わすれもの
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 現在、SCP-001-JPに対する有効な収容手順は確立していません。そのため、応急処置として現在の財団データベースに存在する全ての情報への必要アクセス権をセキュリティクリアランスレベル4まで引き上げてください。
説明: SCP-001-JPは、財団関連の情報に発生しているミーム汚染の一種と推測されている現象です。
つまるところ、財団内の情報がどんどんミーム・認識汚染されて、人々から「創作フィクションのものである」と認識され始める。
同時に、財団内の機密データベースに異常が発生し、機密の漏えい、外部からの編集の容易化が起き、まるで「共同創作サイト」(現在のSCP財団サイトみたいな)に変形していってしまった。それと同時にどこからか外部からデータベース内の報告書を模倣した「新たなSCP記事」が登録され始め、現存する報告書のどれが事実でありどれが創作であるかの区別がつかなくなってしまった。
これらの情報の創作化はアクセスへの必要セキュリティクリアランスレベルが低い情報から行われていったため、急きょ財団は架空の最も高いセキュリティクリアランスレベルである「レベル6」を作り、情報をそこへ隔離、秘匿した。が、結局はすべての情報が創作化し、現在の我々が使っているSCP財団サイトになった。
補遺: つまり、現在我々が創作サイトで用いているSCP財団データベースの報告書の中には何個か本物の報告書が混ざっているよ、というオチ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 空間を区分けして丸ごと隔離して、できれば空間の収縮を食い止める。
説明: 洞窟の内部みたいな空間で、この空間の中では物理的現象が奇妙奇天烈な働きを起こす。
厳密に言うと、「行動」から「結果」が生じるときの確立そのものが我々の世界と違う。例えば、我々の世界で指パッチンをして指先から炎が出る確率は0.0000000000000000000001%ぐらいに設定されているが、この空間の中ではそれがおよそ99.7%の確立で起こる。
補遺: 当初はこの空間が「何らかの異常性によって我々の世界を改変している」と推測されていたが、空間内部から見つかった痕跡とこの空間が縮小していることから、もともと我々の世界はこの空間内部のような物理法則だったのだが、何らかの改変の影響で現在の我々の世界の物理法則になってしまったというオチ
「敗北」という文章と共に日野博士の通信端末に送られてきたエージェント・瀬上の写真。
コードネーム: エージェント・瀬上(セノウエ)
本名: 日野 末鷹(ヒノ スエタカ)
セキュリティレベル/職員クラス: レベル1/Cクラス
職務: 要注意団体に対する直接潜入を含む諜報活動。
専門: メディアコンテンツを通した広報活動、他人に気付かれる方法の模索。
所在: 現在行方不明です。発見した者は速やかにサイト管理者まで連絡してください。最近サイト-81██で発見されました。
人物: 瀬上は199█/10/18生まれ、身長174cm、体重5██kgの男性です。同年齢の平均体格と比較して極度に筋肉量および脂肪量が少なく、いわゆる虚弱体質にあたります。財団の身体能力テストでは極端に悪い結果となりました。個人の性格としては、非常に自己顕示欲が強く、常に他人に自分の存在を認知してもらおうと振る舞います。
特筆すべき点として、瀬上は無言状態[[|footnote]]正確には「他人と会話を行っていない状態」。[[|/footnote]]において極端に他人から認知されにくいという点が挙げられます。例として、サイトに勤務するあらゆる職員は瀬上から能動的に「2回」声をかけられるまで瀬上の存在を認知しませんでした。この特異性についての検査の結果として、観測されたヒューム値に異常は見られず、また財団の坑ミーム・認識汚染装備なども効果を示しませんでした。これらの結果から、瀬上は異常な特性を持っているわけではなく単に「影が薄すぎる」ということが判明しています。
しかし、日野博士のみはこの影響を受けないことが判明しています。これが「瀬上の親族である」ことによるものなのか、それとも「瀬上と一定期間以上の交流期間がある」ことによるものなのかは不明です。
瀬上は財団に雇用された当初、前述の虚弱的な身体能力と自己顕示欲の強さから、エージェントとして(それどころか一般的な財団職員として)は不適切であると考えられていましたが、前述の特性から「黙っていれば」潜入エージェントとして非常に優秀であること、また仮に自分から声をかけたり物音を立てても「1度のみなら」気付かれないことから、エージェントとしての活動を認められています。
実際これまでに彼が行った諜報・潜入活動はほぼ成功しており、更なる活動への投入が検討されています。
あっ、おーい!██さん!―瀬上
██さんってば!―瀬上
……ん、あぁいたのかい。気が付かなかったよ。―██研究員
……あのさ、これって立派なイジメなんじゃないの?―瀬上
おーい!姉ちゃん!狐耳ー!ひのけーん!聞こえてるかー!―瀬上
うるっさーい!聞こえてるから大声を出すな!―日野博士
あ、ごめん……いつもの癖で。―瀬上
……両方うるさいんだがね。頼むから二人とも静かにしてくれないかな。―阿桜博士
また、瀬上の問題行動として自分の存在をやたらと強調したがるというものがあります。問題行動のリストは以下を参照してください。
・他職員の通信端末にやたらと自分の顔写真を送る。
・ものすごくうるさい声の音量が非常に大きい。
・提出される報告書の氏名欄のみが妙に達筆かつ筆圧が強い。
・自らの特性を利用してエージェント・育良を驚かせる。
・食堂のメニューに「瀬上カレー」なるメニューを勝手に書き足す。
・カメラを向けると変なポーズを取る。
・SNSアカウント(財団によって監視済み)を用いた交流がやけに多い。
・自動音声とひたすら会話を行っている(日野博士談)。
・エージェント・育良に腕毛を毟られる。
・エージェント・育良に乳首を抓られる。
やめて。―瀬上
やだ。―エージェント・育良
アイテム番号:SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:Keter
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPの感染を防ぐ現実的な方法は未だ発見されていません。そのため、財団は世界の物品加工・生産ラインを全て機械化させることを努力してください。
SCP-XXX-JPに対する現状最も効果的な手段は強クラス記憶処理、またはアンニュイ・プロトコルの実行による人類の「手作り」への認識の上書きのみです。SCP-XXX-JPに感染した物品が発見された場合、速やかに該当物品の加工・生産業に加担している人間全員に強クラス記憶処理を施行してください。
説明:SCP-XXX-JPは、人間の作る物体に影響を及ぼす感染症と見られている現象です。
SCP-XXX-JPによる影響を受けた物体は、既存のあらゆる方法によっても人間の手で作成を行うことができなくなります[[|footnote]]例えばとある物体AがSCP-XXX-JPに感染した場合、完全な機械による作業工程でのAの作成は可能ですが、人の手作業を主とした作業工程でのAの作成は不可能となります。[[|/footnote]]。
SCP-XXX-JPの感染経路は不明であり、また現在までに感染した物品の法則性などは発見されていません。そのため、SCP-XXX-JP感染物体の隔離などの処理は必要ありません。
説明:使用した人間男性が必ず股間部のファスナーを上げ忘れる男性用小便器。
回収日:20██/11/19
回収場所:サイト-81██の男性トイレ
現状:注意喚起の貼り紙を設置し、現状維持。
誰だ貼り紙を剥がしたバカは。-阿桜博士
説明:必ず「2」の目が上になる6面ダイス1つ。
回収日:20██/02/22
回収場所:神奈川県██市のホビーショップ
現状:低危険物収容ロッカーに保存。
賭け事に使いにくいのが難点だよなぁ。-エージェント・██
きみはAnomalousアイテムを何だと思っているんだね。-██博士
説明:表示された手順通りに作成すると味噌ラーメンが完成するレトルトの台湾混ぜそば3026袋。原材料は一般的なスープ春雨と同一のものである。
回収日:20██/██/██
