アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8168に建造された耐熱・耐爆機能を備えた100×100mの樹木管理用設備内に収容され、結実が確認された個体は冷却材を噴射しつつ速やかに伐採され、焼却施設にて処分されます。管理設備内での作業は耐火服及び簡易的な消火が可能な装備を装備したDクラス職員によって行われます。SCP-XXX-JPは肉眼での観察および非破壊検査では通常のクロマツとの判別が困難であるため、現在収容がなされていないSCP-XXX-JP個体の捜索には赤外線サーモグラフィを使用した温度計測が用いられています。20██/██/██時点で2██本のSCP-XXX-JPが回収され、うち██本が観察・調査用に収容されそれ以外の個体は焼却処分されています。現時点で収容がなされていないSCP-XXX-JPの本数は不明ですが、現在の捜索および回収された個体の観察から収集されたデータを鑑みSCP-XXX-JPの完全収容は凡そ10年以内で完了すると考えられています。
説明: SCP-XXX-JPは外見上は一般的なクロマツ(学名:Pinus thunbergii)に酷似した樹木です。サンプル採取はSCP-XXX-JPの持つ性質のために禁止されています。
SCP-XXX-JPの第一の特異性は何らかの理由で樹木に物理的損傷が生じた際に確認されます。SCP-XXX-JPが損傷を負うと本来のクロマツと比較して明らかに粘度が低い樹液(以後SCP-XXX-JP-1と呼称)が即座に流出します。SCP-XXX-JP-1は流出直後の時点で100℃前後と非常に高温であり、加えて空気と接触することで最大███℃に達します。SCP-XXX-JP-1は流出して約1~3時間で温度の上昇が収まり徐々に冷却され、最終的にはSCP-XXX-JPに生じた損傷を覆う痂皮状の結晶を残して消失します。SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-1の熱による影響は一切受けず、また損傷が生じない限り表面の温度は通常の樹木と何ら差異はなく直接接触による影響はありません。
SCP-XXX-JPの第二の特異性はSCP-XXX-JPが結実、成熟した際に発生します。SCP-XXX-JPの種子(以後SCP-XXX-JP-2と呼称)が成熟した後、不定期なタイミングでSCP-XXX-JPは内部から爆散し、周囲に大規模な火災を発生させます。その火災によって発生した局所的な上昇気流を利用して、クロマツと同じく種子翼を有する種子を上空2██mまで浮遊させ、広範囲に拡散させます。SCP-XXX-JP-2もSCP-XXX-JP-1による熱の影響を受けない事が確認されています。
上記の特異性により発見された山中に限らず広範囲にSCP-XXX-JP-2が広範囲に展開され、必然的にSCP-XXX-JPが分布している可能性が高いと考えられます。調査の結果SCP-XXX-JP群を収容した山中を中心として広い範囲で火元不明の不審な山火事が██件確認されました。
SCP-XXX-JPが発見されたのは京都府██市に存在する山中で、調査の結果とある個人の所有する私有地に密集して存在しており、捜査の結果2██本のSCP-XXX-JPが収容されました。
SCP-XXX-JPは本来のクロマツと比較して成長速度が非常に不安定であり、この性質は必然的に結実までの周期の不確定さも表しており、このため収容後しばらくの間はSCP-XXX-JPの持つもう一つの特性の発見を遅らせる結果となりました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、元来生息していた環境を模した10m×10m×5mの天井以外をコンクリートで囲われた収容房に収容されます。その特異性と攻撃性の為に人とSCP-XXX-JPの直接の接触を伴う作業は不適切であるため監視・給餌・収容房内の清掃・劣化確認等すべての作業はドローンによって行われます。
説明: SCP-XXX-JPは、外見上は一般的なツキノワグマ(学名: Ursus thibetanus)と酷似した生物です。生態・習性においてもツキノワグマと似通う点は多いですが、SCP-XXX-JPが本来のツキノワグマと異なる点のひとつとして、人を発見すると、より近くに別の食料があってもそちらを無視し人を優先して攻撃する傾向が挙げられます。これはSCP-XXX-JPが空腹であるかに関わりません。
