horuten777

嘲笑するボトルメール

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 日本国内の海岸線の██%は現在レーダーにより監視されています。漂流してきたガラス瓶が確認された場合、女性職員によって回収してください。SCP-XXX-JPの異常性が発現した場合、曝露男性が確認でき次第速やかに拘束してください。SCP-XXX-JPの曝露者は入国審査の際、入国理由で「運命の人に会いに行くため」と答えるため、同様の回答をした人物は拘束し、尋問してください。死亡した際にカードのようなものを所持していた遺体は、速やかに財団エージェントに回収させてください。SCP-XXX-JPによる事故が発生した場合、関係者と目撃者にはAクラス記憶処理を適用してください。現在SCP-XXX-JPに関する実験は禁止されています。

説明: SCP-XXX-JPは不定期に日本国内の海岸に漂着するガラス瓶です。SCP-XXX-JPは直径6cm、高さ12cm程の大きさで、無色透明です。SCP-XXX-JPがどこから漂流してきているかは不明です。SCP-XXX-JPの中には「あなたの事を待っています」と黒鉛筆で書かれた1枚の手紙が入っており、コルク栓で封をされています。SCP-XXX-JPの異常性は手紙の文章を理解することが可能な成人男性が手紙の文章を読んだ時に発現します。1度異常性を発現させたSCP-XXX-JPは異常性を失います。

手紙を読んだ曝露男性は既婚者か独身者かにかかわらず、日本国外に自分の運命の女性がいると考えるようになります。曝露男性に行ったインタビューでは、運命の女性がいる場所を把握していると回答しており、他の曝露男性に関しても同様の回答が得られました。曝露女性が誰であるか把握している曝露男性は確認されていません。SCP-XXX-JPの異常性が発現した段階で、日本国外に在住しており、曝露男性と同年齢である女性1人の手に紙製のカードが出現します。カードには黒鉛筆で「今から会いに行きます」と女性が主に使用する言語で書かれており、女性(以下曝露女性)がカードの文章を見たか見ていないかにかかわらず、曝露女性は運命の男性が会いに来ると考えるようになります。

曝露男性は曝露女性に会いに行かなければならないという強迫観念に取りつかれ、曝露男性が取ることのできる最速の手段で曝露女性の元へ向かおうとします。上記に伴う行動として、パスポートを所持していないため習得する、飛行機に搭乗できるだけの金銭を所有していないため所持している資産を売却する、などが確認されています。曝露男性が公共交通機関を利用可能な金銭も資産も所持していなかった場合、曝露男性は水泳によって曝露女性の元へ向かおうとしますが、全てが体力の消耗といった理由により失敗します。曝露男性が死亡した場合、曝露女性に発現した異常性は消失します。曝露女性の元へ向かう曝露男性を拘束した場合、激しく抵抗します。

曝露男性が曝露女性の元へ到着すると、曝露者は互いに好意を抱きます。この段階までは曝露者にBクラス記憶処理を適用することによって、曝露前の状態に戻すことが可能です。その後曝露者は自由に行動しますが、曝露女性は曝露男性と出会ってから1時間以内に何らかの人的要因が絡んだ事故により死亡します。曝露男性は曝露女性が死亡したことにより強いショックを受け、事故の原因となった人物(以下原因人物)を憎悪し、殺意を抱きます。この状態になった曝露男性は記憶処理を適用しても、事故の原因となった人物への殺意を失うことはありません。原因人物は心的外傷後ストレス障害を発症します。原因人物に対して記憶処理を適用した場合事故に関する記憶は失われますが、心的外傷後ストレス障害を治療することはできません。

インタビューログ: SCP-XXX-JP-A
インタビュー対象: ████
インタビュアー: ██博士
付記: ████は財団が初めて確認したSCP-XXX-JPに曝露した男性です。████は████年█月██日に████でSCP-XXX-JPに曝露しました。

<記録開始>

██博士: それではインタビューを開始します。 まず、[編集済](曝露女性)さんが死亡した時の事故の様子に関して教えてください。

████: [数秒沈黙] いきなり工事現場の方から、物凄く長い鉄骨が倒れてきたんです。彼女はずっと僕の隣を歩いていたんですが…[嗚咽]

██博士: 大丈夫ですか?

████: はい…鉄骨が倒れてきた瞬間だけ、彼女は一歩先を歩いていて…彼女だけが鉄骨の下敷きになったんです。いきなりの出来事で何が起こったのかよく分かりませんでした。直ぐに[罵倒]が数人工事現場から出てきて、彼女を見て青褪めた顔をしていましたよ。そこから先は全く覚えていません。後から聞いた話だと、僕は[罵倒]に殴りかかっていたらしいですが。

██博士: [編集済]さんとはそれ以前に面識がありましたか?

████: 全くありません。顔も名前も知ったのはあの日が初めてです。それでもあのボトルメールを見た時から、[編集済]で待ってくれている彼女が自分にとっての運命の人だと確信していました。だから取ったこともないパスポートを取って、乗ったことのない飛行機にも乗って[編集済]に来たんです。彼女はやっぱり[編集済]で待ってくれていた。僕の理想の全てが詰まった人がそこにいた。それなのに、それなのにあの[罵倒]が全てを奪ったんだ! (████が興奮し暴れ始めたためエージェントが拘束) [罵倒]はどこにいきやがった! [罵倒]

<記録終了>

後記: インタビュー終了後████にBクラス記憶処理を適用したところ、SCP-XXX-JP、曝露女性、事故に関する記憶は失われましたが、事故の原因となった工事の安全管理者及び作業員に対する殺意は失われませんでした。現在████はサイト-████で拘束されています。

後記2: 倒れた鉄骨は本来、事故当日に設置される予定のものではありませんでした。作業員及び安全管理者にインタビューを行ったところ、全員から「工事は█████████という人物から指示された」との回答が得られました。また、全員が「█████████は自らの直属の上司である」と回答しました。しかし、工事を担当した██████████社に█████████という名前の人物は存在しませんでした。事故は鉄骨を立てる際に釣り上げるワイヤロープの一部に亀裂が入っていたことが原因でしたが、断裂したワイヤロープは事故の一週間前に定期検査によって異常がないことが確認されていました。

補遺: 財団が把握している曝露女性の死因となった事故の内、工事中の何らかの安全確認ミスによって引き起こされた事故の全てが、本来当日は行われるはずの工事ではなかったことが確認されています。曝露女性の死因にはひき逃げ、ベランダからの落下物、強盗事件鎮圧の際の流れ弾がありますが、いずれも曝露男性に被害は出ていないためSCP-XXX-JPは現実改変能力を有している可能性があります。また、原因人物の全員が事故の原因について█████████の関与を供述していますが、█████████と思われる人物の姿は確認されていません。