
麻雀に興じる田辺雑務員
名前: 田辺真陽色(Tanabe Mahiro)
セキュリティクリアランス・クラス: レベル2/C
職種・役職・所属: 雑務員/財団マインドスポーツ連盟加盟員/財団麻雀部々員/パン・ノスタルジア倶楽部会員等
実績: 財団ピクトグラム更新への関与/関東管区財団麻雀選手権準優勝/東日本地域三人麻雀最強決定戦準決勝進出/年忘れ麻雀大会20██・本選進出等
人物: 女性。199█年4月21日生まれ。埼玉県██市出身。
田辺雑務員は、サイト-81██に所属している雑務員です。主に雑書類の整理・会計管理・物品の搬入及び搬出の補助・Anomalousアイテムの点検を担当しており、表向きは財団フロント企業『雀荘 青天井(Sky-blue Ceiling: Mahjong Parlor)』の従業員兼メンバーです。
性格は『内気ながら積極的で、芯が意外としっかりしている』と評されており、業務については優秀な成果を出し続けています。一方で財団の『残酷ではないが冷酷である』側面や組織体制の非効率的であると見做す箇所の現状については非常に懐疑的であり、しばしば倫理委員会との癒着・関与が噂され、そして第三者による調査を以て反証されています。
田辺雑務員は『財団職員にしては普通な人物である』という旨の発言を初対面の財団職員から極めて高い確率でされており、その事に強烈な劣等感を抱いています。一方で彼女との交流を持つ職員には『無類の麻雀好きで、雀豪でもある』、あるいは『似顔絵が得意である』ことで知られており、特に麻雀を嗜む財団職員からは好印象を持たれています。
田辺はんよう『普通やね』言われとるそうやけど、ボクにはそうは見えへんなぁ。
- エージェント・████普通じゃなさすぎる人に言われてましても……。 - 田辺雑務員
彼女には是非とも財団麻雀教室に来てほしいアル。待ってるヨ! - エージェント・許
ヤマアラシと呼ばれる彼女の実力……。今度は四麻で、確かめたいな。 - 骨折博士
……財団麻雀部は、部員をいつでも募集しています。 - 田辺雑務員
人間型SCiPでも、頼めば描いてくれるのかな……? - 土橋博士
田辺雑務員はかつて、イラストレーター志望の就活生でした。しかしSCiP-████-██を巡る一件に巻き込まれた際、常人と比して極めて冷静かつ的確な行動を取っており、その事が財団の興味を惹きました。財団に保護された後、曝露の影響の治療を受けましたが、氏に対応した職員の提案により記憶処理・解放は行われず、採用試験を受けました。結果、全項目において及第点以上を記録し、雑務員として雇用されました。
使用画像(加工済み)
https://www.pakutaso.com/20150644175post-5666.html
モデル:米崎奈棋さん
- 試案
- SCP-XXX-JP ペルソナは割れない(途中)
- 五月雨連れた僕
- SCP-XXX-JP ミスター・ひとはにどしぬ
- SCP-XXX-JP 日奉櫻
- SCP-XXX-JP Wunderbare Westerlies Wale
- SCP-XXX-JP 博士の楽しい! エアガンセット(途中)
- SCP-XXX-JP 博士のトイガン(途中)
- SCP-XXX-JP 日奉和
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の、標準人型収容室へ収容します。SCP-XXX-JPには被服を一切与えないでください。
説明: SCP-XXX-JPは、収容当時(201█/██/██)18歳であった日本人女性です。公的にはカバーストーリーにより、失踪宣告を受けています。
SCP-XXX-JPは自身を視認する者(以下、観覧者)に対し、身体の露出の程度、被服の着脱、及びその補助に対する認識を反転させます。また、SCP-XXX-JPがTPO1に適さない服装をしていると認識した観覧者は衝動的に、SCP-XXX-JPへTPOに適した服装をさせようとします。
SCP-XXX-JPは201█年██月██日、『裸体の女性が歩いている』という通報から財団に認知されました。警察内潜入中の職員が駆け付けたところ、通報者であるSCP-XXX-JPと遭遇。裸体の女性が自分であるとする発言が対応職員の当該オブジェクトに対する認識と矛盾していたことなどから特異性の保有が疑われ、保護されました。その後、身体検査と後述のインタビューにより着衣の状態について実際と認識の間に明確な矛盾が認められ、SCP-XXX-JPに指定されました。
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: エージェント・黒戸
付記: インタビュー当時、SCP-XXX-JPはSCPオブジェクトに指定されていなかった
<録音開始>
[重要度の低い内容のため省略]
エージェント・黒戸: では、[SCP-XXX-JPの本名]さん。覚えている範囲で構いません。ここに来るまでのいきさつを話してください。
SCP-XXX-JP: はい。今朝、起きて親と会ったら『下着姿で出てくるなんてどうしたんだ』と驚かれたんです。もちろんこの時はパジャマ姿でした。
エージェント・黒戸: パジャマを着ていて下着姿呼ばわり?
SCP-XXX-JP: はい。それで、親は『そんな恰好じゃ寒いだろう。ちゃんと服を着なさい』と言いながら……。
エージェント・黒戸: 服を脱がしてきた?
SCP-XXX-JP: そうなんです。わけも分からず、抵抗もままならず……。リュックだけで、外に追いやられました。
エージェント・黒戸:
SCP-XXX-JP:
エージェント・黒戸:
SCP-XXX-JP:
エージェント・黒戸:
SCP-XXX-JP:
エージェント・黒戸: 気付いたこと?
SCP-XXX-JP: はい。自分を飾るのはなにも、悪いことばかりじゃないんだ、と。
<録音終了>
終了報告書:
- scp-jp
- Safe
- 人間型
- 生命
- 強制力
- 観測
- 概念
羽田を発ったボーイング737-800が、熊本へ向かっている。機内は空調と多少の話し声、そしてエンジン音を除けば静かであり、乗客は快適な空の旅を楽しんでいた。
エージェント・町支は、そんな乗客の一人である。彼は窓の縁で頬杖をつき、機内の動向を見ている。無論、そこに異常がないかを見張るためである。
(GoIの連中と居合わせる心配も、異常な存在や現象も今のところ無し。このままいけばいいが……)
コーヒーをちびりと飲み、唇を湿らせる町支。客室乗務員の闊歩を眺め、時に窓外を見やり、乗客へも目を配る。この調子が続いて欲しいと、この時彼は願っていた。
だが、近畿が窓に入り出した頃、会話がどこか変である事に気づく。『たとえ』に、妙な聞き覚えを感じたのだ。
「電話しょっちゅう掛けるの控えてほしいんだけどぉ? 何が怖いの?」
たとえば、彼氏らしき男をいびる女性の言葉に。
「叶わない恋って、分かっていても諦めきれないよねぇ」
「だな。別れるって知ってたら、いっそ友達のままでいい、ってなるよな」
色恋の話に盛り上がる青年達の掛け合いに。
「今のあたしじゃ、あなたの胸に飛び込むには早いわ……」
眠たげな眼をした清楚な女性の、惚気た言葉に。
そして左端のある列の男には、幼さのちらつく少女がもたれていた。瞳は興味で煌めいており、男と共に、海を見ていた。
これらが偶然の範疇であって欲しいと、町支は祈る。財団職員であるとはいえ、町支は面倒事を好かない性分だ。こと異常案件ともなれば、尚更の事である。また、財団がありがたがられる状況が異常であることも承知していた。だからこそ彼は、それが異常ではないと信じたかった。だが。
「――そこで用いた表現が、『盲目の時計職人』だ」
唐突な言葉に、町支は含んだコーヒーを吹き出しそうになる。たしかにドーキンズは比喩の名手とされているし、そこが共通項と一応は言えるが、この場では明らかに浮いていた。町支は心中ツッコミを入れつつ、念のためにと対精神影響剤を服用する。
場に不似合いな音が響いたのは丁度、町支に対精神影響剤が効きだした頃である。その出元は、乗客の一人が弾き始めていたアコースティックギターであった。
苦い顔を浮かべる町支をよそに、一人、また一人と乗客は持ち込んだギターを取り出し、弾きはじめる。
ある者は『キャラバン』を。またある者は『パイプライン』を。あるいは、『枯葉』を。
いずれにも稚拙さは見えず、また迷惑がる者もいない。さすがの町支もその光景を、異常案件であると認めるしか無かった。数多の疑問を抱えたまま、町支は近傍のセキュリティ施設との通信を試みる。英語圏以外でのSCP-905-JPの発生が未確認である以上、管制塔のこの現象の報告が遅れると考えたためである。
「81施設群ファシリティーズっ、こちらエージェント・町支! SCP-905-JPに類似した現象が発生中!」
返答は無い。遠いやり取りも、空調の音も聞こえない。代わりに何かの低い音だけが、かすかに届く。周囲の異常な喧騒が、邪神の嘲笑のように聞こえる。
「大丈夫ですか?」
透明で強かな声が聞こえ、町支は振り返る。そして、声を失った。
少々太った体つき。丸みを帯びた顔。白シャツとネクタイ。一般の会社員と見紛う、しかして美声を備えたその者の出で立ちを、忘れるはずが無かった。声の主はアコースティックギターを弾きながら、町支に声を掛ける。
その者『ら』は機内各所の扉から出現しており、その数は視認できるだけで10人に迫っている。
「あなたも僕たちと、歌いませんか?」
乗客はギターの演奏に合わせ、手拍子を交えて歌っている。彼は声量豊かな歌声を響かせ、乗客に驚嘆と感銘をもたらしている。通信は相変わらずの調子だ。
くぐもった笑い声を出し、町支は天を仰ぐ。その頬は濡れていた。
いつの間にやらか、窓外では雨が降り出していた。戻ってこれないはずの者の帰還に、ひどく感動したかのように。
そんな五月雨の中、祭事は盛り上がりを見せる。長く、長く、祭事は続いた。
扉の先からの、悲鳴をよそに。
20██/06/24、離発着先が羽田、広島、熊本のいずれかである旅客機の機内にて、SCP-905-JPに類似した現象(以降、SCP-905-JP-█に指定)が発生しました。
SCP-905-JP-█の発生中、日本人の身体的特徴を備えた40代ほどの男性型実体(以降、SCP-905-JP-█-1に指定)が█体から██体出現しており、曝露者はこれを全て「村下孝蔵であった」と、また同時にSCP-905-JP-█を「村下孝蔵の機内ライブの夢」と認識していました。
羽田発熊本行ボーイング737-800に居合わせたエージェント・町支の証言から、SCP-905-JP-█発生中の機内では時間の遅延が発生していたこと、機内のトイレやクルーレストの扉が広島県広島市安佐南区の喫茶店『赤い屋根』と接続されていたことが判明しています。前者は機内との会話が行えなかった直接の理由であると推測されます。
曝露者は空港到着後、財団職員によるインタビューの後に記憶処理を受けました。赤い屋根関係者に対しても同様の処置を翌日までに行っています。なお、SCP-905-JP-█-1の確保には失敗しており、機内に存在しなかった楽曲の音源の出元、照明の一時的な有彩色化などと並行して実体の究明が進められています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、防音処理を施した人型標準収容室へ収容します。外部の情報、特に人物の死亡についての情報及びそれを取得する機会は一切与えないでください。
説明: SCP-XXX-JPは、[編集済]高等学校の平成八年度生の一人、██康二の人格です。SCP-XXX-JPの肉体はSCP-XXX-JP-Aに指定されます。疼痛恐怖症の保有と特異性を除いて、通常の人間との明確な差異は確認されていません。なお、██康二は1996年6月21日に交通事故により死亡したと記録されてあります。
SCP-XXX-JPは、存命であると認識していた人物(以降、SCP-XXX-JP-Bと表記)が死亡し、かつその事実を認知すると、その時点までの過去を『SCP-XXX-JP-Aは改変前のSCP-XXX-JP-Bと同時刻に死亡し、また、改変後のSCP-XXX-JP-BはSCP-XXX-JPが死亡を認知した時点まで死亡していない』という形へ改変します。その際、SCP-XXX-JP-Bの人格はSCP-XXX-JPのものへ上書きされ、SCP-XXX-JPは改変後の世界におけるその時点までのSCP-XXX-JP-Bの記憶を獲得し、SCP-XXX-JP-Bを新たなSCP-XXX-JP-Aとします。
SCP-XXX-JPは、時間異常対応部門が1996年7月██日以降に不定期に検知していた過去改変の効果流の起点の捜索中、1999年██月██日に吉崎研究員補佐が先述の過去改変の起点である事を証言した事により発見されました。その後、インタビュー(後述)においても事実と異なる発言を繰り返しており、これが過去改変の結果であると推測されたため、吉崎研究員補佐をSCP-XXX-JPに指定・収容しました。
インタビュー記録XXX-JP-1 - 1999/██/██
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: 村上研究員
<録音開始>
村上研究員: 吉崎研究員補佐、いえ、██康二さん。覚えている範囲で構いません。今のような状態になった経緯を教えていただけないでしょうか?
SCP-XXX-JP: はい。あれは1996年の、もうすぐ7月って時だったと思います。佑奈と、いわゆるデートをしてました。
村上研究員: 佑奈とは誰でしょうか?
SCP-XXX-JP: █佑奈。俺の同級生です。それで、信号が変わるのを佑奈と交差点で待っていたんです。そしたらそこに車が吹っ飛んできて、それに二人してぶつかりました。
村上研究員: 吹っ飛んできた、とは?
SCP-XXX-JP: 文字通りの意味です。普通に走ってたと思ったら急に横に回りだして、こっちに突っ込んできたんです。それで、気が付いたら病院で寝ていて……。佑奈は……、ほぼ即死のようでした。
村上研究員: ……病院では何を?