回収場所:東京都██区のコンビニエンスストア
現状:食堂にて保管。セキュリティクラス2以下の職員のみ摂食が許可されている。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██のパスワード付きのロッカー201番に保存されます。SCP-XXX-JPを用いた追加の実験を行う際にはセキュリティレベル3以上の職員4人の承認を得てください。
事案XXX-1以降、SCP-XXX-JPに物理的接触を行うことができるのは財団忠誠心調査テストに合格したDクラス職員またはセキュリティレベル1の職員に限られます。
説明: SCP-XXX-JPは一般的に焼き鳥などに用いられる14cmの竹串です。分析の結果、市販されている竹串と同じタケで作られていることが判明しています。串の表面部分には薄く焦げ目のようなものが付着していますが、これを取り除くいかなる試みも失敗しています。また、SCP-XXX-JP本体から焼き鳥に用いられるタレの匂いがするとの報告がされていますが、これを裏付けるいかなる実験結果も報告されていません。
SCP-XXX-JPは2つの主な異常性を持ちます。
1つ目は、SCP-XXX-JPを知性を持った生物が「投擲」した場合、SCP-XXX-JPはその生物が最も敵意を持っている対象[[|footnote]]対象が2つ以上ある場合は、SCP-XXX-JPに最も近いものが選ばれます。[[|/footnote]]に先端を向け、その対象との最短距離を16m/sの等速直線運動で飛行することです。SCP-XXX-JPが対象に向かう途中で何かにぶつかった場合、その瞬間SCP-XXX-JPは運動能力を失います。この性質から、移動中のSCP-XXX-JPを確保することは比較的容易です。また、SCP-XXX-JPが何かと接触した場合、先端の鋭利さと移動速度にも関わらず、接触した対象およびSCP-XXX-JP双方に対して物理的な影響を及ぼしません。
2つ目は、SCP-XXX-JPを物理的に所持している[[|footnote]]SCP-XXX-JPと物理的な接触を行っている場合、[[|/footnote]]知性を持った生物が何らかの勝敗の存在するゲームなどを行った場合、SCP-XXX-JPを所持している側の陣営が必ず勝利するように勝負が「操作される」というものです。これは現実改変、もしくは認識汚染の一種によって行われると推測されています[[|footnote]]例として、あらかじめ出す手を決めてからジャンケン勝負を行った場合、両者の手の変化、またはジャンケンの勝利条件への認識汚染などにより必ずSCP-XXX-JP所持者の"勝利"という結果に終わります。[[|/footnote]]。
SCP-XXX-JPを用いた実験の記録は下記を参照してください。
実験記録XXX - い
対象: D-XXX1,D-XXX2。両者ともに健康。雇用時の身体計測では全ての項目においてD-XXX2がD-XXX1の評価を上回っている。
実施方法: D-XXX1にSCP-XXX-JPを持たせ、D-XXX2と腕相撲を行わせる。
結果: D-XXX2の肉離れによってD-XXX1の勝利。事前の健康診断ではD-XXX2の体調に特に不備は無かった。
分析: 恐らくは現実改変によって肉離れを起こしたものと考えられる。更なる実験を行う。
実験記録XXX - ろ
対象: D-XXX1,D-XXX2
実施方法: D-XXX1にSCP-XXX-JPを持たせ、D-XXX2と50m走のタイムで勝負を行わせる。このことは事前にD-XXX1およびD-XXX2には伝えず、ただ「50m走のタイム計測を行う」旨のみを伝える。
結果: D-XXX2の勝利。
分析: SCP-XXX-JPを所持している人物が勝負を行うということを知覚していない場合は異常性が発揮しないことがわかった。更なる実験を行う。
実験記録XXX - は
対象: DXXX1,D-XXX2,D-XXX3,D-XXX4
実施方法: SCP-XXX-JPをD-XXX1に持たせた上でD-XXX1,D-XXX3ペアとD-XXX-2,D-XXX4ペアに分けて
結果: D-XXX1,D-XXX3ペアの勝利。
分析:
実験記録XXX - に
対象:
実施方法:
結果:
分析:
補遺:
アイテム番号: SCP-XXX-JP-J
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-Jを収容することは現在不可能であるとみられています。そのため財団職員はSCP-XXX-JP-J-1を収容することを第一目標としてください。
新たなSCP-XXX-JP-J-1が出現した場合、速やかに人型オブジェクト収容施設に収容し、SCP-XXX-JP-J-1一体につき傍に必ずDクラス職員を一人配置してください。また、SCP-XXX-JP-J-1がSCP-XXX-JP-J-2の出現を訴えた場合、速やかに周辺ブロックを封鎖し、SCP-XXX-JP-J-1への鎮静処置を行ってください。
説明: SCP-XXX-JP-Jは、人間の恐怖感情に起因する一種の感染性精神病です。人間がSCP-XXX-JP-Jを発症した場合、その患者をSCP-XXX-JP-J-1とします。
SCP-XXX-JP-J-1は常時、後述するSCP-XXX-JP-J-2に対する強迫観念や恐怖的感情を訴え、暗闇や孤独といった状況に対して極端にネガティブな反応をとります。この状態は個体差はあるもののおよそ10日間持続した後、症状は完治します。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、内部の気温が8度に設定された食物用冷蔵ロッカーに収容してください。SCP-XXX-JPに対してインタビューを行う際にはSCP-XXX-JP担当の職員の許可を得、必ず北ゲルマン語、または英語での会話が可能な研究員を同伴の上で行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは、一般的に関東地方に見られるおでんの汁、および数種類のおでん種によって構成される物体です。これらの構成要素は検査の結果、一般的なおでんとほぼ同一のものであることが判明しています。SCP-XXX-JPは自身の温度が10度未満の場合非活性状態になり、10度以上になった場合活性化します。活性化時のSCP-XXX-JPは発声器官を持たないにも関わらず発声が可能で北ゲルマン語、英語での会話が可能ですが、主に北ゲルマン語を用いることを好みます。
SCP-XXX-JPは自身を北欧神話の主神であるオーディンであり、おでん種は自身の体を構成するものであると主張します。SCP-XXX-JPの主張による各種のおでん種と体の各部位への対応については以下の表を参照してください。
おでん種 |
体の部位 |
ゆで卵 |
頭 |
厚揚げ |
胴体(上半身) |
牛スジ肉 |
右手 牛スジ肉に刺さっている串はグングニル[[|footnote]]北欧神話において主神オーディンが持つ槍。一度投げれば必ず敵を討ち、自動的に手元に戻る。また、この槍を向けた軍勢には必ず勝利がもたらされると言われる。[[|/footnote]]であると主張している。 |
ちくわ |
左手 |
巾着(中身は餅) |
胴体(下半身) |
昆布 |
右足 |
しらたき |
左足 |
コンニャク(三角形) |
帽子 |
これらのおでん種は活性、非活性状態に関わらず容器から取り出された場合未知の手段により再生し、また人間が活性化状態におけるおでん種を摂取した場合対象は非常に美味であると述べますが、およそ3分後に対象の脳機能へ何らかの障害が発生し死に至ります[[|footnote]]非活性化状態のおでん種を摂取した場合は異常をもたらしませんが、実験に用いたDクラス曰く「非常に不味い」とのことです。[[|/footnote]]。
活性化状態のSCP-XXX-JPへのインタビュー記録は下記を参照してください。
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員
付記: このインタビューは、SCP-XXX-JPを用いた実験後に行われた第2回目のインタビューの記録である。
<録音開始>
██研究員: それではインタビューを開始します。今一度確認します、SCP-XXX-JP、あなたは何者ですか?
SCP-XXX-JP:
██研究員: [メモをとる]……はい、ではあなたのその姿はなんですか?
