この個体がSCP-XXX-JP-2に変化した場合、地盤の崩落によるサイト-██の収容の破壊および生体濃縮の行われた過剰な量の着色料による海域汚染による付近の生態系への巨大な影響を及ぼすことが想定されます。そのため、ズワイガニなどが当個体に接触しないようサイト-81██の設備強化により隔離されています。
実験記録:
対象:D-XXX28
実験日:20██/4/29
実験担当者:██研究員実験内容:SCP-XXX-JP実体の摂食実験。
缶詰に充填する前のSCP-XXX-JPと、蓋を途中で開けたSCP-XXX-JP-1、賞味期限切れのSCP-XXX-JP-1の味覚面での比較。研究員:摂食実験を開始してください。
D-XXX28:なんか変なもの食わせられるって聞いたが、意外と美味いな……
研究員:ところで、あなたはカニカマがお好きだと聞きました。それが貴方をこの実験に起用した理由なのですが、間違いないでしょうか。
D-XXX28:ああ、よく食べてるよ。
研究員:今回の食品はその製品と関連性が強いと推測されます。2つの食品を比較した時の味の違いを教えてください。まずは、SCP-XXX-JPについて。
D-XXX28:わかった。こいつはカニくさくないだけで味は何の変哲もないあのカマボコそのものだな。…と言いたいが、実際のところ微妙に違う。なんか微妙にアクの強い味がしたな。
研究員:アクの強い?
D-XXX28:そう。貝のような、なんというか不自然なえぐみだ。カニの代わりに何かの肉が使われてるな。なんだこれ?人肉とか虫の肉でも驚かないぜ?
研究員:結構です。次はこちら、SCP-XXX-JP-1を。市販品のラベルが貼られていますが中身は別物です。
D-XXX28:うお、でかい缶詰だ。これは……身が詰まってるな。特上品みたいな感じだ。なるほど、さっきのよりも美味しくできてるな。だが……やはりカニっぽくない。ただ磯のニオイがキツイ。
研究員:最後にこちらをお願いします。
D-XXX28:ん?消費期限切れてんのこれ?まあいいや、こんな身分だしな。…なんか身が硬くなってパサパサしててあんまり美味しくないや。さっきまでの奴は一応プリプリしてて舌触りも良くて美味かったのに。
研究員:なるほど、老化によって食感が劣化するのですね…。本日は実験を終了します。
対象:D-XXX28
実験日:20██/5/1
実験担当者:██研究員実験内容:SCP-XXX-JP-2の摂食実験。SCP-XXX-JPおよびSCP-XXX-JP-1の3段階の変化に対応した3種類のSCP-XXX-JP-2を用意した。
研究員:本日はこちらを食べた感想をお願いします。
D-XXX28:お。本物のカニか?いや、流石にそんなことはないか。
研究員:これは先日の実験で貴方に食べていただいたSCP-XXX-JPのそれぞれの変異体です。ズワイガニの形状をしていますが、学術的にはカニと一切の関係がないはずです。まずは、SCP-XXX-JP無印が変化したこの実体から摂食してください。
D-XXX28:ん?学術的には?まあいいや。頂戴するよ。
D-XXX28:いや…食感はカニだが…これは、何だ?
研究員:どうされましたか?
