- 春風と共にゆく君は(四季 春)
- 振り返っちゃいけないやつ
- 沈黙の財団
- 花火のやつ
- 郷愁の秘境(仮)
- タイトル未定
- これはヤギです。
- 阿桜博士が日本生類創研のスパイとなんやかんやする本
- 旧 承認欲求(仮)
- 在りし日はこの中に(仮)
- エージェント・瀬上の人事ファイル
- 良さげなタイトル案
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP発生領域は工事現場に偽装され、カバーストーリー「廃校舎処理」によって一般人の立ち入りを禁じられます。
SCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2の両名は財団の監視カメラ、及び撮影ドローンによって常時監視されます。
一日に一度、SCP-XXX-JP-3の組織サンプルの取得、及び簡易検査が行われます。
説明: SCP-XXX-JPは静岡県███市の██中学校校舎1に発生する、SCP-XXX-JP-1とSCP-XXX-JP-2を中心とした局所的な時間ループ現象です。SCP-XXX-JPは2月16日正午から最長で3月14日までの周期を繰り返しており、現時点2までで、約143回発生していると見積もられています。ループの発生中、校舎内のカレンダーなどの日付が確認可能な物体は、ループ内の時間軸に沿って2月16日から3月14日までの日付を指し示します。
SCP-XXX-JP-1(以下、対象-1と記述)は██中学校の制服を着用した、およそ15歳とみられる男性の人型実体です。対象-1はSCP-XXX-JPループ内で一般的な中学校生活を行う素振りを見せます。対象-1にはいかなる手段を用いても物理的に干渉を行うことができず、対象-1もループ現象、及び周囲の状況について正しく認識していないと推測されます。
SCP-XXX-JP-2(以下、対象-2と記述)は██中学校の制服を着用した、およそ15歳とみられる女性の人型実体です。対象-1と同様にループ内で一般的な中学校生活を行う素振りを見せますが、後述の行動から対象-2は周囲の状況を正しく認識しており、対象-1よりもループ現象について多くの情報を所持していると推測されます。
SCP-XXX-JP-3は██中学校の校庭に存在する、エドヒガンCerasus itosakuraです。特筆すべき点として、SCP-XXX-JP-3は周囲の気候や時期に関わらず、常に満開状態を保ち続けます。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
警告
本報告書の閲覧には対抗ミームの摂取が必要です。
適切なセキュリティクリアランス、並びに適切な対抗ミームの摂取を行わずに本報告書を閲覧している場合、決して振り返らずに機動部隊の到着を待機してください。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 本報告書は通常のSCP財団データベース上から隔離され、適切なセキュリティクリアランス、並びに対抗ミームの摂取を確認した場合のみアクセス可能となる状態を保たれます。
SCP-XXX-JPの閲覧・編集は必ず15分以内に行い、その際何があっても必ず後ろを振り返らないようにしてください。
もし貴方が対抗ミームを摂取している場合、本報告書を閲覧している最中に振り返っても構いません。
説明: SCP-XXX-JPは一般的なPC、スマートフォンで閲覧可能な形式の、財団の一般的な報告書に酷似したテキストページです。SCP-XXX-JPは通常の報告書と同様に閲覧・編集が可能です。
SCP-XXX-JP-1は、SCP-XXX-JPを表示している電子機器の半径50cm以内でSCP-XXX-JPを閲覧・編集している人間(以下、被験者と表記)のみが認識可能と推測されるヒト型実体です。SCP-XXX-JP-1を通常の手段で認識することはできず、唯一被験者の感知する"背後からの気配"によってのみ可能です。SCP-XXX-JP-1は例外なく被験者の背後に直立状態で出現し、自発的な行動を行うことはありません。この状態を被験者は一様に「背後から覗き込まれているよう」と述べます。少数の被験者は「SCP-XXX-JPを表示しているディスプレイにSCP-XXX-JP-1が映り込んでいる」と述べますが、現在までに被験者以外が映り込んだSCP-XXX-JP-1実体を確認できた事例はありません。
被験者がSCP-XXX-JPを閲覧している際に背後を振り返った場合、[編集済]。これらとSCP-XXX-JP-1との因果関係は不明です。
実験記録XXX-1
対象:
実施方法:
結果:
分析:
補遺: SCP-XXX-JPは本報告書です。
担当職員様、閲覧お疲れさまでした。
報告書ページを閉じ、ゆっくりと後ろを振り返ってください。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 収容不可能なので財団外部で発生した場合はMPAAとの協力の元、カバーストーリー「新作公開記念」が適用される。
説明: 映像媒体に出現するS█████ F████████ S█████に酷似した人型実体。出現した場合、何かしらとドンパチやり始めて勝利ないしは撤退という形で映像が終わるように内容が改変される。改変前の映像元で死亡した人間が改変の影響によって生存していた場合、現実においてもその人物が生存していたように限定的な過去改変が発生する。
補遺: A█████ A████ S█████████████に酷似した人型実体も発生し、どんどん映像の改変内容がドンパチにぎやかになっていく。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (適切なクラスを選んでください)
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1の性質上、収容施設は本オブジェクトの周囲に建設されています。SCP-XXX-JP-1領域内で実験を行う場合、セキュリティクラス2以上の職員2名の許可が必要です。一般人が当該収容地域に侵入した場合はカバーストーリー「猛獣駆除」の適用によって内部への侵入を防いでください。
説明: SCP-XXX-JP-1は、岩手県██山中に位置する異常な空間です。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明:
補遺:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██にある大型動物収容房で飼育されます。室内には隠しカメラが設置され、常に監視役が映像を監視します。1日に2回、ヤギ用の餌の給餌を行い、3日に1回房内を掃除して下さい。
説明: 2017/02/██をもって、SCP-XXX-JPの体組織の全てがヤギのものに置換されたことが確認されました。これをもって本オブジェクトをNeutralized指定とし、本報告書及び収容プロトコルを大幅に改定します。SCP-XXX-JPはヤギです。
改定以前のSCP-XXX-JP報告書については下記を参照してください。
2012/04/██更新版
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██にある生物オブジェクト収容房に収容され、1日に3度の食事が提供されます。現在判明しているSCP-XXX-JPの性質から研究チームは最小限の人員で運営され、その他の臨時スタッフは勤務後にクラスB記憶処理が施されます。
説明: SCP-XXX-JPは異常性を持つヤギです。現在SCP-XXX-JPの肉体はおよそ65%がヤギのものであり、35%はヤギのものです。SCP-XXX-JPは後述の反ミーム的な性質を持ちます。
SCP-XXX-JPに関する物理的な情報[[footnote]]外見、遺伝情報、発する音声、振る舞いなど。[[|footnote]]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の人型生物収容室に収容されます。SCP-XXX-JPの性質上、収容室への立ち入りは防護スーツを着たDクラス職員のみに限られます。SCP-XXX-JPにインタビューなどを行う場合は、必ず別室のマイク機器を用いて二人以上の財団職員の立ち会いのもと行ってください。また現在のSCP-XXX-JPの精神状態を加味して、1ヶ月に1度の頻度で財団のメンタルケアスタッフによる定期カウンセリングが行われます。
説明: SCP-XXX-JPは、異常な性質を持った人型実体です[[|footnote]]現在は実験に用いられたD-XXX16の外見をしています。[[|/footnote]]。
SCP-XXX-JPは、人間男性の遺伝情報を持った体液[[|footnote]]血液、粘液などが該当します。[[|/footnote]]を一度に15ml以上経口摂取することで(以下、SCP-XXX-JPが遺伝情報を摂取した人間を被験者と表記)、肉体の情報[[|footnote]]体格、骨格、顔面形状、頭髪、遺伝情報、指紋などあらゆるものを含みます。[[|/footnote]]が被験者と同一のものに変化します。この時、被験者の記憶などの脳内情報に関しては同一になるのではなく、SCP-XXX-JPのものを保持しつつ、そこに被験者のものが新たに加えられるという形になります。これらの変化は非可逆性であり、以前の肉体情報に戻ることは不可能です。また、変化したSCP-XXX-JPの肉体は通常通り加齢を行い、その他に異常な点は見られません。これらの特性から、SCP-XXX-JPと被験者を外見上の情報で判別することは事実上不可能です。特筆すべき点として、SCP-XXX-JPは複数人の記憶を有しているにも関わらずSCP-XXX-JP個人としての明確な人格を持っています。
SCP-XXX-JPは20██/08/22に神奈川県██市の交番に出頭しました。その際の警官への発言内容が財団エージェントの関心を引き、収容に至りました。
SCP-XXX-JPへのインタビュー記録については下記を参照して下さい。
インタビュー記録
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██博士
付記: 本インタビューはSCP-XXX-JPの過去の情報の把握、及び現在の精神状態の鑑定のため行われた。██博士はメンタルセラピストの資格を有している。
<録音開始>
██博士: ではインタビューを開始します。SCP-XXX-JP、よろしくお願いします。
SCP-XXX-JP: は、はい。よろしくお願いします……。あ、あの。██博士: なんでしょうか?
SCP-XXX-JP: その、SCP-XXX-JPって、ここでの俺の名前、みたいなものですか?██博士: そうです。何か問題があるのであれば……
SCP-XXX-JP: [遮って]いえ……大丈夫です。それで、その、具体的に何について話せばいいんでしょうか?██博士: あなたが警察に出頭するまでの経緯を聞かせてください。
SCP-XXX-JP: えっと……[10秒間の沈黙]その、関係なかったら申し訳ないんですけど、結構昔の話からでも、いいでしょうか。██博士: 構いません。
SCP-XXX-JP: じゃあ……えぇと、初めて変身[[|footnote]]SCP-XXX-JPは自らの変化プロセスをこう呼称します。[[|/footnote]]した時のことなんですけども、たぶん小学二年生ぐらいの時だったと思います……。友達のりょう君と喧嘩をして、その時に顔を殴ってしまったんです。そしたらりょう君から鼻血が出て……。██博士: その鼻血が口に入って変身したと?
SCP-XXX-JP: ……そうです。その時は、何か体に違和感があるな、と思っただけだったんですけど。そしたら急にりょう君が叫んで逃げてしまって……今思えば当たり前ですけど。それで、俺も頭の中が変になってきて、なんだか恐ろしくなって逃げるように家に帰ったんです。そしたら、その……母親が、「あら、りょう君どうしたの」って、言ったんです。██博士: 続けてください。
SCP-XXX-JP: それで、最初は訳が分からなかったんですけど、玄関に置いてある鏡を見たら、そこには俺じゃなくてりょう君が映ってて……[10秒間の沈黙]最初は見間違いかと思ったんですけど、だんだん怖くなって、なんだか取り返しがつかないことになったんじゃないかって、子供ながらに理解して、それで頭の中にりょう君の記憶があることが徐々にわかってきて……[沈黙]
██博士: SCP-XXX-JP?SCP-XXX-JP: はい、はい……大丈夫です。それで、気付いたら家から飛び出していました、どうしよう、とか、なんで、とかいろいろ思いましたけど……何よりもひたすら怖くて、とにかく走ったんです、遠くに。それからのことは何も考えて……いや、たぶん考えられなかったんですけど、少なくとも家にはいられないなって、思って。
██博士: ……それからはどのような生活を?SCP-XXX-JP: あー、その……いろいろ、です。あの、ここら辺の話は……あんまり。
██博士: 大丈夫です、その期間の詳しい話はまた別のインタビューの時にしましょう。今は無理せず話せることから聞かせてください。SCP-XXX-JP: は、はい。ありがとうございます。それで……その、たぶん二十歳を超えた頃だったかな、その時は知り合いの部屋に住んでて……その時に男の子と出会ったんです。
██博士: 続けてください。SCP-XXX-JP: その……最初は挨拶するだけだったんですけど、何故だか向こうから話しかけてくれて、それでよく他愛のない話をしたり、持ってきたカードゲームで遊んだり……その時は夕方が暇だったので。それで、徐々に仲良くなって、あの子と遊ぶのがどんどん楽しくなっていって、そんな時に、アレが。
██博士: アレ、とは?SCP-XXX-JP: ……轢き逃げ、だったんだと思います。目の前で、ちょうど僕の方に来ようとしていたあの子が轢かれて……[5秒間の沈黙]その、もう見ただけで助からないんだって、わかって、それで、その……あの子が言ったんです。
██博士: ……続けてください。SCP-XXX-JP: 「おかあさん、おかあさん」って……。助けを呼んだんですけど、誰も来なくて、どんどん血が流れて。それで……あの子は、お母さんがすごく好きで、普段からよくハンバーグが好きだって言ってて、でもあの子がどんどん冷たくなっていって、それで……
██博士: SCP-XXX-JP、落ち着いてください。SCP-XXX-JP: [15秒間の沈黙]……それで、あの子の遺体を埋めて[[|footnote]]更なるインタビューの結果、埋葬場所を特定。財団エージェントにより埋葬処分がなされました。[[|/footnote]]……[10秒間の沈黙]変身したんです、あの子に。なったんです。だって、まだあんなに小さいのに、お母さんが好きなのに、将来だって、やりたいことだって、いっぱい、あったはずなのに……。だから、僕が変身すれば、僕は、あの子だから。またあの子にハンバーグを食べさせてあげられるから、だから……。
██博士: ……。SCP-XXX-JP: それで、あの子の家に帰ったんです。帰り道もちゃんとわかったから、ちゃんとあの子になれたんだって、ならなきゃって。そしたら母さんが「おかえり」って。その瞬間すごくホッとして……。服が汚れてるのは転んだからだって、言い訳して……[嗚咽]
██博士: ……SCP-XXX-JP、続けられますか?SCP-XXX-JP: ……はい、はい、言わないといけないんです、あの子のために。それから、ちゃんと勉強しました。たぶん、あの子は地頭がよかったんだと思います。それで、母さんの言う事もちゃんと聞いて、ちょっと困らせたこともあって……[10秒間の沈黙]友達も作って、良い高校に行って、ちゃんとした大学に行って、母さんも父さんも褒めてくれて……嬉しかったし、楽しかったんです。本当はそう感じる権利は僕には無いんですけど、それでも、毎日が楽しくて、暖かくて、でも何故かどこか、その、空っぽで……。
██博士: 空っぽ、ですか?
SCP-XXX-JP: ……はい、それで社会人になって、仕送りもして……それで、ある休みの日に実家に帰ったんです。そしたら母さんが昔の話をし始めて……「そういえば派手に転んで帰ってきた日からずいぶん変わったね」って「前はあんなに言うことを聞かなかったのにあの日を境に勉強もちゃんとして、大きな反抗期も無かったけど、少し寂しかった」って……。
██博士: 続けてください。SCP-XXX-JP: ……はい、それで、その時思ったんです、「あぁ、僕はあの子になりきれてなかったんだな」って。あの時から母さんの目に映っていたのはたぶん、もう、あの子じゃなくて、あの子じゃない何かだったんだって。でも、何故かそれにホッとしている自分もいて。それで、ごめん。って、家を出て……。
██博士: それで、交番に行ったのですか?SCP-XXX-JP: いえ、その、前の家に行こうと思ったんです。その、母親の顔が見たくなって……何故かはわからないんですけど。
██博士: その母親、とはあなたの生みの親のことですか?SCP-XXX-JP: そう、です。でも、結局ダメだったんです。
██博士: 何がダメだったのでしょうか?SCP-XXX-JP: ……母親は、もう、死んでいたんです。ガンだったと。あのまま俺がいたら、また違っていたのかなって……生前の友人だって言って、墓参りをさせてもらって、墓の前で泣き崩れちゃって……その時、ようやく理解して……[嗚咽]
██博士: 何を理解したのですか、SCP-XXX-JP?SCP-XXX-JP: 結局、その、全部矛盾していたんです。僕はあの子のためだって、思って、母さんと暮らしていたんです。でも本当は違ったんです……全部自分の為だったんです。本当は、俺が母さん[[|footnote]]SCP-XXX-JPに対しての更なるインタビューの結果、該当人物を発見しました。対象には数回のインタビューの後Aクラス記憶処理を行いました。[[|/footnote]]におかえりって言って欲しくて、普通の生活をしたくて、褒められたくて……。俺自身を見てほしくて、あの子の為だなんて言い訳で、結局何もかも中途半端で、そんなの無理だって、あの時から、わかっていたはずなのに……[嗚咽]……だから、全部話そうって、誰かに聞いてほしくて、警察に行ったんです。
██博士: ……わかりました、ありがとうございます。今回のインタビューは以上になります。係員の指示があるまで待機してください。SCP-XXX-JP: ……あの、先生。
██博士: なんでしょう?SCP-XXX-JP: ……私はいったい、誰なんでしょうか?
██博士: 少なくとも我々にとって貴方はSCP-XXX-JPです。それ以外の何者でもありませんよ。<録音終了>
終了報告書: インタビュー中、対象は精神不安定の兆候を見せていました。今回、対象を収容することができたのは財団にとって幸運だったと言えるでしょう。
恐らくは、彼自身にとっても。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 本オブジェクトの性質と移動が困難であるという事を鑑みて、オブジェクトの周囲に仮サイト-1408が建設されます。
説明: SCP-XXX-JP-1は、34°5█'██"N,135°4█'██"Eの地点に存在する木製の2本の柱です。特定の条件を満たした知的生命体(以下、被験者と表記)[[|footnote]]現在までに判明している条件は少なくとも「特定の東アジア人の祖先を持つ」「人間」であることです。[[|/footnote]]がSCP-XXX-JP-1の二点間を通過すると被験者は消失し、SCP-XXX-JP-2に転移します。
SCP-XXX-JP-2は基底次元に酷似した異常空間です。SCP-XXX-JP-2は建造物と、それに繋がる道路で構成されており、
探査記録
探査目的: SCP-XXX-JP-2内部の調査およびSCP-XXX-JP-3群からの情報収集
責任者: アン博士
被験者: D-XXX-2
<20██/██/██>
<記録開始>
アン博士: D-XXX-2、聞こえていますか?
D-XXX-2: バッチリ聞こえてるよ博士、しかしここは……
アン博士: あなたがこの任務を行う前に説明した空間です。バイタルデータに異常はありませんが念のため、体調不良やいつもと違う感覚などはありませんか?
D-XXX-2: んー特に何も、身体はいたって普通だし頭がおかしくなったわけでもないな。
アン博士: では探査を開始します。できる限り
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
アン博士: [会話]
D-XXX-2: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:

エージェント・瀬上の近影。財団の努力をもってしてもその宇宙最強のケツを写真に収めることはできませんでした。
コードネーム: エージェント・瀬上(セノウエ)
本名: 日野 末鷹(ヒノ スエタカ)
セキュリティレベル/職員クラス: レベル1/Cクラス
職務: 宇宙最強のケツを活かした要注意団体に対する直接潜入を含む諜報活動、SCPオブジェクトの初期収容任務。
専門: ケツ。
所在: サイト-81██
人物: 瀬上は199█/10/18生まれ、身長174cm、体重5█kgの宇宙最強のケツです。財団の身体能力テストでは平均に対してかなり高い水準でしたが、これは瀬上が宇宙最強のケツであることを裏付けています。
特筆すべき点として、瀬上は宇宙最強のケツであるが故に非常に探知されやすいことが挙げられます。また、サイト-81██に勤務しているあらゆる職員は、瀬上についての事前知識がない段階から彼を宇宙最強のケツの持ち主であると認識していました。このことから瀬上は、衣服を着用していてもケツの宇宙最強さを隠しきれていないと推測されます。この特異性についての検査の結果として、瀬上の周囲で観測されたヒューム値に異常は見られず、また財団の坑認識汚染装備も効果を示しませんでした。これらの結果から、瀬上は異常な特性を持っているのではなく単に「ケツが宇宙最強すぎる」という結論に至りました。
しかし、日野博士のみはこの影響を受けていないことが判明しています。これが「瀬上の親族である」ことによるものなのか、それとも「彼女もまた、宇宙最強のケツである」ことによるものなのかは不明です。
これまでに瀬上が参加した諜報・潜入活動および初期収容任務は、彼が宇宙最強のケツを持つが故に成功しており、更なる活動への投入が検討されています。以下は瀬上が行った活動の主な例です。
活動内容 | 結果 |
---|---|
SCP-███-JP初期収容任務 | SCP-███-JPの触手部による攻撃行動を宇宙最強のケツによって無力化し、収容活動に貢献した。 |
要注意団体█████によるサイト襲撃 | サイト襲撃時、その宇宙最強のケツからもたらされる機動部隊への的確な指示と研究職員への避難誘導により、本来想定されていた死傷者数を下回る結果となった。 |
サイト-81██食堂の新メニュー開発 | カレーの上に[編集済み]を乗せるという画期的な提案を行い、試食を行ったのちにその有用性が認められ正式なメニューとなる。本メニューはその功績を考慮して「宇宙最強のケツカレー」と名付けられた。 |
エージェント・育良の慢性的な臀部の痛みの治療 | その圧倒的なケツに関する知識と技術を用いてマッサージを施術したのち、習慣的なケツトレーニングを教授した。結果として、エージェント・育良の臀部の痛みは2週間後に完治した。 |
[編集済み] | ——それは、宇宙最強のケツだった。 |
雪化粧に花束を
電気ウナギは桃源郷の夢を見るか?
