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実験記録XXX-1におけるD-7763

アイテム番号: SCP-XXX-JP 

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPは、サイト-81███にある標準収容ロッカーに収容されます。ロッカー内の酸素濃度は22%以上を維持し、24時間毎に酸素発生器のメンテナンスを行って下さい。

当該オブジェクトを用いた実験はセキュリティクラス3以上の職員の許可を得た上、非生物又はDクラスのみを対象として用いて下さい。また、実験の際に直接皮膚が触れることのないよう、新品で厚手の手袋を必ず着用して下さい。

説明: SCP-XXX-JPは7.5cm × 7.5cm × 22cmの紙箱に収納された、異常性を持つ50m巻きの一本のラップフィルムです。肉眼では一般的な食品用ラップフィルムと区別できませんが、サンプル調査の結果、未知の塩基配列の遺伝子を持つ細胞組織が膜状に結合したものだと判明しています。(この細胞組織をDNA検査にかけた結果は、”概ねヒト”でした。)

SCP-XXX-JPの異常性は、ロールから切り離された際に発現します。切り離されたSCP-XXX-JPが生きたヒトの皮膚に触れた場合、対象の皮膚と組成を瞬時に同化させ、拒絶反応を引き起こすことなく細胞単位で恒久的に癒着します。この異常性は切り離されてからも永続的に保持されますが、当該オブジェクトを150度以上に加熱するか-40度以下に冷却する、又はph値0.7以下の酸に浸すことで無効化できます。

癒着自体は苦痛を齎すことなく完了しますが、一旦癒着したSCP-XXX-JPを除去しようとする試みは、たとえ1mm程度の裂傷であっても、激しい苦痛と通常その程度の傷口からは有り得ない量の出血を齎し、結果として対象のショック死を招きます。SCP-XXX-JPは皮膚以外の部位(毛髪・臓器・骨など)、死亡したヒトの皮膚、ヒト以外の動植物、非生物には癒着しないことが判っています。また、SCP-XXX-JPは市販されているポリエチレン製ラップフィルムと同程度の耐熱・耐融性を持ち、食品に対して使用することも可能です。

SCP-XXX-JPは空気中の酸素からエネルギーを取り出し、自己増殖することで質量を保とうとします。酸素濃度が17%以下になるか質量が345gに達すると、自己増殖を停止することが確認されています。酸素濃度をさらに下げる試みは、当該オブジェクトの破壊を招く恐れがあるとして禁止されています。

詳細な情報は以下の実験記録を参照してください。

実験記録XXX-1 - 日付2017/2/9

対象:D-7763 モンゴロイドの20代男性。事前の健康診断で異常なしと診断。

実施方法:対象の顔の上半分を覆うようにSCP-XXX-JPを貼付する。

結果:SCP-XXX-JPは問題なく癒着。対象の鼻孔・眼窩・外耳は消失した。CT検査の結果、鼻腔・眼球・中耳・毛髪など、癒着面の内側に位置する器官は保持されていた。SCP-XXX-JPを外科的に除去する試みは、全身麻酔を施されていたにも関らず対象が突如覚醒し暴れ始めたため失敗。対象はその場で終了された。

分析:癒着面にしか効果は現れないようだ。次回実験では実用的な利用法を検討してみようと思う。 - 上羽研究員

実験記録XXX-2 - 日付2017/2/15

対象:D-7764 モンゴロイドの40代男性。事前の健康診断で肝機能に軽い障害が発見されたものの、実験に影響なしと判断。

実施方法:対象の右膝に軽度の擦傷を負わせ、その箇所にSCP-XXX-JPを貼付する。

結果:SCP-XXX-JPは問題なく癒着。擦傷による出血は停止した。対象への聞き取り調査の結果、痛みも消失していることが確認された。

補遺:後日、D-7764はサイト-002内を移動中、誤って転倒した際に死亡した。検死の結果、死因は極度の激痛と大量出血によるショック死と判断された。D-7764は転倒時に右膝を打撲し、SCP-XXX-JP貼付面を損傷していることが判明している。

分析:二度と同じ箇所を傷つけなければ優れた絆創膏として機能するだろう。 - 上羽研究員

実験記録XXX-3 - 日付2017/2/27

対象:小島研究員の愛妻弁当

実施方法:対象にSCP-XXX-JPを貼付し、500Wの電子レンジで2分間加熱する。

結果:対象は事前の予想通り暖められ、小島研究員はそれを美味であると報告した。SCP-XXX-JPに温度上昇以外の変化は見られなかった。

分析:大成功だ。彼の親指と人差指が永久に離れなくなったことも含めて。 - 上羽研究員

補遺: 上羽研究員は2017/2/28日付けでDクラスに降格されました。小島研究員によるD-8001(元上羽研究員)を対象とした実験申請は現在保留されています。

あの野郎・・・いえ、ヒトの[データ削除済]にSCP-XXX-JPを貼付し経過を観察するだけの、ごく平凡な実験です。数日中に許可が下りることを期待していますよ。 - 小島研究員