D-XXX28:味が普通のすり身なんだ。カニ風味はまったくしない。この前食った、貝のような味すら消えている。物足りなくなったな…。
終了報告書:その後、SCP-XXX-JP-1から変化した二種のSCP-XXX-JP-2の摂食実験では、消費期限内に変異した実体からは濃厚なすり身の味がし、消費期限切れ後に変異した実体の味は[編集済]と訴え、後者を摂食した直後D-XXX28は激しい腹痛を訴えた。実験終了後、意識を喪失したD-XXX28は生体濃縮された合成着色料によって神経麻痺を引き起こしたものと診断された。
補遺1:20██/8/1、██博士によりSCP-XXX-JPの潜在的危険性の評価の見直しの為に追加実験が行われました。
追加実験1:
対象:D-XXX14、D-XXX37
実験日:20██/8/1
実験担当者:██博士実験内容:SCP-XXX-JPを摂食した後に、タラバガニエキスを原材料に含む食品、およびタラバガニそのものを食した場合の危険性の検査。D-XXX14、D-XXX37は近日中に終了の予定が割り当てられていた。
結果:両Dクラス職員の腹部、および背部を突き破り、SCP-XXX-JP-2の脚部複数が露出。両名ともに数秒後に失血および、臓器への損傷により死亡した。
コメント:想定通りの危険性だ。タラバガニとSCP-XXX-JPをわざわざ同時に食す場面はそう多く発生しなくとも、エキスが含まれる類似品と同時に摂食する可能性は高い。それに元々SCP-XXX-JP-2による食中毒は十分な被害を起こしうる上、未だにSCP-XXX-JP発見報告も絶えていないことから、現在進行系で生産されている可能性がある。オブジェクトクラスのEuclidへの変更を要請する。ー██博士
承認ーO5-█
補遺2:SCP-XXX-JP-1の脚部の中空構造に着目した██研究員により、さらなる追加実験が行われました。
追加実験2:
対象:D-XXX28
実験日:20██/9/9
実験担当者:██研究員実験内容:脚部を通じてSCP-XXX-JP-1を吸引する。
研究員:それでは実験を開始してください。
D-XXX28:これがおれの今まで食わせられてたものか。意外と可愛いが、こいつのせいでおれの身体は壊れたんだ。こやつめ(つつく)。容赦しねえぞ(ひっくり返す)。
(SCP-XXX-JP-1はひっくり返されてもがいているが、缶が平らなためにまったく起き上がることができない。)
研究員:その脚部を通じて、中身を吸い出すことはできますか?
D-XXX28:やってみるぜ。
(吸引されたSCP-XXX-JP-1はもがいてD-XXX28の顔を引っ掻いたが、しばらくすると動きが完全に停止した。D-XXX28は吸い取った内容物を吐き出した。)
研究員:味は、どうでしたか?
D-XXX28:最初に食べたあのえぐみの正体はこのなにかだった。これが何かしてるみたいだな。うぇー。
研究員:そうですか。ではタラバガニのエキスをそれぞれに投与します。
(SCP-XXX-JPの内臓と思われる物体と、残された缶にタラバガニのエキスを投与したところ、それぞれが形状をSCP-XXX-JP-2の構成要素に変化させた。内臓部位はズワイガニの甲殻に瞬時に変化し、缶詰は筋繊維質の魚肉に突き破られた。)
D-XXX28:うぉあぁ…そういうこと。あの時のカニが[編集済]たワケだ。
研究員:新しい実体の摂食を引き続きお願いします。
D-XXX28:わーったよ。でもこっちからで許してくれ。(割れた缶詰を手に取り、生えた脚を食べる)お?おお?うめぇぞ?こいつはほぼタラバガニだ。
研究員:やはり…。次はこちらの味噌をお願いします。データのためです。望ましくない結果は想定済みですが、我慢してください。
D-XXX28:………。
(SCP-XXX-JP-2甲殻内部の"カニ味噌"を食したD-XXX28は着色料アレルギーによるアナフィラキシーショックとみられる発作を起こし、意識不明に陥った)
研究員:医療班、D-XXX28の搬送をお願いします。…実験を終了します。
<記録終了>
コメント:どうやら、無理にでも"カニ"ではない要素だけで"カニ"にしようとしてしまったせいで、「食用としては」望ましくない物が完成したようです。ー██研究員
ここに思いついたtaleを。
「了解した。サイト-██にあるsafeクラスオブジェクトを輸送するように指示を出す。そしてそのサイトを直ちに閉鎖し、彼に戻ってくるようにその時まで要請するのだ。そうすれば、彼は鮮やかに"収容"されてくれるだろう。安心したまえ。彼はヒーローだからな。」
SCP-1973-JPの収容専用サイト-██の慌ただしく哀れな"職員"からのメールを読み、私はそれを受け流すように指示を出していた。
今現在こちら側で起きていることを端的に言うのならば、この世界は嘘吐きと真に受ける者による地獄絵図と化している。それを嘘だと流せるものたちだけが、今ここにいる。
