文学のかみ

アイテム番号:SCP-915-JP

オブジェクトクラス:Safe

特別収容プロトコル:SCP-915-JPはその格納施設内において全期間に亘って、内容・サイズ・位置・形状に関して何らの自主変化も観察されていません。SCP-915-JPはサイト█の5×5×3メートルで一つのドアの付いたコンクリートの部屋に収容されています。外に武装した人員が1名配置され、許可を受けた人物のみがSCP-915-JPに接近することができます。そしてSCP-915-JP自体は無害ですが、その効果は不注意によって多大な害を与える可能性があるため、最大限の注意を払わなければなりません。

説明:SCP-915-JPは膨大な量の卓越した言い回しの文字が書かれた紙です。SCP-915-JPの特異性はその書かれた文字を人間が読むことで発現します。SCP-915-JPを人間が読むと、完璧なものを信仰し始め、その紙を完成させようとします。このミーム汚染は、Aクラス記憶処理をしたとしても12秒から4分の内に紙の内容を完璧に思い出し、周りの者に流布しようとするので、一度汚染された者は終了させる他ありません。紙の内容を可能な限りミーム対策し、可能な限り内容が分かるようにしたものに関しては、文書:915-1-O5を確認ください。文書:915-1-O5の内容から、「文学」という物を神のように崇めていることがわかります。

文書:915-1-O5
文学は倫理観点から基づいて、完璧に文学である。
向上性を持つ文学としたそれは、元の原点において文学であり、また、
豊かになりうる文学を映し出すそれである。
理想的社会を形成するものもまた文学であり、それを踏まえた上でまた一興の文学でありけり。
文学を生業とした剛掌なる薄氷を打ち破るのもまた文学であったのだ。
これらに基づき、
文学は頂点なる原点なりけり。
暗示黙示文学碑によると、文学の雷鳴が轟く時。
世界が文学に侵され、晴天も幽閉され、虚実をも文学にするのであろう。
それらを拒絶分離核する文学もまた、文学なりけり。
よって、
文学はこの世界を統括する情報思念体的存在であり。
人間により創作されたものの、我々は崇めなければならない。
文学に生贄として血肉を捧げ、幕表なる根源として現界させなければならなく。
それでいて邪神を模した文学を信仰し、善の神秘としても接さなければならない。
故に、それは全知全能である。
故に、我々は崇めなけばならない。
故に、愛さなければならない。
故に、祭らなければならない。
故に、崇拝しなければならない。
故に、溺れなければならない。
故に、完璧なる文学をそれ以上に我々自身が完成させなければならない。
それを正しく完成させ、完璧を超越した文学を我々は目指すのだ。
我々は間違い、正し、罰し、また間違い。
完璧とは程遠い存在だ、それ故人は足掻き、殺し、死ぬのだ。
文学を信仰せよ、汝。
思慮は罪と知れ。
文学を愛せ、汝。
愛は正義と知れ。
文学を信じれば己は救われる、それ以外も。
文学の素晴らしさに気づいた人間は、その後迷うことを知らぬと言う。
またある者は、世界の素晴らしさ、人間の愚かさ、神の完璧さに気づいたと言う。
完璧なる神は汝を見ている、汝は生かされている。
愚行を行うな。
思慮は罪と知れ。
目指せ、加担せよ。
完璧を作れ。
完璧ではない愚かな人間や汝でも、文学は見放さない。
文学は寛大であり、無慈悲だが冷酷ではない。
文学は文の素晴らしさだ。
しかし、文の素晴らしさは文学ではなく、その自由性にある。
汝も今この文を見て思う物があるはずだ。
文を大切にしろ、それは言葉を話す人間に与えられた唯一無二のものだ。
ここまで読み解いた汝にはもうわかるはずだ。
文学を崇めよ。
文学は

実験記録915-JP-1:SCP-915-JPをDクラス職員に少し読ませた後、制止する。

{録音開始}

████博士:その台の上に乗っている紙を読んでください。

D-1943:はいはい…

████博士:…えらく熟読していますね、読書の趣味は?

D-1943:いや、無い。むしろ勉強や字は嫌いな…

████博士:どうしましたか?

D-1943:おいこのかみ凄いぞ!!言っていることはよく理解できないが、なんだか凄い、凄いことを言っているぞ。

████博士:そうですか、では、読むのをやめて下がってください。

D-1943:読むのをやめろだ?何言ってんだお前!お前もこれを読んでみろよ!最初は何言ってるかわからないし、中身のないように思えるがこれはすごいぞ!!!!