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
██研究員:
SCP-XXX-JP:
<録音終了>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその性質上移動させることは不可能なため、SCP-XXX-JPを含む地域一帯を封鎖し周辺に住宅に偽装したサイト-8132を建設します。サイト-8132に勤める職員は実験用のDクラスを除いて全て女性で構成してください。また、近隣住民にはカバーストーリー「開発工事」を施行してください。SCP-XXX-JPに関するインターネット上の情報などには発見され次第、情報の検閲を行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは、神奈川県██市に存在する十字路の交差点およびそれを構成する道路です。それぞれの道路は完全に直角に交わっており、それぞれの道路がコンクリート塀で覆われているため、一般的な歩行者が他方の道路を視認することは困難です。
SCP-XXX-JPを構成するいずれかの道路から16~22歳の男性(以下、被験者と表記)がSCP-XXX-JP交差点に侵入した場合、SCP-XXX-JPの異常な特性が発揮されます[[|footnote]]上空からの交差点への侵入では異常な特性は発揮されませんでした。[[|/footnote]]。
被験者が交差点に進入する瞬間、被験者から見て左右いずれかの道路から被験者と同年代の外見をした女性に見える人型物体(以下、SCP-XXX-JP-1と表記)が出現し、必ずお互いの肉体が衝突します。この時出現するSCP-XXX-JP-1が被験者によって外見が著しく変化する点、また被験者へのインタビュー記録から、SCP-XXX-JPは何らかの手段によって被験者の趣向を読み取っていると推測されています。また、SCP-XXX-JP-1は通常の人間と同程度の耐久性を持ち、ほぼ全ての場合激突した際に被験者と同程度の損傷を負います。SCP-XXX-JPの出現、消失の瞬間を映像機器によって捉える試みは失敗に終わっています。
被験者はSCP-XXX-JP-1と衝突した際、SCP-XXX-JP-1のことを「運命の人」であると認識し、3~5分程度の雑談を行った後にSCP-XXX-JP-1はその場を離れ、消失します[[|footnote]]この際骨折や内臓破裂などで会話や歩行が困難な状況においても、被験者とSCP-XXX-JP-1は通常と同様に一連の会話と歩行を行います。[[|/footnote]][[|footnote]]GPS装置等によってSCP-XXX-JP-1を追跡する試みは失敗に終わっています。[[|/footnote]]。その後被験者は第4回目の衝突時まで、SCP-XXX-JPを通りたいという欲求を示し、出来うる限り毎日SCP-XXX-JPを通行しようとします。この状態の被験者はクラスB記憶処理によって完治が可能です。
被験者とSCP-XXX-JP-1の衝突時の衝撃は回数を重ねるごとに強力になります。これについては下記の表を参照してください。
衝突回数 |
衝突時の衝撃 |
1回目 |
通常の体格の人間が10km/hで衝突する力とほぼ同等の衝撃力。個人差にもよるが被験者は擦り傷、軽い打撲を生じる。 |
2回目 |
一般的な家庭用自転車が20km/hで衝突する力とほぼ同等の衝撃力。被験者は多くの場合打ち身や捻挫、場合によっては骨折を生じる。 |
3回目 |
一般的な軽自動車が40km/hで衝突する力とほぼ同等の衝撃力。ほぼ全ての場合において被験者は軽度から重度の骨折および内出血を生じる。 |
4回目 |
一般的な平ボディ軽トラックが60km/hで衝突する力とほぼ同等の衝撃力。被験者は重度の骨折や内臓破裂を生じるが、現在までこの段階での被験者の死亡は確認されていない。 |
5回目 |
測定不能。この衝撃によって発生する余波が膨大なものと推測されているにも関わらず、余波は計測されていない。 |
被験者は4回目の衝突を経験した場合、SCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-1に対して消極的な反応を示し、出来うる限りSCP-XXX-JPを通行しないよう試みます。被験者へのインタビューを行ったところ全員が「SCP-XXX-JPと喧嘩別れをした」という旨の供述を行っており、このことが原因であると推測されています。
SCP-XXX-JPを用いた実験記録は下記を参照してください。
実験記録XXX-1
対象: D-XXX1(20歳/衝突1回目)
実施方法: 交差している4つの道路のうち向かい合った2つを厚さ50cmのコンクリート壁によって封鎖し、D-XXX1をSCP-XXX-JP交差点に進入させる。これによってSCP-XXX-JP-1の出現の抑制が可能であるかを実験する。
結果: SCP-XXX-JP-1はコンクリート壁を無傷で粉砕し、D-XXX1と衝突した。D-XXX1との衝突時の衝撃は通常のものと同等のものであった。
分析: SCP-XXX-JP-1はコンクリート壁を無傷で破壊したにも関わらず、D-XXX1との衝突時には通常通りの衝撃であったことからSCP-XXX-JP-1ではなくSCP-XXX-JP自体の影響によってコンクリート壁が破壊されたと考えられる。
いわゆる恋する乙女のパワー、というものでしょうか。―██研究員
実験記録XXX-2
対象: D-XXX2(21歳/衝突1回目),D-XXX3(21歳/衝突1回目)。2人の女性に対する趣向はかなり異なっている。
実施方法: 2人同時にSCP-XXX-JP交差点に進入させる。SCP-XXX-JP-1が同時に2体以上出現するかを実験する。
結果: SCP-XXX-JP-1は1体のみ出現し、D-XXX3に衝突。D-XXX2には何も起こらなかった。
分析: SCP-XXX-JP-1は進入した男性が2人以上存在する場合でも1体のみしか出現しないことが判明した。また、確認されたSCP-XXX-JP-1の容姿が事前に行ったアンケートの回答結果と比較してD-XXX3の趣向に近いことから、D-XXX3が被験者として選択されたと考えられる。
また、D-XXX2には軽度の鬱症状の傾向が見られる。
追加でサイト勤務者への調査を行ったところ、D-XXX3の方が客観的に容姿が良いという結果になりました。この結果とSCP-XXX-JP-1がD-XXX3を選択したという事実との因果関係は不明です。ー██研究員
実験記録XXX-3
対象: D-XXX4(19歳/衝突5回目)
実施方法: 4回目の衝突を行った被験者をSCP-XXX-JP交差点に進入させ、反応を記録する。
結果: [編集済]。詳細は音声記録XXXを参照してください。
<録音開始>
██研究員: それでは実験を始めます。D-XXX4、交差点内へ進入してください。
D-XXX4: なぁ、やっぱ俺……嫌だよ。彼女に嫌われたに違いないんだ。もう会いたく……
██研究員: D-XXX4、これはあなたの慰安旅行ではなく正式な実験です。指示通りにしてください。
D-XXX4: わ、わかったよ……進む、進むからさ。
[D-XXX4がSCP-XXX-JP交差点に進入。SCP-XXX-JP-1は出現せず。]
██研究員: 何か異常なことはありませんか?
D-XXX4: 何も無いよ。彼女もいない……やっぱり俺に愛想を尽かしたんだ。クソッ、俺は彼女になんてことを……。
██研究員: D-XXX4、それ以上実験と関係の無い発言をしたら強制終了を行います。周りの状況を詳しく説明してください。
D-XXX4: 何も無いって!特に何の異常も……何も無い。ただの交差点だ。
██研究員: そうですか……実験を終了します。速やかにその場から離脱してください。D-XXX4。
D-XXX4: ああ……もうここには二度と……うん?なんだありゃ……。
██研究員: どうしました?D-XXX4。
[SCP-XXX-JP-1が被験者から見て右の道路から出現。非常にゆったりとしたスピードで走っている。]
D-XXX4: えっ……!?な、なんで。なんでここに!?
SCP-XXX-JP-1: 先輩!私、間違ってました!私やっぱり先輩とじゃなきゃダメなんです!それなのに私あんな酷いことを言って……。
D-XXX4: 俺の方こそごめん!そっちの気持ちも考えずにあんな酷いことを言って……もう、会えないかと思った![D-XXX1がSCP-XXX-JP-1に向かって走り出す。]
██研究員: D-XXX4!?戻りなさい!D-XXX4!
SCP-XXX-JP-1: 先輩!先輩もう私!絶対に離れない!私たち、ずっと一緒です!ずっとずーっと!離れません!絶対に!
D-XXX4: あぁ!ずっと一緒だ!絶対に離れない!俺たちは1つになるんだ!
SCP-XXX-JP-1: 先輩……嬉しいです!私、先輩とぎゅーってしたいです!抱きしめてほしいです!ずっと離さないで欲しいです!
D-XXX4: あぁ、いいぞ!胸に飛び込んできてくれ!俺たちが出会った時みたいに!もうずっと一緒だ!
[D-XXX4とSCP-XXX-JP-1が衝突。凄まじい衝撃音が発生し音声機器が破壊される。]
<録音終了>
終了報告書: D-XXX4とSCP-XXX-JP-1の肉体は「ミキサーにかけられたよう」と形容されるほどに粉砕し、肉体が文字通り1つになっていました。D-XXX4は死亡。特筆すべき点としてSCP-XXX-JP-1のものと思われる肉体からはDNAなどの個人の特定が可能な情報物質が検出されませんでした。今回は被験者の死亡、そしてSCP-XXX-JP-1の消失が確認されなかった唯一の例ですが、SCP-XXX-JP-1の死体から情報が得られない以上、これ以上の5回目の衝突は行うべきでないと思われます。また、その後の実験においても新たなSCP-XXX-JP-1の出現が確認されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、何も着用していない状態で施錠された一般的な鉄製のコンテナに収容してください。実験などの目的でSCP-XXX-JPを持ち出す際にはセキュリティレベル2の職員2人以上の許可が必要です。
説明: SCP-XXX-JPは身長180cm,スリーサイズがB70cm/W65cm/H75cmの一般的な木製のマネキン人形です。SCP-XXX-JPは非活性化状態では一般的なマネキンと変わりませんが、SCP-XXX-JPに何らかの衣服を着用させることによって活性化します。SCP-XXX-JPは明らかに身の丈に合わない衣服でも問題なく着用することができます。
SCP-XXX-JPは衣服を上下に着用した場合活性化し、自立した意思を持ち、自らの意志で身体を動かすことが可能となります。この時発現する意思は、SCP-XXX-JPの着用している衣服の種類によって変化します[[|footnote]]例として、男性ものの衣服ならば男性に、女性ものの衣服ならば女性の意思が発現します。[[|/footnote]][[|footnote]]この時、着用する衣服から感じ取ることのできる年齢によってSCP-XXX-JPの精神年齢も変化します(これは非常に主観的なもので、明確な基準は判明していません)。[[|/footnote]]。しかしながら、これらの意思は記憶や思想を共有しています。SCP-XXX-JPは発声器官や聴覚器官などを持っていないにも関わらず問題なく会話を行うことが可能であり、会話による他者への影響などは確認されていません。
SCP-XXX-JPは、自らのことを「スーパースター」であると認識しており、自分はファッションショーを行っている最中であると説明します。そして衣服の着用からおよそ5分後に「楽屋入り」と称して衣服の脱衣を行い、以降12時間は衣服を着用させても活性化をしません。そのためSCP-XXX-JPにインタビューを行う際は、これらのシチュエーションを考慮したうえで行うことが推奨されます。また、SCP-XXX-JPが活性化状態にあるとき、SCP-XXX-JPを目指した人間はSCP-XXX-JPそのもの、および着用している衣服に対して「非常に美的かつ高価である」といった印象を持ちます。これが何らかのミーム的な影響によるものなのかは不明です。この特性から、SCP-XXX-JPにインタビューを行う際は必ず必要最低限の人数で行ってください。
SCP-XXX-JPは、埼玉県██市にあるファッションショップ「████」の店主の「マネキンが喋った」という通報を財団のエージェントが傍受したことにより発見、収容されました[[|footnote]]インタビューによって、通報の直前まで店主はSCP-XXX-JPに対して上半身の衣服しか着用させていなかったと供述しているため、活性化しなかったと推測されています。[[|/footnote]]。このとき店主および周りの客にはAクラス記憶処理が施され、カバーストーリー「過労による幻覚および幻聴」が施行され、問題のないマネキンに差し替えられました。その後ファッションショップ「████」は現在財団の監視下にあります。
以下はSCP-XXX-JPに対するインタビュー記録です。
インタビュー記録
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員
付記: このときSCP-XXX-JPは一般的な女子高校生が着用するブレザーを着用している。このインタビューはSCP-XXX-JPの精神年齢を下げることによって情報の聞き出しを容易にする試みで実施されたものである。
<録音開始>
██研究員: それではインタビューを開始します。少しばかりお時間を頂いても大丈夫でしょうか。
SCP-XXX-JP: 構わないわよ、スーパースターはみんなに等しく、ね?
██研究員: ありがとうございます。それではあなたの本名を教えていただけますか?
SCP-XXX-JP: それは秘密よ。芸能人だって今時は偽名を使うでしょ?どうしてもっていうなら事務所を通してね。
██研究員: わかりました……では、他にこのファッションショーに参加されている方はいらっしゃるのですか?
SCP-XXX-JP: 当然よ。みんな素敵な服を着こなして会場のみんなを楽しませてるわ。
██研究員: みんな、とは誰のことでしょうか。
SCP-XXX-JP: あら、見たことがないの?彼や彼女らはみんないろいろな服を着て、街角のウィンドウで人々を魅了してるわよ。
██研究員: それはつまり、あなたのような存在が他にも存在する、と?
SCP-XXX-JP: 他のみんなは私みたいに喋ることはできないみたいだけどね、それに服を着こなすことに関しては私の右に出る子はいないわ。
██研究員: そうですか……先ほど事務所とおっしゃいましたが、事務所の名前等をお伺いしてもよろしいでしょうか。
SCP-XXX-JP: ごめんなさい、もう楽屋に戻らないと……じゃあ、またね。
<録音終了>
終了報告書: インタビューの内容から、SCP-XXX-JPは他のマネキンに関して何らかの方法によって知覚していることが確認されました。また、インタビュー中に対象が発言した「事務所」に対して情報を得るために更なるインタビューを行うことが推奨されます。
これに引き続き、さらなるインタビュー(SCP-XXX-JPに██小学校の制服を着用させて行われた)の結果判明した事務所の電話番号や住所といった情報を元に捜索が行われ、その結果SCP-XXX-JPは█████氏の手によって作成されたことが判明しました。また、█████氏が作成したマネキンの調査を行いましたが、異常性があるのはSCP-XXX-JPのみであることが判明しています。しかしSCP-XXX-JPがこれらのマネキンから何らかの情報を得ている可能性が高いため、これらのマネキンも同様に保管されます。█████氏についても同様に調査が行われていますが、消息に関する情報を得る試みは失敗に終わっています[[|footnote]]「事務所」と呼称されていた場所は廃屋であり、建物の状況や周囲に民家が無いことから情報収集は困難です。[[|/footnote]]。
補遺XXX-1: ファッションショップ「████」の売上帳簿を参照したところ、SCP-XXX-JPの収容後の売上が収容前に比べておよそ40%減少していることが判明しています。これがSCP-XXX-JPによるものなのか、財団が介入した結果によるものなのかは不明です。
補遺XXX-2: 追加の実験によって、SCP-XXX-JPに着用されている物体およびSCP-XXX-JPを構成している物質は、SCP-XXX-JPと物理的接触を行っている時間に比例してその物体の客観的価値が高騰することが判明しました[[|footnote]]これには酸素や窒素などの物質は含まれません。[[|/footnote]]。そのため可能な限り実験に用いる衣服は可能な限り異なる繊維質で作られたものを用いてください。
また、前述の特性からSCP-XXX-JPを構成している[編集済]木の国際取引価格が高騰しています。そのため、今後の国際経済への影響の懸念からSCP-XXX-JPの破壊が██博士より提言されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: SCP-XXX-JPはある集合住宅の一室を形成する移動性の空間です。SCP-XXX-JP空間内にSCP-XXX-JP-1と分類される特定の人物が存在する場合に活性化します。活性中、SCP-XXX-JPは空間的に物体を透過しつつ移動しながら、近付いた人間を空間内に取り込みます。空間内に取り込まれた人間は既存を人格を喪失し、特定の新たな人格を得た上でSCP-XXX-JP-1とのコミュニケーションを開始します。特定の人格を得た人間はSCP-XXX-JP-2に分類されます。
これまでに9体のSCP-XXX-JP-2が同時に存在し得る結果が確認されており、それらはそれぞれが異なる人格と個性を持ちます。SCP-XXX-JP-1がSCP-XXX-JP空間から退出する事で異常は非活性化し、SCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-2の媒体となった人物は元の場所へと瞬間的に転移します。その際、人物は元の人格を取り戻しますが自分がSCP-XXX-JP-2であった記憶は有していません。
これまでのSCP-XXX-JP-1とSCP-XXX-JP-2との会話記録から、SCP-XXX-JP-2は個体毎に個性が異なるものの、出現に人格の個性とSCP-XXX-JP-1との関係に準じた一定の法則性があると考えられています。
現在までに確認されたSCP-XXX-JP-2個体とそれぞれのSCP-XXX-JPとの関連性については、下記の表を参照して下さい。
個体名 |
SCP-XXX-JP-1との関係 |
SCP-XXX-JP-2-a |
内容 |
SCP-XXX-JP-2-b |
内容 |
SCP-XXX-JP-2-c |
内容 |
SCP-XXX-JP-2-d |
内容 |
SCP-XXX-JP-2-e |
内容 |
SCP-XXX-JP-2-f |
内容 |
SCP-XXX-JP-2-g |
内容 |
SCP-XXX-JP-2-h |
内容 |
SCP-XXX-JP-2-i |
内容 |
補遺: ひのけんハウスはもえるよ
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、なんかその辺の適当な外から見えない箱に入れて鍵でロックしといてね。
説明: これは木彫りの十字架なんだけど、これを見るとその人物は「比喩的表現」ができなくなるよ。
補遺: この十字架とともに発見されたメモに英語で「日本の奴らは何でも神様神様とかつけやがる!なーにが八百万の神だ!そんなもん認めないもんねーバーカバーカ!(意訳)」って書かれてたんだけどだからってアンタやりすぎでしょうよ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 人間の思考の中に存在するから収容は不可能だよ。どうしろってんだ。
説明: 全ての人間の思考の中に存在する架空(?)の県だよ。場所とか名前はその人間によって変わるよ。被験者に全ての都道府県の数を数えさせても██県を含めた48個の都道府県を数えるにも関わらず「1都1道2府43県」と認識するよ。怖いね。
補遺: インタビュー記録とかさ、そういうの。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の低危険物収容ロッカーに収容されます。SCP-XXX-JPを用いた実験を行う場合はレベル2セキュリティクリアランス職員2名に許可を得てください。また、実験を行う際には必ず防護スーツを着用したDクラス職員を用いてください。
説明: SCP-XXX-JPは一般的な20gのチューブ型の容器に入った、白色の軟膏薬に見えます。成分の分析はその特異性のため失敗に終わっています。1ケースに6本のチューブが内包されており、財団は現在7ケースのSCP-XXX-JPを収容しています。パッケージには「なんでも完全修復材」と表記されています。このため一般的な軟膏薬とSCP-XXX-JP容器の判別は容易です。SCP-XXX-JP内容物を何らかの物体または人体に対して塗布した場合、異常性が発生します。
SCP-XXX-JPを塗布した対象が何らかの人的要因によって破損、あるいは何らかの価値が損失していた場合、塗布した量にかかわらずおよそ20分で人為的に損失した箇所が修復され、塗布したSCP-XXX-JPは消失します。これはあくまで人為的な損失によってのみ発生し、他の動物や自然などによって発生した損傷などには効果がありません[[|footnote]]例えば、人間によって囓られた林檎に対してSCP-XXX-JPを使用した場合は修復プロセスが発生しますが、他の哺乳類によって囓られた林檎に対しては効果はありません。[[|/footnote]]。また実験によって複数の人工物に塗布した結果、修復された物品と修復されなかった物品それぞれに分かれたため、これらの修復プロセスに関する何らかの定義が存在するか、あるいはSCP-XXX-JPそのものに自我が存在すると推測されています。
SCP-XXX-JPを用いた実験記録は下記を参照してください。
実験記録抜粋XXX-1
対象: D-XXX1によって果肉のおよそ半分が摂食された林檎280g(摂食前の重さ)。またD-XXX1には事前に摂食した果肉を別皿に吐き出させておく。
実施方法: 林檎にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 塗布から20分後に林檎は完全に修復した。また、別皿の果肉を確認したところ、消失や変化はなかった。
分析: ほぼ予想通りの結果になった。また切り離された果肉に何の変化も見られなかったことから、SCP-XXX-JPの修復プロセスは物質の転移等によるものではなく質量保存の法則を無視した何らかの働きによるものであると推測される。
実験記録抜粋XXX-2
対象: 市販の爪楊枝1本
実施方法: 対象にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 特に変化なし。
分析: 爪楊枝が材木を人為的に加工し作られた物であるにも関わらず原料の材木への修復プロセスが発生しなかったことから、SCP-XXX-JPに自我が存在すると仮定して、恐らく「損なわれた」ではなく「価値が付加された」と判断されたと推測される。
実験記録抜粋XXX-3
対象: タイヤのパンクした軽自動車1台
実施方法: タイヤにSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: タイヤは新品同様の状態にまで修復された。また、車の保有者であるエージェント・██の過去の不注意によって生じていた車体の塗装の剥離も同様に修復された。
分析: タイヤに塗布したにも関わらずタイヤのみでなく車体も修復されたことから、タイヤをそれ単体ではなく車の部品として扱っていると思われる。
実験記録抜粋XXX-4
対象: タイヤの前輪を取り外した軽自動車1台
実施方法: 自動車の車体部分にSCP-XXX-JPを塗布する。
結果: 前輪部分に新品のタイヤが出現。
分析: SCP-XXX-JPに
実験記録抜粋XXX
対象:
実施方法:
結果:
分析:
実験記録抜粋XXX
対象:
実施方法:
結果:
分析:
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその特性から、新たに発生したSCP-XXX-JPの周囲にその都度収容サイトが建設されます。収容サイトを建設する際、SCP-XXX-JPは鋼鉄を用いた15m×15m×15mの収容室によって覆ってください。SCP-XXX-JPを視認することは可能な限り防がれるべきです。SCP-XXX-JPの収容に関わる人材は極力、事前に情報を与えたDクラス職員が用いられます。フェーズ2まで進行した被験者を発見した場合は対応したクラスの記憶処理を行ってください。また、フェーズ3の被験者は発見した場合、速やかに終了措置を行ってください。フェーズ4と見られる被験者を発見した場合、拘束した上で速やかに財団指定箇所へ隔離してください。
説明: SCP-XXX-JPは日本各地に存在する複数の2m×2m×2mの立方体の異常空間です。
SCP-XXX-JP内に合計3分間以上滞在した、またはSCP-XXX-JPそのものを合計3分間以上視認した人物(以下、被験者と表記)は、"正常"と"異常"という感覚に対しての認識汚染を発症します。段階によって被験者の認識汚染は強くなり、最終的には例外無く自殺によって死亡します。SCP-XXX-JPと一般的な空間との違いは光景として区別することはできませんが、SCP-XXX-JPに曝露した被験者はフェーズ4を除き、SCP-XXX-JPの範囲を"異常である"と認識します。これによってSCP-XXX-JPの大きさを特定することに成功しています。また、SCP-XXX-JPを写真、あるいは映像などで目視した場合は異常性は発現しません。
被験者の認識汚染の段階については下記の表を参照してください。
汚染の段階 |
発症期間 |
概要 |
フェーズ1 |
72時間 |
SCP-XXX-JPに汚染された直後の段階。被験者は"正常"や"異常"という言葉、またそれらに関する話題に関して嫌悪感を示すようになります。調査の結果、被験者は軽度の強迫性障害を発症していることが明らかになっています。この段階ではクラスA記憶処理が有効です。 |
フェーズ2 |
48時間 |
フェーズ1にて、記憶処理を行わなかった場合にフェーズ2へ移行します。被験者はフェーズ1と一転して"正常"や"異常"に対して異常な程の興味を示し、周囲の人物に対してそれらの言葉についての疑問を積極的に提起し、それを拒否した場合傷害を負わせるケースも確認されています。この段階はクラスC記憶処理によって治療が可能です。 |
フェーズ3 |
61時間 |
フェーズ2にて、記憶処理を行わなかった場合にフェーズ3へ移行します。被験者は自らの"正常"と"異常"の区別が曖昧になり、しばしばそれらを混同するようになります。例として、被験者はライターの火や重力などに対して「異常である」という印象を持ちます。また、過去に誤って被験者がSCP-███-JPの収容違反に居合わせた際、被験者はSCP-XXX-JPの明らかに異常な特性に対し、「異常である」といった印象は持たず、「むしろ正常な光景だった」とインタビューで回答しています。この段階から、記憶処理による治療は効果を示しません。 |
フェーズ4 |
無期限 |
この段階では、被験者はほぼ全ての事象を「異常である」と認識します。これには自身の身体も含まれており、結果として多くの場合被験者は自分の体への嫌悪感から自殺を試みます。この段階の被験者は如何なる手段を用いても未知の理由によって他人の手によって殺害することが不可能になり(footnote)刃物などで被験者の体を傷つけることはできますが、明らかな致命傷を与えても被験者は生存し続けます。(/footnote)、必然的に被験者の死因は自傷などによる自殺となります。この段階で被験者を治療するための如何なる試みも失敗に終わりました。また、フェーズ4に到達した被験者がSCP-XXX-JPに接触することは如何なる手段をもってしても妨害されます。 |
フェーズ4の被験者が自殺した場合、被験者が自殺した場所に新たなSCP-XXX-JPが形成されます。この時被験者の死体そのものに異常性はありません。この特性から、フェーズ4に至った被験者は発見され次第財団指定箇所に隔離され、可能な限り延命処置が行われます。
被験者へのインタビュー記録は下記を参照してください。
インタビュー記録
対象: フェーズ4に移行したD-XXX1(23歳 女性)
インタビュアー: ██博士
付記: 対象の自殺を防ぎ精神状態を安定させるため、あらかじめ被験者は拘束され精神安定剤を投与されている。本インタビューの趣旨は被験者との意思疎通が可能であるか、また被験者の精神状況の分析である。
<録音開始>
██博士: それではインタビューを開始します、大丈夫ですか?██さん(D-XXX1の本名、被験者への精神負荷を抑える目的で発言されたものと思われる)。
対象: は、はい……その、だいじょ、大丈夫です、はい。
██博士: 私の声が理解できるようですが、異常に感じるとは具体的にどのようなものなのですか?
対象: その、なんというか、ただただ異常なんです。この床も、椅子も、私自身も、あなたの声も空気も全てがい、異常なんです……。
██博士: ごめんなさい、もう少し詳しくお願いします。
対象: そ、その、形が変わったとか、臭いが変とかじゃないんです、た、ただ異常なんです……。なんだか私の知っている世界じゃ無いような気がして……そ、その、怖いんです……。
██博士: ……つまりこの世界はあなたの知る世界ではない、と?