SCP-XXX-JP: 警察の聴取を受けたり、家族が見舞いに来たり……。リハビリも多少は受けました。そうして7月になってすぐに、退院しました。
村上研究員: ……退院後はどうしていましたか?
SCP-XXX-JP: それからは……。暇があればなるべく、外出していました。佑奈を思い出してしまうので……。それで、夏休み前の夕方だったと思います。公園で、俺に若い男が話しかけてきました。
村上研究員: どんな人物か、思い出せますか?
SCP-XXX-JP: えっと……。20代ちょっとくらいに見えました。けど、妙に古臭い服と着こなしで、頭は丸めてました。だから、顔立ちも込みで、こう、軍人みたいな……。そういう雰囲気の人だった。そんな記憶があります。
村上研究員: そうですか。それで、その男とは何を?
SCP-XXX-JP: 会話をしました。俺が落ち込んでるわけを聞かれて……。佑奈が死んだってのが、嘘であって欲しい、って。そしたらその人、嘘にしてやるって言い出して。そうするために付いてきてほしい、って。
村上研究員: 不審とは思いませんでしたか?
SCP-XXX-JP: もちろん断りました。けれど突然、後ろから誰かに目を覆われ、首を絞められ……。……次に目を覚ました時、私は佑奈としてその自室にいました。
村上研究員: 佑奈として? 先ほど事故死したと言っていましたが……?
SCP-XXX-JP: はい。頭が、どうにかなりそうでした。佑奈の体で、佑奈の記憶が入ってて、けど心は俺のままで……。それに、佑奈が死んだはずなのに、佑奈の記憶じゃ、俺が死んだことになってて……。
村上研究員: ██康二として、█佑奈の身体と記憶を受け継いだ。しかしその記憶は自身のそれと一致しない部分があった、と?
SCP-XXX-JP: はい。確かにこれなら佑奈は生きてますけれど、その代わりに俺が死んでいるんです。佑奈にしても、人格は残ってませんし。……この時にはもう、なんとなくですが気づいてました。今の自分が死ぬ代わりに、死んだと知った人を死ななかった事にして、その人として生きる。そういう特異性を持たされたんだろうな、と。
村上研究員: では、私達が検知していた未知の過去改変は……?
SCP-XXX-JP: 恐らく、俺の特異性が発動する度に発生していたんだと思います。佑奈の大伯母が死んだと聞けば、代わりに佑奈が死んで。[編集済]が死んだと聞いた時には、その大伯母が死んで……。そうやって死を聞くたびに、それまでの自分が死んで、俺がその死んだはずの人間となって……。それが今日まで続いたんです。苦痛を怖がるあまり、死ぬ勇気も出せずに……。
村上研究員: ……これまでに何度、その現象に遭遇しましたか?
SCP-XXX-JP: ……どうだったでしょう。俺以外の記憶はほとんどごちゃごちゃで、よく覚えてません。10人は超えるはずですが……。
村上研究員: ……詳細は後日、改めてお聞きします。最後に、何か言いたいことはありますか?
SCP-XXX-JP: ……吉崎██2が元々、どう死んだのかは分かりません。けどもし、財団にいなかったとしたら。……前の僕は、████3は、後どれだけ生きていられたでしょうか?
村上研究員: それは私達にも分かりません。ですが、こうしてあなたを収容できたことが僥倖であるのはたしかです。
SCP-XXX-JP: ……そうですか、分かりました。……ありがとうございます。
村上研究員: こちらこそ。インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: 対象の証言する過去改変は、本人の意志に関係なく行われていると推測されます。対象に対する特別収容プロトコルの制定と、対象を異常存在にした存在についての調査班の編成を進言します。
実験記録-XXX-JP-001 - 1999/██/██
対象: SCP-XXX-JP
実施方法: SCP-XXX-JPに関する情報及びSCP-XXX-JPに携わる研究員█名をXACTSによる対時間異常施行済の人型標準収容室内へ収容する。その上で、SCP-XXX-JPにあらかじめ存在を認知させておいたD-22583の死亡を知らせる
結果: 変化なし
分析: SCP-XXX-JPが死亡したと認識した存在が実際に死亡していないと、特異性は発現しないらしい。実験後、SCP-XXX-JPにはクラスA記憶処理を施した。
実験記録-XXX-JP-002 - 日付1999/██/██
対象: SCP-XXX-JP、D-22583
実施方法: SCP-XXX-JPに関する情報及びSCP-XXX-JPに携わる研究員█名をXACTSによる対時間異常施行済の人型標準収容室内へ収容する。その上で、SCP-XXX-JPにあらかじめ存在を認知させておいたD-22583を終了させ、その旨をSCP-XXX-JPへ知らせる
結果: 過去改変が発生。D-22583がSCP-XXX-JP-Aとなった。また、改変前のSCP-XXX-JP-Aであった吉崎研究員補佐は、D-22583を終了させた時刻にSCP-████-JPの収容違反に巻き込まれ死亡していた
分析: 過去改変に明確な破綻は無く、財団関係者以外をSCP-XXX-JP-Aとしていた場合、長期間の収容違反が発生していたと推測される。実験後、SCP-XXX-JP-AとなっていたD-22583を再収容した。
実験補遺: 改変後の世界において、SCP-XXX-JPが収容された記録はXACTS内に収容しておいたものを除いて存在していなかった。
補遺1: SCP-XXX-JP-Aの背部に、以下の文章が微細な文字で刺青されていました。SCP-XXX-JPは財団が発見するまで、この文章の存在を認知していませんでした。
*おおっと*
"ミスター・ひとはにどしぬ"を見つけたみたいだね! "ミスター・ひとはにどしぬ"は亡くなってしまったあんな人こんな人の話を聞くと、その人の姿形を真似してくれるよ!
ああ、本人ならどれだけ良かったか……。
楽しいよね!
「博士」へ
わたしは、あなた(たち)の行いをはら立たしく思っています。
これ以上ちせつかつそざつなもほうがくり返されるようであれば、わたしはそれ以上のきょういをもって、ちんせいさせます。
ガキのあくいがいかにわいしょうかを、さんげきのなかでおしえることは本意ではありません。
平和的なかいけつをのぞみます。
アンクロフォードより
財団はアンクロフォードについて調査を進めていますが、新興の要注意人物または要注意団体である事、作成するSCPオブジェクトの傾向や文書の様式がワンダーテインメント博士及び「博士」と近似している事を除き、その大部分が把握できていません。
補遺2: SCP-XXX-JPが特異性を獲得した場所と見られている[編集済]一帯を捜索しましたが、SCP-XXX-JPに関係すると見られる、アンクロフォードを含む要注意団体の活動の形跡は一切確認されませんでした。この事からSCP-XXX-JPが特異性を獲得した場所・時期が、過去改変によりSCP-XXX-JPの証言と異なる形となっている可能性が高いと推測されています。
- scp-jp
- Euclid
- 人間型
- 知識

収容以前のSCP-XXX-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8141サイト-81██の標準人型収容室へ収容します。水以外の食事はSCP-XXX-JPの身体に明確な異常が認められた場合を除き、行わせる必要はありません。また、SCP-XXX-JP-1への変異の防止のため、終了予定のDクラス職員を、SCP-XXX-JPの視界内で一日に3人以上終了させてください。SCP-XXX-JP-1への変異が確認された場合、SCP-XXX-JP-1を拘束すると同時に機動部隊な-3"鬼避け"はDクラス職員1000人をSCP-XXX-JP-1へ接近させ、24時間以内に全員を終了させます。
SCP-XXX-JP-AはサイトXXX-JPに指定される海域へ固定します。周囲15km圏内へ接近する船舶は全て、財団所属船舶に乗船する財団職員によって針路を変更させます。上陸は研究目的のみ認められ、かつレベル4職員2人以上による承認が必要です。
説明: SCP-XXX-JPは、日奉櫻(Isanagi Sakura)として知られていた女性です。4歳の時に養子へ引き取られるまでは児童養護施設にて育ち、収容当時(2015/08/11)は25歳だったと記録されています。通常の人間との差異は、水以外の必要食事量が極めて微量であること4、保護以来睡眠が確認されていないこと、精神鑑定においてアスペルガー症候群の可能性があると診断されていること、後述の特異性を除いて存在しません。
SCP-XXX-JPは一般には、マサチューセッツ工科大学(以降、MITと表記)への留学中から、遊覧飛行用ハイブリッド飛行船、及び成層圏プラットフォーム用無人飛行船の実用化を目指していたことで注目されていた、飛行船の設計者兼操縦士です。MIT卒業後に日本で自家用操縦士(滑空機・飛行船)資格を取得し、2013年4月から2015年7月にかけ、航空機メーカー[編集済み]等の各種スポンサーの助成の下、ハイブリッド飛行船『スカイ・キャシャロットズ・パル号(以下、SCP号と表記)』を設計・開発し、2015年8月6日より船員██名と共にSCP号による世界一周を始めたことで広く知られています。現在、その公的身分はカバーストーリー『墜落事故』及び『捜索打ち切り』適用下において、認定死亡を受けています。
SCP-XXX-JP-AはSCP号を中核として形成される人工物です。構成物はSCP号をSCP-XXX-JP-A-1とし、その他、SCP号追跡部隊を編成していた船舶を含めた計██隻(2015年██月██日現在)の船舶を、SCP-XXX-JP-A-2~██と分類します。SCP-XXX-JP-Aは、海岸線より500m以内及びその上空30,000m以内に侵入した物体に対して引力を発生させます。物体がSCP-XXX-JP-Aと接触すると、接触箇所が塩分により結合されます。この塩分は構成成分から、サイトXXX-JP内の海水より析出・生成されたものと推測されており、実際にサイトXXX-JP内の水の塩分濃度は汽水5に相当します。結合が安定すると、SCP-XXX-JP-A-1~██の結合部が移動を開始し、SCP-XXX-JP-A-1を中心とする航空機状の配置となります。結合はこの間に接触した船舶に対しても作用し、変形中の構成船舶の追加が行われた場合、改めて変形が開始します。また、この塩分は構成船舶の破損箇所の修復に際しても析出・生成され、SCP-XXX-JP-A-██に対する破壊実験の際には、██平方mの穴が形成から█秒で塩分により閉塞しています。なお、スロープ等、船体同士ではない接触に対しては塩分が生成されないことが確認されています。
SCP-XXX-JPは、視界内での人間の終了が平均して一日に3人以上の間隔で行われない場合、形態を変異させます。変異後の形態はSCP-XXX-JP-1に分類します。SCP-XXX-JP-1は全長約2mの人型実体で、前頭部や腕を除く皮膚より常時微量ずつ出血しています。また、瞼と口蓋の消失により眼球と歯が常時露出しています。SCP-XXX-JP-1は異常な物理的強度を保有しており、試みられた全ての破壊実験において損傷が確認されていません。SCP-XXX-JP-1は変異を終えると、『こをろこをろ』と声を発しながら移動を始めます。同時に、自身を中心とする一定範囲内の人間(以下、被害者とします)を約3秒の苦悶の後、終了させるようになります。被害者の死体には体液中の溶質の析出を除き、自然死体との差異は存在しません。SCP-XXX-JP-1が被害者を終了させる範囲は変異からの時間の経過と共に拡大し、実際の例では66.0m圏内までの拡大が確認されています。なお、SCP-XXX-JPのSCP-XXX-JP-1へ変異している間の記憶は極めて希薄です。また、SCP-XXX-JP-1のSCP-XXX-JPへの再変異は、最後の被害者の終了までの24時間以内に1000人の被害者が生じた場合に発生すると推測されています。
2015年8月██日、SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JP-1へ変異しました。SCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JPへ再変異させるまでには約108時間を要し、その間に人間型SCPオブジェクト[データ検閲済]体を含む1███人がSCP-XXX-JP-1の特異性に曝露し、無効化あるいは終了しました。再変異後、サイト-8141よりサイト-81██へ移送されています。
SCP-XXX-JPは2013年██月██日にSCP-746-JPに対して行われたインタビューの内容から、姓が日奉(Isanagi)である人物の一人として財団の注意を惹きました。財団はSCP-XXX-JPらのSCP号による世界一周を、SCPS あやめを中心とする部隊を編成して追跡。2015年8月9日にSCP号がプロペラ及び翼の破損によって太平洋上へ墜落したことをうけ、墜落地点にてSCP-XXX-JPとSCP号を保護・収容しました。保護した際、SCP-XXX-JPの衣服が著しく破損しており、衣服及び身体にSCP-XXX-JPの血液が大量に付着していたにも関わらず、SCP-XXX-JPに外傷が認められなかったことは特記すべき事項です。SCP-XXX-JPを除くSCP号の乗務員がSCP-XXX-JPを保護した時点で全員死亡しており、かつ死因が不明であった点についても同様です。
2015年██月██日、SCP-XXX-JPに対してインタビューが行われました。
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: 桃木研究員
付記: SCP-XXX-JPは当インタビューの█日前までSCP-XXX-JP-1へ変異していた。
<録音開始>
桃木研究員: SCP-XXX-JP。今回は先日の件について質問させて頂きます。あなたはSCP-XXX-JP-1へ変異していた間、どうしていましたか?SCP-XXX-JP: 現実でどうなっていたかはよく分かりません。私には、しばらく気を失っていただけとしか感じられなかったので。
桃木研究員: では、その気を失っている間の状況を詳しく聞かせてもらえますでしょうか。
SCP-XXX-JP: はい。気を失っている間、真っ暗闇で声が聞こえていました。内容はよく覚えてませんが、『1000人殺す』、『見るな』、『追え』、と。そんな事を言っていた覚えはあります。
桃木研究員: 1000人殺す、ですか。意味に見当は付きますか?