████博士:読むのをやめないと射殺します。いいですか?よく考えてください。

D-1943:何言ってんだ!!!???おい博士、お前ペンか何かもってないか?俺がこれを完成させなきゃならない。

████博士:最後の警告です、読むのをやめなければ射殺します。殺されるのですよ?もう一度よく考えてください。

D-1943:お前も読んで見ればわかる!!!…そうか、お前そこからじゃ読めないな!よし、俺が読んでやるよ、えぇーと?文

████博士:射殺してください。

[発砲音]

D-1943:ハハッ!ありがとよ!これで続きが書ける。

████博士:急所を外したのですか?早くもう一度撃ってください。

[発砲音]

████博士:…終了を確認。

結果:Dクラス職員は制止を振り切り終了され、Dクラス職員は死ぬ間際自分から流れ出る血を使い、一行文字を書いた後、改行し最後の文字を「文学は」で終わらせました。

実験記録915-JP-2:SCP-915-JP:女性のDクラス職員にSCP-915-JPを少し読ませた後、ペンを持たせ数文字書かせ終了させる。

{録音開始}

D-4915:なに?あの紙はあんなに大事のように警備がいたけれど。

████博士:その台の上に乗っている紙を読んでください。

D-4915:はぁ…

████博士:読書の趣味等はありますか?

D-4915:私に?あるわけないでしょ、私の生い立ち知っているの?

████博士:いえ、失礼いたしました。

D-4915:ふぅーん、結構面白いじゃないこれ。

████博士:…

D-4915:…そうよね、やっぱりいるんだわ、神は。

████博士:興奮していますか?

D-4915:当たり前でしょ?これを読んで興奮しない人なんている?そうね、例えばここ、████████とした████文学███のとこなんて【削除済み】

████博士:あなたの胸ポケットにペンが入っているはずです。

D-4915:あら?いつの間に、これで完成させられる!おぉ!神よ!私に筆を授けてくれて感謝します!!!

████博士:今、どれくらい書きましたか?

D-4915:もう二行は書いてるわ!!どんどん書ける!!!!!

████博士:射殺を実行してください。

[発砲音]

████博士:終わり…ね…

結果:Dクラス職員は三行程書き、死の瞬間が分かったかのように、不自然な文章になることなく改行し、最後の文字を「文学は」で終わらせました。尚且つ、女性が書いたにも拘わらず、男性が書いたような言い方の文になりましたが、文の構成は前回の実験とは少し違うようでした。████博士は終了されました。

実験記録915-JP-3:言語を理解できない日本国外のDクラス職員にSCP-915-JPを読ませ、可能ならば執筆させる。(実験結果をまとめやすいように意訳をしています。)

{録音開始}

██████博士:あー聞こえますか?

D-9814:問題ないぜ。

██████博士:それでは、目の前に台があると思います。その台に乗っている紙を読んでください。

D-9814:もちろん。

██████博士:内容はわかりますか?

D-9814:なんだかすごい神聖なものだということはわかる。

██████博士:そうですか、では、あなたに渡したペンがあるはずです。それを覚えていてください。

D-9814:あ、ああ。

結果:この後特に進展はなく実験終了、次の実験に持ち越しになりました。

実験記録915-JP-4:前回使用した日本国外のDクラス職員と盲目の英語能力の貧しい日本人Dクラス職員をSCP-915-JP収容室内で会話させる。

D-9814:おい、お前。

D-1346:あ、あなたは誰ですか?

D-9814:は?何語だお前、英語は喋れないのか?

D-1346:何を言っているのか理解できない…博士!この人は何を喋っているのですか?

██████博士:…

D-9814:ところで、向こうに凄いことが書いてある気がする紙があるんだ、お前読めないか?

D-1346:紙…?それ、もっと詳しく!

D-9814:よく読めないんだが、所々されるたびに神秘を感じるんだ。

D-1346:それは…なんてすばらしい!!文学的に█████████な██はやっぱりいるんだ!すばらしい…

D-9814:お前…泣いてるのか?

██████博士:急いで殺せ!!!早く!!!!あぁ!クソ!!クソがクソがクソが!!!俺はこんなところで死ぬわけにはいかないんだ!!クソが!忘れろ!!!【規制済み】

[発砲音]

結果:読むことができなくても汚染され、その人間と会話しただけで会話が成り立たなくても伝染することが分かりました。これによりO5評論会にオブジェクトクラスの格上げが提案されましたが、オブジェクトクラスが上がることはありませんでした。██████博士は終了されました。