対象: そんなかん、感じです……この世界は異常なんです……私も含めて……私も、異常なんです。異常、正常じゃない……
██博士: ……██さん?
対象: 正常、異常?あぁ、正常に戻りたい……あの場所へ、あの場所へ帰りたい……正常なあの場所へ……正常、異常、正常……異常は嫌だ……嫌……
██博士: ██さん?あの場所とはなんです?██さん?
対象: 嫌、異常な私は嫌……正常な私は、異常、あぁ……嫌……嫌……[被験者は一瞬の痙攣の後うなだれる。舌を噛み切ったものと思われる。]
██博士: ██さん?██さん!?警備員を部屋に入室させてください、早く!
<録音終了>
終了報告書: D-XXX1は治療を行ったにも関わらず死亡した。被験者が死亡した箇所には速やかに収容室が建設され、関わった人員には全てクラスA記憶処理が施された。フェーズ4に到達した被験者との会話は可能であるもよう。また、カウンセラーの鑑定の結果被験者は重度の強迫性障害を発症していることが明らかになった。インタビュー中にD-XXX1が発言した「あの場所」とは恐らくSCP-XXX-JPのことであると推測される。
現在財団が存在を把握、収容しているSCP-XXX-JPは137箇所ですが、SCP-XXX-JPの自己複製の特性、そして見分けのつかないその性質から現在未収容のSCP-XXX-JPはおよそ██箇所存在すると見られています。これにより、将来的にAK-クラス世界終焉シナリオが発生する可能性があります。しかし現在財団の努力にも関わらず、全てのSCP-XXX-JP及び被験者の発見は依然として困難となっています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは太平洋上に建設された収容エリア-81██内の高セキュリティ人型オブジェクト収容室に収容されます。収容室内への立ち入りは食事の提供、清掃のためのDクラス職員のみに限られます。また、収容室内の監視を24時間体制で常に2人の職員によって行ってください。SCP-XXX-JPの精神状態を把握するため、定期的に別室からマイクを用いて精神鑑定を行ってください。また、SCP-XXX-JPと接触する職員はSCP-XXX-JPに対して極力不快感を与えるよう努力してください。SCP-XXX-JPの担当職員は別冊のマニュアルを熟読してください。
説明: SCP-XXX-JPはおよそ20代と見られる、一般的な日本人男性です。身体能力などに異常はなく、身体計測では一般的な数値を示し、IQテストではIQ97を記録しました。
SCP-XXX-JPの異常性は、SCP-XXX-JP自身の深層心理における欲求や欲望を阻害する形で発生する現実改変作用であると推測されています(footnote)例として、SCP-XXX-JPの深層心理上で「文字を書きたい」という欲求が生じた場合、筆記用具の破損や指の骨折などによって筆記の試みに失敗します。(/footnote)(footnote)SCP-XXX-JPの生命維持に関わる要素に関しては現実改変は行われません(例として食事を摂りたい、呼吸をしたい、生きたいなど)。(/footnote)。この作用については客観的な予測が困難であり、現在も研究が行われています。実験により、この現実改変作用の効果範囲はSCP-XXX-JPを中心とした半径およそ13kmの円内と推測され、この作用はSCP-XXX-JP自身の意思に関係なく発生することが確認されています。
SCP-XXX-JPは現在職員及び財団に対し非常に反抗的であり、結果としてそれが現場職員の安全に繋がっています。このため、出来うる限りSCP-XXX-JPを反抗的にするよう、財団の精神カウンセラーによって努力が行われています。
SCP-XXX-JPは収容当初非常に温厚な性格であり、深層心理において周囲の被害を望まない傾向があったため、収容施設には甚大な被害が発生していました。そのため太平洋上に収容のためのエリアが急遽建設され、Keter級指定オブジェクトとして収容されていました。しかし依然として収容施設や現場職員の損失が激しく、収容維持が困難な状態が続いていました。
そのため、当時の収容担当である██博士の監修の下、SCP-XXX-JPに対して大幅な記憶処理および記憶改変処理が行われました。
結果として、SCP-XXX-JPの性格の改変に成功し、SCP-XXX-JPは現在のような非常に攻撃的かつ反抗的な性格となりました。これにより、収容設備の故障や人員損失などが発生しなくなったため、SCP-XXX-JPのオブジェクトクラスはKeterからEuclidに格下げされました。
現在SCP-XXX-JPに異常な反応は見られませんが、我々は記憶処理は万能ではないことを留意するべきです。SCP-XXX-JPは常に心理状態を把握されるべきであり、SCP-XXX-JPの記憶が戻ることはいかなる手段をもってしても妨げられるべきです。
それは突然に起こった。いや、この世界の出来事は大半が突拍子もないものであることは十分に理解しているはずだ。財団に所属している者ならば尚更。
今からほんの――私の感覚が正しいのであれば――2時間ほど前、私はエージェント・育良のSCPオブジェクト収容任務を補助する形で2人で行動を行っていた。オブジェクトの異常性が完全には解明されていない以上、曝露した場合などに備えてカメラ、録音機器、GPS装置を装備させた上で少数派遣する方法を財団はとっていた。
今回収容するSCPオブジェクトは山中に存在したため、ヘリで目標地点付近の開けた場所に着陸、そこから徒歩で向かい、収容するという計画だった。
それらの要素が災いしたのか、私たちは目標地点に向かう途中、正体不明の集団から襲撃を受けた。もちろん私たちは出来うる限り応戦した。
しかし不可能だった。いくらエージェントとしての身体能力や十分な装備があろうとも、数の暴力の前には膝を地に着かせる以外の選択肢は無かったのだ。彼らが要注意団体なのかどうかはわからなかったが、わざわざこんな山奥で私たちを待ち伏せしていたということは何か私たちを狙う理由があるはずなのだ。故に、私たちのことを簡単には殺せない。育良もそれを理解しているらしく、私たちは一転して彼らの指示に従った。
装備を放棄し、カメラ、録音機器、GPS装置も惜しげなく捨てた。これらの機器はリアルタイムで財団に情報が送られているため機器自体を破壊されても何ら問題は無いし、私たちの体の中にはGPS装置が埋め込まれているため、「いかにも」なGPS装置はデコイとしての側面が強いからだ。
勿論それだけで首を縦に振る彼らではない。武器を隠している恐れがあるからか衣服を無理やり脱がされ、私たちは生まれたままの姿を冬の冷風に晒すこととなった。自分たちの助かる可能性を考慮すれば、羞恥心など些細なものだった。
そこまでしてようやく彼らは私たちに目隠しと耳栓を施し、バンに乗せてどこかへ走り出した。その間私はひたすらに体内時計を狂わさないように意識した。視覚と聴覚が頼りにならない今、時間感覚までも失うわけにはいかなかったからだ。
かくして私は今、椅子と共に何処とも知れない、いかにもな打ちっ放しコンクリートの部屋に閉じ込められている。腕や足は椅子に繋がれており、肌に食い込む鎖が自由は無いということを強調している。目の前にはそれなりに屈強な男が3人立っており、そのどれもがロクでもない人生を送ってきたような顔をしている。
「……先に言っておきますが、私はしぶといですよ」
あえて挑発するよう言葉を選んで言う。相手がどんな情報を欲しているかを推測するためだ。その情報を言わない限り、恐らく殺されることは無い。それにしぶといというのも嘘ではない。
「今年もあともう少しで終わりですねぇ」
ウキウキという擬音が聞こえてきそうな、しかしどこか生気が抜けたような日野博士の声がサイト-8181の食堂の一角から聞こえる。
いつもは午後10時きっかりに閉まるはずの食堂は、年明けをサイトで過ごす職員への配慮か、はたまた料理長の怠惰のためか、未だ文明の光に満ちていた。
当然だが娯楽の少ないサイトでは、基本的に職員は談話室か食堂に足を運ぶことが多い。この夜もまた、例外ではなかった。
食堂内は様々な職員で賑わい、中には酒を嗜む者もいる。
『特に目立った収容違反も無く、平和な1年でしたねぇ』
その声を受けて、机に置かれている本―神宮寺博士の"肉体"に文字が浮かび上がる。
いつもならば軽々しく「平和」などと口にしないであろう神宮寺が自らを戒めない理由は、その肉体に染み渡った濁る液体を見れば明らかだろう。いつもならそれを咎めるであろう真家研究助手の姿はそこにはない。
「気を抜いてはいけませんよ、収容違反はいつ起きてもおかしくないんですから」
浮かれ気味の2人を諭すのはソファに置かれているバスケットボール……のカバーを被った宇喜田博士だ。
ぴょんぴょんと可愛らしく、見方によってはかなりシュールに跳ねながら続ける。
「オブジェクトに大晦日という概念はありませんから、常に気を引き締めていないと」
恐らくは2人を咎めるための言葉なのだろうが、言葉の端から滲み出る隠しきれない高揚感が台無しにしてしまっている。実際、当の宇喜田は小躍りするように体を小刻みに揺らしているのだ。
