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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8133の低脅威物品保管用ロッカーに保管されています。SCP-XXX-JPを用いた実験を行う際はレベル3以上の職員2名の許可を得てください。SCP-XXX-JPは物理的施錠を施された特殊収容ユニットに保管されています。現在SCP-XXX-JPの内容の閲覧、及びそれを用いた実験は禁止されています。

説明: SCP-XXX-JPは全182ページの、一般新書と同等のサイズの書籍です。カバーには図書館の内部と思われる写真を背景に『すぐ実践できる!マインドパレス構築』と印刷されており、出版社や著者、バーコード等の情報は印刷されていません。内部には一切の情報が記載されておらず、全てのページが白紙に見えることが確認されています。SCP-XXX-JPの特異性は、その中身を約3秒以上視認した人物に対して発生します。SCP-XXX-JPに暴露した人物は「マインドパレス」あるいは「記憶の宮殿」の概念を理解したと証言するようになり、暴露前と比較し記憶力が飛躍的に向上します。

SCP-XXX-JPに暴露した人物が物事を「記憶する」もしくは「思い出す」際、対象は必ず想像上の図書館(以下SCP-XXX-JP-Aと呼称)の中に自身がいるというイメージを持つようになります。その内部にある書類や書籍、電子機器等の記録媒体を用い、対象が「記憶」をする場合は任意の方法で新たな情報を記録媒体に書き込み、「思い出す」場合は自身が想起したい記憶を見つけ出すというプロセスを踏むようになります。SCP-XXX-JP-Aを用いた記憶術は、オブジェクトに暴露していない通常の人間が訓練により習得できるものに酷似していますが、一般的にこの記憶術を用いる場合に使用される「想像上の空間」が対象に馴染みのある場所や宮殿、書斎等であるのに対し、オブジェクトに暴露した人物により構築されるSCP-XXX-JP-Aは必ず「図書館」であることが判明しています。

SCP-XXX-JPの効果は永続的で、暴露した人物に対して記憶処理を行った場合でもSCP-XXX-JP-A及びそれを利用した記憶術の概念を消すことはできません。ただし、記憶処理によりSCP-XXX-JP-Aの内部に存在する記録媒体のデータを消去することは可能であり、これにより表面上は一般的な記憶処理と同じ効果を得られることが観察されています。

SCP-XXX-JPは神奈川県███市の古本屋にて、休暇中のエージェントがその中身を閲覧し特異性に曝露したことにより発見、収容されました。SCP-XXX-JPの出版社、執筆者を特定、追跡する試みは全て失敗に終わっています。

インタビュー記録-XXX-JP-008 - 20██/██/██

対象: D-4903
インタビュアー: ██博士
付記: D-4903がSCP-XXX-JPに暴露した翌日に行われました。

<録音開始>

██博士: よろしくお願いします、D-4903。

D-4903: ああ博士、今ならなんだって思い出せるぜ。何でも聞いてくれ。

██博士: 早速ですが、今朝食べたものを思い出せますか?

D-4903: おいおい博士、流石にマインドパレスに行くまでもないぜ。食堂でバタートーストを食べたよ。

██博士: では今はマインドパレスには行かなかったのですか?

D-4903: いや、まぁ…行ったぜ。

██博士:行く必要がないのに行ったのでしょうか?

D-4903: いや、行く必要はないけど行く必要があるというか…思い出し方の概念が変わったというか…とにかく何かを思い出すときは自動的にマインドパレスに行くようになったんだ。

██博士: 今朝食べたものもマインドパレスのどこかに記録されているのですか?

D-4903: ああ…[3秒ほど目を閉じる] 1階の生活コーナーにある「食と健康」の棚に「毎食の記録」という本があって、そこに毎食記録してあるんだ。

██博士:なるほど。では、次の質問に移ります。今からちょうど1ヶ月前の██/██に食べた夕食の内容は覚えていますか?

D-4903: …ああ、食堂でカレーとチキンヌードルスープを食べたよ。

██博士:…急に声が暗くなりましたが、どうかしましたか?

D-4903: いや、なんか頭が痛くなって…

<録音終了>

終了報告書: 対象がオブジェクトに暴露する以前の記憶を問題なく想起していることから、以前の記憶もなんらかの形でSCP-XXX-JP-A内に保管されていると考えられます。また、D-4903をはじめとする多くの被験者がオブジェクトへの曝露後、過去の記憶を思い出す際に頭痛を訴えていることから、オブジェクトの人体への影響について調査を進めていく必要があります。

補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]