今となってはもはやいつものように私は意図的に二つのオブジェクトの収容違反を起こしていた。しかし、これが日常と化したのにはとある理由がある。
すでに、彼(1973-JP)の特異性を今現在起きている事象への臨時対抗ミームとして、私自身が勤務するこのサイトに蔓延らせることには成功した。少なくともこのサイトだけは、無事でいられるだろう。
SCP-1973-JP。その影響力の凄まじさ故にKeter指定される、おそらくは人型の実体だ。
そして実のところだが、この私の主観によってオブジェクトクラスはThaumielに改定されている。もちろん、非公式にだが、いずれは本当になる。そう確信している状況だ。
なにしろ、少なくともデッドグリーンハウスの段階までこの世界ではK-クラスシナリオが起きてしまったからだ。各国の財団のThaumiel級のオブジェクト情報が次々と解禁・公布され、ガニメデ・プロトコルが実行下にあるそうだ。だが、それについては私は何も言う権限を持たない。持っていたとしても、それを働きかける先がなくなりつつある。O5の自己終了という真偽不明の話も耳にしている。
SCP-1973-JPは、人の目で見れば趣味が悪いほどに、子供がやりたいように何かに取り組み成功するという。そんな欲求が特異性になったかのような異常存在だ。報告書を読む限りでは、本人が極端な具体性のある魅力を持つことはないといわれるが、わかることが一つある。非常に負けず嫌いなのだ。
己の過去や現実、周りの能力を捻じ曲げてでも、それは自分を「一位」あるいは「勝者」でいさせようとする。自分のためになることならば何でもしようとするのだろう。
私は、個人的にそれが好きだ。我が子のように、愛おしいとさえ感じる。ありのままの彼が何者であるかに掴み所がないのも魅力だと私は思う。
そして、彼は彼自身を"喜劇"として描いている。仮に彼が齎すものが偽りの希望であろうと、彼自身の自己満足であろうと、いくつもの並行世界の末路が報告および観測されたこの世界においては、私たちが辿ろうとする道は死ぬよりはマシかもしれない。
一瞬そうした思考そのものが奴の異常性によるものではないかと理性を振り絞って自問自答したが、状況が状況だ。その異常性にかけてみる世界は、一つくらいはあっても良い。それに私は「彼」を特異性に依らず、いや、むしろその特異性そのものを好きでいると自負しているのだ。
彼の収容違反は私によって引き起こされた。
私は彼に支配されることを選び、このサイトの職員も全員彼の忠実な下僕として従えた。
私は彼の絶対的な味方だし、彼となら世界を救えるはずだ。
あるはずのない仮初めの絶望に対しては、仮初めの希望にすがるしかない。
我々は、この脅威を収容せねばならない。
アイテム番号: SCP-3519
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル:SCP-3519への"感受性を有する"人物が生き残っていないことから、これ以上の収容は必要とされません。感染は無力化したと見做されます。世界的メディアのかなりの割合が感染を媒介すると思われ、その収容は現時点の財団に可能な域を越えています。
この終末論に対して財団の研究部門は、その可能性を根拠の無いものとして数値により否定することができた。
そして今、もはや感受性など、我々にはない。私たちは既にこの世の終わりを乗り越えたはずだ。彼の強烈なまでの希望が、我々から感性を奪い去っていった。
[2019年3月6日 晴れ]
SCP-1973-JPが行方不明になった。彼は……ヒーローではなかったと言うのか?もしくは、それ自体がこの蔓延ったミームが告げる世の終わりそのものを示していたのか。
……しかし現在、すでにこのSCP-3519による自殺誘発ミームの脅威は過ぎ去っている。2度とこのミームが効力を発揮することはない。都合よく考えればこれはこれで一安心なのだ。そう。安全で、安心できる状況にある。私たちはいま、彼に守られた結果生きている。
……何はともあれいい天気だ。
(機密情報として扱う)
Unclassedレポーター
SCP-XXX-JP-J
オブジェクトクラス:— Euclid — Unclassed
特別収容プロトコル(未定):
1.虚偽の報告書をあえて書かせる?
2.記憶処理剤を用いて「Thaumielクラスが存在する」という事実をSCP-XXX-JP-Jに対し隠蔽する?
3.Keterクラスよりも脅威度の高いApollyon、およびAinクラス枠はもしもの時のために用意してあると認識させておく?
4.本人に対しその異常性はどう伝える?
5.彼に対して財団の技術をどれくらい伝える?
6.他の職員に対して隔離させる?
7.解雇して監視する?