「あぁ、申し訳ありません」
日野は茶を啜りながら控えめな笑顔で謝罪をするが、こちらもまた頭頂部にある「耳」が彼女の気持ちを代弁するかのようにピクピクと動くため高揚感を隠しきれていない。
今年度の日本全体の収容サイト及びエリアにおける収容違反の発生件数は、職員各位に情報として知らされているだけでSafeクラスが6件、Euclidクラスが2件、Keterクラスオブジェクトに関しては0件である。さらに収容違反における死亡者は0人。けが人こそ出たものの、重症患者や甚大なミーム汚染などもなく全員が職場に復帰している。
これらはもちろん、現場の博士や機動部隊の迅速な対応あってこその結果であるが、20██年は結果的にそれそのものが異常と言える程の平穏な1年となった。
1年を通して誰1人として死んでいないという事実は、財団職員を多少なりとも浮かれさせるには十分な要素であった。それに大晦日特有の雰囲気も合わさって、食堂の中にいる職員の顔は皆一様に笑顔である。
「でも、SCPオブジェクトもきっと今日は収容違反をお休みしてくれますよ」
言いながら、収容違反という言葉を冗談として使えるようになった自分に対して、そこまで財団という存在に慣れきってしまったのかと日野は自嘲にも似た感情を覚える。同時に、気が緩みすぎている事を自戒する。自分が来年度1番目の死者になってしまっては世話がないのだ。
「だといいのだがね、失礼するよ」
その言葉が聞こえたのと、片手に酒の入ったグラスを、もう片方の手に火のついた煙草を持った大和博士が同意も得ずに4人掛けテーブルの空いた席に座ったのはほぼ同時だった。
彼も他の職員の例に漏れず、目にした者を不快にしかさせないような笑みを顔に浮かべている。
「おや大和博士、今日はお早いですね」
だが、この場所に彼を不快の権化のような表情で迎える者はいない。宇喜田博士は相も変わらずワクワクを隠そうともしない語調で大和に話しかける。
「件の報告書は全て提出し終えたからね、今日はもう晴れて自由の身というわけさ」
「相変わらず仕事の腕は良いんですねぇ……」
「日野くん、煽りにしては少々嫌味たらしさが足りないね?」
『人を煽ることに関して大和博士の横に並ぶ人はそうそういませんよ』
他愛のない会話から、また他愛のない会話へと話題が移り変わってゆく。彼らにとって日常の一コマに過ぎないその光景は、傍から見れば奇妙なことこの上ないものだった。
獣の耳をが生えた不健康そうな女
ぴょんぴょんと跳ねるバスケットボール
勝手に文字が浮かび上がるうえに飛ぶ本
何回殺しても死なない嫌われ者
これらの存在がサイトの一角で楽しく談笑しているというのは、数々の異常を(少なくとも一般人よりは)目にしている財団職員にとっても異常な光景として目に映るであろうことは言うまでもない。
だがその異常な空間は、彼らにとって非常に居心地の良いものであった。少なからず人と違う部分が存在する彼らにとって、自分と同じように異常な"ヒト"の存在は自身に安堵と安心感を与える一種の薬の役割を果たしている。
故に、このメンバーが集うことは珍しいことではなかった。時には日の休憩時間、時には食堂での昼食時、そして大晦日である今日も例外ではなかった。
「……年が、明けますね」
宇喜田がそう言うのとほぼ同時に、食堂のテレビに映るバラエティ番組ではカウントダウンが始まった。食堂内でも同様にカウントダウンが始まる。
5
4
3
2
1
「あけましておめでとうございます!」
いの一番に日野が口を開いた。普段の彼女からはあまり考えられない、通った声に押されるように宇喜田が口を開く。
「あけましておめでとうございます」
神宮寺博士の肉体に規則正しく綺麗な文字が浮き出る。
『明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします』
全員が言ったのを確認してから、大和博士が9割9分の嫌味と、ほんの少しの歓喜を含んだ笑顔で言う。
「諸君、あけましておめでとう」
少なくとも今、この瞬間だけは、彼らは他の人々と共に心から新年を祝うことができた。
同時刻、エージェント・カナヘビは水槽の中からせわしなく機械のアームを操作していた。
「はぁ~年も明けたちゅうんにお年玉の代わりに書類の山……応えるわぁ」
普段から書類の相手をすることが多いカナヘビだが、こうも大量の書類を相手にするとなると自然と愚痴がこぼれる。
オブジェクト収容のための費用の総額、人事部からの人材調達の進捗、人員配置変更の要請……年度末に提出された書類を一つ一つ丁寧に、かつ素早く捌いてゆく。与えられた情報を頭に詰め込みながら思考を巡らせる。長年この仕事に従事しているカナヘビには手馴れた作業だ。
そんな彼の目に留まる資料があった。その資料は毎月提出することが義務化されているため特に真新しいものではないのだが、彼は意図せずにその書類を凝視してしまう。そしてまた彼は人知れず憂えるようにため息をついた。
「大丈夫なんかいな……ほんまに」
本資料をセキュリティクリアランス4未満の職員が閲覧することを禁ず。
[財団における人型、及び有知性SCPオブジェクトの職員としての試用実験について]
対象: SCP-███-JP,SCP-███-JP,SCP-███-JP,SCP-███-JP(現 大和・von・Bismarck,宇喜田 啓臣,神宮寺 綴,日野 千春)
実施方法: 記憶処理が有効であると判断された人型、有知性SCPオブジェクトに対して高度の記憶処理を施し、日本支部職員としての記憶を植え付けた上で日本支部職員として一時的に採用し、経過を観察。SCPオブジェクトの運用が可能であるか、財団にとって有益となるかを実験する。この実験については日本支部理事4名が承認済みである。
20██年12月における経過報告 4体共に特に異常のある行動は見られなかった。しかし、SCP-███-JP(現 大和・von・Bismarck)に関しては少々財団員の規範から逸れた行動が見られるため、引き続き監視を強化する必要がある。4体が度々集会を行っている様子が見られるが今のところ問題はなし。
成果: 12/3、SCP-███-JP(現 宇喜田 啓臣)がSCP-███-JPの収容方法を確立。これによってSCP-███-JPの収容コストが23%カット、人員的損失がおよそ58%カットされました。
12/14、SCP-███-JP(現 日野 千春)によって新たにSCP-███-JPが発見、収容されました。これについては付属資料を確認してください。
12/30、SCP-███-JP(現 大和・von・Bismarck)によってSCP-███-JPに関する考察が提言されました。これについては現在審議中です。
分析: 現在のところは、恐らくはまだ問題無いでしょう。しかし万が一の場合に備えて、常に彼らの監視は行われるべきです。重ねて言うようですが、記憶処理の効果が何らかの理由によって無効化された場合、また彼らが彼ら自身の異常性を制御できなくなった場合、我々は彼らをSCPオブジェクトとして再収容しなければなりません。
真家 摩耶子 阿桜 義清
アイテム番号: SCP-XXX-FS-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在確保されているSCP-XXX-FS-JP個体は、全てまとめて5m×5m×5mの鉄製のコンテナに収容してください。また、Dクラスによってこし餡を1日に3回、1個体につき200gずつ与えてください。
説明: SCP-XXX-FS-JPは、人間の頭部の容姿をした中身がこし餡の饅頭および大福です。対象は明らかに生命を維持するための機関が欠落しているにも関わらず、一般的な人間とほぼ変わらない生命活動を行うことができます。SCP-XXX-FS-JPはおよそ日本における高等学校卒業程度の知識を有するとみられ、会話、計算、物事の記憶などを問題無く行うことが可能です。
SCP-XXX-FS-JPは通常の饅頭、大福と同様に経口摂取が可能であり、人体に対する悪影響もありません。しかし、SCP-XXX-FS-JPは食べられることに対して否定的であり、また極度の苦痛を訴えるため、経口摂取は禁止されています。
現在財団が収容しているSCP-XXX-FS-JPは2体ですが、オブジェクトへのインタビューから他にもSCP-XXX-FS-JP個体が存在することが確認されています。そのため、機動部隊ゆ-9("まんじゅうこわい")が定期的に日本各地に派遣されます。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
アイテム番号: SCP-XXX-JP-J
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-Jを収容することは不可能です。よって、財団職員はSCP-XXX-JP-Jによるあらゆる損害に対して寛容であることが求められます。