紅葉は軽やかに
華が照らした横顔を
マクガフィンの憂鬱
氏名: 日野 千春(ヒノ チハル)
セキュリティレベル/職員クラス: レベル2、状況により3まで許容/Cクラス
職務: 主に国内オブジェクトの研究。諜報活動、初期収容任務におけるエージェントの補助。
専門: 民俗学、国学(主に神道)、人体解剖学。
所在: サイト-81██
人物: 日野は199█年09/07生まれ、身長165cm、体重5█kgの日本人女性です。出身は栃木県███市です。髪の長さは肩にかかる程度であり、勤務中には纏めていることもしばしばあります。年齢としては平均的な体格をしています。
遠視気味であり、業務中にはしばしば眼鏡を着用している姿が目撃されます。また、本人によれば十分な睡眠をとっているにも関わらず、恒常的に目の下に隅が見られます。これらの要因から、「目つきが悪い」と称されることも少なくありません。
日野はおよそ█年間研究員として財団活動に従事し、20██年に博士号を取得しました。そのため「どうせなら研究員ではなく博士と呼べ」とやかましいです。この経歴から彼女は本名でなく、未だに研究員時代の通称である「ひのけん[[footnote]]"日野研究員"をもじったものだと思われます。[[|footnote]]」と呼ばれることが多く、本人もそれを半ば容認しています。
性格は少々内向的であり、しばしば自虐的な発言が目立ちます。また、自身の身体に関する事を除いて神経質であり[[footnote]]他サイトへの移動の際に忘れ物が無いかのチェックを過度に行った結果、十分な睡眠が摂れないまま出発したケースがいくつか確認されています。[[|footnote]]、同時に自身の事については無頓着でもあります。故に多くの場合、彼女の服装は無地のシャツに適当なズボンです。
上述の"自分以外の物事に対する神経質さ"は特筆すべきものであり、これによる"ある種病的な"情報整理能力、精査能力はオブジェクトの解明、及び研究に対してしばしば良い結果をもたらします。
彼女は神社などの神事に関する場所を非常に好み、休暇には度々京都や奈良を訪れていることが確認されています。神事や祭りに対しては極度の興奮を示し、同行した職員曰く「人が変わったよう」とのことです。また、日本のサブカルチャー文化に興味を示し、それらに関する会話を好む傾向があります。
特筆すべき点として、彼女は人間の耳に加えて更に2つ、黒色の「狐のよう」と比喩される聴覚器官を持ちます。これらは明らかに別生物の該当部位に見えるにも関わらず、DNA検査では人間のものと同一であるという結果が出ます。これらの"耳"も聴覚器官としての働きを持っており、結果として彼女は合計4つの聴覚器官を持っていることになります。その影響か、彼女は少々音に対して敏感であるようです。また、外出時には帽子またはウィッグの着用が義務化されていますが、万が一の場合に備えてカバーストーリー「付け耳」を適用するために狐耳のカチューシャを持ち歩くことが義務化されています。
まぁ、便利なようで不便ですよね。髪の毛が入ればムズムズするし、イヤホンしてても外部の音は入ってくるし。―日野
それ、今度もふもふさせてもらってもいいですか?払うものは払うので。―エージェント・██
あー……セクハラ案件で倫理委員会に報告しても?―日野
もう1つの特性として、彼女には痛覚が存在していません。これは先天性無痛無汗症に酷似した症状を示しますが、温感の存在と体温の制御が可能なこと、発汗現象が行われていること、普通の肉体的接触(くすぐる、触るなど)に対しては正常な反応を示すことから既知の無痛無汗症ではなく、未知の神経系疾患である可能性が示唆されています。この事に関しては現在も考察が行われています。これらのことから痛覚が存在しないが故に自らの身体の異常に気が付かないことが多く、勤務中に突然倒れたケースも少ないながら報告されています。そのため、彼女には3日に1度の定期検診が義務付けられています。彼女が面倒臭がる場合には付近の職員が無理やり連れて行ってください。
前述の特性を持つからか、彼女は独学にも関わらず人体の構造について高い精度の知識を有します。また、定期的なカウンセリングより、視認できる範囲での自らへの傷害については無頓着ですが、内面的な傷害に関しては特に神経質な面を見せることが確認されています。
……あれ?たまにやってるアレ、最近やってないみたいですけど……どうしたんですか?―██研究員
え?アレ……?……ぁー……あははぁ、さて何のことやら……?―日野
「SCP報告書」
SCP-888-JP だるまさん
処女作。
ナンバーの元ネタは8がダルマっぽいから。
SCP-182-JP 一見の本
これを超えるアイデアは恐らくもう思いつかないと思う。
SCP-211-JP 秘湯の名泉
自分が書いた中で一番日本らしい記事だと思います。ただ湯を楽しんでいるモノたちは果たして妖怪なのか、神性なのか、それともどちらでもない何かなのか。
P.S.書いた当初はこんなに伸びるとは思いませんでした。
SCP-520-JP いなり虫
日野博士の設定について友人に相談した時「いなり寿司を動かす能力とかどう?」という話になり、オイオイそれは流石に収容案件だろうと思ってそのアイデアを記事にしたものです。おいなりさんがじゃれてきたら可愛いと思います。手がべっとべとになりそうですが。
SCP-740-JP アホウドリの島
本家のシリーズⅠを意識した記事です。書いていてとても楽しかったです。アドバイス等をくれた方々に感謝。
名前の元ネタはBMSというシミュレーションソフトの楽曲から。
ナンバーの元ネタは「740」が横から見た鳥に見えるから(見えない)。
SCP-527-JP 運命の出会い
リア充爆発しろって思ってたら本当に爆発しました。
ナンバーの元ネタは初代ときめきメモリアルの発売日。
SCP-1241-JP うどん職人が食す!過激な流しそうめん
この文字列に一目惚れして、絶対にこのタイトルで記事を書きたいと思って出来上がったものがこちらになります。
うどんたちに好かれてるんだか嫌われてるんだかわからないうどん職人のおっちゃん。彼がうどんを食すことができる日は来るのか。
名前の元ネタはSCP-740-JPと同じくBMSのとある楽曲の、とある差分名から。
ナンバーの元ネタは1241年に聖一国師という方が中国から画期的な製粉技術を持ち帰り、うどん、そばを全国に広めたことから。
「Tale」
いつか書きたいなぁと。
「サンドボックス」
http://scpsandbox-jp.wikidot.com/hinoken
優しくしてね。
氏名: 阿桜義清(アサクラ ノリキヨ)
セキュリティレベル/職員クラス: レベル3、状況により4まで許容/Cクラス
職務: オブジェクトの研究。民俗学、科学的見地からのオブジェクトの異常性の特定、解明。
専門: 日本文学、国学、民俗学。
所在: サイト-81██
人物: 阿桜は196█年10/18生まれ、身長168cm、体重60kgの男性です。神奈川県██市出身です。頭髪には白髪が若干見られますが、年齢としては平均的な体格、容姿をしています。また、心臓にペースメーカーを装着している点は留意されるべきです。
阿桜は██大学を卒業した後に博士号を取得、██大学の民俗学教諭として採用されていました。19██年に行われたSCP-███-JPの回収作業に巻き込まれた時に、活性化したSCP-███-JPの特性の一部を行動パターンにより特定、回収作業に貢献しました。その分析力が評価され、当時回収作業にあたったエージェント・██の推薦により、研究員として財団に採用されました。
普段の職務においては基本的に空間事象型オブジェクト、または民俗学の流れを汲む人型オブジェクトに割り当てられます。
性格は温厚であり、余程のことがなければ怒りをあらわにしません。また、会話の内容に冗談を交えたり、よほど不快な内容でなければ場の雰囲気に合わせたり、極めてユーモラスな発言を行うことも少なくありません。しかし、怒りをあらわにした場合は業務に関する発言を除いて言葉を発することは無くなり、外部からの刺激に反応しません。その様子はしばしば「ダルマのよう」と称されます。この状態は本人の気が済むまで持続します。
上記の性格と会話の様式から、しばしば「先生のよう」と形容されます。このことから、新入財団職員のオリエンテーションにおいて、教育役を勤めることがあります。
主に落語、歌舞伎、能楽などの伝統芸能を好み、職務中の休憩時間には読書、あるいは資料映像の鑑賞を行う事が多く、長期休暇が許された場合には地方の民俗風習などの調査のために日本の各地を訪れる事が多いです。この時、調査対象地で神性、あるいは妖魔の類として崇拝されていたオブジェクトを発見したケースが何件か存在します。
趣向品としてタバコを好み、ヘビースモーカーの傾向があります(基本的に喫煙室を用いていることは言うまでもありません)。味覚的趣向については味の濃いものを好まず(例外として、漬物や味噌を用いた料理などがあります)、菜食を好みます。
時おり他の財団職員に対して落語や歌舞伎などの公演チケットを積極的に配り、鑑賞させようとします。しかし、職務の忙しさや休暇中の予定により、断られる場合がほとんどです。
気持ちはありがたいんですが、なかなかまとまった時間がとれなくて……。―エージェント・██
少しぐらい付き合ってくれたっていいじゃないか。なかなか取れないんだぞ、このチケット。―阿桜
現在、職務に影響は見られませんが、必要以上にDクラスに対して"入れ込む"きらいがあります。これは、Dクラスを消費しない形での収容プロトコルの確立によって収容が低コスト化するという形で財団に対して利益となる場合もありますが、同時に阿桜がDクラスに"同情"することによって職務に支障をきたす危険性もあります。そのため、Dクラスを用いた実験の監督者として阿桜を起用する場合はこれらのことを留意するべきです。
Dクラスは有限であり財団の貴重な資源の一つでもある。ただそれだけのことだよ。―阿桜

エージェント・瀬上の近影。財団の努力をもってしてもその宇宙最強のケツを写真に収めることはできませんでした。
コードネーム: エージェント・瀬上(セノウエ)
本名: 日野 末鷹(ヒノ スエタカ)
セキュリティレベル/職員クラス: レベル1/Cクラス
職務: 宇宙最強のケツを活かした要注意団体に対する直接潜入を含む諜報活動、オブジェクトの初期収容任務。
専門: ケツ。
所在: サイト-81██
人物: 瀬上は199█/10/18生まれ、身長174cm、体重5█kgの宇宙最強のケツです。財団の身体能力テストでは平均に対してかなり高い水準でしたが、これは瀬上が宇宙最強のケツであることを裏付けています。
特筆すべき点として、瀬上は宇宙最強のケツであるが故に非常に探知されやすいことが挙げられます。また、サイト-81██に勤務しているあらゆる職員は、瀬上についての事前知識がない段階から彼を宇宙最強のケツの持ち主であると認識していました。このことから瀬上は、衣服を着用していてもケツの宇宙最強さを隠しきれていないと推測されます。この特異性についての検査の結果として、瀬上の周囲で観測されたヒューム値に異常は見られず、また財団の坑認識汚染装備も効果を示しませんでした。これらの結果から、瀬上は異常な特性を持っているのではなく単に「ケツが宇宙最強すぎる」という結論に至りました。
しかし、日野博士のみはこの影響を受けていないことが判明しています。これが「瀬上の親族である」ことによるものなのか、それとも「彼女もまた、宇宙最強のケツである」ことによるものなのかは不明です。
これまでに瀬上が参加した諜報・潜入活動および初期収容任務は、彼が宇宙最強のケツを持つが故に成功しており、更なる活動への投入が検討されています。以下は瀬上が行った活動の主な例です。
活動内容 | 結果 |
---|---|
SCP-███-JP初期収容任務 | SCP-███-JPの触手部による攻撃行動を宇宙最強のケツによって無力化し、収容活動に貢献した。 |
要注意団体█████によるサイト襲撃 | サイト襲撃時、その宇宙最強のケツからもたらされる機動部隊への的確な指示と研究職員への避難誘導により、本来想定されていた死傷者数を下回る結果となった。 |
サイト-81██食堂の新メニュー開発 | カレーの上に[編集済み]を乗せるという画期的な提案を行い、試食を行ったのちにその有用性が認められ正式なメニューとなる。本メニューはその功績を考慮して「宇宙最強のケツカレー」と名付けられた。 |
エージェント・育良の慢性的な臀部の痛みの治療 | その圧倒的なケツに関する知識と技術を用いてマッサージを施術したのち、習慣的なケツトレーニングを教授した。結果として、エージェント・育良の臀部の痛みは2週間後に完治した。 |
[編集済み] | ——それは、宇宙最強のケツだった。 |
反ミーム部門より通達
上記の人事ファイルは一部を除いて"反ミーム部隊(仮称)運用プロトコル"に基づいた虚偽のものであることに留意してください。
セキュリティクラスの偽造、及び不正な手段で本ファイルにアクセスした職員は機動部隊によって速やかに処理されます。

[データ削除済]
識別名称: AM-6(本ファイルでは瀬上と記述)
コードネーム: エージェント・瀬上(セノウエ)
本名: N/A
セキュリティレベル/職員クラス: N/A
職務: 反ミーム部隊への従事。 要注意団体への諜報活動、オブジェクトの回収任務。
専門: N/A
所在: N/A
運用プロトコル: 反ミーム部隊(仮称)運用プロトコルに基づいて、瀬上に関連する虚偽の内容を含んだミーム性の人事ファイルが作成されます。
瀬上は1日に2回、Wクラス記憶補強剤の服用が義務付けられています。瀬上の体内には抗ミーム処理を施した個体識別装置が投入されており、これは位置情報の取得も兼ねています。少なくとも2時間に1度は瀬上の現在の位置情報の確認が行われます。
瀬上は自らの人格の保持のため。定期的に個体識別用ミームに被曝しなければなりません。
概要: 瀬上は199█/10/18生まれ、身長174cm、体重5█kgの日本人男性です。財団の身体能力テストでは平均に対して低い水準を示しました。反ミーム部隊に加入する以前の瀬上の活動に特筆すべき点はありません。
瀬上は20██/05/05に財団による反ミーム部隊の試験運用に伴う人員確保の際、反ミーム処置に対する中程度の適正から選出されました。その後本人の希望から、正式に反ミーム化の処置が行われました。結果として、瀬上は反ミーム部隊の試験メンバーに登録されています。
瀬上に限らず他のメンバーにも共通する事項ですが、反ミーム処置は被験者自身に対しても反ミーム的効果を発揮するため、その人格保持に悪影響を及ぼします[[footnote]]具体的には自身の記憶の喪失、自我の希薄化など。[[|footnote]]。そのため反ミームに加えて指向的かつ簡略化されたミーム的性質を持たせることにより、強烈な外部からの認識という補助を得ることによって人格保持を行っています。
上記に関連する特筆事項として、瀬上の親族である日野千春の存在が挙げられます。日野千春は瀬上に施された反ミーム、ミーム処置の影響を受けず、記憶補助剤の効果なしに瀬上を処置以前の人物として認識することのできる唯一の人物です。これにより日野千春の存在が瀬上の人格保持にとってポジティブな影響を与えていること、また日野千春の極めて限定的な抗反ミーム・抗ミーム性の解明や観察を行うため、日野千春には暫定的にレベル1/antimemeクリアランスを付与し、瀬上に関する一部の情報の開示、及び瀬上が参加する作戦の補助として参加することが許可されます。
最近自炊を再開したので書きました。更新頻度は未定ですが、できる限り更新する時間帯は深夜にしようと考えています。
第1話「漬けマグロ丼」
「ふぅ……」
サイトの廊下を歩きながらため息を漏らす。時刻は午後9時、自分と同じく業務を終えた職員が帰って行くのがチラホラ見える。
「お腹すいたな……」
今日はやけに忙しく、お昼ごはんも食べることができていなかった。空きっ腹が何か食わせろと要求してくるのを感じながら、鬼食さんの食堂にでも寄ろうかと考えていた時だった。
「……ん?」
誰かが落とした娯楽用の雑誌だろうか、何気なく覗いてみると表紙に書かれた一文に目が止まる。
「……『恐怖!急増するズボラ女子とは!?』?」
ズボラ女子、中身を見ずとも字面だけでなんとなく想像はできる。恐らく炊事や掃除などの家庭能力のない女性のことだろう。と、そこまで考えると同時にある事実に気がつく。
「それってまんま私じゃん……」
思えば財団に入ってから自炊というものをまったくした覚えがない。過去は言わずもがな、研究員になった当初も業務で手一杯でそれどころじゃなかったし、そもそも自分で作るよりも食堂の方が安くておいしいということが自明だったからだ。部屋の掃除に関しては気が付いたらやってはいるが、決して綺麗な方とは言えないだろう。
「……よっし、今日は自炊、してみようかな!」
私がそう口に出すのに時間はかからなかった。そろそろいい年だし、そんな年齢にもなって家庭能力が0というのはいささか……その、お嫁に行けないと思ったからだ。
かと言っていきなりハードルの高い料理に挑戦するのが無謀だというのも自明の理。故に、私は決めた。まずは巷で噂のズボラ飯から始めてみようと。
―この日この瞬間から、私のズボラ飯自炊生活が始まった。
「さて……と」
"ブツ"の入ったスーパーの袋を下ろしながら家に何があったかを思い出す。たしか醤油とごま油、あとお米はあったはずだ。
「よーし、頑張りますかね!」
私はスマホ片手に腕を捲り(あと耳の毛が入らないように三角巾を被って)台所に立った。
「えっと……まずは漬けダレ作りからかな」
味噌汁のお椀に醤油をドバッと入れて、ごま油を少量加える。サイトにはボウルを使えとか書いてあったけど、洗うのが面倒だし"ブツ"も少量なのでお椀には犠牲になってもらう。
「そしてメインディッシュは……コレ!」
スーパーの袋からパックのマグロのブツ切りを取り出す、200gもあれば十分だろう。それをそのまま漬けダレの中に入れる。サイトには刺身用の塊を包丁で切れと書いてあったが、わざわざ洗い物を増やす義理もない。とことん鮮魚部の人の手を借りさせてもらう。
「……うーん」
漬けダレに浸かったマグロを見ながらしばし考える。今日一日ほぼ何も食べていない私が、はたしてただのマグロの漬け丼で満足できるだろうか?もう少しガッツリした感じが欲しいなぁ……と考えていると、あることを思い出した。
「そういえばあいつがアレを持ってきてたっけ……」
そう言いながら戸棚を漁るとそれは簡単に見つかった。にんにくチップ。弟が以前、私の部屋で即席めんを食べた時に使った残りだ。
「……ええい、ままよ!」
正直明日に響くかなとも考えたが、蒸し暑い真夏の夜にガッツリしたものを食べたいという欲求には勝てなかった。チップスを5,6枚取り出して、それを手で砕いて漬けダレに入れる。
「よし、こんなものかな」
あとはこれにラップをかけ、同時に米も炊いておく。あとは30分も待てば漬け丼が完成するだろう。本来であれば1,2時間は漬けた方がいいと書かれていたが、空腹の今そんなに待てる自信はない。
30分後……
「よし……どんなもんかな」
米が炊けると同時に冷蔵庫から漬けておいたマグロを取り出す。なんせ物を漬けるだなんて初めてなので、しっかりと漬かっているかが不安で仕方ない。恐る恐るラップを剥がすとそこには……。
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よく漬かっておるわ |
「おぉ……」
思わず声が出た。自分の予想以上によく漬かっていてそれに……とてもおいしそうだ。あとは炊けたお米をどんぶりによそい、その上にこれを乗せるだけだ。以前寿司屋に行ったときに漬けマグロに炒りごまが乗っていたのを思い出し、見よう見まねで炒りごまを散らしてみる。これでマグロの漬け丼の完成だ。
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たまらん |
「……」
ゴクリ、と自然に喉が鳴る。漬けられたマグロの光沢と醤油の香り、そしてほのかなニンニクの匂いが食欲をこれでもかというくらい刺激する。
「……いただきます!」
そう言ったのとどんぶりに箸を突っ込んだのはほぼ同時だった。限界を迎えようとしている食欲に身を任せ、決して上品とは言えない動作で一口目を口に運ぶ。
「……!んぅんまあぁ~っ!」