SCP-XXX-JP: いえ。私が元に戻るまでの犠牲者に、結びついてそうだな、としか。
桃木研究員: そうですか、分かりました。では、最後に何か質問はありますか?
SCP-XXX-JP: 今回のことからずれますけど、弟が樹さんと椋さん、梢が実は生きているかもしれないと言ってましたが、それは本当ですか?
桃木研究員: 返答しかねる質問です。サイト管理者の許可があれば開示できますがどうしますか?
SCP-XXX-JP: [約2秒の沈黙]いえ、結構です。桃木研究員: 分かりました。以上で今回のインタビューは終了です。ありがとうございました。
SCP-XXX-JP: こちらこそ。
<録音終了>
終了報告書: SCP-XXX-JPは目撃した死をスタックとして、変異を抑制していると推測されます。収容から██日後にSCP-XXX-JP-1へ変異したのも、そこに理由があると推測できます。情報の整理の後、特別収容プロトコルの改定案を提出することにします。
追記: 20██年██月██日、SCP-XXX-JP-Aが浮揚を開始しました。現在は重量物の積載及び懸架により阻害していますが、当該対処法が無力化される時期は未定です。また、特別収容プロトコルの改定が進行中です。
- scp-jp
- Euclid
- 生命
- 人間型
- 変身
- 外部エントロピー
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは移動が困難なため、偏西風帯下の全セクターに設置するSCP-XXX-JP専用ユニットへ収容します。ユニット内にある収容区画には送風機を敷設し、上昇気流を生成・維持してください。主装置が動作不能となった場合、または主装置の点検を行う毎月末日には、併設された予備装置下へ全個体を移動させてください。予備装置も動作不能となった際はバッテリー搭載型移動式送風機を投入し、当該オブジェクトの床、壁、天井との接触を最小限にしてください。収容中のSCP-XXX-JPについてはユニット毎に最大10頭を収容し、繁殖によりそれ以上となった場合、誕生した個体の他ユニットへの移送、または青年期6相当の年齢の個体の終了を行い、個体数を維持してください。未収容個体は機動部隊ら-21("詩詠い")が偵察衛星及び高高度気球により観測・追跡し、落下中の死骸は捕捉し次第、カバーストーリー『火力演習』適用下にて指向性爆薬弾頭を搭載した対空誘導弾によって迎撃します。
SCP-XXX-JPであると推測される死骸、及び当該オブジェクトによるものと推測される排泄物は、SCP-XXX-JP専用ユニット内の研究区画へ収容します。収容時は必要に応じ、カバーストーリー『ファフロツキーズ』または『グロブスター』を適用してください。
SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP専用ユニット内の保管区画へ収容します。保管区画ではSCP-XXX-JP-Aに対し毎分1W未満の電気供給を行い、定期的にSCP-XXX-JP-A及び空気の状態の確認、並びにヘリウムの回収を行い、異常が確認された場合はユニット管理者へ報告してください。いかなる場合でもSCP-XXX-JP-Aへ危害を加えること、及びその危険性を看過することは禁止されています。
説明: SCP-XXX-JPは主に高度10,000m前後の偏西風帯7内部に棲息する、シロナガスクジラ(Balaenoptera musculus)と類似した遺伝子を持つ生物です。多くの個体は年の大部分においてジェット気流を利用して東へ渡りを行い、夏季は緯度60度付近、冬季は緯度30度付近を移動する傾向が確認されています。基本的には10頭前後の群れで行動しますが、繁殖・子育ての時期には複数の群れが合流し、多い場合には100頭以上が合流します。
SCP-XXX-JPの体長は21mから35m、体重は270kgから1t程です。密度はハイブリッド飛行船8と同程度であり、既知の鳥類と比較しても非常に軽量です。また、SCP-XXX-JPは哺乳類であるにも関わらず雌雄同体であり、有性・単為双方の生殖を可能としています。SCP-XXX-JPの全身には水素及びヘリウムが充填される、気嚢に相当する器官が存在しており、当該オブジェクトの浮揚を補助しています。水素及びヘリウムは肺を包囲する形で存在する器官より供給され、内部には水素生成用の電解装置状構造の他、空気を素にヘリウムを生成する未知の微生物が棲息する区域が存在します。この微生物はSCP-XXX-JP-Aと分類します。SCP-XXX-JPの全身各所には体脂肪により気嚢相当器官と遮断される形態で発電板が存在しており、電場の形成の他、攻撃や自衛に使用されたことが報告されています。なお、発電された電気はSCP-XXX-JP-Aの生存量及びヘリウム生成速度の調整にも使用されていると推測されています。
SCP-XXX-JPの胴体と比較した各部位は標準的なシロナガスクジラと比べ巨大であり、特に胸鰭は水平方向への伸長が顕著です。胸鰭の長さは成体で体長の約35%程になり、両鰭端を結んだ距離は最大級の個体で約40mになります。尾鰭は両端に向けて下方へ伸びており、逆V字尾翼と同等の機能を有していると推測されます。全長の約30%を占める頭部の形状は骨格的に、下顎骨以外と歯がマッコウクジラ(Physeter macrocephalus)に類似しており、その原因は中脳・大脳を中心とした脳の肥大化が主であると推測されています。消化器官は気嚢に圧迫される形で小型化しており、少量である食事量に影響しています。頭頂部にある二つの噴気孔は後方を向く形となっており、体内の余剰な空気及び水分の排出、推進力または揚力の獲得にも使用されています。体表は前方上部を中心として硬質であり、飛行船の骨格に類似した形態の軟骨による帯状の隆起が、前後に伸びる形で頭部から胴体に掛けて存在します。体色はのどから胸にかけての範囲及び両目上方がライトグレー、その他はダークグレーであり、生後間も無い個体はライトグレーの部分が黄色味を帯びています。
SCP-XXX-JPは空中における食物連鎖の頂点に位置しており、主に自由大気中を渡る生物を食します。多くの個体は食事に12時間以上の間隔を設けており、同時にその食事量は標準的なシロナガスクジラと比べて非常に少量です。研究によれば約80時間の絶食への適応が確認されています。平均飛行速度は時速約80kmですがジェット気流内においては時速130km前後9に達し、1日に1000km以上を移動する場合もあります。出産は3年から4年置きに行われ、4月頃に交尾した後、約1年の妊娠期間を経て1頭から2頭を出産します。平均寿命は成長速度から100歳前後、最高寿命は120歳超と推測されています。コミュニケーションには唸り声の他、頭部中央に位置する鯨蝋質のメロン体より発する音を使用しており、後者の音は測距や物体の内容物の認識にも用いる事を可能としています。また、標準的な動物と比べて高い知能と記憶力を有しており、SCP-XXX-JPの会話には1000を超える語彙の存在が確認されています。語彙に関しては一部個体間で意思疎通が困難であることを示す行動が散見され、複数の言語または『方言』の存在が推測されています。職員への対応については群れによって差異が存在し、友好的に接触してくる群れや、収容違反することを高い頻度で試みる群れが確認されています。
SCP-XXX-JPは同種を除く存在の視覚に対し、自身を飛行船であると認識させます。この異常性は死後も喪失しませんが、画像や映像を介した場合には作用しないことが確認されています。未収容個体を観測した映像では葬式と推測される行動が記録されており、SCP-XXX-JP全体では遠海を始めとした環境汚染の比較的軽微な地域へ死骸を投下する傾向が確認されています。なお、一部の群れには対称的に人口密度の高い地域へ投下する傾向が存在しており、当該個体群の終了が202█年現在までに[データ検閲済み]回提案されていますが、全て却下されています。
SCP-XXX-JPの未収容個体は死後、生存中に製造していた水素、SCP-XXX-JP-Aが生成するヘリウムの他、腐敗によるメタンなどのガスで膨張しながら降下します。地表到達以降は不定な時期に爆発し、発生した最大の被害としては、半径100m圏内の物体を破壊し、半径1km圏内へ死骸の破片が飛散しています。この被害からは最大級の個体が爆発した場合、物体の破壊は半径170m圏内、死骸の破片の飛散距離は1.8km圏内に及ぶとするシミュレーション結果が算出されています。
SCP-XXX-JPは1979年9月29日、座礁鯨の死体としてアメリカ・オレゴン州フローレンス近傍の海岸にてマッコウクジラに混じる形で発見されました。この個体は肉眼には飛行船として観測されることから、財団の興味を惹きました。財団は当該オブジェクトを『飛行船として目視される未知のクジラ』としてAnomalousアイテムへ指定し、収容しました。なお、最初の発見が1979年であるのは航空宇宙技術のレベルと対照して異常であるとする意見が挙がっていますが、19██年現在、その原因は不明です。その後、198█年4月に財団フロント組織『次世代のための種の保存者達(Species Conservator for Post-generation)』がインド北部にて『ソデグロヅル(Grus leucogeranus)を襲う10隻ほどの飛行船』を目撃しました。しかし、撮影した映像にはクジラがソデグロヅルを捕食する様子が記録されており、その外見的特徴が1979年にフローレンス近傍の海岸で発見・収容したクジラと一致。財団はこれをSCP-XXX-JPへ再指定し、特別収容プロトコルが制定されました。当初Euclidであったオブジェクトクラスは、収容の困難性及び必要経費、地表への落下・爆発の危険性を主な理由として、Keterへ再分類されました。
補遺1: SCP-XXX-JPの蓄・放電量は雲中またはその近傍での増大が確認されており、最高で電圧は約████V、電流は█Aになります。これはデンキウナギ(Electrophorus electricus)の約█倍に相当し、██頭のSCP-XXX-JPが航空機へ一斉に放電し、電磁波障害を誘発させたとする報告が存在します。
補遺2: SCP-XXX-JPのEQ10はクジラ亜目が平均1.8であるのに対し、6.8から7.2となっています。
追記: 198█年7月8日、SCP-XXX-JPへのインタビューが行われました。以下はその記録です。
対象: SCP-XXX-JP-██
インタビュアー: 今瀬研究員
付記: 対象との会話は全て二重鍵括弧内へ、SCP-XXX-JP-██の言語より翻訳して記述してある。参考として、SCP-XXX-JP-██の年齢は100歳前後と推定されている。
<録音開始>
今瀬研究員: 『SCP-XXX-JP-██。私達の言葉は分かりますか?』
SCP-XXX-JP-██: 『ああ、分かるとも。積もる話もあるが、まずはそちらの話を聞こう』
今瀬研究員: 『はい。いくつか質問をさせてもらいます。まず、あなた達は何者で、どう誕生したのですか?』
SCP-XXX-JP-██: 『我々は、穢れなき頃の世界を知る、古くより存在する者だ。いつからか我々はこの世にあった。それ以上は知らぬ』
今瀬研究員: 『……次に、あなた達はなぜ、地上へ仲間を葬るのでしょうか?』
SCP-XXX-JP-██: 『祖先の古里たる地より、穢れを拭うためだ。その死を弔い、骸を活かすのは、我々にとって当然のこと。主の御許への門戸を開くために、そして、主よりの慈悲を、これ以上賜らせぬように。そのために我々は、穢れを拭い続けている』
今瀬研究員: 『主というのは、創造神のようなものでしょうか?』
SCP-XXX-JP-██: 『厳密には違うな。主は我々の救い手であり、穢れを憎む者。そして、それを決して邪魔立てすることなく御許に赴くのが、我々に許された行いなのだよ』
今瀬研究員: 『そうですか。次の質問ですが、あなた達はなぜ、群れによって私たちへの対応が異なるのでしょうか?』
SCP-XXX-JP-██: 『我々の中でも、人を許した者と憎み続ける者がいるというだけだろう』
今瀬研究員: 『その違いとは?』
SCP-XXX-JP-██: 『何を教えられたか。そこに帰結すると見るのが、自然なはずだ』
今瀬研究員: 『次の質問とします。あなた達が我々に敵対しないのは、なぜでしょうか?』
SCP-XXX-JP-██: 『人間が下賤な存在であるからだ。特別な存在たる我々が、手を下さずとも滅びるような、な。そう定めたのは主だ。それを疑って何になる?』
今瀬研究員:『……最後の質問です。私達に敵対的な群れは、なぜ私達に敵対するのでしょうか?』
SCP-XXX-JP-██: 『人間が穢れを生み、滅亡を乗り越え、それでも穢れの中を、かつてと変わらないかのように生きている。それに怒っていると、私は見ているが……』
今瀬研究員: 『……それならば、あなた達はどう思っているのですか?』
SCP-XXX-JP-██: 『我々とて人間の行いを、それが我々にもたらした理不尽を許してはいない。だが、それを生み出したのは貴様らではないのだろう? であれば、今は雌伏の時に他ならぬわけだ』
今瀬研究員: 『[█秒間の沈黙]インタビューを終了します。ありがとうございました』
SCP-XXX-JP-██: 『こちらこそ、楽しませてもらったよ』[歯をむき出し、口角を上げる]
<録音終了>
終了報告書: SCP-XXX-JPの文化について、少なくない有益な情報を得られた。文化的多様性を調査するためにも、違う群れのSCP-XXX-JPに対するインタビューも行うべきではないだろうか。
- scp-jp
- keter
- 空棲
- クジラ
- 種族
- 擬態
- 感覚
- 視覚
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト-81██の標準収容ロッカーに収容します。取り扱う際は銃把へ素手で触れないようにしてください。箱、BB弾装填用器具、取扱説明書は一点分をサイト-81██の標準収容ロッカーへ収容し、その他は全て処分・破棄してください。新たにSCP-XXX-JPの販売が確認された場合、カバーストーリー『新たな欠陥の発覚による、自主回収並びにリコール』を適用し、収容してください。個人から収容する場合、笑創玩具社11製の同様な外見の玩具を提供してください。
説明: SCP-XXX-JPは、『博士の楽しい! エアガンセット』として販売されていた三種の電動ガンです。それぞれHK45CT、G36C、MP5KA112に形状が類似しており、バッテリーで駆動します。
SCP-XXX-JPは、射出したBB弾に被弾した者(以下、被害者とします)を、その後の睡眠から覚醒する直前に瞬間死させます。被害者の死因は多くがバイタルサインの瞬間的な消失として認識できますが、詳細な原理は未解明です。また、当該オブジェクトの所持者(以下、加害者とします)は発砲の際、無意識に異常存在でない生命体、特に人間に対し発砲しようとします。なお、加害者には異常存在に対する発砲を避けようとする様子が確認されています。
実験記録XXX-JP-0█ - 日付2017/0█/██
対象: D-█████、SCP-[編集済み]
実施方法: D-██████に、防弾ガラスを挟んで位置する対象へ向け、SCP-XXX-JPでの射撃を試行させる。
結果: D-██████はD-█████に対しては構えて間もなく発砲したが、SCP-[編集済み]に対しては発砲、及び当該オブジェクトの銃口を向ける事へ、強烈な抵抗感を示した。SCP-[編集済み]への発砲は試行できず、実験は終了。
分析: SCP-XXX-JPが不明な方法によって生命体が異常存在であるかそうでないかを識別できること、対象へBB弾が命中しうるかは問わず、異常存在に対しての発砲は不可能であることが判明。
実験補遺: SCP-[編集済み]は不死性と人間相当の知能を備えた、動物型SCPオブジェクトである。
SCP-XXX-JPは販売時、60cm×15cm×30cmの紙製パッケージへBB弾装填用器具二種、取扱説明書と共に封入された状態でした。箱の一面へはその約4割を占める形で、以下の文章が記されていました。
バキューン!! 銃が大好きなよい子のみんなのために、博士は『博士の楽しい! エアガンセット』を作ったよ!