説明: SCP-XXX-JP-Jは、主に人間(以下、被験者と表記)に対して起こる一連の異常現象です。特に被験者が何らかの理由によって時間を厳守しなければならない場合に発生することが多いとみられています。被験者となる人間がどのような理由から選ばれるかは不明であり、現在生存しているあらゆる人類が被験者となりうる可能性があります。そのため財団職員が被験者に選ばれることも何らおかしいことではないことを留意されるべきです。
現在までに確認されたSCP-XXX-JP-Jは以下の通りです。
・急激な便意によって、被験者が自由意思に関係なく長時間便所に拘束される。
・目的地までの信号、および踏切が何らかの理由によって全て封鎖される。
・およそ80代前後の老人に見える人型物体が重量のある物体を持って目の前を通り掛かり、被験者は自由意思に関係なくその存在を助けるように行動する。
・重要な書類などが他人に提出する直前に消失し、被験者の自宅に再出現する。
・原因不明の事態によって公共の交通機関の機能が全て麻痺する。
・被験者の親族が何らかの理由によって病院に搬送される。この時被験者は何の情報も得ていないにも関わらず2親等までの親族の元へ向かいたいという欲求に襲われる。
・自宅の近辺で原因不明の火災が発生し、被験者は自由意思に関係なく「中に取り残された子供を救出しなければならない」という強烈な使命感に襲われる。
・突然謎の要注意団体に連れ去られ、被験者はKeter級と推測されるSCPオブジェクトを巡り命を掛けて戦いに身を投じる。
2014/11/20.空事博士
2014/12/03.空事博士
2014/12/17.空事博士
2015/01/08.空事博士
2015/02/11.空事博士
2015/02/27.空事博士
[日付と名前を入力してください…]
20██/██/██、身の周りで起こっている異常現象の数々から、空事博士が被験者として選ばれたことが確認されました。よって、彼の書類提出の遅延や会議への遅刻は仕方の無いものであり、これらは本人の意思によってもたらされるものではないことを財団職員は深く理解しなければなりません。
あなたの周りでどのような異常現象が起きようと、ましてやそれらの現象についてやけに詳細にまとめてSCP報告書として私に提出しようと、先日の書類提出の不備によって減額されたあなたの給料が元に戻ることはありませんよ。空事博士。―日本支部理事-██
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは太平洋上に建設された収容エリア-81██内の高セキュリティ人型オブジェクト収容室に収容されます。収容室内への立ち入りは食事の提供、清掃のためのDクラス職員のみに限られます。また、収容室内の監視を24時間体制で常に2人の職員によって行ってください。現在、定期的に行われる心理テストを除いてSCP-XXX-JPとコミュニケーションをとることは禁じられています。
説明: SCP-XXX-JPはおよそ30代の男性と見られる人型の生物です。
上記の報告書は一種の情報統制のための虚偽報告書です。もし以下の文書を読んだ場合、あなたは収容エリア-81██内への侵入を恒久的に禁じられます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは太平洋上に建設された収容エリア-81██内の高セキュリティ人型オブジェクト収容室に収容されます。収容室内への立ち入りは食事の提供、清掃のためのDクラス職員のみに限られます。また、収容室内の監視を24時間体制で常に2人の職員によって行ってください。現在、定期的に行われる心理テストを除いてSCP-XXX-JPとコミュニケーションをとることは禁じられています。
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
SCPのアイデア
・正常と異常の境目が曖昧になる空間とか何か
・「人間は生まれた時からある種の洗脳を受けている。親の教育だったり、社会のルールだったり、憲法だったり、道徳であったりするものだ。自分の意思以外による自分の思想への介入要素が存在する場合、それらはもれなく洗脳の一種である。例えそれが人間であるということの必要最低限の証拠になり得るとしても」といういことを踏まえたうえでの「完全洗脳解除装置」
・遅刻とか宿題を忘れた時の言い訳っぽいJoke記事。
例えどんな超常現象が君の身の回りで起ころうが、それは君の給料を元の金額にする理由にはなりませんよ。██博士。―O5-██
人人人人人人
・>動く稲荷寿司<
Y^Y^Y^Y^Y^
・石(SCP-XXX-JP-1と表記、みたいな)を身につけている人以外には認識できず、必要最低限の生命活動を援助する道具以外の一切にすら認識されない人型オブジェクト。
・今までやけにDクラスの供給量が多かった理由
・投入した物体の質量そのものを変化させる"量"替機
・摂取した人物の母国語をあらゆる時代、国の言語の種類からランダムに選んだものに変える飴。実験記録で過去の支配者シフトシナリオを示唆。
・「人の手によって損なわれた部分」が完全に修復される"完全修復剤"。人間に使うと[削除済]
・ネット上に拡散している正体不明の人物の顔写真。この顔写真を見た者はミームに感染し、感染第一段階ではこの顔写真などを用いたコラージュ作成・拡散などを行い、積極的にこの顔写真の認知度を高めようとする。
感染第二段階では、感染者のネットリテラシーが著しく低下し、状況を考えずに自分の個人が特定できる情報を含めた身の回りの写真をSNSなどに高頻度でアップし始める。
オブジェクトの影響としては以上だが、二次的災害として身元が特定しやすくなることからの犯罪の発生や様々な機密情報の暴露、更には施設のパスワードの流出などが起こりうる(というか起こった)。
この感染はCクラス記憶処理によって感知が可能だが、財団においても初期収容時にミーム汚染への暴露による機密情報の流出などがあった。
SCPってなんなのよ的なアレ
人がまだ科学や巨大な社会的体型を作る以前は、良い意味でも悪い意味でも人類と共存していた物だが(食物連鎖的な)、科学技術の発達や人口の増加、社会の拡大、共有化によって人が排斥せざるを得なくなったもの。つまりSCPは世界にとっては存在すること自体が当たり前だけども、人間から見ればそれはもう理不尽でしかない。人間が作ったSCPや人間が関与したSCPも何らかの異常によって生み出されたのではなく、生み出されることそのものが世界にとって「正常」である的な。
Anomalousアイテム案
・重心などに異常がないにも関わらず必ず2の目を出すサイコロ イカサマに使うにしても出る目が微妙すぎるな -エージェント・██
・噛み続けても味が無くならないガム。グレープ味。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (適切なクラスを選んでください)
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
同じ過ちを二度と繰り返してはいけない(戒め)
・誤字脱字は当然自分で確認してフォーラムに上げる前に直せ。誤字脱字がたくさんあったら内容の指摘どころじゃない
・初見の人が理解できるような文章を書け。読者を超ド級のバカだと思っているぐらいの文章を書け
・オブジェクトの特徴・性質は痒いところに手が届くぐらいにまで書け。読者にそこの想像を求めるな
・文がめちゃくちゃだと読む気が失せる。文の構成を意識しろ
・財団は冷酷でなければならないが悪ではない。ましてやただの馬鹿でもない
・一つの段落中に同じ語句(「また」や「更に」)を使うと読みづらい。小論文の書き方からやり直せ
・あくまでこれは「報告書」だ。実際の財団職員がこれを読んで収容プロトコルなどが滞りなく行えるかどうかを考えろ
・変に専門的な用語ばかりを並べまくっても萎える。お前の文章を読むのは一般人なのであって、本物の博士ではない
・██博士のコメントの使い方には気をつけろ。大抵の人は萎える
・万人が「納得」できる文章を書け。お前だけが納得できる文章はただのオナ██だ
・とにかく記事はゆっくりと書け。財団は逃げやしないし、ましてやお前ボンクラの未完成品を本記事に上げるぐらいならお前の推敲に付き合ってる方がまだマシだと考える職員は多いだろう
・収容違反なんてそんなにポンポン起こるようなものじゃない、ましてやsafeクラスなら尚更だ。財団はお前と違って有能なんだから
・SCPに物語性を作るかはかなり重要だが、そのストーリーが陳腐なものなら普通の報告書形式にしろ。悪いことは言わないから
・検閲をする必要の無い場所まで[データ削除済]するとかお前はどういう██してるんだ
・upvote,downvoteをしてくれる方々に最大の感謝をしろ。もちろん、voteをしていない読者の方にもだ。一番辛いのは嫌われることじゃなく、無関心だということを忘れるな
・下書きフォーラムに反応がなくても焦って投稿しようとするな。早漏はどこの世界でも嫌われる
・教養を並べ立てて満足し、それに従えば良いと思うな。時には逆を張ってみろ