感想が思わず口に出る。人生でほぼ初めてと言っていい自分の手料理の感想は空腹も手伝ってか、文句なしの美味だった。すぐさま二口、三口と口に運ぶ。うん、うまい。30分しか漬けていないのにマグロにしっかりと味が染み込んでいて、醤油とニンニクの旨みが舌にダイレクトに伝わるのを感じる。にんにくチップを入れたのは正解だったかもしれない。さらに炒りごまの香ばしさがマグロの生臭さを感じさせず、私はお寿司の漬けマグロに炒りごまが乗っている理由を理解した。
気が付けばあっという間にどんぶりは空っぽになっていた。もっと食べたいという物足りなさと共に、自分の作った料理を食べたという満足感を感じる。
「ごちそうさまでした」
今度はサーモンの刺身を使ってみようかな、サーモンを使うなら薬味で生姜を使うのもいいかな、そんなことを考えながら食器を洗う。洗い物はどんぶりと漬けダレに使ったお椀だけなので、洗い物すら面倒と感じる私にとっては好都合だ。
充実した気分で布団に横になる。次はどんなごはんを作ってみようか、楽においしくできるだろうか、そんなことを考えながら眠りについた。明日もまた、頑張ろう。
ブツ切りマグロの漬け丼
材料: マグロのブツ切り200g,醤油.ごま油,にんにくチップ(お好みで),白米(酢飯ならなお良い),炒りごま
作り方:
1.お椀に醤油をマグロが全て漬かるぐらいまで入れ、ごま油を少々、にんにくチップを少量加える。
2.1で作ったタレにマグロを全て漬け、ラップをかけて冷蔵庫で30分ほど(できれば1~2時間ほど)寝かせる。
3.寝かせた漬けマグロを取り出し、どんぶりによそった白米の上に乗せ、タレを少し全体にかける。
4.炒りごまを全体に散らして完成。

実験用のうどんを作成しているSCP-XXX-JP-1。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1はサイト-81██の標準人型収容室に収容され、1日に3度"うどん群"を除いた食事が提供されます。
現在、SCP-XXX-JP-1はその異常性の危険性、及び本人の強い希望からレベル0職員と同等の権限を与えられた上で、サイト-81██の食堂で雇用されています[[footnote]]ただしSCP-XXX-JP-1の異常性から、食堂のメニューに"うどん群"のメニューが存在しないことに留意してください。[[|footnote]]。SCP-XXX-JP-1は担当職員及びサイト管理者の許可を得た上で、SCP-XXX-JP-1に支払われている毎月の給料を嗜好品及び自身の収容室の快適化のために使用することが可能です。
現在SCP-XXX-JP-1がうどんを作成することに問題がないこと、及びSCP-XXX-JP-1の精神状態へのポジティブな影響を考慮して、SCP-XXX-JP-1による実験用のうどんの作成が認められています。
説明: SCP-XXX-JPは特定の男性(以下、SCP-XXX-JP-1と表記)及び、"うどんを含む33種類の麺料理(本報告書ではこれを"うどん群"と表記します)"に発生する異常現象です。SCP-XXX-JP-1が"うどん群"を摂食しようとした場合、"うどん群"は自律的な運動を行います。これらの運動は「逃げようとしているよう」、「食べられることを拒否しているよう」と形容され、事実としてれらの運動によってSCP-XXX-JP-1による"うどん群"の摂食の試みは1例を除いて全て失敗に終わっています。これらの運動の様相は"うどん群"の種類によって異なり、とりわけうどんの場合は非常に強いもので、これはしばしばSCP-XXX-JP-1に軽度の負傷をもたらします。
カント計測器を用いた実験により、これらの現象は現実改変能力によるものではないことが判明しています[[footnote]]実験記録XXX-38にて、初めて現実改変能力と思われるSCP-XXX-JP現象が確認されました。詳細は当該記録を参照してください。[[|footnote]]。しかし、"うどん群"がどのようなプロセスで運動を行っているのか、及びその運動に必要なエネルギーがどのように供給されているのかは判明していません。
SCP-XXX-JP-1は1975年生まれの日本人男性です。SCP-XXX-JP-1は標準的な40代男性の外見をしており、前述のSCP-XXX-JPに関連していること以外の一切の異常性を持ちません。特筆すべき点として、SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPによってうどんの摂食が不可能なのにもかかわらず、うどん職人としての実績を有しています。
SCP-XXX-JP-1は、20██年に「うどん屋の店主がうどんと戦っていた」という内容の情報が小規模な匿名型ネットコミュニティで話題になっており、このことが財団エージェントの目に留まり、接触、異常性の確認を経て収容に至りました。
SCP-XXX-JP発生時の条件と範囲の測定、及び発生時の様子を記録するため、SCP-XXX-JP-1に対して定期的な実験が行われています。実験記録は下記を参照してください。
実験記録XXX - 1
対象: SCP-XXX-JP-1実施方法: 対象に、一般的な調理法で職員が作成したうどんを摂食するよう指示。
結果: 対象はうどんの摂食に失敗。その際、激しく跳ねたうどんのつゆによって対象は軽度のやけどを負った。
分析: 予想通りの結果。SCP-XXX-JP発生時の様子の撮影に成功した。
概ね予想通りの結果でしたが、うどんの激しさが予想以上のものでした。SCP-XXX-JP-1へのダメージを考慮して、うどんを使用する実験では次回から冷製のものが用いられます。—二八研究員
実験記録XXX - 2
対象: SCP-XXX-JP-1実施方法: 対象に、対象自身が作成したうどんを摂食するよう指示。
結果: 対象はうどんの摂食に失敗した。
分析: 実験記録XXX-1の結果を鑑みて、SCP-XXX-JP-1自身が作成することや、その調理法に異常性のトリガーが存在する可能性は低いと推測される。
実験記録XXX - 3
対象: D-XXX1実施方法: 対象にうどんをSCP-XXX-JP-1の30cm前方で摂食するよう指示。
結果: 対象は問題なくうどんを完食した。
分析: SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-1を起点とした特定の領域内で発生しているのではなく、あくまでSCP-XXX-JP-1にのみ発生する現象であることが推測される。
実験記録XXX - 35
対象: SCP-XXX-JP-1実施方法: 対象にナポリタンを摂食するよう指示。
結果: 対象はナポリタンの摂食に失敗した。
分析: 以上の実験結果をもって、SCP-XXX-JP発生の条件となる麺料理とその傾向を特定。主な条件としては一般的に日本で麺料理として知られるもので、インスタント食品などはこれに含まれない。これらの条件を満たす33種類の麺料理を"うどん群"と定義し、収容プロトコル及び報告書に反映する。
実験記録XXX - 36
対象: SCP-XXX-JP-1実施方法: 対象の視覚、嗅覚、聴覚機能を一時的に遮断したうえで、対象の睡眠時にうどんを経口投与する。
結果: 対象へのうどんの経口投与に失敗した。
分析: SCP-XXX-JP-1が"うどん群"を認識していなくともSCP-XXX-JPが発生することが判明。
これによって、SCP-XXX-JP-1ではなく"うどん群"側が主体的にSCP-XXX-JPを発生させている可能性が高いと考えられます。また、現在までの行動を鑑みるに、"うどん群"そのものに何らかの自我や意思が存在する可能性を考慮する必要があるのではないでしょうか。—砂場研究員
実験記録XXX - 38
対象: SCP-XXX-JP-1実施方法: 対象にうどんを摂食させる。
結果: 対象はうどんの摂食に成功したが、その食感に違和感があると指摘。これを受けて対象の口内の残留物質を確認した結果、対象が摂食したのはうどんではなく豆腐であることが判明した。
分析: 映像記録を確認したところ、材料の搬入、調理、摂食時に至るまで、うどんが豆腐に変換される様子は見られなかった。これを鑑みるに、対象が摂食を行ったその瞬間、何らかの作用によってうどんが豆腐に変換されたと思われる。
この実験結果において注目すべきことは、うどん側が現在までの抵抗のような運動ではなく、自らの変換という新しいアプローチで摂食を妨害してきたという点です。これは実験結果XXX-36と合わせて、うどん側に摂食側を欺こうとする思考能力が存在するということを示します。検証のために更なる実験が続けられます。—更科博士
実験記録XXX - 43
対象: SCP-XXX-JP-1実施方法: 対象に流しそうめんを摂食させる。
結果: 対象はそうめんの摂食に失敗した。
分析:特殊な調理法によって摂食を試みた場合も失敗する結果となった。
実験記録XXX - 44
対象: SCP-XXX-JP-1実施方法: 対象に流しそうめんを摂食させる。本実験は対象の強い希望とセキュリティクラス3職員2名の認可のもと行われた。
結果: 対象はごく少量のそうめんの摂食に成功した。
分析: 収容環境下において初の"うどん群"の摂食成功例。このことから、他の"うどん群"についても今後、摂食が成功する可能性があることが推測される。
SCP-XXX-JP-1は実験が始まるや否やそうめん流し機の排水部に待機し、流水と共にそうめんを摂食しようと試みました。およそ5分間におよぶ実験ののち、SCP-XXX-JP-1の口内にごく少量のそうめんの存在が認められました。—瓦博士
実験記録XXX-44の結果をうけて、藪研究員によってSCP-XXX-JP-1にインタビューが行われました。インタビュー内容については下記を参照してください。
インタビュー記録
対象: SCP-XXX-JP-1
インタビュアー: 藪研究員
付記: 本インタビューはSCP-XXX-JPから実験記録XXX-43,44に関する情報を得る目的で行われた。円滑なインタビューを行うため、藪研究員はSCP-XXX-JP-1を本名である██と呼称することが認められている。
<記録開始>
藪研究員: それではインタビューを開始します。██さん、よろしくお願いいたします。SCP-XXX-JP-1: えぇ、はい、いつもお世話になっております。
藪研究員: さて、先ほどの実験についてですが……
SCP-XXX-JP-1 [遮って]あぁ、いや本当に申し訳ないです。年甲斐もなくはしゃいでしまいまして……。
藪研究員: いえ、問題ありませんよ。しかし何故、今回は自ら追加の実験を希望したのでしょうか。SCP-XXX-JP-1: いやね、そうめんが他の……えー……"うどん群"でしたっけ?に比べてそんなに抵抗しない方だったというのは先生たちもご存じだと思うんですけども。
藪研究員: はい。
SCP-XXX-JP-1: 今回のそうめんの箸のかわし方がなんというか、水の流れありきというか、水の流れに逆らわないような動きだったんです。例えば水の流れに逆らって上に逃げたり、樋の外に出たりはしなかった。だから逆に水の流れを利用してやれば、その勢いから逃げられないんじゃないかと思ったんです。藪研究員: それで追加の実験の希望を。
SCP-XXX-JP-1: えぇ、まさか向こうも下で待ち構えているとは思っていないでしょうから。水の流れに乗って気が付いたら私の口の目の前というわけです。まぁそれでも一筋縄ではいきませんでしたが。
藪研究員: ですが、結果的に摂食に成功したと。SCP-XXX-JP-1: えぇ、えぇ……。[微笑む]まぁそれでもほんの少しだけで、まだ完全に、とはいきませんでしたけれども……。人生40余年にして、ようやく何かを掴めた気がします。
藪研究員: 他の"うどん群"についてはどうでしょうか?
SCP-XXX-JP-1: うーん……難しいですね、どれも一筋縄じゃあいかない奴らばかりですから。次に可能性があるとすれば……うーむ、冷麺辺りでしょうか?でもやっぱり一番難しいのはうどんじゃないでしょうかねぇ、あの野郎は別格ですよ。
藪研究員: 次回の実験時の参考にさせていただきます。しかし、何故うどんだけ別格だと思うのでしょうか。
SCP-XXX-JP-1: あれがね、全ての始まりなんですよ。
藪研究員: と、いうと?
SCP-XXX-JP-1: ここに来た時に私の生まれについてはお話ししたと思うんですけども。
藪研究員: 父親がうどん屋の店主だったそうですね。
SCP-XXX-JP-1: えぇ。それで、父の職が職なもんですから、家庭にもうどんが出てくることが多かったわけです。最初のうちはそりゃあうまいうまいと食ってたもんですが、まぁ当然と言うべきか途中から飽き飽きしましてね、中学に入ってから大学卒業まではもううどんなんて見たくもなかったんですよ。
藪研究員: 続けてください。
SCP-XXX-JP-1: それでまぁ……仕事をするようになってから2、3年経ってからですかね、ふと昔食べたうどんのことを思い出しまして。ホラ、思い出すと無性にそれが食べたくなることってあるじゃないですか。それで久々にうどんを食べようと思ったわけです。それでいざ食べるぞっ!て時にうどんが暴れだしまして。
藪研究員: SCP-XXX-JPが発生したと。
SCP-XXX-JP-1: えぇ。最初はそりゃもうおったまげましたよ。なにせ食べようとしたらうどんが動いて、しかも自分から逃げていくってんですから。……まぁ最初こそビックリしましたけども、だんだん欲求不満になりましてね。だって食べたいと思ったものが食べようと思っても食べられないんですから。
藪研究員: はぁ。
SCP-XXX-JP-1: それで辛抱たまらず実家に戻って、父に事の顛末を話したわけです。最初こそ信じませんでしたけども実際に目の前で食べようとして見せたらまぁ嫌でも信じざるを得ないわけでして、お前うどんに嫌われてるんじゃないかって神妙な面持ちで言われましたよ。ですが私もどうしてもうどんを諦められないもんですから、もういっそのこと作る側になってみようと。幸いうどん作りに必要な環境は一通り揃っていましたから。
藪研究員: しかし食べられないものを具体的にどうやって?
SCP-XXX-JP-1: そりゃあもう積み重ねですよ。つゆだけなら飲めるので自分で飲んでは改良したり、麺の打ち方や感触を手に叩き込んだり、完成したら父に食べてもらってアドバイスを貰ったり。それを繰り返しているうちに気が付いたらここまで来ていたわけです。
藪研究員: なるほど。しかし何故そこまでうどんに固執するのでしょうか?
SCP-XXX-JP-1: えーっと、さっき父に「うどんに嫌われてるんじゃないか」と言われたって話をしたじゃないですか、でも私はそうは思わないんですよ。
藪研究員: というと?
SCP-XXX-JP-1: だって本当に嫌いだったら、そもそも私がうどんを作ることができているのがおかしいんです。それこそ材料の時からでも、私が見たり触ろうとした瞬間にすぐ逃げればいいじゃないですか。でもそれをしないってことは……なんというか、小学生が好きな子をいじめるアレに近いと思うんですよ。構って欲しいんだけども素直になれなくて……みたいな。そう考えるとなんだか可愛く思えてきて。
藪研究員: はぁ、そういうものですか。
SCP-XXX-JP-1: それに……もう1度うどんを食べたいと思っているのは当然なんですけども、それと同時にいつか本当に食べられる時が来たら……そう考えると怖いとも思うんです。
藪研究員: 何故でしょうか。
SCP-XXX-JP-1: 正確には、もし食べた時に満足できなかったら……と思うと怖いんです。だって、たぶん、私がうどんを食べることができたら……そこで終わりなんですよ。人生を賭けた目標が達成されるわけです。その時に「あ、こんなものなのか……」って思ってしまったら、それまでの自分の人生を否定することになるじゃないですか。
藪研究員: ……そうかもしれませんね。
SCP-XXX-JP-1: だから、これは私の都合のいい妄想かもしれないですけど……うどん達は私が食べようとする度に必死に抵抗してくれているんじゃないかって思うんです。「お前が満足できるうどんはこんなものじゃない」、「まだまだおいしく作れるはずだ」と。だから私はその期待に応えるために最高のうどんを追い求め続けるんです。もしもう一度食べることが叶うなら、それを最高の一口にするために。
<記録終了>
↑これから書こうと思っているもの
↓今まで書こうと思っていたもの
アイテム番号: SCP-1560-JP 蟲毒のグルメ
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1560-JPはサイト-81██の施錠された低脅威度物品保管ロッカーに保管されます。現在、SCP-1560-JPを用いた実験を行うことは推奨されません。
説明: SCP-1560-JPは壺の形状をした内口径115mm、外口径135mm、幅155mm、蓋を含んだ高さ155mm、重量1.3kgの陶器製漬物容器です。
SCP-XXX-JPの内部に食塩50g以上及び2種類以上の昆虫類の生物が存在し、付属された蓋によって開口部を塞ぎ、かつ
36時間が経過した場合、
補遺: SCP-1560-JPは、財団に勤務しているエージェント・井之頭の父親の実家にて発見、その後実験を経てその異常性が確認され、収容に至りました。下記はエージェント・井之頭に対する発見経緯に関するインタビューです。
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは標準の人型収容施設に隔離し
説明: SCP-XXX-JPは現在3█歳の平均的な日本人男性です。後述の異常性を除き異常な点は見られず、通常の人間と同様の身体能力と知能を持ちます。
SCP-XXX-JPは
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
Taleとかなんとか対象:
実施方法:
結果:
分析:
「んんーっ……」
眼鏡を外しながら体を伸ばす。今日も1日特に業務と言える業務も無かったが、ここ最近は珍しいことではなかった。
「……」
座りっぱなしで固まった腰をほぐしながら壁に掛かった時計に目をやる、そろそろ午後6時といったところだろうか。書類整理だけで1日が終わりつつあるという事実に若干欲求不満を覚えるが、逆に言えば大した業務も無いぐらい平和ということなわけで複雑な気分になる。
「……阿桜さん、今日も会えなかったな」
唇の上にペンを乗せながら数か月前のことを思い返す。記念すべき、あるいはある種忌むべきあの宣言のことを。
『全オブジェクト仮完全収容宣言』――それがO5直々に発令されたのはあまりにも突然のことだった。その内容は「現在財団が収容しているSafe、Euclid、Keterオブジェクトの全てにおいて暫定的に収容違反の懸念が払拭された。」というものだった。
にわかには信じがたいものだったが、その後に各国支部理事が人事の大幅な変更を実施、セキュリティクリアランス3以上の研究担当職員及びサイト管理者は引き続き収容オブジェクトの監視、研究のために従事。セキュリティクリアランス2以下の研究担当職員及び収容エージェントには新たなオブジェクトが発見されるまでの待機命令が出された。
そして不思議なことにその宣言以来、新たに報告オブジェクトの数が減少傾向にある。本当に発見されるオブジェクト数が減少したのか、あるいは低レベルセキュリティクリアランスには情報が開示されていないのか……確かめる術はないがともかく、下級職員には実質的に仕事が無いという状況がここ数か月間続いていた。自宅待機している職員も多いのか、最近は同僚とすらまともに会っていない気がする。
「暇なのはいいことだけどこうも続くと……うーん」
こうも何もすることが無いと、組織から「お前は必要ない人間だ」と言われているようで(実際その通りなのだろうが)心が落ち着かなくなる。今まで行っていた書類整理も、上に無理を言ってやらせてもらっているぐらいだ。これが俗に言うワーカホリックというやつだろうか……なんてくだらないことを考えているとガチャリ、とドアの開く音がして、反射的にそちらの方向に振り返る。
「……ん、あぁ日野君、今日もいたのか」
「あ……阿桜さん、お疲れ様です」
そこには書類を手にした阿桜さんが立っていた。会うのはおよそ1週間ぶりだろうか、親しい人に会えたという嬉しさとその書類の意味するものを想像し、気分が高揚する。私に尻尾があったらおそらくブンブン振っていただろう。