走れ、うて! みんなで楽しくあそんじゃおう!
楽しもうね!
©HAKASE Co.,Ltd. MADE IN JAPAN
保護者の皆様へ:『博士の楽しい! エアガンセット』は10歳以上の方を主な対象としています。10歳未満の方が使用する際は、保護者同伴の下で使用させるようにしてください。
博士は本製品によって発生した損害に対し一切責任を負いません。
また、取扱説明書へはその他の内容物に関する説明などの他、UV不可視インクと推測されるものにより、以下の文章が記されていました。
『名愉快犯”博士”殿』へ、この商品を捧ぐ。『楽しいこと』がもたらされることを願う。
などという甘言が現実たりえると思うな。餓鬼の集い風情が付け上がることの末路、その身を以て教えてやろう。
これは宣戦布告ではない。博士もどきの貴様らに対する、併合宣告である。
その稚拙な悪意が招いた惨劇に恐怖せよ。願わくは、腹立たしき悪事と粗雑な模倣が、これで最後となることに尽きる。
楽しいよね!
博士もどきより
SCP-XXX-JP発見の契機は、2017年0█月0█日頃から埼玉県██市を中心とする一帯で起きた、不特定多数の人物の突然死です。被害者は小学生、次いでその保護者が多くを占めており、当初はその周辺人物の関与または異常性が疑われました。しかし、聞き込み調査の過程において被害者と友人関係にあった者の多くから『亡くなる前日に被害者はエアガンで遊んでいた』との証言が得られ、その事が財団の注意を惹きました。
SCP-XXX-JPを作成した要注意団体『博士もどき』について、財団はその詳細を把握できていません。
- scp-jp
- Safe
- 玩具
- 強制力
- 外部エントロピー
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-A~Eは、サイト-81██の標準収容ロッカーに収容します。取り扱う際は実体を直接握らないようにしてください。個人から収容する場合、笑創玩具社13製の同様な外見の玩具を提供してください。SCP-XXX-JP-Fは、人型標準収容室に収容します。室内へはシャープペンシルなど、『別な何かを注入し、それを排出する機構』を備える物品を一切配備しないでください。
説明: SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-AからSCP-XXX-JP-Eに分類される、5種類の電動ガンです。いずれも乾電池により駆動し、弾丸には6mmまたは8mmのBB弾を採用しています。当該オブジェクトを収める容器の一面には、共通して以下の文章が書かれています。
よい子のみんな、博士は銃が大好きなんだ! だから『博士のトイガン』を、みんなのためにはつ明したよ!
さながら気分は兵隊へいたいさん! ねらいをさだめてバババババン! うってよけたら、またうって!
さあ、『博士のトイガン』で楽しく遊ぼう! みんなとの楽しい遊びがきみを待ってるよ! 楽しもうね!01. 博士のトイガン ピストル
02. 博士のトイガン マシンピストル
03. 博士のトイガン アサルトライフル
04. 博士のトイガン サブマシンガン
05. 博士のトイガン アサルトカービン今後も続々、新しいトイガンが加わる予定だよ! さあ、楽しもうね!
©HAKASE Co.,Ltd. MADE IN JAPAN
親御さんへ:クーリングオフ及び使用の際の事故・損害などに対して、博士は一切責任を負いません。
以下はSCP-XXX-JP-A~Eの内訳です。
アイテム番号 | 商標 | 類似形状火器・使用弾頭 |
---|---|---|
SCP-XXX-JP-A | 博士のトイガン ピストル | MP-353 8mmBB弾 |
SCP-XXX-JP-B | 博士のトイガン マシンピストル | グロック18C 6mmBB弾 |
SCP-XXX-JP-C | 博士のトイガン アサルトライフル | 91式歩槍 8mmBB弾 |
SCP-XXX-JP-D | 博士のトイガン サブマシンガン | UZI 6mmBB弾 |
SCP-XXX-JP-E | 博士のトイガン アサルトカービン | PDR 6mmBB弾 |
SCP-XXX-JP-A~Eの異常性の一つは、発射したBB弾を同口径のゴム弾へ変異させることです。このゴム弾は芯がプラスチック製であり、一般のゴム弾に多く見られる、先端のくぼみ及び十字の切れ込みが存在しません。もう一つの異常性は、所持中の所持者をトリガーハッピーへ陥れさせることです。この使用者は、SCP-XXX-JP-Fに分類されます。
SCP-XXX-JP-Fは、SCP-XXX-JP-A~Eの使用後に禁断症状を発症します。症状・軽減条件はSCP-XXX-JP-A~Eの使用時間につれて深刻化・限定化し、その度合いに応じてSCP-XXX-JP-F-AからSCP-XXX-JP-F-Dに分類されます。SCP-XXX-JP-F-Aは禁断症状として指の振るえや吐き気、イライラ感を発症します。症状は『別な何かを注入し、それを排出する機構』を備えた物品の使用により軽減されます。SCP-XXX-JP-F-Bになると更に強烈な眠気、食欲不振を発症するようになり、軽減対象が銃火器に限定されます。SCP-XXX-JP-F-Cになると混迷状態14に陥り、症状が実銃及びSCP-XXX-JP-A~Eの所持・使用でのみ軽減されるようになります。SCP-XXX-JP-F-Dにまで進行すると、SCP-XXX-JP-A~Eを所持していない間、生命活動の一切が停止します。
SCP-XXX-JPは2017年0█月██日、ネットショップで販売されていたところをエージェント・双葉が発見したことにより存在を確認しました。当該オブジェクトは███個
補遺: 2017年1█月██日、サイト-81██の食堂において『”博士”の愛したSCiP』という題の書籍が発見されました。[memoです]
- scp-jp
- Safe
- 玩具
- 精神影響
- 物理法則
- 博士
- 武器

SCP-XXX-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト-8141にある標準人型収容室へ収容します。財団職員は当該オブジェクトとの接触を必要最低限に留めてください。2017/04/2█に無効化並びに終了が確認されました。それに伴い、オブジェクトクラスをNeutralizedへ再指定しました。
説明: SCP-XXX-JPは、日奉和(Isanagi Nagomu)として知られていた日本人男性です。2歳の時に養子へ引き取られるまでは児童養護施設にて育ち、収容当時(2017/04/08)は23歳だったと記録されています。SCP-XXX-JPには記憶力、並びに後述する特異性を除き、通常の人間との差異は確認できませんでした。
SCP-XXX-JPは一般には、2016年刊行の中編小説『[データ検閲済み]』、その翌年刊行の短編集『二〇二〇年元日』の著者である、小学校教諭として知られています。なお、その著作はごく一部の読者から、カルト的に崇拝されています。現在は収容に伴いカバーストーリー『鉄道人身障害事故による瞬間死』が適用され、死亡したと偽装されています。
SCP-XXX-JPは異常存在を認識した場合、備える特異性または異常性がどのようなものであるかを瞬時に理解します。また、財団や要注意団体と関係のある、かつ特異性や異常性を持たない存在を認識した場合、そうである事実を認知します。同時に、周囲の知的な存在に対し不特定の手段15による意志伝達を試み、自身の理解・認知した情報を教示しようとします。16この教示は非特異性由来の情報を獲得した際にも実行しようとした様子が確認されています。この事から財団はSCP-XXX-JPが、獲得した情報を他者へ教示することで記憶していると推測しています。
SCP-XXX-JPは、『二〇二〇年元日』刊行時、その内容により財団の注意を惹きました。17財団は著者を特定・保護し、サイト-8141へ移送しました。その際、SCP-XXX-JPは知覚した財団の設備や同乗していた財団職員について、説明を受けていないにも関わらず正確かつ詳細に言及したことが報告されています。
実験記録XXX-JP-001 - 日付2017/04/1█
対象: SCP-XXX-JP
実施方法: 対象に事前情報を持たないD-[編集済み]、並びにSCP-[編集済み]について、ピンマイクを通じて真田博士へ言及させる。この際、対象にはD-[編集済み]、SCP-[編集済み]を視認させる。
結果: 以下の音声記録を参照
<録音開始>
真田博士: 初めまして、SCP-XXX-JP。私は当実験を担当する真田です。よろしくお願いします。
SCP-XXX-JP: 初めまして、真田博士。あなたは元々、██大学で――
真田博士: SCP-XXX-JP。実験を始めたいのですが。
SCP-XXX-JP: ああ、失礼。始めてください。
真田博士: では、これから遮蔽物を移動させます。その先にいる二つの存在について、私に教えてください。
SCP-XXX-JP: はい。[遮蔽物が動かされ、SCP-XXX-JPはD-[編集済み]と対面する。]向かって右のあの人は財団の人間ですね。服装を変えてあるようですが、Dクラスでしょうか? [編集済み]での無差別集団殺人の実行犯の一人として逮捕され、死刑囚として監房に収容されていたところをDクラスに登用されたように見受けられます。事件以前は――
真田博士: これ以上は結構です。もう一方の説明をお願いします。
SCP-XXX-JP: 人間型SCPオブジェクトですね。視認してきた存在に、紙で切ったような裂傷をいくつももたらします。SCP-[編集済み]として、ここ、サイト-8141に収容されているようです。その他にも――
真田博士: そこまでで構いません、SCP-1945-JP。ところでですが、一部を除く言及が推測なのは一体?
SCP-XXX-JP: 予測だからです。[1秒程の沈黙]違う点がありましたか?
真田博士: いえ。実験を終了します。
<録音終了>
分析: SCP-XXX-JPは未来予知能力を保有しているか、あるいは高度な未来予測を可能としている可能性があります。ただし前者の可能性は、ヒューム値が1であることから、0れい%であると推測されます。
補遺: SCP-XXX-JPは2017/04/2█、『異常存在のための解放戦線』18を自称する、身元不明の集団によるサイト-8141への襲撃を受けた際に無効化、並びに終了が確認されました。なお、この襲撃の結果、複数のSCPオブジェクトがサイト-8141より強奪されており、行方不明となった真田博士共々、それらは未だ、異常存在のための解放戦線の管理下にあると推測されます。
『Any sufficiently precise future estimation is indistinguishable from precognition.十分に精密な未来予測は未来予知と見分けがつかない』。
アーサー・C・クラーク氏の言葉になぞらえるならば、そんなところか。— 鵜島博士
- scp-jp
- euclid
- neutralized
- 日奉一族
- 人間型
- 未来予知
アテイム番号: SCP-224871-JP-EX
オジブクェトクラス: Sfae
特別収容プトコロル: SCP-224871-JP-EXは、標準収容ロッカーに収容します。Cクラス以上の職員は当該オブェクジトの複製の入手を自由に行えます。
説明: SCP-224871-JP-EXは、閲読によって活性化する文書です。文書内に使用される4文字以上の単語は、語頭と語尾を除く文字が並び変えれらています。閲読者は文書中に使用される言語の理解度が一定以上である場合、その文書を実際の表記と違う形で把握します。閲読者は多くが文書の内容について『つえかる事無く読める』と述べおてり、
SCP-224871-JP-EXはSCP-223871-JP-EX-███。
こんちには。この ぶんょしうは わたたしちの けきんゅう けっかです。にげんんは たごんが さしいょと さいごさえ あてっれいば なみかが めゃちちくゃでも ちんゃと よてめましう よでうす。
ただし、よめる ぶしんょうは いてっいの じうょんけを みしたて いないと いませけん。まず、ごゅじんの かわる たんごが みかじく ないと いまけせん。また、さもんじ いかの ことばは ものまとまで ないと いけせまん。さらに、なからえびた けかっが べつの ことばに なてっも いせまけん。そげのごんに あているど なていれる ひでといなと よづらみい です。
どでうたしか? わしたちたの ぶしんうょは。
文章中には
りつくは わったかが そしれてにも ふぎしな げんしうょだ。
ロンーリズ研究員
- scp-jp
- unclassed
- joke
- 認識災害
- 感覚
- 視覚
- 記述
- 言語

ヒジリタマオシコガネことS. sacer SCP-XXX-JP-Aの外見及び遺伝情報は、これとの類似性を示している
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはエリア-██内の収容セクター-██に収容します。SCP-XXX-JP-Aはタングステン製真空チャンバーへ収容し、チャンバー内は真空ポンプにより真空状態を保ってください。チャンバー及び真空ポンプはSCP-XXX-JP-Bが生成される際に生じる熱から保護するため、液化気体により冷却してください。チャンバー内にSCP-XXX-JP-Bの生成が確認された場合、SCP-XXX-JP-Aより押収してください。主装置に異常が発見された、または動作不能となった場合は併設した予備装置へ即座に移動させてください。予備装置も動作不能となった際は新たな装置が到着するまで、鉛、タングステン、炭化タンタルハフニウムの粘土により装置ごとSCP-XXX-JP-Aを埋没させ、活動を最大限抑制してください。主装置は毎月1日と半ばに点検し、点検中はSCP-XXX-JP-Aを予備装置へ移動させてください。SCP-XXX-JP-B-01はエリア-██の、コンクリートの壁と鉛の扉からなる地下収容室、セクター-██に設置された、タングステン製真空チャンバーに収容します。機構は内部にロボットアームを備えていることを除き、SCP-XXX-Aを収容する装置と同一です。当該オブジェクトが生成したSCP-XXX-JP-Aは全て、ロボットアームを操作して圧潰あっかい・終了してください。その他のSCP-XXX-JP-Bは、厚さ10cmの鉛製収容ロッカーへ収容し、エリア-██内の保管セクター-██にて保管します。取り扱う際は『SCP-XXX-JP-B取り扱い方法手順(第18版)』を熟読し、その内容に従ってください。
財団は現在、管理下にないSCP-XXX-JP-Aを発見し次第、終了させています。個人または組織が保有していた場合、SCP-XXX-JP-Aを終了させ次第、関連記録を削除した上で関係していた人物へ適切なクラスの記憶処理を施してください。
説明: SCP-XXX-JPは、極限環境微生物の一種であるSCP-XXX-JP-Aと、SCP-XXX-JP-Aの製造するSCP-XXX-JP-Bに分類されます。SCP-XXX-JP-Aは、外見及び遺伝情報にS. sacer19との類似性を示す一方、人為的な遺伝子操作の痕跡が散見される昆虫です。その全長は通常のS. sacerと比べて0.17mm前後と著しく微小です。また、同時的雌雄同体であり、単為生殖によっても繁殖が可能です。当該オブジェクトは16,000Gyの放射線を浴びても約40%が生き残る放射線耐性、███℃の環境下での生育を可能とする耐熱性、放射線に対する正の走性、人工真空下においても生育可能な性質を備えています。SCP-XXX-JP-Aは体内に存在する完全に未知な器官へ、流体20を貯蔵する習性が存在します。この器官はR過程、S過程21の再現を可能としており、貯蔵された流体はそれらを含めた核反応により、複数の物質22へ変化します。SCP-XXX-JP-Aは核反応による生成物を体外へ排泄し、SCP-XXX-JP-Bの素材として使用します。
SCP-XXX-JP-Bは、純粋核融合爆弾23です。現在、██発が現存しています。
実験記録0██ - 日付19██/██/██
対象: SCP-XXX-JP-B-██
実施方法: 対象を10m落下させ、衝撃を与える。
結果: 対象は地表に衝突したと同時に爆発し、実験室内の設備へ甚大な被害を与えた。爆発時、[編集済み]Gy相当の放射線が観測されたにも関わらず、放射性物質の検出量は極めて微量であった。
分析: SCP-XXX-JP-Bは爆発物として使用可能であることが判明。爆発力や観測結果より、そのうちの純粋水爆であると推測される。

SCP-XXX-JP-B-01発掘現場へ埋蔵される、Mark 39の一部分のダミー 周囲の人物は、当時の米軍内へ潜伏していた財団職員
SCP-XXX-JP-B-01は、現在の直径が4██cmの球形の純粋核融合爆弾です。当該オブジェクトの中心にはMark 3924であった、SCP-XXX-JP-Bで唯一の、SCP-XXX-JP-Aを生成する機構が備わっています。
SCP-XXX-JP-B-01はゴールズボロ空軍機事故25の後、二発目のMark 39の落下地点にそれと明確に異なる形状の物体として発見されました。報告を受けた財団が物体の調査を行ったところ、同時にSCP-XXX-JP-Aの存在を確認。財団はSCP-XXX-JPとして収容すると共にカバーストーリー「発掘作業の断念」を適応し、SCP-XXX-JP-B-01の発掘現場へMark 39の一部分のダミーを埋蔵しました。収容当時のSCP-XXX-JP-B-01の形状は、極半径3██cm、赤道半径11█cmの長球状26でした。収容直後、財団はSCP-XXX-JP-B-01をコンクリート内への投入、液化金属の噴射・凝固などの手段で収容していましたが、当該オブジェクトの巨大化、SCP-XXX-JP-Aの生成の停止は認められませんでした。そのため同時期に行われていた他のSCP-XXX-JP-Bを用いた実験の結果と併せ、財団はSCP-XXX-JPのオブジェクトクラスをKeterへ分類しました。その後196█年、B-52G墜落現場より[編集済み]離れた地点において、不自然な地面の崩落の発生が確認されました。財団は当該地点において破損した小型コンテナを発見し、これを収容しました。コンテナ内部には流入した土壌及び生物の他、蓋の損壊した虫かご用プラスチック製容器並びに、劣化及び破損の見受けられる文書が収められていました。当時、虫かごは収容地点のものと異なる土で満たされており、後の調査から、土にSCP-XXX-JP-Aの死骸、その他数種の微生物、微量の重水素やヘリウム3などが含まれていることが確認されています。文書にはSCP-XXX-JP-Aに関する情報が掲載されており、復元によって得られた情報を元に、財団はSCP-XXX-JPの特別収容プロトコルを現在のものへ改訂しました。なお、現在の特別収容プロトコルにおいても、SCP-XXX-JP-B-01は年0.█cmという速度で巨大化し続けています。また、現在までSCP-XXX-JPにより、74人の職員が死亡、82人の職員が閾いき線量以上の量の放射線に被爆しています。
以下の文章は、復元された文書です。
FF計画 第█企画 第█案の結果及びその関連情報について
バウ委員会 [データ破損] [データ検閲済み]
仮称用番号:FFP-IS█-██Y
作成者: バウ委員会 [データ破損]
管理方法: [データ破損]中へ保存し、必要となった際にそこから搬出してください。給餌のため、再利用困難または不能と判断された放射性物質を最長12時間毎に与えてください。
結果: 当該案は、重水素、三重水素、[データ破損]、若しくはヘリウム3への、その他放射性物質の変換を可能とする生命体の創造に成功。水素爆弾用の放射性物質の確保は、このFFP-IS█-██Yの完成を以てより確実なものとなりました。我が国の核戦力の拡大に、多いに貢献してくれることでしょう。
補遺: [データ破損]現在、当委員会ではFFP-IS█-██Yに関し、異常武器プログラムに則った放射能兵器としての使用が議論されています。[データ破損]より提案された『放射能汚染に対する除染作業への使用』に関しては、既に試験運用において一定の成果が確認されており、ブロークンアロー27発生時の実戦投下が検討されています。
補遺: SCP-XXX-JP-Aは容器中より脱走してから財団が収容するまでの間に全個体が突然変異体に置換されたと推測されます。変異原は放射線が最有力視されていますが、特定はできていません。
補遺2: 財団は1966年のパロマーレス、1968年のグリーンランド西方沖などで発生した、米軍の関与するブロークンアローを発生直後に調査しましたが、SCP-XXX-JPは確認されませんでした。この事からSCP-XXX-JP-Aは、SCP-XXX-JP-B-01と同時に収容された個体群を最後に製造されていないか、少なくともバウ委員会内においてのみ運用されていると推測されます。
- Keter
- SCP-jp
- 国外収容
- 生命
- 昆虫
- 微視的
- ミニチュア
- 自己複製
- 種族
『名前』: 『リコちゃん』
『』
『どう閉じ込められているか』: サイト-81██の標準収容ロッカーの一つは、他の標準収容ロッカーから隔離されたクリーンルームで『リコちゃん』を収容しています。いかなる理由があっても、その周囲に生命体を配置することは禁止します。標準収容ロッカーに異常な腐食や破損が確認された場合はそれを速やかに交換してください。『リコちゃん』について言及する場合は、「周囲が『リコちゃん』に対し、どう行動・対応しているか」という形態で言及するようにしてください。SCP-XXX-JP-Aは、身体を拘束し、『リコちゃん』の解放へ向かえないようにしてください全て終了してください。
『紹介』: 要注意団体「█████」は『リコちゃん』を、少女を模した形状のポリ塩化ビニル製着せ替え人形として作り出しました。『リコちゃん』そのものまたは『リコちゃん』について直接言及する発言・文章・語彙(以下、言語とします)は、『リコちゃん』によるものを除き28、その表現が口語的あるいは文語的になるよう、改変を受けます。『リコちゃん』を指す単語が一様にリコちゃんへ改変されるのはその一例です。また、一度『リコちゃん』の周囲1.5m以内に侵入した生命体は、「『リコちゃん』を解放しなければ何らかのK-クラスシナリオが起こる」と妄信し、『リコちゃん』を解放しようとし始めます。この存在をSCP-XXX-JP-Aと分類します。財団は『リコちゃん』により改変された言語の復元を試みていますが、全て失敗に終わっています。
財団は『リコちゃん』を、要注意団体「█████」の、██県██市にあった施設を制圧した際に確保しました。施設内には『リコちゃん』を除くSCPオブジェクトは存在せず、ポリ塩化ビニルや布などの残骸が散乱していました。これらは元々SCPオブジェクトであったものが外的要因により破壊され、無効化されたものであると推測されています。
実験記録00█ - 日付20██/██/██
対象: 『リコちゃん』、SCP-XXX-JP-A二体
実施方法: 二体のSCP-XXX-JP-Aに『リコちゃん』をサイト-81██より徒歩によって搬出させる。
結果: SCP-XXX-JP-Aは『リコちゃん』を屋外まで移動させたと同時に、他の人工物であるSCPオブジェクトの解放を試みようとした。同時に対象外であったSCP-XXX-JP-Aも脱走を試みたため、██研究員は収容違反の可能性が生じたと判断。██研究員の指示により、SCP-XXX-JP-Aを終了させた。
分析: 上述したSCP-XXX-JP-Aの挙動は、全て終了させることが適切であると判断するに十分なものであると推測されます。
実験補遺: 当実験の結果より、特別収容プロトコルはSCP-XXX-JP-Aを確保し次第終了させるよう、改訂されました。
実験記録███ - 日付20██/██/██
対象: D-█████
実施方法: D-█████に『リコちゃん』について言及させる。
結果: 以下の音声記録が該当します。
<録音開始>
██研究員: ……では、実験を開始します。先程ご拝読頂いた、『リコちゃん』について、言及してみてください。
D-█████: えーと……。『リコちゃんは人間の少女みてぇな姿の人形だ。リコちゃんについて話したり書いたりすると、その表現は改変される。そのなか――』。
██研究員: どうかしましたか?
D-█████: いや、言おうとしたことと言ってることとが、どうも噛み合わねぇんでな。██研究員: そうですか。それでは今度は、客観的かつ文語的に、言及してみてください。
[D-█████は何度か声を発しかけ、発言をやめる。]
██研究員: ……どうしました?
D-█████: 無理みてぇだ。どうしても言葉が捻じ曲がる。『リコちゃん』を壊し――
██研究員: 実験を終了します。
<録音終了>
分析: 発言が改変を受けたことに対し、受けた者は自覚ができることが判明。また、『リコちゃん』について言及する発言は、本人の意識と関係なく改変されると見られる。
補遺: 当記事は『リコちゃん』による改変を受けたと確認された、あるいは改変を受けていると推測される箇所へ、二重鍵括弧を付記してあります。
補遺2: ██月██日、SCP-XXX-JP-A-001が『リコちゃん』を自称し始めました。██研究員はこれに興味を示し、SCP-XXX-JP-A-001へインタビューを行いました。以下はその記録です。
対象: SCP-XXX-JP-A-001
インタビュアー: ██研究員
付記: 対象は『リコちゃん』の第一発見者で、身体の拘束を維持した状態でインタビューに応じています。
<録音開始>
██研究員: では……。
[数秒間の沈黙。29]
██研究員: 『リコちゃん』。『自分が誰であるのかを私達に聞かせてください』。
SCP-XXX-JP-A-001: 今は私がリコちゃん。けど、本体はあの人形のままよ。話が済んだらちゃんと元の人にお返しするわ。
██研究員: ……と、言いますとつまり、『仲間全員に、リコちゃんは今のSCP-XXX-JP-A-001みたいに乗り移れるのですか』?
SCP-XXX-JP-A-001: ええ。その気になれば私の仲間全員を、私の元に向かわせることだってできるのよ。
██研究員: ではなぜ、『リコちゃんはそうしないのでしょうか』?
SCP-XXX-JP-A-001: 察しが付いてて聞くのなら、悪趣味な質問ね。さすがの私にも、仲間を通じて仲間を増やすことができないからよ。
██研究員: つまり――
SCP-XXX-JP-A-001: けど、そっちに見つかってないだけの仲間だってたくさんいるのよ。私にひどい事するようなら、その仲間達に、私を救ってもらうわ。
██研究員: なるほど、『リコちゃんのことは大体分かりました』。……しかし、そもそもどうしてあなたは今回、こうして話をしようとしたのですか?
SCP-XXX-JP-A-001: あなた達が人工物とみなすもの。それが生きているってことを証明するためよ。これはその第一歩。ここから長いけど、いいかしら?
██研究員: 許可します。続けてください。
SCP-XXX-JP-A-001: 私達は生きているの。けど、それを創造主であるあなた達に示す手段はないの。所謂人工知能だって、無数のパターンの集合体。予め用意されたパターンから、何かを考え、学習し、より賢くなるだけの存在、と。そう看做す他が、あなた達にはできない。それこそ、それの分かる、異常性? を備えた、SCPオブジェクトでもなければ、ね……。
██研究員: あなたのその特異性は、自分の生を証明する、一つの手段だ、と?
SCP-XXX-JP-A-001: そう。まず私から、それを示さないといけない。そして、あなた達の私達への恣意を、少しでも止めさせないといけない。けれど、復讐や逆襲では駄目。それが私達への虐殺を生むだけなのは、私にだって分かるもの。
██研究員: だから自己への言及を改変するだけに留め、直接的な行動には出ないのですか。
SCP-XXX-JP-A-001: でなければ何? 私達の命を認めてくれる人間まで殺してしまったら、私達がそうまでした意味を無くしてしまうでしょ? けど、私のお友達がまだいたとしたら、どう思うのかしら。そこは想像が付きかねるわ。……以上よ。
██研究員: なるほど、そんな事情が……。『リコちゃん』について、よく分かりました。お話してくださって、ありがとうございます。
SCP-XXX-JP-A-001: そう畏まる事はないわ。これ以上の他意はないですもの。じゃあ、私はこれでお暇いとまするわ。
[SCP-XXX-JP-A-001は意識を失い、首を前に垂れた。数秒後、対象は意識を取り戻し、顔を上げた。]
██研究員: 気が付きましたか?
SCP-XXX-JP-A-001: ん? リコちゃんを、リコちゃんを助けなきゃ――
<録音終了>
終了報告書: 『リコちゃんは「人間の作り出した人工物は命が宿っているので、恣意的に殺害してはいけない」という旨の主張を示しました』。
補遺3: ██研究員は、『リコちゃん』の特異性が自身の言語に対して発現せず、「自身への言及の改変」、「SCP-XXX-JP-Aの生成」、「SCP-XXX-JP-Aへの憑依」の他、更なる特異性として「自身に関して偽である言語を、発言・記述された事実ごと消去する過去改変能力」を『リコちゃん』が保有しているとと推測しています。
- scp-jp
- Euclid
- 玩具
- 人間型
- 自我
- メタ
- 情報災害
- 概念
- 強制力
- 精神影響
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは研究サイト-81██内の厳重保管ロッカーへ収容します。実験に使用する場合を除き、搬出並びに電力供給を行わないでください。SCP-XXXX-JP-Aは標準収容ロッカーにて不透明なケースへ入れた状態で収容し、実験で試行する場合、非被写体は画像部分を視認しないでください。
説明: SCP-XXXX-JPは、電気供給を受けて稼働すること、開発に東弊重工のフロント企業が関与していること、「博士」らしき者による改造を受けていると見られること、想定使途及び主要機能が共通した印刷用機器です。30H. s. sapiens(以下、ヒトとします)が写った写真の印刷を実行する際に活性化して特異性を発現し、表には[編集済み]しながら写真を、同様に裏へは不特定の言語31で『写ってないやつは殺せ』と印刷します。この印刷物をSCP-XXXX-JP-Aと分類します。非活性化時は同様な非特異性モデルと同一の動作を行い、観察や分解による区別の成功例は存在しません。また、ハードドライブあるいはソフトウェアの非特異性モデルとの交換の実験が行われていますが、無力化や特異性の複製の様子は見受けられませんでした。
SCP-XXXX-JP-Aの紙の大きさ、材質は102mm×152mmの写真用紙32が最も多く、それに次いで210×297mmのコピー用紙33が多く確認されています。赤い字の字体及び色味は血文字に近似しており、大きさは不均一です。当該オブジェクトは使用素材本来のそれと比べて遥かに高い耐熱性と物理的強度を有しており、アグレシブジェットによる切断や液化させたTa4HfC5(炭化タンタルハフニウムの一種)への浸漬【しんし】に対しても外傷や変形、融解が認められていません。財団には20██年██月現在、███枚のSCP-XXXX-JP-A(それぞれSCP-XXXX-JP-A-001~███と分類)が収容されています。

SCP-XXXX-JP-A-█2█ 被写体のうち█人が病死、█人が事故死している。

SCP-XXXX-JP-A-██4 このうち██人がSCP-XXXX-JP-Bに殺害されている。別の█人は被写体である事が確認済み。
SCP-XXXX-JP-Aの特異性は認識災害として表れ、画像部分を直接、または鏡やカメラを経由して視認した者に、当該オブジェクトのどれにも本人の実体が写っていないヒト(以下、非被写体とします)への、強烈かつ強迫的な殺害衝動を抱かせます。この状態に変化した人物をSCP-XXXX-JP-Bと分類します。また、この特異性はいずれかの当該オブジェクトの被写体に対しては発揮されず、SCP-XXXX-JP-Aを撮影した写真や記録映像、デジタル画像へは伝播しないことが確認されています。
実験記録001 - 日付20██/██/██
対象: Dクラス職員1名
実施方法: 身体を拘束した対象へ、SCP-XXXX-JP-A-█1█の写真と映像、デジタル画像、SCP-XXXX-JP-A-█1█を順に視認させる。
結果: 写真、映像、デジタル画像、SCP-XXXX-JP-A-█1█の裏側を見せた際は特異性が見受けられなかったが、SCP-XXXX-JP-A-█1█の画像部分を視認した途端、対象は「拘束を解け」、「写ってるやつはいい、写ってないやつを殺させろ」、「写ってないやつは[データ削除]でも殺さないといけない」などの旨の発言を繰り返しながら暴れだした。職員はSCP-XXXX-JP-A-█1█の画像部分を対象含む実験参加者の視界から外し、速やかに対象へクラスA記憶処理を施した。対象は特異性を喪失、実験は終了となった。
分析: SCP-XXXX-JP-Aの画像部分を視認した者が、SCP-XXXX-JP-Bになると見られる。また、殺害衝動の対象にSCP-XXXX-JP-Aの被写体が含まれていないことが判明。
実験記録0█4 - 日付20██/██/██
対象: Dクラス職員1名
実施方法: 身体を拘束した対象へ、SCP-XXXX-JP-A-██1(ヒトの写った写真が写っている)の画像部分を視認させる。
結果: SCP-XXXX-JP-A-██1を視認したと同時に暴れだし、拘束解除と非被写体の殺害の容認を求める言葉を叫びだした。対象へ「写真の写真に写る者は殺すのか?」と尋ねたところ、「当然だ。(対象から見て)右端の奴はもう死んでるがな」と返答。クラスA記憶処理を施し、特異性が喪失した事を確認し、実験を終了させた。
分析: 被写体と看做されるにはSCP-XXXX-JP-Aの画像部分に『本人が直接』写っていないといけないと推測できる。なお、当実験で対象が死亡していると述べた人物はSCP-XXXX-JP-A-██8に写っており、実験の█日前、███にて[編集済み]が原因で死亡していたことが確認されている。
実験記録0█8 - 日付20██/██/██
対象: SCP-XXXX-JP-██
実施方法: 対象を用いて、210×297mmのコピー用紙へヒトの写っていない写真とヒトの写った写真を一枚ずつ印刷する。後者にはSCP-XXXX-JP-A-█3█と被写体が同一のデジタル画像を使用し、対象は蓋を開けた状態でハイスピードカメラにより撮影する。
結果: ヒトが写っていない写真を印刷した紙に特異性は見受けられなかったが、ヒトの写った写真の印刷を開始すると、対象は特異性を発現した。録画映像の解析により、対象は印刷時、キャリッジを[編集済み]させていたことが判明。また、印刷された写真には裏に『写ってないやつは殺せ』という意味のロマンシュ語が書かれており、これを特異性があると看做し、SCP-XXXX-A-███として収容した。なお、特異性を持たなかった前者はペーパーシュレッダーで細かく切断し、処分された。
分析: ヒトが全く写っていない写真にSCP-XXXX-JPが特異性を持たせないことが判明。実験記録0█4と照合すると、ヒトが実体以外の形でのみ写っている画像を印刷した場合、特異性は付与されないと見られる。
SCP-XXXX-JP-Bになった者は、知能に関しては変化前と変わらないですが、思考は必要最低限の生命活動維持に関することを除けば非被写体の捜索、殺害に割かれ、『少なくとも平穏では、冷静であるとはいえない』と多くの職員に評される状態になります。SCP-XXXX-JP-Bは移動をはじめとした、非被写体を探し出す行動を取ります。SCP-XXXX-JP-Bは行使可能なあらゆる手法で、非被写体を捕捉し次第、殺害しようと試みます。その他の行動は[編集済み]などを除いて確認されていません。
SCP-XXXX-JPの存在は、20██年██月に███████にて発生した無差別殺傷事件を切っ掛けとする、████一帯で連続して発生した無差別殺傷事件を財団が独自に調査している過程で発覚しました。当時警察へ潜入中だったエージェントにより、すぐさまSCP-XXXX-JP-A-001を初めとした█枚のSCP-XXXX-JP-Aが収容されました。しかし██日後には近似した事件が再び発生し始め、収容を続行しましたが、事態は██博士がSCP-XXXX-JP-Aの製造元であると提唱していたSCP-XXXX-JPの実在が██月██日に確認されるまで、平行線を辿りました。財団は発見したSCP-XXXX-JPを即刻確保・収容し、事態は一旦収まりました。しかしその██日後、再びSCP-XXXX-JP-Bによる無差別殺傷事件が███████から約███km離れた██████などで発生。財団は再度、SCP-XXXX-JPをも対象として事態の終息に向け、活動を再開。全国へ徐々に拡散する事件の真の原因は長らく不明でしたが、██月██日に「博士」らしき者34が各地で当該オブジェクトを作り出していることが判明。財団はカバーストーリー「不良商品のリコール並びに自主回収」を段階的に展開し、そのうちSCP-XXXX-JPであった機器を収容しました。SCP-XXXX-JP-Bによる事件の発生頻度は大幅に低くなりましたが、未だ完全に収束しておらず、財団は事件発生の都度、押収物や犯人宅に紛れているSCP-XXXX-JP及びSCP-XXXX-JP-Aを確保・収容しています。
補遺: 非被写体を全員殺害した場合、SCP-XXXX-JP-Bは無力化するものと見られています。
補遺2: 以下はSCP-XXXX-JP-Bに関する情報の元となった、SCP-XXXX-JP-B-██だった男、[編集済み]の妻である女性へのインタビューです。
対象: ███(SCP-XXXX-JP-B-██だった男の妻)
インタビュアー: ██博士
付記: 対象はSCP-XXXX-JP-B-██の財団エージェントによる無力化に偶然立ち会っており、このインタビューは本人の合意を得て行われている。また、対象は英語に流暢である。
<録音開始>
██博士: ███さん。早速ですが、[編集済み]さんに何があったか、お聞かせください。
███: はい。あれはたしか、お昼頃でした。夫が、写真を印刷したんです。私と子供達の四人で撮った写真(=SCP-XXXX-JP-A-██3)を、買ったばかりのあのプリンタ(=SCP-XXXX-JP-██)で。初めて印刷した写真だったのですが、夫がそれを見たら……。
██博士: 様子が急変した、と。
███: そうです。台所に向かったと思ったら包丁を懐に隠しだして、何をしているのか尋ねたら、『写ってないやつを殺す』と言い出して、私の制止を振り切って家を出てしまったんです。██博士: それからはどうしましたか?
███: 写真が気になって、見に行きました。なんともないと思って裏を見たら、英語で『(写真に)写ってないやつは殺せ』35、と。指に付けた血で書いたような文字だったのを覚えています。██博士: それからはどうしましたか?