SCP-XXX-JPの特異性は、SCP-XXX-JPが人(以下逃走者と呼称)を目視し、追跡を開始した段階から発現します。SCP-XXX-JPに追跡されている逃走者は、逃走する時間中不定のタイミングで徐々に常識的に記憶している言語等の忘却を認識し始めます。さらにSCP-XXX-JPは逃走者により長い時間自らの持つ特異性に暴露させるために意図的に追いつかない程度の速さで追跡を行うことが確認されています。そのため逃走者がSCP-XXX-JPの縄張りを離れ他者に遭遇したとしても、SCP-XXX-JPが近くにいることを警告することも助けを求めることも結果として非常に困難になります。この異常性により忘却した単語は記憶処理により一部は回復できることが確認されています。ただし曝露時間が長ければ長いほど、喪失する語彙は増加し、財団が確認できている限り最長の██分間曝露した逃走者は、言語能力を完全に喪失し、記憶処理によっての回復が不可能でした。SCP-XXX-JPが本来のツキノワグマと比較して嗅覚と持久力が大きく優れており、それに加え1度狙った対象を執拗に追い続ける性質を持つことも確認されており、この性質は収容に至る以前の被害拡大に至る要因となりました。
SCP-XXX-JPが発見されたのは19██/██/██、香川県██市のとある山中でした。本来であればSCP-XXX-JPの巣や縄張りの周辺に人が近寄ることは稀でしたが、近年における開発の手がSCP-XXX-JPの縄張りに接する地点にまで及んだことがきっかけで、開発関係者や近隣の住民への被害が発生したものと推測されます。財団が注目したのは、SCP-XXX-JPと遭遇・追跡されたが無事に生還した地元住民が周囲の知人に対し、「それが何かちゃんと分っているはずなのに、逃走中に出会った人にどうしてもわかるように説明する言葉が浮かばなかった。ど忘れなどではなく言葉自体が頭から消えてしまい、今もちゃんと説明ができない。」という旨の発言を繰り返し主張していた事です。これらの発言が切っ掛けとなり財団による調査が行われました。数日の捜索の後、財団の操作・研究チームはSCP-XXX-JPの巣を発見することができましたが、その特異性についての対策が不明だったため、その全員が症状の差はあれどSCP-XXX-JPの特異性に暴露する結果となりました。SCP-XXX-JPの攻撃により数名の負傷者が出たものの、最終的には麻酔銃により収容がなされました。
以下はSCP-XXX-JPの捜索、調査及び研究を行ったチームの1人であるエージェント・嵯峨根に対し行われたインタビューの音声記録です。
対象: エージェント・嵯峨根
インタビュワー: 七曜博士
<録音開始>
七曜博士: 本日は宜しくお願いいたします。
エージェント・嵯峨根: あぁ、宜しくお願いします。
七曜博士: さて、当時の状況は既に他の方にも幾度かお話されているとの事だったので、今回は特定の箇所に絞ってお話を伺いたいと思います。
エージェント・嵯峨根: えぇ、了解しました。
七曜博士: 第3回のインタビューの際、██博士に対して気になったことが有ると言いかけてやめた発言がありました。差し支えが無ければ、そのことについて教えていただきたいのです。
エージェント・嵯峨根: (約1分の沈黙)今更言うまでもない事ですが財団は扱う対象が何であれ、あくまで科学的に扱う組織です。ゆえに私の主観、感覚での話というものは持ち出すべきでは無いと思い伏せた事だったんです。ですが必要とあらば、お話いたします。
七曜博士: 是非、お願いします。
エージェント・嵯峨根: 私は財団に入る前の一定期間、資格を取得し猟銃を用いた猟を行っていたことが有ります。その際に幾度か熊……もちろん何ら異常の無い普通の熊ですが、それらにも遭遇したことが有ります。それらと例の熊……今はSCP-XXX-JPと名が付いているのでしたか。アレとを比べた際に、違和感を感じたんです。
七曜博士: 違和感とは?
エージェント・嵯峨根: アレは何らかの……普通の熊には無い「高い知性」があるように感じられたのです。その証拠と言えるかはわかりませんが、アレは自身に武器を向けたチームメンバーを優先的に攻撃していたように記憶しています。それに……
七曜博士: それに?