「その書類は……」
「あぁ、また君の意見を聞きたくてね」
待ってました。とは口が裂けても言えないが、正直私はこの瞬間を楽しみにしていた。というのも、最近ではこれが唯一と言っていい「それっぽい」上司と部下との交流だからだ。
「どれどれ今回のオブジェクトは……っと」
すぐさまメガネを掛け、渡された資料を慣れた手つきで読み進めていく。最近はこの様におよそ1週間周期で阿桜さんが研究資料を持ってきてくれて、それに対して私の見識や意見を述べるのが半ば日課になっていた。本当は推奨されないが、阿桜さん曰く「要求セキュリティクリアランスという点では問題ないし、意見や見解は多く集めておくに限る」とのことだが、恐らくは私のことも気遣ってくれているのだろう。事実、この作業を行っているときは「財団に貢献している!」という気分になれる。実際にこの意見が反映されるかはともかく、阿桜さんが私のことを気に掛けてくれているというだけで十分嬉しい。
「今回も人型オブジェクトでね、書いてある通り体内から蝉を分泌する特異な体質を持っていて……」
「うげ、それまた面妖な特異性ですね……あ、蝉といえば万葉集に……」
我ながら単純なもので、他人から求められればそれはもう驚くほどに身体も頭も動く。そういった意味で他人に依存している私にとって、やはり財団は最高の環境だと改めて思う。もし私が財団の上層部と阿桜さんから本当に見放されれば、それはある種の私の死を意味するのかもしれない、そんな気さえする。
「……ふむ、興味深いね。まとめて検証してみよう。助かるよ」
「いやぁそんな……最近はこれといった業務も無いですし、むしろ私の方が助かってますよ」
研究職という職業柄、他人と意見を交換するのが身に沁みついているのもあるが、やはり何より人と話すのが楽しい。元々コミュニケーションを取るのが得意でないことと、ここ最近人との関わりが少ないことも合わさって、阿桜さんのような親しい人間との気兼ねのない会話は自分の中で大きなウエイトを占めていた。だからこそ、こうして1週間間隔でしか会えないというのもなかなかに寂しいというか、なんというか……。
「……あの、阿桜さん」
「なんだね?」
「お忙しいのはわかっているんですがその……もしお暇ができたらでいいんですけど、また一緒に何か見に行ったりしませんか?その、能楽とか、小噺とか……」
意外だったのか、阿桜さんは鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をしている。あの宣言の前は勉強の一環として一緒に伝統芸能などを見に行くことも少なくなかった。私はそれがすごく楽しくて、今まで自分が触れたことのなかったものを見るという新鮮さも、終わった後に細かく動作の説明や意味などを教えてくれる阿桜さんも大好きだった。弟も一緒に行ったこともあったけど、あのバカはほとんど寝てたっけ……。
「……あぁ、構わんよ。ちょうど気になっている落語家の公演チケットが取れそうでね、暇が取れたら一緒に行こう」
と、阿桜さんは少し困ったような顔で言った。ワガママを言ってしまったかもしれないと反省するが、それよりも一緒に行けるかもしれないという喜びの方が大きい。
「じゃあ、私はそろそろ失礼するよ。上からたんまりと仕事を押し付けられているからね」
「アハハ……お疲れ様です」
そう言いながら、ドアを開けて出ていく阿桜さんを見送る。退屈だけど、こんな日常もいいかもしれないな、と思う。少なくとも私も阿桜さんも友人も、みんなふとした拍子に死んでしまうかもしれないという不安感が常にあったあの頃に比べれば状況は良くなっているのだ。そう考えると今の生活も悪くはない。
こんな日常がずっと続けばいいのにな、そんなことを思いながら私は背もたれに身体を預けた。
「ふぅ……」
バタン、と重厚な扉が閉まる音が背後から聞こえると同時に私はそっと息を吐いた。振り返るとそこには「第8収容対象」と書かれた人型オブジェクト用の収容室があるが、もう見慣れた光景だ。
「……」
若干乱れている白衣を直しながら腕時計に目をやる、……まだ19時か。業務が増えたせいか、最近は時間が経つのがやけに遅く感じる。あの宣言がされたのももう数か月も前だというのに未だにサイト内は慌ただしく、自分もいつも何かの業務に追われている。
「収容対象の様子及び得られた情報は……」
記録用紙にペンを走らせながら数か月前のことを思い返す。記念すべき、あるいはある種忌むべきあの宣言のことを。
『異常性保持職員の収容及び隔離宣言』――それがO5直々に発令されたのはあまりにも突然のことだった。その内容は「現在財団に雇用されている異常性保持職員、並びに準オブジェクトを全て収容し隔離する。」というものだった。
全く予想できなかった、と言えば嘘になる。事実、一部職員の間で異常性保持職員を雇用することに対する不安はあったし、問題行動の多さや異常性を持つことから配属先によっては擬似的なクロステストになる恐れもあるとして、度々会議でも議題として取り上げられていた。それにしてもいささか急すぎるとは思うが。
具体的な実施方法としてはまず該当する職員を全て暫定的に人型オブジェクトとして収容、隔離する。次に、研究職に就いていたものや有益な情報を握っていると思われる者からは情報を引き出し、それ以外の者は正式に人型オブジェクトとして収容、ナンバー振りを行う。
ここで問題になるのが前者から情報をどのように引き出すか、だ。もちろん突然収容されて「情報を出せ」と言ったとして、はいそうですかとすんなり提供してくれるわけがない。情報を引き出す手段としては拷問や自白剤の他に記憶処理の応用などもあるが、どのような方法を行うのか……財団の上層部の用いた手段は、そんな私の考えを凌駕するものだった。
『認識改変技術(仮)』……それは記憶処理技術に並ぶ、財団のもう一つの切り札になり得ると言ってもいいものだった。現在までに起こったあらゆる認識改変・汚染、ミーム汚染の情報の解析と度重なる実験は、ついに財団側からの認識改変すら可能としたのだ。前述の宣言は、恐らくこの技術の完成、及び実証実験の必要性を加味してなされたものだろう。
実際、その技術の効果は凄まじいものだった。現在までに隔離されている元職員は、第8収容対象を含めて全員が未だ自分が財団に所属し、業務を行っていると「認識」している。そしてその架空の業務の一環という形で、我々は実にスムーズに情報を得ることができている。収容対象が普段の自分の業務が少ないことに何ら疑問を抱いていないのは、恐らく現実と「認識」との齟齬に対して「調整」がなされているためだろう。
「……流石にこたえるな」
目頭を押さえ、また続きを書き始める。こうも業務が多いと疲れも溜まってくるものだ。日本支部における異常性保持元職員の数はおよそ40人、つまりそれらの実質的な穴埋めと、それと同じ数の収容対象からの情報収集を両方こなさなければならないのだ、いくら人材が補充されているといっても現在の職員1人当たりへの負担はかなり大きい。が、後続が育つまで辛抱するしかないのが現状だ。そんなことを考えながら報告をまとめていると、近づいてくる足音が聞こえてくる。
「阿桜さん、お疲れ様です」
「……あぁ、八頭くんか」
八頭八研究員……声をかけてきたのは最近すっかり見慣れた顔だった。件の宣言の直後に財団に雇用され、第8収容対象と入れ替わる形で私の部下として配属された。物事の呑み込みも早く、聡明で人付き合いもいい、優秀な後続うちの1人だろう。だからこそ気を付けて育てなければならないのだが。
「彼女に関する報告ですか?うわ、すごい量だな……」
「仕事だからな……いずれはきみもやる業務だ、目を通しておくといい」
報告書を手早く書き終え、八頭へと手渡す。やはり仕事を覚えてもらうには実物を見せるのが一番手っ取り早い。普段であれば仕事の合間に世間話をしたりなどで部下のことを知ったり信頼関係を築くのだが、こうも人手が足りないと仕事を覚えてもらうのを最優先にせざるをえない。
「どれどれ……うわ、字めっちゃ綺麗っすね」
「書く機会が多いと自然とそうなるものさ」
……幸い、業務に関係ない話は向こうが良く振ってくるのだが。しかし一言多いながらも報告書にしっかりと目を通して理解している辺り、優秀な人間なのだろう。あるいは以前まで一を教えて一を知る人間しか相手にしていなかったせいでギャップからそう思うだけなのか。
「ところで彼女ってどんな異常性を持っていたんです?」
「あぁ、話していなかったか……頭部にキツネ属の聴覚器官を有している点、そして痛覚を感じないという点だ」
「無痛症とは違うんすか?」
「第8収容対象の場合、発汗も行い温覚も存在する。そのため歩行能力の低下が見られないし体温上昇の伴う運動も可能だ」
「へぇ……別に変な能力があるわけじゃあないんすね、なんだかかわいそうかも」
「現実改変能力などの能力だけが異常性だというわけではない、通常の生物に見られない外的要因を備えていれば、それは立派な異常性でありその個体は収容対象だ。第8収容対象もあらかた情報が引き出せれば今度は肉体が実験対象になるだろう。何度も言うが、収容対象に同情はしない方がいい。それらを確保し、収容し、保護するのが我々の役目だ。同情すれば、その役目に支障をきたす」
自分に言い聞かせるように話す。収容対象や実験に用いられるDクラスに肩入れしすぎればどうなるか……それは痛いほどよくわかっている。当然職務に支障をきたすし、その恐れから異常性保持元職員と親交のあった人物はほぼ記憶処理を受け、ほぼ親交の無い収容対象に関する業務に充てられている。例外は財団の用意したテストに合格した、私を含めた数人だけだ。せめて自分の部下の尻拭いは自分でする、その一心で私はテストに合格し、第8収容対象の担当になっている。これは他の誰にもできない、私の成すべき仕事だろうから。
「軽率でした、すいません……あ、ところで阿桜さん」
「なんだね?」
「次の土曜、たしか久々に休暇が出てますよね」
「……あぁ、久々の休暇だな」
「一緒にどこかに行きませんか?阿桜さんってたしか日本文学と民俗学選考でしたよね、それ関連でおすすめがあったらぜひ!」
「あぁ、それならちょうど気になっている公演のチケットが……」
そこまで言いかけて何故か言葉が止まった。しばらく考えて理由に行きあたってからふっと自嘲気味に笑う。割り切れていないのは自分の方だ……人のことをとやかく言える立場じゃないな。
「阿桜さん?」
「……そうだな、温泉にでも行くか、いい場所があるんだ」
「やった!楽しみにしてますね」
そう言いながら別の業務へ向かう八頭研究員を見送る。忙しくてたまらないが、それでもやらなければならない。もうあの日常も人懐っこい部下も戻ってこないが、それでも自分が財団でやれることをやるしかないのだ。私は財団職員なのだから。
あの日常も悪くは無かったな、そんなことを思いながら私は前のめりに歩き出した。
日野博士のズボラ飯 第1話「漬けマグロ丼」
「ふぅ……」
サイトの廊下を歩きながらため息を漏らす。時刻は午後9時、自分と同じく業務を終えた職員が帰って行くのがチラホラ見える。
「お腹すいたな……」
今日はやけに忙しく、お昼ごはんも食べることができていなかった。空きっ腹が何か食わせろと要求してくるのを感じながら、鬼食さんの食堂にでも寄ろうかと考えていた時だった。
「……ん?」
誰かが落とした娯楽用の雑誌だろうか、何気なく覗いてみると表紙に書かれた一文に目が止まる。
「……『恐怖!急増するズボラ女子とは!?』?」
ズボラ女子、中身を見ずとも字面だけでなんとなく想像はできる。恐らく炊事や掃除などの家庭能力のない女性のことだろう。と、そこまで考えると同時にある事実に気がつく。
「それってまんま私じゃん……」
思えば財団に入ってから自炊というものをまったくした覚えがない。過去は言わずもがな、研究員になった当初も業務で手一杯でそれどころじゃなかったし、そもそも自分で作るよりも食堂の方が安くておいしいということが自明だったからだ。部屋の掃除に関しては気が付いたらやってはいるが、決して綺麗な方とは言えないだろう。
「……よっし、今日は自炊、してみようかな!」
私がそう口に出すのに時間はかからなかった。そろそろいい年だし、そんな年齢にもなって家庭能力が0というのはいささか……その、お嫁に行けないと思ったからだ。
かと言っていきなりハードルの高い料理に挑戦するのが無謀だというのも自明の理。故に、私は決めた。まずは巷で噂のズボラ飯から始めてみようと。
―この日この瞬間から、私のズボラ飯自炊生活が始まった。
「さて……と」
"ブツ"の入ったスーパーの袋を下ろしながら家に何があったかを思い出す。たしか醤油とごま油、あとお米はあったはずだ。
「よーし、頑張りますかね!」
私はスマホ片手に腕を捲り(あと耳の毛が入らないように三角巾を被って)台所に立った。
「えっと……まずは漬けダレ作りからかな」
味噌汁のお椀に醤油をドバッと入れて、ごま油を少量加える。サイトにはボウルを使えとか書いてあったけど、洗うのが面倒だし"ブツ"も少量なのでお椀には犠牲になってもらう。
「そしてメインディッシュは……コレ!」
スーパーの袋からパックのマグロのブツ切りを取り出す、200gもあれば十分だろう。それをそのまま漬けダレの中に入れる。サイトには刺身用の塊を包丁で切れと書いてあったが、わざわざ洗い物を増やす義理もない。とことん鮮魚部の人の手を借りさせてもらう。
「……うーん」
漬けダレに浸かったマグロを見ながらしばし考える。今日一日ほぼ何も食べていない私が、はたしてただのマグロの漬け丼で満足できるだろうか?もう少しガッツリした感じが欲しいなぁ……と考えていると、あることを思い出した。
「そういえばあいつがアレを持ってきてたっけ……」
そう言いながら戸棚を漁るとそれは簡単に見つかった。にんにくチップ。弟が以前、私の部屋で即席めんを食べた時に使った残りだ。
「……ええい、ままよ!」
正直明日に響くかなとも考えたが、蒸し暑い真夏の夜にガッツリしたものを食べたいという欲求には勝てなかった。チップスを5,6枚取り出して、それを手で砕いて漬けダレに入れる。
「よし、こんなものかな」
あとはこれにラップをかけ、同時に米も炊いておく。あとは30分も待てば漬け丼が完成するだろう。本来であれば1,2時間は漬けた方がいいと書かれていたが、空腹の今そんなに待てる自信はない。
30分後……
「よし……どんなもんかね」
米が炊けると同時に冷蔵庫から漬けておいたマグロを取り出す。なんせ物を漬けるだなんて初めてなので、しっかりと漬かっているかが不安で仕方ない。恐る恐るラップを剥がすとそこには……。
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よく漬かっておるわ |
「おぉ……」
思わず声が出た。自分の予想以上によく漬かっていてそれに……とてもおいしそうだ。あとは炊けたお米をどんぶりによそい、その上にこれを乗せるだけだ。以前寿司屋に行ったときに漬けマグロに炒りごまが乗っていたのを思い出し、見よう見まねで炒りごまを散らしてみる。これでマグロの漬け丼の完成だ。
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たまらん |
「……」
ゴクリ、と自然に喉が鳴る。漬けられたマグロの光沢と醤油の香り、そしてほのかなニンニクの匂いが食欲をこれでもかというくらい刺激する。
「……いただきます!」
そう言ったのとどんぶりに箸を突っ込んだのはほぼ同時だった。限界を迎えようとしている食欲に身を任せ、決して上品とは言えない動作で一口目を口に運ぶ。
「……!んぅんまあぁ~っ!」
感想が思わず口に出る。人生でほぼ初めてと言っていい自分の手料理の感想は空腹も手伝ってか、文句なしの美味だった。すぐさま二口、三口と口に運ぶ。うん、うまい。30分しか漬けていないのにマグロにしっかりと味が染み込んでいて、醤油とニンニクの旨みが舌にダイレクトに伝わるのを感じる。にんにくチップを入れたのは正解だったかもしれない。さらに炒りごまの香ばしさがマグロの生臭さを感じさせず、私はお寿司の漬けマグロに炒りごまが乗っている理由を理解した。
気が付けばあっという間にどんぶりは空っぽになっていた。もっと食べたいという物足りなさと共に、自分の作った料理を食べたという満足感を感じる。
「ごちそうさまでした」
今度はサーモンの刺身を使ってみようかな、サーモンを使うなら薬味で生姜を使うのもいいかな、そんなことを考えながら食器を洗う。洗い物はどんぶりと漬けダレに使ったお椀だけなので、洗い物すら面倒と感じる私にとっては好都合だ。
充実した気分で布団に横になる。次はどんなごはんを作ってみようか、楽においしくできるだろうか、そんなことを考えながら眠りについた。明日もまた、頑張ろう。
ブツ切りマグロの漬け丼
材料: マグロのブツ切り200g,醤油.ごま油,にんにくチップ(お好みで),白米(酢飯ならなお良い),炒りごま
作り方:
1.お椀に醤油をマグロが全て漬かるぐらいまで入れ、ごま油を少々、にんにくチップを少量加える。
2.1で作ったタレにマグロを全て漬け、ラップをかけて冷蔵庫で30分ほど(できれば1~2時間ほど)寝かせる。
3.寝かせた漬けマグロを取り出し、どんぶりによそった白米の上に乗せ、タレを少し全体にかける。
4.炒りごまを全体に散らして完成。
日野博士がズボラなtale
私は自室の中で頭を抱えていた。といってもそうしている理由は財団に関することではない。仮にそうだとしても誰かに即時報告するべきだし、そうしなければ処分されているだろう。私の顔から血の気が引いている理由は少なくとも深刻なものではない。少なくとも私以外にとっては。
「どうしよう……これ」
きっかけはサイト-8122の休憩所での会話だった、上司である阿桜と民俗関係のオブジェクトの報告書に関するディベートを終えてそこに行ってみると、見知った2人が卓を囲んでいたのだ。彼らはこちらに気づくと
「あっひのけんだ、久しぶり!」
「久しぶりだねぇ」
と、思い思いに声を掛けてくれた。数ヶ月単位顔を合わせていなかったが、覚えていてくれたことに軽い感動を覚える。
「久しぶり。猫宮さん、育良さん!」
エージェント・猫宮とエージェント・育良、2人ともエージェント時代の同僚であり、少なくとも私は良い友人であったと思う。このサイトは普段彼らがいる場所とは少し離れているが、恐らく収容任務の中継地点として訪れたのだろう。
「……というか、ひのけんじゃないですよ!"日野博士"って呼んでくださいよ、"博士"!」
ワザとらしく胸を張って言う。博士号を取得してからここ数ヶ月、私も立派な博士だというのに会う人会う人全員が未だに「ひのけん」だの「日野研究員」だの呼んでくるのだ。
「あー、そういえば博士号取ったんだっけ」
「でも俺らにとってひのけんはひのけんだからなぁ」
その言葉に嬉しいような悲しいような、複雑な気分になる。いつまで経っても変わらない友人がいるというのは、財団という環境においては感謝するべきなのかもしれない。
それからは向こうも収容任務後ということで、私も加わってプライベートに関しての談笑を交わした。そして問題の一言はその最中に発せられた。
「ところでさ、ひのけんってもう家はあるの?」
家とは恐らく博士クラスに与えられる施設外住宅のことだろう。研究員やエージェントも申請をして忠誠テストなどを行えば可能だが、博士クラスになるとある程度の免除が行われる。もちろん、その分施設外住宅を持っている博士も多い。
「え?うん、あるよ。今は寝に帰っているだけだけど」
「じゃあ行ってみたいな!ひのけんの家ってどんなのか気になるもの」
「えっ」
「いいね、じゃあ今度の日曜なんてどう?俺も幸子も予定は入ってなかったはずだし」
「えっ、えっ」
話がトントン拍子に進みすぎて反応がワンテンポ遅れてしまった。たしかに次の日曜までには今の業務はひと段落つくし、緊急の招集などがなければ午後は空いているだろう。だが自分の部屋の現状を鑑みるに、ここでYESと言ってしまえば大変なことになるのはわかっていた。しかし心に対して口だけが先行し、思わず言ってしまった。
「うん、いいよ!」
と。
そして時は現在、約束の日は明日に迫っていた。私はお世辞にも片付いているとは言えない部屋の中央で嘆くように呟く。
「いや本当にどうしようこれ、1日じゃ片付かないでしょ……」
床には出すのを忘れたゴミ袋、台所にはまだ洗っていない食器、ベッドの下や部屋の片隅に溜まったホコリ……、片付けられなくもないが、これらの量を1人でどうにかしろと言われると気が滅入る。いやここまで放置していた私のせいなのだが。
[[footnoteblock]]
Caution!