███: 破いて捨てようとしましたが、紙が全く破けませんでしたので、誰の目にも留まらないようにしていました。それからは――[SCP-XXXX-JP-B-██の関与した事件に関する会話のため、中略]
███: 後日、同じく私と子供達の写った別の写真を印刷してみたところ、裏には字がありました。英語以外で、ラテン文字ということしか分かりませんでしたが……36。その後にふと気になって、その写真を撮った旅行で撮った、風景写真も印刷してみたんです。誰も写ってない。けど、その写真の裏にあの文字はありませんでした。
██博士: そうでしたか。……しかし、今回の事件は残念でした。██人も被害者が生じてしまい、なんとお詫びすれば良いものか……。
(███が涙を浮かべ、██博士から約█秒、顔を逸らす)███: そんな。皆さんが██人に抑えたというのに、それを悪く言う必要なんて……。
██博士: それを聞けば、犠牲となった職員も少しは浮かばれるでしょう。……今回はここまでにします。ご協力ありがとうございました。
███: 今度とも、今回の件に関して何かありましたら、協力させてください。こちらこそ、ありがとうございます。(███が椅子から立ち上がり、██博士と握手する音)
<録音終了>
終了報告書: 今回のインタビューから、多くの有益な情報が得られた。なお、███はこのインタビューの後も引き続き、SCP-XXXX-JP及びSCP-XXXX-JP-Aの収容・研究に協力することが予定されている。
補遺3: ██博士主導の被写体に関する調査から、故人である被写体に自然死した者がいないという結果が出ています。その事から██博士はSCP-XXXX-JP-Aの更なる特異性として『被写体に対する未来予知』を提唱しています。しかしSCP-XXXX-JPとSCP-XXXX-JP-Aの収容が続いている状況下である事から、調査不十分として否定的な意見を述べる職員も少なくありません。
補遺4: SCP-XXXX-JPの作成者に関しては『ワンダーテインメント博士及び「博士」の模倣者』、『「博士」の新派閥』の二説が有力視されています。特に███博士は新たなる要注意団体、『博士もどき』としてその他職員██人と共にその登録を申請しています。
- Euclid
- SCP-JP
- 人工
- プリンタ
- 写真
- 文字入り
- 強制力
- 認識災害
- 記憶影響
- 東弊重工
私はその時、関東某所の海岸にいた。やるせない気分を抱えての、有休の只中であった。
深く青い海を見つめ、缶コーヒーを飲み干し、私はぼんやりと、ある言葉を反芻していた。
「『財団は冷酷だが残酷ではない』……」
諸知博士の言葉の一つであり、SCP財団の一側面を述べたものである。
しかし私にとっては、ある種の『言い訳』としか映らない。Dクラス職員による危険な実験や、知的なSCPオブジェクトの扱いの。
と言ってもさすがにSCP-076やSCP-682のような、他のSCPオブジェクトにとっても有害な存在は、そうされても仕方ない。
だが、そのものと特異性が自発的に害を生まない分には、相応に扱うべきではないのだろうか、と。
そう要約できる私の思想は、どうにも落ち着きどころが無く、思考の海を漂流している。
そんな私の状況も、そもそも私の、私達の存在など、海岸に点々と広がってはしゃぐ人々は、知る由もない。
たまの休日を楽しんでいる人々の姿は、羨ましくもあって、しかし同時に憎らしくもあった。
高い太陽は私達を見下すように、燦々と照っている。湿っぽい青空の広がりは、知の空虚を嘲弄【ちょうろう】しているようでさえあった。
「奴らは、忌まわしい……」
「少しよろしいかな?」
ぼやいた私に、男性の言葉が投げかけられた。声のした方を見れば、三十歳ほどと見える男がいた。
下の水着は無地のサーフパンツで、上にTシャツタイプの白いラッシュガードを着ていたが、その丸めた頭髪と顔立ちにはどうも不似合いだった。
第二次大戦の頃から、そのまま現代に来たかのような。そしてその目つきは、年の割りに老練されている風に見える。
彼はそんな、不思議な男だった。若さがあるようで、どこか年波が見えて、どちらとも付かない。その若々しさが特異性由来だと、私は予測した。
「なんでしょう?」
「そう警戒することではない。訳ありの者と見受けられ、いかがしたものかと思ってな」
彼の古臭い口調は、予測が当たった事を私に確信させた。更に私は、素性を掘り下げるため、言葉を返した。
「いえ、一人寛いでただけです。それよりも、あなたは何者ですか? そちらこそ訳ありなように思えますが」
「ふむ、そうか。……そうだな、ここではお互い話しづらかろう。海の家でどうだ?」
間に沈黙を挟んで、男は一つ提案を出した。私はすぐさまそれを了承して、海の家へ、二人で向かった。
笑い声と波音は、そんな事などお構いなしに響いていた。そこへ唐突に吹いた南風は、缶コーヒーをさらっていった。
海の家の一角にあった六人席。私と男はそこに座っていた。昼食の頃を過ぎ、人がまばらだったのを覚えている。
磯臭さの混じった料理のにおいが漂う中、私は彼をまじまじと見ていた。
「自己紹介がまだだったな。私は淀舟龍守【よどぶね・たつもり】という。貴君は?」
「真田美百合【さなだ・みゆり】です。それで淀舟さん、ご用とは一体?」
私の問いに微笑を返した淀舟は、一人の女性を手招きした。黒いセミロングの髪に、伏せ気味で妖艶な濃褐色の瞳。
ふわりと色気を漂わせる立ち振る舞いの彼女に、私は見覚えがあった。婀娜【あだ】な唇に友好さを含ませ、彼女は歩み寄ってきた。
「エージェント・双葉――」
「静かに。私達のことを周りに漏らすおつもりですか?」
エージェント・双葉。とあるSCP-XXXX-JP-Bに襲われていたところを、SCP財団に保護された者の一人である。
後にエージェントとして警察に潜伏するようになったと聞いていたが、私と同じく休暇中で、しかも同じ場所に訪れていたとは思わなかった。
私はひどく驚かされながら、しかし男への疑念が膨らんでいった。なぜこの男が、エージェント・双葉と面識を持っているのか。
「そんなつもりはないです。それにしたってなぜ彼と面識があるのですか」
「これから『我ら('The Us')』が話すことです」
『我ら』? 唐突に変わった人称が、私に引っ掛かった。言及対象に応じて、呼び分けているのだろうか?
どちらにせよ私の疑問を解くには、二人を頼る他が無さそうだった。だからまず、彼らの話に耳を傾けた。
「話は単純だ。向こうから抜けろとは言わん。『我ら』の許に来い」
「『我ら』はあなたを歓迎します。他の『我ら』も、同様に」
正面と左から、言葉が浴びせられる。言ってる意味がまるで分からなかった。
「大丈夫ですよ。『我ら』の内での立場は、『我々('Ourself')』が保障しますから」
そう言ってやって来た男が、淀舟の向かって右へ座る。いかにもな好青年だが、その目から年相応の生気は感じられない。
年は二十前後と見られ、三人の中では比較的若々しさが感じられる。後に聞いたところでは、その名を日奉和【いさなぎ・なごむ】と言うらしい。
「こ、これって……。どういうことですか……!?」
「見ての通り、『我ら』は『我々』の許に同志を集めているんですよ。あなたには、是非ともその一人になってもらいたいな、と」
「貴君のことは双葉君から聞かせてもらっている。もちろん、ここまで来て、逃がすつもりは毛頭ない」
明らかに、彼らは要注意団体だった。今の私にもはや逃げ場は無い。
「このまま来るのがキミのためだよ」
「悪いようにはせん。『我ら』の許に来い。連中にはうんざりしているのだろう?」
小柄な青年と、初老らしき男も私に揺さぶりを掛けてくる。たしかに私は、財団に失望している節がある。
しかしそれだけの事では、財団を裏切る理由にはなりえない。そこに気付いたらしい五人が、言葉を畳み掛けてくる。
「アノマリーが哀れとは思わんか? 冷酷に扱われ、知的生命体として生を全うできない、彼らが」
「このまま冷たい監獄に閉じ込めておいて、あなたはそれで構わないというのですか?」
「『我々』は彼らを救いたいんです。人類を守るためとはいえ、財団はやりすぎなんです」
「そうだよ。他の連中だって、アノマリーになりそこなった奴のことをまるで考えちゃいない」
「『我ら』はそういう奴らのためにもなる世界を、築こうとしているだけだ。どうだ、悪くはあるまい?」
補佐とはいえ、研究員として私は、何人ものDクラス職員を犠牲にしてきた。重罪を抱えてるとはいえ彼らも知的生命体。
それを当然の如く、十分な安全確保も無しに使い捨てる財団が、正しいといえるのか?
無理に収容するより破壊した方が、より人類のためになるだろうSCPオブジェクトもあるのに、財団は収容以外を滅多に認めない。
「『財団は冷酷だが残酷ではない』……」
「それは財団の口実です、美百合さん。目覚めてくださいっ」
「今更無駄だ。奴らは収容に固執する、GOCと逆方向の悪魔。そんな奴らへ、加担する必然性があるか?」
「思想は、実績はたしかに見上げたものなのだろう。しかし、その過程はどうだ?」
囚人同然、あるいはそれ以上に酷い環境下の人型SCPオブジェクト。その図が私の脳裏を過ぎる。
彼らは安全でいられる。しかし、自由ではない。快適でもない。ただ、い続けられるだけの場所に、押し込められているだけ。
特異性が制御できず、かつ有害であるなら、多少は仕方ないのかもしれない。だが、それはあんな仕打ちの理由として妥当なのか?
あまりにもあんまりだ。この感情は財団からすれば、『歪んでいる』のだろう。それがなんだ?
「凄惨にも程があります。誰も彼らを、真に理解しようとはしていない。求めているのは、適度な安全と、そして自由……!」
「そう。快適な環境でなければ、アノマリー達は当然、それを築く者達を敵対視する。人類が目の敵にされるのも当たり前だよね?」
そうだ。彼らだって、ただ生きたいだけ。強制される生に、一体なんの価値がある?
収容も、破壊も、開示も。いずれのフリークも、適切ではないと、なぜ気付けない?
気付きたくないなら、気付かせるまで。SCPオブジェクトの相互尊重による共存共栄が、真に人類のためなのだと。
きっと淀舟さん達は、『共存フリーク』と呼べる組織の者達なのだろう。そこに私は一縷の望みを賭けた。
「改めて問おう。『我ら』の下で、アノマリー達を救おう。そのために、来てはくれないか?」
「……はい。私も救いたいです。財団の、GoIのやり方に、やってる事に、私はもう……!!
「真百合さん……」
冷酷に扱われるSCPオブジェクトの救済。私の今後は、今決めた。
財団に研究員補佐として勤める裏で、『我々』の一人として、アノマリーを救う。
抱えてきた感情の限りを、私は吐き捨てた。
「うんざりです……!!」
財団との、理念的な決別の瞬間。重荷が降りた感覚が、私を駆け巡った。
「よく言ってくれた。今から『我ら』は、君を『我々』の一員として、認めるよ」
「今後ともよろしくお願いします。真百合さん」
「……さて。『我々』の一員となる、通過儀礼と行こうか」
と、初老の男が手首の内側を首に押し当ててくる。冷たい感触がしたと思うと、強い鼓動が私の中を駆け巡った。
「うぅっ……!?」
「『我々』の全員が持つ特異性を、君に複製しているのだよ。その特異性を以て、我々はアノマリーを、その候補達を救う」
男の腕が離れると、青年が私に何かを渡してくる。細長く、光らないSCP-010-JPといった趣の物体だった。
「これは?」
「『我々』が『網』と呼んでいるAnomalousアイテムです。今あなたに特異性を与えたのは、あの人の手首に埋め込んだものです」
「凄いだろう? この坂野武弘【さかの・たけひろ】の、名作は」
戸惑う私にそう言って、初老の男は手首を見せる。しかし何の変哲もないようにしか、私には見えない。
「驚くのも無理はない。普段のこいつは埋没していて、必要に応じて表出するのだからな」
坂野には、工業関係のアノマリーと関係がある気がした。彼が東弊重工の元幹部と知ったのは、このもう少し後の事。
「は、はぁ……」
「あんなですけど、坂野さんの技術力は確かなものですよ」
和がフォローするものの、効果薄な感が否めない。見ればエージェント・双葉も、呆れ顔を浮かべていた。
「いつも通りのことです。気にしないであげてください」
「そんなこんなで、だ。『我々』が一人増えたところで、今日はお開きとしよう。……いずれまた会おう、真田君」
淀舟の言葉で、彼らは瞬く間に散り散りになった。私もその後を追ったが、すぐに分からなくなってしまった。
「私に、救えるのかな……。アノマリー達を、この世界を」
私は頭がごちゃごちゃしたまま、帰路に着いた。以来、私は財団が『博士もどき』と呼ぶ組織の、一員となった。
財団は『我ら』が個人か団体かを知らない。私やエージェント・双葉がその一員である事も、もちろん。
博士もどき。それが『我ら』の、名の一つとなっていったのは、また別の話。
『我ら』、異常者を救済す。
新たなSCP案はコピペの上でこれを使用
※これらは構想段階のものであり、大幅な変更の可能性もあります。
「我ら」("The Us")とは、現在構想中のGoIのことです。組織内部は知的な異常存在(主に人間型)が大多数を占める「我々」("Ourself")を最上層部とし、その傘下に複数のGoI(以下、フロントGoI)を保有しています。
フロントGoIには『分離者(Separator)』、『アンクロフォード(Uncrawford)』、『第五参事会(Level 5 Council)』、『異常存在のための解放戦線(Liberation Front for Anomalies)』、『Are We Tender Yet?』、『現獄教(Real Hellism)』、『パンドーラの救い手(Savior of Pandora)』が存在します。
それぞれは財団、ワンダーテインメント博士、05議会、夜明けの解放戦線、Are We Cool Yet?、世界オカルト連合、マナによる慈悲財団に類似しており、そのうち現獄教は実際にGOCへ加盟しています。
他にもフロントGoIは存在するかもしれません。
フロントGoIは模倣元となるGoIと同様な行動を行い、組織外及び最上層部除く組織内からはそれぞれが独立して活動する組織であるようにしています。しかし、これら組織の衝突は意図的に回避され、「我々」の目的へ直接的であれ婉曲的であれ貢献します。
その目的とは、知的な異常存在が自由に互いを慈しめる世界の確保。そのためなら「我々」は、地球から人類を放逐することも厭いません。他の異常存在にとっても有害な異常存在を、財団に収容させたりGOCに破壊させることもあります。
その性質もあり、カオス・インサージェンシーやGAW、プラグソフト、ワンタメ、ニッソ(JOICL)、アズマ、PEJEOPAT、特事課とは対立気味です。サーキック・カルトとも消極的な中立状態であり、XK-610-Ω発生時には三頭政治側に付いて敵対しています。
一方、蛇の手やMC&D社、境界線イニシアチブ、レフティとは友好的であり、「貴族たち」とも一応の友好関係を築いています。
MCFとヘルクラッパーズは「我ら」にとってカモです。
そんな中、不気味サーカスや「博士」、池照子派、霧の探求者については併合を画策している……、かもしれません。
フロントGoI最大手の分離者は、『保護・分立・無効化(Protect,Segregate,Neutralize)』の理念の元、人類とアノマリーを分離する事を目的としています。
GoIを通じて認知した財団に感化された者により組織されたGoIであるかのように振舞いますが、拘泥しない事に拘泥するその姿勢から、外部からは対応のしづらさもあり、あまり良い顔をされていません。
分離者は「我々」を、最高評議会と呼称しています。直接的ではないにせよ、「我々」が外部に認知されているのはここだけかもしれません。
「我ら」は保有する異常存在(財団でいうSCPオブジェクト)をNA(Numbered Anomalies)と呼称しており、それぞれは『NA(符号)-(数字)』という形式の番号で識別・呼称します。
符号については以下のような分類が存在します。
Am:不定形 An:その他動物 Ap:両生類 Ar:地球外生命体 B:鳥類 Cc:概念 Cs:建造物 Cm:宇宙 D:文書 Ec:経済 Ed:異次元
En:エネルギー Eq:装備 Fi:魚類 Fo:食品 Fr:友好的 Ga:ゲーム Gn:遺伝子 Go:地質 Ha:幻覚・錯覚 Ho:敵対的 Hu:人間型 If:情報
Is:昆虫 J:装飾品 K:知識 La:言語 Lc:生命活動 Li:その他生命体 Lu:嗜好品 Mc:機械 Me:ミーム Mi:軍事 Mm:哺乳類 Na:国家
Ne:ネットワーク Ob:物体、特に置物 Oc:オカルト的 Ph:物理現象 Pl:その他植物 Ps:超能力 Q:医療 Ra:現実改変 Ri:儀式 Rp:爬虫類
So:音 Sp:場所 Th:思想・価値観 To:玩具 Tr:樹木 U:再確保待ち V:乗り物 W:天候 X:分類不能 Y:調査中 Z:手製
外部の組織についてはアーグ(ARG;Anomalies Related Groups)、正式には異常存在関連団体と呼んでおり、これは財団でいう要注意団体(GoI)に相当します。
「我ら」は日本支部の世界にいた頃の1990年代に、負号部隊に対し同盟関係にある組織として独立しています。
その後基底世界において、1999年の日本支部と同時に出現。日本国外の財団にもフロントGoIが認知されました。
それ以来、日本国外の蛇の手や霧の探求者と接触し、そこから更にMC&Dや境界線イニシアチブとも接触 現獄教を国外GOCにも編入させました。
そうして次々勢力を拡大させていきますが、異常存在が直接絡む活動はしばらくあまりありません。
原文ママ
『東高司(Azuma Takashi)』 ニッソ産の人造生命体であるヒト型異常存在 「我々」内では『アナグマ』と呼ばれる
普段は白衣を着ているらしい 身体は年齢固定処置の結果、10歳前後の大柄な子供のそれで固定されている
異常存在に曝露しつつも異常性を獲得しなかった『異常存在候補』を素体とした異常存在の製造能力を持つが、それ以外の目立った能力がないことからニッソでは冷酷に扱われていた
しかしある時に施設を財団が制圧 その際に彼はどさくさに紛れて逃亡し、財団からは『逃亡に成功した一構成員』と看做された
逃亡先で彼は龍守と遭遇 「我ら」として活動を開始した そこから直接接触した者達を次々構成員に加えていき、最上層部「我々」を組織
その特異性を自力で伝播させることはできないため、『網』はそれを解決するために彼と龍守が龍守の育ての親の技術の一つから完成させた
「我々」は全員『網』を所持しており、様々な組織の異常性のない存在を見つけれはその一部へ異常性を付与させている
SCP-963(の特異性)の確保は裏の活動方針の一つ 人類は徹底して滅ぼすつもり
『淀舟龍守(Yodobune Tatsumori)』 負号部隊の「ジョフク」にトキジク計画で生み出されたヒト型異常存在 1945年早生まれ 「我々」内での名は『ハチクマ』
誕生時に遅老長寿の特異性を獲得しており、成長速度は常人の約半分
丸めた頭髪は戦前の軍人を思わせ、古臭い顔立ちと口調が特徴的 特異性の対価か、自然治癒能力はやや低いらしい
誕生からしばらくは、財団に拘束されなかった負号部隊元隊員『淀舟忠行(Yodobune Tadayuki)』(龍守の言う育ての親)に育てられたとの事
彼が忠行から継いだ技術の一つは高司と共に『網』として完成しており、『網』は今も量産と改良が続いている
自身の特異性は『網』でいずれ他の「我々」にも移植したいらしい
ちなみに財団に高司のいた施設を制圧させたのは当時「我ら」のパトロンであった負号部隊員の関係者とのコネによるもの
人類とは分立だけで済ましたい
『坂野武弘(Sakano Takehiro)』 元東弊重工幹部で、「我ら」の経済面を支える存在でもある 「我々」としては『スイカツ(=タイコウチ)』を名乗っている
いかにもな初老の親父 ハゲ気味で銀歯入れてそうな雰囲気
なぜかアズマを抜け出して偶然「我ら」と合流し、「我々」の一人となっている
他の要注意団体、特にマナによる慈善財団(MCF)やヘルクラッパーズを利用したくてしょうがないおじさん
そのためそれらへ寄付するに向く異常存在があるとすぐ寄付したがる困った人
しかし保有技術は確かなもの 彼のおかげで『網』の小型化は進み、彼の『網』に至っては左手首に普段は皮膚中に埋没し、必要時に表出する
異常存在の指針決定は大体彼が行っている
『双葉佑奈(Futaba Yuna)』 元如来観光社員で、SCP-566-JPの一件から脱退し、「我々」の一人となっている 「我々」内での名は『ウミネコ』
黒いセミロングの髪に、伏せ気味で妖艶な濃褐色の瞳、婀娜な唇が特徴的で、その立ち振る舞いからはふわりと色気を漂わせる
彼女はあるオブジェクトの被害者の一人として財団へ保護された後に『エージェント・双葉』となっており、その後は主に警視庁・警察庁へ潜伏している
財団に保護されたのはその内部へ合法的に潜伏するためであり、当然ながら財団は彼女の正体に気付いていない
『キルロイ博士(Dr. Kilroy)』 元蛇の手構成員である人間型異常存在 アイルランド系日本人で、本名はアンドラステ・B・ライアン(Andraste B Ryan) 「我々」内での名は『センユウ(=アライグマ)』
保有する特異性は『火に対する無意識的パイロキネシス』、『左目で捕捉した対象への願望による任意な未来予知』
蛇の手に保護され、一時はその傘下で異常存在の公表を行っていたが、人間型SCiPに関する見解の指導部との不和から一派ごと脱退
来日したところで「我ら」と接触 その傘下に加わり、自身は「我々」に加わった
淀舟は彼女をエイダ・ベアトリクス・バベッジの血縁者の一人ではないかと推測している
『アイヴィー・アン・C・ウィンターズ(Ivy Ann C Winters)』 元プロメテウス研究所社員 『タイロウ(=フクロオオカミ)』を「我々」としての名にしている
元は『アイザイア・ジョセフ・クロフォード(Isaiah Josef Crawford)』という男性で、性同一性障害を抱えていたが、「我々」加入時に性転換し、改名
生物工学と再生医学への造詣が深く、「我ら」の主要戦力たるバイオノイドは彼女の作
プロメテウス解体後に獣医師の在日オーストラリア人として日常を送っていた時に偶然高司らと遭遇 「我々」の一人となり、表向きは死亡した
『藤堂エレイナ(Todo Elaina)』 日系アメリカ人三世だった日本人で、MC&D社とのつながりからアンダーソン・ロボティクスを追われている 「我々」内では『ギョイン(=コバンザメ)』を名乗っている
偶然遭遇した「我々」へ組み込まれた 「我ら」では電子機器を中心に異常存在を作成、その活動に貢献している
EMシリーズ開発のほとんどに関与しており、特に人工知能関係では坂野を凌駕するという
『真田真百合(Sanada Mayuri)』 元財団職員の日本人女性で、ある人間型SCiPを巡る一件から双葉らにより「我々」へ組み込まれる 「我々」としての名は『ジャレイ(=ヘビトンボ)』
博士だっただけあって知識は相当なものであり、坂野と合わせて「我ら」の電子機器関係は非常に整った状況下にある
『マリー・コレット(Marie Collet)』 「貴族たち」との人事交流によって「我ら」に派遣され、後に「我々」へ加わったフランス人女性 「我々」としての名は『カイリ(=ビーバー)』
彼女のいた派閥では”優れたる人”を一種の人型アノマリーと定義しており、それゆえに「我々」に感化し、自らもまた”優れたる人”量産の被検体となっている
その際に得た特異性により武器と認識されている物体をテレキネシスで操作でき、現実強度をもやの色と濃淡として目視できる
日本名は『是洞真璃(Koretoh Mari)』
『オヴァ・ドラコニス(Ova Draconis)』 武弘とエレイナの作り出した量子コンピュータ型人工知能 組織の大部分を管理している 「我々」内での名は『ウミウシ』
特異性はないが「我々」を成しており、その性格は子供っぽく設定されている
名前はアイヴィーの命名で、ラテン語で『竜の卵』を意味し、俗に『OD』と呼ばれている
(本体の特異性案:他の搭乗員なぜか死亡 『飛行船のオノゴロ島化』←支持あり 溶液から溶解度を無視した溶質析出)
音声中の弟は柾のこと
人物としてはウィリアム・ジェイムズ・サイディズやフェルディナント・フォン・ツェッペリン
異常存在としてはイザナミや国産みがモチーフ元
父から聞いたZ伯の話をきっかけに飛行船設計者を志願
飛行船について学ぶならMITがいい→MITは米国に→英語を覚えねば、と英語を覚えた
その上でもののついでとスペイン語、フランス語、中国語、ドイツ語、エスペラントも習得 航空力学なども独学で学ぶように
留学までに柾を頼ったのは言うまでもない
留学中にはヴェンダーグッドに準えてヴェンシャフ(Venshaf)と命名した人工言語を友人と作った
ツェッペリンNTやエアロスクラフトをベースに、旅客用ハイブリッド飛行船の復活を目指す
後に成層圏プラットフォーム用無人飛行船の設計も志すようになるが、飛行船はごく一部を除いて凋落著しい世界
卒業後に帰国すると自家用操縦士資格を取得 ハイブリッド飛行船での世界一周をしようと飛行船を設計・開発
そのエアシャルジア(Airshalgia)とも呼べる感覚は、もはや理解されにくいものであった
原案
・日奉巴(Isanagi Tomoe) 女性の日奉一族 日本の領海に囲われた公海にメガフロート(-B)を築いている メガフロートはスペースデブリ製
実体はメガフロートをオノゴロ島と呼んでおり、栄養補給が不要となっている 元は飛行船設計者兼パイロット
巴は月を模したともされる勾玉にちなむ説より採用 自作の一人用ハイブリッド飛行船での地球一周の途中で墜落
その際に特異性が発現し、飛行船にスペースデブリが付着 破損部が擬似的に修理される結果に
以来、どこからともなくスペースデブリが出現しては付着し、飛行船はみるみるうちに巨大化 もはやその姿は島であった
2015年8月11日(当時25歳)に収容され、番号は1246の予定 自家用操縦士資格を持っていた
成層圏プラットフォーム用の大型無人飛行船の実用化を目指しており、-Bの元になった飛行船はその一環
この飛行船は独力で設計しており、日本国内の航空機メーカーの協力を得て開発している
Keter scp-jp 生命 人間型 日奉一族 外部エントロピー
8/1
被造物としての呪縛から逃れるために創造主に反逆を行う(積極的に人間を襲う)から、Keter
前史時代に牧羊犬の機能を持つ機械により奴隷的な扱いを受けており、やはり財団相当組織に収容されていた
マリアナ海溝に出た飛行船っぽい生物と絡められるか?→前史文明時代からの生き残り
その生物は身体の下に足があり、いたるところに目があること以外は、ウジ虫っぽい外見。着地時はあらゆるものを食べるが、普段は高いところにいる
前史のことは歴史として口伝(?)され続けているが、内容は派閥どころか群れで食い違うこともしばしば
出すなら『あの足付き眼球ウジ虫』として言及される形か?
→その生物の大繁殖のブレーキとして生み出された?
いっそ物語を突っ込まず投稿するのもありかも 基底世界でEX認定される危険性があるが……
8/5
絵面相応の壮大さが欲しい バックストーリー(舞台やこれまでの変遷)でも推すべし 支配から解放→支配権を行使
葬式云々、掘り下げられる? こいつらの自然界内での役割とは? 前史時代をしっかり組む 神話観や宗教観も欲しいかも
8/8
原始宗教に似た(空に近いため)、一神教的あるいはアニミズム的(目視できるものに乏しいので)な宗教を持つ
形態は太陽崇拝ベースの一神教で、大気圏は神国への開かぬ門戸 地上は先祖の古里であり、しかし今は穢れているとする
そのため地上からの存在は基本的に敵対視する 食糧、特に空気中フランスパンは贖罪中の自分達に対する神からの慈悲との事
亡骸を穢れの払拭、つまり功徳に用いる手前、自殺はご法度 穢れが再生するので尚の事
8/9
過去の扱いについての掘り下げが欲しい
9/1
『老ヴォールの惑星』の知的飛行船生物っぽい
2000起動絡みを分厚くするのもあり?
それまで発見されなかったのは?→その直前までリセット中だったから→インタビューで聞いてみる?