説明(未定):
概要:SCP-XXX-JP-JはS/E/K分類に当てはまらないオブジェクトクラスを持つ"特別収容プロトコルを持ったSCP報告書"を書き、それをセキュリティクリアランスレベル4以上の職員を通して財団内の複数の職員に公開、評価されることにより、そのオブジェクトが実際に出現する異常性を持つ、セキュリティクリアランスレベル1の███研究助手です。彼の手により既に複数の"架空だった"Thaumiel分類のSCP-███-JP、SCP-███-JP、SCP-████-JPに関する報告書がレベル4セキュリティクリアランスを持つ██博士、およびRAISAに提出され、その全ての実体が出現しました。
未要約の背景:元々はセキュリティクリアランスの低い新人財団職員だったが、収容プロトコルの体裁を整えるレポートの改稿作業を行なっていた時に「"Keterの逆"の性質を持つオブジェクトが存在すれば良いのにな」と考えた彼、SCP-XXX-JP-Jにより、機密であるはずのThaumielクラスが割り当てられたSCP-████-JPの報告書を練習も兼ね執筆。その後、虚偽の報告書でありながら手違いによりRAISAに提出され内容が検証された。
その後、SCP-███-JP、SCP-████-JP実体が突如出現し、さらにその特別収容プロトコルが有効なものとして機能する上で実際にThaumielクラスに割り当てるのに相当する有用な異常性があることがO5評議会により認められたこと、それを書いた職員のレベルが1であったことにより、そのオブジェクトの出現が異常性によるものである疑いと、低級職員に対する機密漏洩の可能性が浮上。
しかしオブジェクトクラスの分類について確認のため「テスト」を行なったところ、当該報告書の提出者である彼を含む全てのレベル1〜2職員がS/E/K分類のみを回答した。
提出を行なった職員に対して、極秘のインタビューが行われた。
インタビューによると「Keterの逆のような希望になりうる異常存在が実在してくれと願いセフィロトの樹をクリフォトの樹に置き換えて対となるThaumiel分類の報告書を半分ほど冗談で書いたがThaumielというクラスが実在しているとは考えていない。あくまで架空のものとして書いてきた。」と答えた。その後彼が練習として書いて保存した他のThaumielクラスのオブジェクト報告書を確認したところ、特別収容プロトコルに改定の余地がないと判断されたSCP-████-JPに限り出現が確認。
また、オブジェクトクラス:███████の報告書も発見され、このオブジェクトクラス名にどういう意図があるのかと尋ねられたSCP-XXX-JP-Jは「財団は何の目的で動いているのかな、とふと考えて、その目的を突き崩すような異常存在を考えた。世界を救いたいという目的についてじゃなくて、そのオブジェクトを用いて█████を██████ということが本当に財団のやりたいことになるのであるのならば…」と回答。
その報告書もRAISAに提出され、その報告書が示す対象には"第二のSCP-001-JP"としてSCP-001-2-JP-Jのナンバーが割り当てられた。オブジェクトクラス分類名の意味は検閲の結果、O5曰く適切であるとの評価が下された。
事案:ミーム汚染を起こしクラス名を実在しないものに変化させるというオブジェクトを実験で執筆させると、彼が報告書もろともミームに曝露しつつそのオブジェクトの報告書を異常な状態で執筆したため[編集済]と言える結果になり、記憶処理が行われ、報告書は電子データ化しバックアップ、即時焼却が行われた。
当該オブジェクトは実在は確認されたものの、SCP-████-JPとして未収容状態である。
また、直接的に財団に有益な異常性質を持つオブジェクトは出現することがなかった。彼自身が「そんなものがあったら世界はとっくに救われてる」と考えたため、現実的に存在しうる範囲の異常性でSCPオブジェクトを仮想、そのうえでその異常性が間接的に「Thaumiel」になりそうな取り扱い方を考案した為である。
現在、「Thaumiel分類」の実在が彼に伝えられて以降、Thaumiel分類の異常存在を生み出す異常性が喪失。
未知の可能性や事故により突発的にミーム災害を生み出す可能性などによりThaumielクラスは彼自身には割り当てられることはなかった。
それ以外の方法では現実改変などの能力は行使できず、彼自身がそうした「SCPオブジェクト」であるために確保・収容・保護の三原則に従い、収容は財団職員として継続雇用という形で続けられることになった。Euclidが割り当てられないのは、彼自身が財団に対して有用性および未知性を秘めているからだということ、彼自体がUnclassed実体を多数生み出しうるからということが留意されたため。