不適切な情報へのアクセスが検知されました。
警告: アクセス権限のない職員がこのファイルにアクセスするとナントカ的ミーム殺害うんたらによって直ちにいろいろされます。担当者のみ予防措置を受けられます。適切なミーム摂取無しに下部へとスクロールを行えば、即座に口内炎の悪化や普段よく使う指の深爪などが発生します。
嘘です、特に何もありません。
- untitled
- SCP-001-JP案「創作の世界」
- 異常空間
- エージェント・瀬上の人事ファイル
- 失われた技術
- Anomalous案
- グングニールの焼き鳥串
- 恐怖
- Oden
- 運命の出会い
- みんなのスーパースター
- 移動性ひのけんハウス
- 寓拝の禁呪
- ██県
- なんでも完全修復材
- 境界線
- 不幸
- tale 救い
- tale ヒトの年明け
- FS用 ゆっくりSCP
- 小げさな通販番組
- ならしょうがない
- 謙虚な天邪鬼
- 偽善者の檻
- メモとか
- テンプレ
- コピペ用
- 今まで指摘されたこと
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 現在、SCP-001-JPに対する有効な収容手順は確立していません。そのため、応急処置として現在の財団データベースに存在する全ての情報への必要アクセス権をセキュリティクリアランスレベル4まで引き上げてください。
説明: SCP-001-JPは、財団関連の情報に発生しているミーム汚染の一種と推測されている現象です。
つまるところ、財団内の情報がどんどんミーム・認識汚染されて、人々から「創作フィクションのものである」と認識され始める。
同時に、財団内の機密データベースに異常が発生し、機密の漏えい、外部からの編集の容易化が起き、まるで「共同創作サイト」(現在のSCP財団サイトみたいな)に変形していってしまった。それと同時にどこからか外部からデータベース内の報告書を模倣した「新たなSCP記事」が登録され始め、現存する報告書のどれが事実でありどれが創作であるかの区別がつかなくなってしまった。
これらの情報の創作化はアクセスへの必要セキュリティクリアランスレベルが低い情報から行われていったため、急きょ財団は架空の最も高いセキュリティクリアランスレベルである「レベル6」を作り、情報をそこへ隔離、秘匿した。が、結局はすべての情報が創作化し、現在の我々が使っているSCP財団サイトになった。
補遺: つまり、現在我々が創作サイトで用いているSCP財団データベースの報告書の中には何個か本物の報告書が混ざっているよ、というオチ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 空間を区分けして丸ごと隔離して、できれば空間の収縮を食い止める。
説明: 洞窟の内部みたいな空間で、この空間の中では物理的現象が奇妙奇天烈な働きを起こす。
厳密に言うと、「行動」から「結果」が生じるときの確立そのものが我々の世界と違う。例えば、我々の世界で指パッチンをして指先から炎が出る確率は0.0000000000000000000001%ぐらいに設定されているが、この空間の中ではそれがおよそ99.7%の確立で起こる。
補遺: 当初はこの空間が「何らかの異常性によって我々の世界を改変している」と推測されていたが、空間内部から見つかった痕跡とこの空間が縮小していることから、もともと我々の世界はこの空間内部のような物理法則だったのだが、何らかの改変の影響で現在の我々の世界の物理法則になってしまったというオチ

「敗北」という文章と共に日野博士の通信端末に送られてきたエージェント・瀬上の写真。
コードネーム: エージェント・瀬上(セノウエ)
本名: 日野 末鷹(ヒノ スエタカ)
セキュリティレベル/職員クラス: レベル1/Cクラス
職務: 要注意団体に対する直接潜入を含む諜報活動。
専門: メディアコンテンツを通した広報活動、他人に気付かれる方法の模索。
所在: 現在行方不明です。発見した者は速やかにサイト管理者まで連絡してください。最近サイト-81██で発見されました。
人物: 瀬上は199█/10/18生まれ、身長174cm、体重5██kgの男性です。同年齢の平均体格と比較して極度に筋肉量および脂肪量が少なく、いわゆる虚弱体質にあたります。財団の身体能力テストでは極端に悪い結果となりました。個人の性格としては、非常に自己顕示欲が強く、常に他人に自分の存在を認知してもらおうと振る舞います。
特筆すべき点として、瀬上は無言状態[[|footnote]]正確には「他人と会話を行っていない状態」。[[|/footnote]]において極端に他人から認知されにくいという点が挙げられます。例として、サイトに勤務するあらゆる職員は瀬上から能動的に「2回」声をかけられるまで瀬上の存在を認知しませんでした。この特異性についての検査の結果として、観測されたヒューム値に異常は見られず、また財団の坑ミーム・認識汚染装備なども効果を示しませんでした。これらの結果から、瀬上は異常な特性を持っているわけではなく単に「影が薄すぎる」ということが判明しています。
しかし、日野博士のみはこの影響を受けないことが判明しています。これが「瀬上の親族である」ことによるものなのか、それとも「瀬上と一定期間以上の交流期間がある」ことによるものなのかは不明です。
瀬上は財団に雇用された当初、前述の虚弱的な身体能力と自己顕示欲の強さから、エージェントとして(それどころか一般的な財団職員として)は不適切であると考えられていましたが、前述の特性から「黙っていれば」潜入エージェントとして非常に優秀であること、また仮に自分から声をかけたり物音を立てても「1度のみなら」気付かれないことから、エージェントとしての活動を認められています。
実際これまでに彼が行った諜報・潜入活動はほぼ成功しており、更なる活動への投入が検討されています。
あっ、おーい!██さん!―瀬上
██さんってば!―瀬上
……ん、あぁいたのかい。気が付かなかったよ。―██研究員
……あのさ、これって立派なイジメなんじゃないの?―瀬上
おーい!姉ちゃん!狐耳ー!ひのけーん!聞こえてるかー!―瀬上
うるっさーい!聞こえてるから大声を出すな!―日野博士
あ、ごめん……いつもの癖で。―瀬上
……両方うるさいんだがね。頼むから二人とも静かにしてくれないかな。―阿桜博士
また、瀬上の問題行動として自分の存在をやたらと強調したがるというものがあります。問題行動のリストは以下を参照してください。
・他職員の通信端末にやたらと自分の顔写真を送る。
・ものすごくうるさい声の音量が非常に大きい。
・提出される報告書の氏名欄のみが妙に達筆かつ筆圧が強い。
・自らの特性を利用してエージェント・育良を驚かせる。
・食堂のメニューに「瀬上カレー」なるメニューを勝手に書き足す。
・カメラを向けると変なポーズを取る。
・SNSアカウント(財団によって監視済み)を用いた交流がやけに多い。
・自動音声とひたすら会話を行っている(日野博士談)。
・エージェント・育良に腕毛を毟られる。
・エージェント・育良に乳首を抓られる。
やめて。―瀬上
やだ。―エージェント・育良
アイテム番号:SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:Keter
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPの感染を防ぐ現実的な方法は未だ発見されていません。そのため、財団は世界の物品加工・生産ラインを全て機械化させることを努力してください。
SCP-XXX-JPに対する現状最も効果的な手段は強クラス記憶処理、またはアンニュイ・プロトコルの実行による人類の「手作り」への認識の上書きのみです。SCP-XXX-JPに感染した物品が発見された場合、速やかに該当物品の加工・生産業に加担している人間全員に強クラス記憶処理を施行してください。
説明:SCP-XXX-JPは、人間の作る物体に影響を及ぼす感染症と見られている現象です。
SCP-XXX-JPによる影響を受けた物体は、既存のあらゆる方法によっても人間の手で作成を行うことができなくなります[[|footnote]]例えばとある物体AがSCP-XXX-JPに感染した場合、完全な機械による作業工程でのAの作成は可能ですが、人の手作業を主とした作業工程でのAの作成は不可能となります。[[|/footnote]]。
SCP-XXX-JPの感染経路は不明であり、また現在までに感染した物品の法則性などは発見されていません。そのため、SCP-XXX-JP感染物体の隔離などの処理は必要ありません。
説明:使用した人間男性が必ず股間部のファスナーを上げ忘れる男性用小便器。
回収日:20██/11/19
回収場所:サイト-81██の男性トイレ
現状:注意喚起の貼り紙を設置し、現状維持。
誰だ貼り紙を剥がしたバカは。-阿桜博士
説明:必ず「2」の目が上になる6面ダイス1つ。
回収日:20██/02/22
回収場所:神奈川県██市のホビーショップ
現状:低危険物収容ロッカーに保存。
賭け事に使いにくいのが難点だよなぁ。-エージェント・██
きみはAnomalousアイテムを何だと思っているんだね。-██博士
説明:表示された手順通りに作成すると味噌ラーメンが完成するレトルトの台湾混ぜそば3026袋。原材料は一般的なスープ春雨と同一のものである。
回収日:20██/██/██
回収場所:東京都██区のコンビニエンスストア
現状:食堂にて保管。セキュリティクラス2以下の職員のみ摂食が許可されている。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██のパスワード付きのロッカー201番に保存されます。SCP-XXX-JPを用いた追加の実験を行う際にはセキュリティレベル3以上の職員4人の承認を得てください。
事案XXX-1以降、SCP-XXX-JPに物理的接触を行うことができるのは財団忠誠心調査テストに合格したDクラス職員またはセキュリティレベル1の職員に限られます。
説明: SCP-XXX-JPは一般的に焼き鳥などに用いられる14cmの竹串です。分析の結果、市販されている竹串と同じタケで作られていることが判明しています。串の表面部分には薄く焦げ目のようなものが付着していますが、これを取り除くいかなる試みも失敗しています。また、SCP-XXX-JP本体から焼き鳥に用いられるタレの匂いがするとの報告がされていますが、これを裏付けるいかなる実験結果も報告されていません。
SCP-XXX-JPは2つの主な異常性を持ちます。
1つ目は、SCP-XXX-JPを知性を持った生物が「投擲」した場合、SCP-XXX-JPはその生物が最も敵意を持っている対象[[|footnote]]対象が2つ以上ある場合は、SCP-XXX-JPに最も近いものが選ばれます。[[|/footnote]]に先端を向け、その対象との最短距離を16m/sの等速直線運動で飛行することです。SCP-XXX-JPが対象に向かう途中で何かにぶつかった場合、その瞬間SCP-XXX-JPは運動能力を失います。この性質から、移動中のSCP-XXX-JPを確保することは比較的容易です。また、SCP-XXX-JPが何かと接触した場合、先端の鋭利さと移動速度にも関わらず、接触した対象およびSCP-XXX-JP双方に対して物理的な影響を及ぼしません。
2つ目は、SCP-XXX-JPを物理的に所持している[[|footnote]]SCP-XXX-JPと物理的な接触を行っている場合、[[|/footnote]]知性を持った生物が何らかの勝敗の存在するゲームなどを行った場合、SCP-XXX-JPを所持している側の陣営が必ず勝利するように勝負が「操作される」というものです。これは現実改変、もしくは認識汚染の一種によって行われると推測されています[[|footnote]]例として、あらかじめ出す手を決めてからジャンケン勝負を行った場合、両者の手の変化、またはジャンケンの勝利条件への認識汚染などにより必ずSCP-XXX-JP所持者の"勝利"という結果に終わります。[[|/footnote]]。
SCP-XXX-JPを用いた実験の記録は下記を参照してください。
実験記録XXX - い
対象: D-XXX1,D-XXX2。両者ともに健康。雇用時の身体計測では全ての項目においてD-XXX2がD-XXX1の評価を上回っている。実施方法: D-XXX1にSCP-XXX-JPを持たせ、D-XXX2と腕相撲を行わせる。
結果: D-XXX2の肉離れによってD-XXX1の勝利。事前の健康診断ではD-XXX2の体調に特に不備は無かった。
分析: 恐らくは現実改変によって肉離れを起こしたものと考えられる。更なる実験を行う。
実験記録XXX - ろ
対象: D-XXX1,D-XXX2実施方法: D-XXX1にSCP-XXX-JPを持たせ、D-XXX2と50m走のタイムで勝負を行わせる。このことは事前にD-XXX1およびD-XXX2には伝えず、ただ「50m走のタイム計測を行う」旨のみを伝える。
結果: D-XXX2の勝利。
分析: SCP-XXX-JPを所持している人物が勝負を行うということを知覚していない場合は異常性が発揮しないことがわかった。更なる実験を行う。
実験記録XXX - は
対象: DXXX1,D-XXX2,D-XXX3,D-XXX4実施方法: SCP-XXX-JPをD-XXX1に持たせた上でD-XXX1,D-XXX3ペアとD-XXX-2,D-XXX4ペアに分けて
結果: D-XXX1,D-XXX3ペアの勝利。
分析:
実験記録XXX - に
対象:実施方法:
結果:
分析:
補遺:
アイテム番号: SCP-XXX-JP-J
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-Jを収容することは現在不可能であるとみられています。そのため財団職員はSCP-XXX-JP-J-1を収容することを第一目標としてください。
新たなSCP-XXX-JP-J-1が出現した場合、速やかに人型オブジェクト収容施設に収容し、SCP-XXX-JP-J-1一体につき傍に必ずDクラス職員を一人配置してください。また、SCP-XXX-JP-J-1がSCP-XXX-JP-J-2の出現を訴えた場合、速やかに周辺ブロックを封鎖し、SCP-XXX-JP-J-1への鎮静処置を行ってください。
説明: SCP-XXX-JP-Jは、人間の恐怖感情に起因する一種の感染性精神病です。人間がSCP-XXX-JP-Jを発症した場合、その患者をSCP-XXX-JP-J-1とします。
SCP-XXX-JP-J-1は常時、後述するSCP-XXX-JP-J-2に対する強迫観念や恐怖的感情を訴え、暗闇や孤独といった状況に対して極端にネガティブな反応をとります。この状態は個体差はあるもののおよそ10日間持続した後、症状は完治します。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、内部の気温が8度に設定された食物用冷蔵ロッカーに収容してください。SCP-XXX-JPに対してインタビューを行う際にはSCP-XXX-JP担当の職員の許可を得、必ず北ゲルマン語、または英語での会話が可能な研究員を同伴の上で行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは、一般的に関東地方に見られるおでんの汁、および数種類のおでん種によって構成される物体です。これらの構成要素は検査の結果、一般的なおでんとほぼ同一のものであることが判明しています。SCP-XXX-JPは自身の温度が10度未満の場合非活性状態になり、10度以上になった場合活性化します。活性化時のSCP-XXX-JPは発声器官を持たないにも関わらず発声が可能で北ゲルマン語、英語での会話が可能ですが、主に北ゲルマン語を用いることを好みます。SCP-XXX-JPは自身を北欧神話の主神であるオーディンであり、おでん種は自身の体を構成するものであると主張します。SCP-XXX-JPの主張による各種のおでん種と体の各部位への対応については以下の表を参照してください。
おでん種 | 体の部位 |
---|---|
ゆで卵 | 頭 |
厚揚げ | 胴体(上半身) |
牛スジ肉 | 右手 牛スジ肉に刺さっている串はグングニル[[|footnote]]北欧神話において主神オーディンが持つ槍。一度投げれば必ず敵を討ち、自動的に手元に戻る。また、この槍を向けた軍勢には必ず勝利がもたらされると言われる。[[|/footnote]]であると主張している。 |
ちくわ | 左手 |
巾着(中身は餅) | 胴体(下半身) |
昆布 | 右足 |
しらたき | 左足 |
コンニャク(三角形) | 帽子 |
これらのおでん種は活性、非活性状態に関わらず容器から取り出された場合未知の手段により再生し、また人間が活性化状態におけるおでん種を摂取した場合対象は非常に美味であると述べますが、およそ3分後に対象の脳機能へ何らかの障害が発生し死に至ります[[|footnote]]非活性化状態のおでん種を摂取した場合は異常をもたらしませんが、実験に用いたDクラス曰く「非常に不味い」とのことです。[[|/footnote]]。
活性化状態のSCP-XXX-JPへのインタビュー記録は下記を参照してください。
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員
付記: このインタビューは、SCP-XXX-JPを用いた実験後に行われた第2回目のインタビューの記録である。
<録音開始>
██研究員: それではインタビューを開始します。今一度確認します、SCP-XXX-JP、あなたは何者ですか?
SCP-XXX-JP:
██研究員: [メモをとる]……はい、ではあなたのその姿はなんですか?
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
<録音終了>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその性質上移動させることは不可能なため、SCP-XXX-JPを含む地域一帯を封鎖し周辺に住宅に偽装したサイト-8132を建設します。サイト-8132に勤める職員は実験用のDクラスを除いて全て女性で構成してください。また、近隣住民にはカバーストーリー「開発工事」を施行してください。SCP-XXX-JPに関するインターネット上の情報などには発見され次第、情報の検閲を行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは、神奈川県██市に存在する十字路の交差点およびそれを構成する道路です。それぞれの道路は完全に直角に交わっており、それぞれの道路がコンクリート塀で覆われているため、一般的な歩行者が他方の道路を視認することは困難です。
SCP-XXX-JPを構成するいずれかの道路から16~22歳の男性(以下、被験者と表記)がSCP-XXX-JP交差点に侵入した場合、SCP-XXX-JPの異常な特性が発揮されます[[|footnote]]上空からの交差点への侵入では異常な特性は発揮されませんでした。[[|/footnote]]。
被験者が交差点に進入する瞬間、被験者から見て左右いずれかの道路から被験者と同年代の外見をした女性に見える人型物体(以下、SCP-XXX-JP-1と表記)が出現し、必ずお互いの肉体が衝突します。この時出現するSCP-XXX-JP-1が被験者によって外見が著しく変化する点、また被験者へのインタビュー記録から、SCP-XXX-JPは何らかの手段によって被験者の趣向を読み取っていると推測されています。また、SCP-XXX-JP-1は通常の人間と同程度の耐久性を持ち、ほぼ全ての場合激突した際に被験者と同程度の損傷を負います。SCP-XXX-JPの出現、消失の瞬間を映像機器によって捉える試みは失敗に終わっています。
被験者はSCP-XXX-JP-1と衝突した際、SCP-XXX-JP-1のことを「運命の人」であると認識し、3~5分程度の雑談を行った後にSCP-XXX-JP-1はその場を離れ、消失します[[|footnote]]この際骨折や内臓破裂などで会話や歩行が困難な状況においても、被験者とSCP-XXX-JP-1は通常と同様に一連の会話と歩行を行います。[[|/footnote]][[|footnote]]GPS装置等によってSCP-XXX-JP-1を追跡する試みは失敗に終わっています。[[|/footnote]]。その後被験者は第4回目の衝突時まで、SCP-XXX-JPを通りたいという欲求を示し、出来うる限り毎日SCP-XXX-JPを通行しようとします。この状態の被験者はクラスB記憶処理によって完治が可能です。
被験者とSCP-XXX-JP-1の衝突時の衝撃は回数を重ねるごとに強力になります。これについては下記の表を参照してください。
衝突回数 | 衝突時の衝撃 |
1回目 | 通常の体格の人間が10km/hで衝突する力とほぼ同等の衝撃力。個人差にもよるが被験者は擦り傷、軽い打撲を生じる。 |
2回目 | 一般的な家庭用自転車が20km/hで衝突する力とほぼ同等の衝撃力。被験者は多くの場合打ち身や捻挫、場合によっては骨折を生じる。 |
3回目 | 一般的な軽自動車が40km/hで衝突する力とほぼ同等の衝撃力。ほぼ全ての場合において被験者は軽度から重度の骨折および内出血を生じる。 |
4回目 | 一般的な平ボディ軽トラックが60km/hで衝突する力とほぼ同等の衝撃力。被験者は重度の骨折や内臓破裂を生じるが、現在までこの段階での被験者の死亡は確認されていない。 |
5回目 | 測定不能。この衝撃によって発生する余波が膨大なものと推測されているにも関わらず、余波は計測されていない。 |
被験者は4回目の衝突を経験した場合、SCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-1に対して消極的な反応を示し、出来うる限りSCP-XXX-JPを通行しないよう試みます。被験者へのインタビューを行ったところ全員が「SCP-XXX-JPと喧嘩別れをした」という旨の供述を行っており、このことが原因であると推測されています。
SCP-XXX-JPを用いた実験記録は下記を参照してください。
実験記録XXX-1
対象: D-XXX1(20歳/衝突1回目)
実施方法: 交差している4つの道路のうち向かい合った2つを厚さ50cmのコンクリート壁によって封鎖し、D-XXX1をSCP-XXX-JP交差点に進入させる。これによってSCP-XXX-JP-1の出現の抑制が可能であるかを実験する。
結果: SCP-XXX-JP-1はコンクリート壁を無傷で粉砕し、D-XXX1と衝突した。D-XXX1との衝突時の衝撃は通常のものと同等のものであった。
分析: SCP-XXX-JP-1はコンクリート壁を無傷で破壊したにも関わらず、D-XXX1との衝突時には通常通りの衝撃であったことからSCP-XXX-JP-1ではなくSCP-XXX-JP自体の影響によってコンクリート壁が破壊されたと考えられる。
いわゆる恋する乙女のパワー、というものでしょうか。―██研究員
実験記録XXX-2
対象: D-XXX2(21歳/衝突1回目),D-XXX3(21歳/衝突1回目)。2人の女性に対する趣向はかなり異なっている。
実施方法: 2人同時にSCP-XXX-JP交差点に進入させる。SCP-XXX-JP-1が同時に2体以上出現するかを実験する。
結果: SCP-XXX-JP-1は1体のみ出現し、D-XXX3に衝突。D-XXX2には何も起こらなかった。
分析: SCP-XXX-JP-1は進入した男性が2人以上存在する場合でも1体のみしか出現しないことが判明した。また、確認されたSCP-XXX-JP-1の容姿が事前に行ったアンケートの回答結果と比較してD-XXX3の趣向に近いことから、D-XXX3が被験者として選択されたと考えられる。
また、D-XXX2には軽度の鬱症状の傾向が見られる。
追加でサイト勤務者への調査を行ったところ、D-XXX3の方が客観的に容姿が良いという結果になりました。この結果とSCP-XXX-JP-1がD-XXX3を選択したという事実との因果関係は不明です。ー██研究員
実験記録XXX-3
対象: D-XXX4(19歳/衝突5回目)
実施方法: 4回目の衝突を行った被験者をSCP-XXX-JP交差点に進入させ、反応を記録する。
結果: [編集済]。詳細は音声記録XXXを参照してください。
<録音開始>
██研究員: それでは実験を始めます。D-XXX4、交差点内へ進入してください。
D-XXX4: なぁ、やっぱ俺……嫌だよ。彼女に嫌われたに違いないんだ。もう会いたく……
██研究員: D-XXX4、これはあなたの慰安旅行ではなく正式な実験です。指示通りにしてください。
D-XXX4: わ、わかったよ……進む、進むからさ。[D-XXX4がSCP-XXX-JP交差点に進入。SCP-XXX-JP-1は出現せず。]
██研究員: 何か異常なことはありませんか?
D-XXX4: 何も無いよ。彼女もいない……やっぱり俺に愛想を尽かしたんだ。クソッ、俺は彼女になんてことを……。██研究員: D-XXX4、それ以上実験と関係の無い発言をしたら強制終了を行います。周りの状況を詳しく説明してください。
D-XXX4: 何も無いって!特に何の異常も……何も無い。ただの交差点だ。██研究員: そうですか……実験を終了します。速やかにその場から離脱してください。D-XXX4。
D-XXX4: ああ……もうここには二度と……うん?なんだありゃ……。██研究員: どうしました?D-XXX4。
[SCP-XXX-JP-1が被験者から見て右の道路から出現。非常にゆったりとしたスピードで走っている。]
D-XXX4: えっ……!?な、なんで。なんでここに!?
SCP-XXX-JP-1: 先輩!私、間違ってました!私やっぱり先輩とじゃなきゃダメなんです!それなのに私あんな酷いことを言って……。
D-XXX4: 俺の方こそごめん!そっちの気持ちも考えずにあんな酷いことを言って……もう、会えないかと思った![D-XXX1がSCP-XXX-JP-1に向かって走り出す。]██研究員: D-XXX4!?戻りなさい!D-XXX4!
SCP-XXX-JP-1: 先輩!先輩もう私!絶対に離れない!私たち、ずっと一緒です!ずっとずーっと!離れません!絶対に!
D-XXX4: あぁ!ずっと一緒だ!絶対に離れない!俺たちは1つになるんだ!SCP-XXX-JP-1: 先輩……嬉しいです!私、先輩とぎゅーってしたいです!抱きしめてほしいです!ずっと離さないで欲しいです!
D-XXX4: あぁ、いいぞ!胸に飛び込んできてくれ!俺たちが出会った時みたいに!もうずっと一緒だ![D-XXX4とSCP-XXX-JP-1が衝突。凄まじい衝撃音が発生し音声機器が破壊される。]
<録音終了>
終了報告書: D-XXX4とSCP-XXX-JP-1の肉体は「ミキサーにかけられたよう」と形容されるほどに粉砕し、肉体が文字通り1つになっていました。D-XXX4は死亡。特筆すべき点としてSCP-XXX-JP-1のものと思われる肉体からはDNAなどの個人の特定が可能な情報物質が検出されませんでした。今回は被験者の死亡、そしてSCP-XXX-JP-1の消失が確認されなかった唯一の例ですが、SCP-XXX-JP-1の死体から情報が得られない以上、これ以上の5回目の衝突は行うべきでないと思われます。また、その後の実験においても新たなSCP-XXX-JP-1の出現が確認されています。

活性化状態のSCP-XXX-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、何も着用していない状態で施錠された一般的な鉄製のコンテナに収容してください。実験などの目的でSCP-XXX-JPを持ち出す際にはセキュリティレベル2の職員2人以上の許可が必要です。
説明: SCP-XXX-JPは身長180cm,スリーサイズがB70cm/W65cm/H75cmの一般的な木製のマネキン人形です。SCP-XXX-JPは非活性化状態では一般的なマネキンと変わりませんが、SCP-XXX-JPに何らかの衣服を着用させることによって活性化します。SCP-XXX-JPは明らかに身の丈に合わない衣服でも問題なく着用することができます。
SCP-XXX-JPは衣服を上下に着用した場合活性化し、自立した意思を持ち、自らの意志で身体を動かすことが可能となります。この時発現する意思は、SCP-XXX-JPの着用している衣服の種類によって変化します[[|footnote]]例として、男性ものの衣服ならば男性に、女性ものの衣服ならば女性の意思が発現します。[[|/footnote]][[|footnote]]この時、着用する衣服から感じ取ることのできる年齢によってSCP-XXX-JPの精神年齢も変化します(これは非常に主観的なもので、明確な基準は判明していません)。[[|/footnote]]。しかしながら、これらの意思は記憶や思想を共有しています。SCP-XXX-JPは発声器官や聴覚器官などを持っていないにも関わらず問題なく会話を行うことが可能であり、会話による他者への影響などは確認されていません。
SCP-XXX-JPは、自らのことを「スーパースター」であると認識しており、自分はファッションショーを行っている最中であると説明します。そして衣服の着用からおよそ5分後に「楽屋入り」と称して衣服の脱衣を行い、以降12時間は衣服を着用させても活性化をしません。そのためSCP-XXX-JPにインタビューを行う際は、これらのシチュエーションを考慮したうえで行うことが推奨されます。また、SCP-XXX-JPが活性化状態にあるとき、SCP-XXX-JPを目指した人間はSCP-XXX-JPそのもの、および着用している衣服に対して「非常に美的かつ高価である」といった印象を持ちます。これが何らかのミーム的な影響によるものなのかは不明です。この特性から、SCP-XXX-JPにインタビューを行う際は必ず必要最低限の人数で行ってください。
SCP-XXX-JPは、埼玉県██市にあるファッションショップ「████」の店主の「マネキンが喋った」という通報を財団のエージェントが傍受したことにより発見、収容されました[[|footnote]]インタビューによって、通報の直前まで店主はSCP-XXX-JPに対して上半身の衣服しか着用させていなかったと供述しているため、活性化しなかったと推測されています。[[|/footnote]]。このとき店主および周りの客にはAクラス記憶処理が施され、カバーストーリー「過労による幻覚および幻聴」が施行され、問題のないマネキンに差し替えられました。その後ファッションショップ「████」は現在財団の監視下にあります。
以下はSCP-XXX-JPに対するインタビュー記録です。
インタビュー記録
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員
付記: このときSCP-XXX-JPは一般的な女子高校生が着用するブレザーを着用している。このインタビューはSCP-XXX-JPの精神年齢を下げることによって情報の聞き出しを容易にする試みで実施されたものである。
<録音開始>
██研究員: それではインタビューを開始します。少しばかりお時間を頂いても大丈夫でしょうか。
SCP-XXX-JP: 構わないわよ、スーパースターはみんなに等しく、ね?
██研究員: ありがとうございます。それではあなたの本名を教えていただけますか?
SCP-XXX-JP: それは秘密よ。芸能人だって今時は偽名を使うでしょ?どうしてもっていうなら事務所を通してね。
██研究員: わかりました……では、他にこのファッションショーに参加されている方はいらっしゃるのですか?
SCP-XXX-JP: 当然よ。みんな素敵な服を着こなして会場のみんなを楽しませてるわ。
██研究員: みんな、とは誰のことでしょうか。
SCP-XXX-JP: あら、見たことがないの?彼や彼女らはみんないろいろな服を着て、街角のウィンドウで人々を魅了してるわよ。
██研究員: それはつまり、あなたのような存在が他にも存在する、と?
SCP-XXX-JP: 他のみんなは私みたいに喋ることはできないみたいだけどね、それに服を着こなすことに関しては私の右に出る子はいないわ。██研究員: そうですか……先ほど事務所とおっしゃいましたが、事務所の名前等をお伺いしてもよろしいでしょうか。
SCP-XXX-JP: ごめんなさい、もう楽屋に戻らないと……じゃあ、またね。
<録音終了>
終了報告書: インタビューの内容から、SCP-XXX-JPは他のマネキンに関して何らかの方法によって知覚していることが確認されました。また、インタビュー中に対象が発言した「事務所」に対して情報を得るために更なるインタビューを行うことが推奨されます。
これに引き続き、さらなるインタビュー(SCP-XXX-JPに██小学校の制服を着用させて行われた)の結果判明した事務所の電話番号や住所といった情報を元に捜索が行われ、その結果SCP-XXX-JPは█████氏の手によって作成されたことが判明しました。また、█████氏が作成したマネキンの調査を行いましたが、異常性があるのはSCP-XXX-JPのみであることが判明しています。しかしSCP-XXX-JPがこれらのマネキンから何らかの情報を得ている可能性が高いため、これらのマネキンも同様に保管されます。█████氏についても同様に調査が行われていますが、消息に関する情報を得る試みは失敗に終わっています[[|footnote]]「事務所」と呼称されていた場所は廃屋であり、建物の状況や周囲に民家が無いことから情報収集は困難です。[[|/footnote]]。
補遺XXX-1: ファッションショップ「████」の売上帳簿を参照したところ、SCP-XXX-JPの収容後の売上が収容前に比べておよそ40%減少していることが判明しています。これがSCP-XXX-JPによるものなのか、財団が介入した結果によるものなのかは不明です。
補遺XXX-2: 追加の実験によって、SCP-XXX-JPに着用されている物体およびSCP-XXX-JPを構成している物質は、SCP-XXX-JPと物理的接触を行っている時間に比例してその物体の客観的価値が高騰することが判明しました[[|footnote]]これには酸素や窒素などの物質は含まれません。[[|/footnote]]。そのため可能な限り実験に用いる衣服は可能な限り異なる繊維質で作られたものを用いてください。
また、前述の特性からSCP-XXX-JPを構成している[編集済]木の国際取引価格が高騰しています。そのため、今後の国際経済への影響の懸念からSCP-XXX-JPの破壊が██博士より提言されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: SCP-XXX-JPはある集合住宅の一室を形成する移動性の空間です。SCP-XXX-JP空間内にSCP-XXX-JP-1と分類される特定の人物が存在する場合に活性化します。活性中、SCP-XXX-JPは空間的に物体を透過しつつ移動しながら、近付いた人間を空間内に取り込みます。空間内に取り込まれた人間は既存を人格を喪失し、特定の新たな人格を得た上でSCP-XXX-JP-1とのコミュニケーションを開始します。特定の人格を得た人間はSCP-XXX-JP-2に分類されます。
これまでに9体のSCP-XXX-JP-2が同時に存在し得る結果が確認されており、それらはそれぞれが異なる人格と個性を持ちます。SCP-XXX-JP-1がSCP-XXX-JP空間から退出する事で異常は非活性化し、SCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-2の媒体となった人物は元の場所へと瞬間的に転移します。その際、人物は元の人格を取り戻しますが自分がSCP-XXX-JP-2であった記憶は有していません。
これまでのSCP-XXX-JP-1とSCP-XXX-JP-2との会話記録から、SCP-XXX-JP-2は個体毎に個性が異なるものの、出現に人格の個性とSCP-XXX-JP-1との関係に準じた一定の法則性があると考えられています。
現在までに確認されたSCP-XXX-JP-2個体とそれぞれのSCP-XXX-JPとの関連性については、下記の表を参照して下さい。
個体名 | SCP-XXX-JP-1との関係 |
---|---|
SCP-XXX-JP-2-a | 内容 |
SCP-XXX-JP-2-b | 内容 |
SCP-XXX-JP-2-c | 内容 |
SCP-XXX-JP-2-d | 内容 |
SCP-XXX-JP-2-e | 内容 |
SCP-XXX-JP-2-f | 内容 |
SCP-XXX-JP-2-g | 内容 |
SCP-XXX-JP-2-h | 内容 |
SCP-XXX-JP-2-i | 内容 |
補遺: ひのけんハウスはもえるよ
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、なんかその辺の適当な外から見えない箱に入れて鍵でロックしといてね。
説明: これは木彫りの十字架なんだけど、これを見るとその人物は「比喩的表現」ができなくなるよ。
補遺: この十字架とともに発見されたメモに英語で「日本の奴らは何でも神様神様とかつけやがる!なーにが八百万の神だ!そんなもん認めないもんねーバーカバーカ!(意訳)」って書かれてたんだけどだからってアンタやりすぎでしょうよ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 人間の思考の中に存在するから収容は不可能だよ。どうしろってんだ。
説明: 全ての人間の思考の中に存在する架空(?)の県だよ。場所とか名前はその人間によって変わるよ。被験者に全ての都道府県の数を数えさせても██県を含めた48個の都道府県を数えるにも関わらず「1都1道2府43県」と認識するよ。怖いね。
補遺: インタビュー記録とかさ、そういうの。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の低危険物収容ロッカーに収容されます。SCP-XXX-JPを用いた実験を行う場合はレベル2セキュリティクリアランス職員2名に許可を得てください。また、実験を行う際には必ず防護スーツを着用したDクラス職員を用いてください。
説明: SCP-XXX-JPは一般的な20gのチューブ型の容器に入った、白色の軟膏薬に見えます。成分の分析はその特異性のため失敗に終わっています。1ケースに6本のチューブが内包されており、財団は現在7ケースのSCP-XXX-JPを収容しています。パッケージには「なんでも完全修復材」と表記されています。このため一般的な軟膏薬とSCP-XXX-JP容器の判別は容易です。SCP-XXX-JP内容物を何らかの物体または人体に対して塗布した場合、異常性が発生します。
SCP-XXX-JPを塗布した対象が何らかの人的要因によって破損、あるいは何らかの価値が損失していた場合、塗布した量にかかわらずおよそ20分で人為的に損失した箇所が修復され、塗布したSCP-XXX-JPは消失します。これはあくまで人為的な損失によってのみ発生し、他の動物や自然などによって発生した損傷などには効果がありません[[|footnote]]例えば、人間によって囓られた林檎に対してSCP-XXX-JPを使用した場合は修復プロセスが発生しますが、他の哺乳類によって囓られた林檎に対しては効果はありません。[[|/footnote]]。また実験によって複数の人工物に塗布した結果、修復された物品と修復されなかった物品それぞれに分かれたため、これらの修復プロセスに関する何らかの定義が存在するか、あるいはSCP-XXX-JPそのものに自我が存在すると推測されています。
SCP-XXX-JPを用いた実験記録は下記を参照してください。
実験記録抜粋XXX-1
対象: D-XXX1によって果肉のおよそ半分が摂食された林檎280g(摂食前の重さ)。またD-XXX1には事前に摂食した果肉を別皿に吐き出させておく。
実施方法: 林檎にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 塗布から20分後に林檎は完全に修復した。また、別皿の果肉を確認したところ、消失や変化はなかった。
分析: ほぼ予想通りの結果になった。また切り離された果肉に何の変化も見られなかったことから、SCP-XXX-JPの修復プロセスは物質の転移等によるものではなく質量保存の法則を無視した何らかの働きによるものであると推測される。
実験記録抜粋XXX-2
対象: 市販の爪楊枝1本
実施方法: 対象にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 特に変化なし。
分析: 爪楊枝が材木を人為的に加工し作られた物であるにも関わらず原料の材木への修復プロセスが発生しなかったことから、SCP-XXX-JPに自我が存在すると仮定して、恐らく「損なわれた」ではなく「価値が付加された」と判断されたと推測される。
実験記録抜粋XXX-3
対象: タイヤのパンクした軽自動車1台
実施方法: タイヤにSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: タイヤは新品同様の状態にまで修復された。また、車の保有者であるエージェント・██の過去の不注意によって生じていた車体の塗装の剥離も同様に修復された。
分析: タイヤに塗布したにも関わらずタイヤのみでなく車体も修復されたことから、タイヤをそれ単体ではなく車の部品として扱っていると思われる。
実験記録抜粋XXX-4
対象: タイヤの前輪を取り外した軽自動車1台
実施方法: 自動車の車体部分にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 前輪部分に新品のタイヤが出現。
分析: SCP-XXX-JPに
実験記録抜粋XXX
対象:
実施方法:
結果:
分析:
実験記録抜粋XXX
対象:
実施方法:
結果:
分析:
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその特性から、新たに発生したSCP-XXX-JPの周囲にその都度収容サイトが建設されます。収容サイトを建設する際、SCP-XXX-JPは鋼鉄を用いた15m×15m×15mの収容室によって覆ってください。SCP-XXX-JPを視認することは可能な限り防がれるべきです。SCP-XXX-JPの収容に関わる人材は極力、事前に情報を与えたDクラス職員が用いられます。フェーズ2まで進行した被験者を発見した場合は対応したクラスの記憶処理を行ってください。また、フェーズ3の被験者は発見した場合、速やかに終了措置を行ってください。フェーズ4と見られる被験者を発見した場合、拘束した上で速やかに財団指定箇所へ隔離してください。
説明: SCP-XXX-JPは日本各地に存在する複数の2m×2m×2mの立方体の異常空間です。SCP-XXX-JP内に合計3分間以上滞在した、またはSCP-XXX-JPそのものを合計3分間以上視認した人物(以下、被験者と表記)は、"正常"と"異常"という感覚に対しての認識汚染を発症します。段階によって被験者の認識汚染は強くなり、最終的には例外無く自殺によって死亡します。SCP-XXX-JPと一般的な空間との違いは光景として区別することはできませんが、SCP-XXX-JPに曝露した被験者はフェーズ4を除き、SCP-XXX-JPの範囲を"異常である"と認識します。これによってSCP-XXX-JPの大きさを特定することに成功しています。また、SCP-XXX-JPを写真、あるいは映像などで目視した場合は異常性は発現しません。
被験者の認識汚染の段階については下記の表を参照してください。
汚染の段階 | 発症期間 | 概要 |
---|---|---|
フェーズ1 | 72時間 | SCP-XXX-JPに汚染された直後の段階。被験者は"正常"や"異常"という言葉、またそれらに関する話題に関して嫌悪感を示すようになります。調査の結果、被験者は軽度の強迫性障害を発症していることが明らかになっています。この段階ではクラスA記憶処理が有効です。 |
フェーズ2 | 48時間 | フェーズ1にて、記憶処理を行わなかった場合にフェーズ2へ移行します。被験者はフェーズ1と一転して"正常"や"異常"に対して異常な程の興味を示し、周囲の人物に対してそれらの言葉についての疑問を積極的に提起し、それを拒否した場合傷害を負わせるケースも確認されています。この段階はクラスC記憶処理によって治療が可能です。 |
フェーズ3 | 61時間 | フェーズ2にて、記憶処理を行わなかった場合にフェーズ3へ移行します。被験者は自らの"正常"と"異常"の区別が曖昧になり、しばしばそれらを混同するようになります。例として、被験者はライターの火や重力などに対して「異常である」という印象を持ちます。また、過去に誤って被験者がSCP-███-JPの収容違反に居合わせた際、被験者はSCP-XXX-JPの明らかに異常な特性に対し、「異常である」といった印象は持たず、「むしろ正常な光景だった」とインタビューで回答しています。この段階から、記憶処理による治療は効果を示しません。 |
フェーズ4 | 無期限 | この段階では、被験者はほぼ全ての事象を「異常である」と認識します。これには自身の身体も含まれており、結果として多くの場合被験者は自分の体への嫌悪感から自殺を試みます。この段階の被験者は如何なる手段を用いても未知の理由によって他人の手によって殺害することが不可能になり(footnote)刃物などで被験者の体を傷つけることはできますが、明らかな致命傷を与えても被験者は生存し続けます。(/footnote)、必然的に被験者の死因は自傷などによる自殺となります。この段階で被験者を治療するための如何なる試みも失敗に終わりました。また、フェーズ4に到達した被験者がSCP-XXX-JPに接触することは如何なる手段をもってしても妨害されます。 |
フェーズ4の被験者が自殺した場合、被験者が自殺した場所に新たなSCP-XXX-JPが形成されます。この時被験者の死体そのものに異常性はありません。この特性から、フェーズ4に至った被験者は発見され次第財団指定箇所に隔離され、可能な限り延命処置が行われます。
被験者へのインタビュー記録は下記を参照してください。
インタビュー記録
対象: フェーズ4に移行したD-XXX1(23歳 女性)
インタビュアー: ██博士
付記: 対象の自殺を防ぎ精神状態を安定させるため、あらかじめ被験者は拘束され精神安定剤を投与されている。本インタビューの趣旨は被験者との意思疎通が可能であるか、また被験者の精神状況の分析である。
<録音開始>
██博士: それではインタビューを開始します、大丈夫ですか?██さん(D-XXX1の本名、被験者への精神負荷を抑える目的で発言されたものと思われる)。
対象: は、はい……その、だいじょ、大丈夫です、はい。
██博士: 私の声が理解できるようですが、異常に感じるとは具体的にどのようなものなのですか?
対象: その、なんというか、ただただ異常なんです。この床も、椅子も、私自身も、あなたの声も空気も全てがい、異常なんです……。
██博士: ごめんなさい、もう少し詳しくお願いします。
対象: そ、その、形が変わったとか、臭いが変とかじゃないんです、た、ただ異常なんです……。なんだか私の知っている世界じゃ無いような気がして……そ、その、怖いんです……。
██博士: ……つまりこの世界はあなたの知る世界ではない、と?
対象: そんなかん、感じです……この世界は異常なんです……私も含めて……私も、異常なんです。異常、正常じゃない……
██博士: ……██さん?
対象: 正常、異常?あぁ、正常に戻りたい……あの場所へ、あの場所へ帰りたい……正常なあの場所へ……正常、異常、正常……異常は嫌だ……嫌……
██博士: ██さん?あの場所とはなんです?██さん?
対象: 嫌、異常な私は嫌……正常な私は、異常、あぁ……嫌……嫌……[被験者は一瞬の痙攣の後うなだれる。舌を噛み切ったものと思われる。]
██博士: ██さん?██さん!?警備員を部屋に入室させてください、早く!
<録音終了>
終了報告書: D-XXX1は治療を行ったにも関わらず死亡した。被験者が死亡した箇所には速やかに収容室が建設され、関わった人員には全てクラスA記憶処理が施された。フェーズ4に到達した被験者との会話は可能であるもよう。また、カウンセラーの鑑定の結果被験者は重度の強迫性障害を発症していることが明らかになった。インタビュー中にD-XXX1が発言した「あの場所」とは恐らくSCP-XXX-JPのことであると推測される。
現在財団が存在を把握、収容しているSCP-XXX-JPは137箇所ですが、SCP-XXX-JPの自己複製の特性、そして見分けのつかないその性質から現在未収容のSCP-XXX-JPはおよそ██箇所存在すると見られています。これにより、将来的にAK-クラス世界終焉シナリオが発生する可能性があります。しかし現在財団の努力にも関わらず、全てのSCP-XXX-JP及び被験者の発見は依然として困難となっています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは太平洋上に建設された収容エリア-81██内の高セキュリティ人型オブジェクト収容室に収容されます。収容室内への立ち入りは食事の提供、清掃のためのDクラス職員のみに限られます。また、収容室内の監視を24時間体制で常に2人の職員によって行ってください。SCP-XXX-JPの精神状態を把握するため、定期的に別室からマイクを用いて精神鑑定を行ってください。また、SCP-XXX-JPと接触する職員はSCP-XXX-JPに対して極力不快感を与えるよう努力してください。SCP-XXX-JPの担当職員は別冊のマニュアルを熟読してください。
説明: SCP-XXX-JPはおよそ20代と見られる、一般的な日本人男性です。身体能力などに異常はなく、身体計測では一般的な数値を示し、IQテストではIQ97を記録しました。
SCP-XXX-JPの異常性は、SCP-XXX-JP自身の深層心理における欲求や欲望を阻害する形で発生する現実改変作用であると推測されています(footnote)例として、SCP-XXX-JPの深層心理上で「文字を書きたい」という欲求が生じた場合、筆記用具の破損や指の骨折などによって筆記の試みに失敗します。(/footnote)(footnote)SCP-XXX-JPの生命維持に関わる要素に関しては現実改変は行われません(例として食事を摂りたい、呼吸をしたい、生きたいなど)。(/footnote)。この作用については客観的な予測が困難であり、現在も研究が行われています。実験により、この現実改変作用の効果範囲はSCP-XXX-JPを中心とした半径およそ13kmの円内と推測され、この作用はSCP-XXX-JP自身の意思に関係なく発生することが確認されています。
SCP-XXX-JPは現在職員及び財団に対し非常に反抗的であり、結果としてそれが現場職員の安全に繋がっています。このため、出来うる限りSCP-XXX-JPを反抗的にするよう、財団の精神カウンセラーによって努力が行われています。
SCP-XXX-JPは収容当初非常に温厚な性格であり、深層心理において周囲の被害を望まない傾向があったため、収容施設には甚大な被害が発生していました。そのため太平洋上に収容のためのエリアが急遽建設され、Keter級指定オブジェクトとして収容されていました。しかし依然として収容施設や現場職員の損失が激しく、収容維持が困難な状態が続いていました。
そのため、当時の収容担当である██博士の監修の下、SCP-XXX-JPに対して大幅な記憶処理および記憶改変処理が行われました。
結果として、SCP-XXX-JPの性格の改変に成功し、SCP-XXX-JPは現在のような非常に攻撃的かつ反抗的な性格となりました。これにより、収容設備の故障や人員損失などが発生しなくなったため、SCP-XXX-JPのオブジェクトクラスはKeterからEuclidに格下げされました。
現在SCP-XXX-JPに異常な反応は見られませんが、我々は記憶処理は万能ではないことを留意するべきです。SCP-XXX-JPは常に心理状態を把握されるべきであり、SCP-XXX-JPの記憶が戻ることはいかなる手段をもってしても妨げられるべきです。
それは突然に起こった。いや、この世界の出来事は大半が突拍子もないものであることは十分に理解しているはずだ。財団に所属している者ならば尚更。
今からほんの――私の感覚が正しいのであれば――2時間ほど前、私はエージェント・育良のSCPオブジェクト収容任務を補助する形で2人で行動を行っていた。オブジェクトの異常性が完全には解明されていない以上、曝露した場合などに備えてカメラ、録音機器、GPS装置を装備させた上で少数派遣する方法を財団はとっていた。
今回収容するSCPオブジェクトは山中に存在したため、ヘリで目標地点付近の開けた場所に着陸、そこから徒歩で向かい、収容するという計画だった。
それらの要素が災いしたのか、私たちは目標地点に向かう途中、正体不明の集団から襲撃を受けた。もちろん私たちは出来うる限り応戦した。
しかし不可能だった。いくらエージェントとしての身体能力や十分な装備があろうとも、数の暴力の前には膝を地に着かせる以外の選択肢は無かったのだ。彼らが要注意団体なのかどうかはわからなかったが、わざわざこんな山奥で私たちを待ち伏せしていたということは何か私たちを狙う理由があるはずなのだ。故に、私たちのことを簡単には殺せない。育良もそれを理解しているらしく、私たちは一転して彼らの指示に従った。
装備を放棄し、カメラ、録音機器、GPS装置も惜しげなく捨てた。これらの機器はリアルタイムで財団に情報が送られているため機器自体を破壊されても何ら問題は無いし、私たちの体の中にはGPS装置が埋め込まれているため、「いかにも」なGPS装置はデコイとしての側面が強いからだ。
勿論それだけで首を縦に振る彼らではない。武器を隠している恐れがあるからか衣服を無理やり脱がされ、私たちは生まれたままの姿を冬の冷風に晒すこととなった。自分たちの助かる可能性を考慮すれば、羞恥心など些細なものだった。
そこまでしてようやく彼らは私たちに目隠しと耳栓を施し、バンに乗せてどこかへ走り出した。その間私はひたすらに体内時計を狂わさないように意識した。視覚と聴覚が頼りにならない今、時間感覚までも失うわけにはいかなかったからだ。
かくして私は今、椅子と共に何処とも知れない、いかにもな打ちっ放しコンクリートの部屋に閉じ込められている。腕や足は椅子に繋がれており、肌に食い込む鎖が自由は無いということを強調している。目の前にはそれなりに屈強な男が3人立っており、そのどれもがロクでもない人生を送ってきたような顔をしている。
「……先に言っておきますが、私はしぶといですよ」
あえて挑発するよう言葉を選んで言う。相手がどんな情報を欲しているかを推測するためだ。その情報を言わない限り、恐らく殺されることは無い。それにしぶといというのも嘘ではない。
「今年もあともう少しで終わりですねぇ」
ウキウキという擬音が聞こえてきそうな、しかしどこか生気が抜けたような日野博士の声がサイト-8181の食堂の一角から聞こえる。
いつもは午後10時きっかりに閉まるはずの食堂は、年明けをサイトで過ごす職員への配慮か、はたまた料理長の怠惰のためか、未だ文明の光に満ちていた。
当然だが娯楽の少ないサイトでは、基本的に職員は談話室か食堂に足を運ぶことが多い。この夜もまた、例外ではなかった。
食堂内は様々な職員で賑わい、中には酒を嗜む者もいる。
『特に目立った収容違反も無く、平和な1年でしたねぇ』
その声を受けて、机に置かれている本―神宮寺博士の"肉体"に文字が浮かび上がる。
いつもならば軽々しく「平和」などと口にしないであろう神宮寺が自らを戒めない理由は、その肉体に染み渡った濁る液体を見れば明らかだろう。いつもならそれを咎めるであろう真家研究助手の姿はそこにはない。
「気を抜いてはいけませんよ、収容違反はいつ起きてもおかしくないんですから」
浮かれ気味の2人を諭すのはソファに置かれているバスケットボール……のカバーを被った宇喜田博士だ。
ぴょんぴょんと可愛らしく、見方によってはかなりシュールに跳ねながら続ける。
「オブジェクトに大晦日という概念はありませんから、常に気を引き締めていないと」
恐らくは2人を咎めるための言葉なのだろうが、言葉の端から滲み出る隠しきれない高揚感が台無しにしてしまっている。実際、当の宇喜田は小躍りするように体を小刻みに揺らしているのだ。
「あぁ、申し訳ありません」
日野は茶を啜りながら控えめな笑顔で謝罪をするが、こちらもまた頭頂部にある「耳」が彼女の気持ちを代弁するかのようにピクピクと動くため高揚感を隠しきれていない。
今年度の日本全体の収容サイト及びエリアにおける収容違反の発生件数は、職員各位に情報として知らされているだけでSafeクラスが6件、Euclidクラスが2件、Keterクラスオブジェクトに関しては0件である。さらに収容違反における死亡者は0人。けが人こそ出たものの、重症患者や甚大なミーム汚染などもなく全員が職場に復帰している。
これらはもちろん、現場の博士や機動部隊の迅速な対応あってこその結果であるが、20██年は結果的にそれそのものが異常と言える程の平穏な1年となった。
1年を通して誰1人として死んでいないという事実は、財団職員を多少なりとも浮かれさせるには十分な要素であった。それに大晦日特有の雰囲気も合わさって、食堂の中にいる職員の顔は皆一様に笑顔である。
「でも、SCPオブジェクトもきっと今日は収容違反をお休みしてくれますよ」
言いながら、収容違反という言葉を冗談として使えるようになった自分に対して、そこまで財団という存在に慣れきってしまったのかと日野は自嘲にも似た感情を覚える。同時に、気が緩みすぎている事を自戒する。自分が来年度1番目の死者になってしまっては世話がないのだ。
「だといいのだがね、失礼するよ」
その言葉が聞こえたのと、片手に酒の入ったグラスを、もう片方の手に火のついた煙草を持った大和博士が同意も得ずに4人掛けテーブルの空いた席に座ったのはほぼ同時だった。
彼も他の職員の例に漏れず、目にした者を不快にしかさせないような笑みを顔に浮かべている。
「おや大和博士、今日はお早いですね」
だが、この場所に彼を不快の権化のような表情で迎える者はいない。宇喜田博士は相も変わらずワクワクを隠そうともしない語調で大和に話しかける。
「件の報告書は全て提出し終えたからね、今日はもう晴れて自由の身というわけさ」
「相変わらず仕事の腕は良いんですねぇ……」
「日野くん、煽りにしては少々嫌味たらしさが足りないね?」
『人を煽ることに関して大和博士の横に並ぶ人はそうそういませんよ』
他愛のない会話から、また他愛のない会話へと話題が移り変わってゆく。彼らにとって日常の一コマに過ぎないその光景は、傍から見れば奇妙なことこの上ないものだった。
獣の耳をが生えた不健康そうな女
ぴょんぴょんと跳ねるバスケットボール
勝手に文字が浮かび上がるうえに飛ぶ本
何回殺しても死なない嫌われ者
これらの存在がサイトの一角で楽しく談笑しているというのは、数々の異常を(少なくとも一般人よりは)目にしている財団職員にとっても異常な光景として目に映るであろうことは言うまでもない。
だがその異常な空間は、彼らにとって非常に居心地の良いものであった。少なからず人と違う部分が存在する彼らにとって、自分と同じように異常な"ヒト"の存在は自身に安堵と安心感を与える一種の薬の役割を果たしている。
故に、このメンバーが集うことは珍しいことではなかった。時には日の休憩時間、時には食堂での昼食時、そして大晦日である今日も例外ではなかった。
「……年が、明けますね」
宇喜田がそう言うのとほぼ同時に、食堂のテレビに映るバラエティ番組ではカウントダウンが始まった。食堂内でも同様にカウントダウンが始まる。
5
4
3
2
1
「あけましておめでとうございます!」
いの一番に日野が口を開いた。普段の彼女からはあまり考えられない、通った声に押されるように宇喜田が口を開く。
「あけましておめでとうございます」
神宮寺博士の肉体に規則正しく綺麗な文字が浮き出る。
『明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします』
全員が言ったのを確認してから、大和博士が9割9分の嫌味と、ほんの少しの歓喜を含んだ笑顔で言う。
「諸君、あけましておめでとう」
少なくとも今、この瞬間だけは、彼らは他の人々と共に心から新年を祝うことができた。
同時刻、エージェント・カナヘビは水槽の中からせわしなく機械のアームを操作していた。
「はぁ~年も明けたちゅうんにお年玉の代わりに書類の山……応えるわぁ」
普段から書類の相手をすることが多いカナヘビだが、こうも大量の書類を相手にするとなると自然と愚痴がこぼれる。
オブジェクト収容のための費用の総額、人事部からの人材調達の進捗、人員配置変更の要請……年度末に提出された書類を一つ一つ丁寧に、かつ素早く捌いてゆく。与えられた情報を頭に詰め込みながら思考を巡らせる。長年この仕事に従事しているカナヘビには手馴れた作業だ。
そんな彼の目に留まる資料があった。その資料は毎月提出することが義務化されているため特に真新しいものではないのだが、彼は意図せずにその書類を凝視してしまう。そしてまた彼は人知れず憂えるようにため息をついた。
「大丈夫なんかいな……ほんまに」
本資料をセキュリティクリアランス4未満の職員が閲覧することを禁ず。
[財団における人型、及び有知性SCPオブジェクトの職員としての試用実験について]
対象: SCP-███-JP,SCP-███-JP,SCP-███-JP,SCP-███-JP(現 大和・von・Bismarck,宇喜田 啓臣,神宮寺 綴,日野 千春)
実施方法: 記憶処理が有効であると判断された人型、有知性SCPオブジェクトに対して高度の記憶処理を施し、日本支部職員としての記憶を植え付けた上で日本支部職員として一時的に採用し、経過を観察。SCPオブジェクトの運用が可能であるか、財団にとって有益となるかを実験する。この実験については日本支部理事4名が承認済みである。
20██年12月における経過報告 4体共に特に異常のある行動は見られなかった。しかし、SCP-███-JP(現 大和・von・Bismarck)に関しては少々財団員の規範から逸れた行動が見られるため、引き続き監視を強化する必要がある。4体が度々集会を行っている様子が見られるが今のところ問題はなし。
成果: 12/3、SCP-███-JP(現 宇喜田 啓臣)がSCP-███-JPの収容方法を確立。これによってSCP-███-JPの収容コストが23%カット、人員的損失がおよそ58%カットされました。
12/14、SCP-███-JP(現 日野 千春)によって新たにSCP-███-JPが発見、収容されました。これについては付属資料を確認してください。
12/30、SCP-███-JP(現 大和・von・Bismarck)によってSCP-███-JPに関する考察が提言されました。これについては現在審議中です。分析: 現在のところは、恐らくはまだ問題無いでしょう。しかし万が一の場合に備えて、常に彼らの監視は行われるべきです。重ねて言うようですが、記憶処理の効果が何らかの理由によって無効化された場合、また彼らが彼ら自身の異常性を制御できなくなった場合、我々は彼らをSCPオブジェクトとして再収容しなければなりません。
真家 摩耶子 阿桜 義清
アイテム番号: SCP-XXX-FS-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在確保されているSCP-XXX-FS-JP個体は、全てまとめて5m×5m×5mの鉄製のコンテナに収容してください。また、Dクラスによってこし餡を1日に3回、1個体につき200gずつ与えてください。
説明: SCP-XXX-FS-JPは、人間の頭部の容姿をした中身がこし餡の饅頭および大福です。対象は明らかに生命を維持するための機関が欠落しているにも関わらず、一般的な人間とほぼ変わらない生命活動を行うことができます。SCP-XXX-FS-JPはおよそ日本における高等学校卒業程度の知識を有するとみられ、会話、計算、物事の記憶などを問題無く行うことが可能です。
SCP-XXX-FS-JPは通常の饅頭、大福と同様に経口摂取が可能であり、人体に対する悪影響もありません。しかし、SCP-XXX-FS-JPは食べられることに対して否定的であり、また極度の苦痛を訴えるため、経口摂取は禁止されています。
現在財団が収容しているSCP-XXX-FS-JPは2体ですが、オブジェクトへのインタビューから他にもSCP-XXX-FS-JP個体が存在することが確認されています。そのため、機動部隊ゆ-9("まんじゅうこわい")が定期的に日本各地に派遣されます。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP-J
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-Jを収容することは不可能です。よって、財団職員はSCP-XXX-JP-Jによるあらゆる損害に対して寛容であることが求められます。
説明: SCP-XXX-JP-Jは、主に人間(以下、被験者と表記)に対して起こる一連の異常現象です。特に被験者が何らかの理由によって時間を厳守しなければならない場合に発生することが多いとみられています。被験者となる人間がどのような理由から選ばれるかは不明であり、現在生存しているあらゆる人類が被験者となりうる可能性があります。そのため財団職員が被験者に選ばれることも何らおかしいことではないことを留意されるべきです。
現在までに確認されたSCP-XXX-JP-Jは以下の通りです。
・急激な便意によって、被験者が自由意思に関係なく長時間便所に拘束される。
・目的地までの信号、および踏切が何らかの理由によって全て封鎖される。
・およそ80代前後の老人に見える人型物体が重量のある物体を持って目の前を通り掛かり、被験者は自由意思に関係なくその存在を助けるように行動する。
・重要な書類などが他人に提出する直前に消失し、被験者の自宅に再出現する。
・原因不明の事態によって公共の交通機関の機能が全て麻痺する。
・被験者の親族が何らかの理由によって病院に搬送される。この時被験者は何の情報も得ていないにも関わらず2親等までの親族の元へ向かいたいという欲求に襲われる。
・自宅の近辺で原因不明の火災が発生し、被験者は自由意思に関係なく「中に取り残された子供を救出しなければならない」という強烈な使命感に襲われる。
・突然謎の要注意団体に連れ去られ、被験者はKeter級と推測されるSCPオブジェクトを巡り命を掛けて戦いに身を投じる。2014/11/20.空事博士
2014/12/03.空事博士
2014/12/17.空事博士
2015/01/08.空事博士
2015/02/11.空事博士
2015/02/27.空事博士
[日付と名前を入力してください…]
20██/██/██、身の周りで起こっている異常現象の数々から、空事博士が被験者として選ばれたことが確認されました。よって、彼の書類提出の遅延や会議への遅刻は仕方の無いものであり、これらは本人の意思によってもたらされるものではないことを財団職員は深く理解しなければなりません。
あなたの周りでどのような異常現象が起きようと、ましてやそれらの現象についてやけに詳細にまとめてSCP報告書として私に提出しようと、先日の書類提出の不備によって減額されたあなたの給料が元に戻ることはありませんよ。空事博士。―日本支部理事-██
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは太平洋上に建設された収容エリア-81██内の高セキュリティ人型オブジェクト収容室に収容されます。収容室内への立ち入りは食事の提供、清掃のためのDクラス職員のみに限られます。また、収容室内の監視を24時間体制で常に2人の職員によって行ってください。現在、定期的に行われる心理テストを除いてSCP-XXX-JPとコミュニケーションをとることは禁じられています。
説明: SCP-XXX-JPはおよそ30代の男性と見られる人型の生物です。
上記の報告書は一種の情報統制のための虚偽報告書です。もし以下の文書を読んだ場合、あなたは収容エリア-81██内への侵入を恒久的に禁じられます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは太平洋上に建設された収容エリア-81██内の高セキュリティ人型オブジェクト収容室に収容されます。収容室内への立ち入りは食事の提供、清掃のためのDクラス職員のみに限られます。また、収容室内の監視を24時間体制で常に2人の職員によって行ってください。現在、定期的に行われる心理テストを除いてSCP-XXX-JPとコミュニケーションをとることは禁じられています。
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
SCPのアイデア
・正常と異常の境目が曖昧になる空間とか何か
・「人間は生まれた時からある種の洗脳を受けている。親の教育だったり、社会のルールだったり、憲法だったり、道徳であったりするものだ。自分の意思以外による自分の思想への介入要素が存在する場合、それらはもれなく洗脳の一種である。例えそれが人間であるということの必要最低限の証拠になり得るとしても」といういことを踏まえたうえでの「完全洗脳解除装置」
・遅刻とか宿題を忘れた時の言い訳っぽいJoke記事。
例えどんな超常現象が君の身の回りで起ころうが、それは君の給料を元の金額にする理由にはなりませんよ。██博士。―O5-██
人人人人人人
・>動く稲荷寿司<
Y^Y^Y^Y^Y^
・石(SCP-XXX-JP-1と表記、みたいな)を身につけている人以外には認識できず、必要最低限の生命活動を援助する道具以外の一切にすら認識されない人型オブジェクト。
・今までやけにDクラスの供給量が多かった理由
・投入した物体の質量そのものを変化させる"量"替機
・摂取した人物の母国語をあらゆる時代、国の言語の種類からランダムに選んだものに変える飴。実験記録で過去の支配者シフトシナリオを示唆。
・「人の手によって損なわれた部分」が完全に修復される"完全修復剤"。人間に使うと[削除済]
・ネット上に拡散している正体不明の人物の顔写真。この顔写真を見た者はミームに感染し、感染第一段階ではこの顔写真などを用いたコラージュ作成・拡散などを行い、積極的にこの顔写真の認知度を高めようとする。
感染第二段階では、感染者のネットリテラシーが著しく低下し、状況を考えずに自分の個人が特定できる情報を含めた身の回りの写真をSNSなどに高頻度でアップし始める。
オブジェクトの影響としては以上だが、二次的災害として身元が特定しやすくなることからの犯罪の発生や様々な機密情報の暴露、更には施設のパスワードの流出などが起こりうる(というか起こった)。
この感染はCクラス記憶処理によって感知が可能だが、財団においても初期収容時にミーム汚染への暴露による機密情報の流出などがあった。
SCPってなんなのよ的なアレ
人がまだ科学や巨大な社会的体型を作る以前は、良い意味でも悪い意味でも人類と共存していた物だが(食物連鎖的な)、科学技術の発達や人口の増加、社会の拡大、共有化によって人が排斥せざるを得なくなったもの。つまりSCPは世界にとっては存在すること自体が当たり前だけども、人間から見ればそれはもう理不尽でしかない。人間が作ったSCPや人間が関与したSCPも何らかの異常によって生み出されたのではなく、生み出されることそのものが世界にとって「正常」である的な。
Anomalousアイテム案
・重心などに異常がないにも関わらず必ず2の目を出すサイコロ イカサマに使うにしても出る目が微妙すぎるな -エージェント・██
・噛み続けても味が無くならないガム。グレープ味。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (適切なクラスを選んでください)
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
同じ過ちを二度と繰り返してはいけない(戒め)
・誤字脱字は当然自分で確認してフォーラムに上げる前に直せ。誤字脱字がたくさんあったら内容の指摘どころじゃない
・初見の人が理解できるような文章を書け。読者を超ド級のバカだと思っているぐらいの文章を書け
・オブジェクトの特徴・性質は痒いところに手が届くぐらいにまで書け。読者にそこの想像を求めるな
・文がめちゃくちゃだと読む気が失せる。文の構成を意識しろ
・財団は冷酷でなければならないが悪ではない。ましてやただの馬鹿でもない
・一つの段落中に同じ語句(「また」や「更に」)を使うと読みづらい。小論文の書き方からやり直せ
・あくまでこれは「報告書」だ。実際の財団職員がこれを読んで収容プロトコルなどが滞りなく行えるかどうかを考えろ
・変に専門的な用語ばかりを並べまくっても萎える。お前の文章を読むのは一般人なのであって、本物の博士ではない
・██博士のコメントの使い方には気をつけろ。大抵の人は萎える
・万人が「納得」できる文章を書け。お前だけが納得できる文章はただのオナ██だ
・とにかく記事はゆっくりと書け。財団は逃げやしないし、ましてやお前ボンクラの未完成品を本記事に上げるぐらいならお前の推敲に付き合ってる方がまだマシだと考える職員は多いだろう
・収容違反なんてそんなにポンポン起こるようなものじゃない、ましてやsafeクラスなら尚更だ。財団はお前と違って有能なんだから
・SCPに物語性を作るかはかなり重要だが、そのストーリーが陳腐なものなら普通の報告書形式にしろ。悪いことは言わないから
・検閲をする必要の無い場所まで[データ削除済]するとかお前はどういう██してるんだ
・upvote,downvoteをしてくれる方々に最大の感謝をしろ。もちろん、voteをしていない読者の方にもだ。一番辛いのは嫌われることじゃなく、無関心だということを忘れるな
・下書きフォーラムに反応がなくても焦って投稿しようとするな。早漏はどこの世界でも嫌われる
・教養を並べ立てて満足し、それに従えば良いと思うな。時には逆を張ってみろ
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の人型生物収容室に収容されます。SCP-XXX-JPの特性上、収容室への立ち入りは防護スーツを着たDクラス職員のみに限られます。インタビューなどを行う場合は、必ず別室のマイク機器を用いて二人以上の財団職員の立ち会いのもと行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは、顔面部に眼、鼻、口、耳、眉毛、その他一切の毛髪が見られない人型の生物です。SCP-XXX-JPには一切の発声器官、聴覚器官が見られないにも関わらず、未知の手段を用いて発声、および音の認識を行うことが可能です。また、胴体部の身体検査によって肉体年齢はおよそ30代の男性であることが明らかになっています。
SCP-XXX-JPは、人間と肉体的接触を行うことで(以下、SCP-XXX-JPと肉体的接触を行った人間を被験者と表記)被験者の"コピー"になることができます(footnote)SCP-XXX-JPの証言から、コピーすることのできる人物は最後に肉体的接触を行った人物のみであることが確認されていますが、信憑性はありません。(/footnote)。この時、SCP-XXX-JPは被験者の記憶、知識、無意識な癖、体つき、顔、DNA、指紋などの個人の特定が可能な要素全てをコピーします。これらの特性から、SCP-XXX-JPと被験者を区別することは事実上不可能です。加えて、SCP-XXX-JPは被験者の記憶などをコピーしているにも関わらず、自我を保っています。また、コピーは手への接触を行うなどして比較的簡単に行うことができ、解除して元の姿に戻ることも可能であるため、一度コピーを行ったSCP-XXX-JPを追跡することは困難です。
SCP-XXX-JPは被験者の体をコピーした後、多くの場合殺人や強姦、幼児虐待や██などの重大な犯罪を犯します。このとき、SCP-XXX-JPはわざと毛髪や指紋などの個人の特定が可能な何らかの証拠を残します。結果として被験者は冤罪にも関わらず十分な証拠によって逮捕され、多くの場合罪の重さから死刑囚となります。なお、前述の特性から、現行犯逮捕によってSCP-XXX-JP自体が逮捕された事例は確認されていません。
SCP-XXX-JPは精神鑑定の結果強度の残虐性を持つことが確認され、現在インタビューから判明しているだけでも殺人を██件、強姦殺人を██件起こしています。これらの他にも、記憶をコピーする特性を用いて金庫のセキュリティの突破などを行った事もインタビューで示唆されています。
SCP-XXX-JPへのインタビュー記録については以下を参照してください。
インタビュー記録
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██博士
付記: SCP-XXX-JPが収容されてから初のインタビューである。
<録音開始>
██博士: インタビューを開始します。SCP-XXX-JP、あなたは何故殺人などを行っていたのですか?
SCP-XXX-JP: 何故?何故だって?理由なんて無いさ、ただ俺がやりたいと思ったからやっただけだ。好きな時に好きなことをして自由に過ごす、それが人間ってもんじゃないのか?えぇ?██博士: では、何故あなたはわざわざ他人に扮していたのでしょうか?
SCP-XXX-JP: そんなん考えりゃわかるだろ、まさかここの博士とやらはそんな簡単なことも理解できない程のオツムしか██博士: 質問に答えてください、SCP-XXX-JP。
SCP-XXX-JP: なんか胸糞悪いなその呼ばれ方……、簡単だよ、面白いからさ。自分がやってもいないことで逮捕されて、人生台無しになる奴の顔を拝めるんだぜ?もう最高の[編集済]だよこいつは!あの時の兄ちゃんの絶望に満ちた顔、最高だったなぁ……思わずケツを[編集済]してやりたく██博士: 質問にのみ答えてください。では、あなたがそのような能力を手に入れたきっかけは?
SCP-XXX-JP: [5秒間の沈黙]……考えたこともねぇよ。俺は物心ついてからずっとこうだ。生みの親が俺のことをどう思ったかは知らねぇ。なんせ気がついた時にはいなかったからな。大方俺様の能力に恐れでもなしてケツ丸出しで逃げちまったんだろうが。██博士: では、あなたは今までどうやって生活を送ってきたのですか?まさかその素顔で暮らしていたわけではないでしょう。
SCP-XXX-JP: そんなこともわかんねぇのか。成りすましてたんだよ、近所のガキに。お笑いだったぜ、あいつの母親。俺が家に入ったら笑顔で息子の名前を呼んでやんのな!もうその息子はこの世からオサラバしてるってのによ!██博士: ……ではずっとその息子のフリをして生活をしていた、と?
SCP-XXX-JP: フリっつーよりは引き継いだってのが正しいのかね、なんせそのガキの記憶は全部コピーしてたからよ、バレることもねえ。安心して成りすませるってわけだ。あぁ本当に傑作だぜあの母親、俺がオモチャを壊した時に必死に息子の名前を連呼して叱ってやがった。壊したのは他でもない、俺だってのに。██博士: SCP-XXX-JP、質問への回答以外の発言は禁止されています。
SCP-XXX-JP: あいつが大事にしていたコップを割っちまったのも、手料理を上手いって言ってやったのも、テストで100点をとったのも、誕生日プレゼントを縫ってやったのも、全部俺が、俺が、俺が……[10秒間の沈黙]……俺が、俺が全部やったってのに、誰も……誰も俺の名前すら呼んじゃくれねえ、あいつらの目には俺じゃなくて死んだ息子しか映ってなかったんだ。なぁ、博士、俺は実在するのか?俺は今ちゃんとここにいるのか?俺は俺以外の誰かじゃないよな?
██博士: ……あなたはSCP-XXX-JPです。たとえ他の人物の形状を持っていたとしても、あなたがSCP-XXX-JP以外の呼称を用いて呼ばれることはありません。SCP-XXX-JP: [5秒間の沈黙]……俺は、俺は誰かのフリでもしなきゃ満足に外すら出歩けねえ。でもよ!俺はおかしくねえ、俺を受け入れないこのクソッタレな世界がおかしいんだ。だから……世界を変えてやることにしたんだよ、この能力を使ってな。
██博士: あなたが今まで犯した行為が世界を変える、と?SCP-XXX-JP: 変わるさ!俺があのクソッタレ共の姿を真似て片っ端からムショに引きずり込んでやったんだ!俺を見ようとすらしないクソッタレ共を片っ端から排除してやるんだ!そうなりゃいつか皆、俺を見ざるを得ないときが来る。絶対に、絶対にだ。違うか?博士。
██博士: ……賛同はできませんね。インタビューを終了します。<録音終了>
終了報告書: インタビュー中、対象は精神不安定の兆候を見せていました。彼を収容できたのは幸運だったといえるでしょう。社会にとって、財団にとって……恐らくは、彼自身にとっても。
SCP-XXX-JPはおよそ█年前から存在が確認されており、財団が収容のために追跡を行っていましたが前述の特性から困難なものとなっていました。そして20██/02/17に、██県██市の住宅街で「廃屋にのっぺらぼうがいる」という通報があったことから発見され、抵抗を受けたものの無事、収容に成功しました。周囲の住民へは記憶処理が施され、カバーストーリー「解体作業」が適用されました。
SCP-XXX-JPが収容されて以降、死刑囚からのDクラス供給量が減少傾向にあります。仮にSCP-XXX-JPの発言を信用するとして、以前の供給数と現在の供給数の差から計算すると、日本各地で用いられているDクラスのおよそ█%がSCP-XXX-JPによる被害者の可能性があります。……もちろんこれらは偶然かもしれません。ですがもし……もし、これが事実だとすれば……現在、私たちに冤罪を証明する手段が無いことが悔やまれます。―██博士
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1は物品保管サイト-81██の危険物収容ロッカーに収容してください。現在、SCP-XXX-JP-1を用いた実験は禁止されています。
SCP-XXX-JP-2は去勢処理を施した上で、サイト-81██に併設された生物保管サイト-81██の標準哺乳類動物収容室に収容されます。1日に2回、餌用ペレットと水を定量与えてください。また、排泄されたSCP-XXX-JP-1は全て焼却処分してください。
物品保管サイト-81██及び生物保管サイト-81██に勤務する職員は、全て男性職員で構成してください。いかなる場合も、両サイトへの女性職員の侵入は禁じられます。
説明: SCP-XXX-JP-1は一般的な大きさの、白い毛を用いた全長22cmの球型のストラップ型アクセサリーです。重さや質感等に異常はありません。
SCP-XXX-JP-1の異常な特性は、SCP-XXX-JP-1を中心とした半径2kmの円状の空間内に、オスとメスの人間が同じ人数存在する場合に発揮されます。これらの人間(以下、被験者と表記)はお互いに相手に対して好意を持ち、SCP-XXX-JP-1の接触から比較的短時間で生殖行為を行います(footnote)被験者が同性愛者である場合にも、異性に対して好意を持ちます。(footnote)。被験者同士の生殖行為は、母体の受精が確認されるまで継続されます。被験者がどのようにして受精を確認しているかは不明です。その後、メスの被験者は一般的な妊娠と同等の妊娠期間を経た後、SCP-XXX-JP-2を出産します。被験者は出産する際、人気の少ない場所や自宅を選択する傾向があります。
被験者は一様にSCP-XXX-JP-2を自らの子供であると認識し、通常の人間の胎児と同様に接します。また、被験者を記憶処理によって治療することは不可能です。
現在までに確認されている限りでは出産されるSCP-XXX-JP-2個体数は被験者1組に対して1体のみであり、複数体の受精、出産は確認されていません。また、既にSCP-XXX-JP-2を出産した被験者の組に対してSCP-XXX-JP-1の効果はありません。
SCP-XXX-JP-2は、アルビノ種のニホンノウサギ(Lepus brachyurus)の個体です。習性や知能、内臓機能などはニホンノウサギと同じですが、異なる点として人間などが摂取する食物も問題無く摂食が可能です。また、SCP-XXX-JP-2のDNA鑑定を行った結果、ヒト遺伝子と一致することが明らかになっています。
SCP-XXX-JP-2は、定期的に排泄物と同時にSCP-XXX-JP-1を排泄します。この時、SCP-XXX-JP-2の肛門最大径よりもSCP-XXX-JP-1が大きいにも関わらず、問題無く排泄が可能です。SCP-XXX-JP-2は、通常のニホンノウサギと同様にSCP-XXX-JP-2同士で交尾を行い、新たにSCP-XXX-JP-2個体を出産します。
下記はSCP-XXX-JP-2(出産からおよそ1年が経過している)の収容直後に行われた、SCP-XXX-JP-2を出産した被験者(一般人)へのインタビュー記録です。
インタビュー記録
対象: 被験者(32歳:女性)
インタビュアー: ██研究員付記: SCP-XXX-JP-2個体は財団職員によって別室へ隔離されている。本インタビューはSCP-XXX-JP-1の特性を解明するための参考資料として録音された。
<録音開始>
██研究員: それではインタビューを開始します……えー、██さん(被験者の本名)、ご協力頂ければ幸いです。
被験者: (すすり泣きながら)先生!あの子は、あの子は大丈夫なんですか!?何か悪い病気だから隔離されたんですか!?大丈夫ですよね?ちゃんと生きられますよね!?██研究員: 落ち着いてください、あなたのお子さんは……(5秒ほどの沈黙)あなたのお子さんは普通ではありません。あなたのお子さんはウサギです。ご覧になったでしょう?
被験者: 何を、何をおっしゃっているんですか先生!あの子は私がお腹を痛めて産んだ子ですよ!?ウサギですって?冗談じゃありません!あの子はれっきとした私たちの子だわ!それを何の権利があって、ウサギだなんて言うんです!?(号泣)
██研究員: えー……(財団職員に向かって)アレを用意してくれ。(被験者に向き直る)申し訳ありません。お子さんは少々状態が不安定でして……よろしければ少々、インタビューにご協力いただけるとありがたく思います。お子さんを出産する前に何か変わった出来事は何かありましたか?被験者: (泣きながら)何も無いわ、私たちはあの子が無事に産まれるように努力したしお腹をぶつけたこともありません。胎教もしっかりやったし栄養も摂りました。もちろん生まれてからの教育だってしっかりとやってきたつもりです!
██研究員: えぇっと、ご主人に関しては何か変わった出来事は?被験者: ……そうね、強いて言えば私たちの出会いが運命的だったということでしょうか。出会った瞬間にこの人だ、って思ったんです。そして意気投合して、2人で出会った店であのウサギのアクセサリーを買ったんです。私たちの出会いの記念に……今思えば変ですね、趣味も趣向も違うのに……(笑う)きっとあのアクセサリーが私たちを結んでくれたんです。
██研究員: なるほど……(職員から写真を受け取る)ありがとうございます。ではこちらをご覧になってください(SCP-XXX-JP-2と似たウサギの写真を被験者に見せる)、何が写っていますか?被験者: え?ただのウサギじゃないですか。……これが何か?
██研究員: ……では、こちらの写真をご覧下さい(直前に撮影したSCP-XXX-JP-2の写真を見せる)。何が写っていますか?被験者: 見ればわかるじゃないですか!私の子ですよ!
██研究員: 私の子、ですか……質問を変えます。これは人間ですか?それともウサギに見えますか?
被験者: どっちでもいいじゃないですかそんなこと!ちょっと掴みどころのなくて、少し兎っぽい自由なところもありますけど……でも私たちの、紛れもない息子です!
██研究員: ……そうですか、インタビューを終了します。ご協力感謝します。
被験者: 待って!あの子は、あの子はどうなるんですか!?帰ってきますよね!?
<録音終了>
終了報告書: インタビュー後、被験者にはAクラス記憶処理を施しました。被験者の発言から鑑みるに、ウサギのアクセサリーに異常性があると考えられます。念のため男性職員のみを被験者の自宅に派遣することを要請します。
インタビュー後、被験者宅からSCP-XXX-JP-1が発見され、サイトに収容されました。しかし異常性の効果範囲が予測できていなかったため、6名の男女の財団職員が曝露しました。出産されたSCP-XXX-JP-2個体は全て収容されています。
また、店名や大まかな場所などの情報があるにも関わらず、SCP-XXX-JP-1を販売していた店の発見は失敗に終わっています。そのため、全国のアクセサリーショップに男性のみで構成された機動部隊う-4("兎狩り")を派遣し、現在調査を行っています。

最初に収容されたSCP-XXX-JP(加工されている)
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは物品保管サイト-81██の危険物収容ロッカーに収容してください。現在、SCP-XXX-JPを用いた実験は禁止されています。
SCP-XXX-JP-1は生命維持処置を施した上で、サイト-81██に併設された生物保管サイト-81██の標準哺乳類動物収容機に収容されます。常に待機しているDクラス職員によって点滴の補充や排泄物の処理などを行ってください。SCP-XXX-JP-1から排泄されたSCP-XXX-JPは全て焼却処分してください。
物品保管サイト-81██及び生物保管サイト-81██に勤務する職員は、全て男性職員で統一してください。いかなる場合も、両サイトへの女性職員の侵入は禁じられます。
説明: SCP-XXX-JPは一般的な大きさの、白い毛を用いた全長22cmの球型のストラップ型アクセサリーです。重さや質感等に異常はありません。
SCP-XXX-JPの異常な特性は、SCP-XXX-JPを中心とした半径20mの円状の空間内に、オスとメスの人間が同じ人数存在する場合に発揮されます。これらの人間(以下、被験者と表記)はお互いに相手に対して好意を持ち、SCP-XXX-JPの接触から比較的短時間で生殖行為を行います(footnote)被験者が同性愛者である場合にも、異性に対して好意を持ちます。(/footnote)。被験者同士の生殖行為は、母体の受精が確認されるまで継続されます。被験者がどのようにして受精を確認しているかは不明です。その後、メスの被験者は一般的な妊娠と同等の妊娠期間を経た後、SCP-XXX-JP-1を出産します。被験者は出産する際、人気の少ない場所や自宅を選択する傾向があります。また、この状態の被験者を記憶処理によって治療することは不可能です。(footnote)出産後の被験者に対しては、問題なく記憶処理が可能です。(/footnote)。
現在までに確認されている限りでは出産されるSCP-XXX-JP-1個体数は被験者1組に対して1体のみであり、複数体の受精、出産は確認されていません。また、既にSCP-XXX-JP-1を出産した被験者の組に対してSCP-XXX-JPの効果はありません。
SCP-XXX-JP-1は、出産時の体重およそ3200g[[footnote]]早生れや遅生まれなどでも体重に大きな変化はありません。[[footnote]]の人間です。SCP-XXX-JP-1はアルビノ種に見られる赤色の虹彩を持ち、全身の皮膚の表皮及び乳頭下層が存在しません。そのため適切な処置を行わない場合、SCP-XXX-JP-1は皮膚の感染症及び合併症によって死亡します。またSCP-XXX-JP-1内には人間に存在する臓器に加えてSCP-XXX-JPを生成する臓器が存在し、定期的に肛門からSCP-XXX-JPを排出します。この時、SCP-XXX-JP-1の肛門最大径がSCP-XXX-JPより小さいにも関わらず、肛門括約筋の断裂などはありません。
SCP-XXX-JP-1の出産後、母体となる被験者は「傷口に塩を塗りこまれるような」と比喩される激しい下腹部の痛みを訴えます。調査の結果、これは子宮及び産道の原因不明の炎症によるものであることが判明しました。この炎症は既知のいかなる医療技術を用いても治療不可能であり。結果として被験者は妊娠することが不可能となります。
検査の結果、全てのSCP-XXX-JP-1のDNAはニホンノウサギ(Lepus brachyurus)のものとほぼ一致することが判明しています。
SCP-XXX-JPおよびSCP-XXX-JP-1は、「生まれた子供に皮膚が無い」という病院への通報を財団のエージェントが傍受したことにより発見、収容されました。当初は何らかの病気によるものだと思われていましたが、通報者へのインタビューからSCP-XXX-JPが関与していることが疑われ、SCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-1が収容されました。また、当初SCP-XXX-JPの異常性の効果範囲などが未解明だったため、収容サイトへの移送中に男女の財団職人6名が曝露し、3体のSCP-XXX-JP-1が発生しました。この時発生した全てのSCP-XXX-JP-1は生命維持処置を施し、収容済みです。
店名、店舗の大まかな場所などの情報があるにも関わらず、SCP-XXX-JPを販売していた店舗の発見は失敗に終わっています。そのため、全国のアクセサリーショップに男性のみで構成された機動部隊う-3("兎狩り")を派遣し、現在までに13個のSCP-XXX-JPの確保に成功しています。しかしSCP-XXX-JPは加工や着色が施されている場合が多く、依然として収集作業は困難となっています。