エージェント・嵯峨根: (何かを言おうと口を開くが、明らかに動揺した様子で無言のまま口をしばらく動かしている)……すみません、これ以上はお話出来そうにもありません。……これもアレの影響ってやつですかね。
七曜博士: いえ、ご助力感謝します。それでは、インタビューを終了します。
<録音終了>
補遺: エージェント・嵯峨根は当該事案の後、SCP-XXX-JPの異常性による言語能力への影響を取り除くため幾度かの記憶処理を施しているものの、SCP-XXX-JPに関する何か重要な情報を説明する言葉を取り戻せずにいます。現状推測の域を出ませんが、SCP-XXX-JPが特定の単語を「優先して」忘却させている可能性もあります。その場合、より危険な存在と認識する必要も出てくるかもしれません。
補遺: 20██/██/██ 、SCP-XXX-JPの収容房内の状態をカメラ付きドローン確認していた作業員が、収容房内に配置された岩に、鋭利な物体で文字が刻まれているのを発見しました。定点カメラの録画映像で確認を行ったところ、SCP-XXX-JPが自らの爪を用いて刻み込んでいる姿が確認されました。以下がその文章です。
コトバ アヤツル サル ホロボサレタ ドウホウ タチ ノ ウラミ(以下不明瞭)
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは施錠機能のつけられた収容ケースに入れた状態で鍵付きロッカーに収容されます。オブジェクトの個別運搬、調査の際は接触によるオブジェクトの異常性に罹患しないためにレベル3耐バイオハザードスーツを着用してください。
現在SCP-XXXはサイト‐81██にて合計███個が収容されています。
説明: SCP-XXXーJPは異常な性質を示す直径約5㎝のスーパーボールです。SCP-XXXは一見して通常のスーパーボールとの違いは無く、異常な耐久なども有していません。SCP-XXXーJPはすべて原料不明の5色(赤・青・黄・緑・白)の塗料で規則性のないマーブル模様に着色されています。サンプル検査の結果、塗料を除いて一般的なスーパーボールに用いられる材料との違いは有りませんでした。そのためこの塗料がSCP-XXXの持つ異常性に関係していると思われ、現在も調査が続けられています。また、この塗料は熱に非常に弱く、約███℃で焼却すれば完全に異常性を消失することが判明しています。
SCP-XXXーJPの異常性は人間の皮膚に直接接触した際に発現します。SCP-XXXーJPと接触した皮膚は接触点を中心に一見してSCP-XXXーJPの外見と同じマーブル模様に徐々に染まっていきます。この時点で接触面を切除すればそれ以上の被害を回避できることが判明しています。皮膚の変色は毎秒██㎜程の速度で拡大し、皮下組織に対してもおおよそ同等の速度で広がっていきます。罹患者は変色した組織周辺の触覚などの感覚が徐々に失われていく事を報告しており、その後完全に罹患部位の動作が不可能になります。そして変色が身体のおよそ██%に達した場合、臓器不全をはじめとする複合的要因により罹患者は死亡します。死亡後も身体の変色の速度は変化せず、最終的に罹患者の全組織がSCP-XXXーJPと同様の色に変化します。この状態の遺体を調査した結果、全身がSCP-XXXーJPを構成するものと同様の物質に置き換わっていることが確認されました。また完全に置き換えられた遺体は焼却されない限りその至る個所から不規則な速度で徐々にSCP-XXXーJPと同一のオブジェクトを発生させます。これらは発見されたSCP-XXXーJPと同一のサイズまで成長すると自重で遺体から切り離されます。遺体はその質量により変化しますがおおよそ██個から██個のSCP-XXXーJPを生成したのち急速に腐敗し、残留物は未知の現象をもって約██分で完全に消失します。
SCP-XXXーJPが最初に発見されたのは、20██年8月██日、██ 県警に女性から「息子が大量のスーパーボールを残して行方をくらませた」との通報の後に警察官が通報者の自宅を訪ねた際、「全身がマーブル模様に変容した女性の遺体を発見した」との報告を財団のエージェントが入手し、スーパーボールと遺体の共通点を見出し、調査した結果収容に至りました。幸い発見者である警官はSCP-XXXーJPや遺体に直接接触していなかったため異常性に罹患してはいなかったため、Bクラス記憶処理を行った後に解放されました。近隣住民にはその家に住む親子が母子家庭で経済的に困窮していたという噂が広まっていたため、カバーストーリーとして「夜逃げ」という偽装情報が流布されました。該当地域では毎年8月に夏祭りが開催されており、件の親子もその祭りに参加していたことが聞き込みや家宅の捜査で判明しています。おそらくその夏祭りにて何者かがSCP-XXXーJPを販売していた可能性が高い為調査が行われていますが、現在も販売者とされる人物への足取りはつかめていません。また、調査の結果周辺地域でその夏祭りの日から数日以内に一家全員が行方不明になる事案が█件発生していることがわかりました。通報がなされなかったのはおそらく保護者である大人が先に接触し死亡したため子供がどう対処すればいいかわからずにSCP-XXXーJPあるいは遺体に接触、結果二次被害によって死亡した為と思われます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の標準型飼育セルに収容されます。給餌に関しては一般的なニホンタヌキが摂食可能な飼料を1日2回与えてください。また、水の代わりにアルコール(一般的に日本酒と分類されるアルコール飲料)を与えてください。適宜の補充が必要ですがオブジェクトが1日█L以上のアルコールを摂取しないようにしてください。規定値に迫る量を摂取したことが確認された場合、翌日の補充量を減らしてください。揮発したアルコールの大量吸引による影響を防ぐため収容セル内での清掃や飼料の補充を行う職員は防毒マスクの着用が推奨されます。
説明:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明: