アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:SCP-XXXX-JPは、サイト900内の低危険度物品収容ロッカーに保管されます。サイト900の管理者は、サイト900に出入りする際に、必ず衣服のポケットを改めてください。衣服のポケットからSCP-XXXX-JP-2が発見された場合は、必要に応じて影響を観察し、動向を記録したのち、SCP-XXXX-JP-2にSCP-XXXX-JP-1を返却してください。
説明: SCP-XXXX-JPは、かつて日本の図書館で一般的に用いられていたニューアーク方式のブックカード(SCP-XXXX-JP-1)と、ブックカードを収めるための茶封筒(SCP-XXXX-JP-2)の対です。SCP-XXXX-JP-1は、およそ4分の3ほどが損傷しており、淡い文字で████図書館という記述がされています。
SCP-XXXX-JPは、自身の半径2m以内にある衣服のポケットにランダムにSCP-XXXX-JP-1をひとつだけ出現させます。SCP-XXXX-JP-1の存在を認識したものは、SCP-XXXX-JP-1の所有者となり、SCP-XXXX-JPの影響を受け、極端に防衛本能が低下し自身を傷つける傾向にあります自分自身を「誰かから借りているものである」と認識します。
SCP-XXXX-JP-1の所有者が、SCP-XXXX-JP-2へとSCP-XXXX-JP-1を入れると、この影響は直ちに終了することが分かっています。SCP-XXXX-JP-1を損傷することは可能ですが、24時間以内に再びランダムにSCP-XXXX-JP-1が出現するようになります。確実な影響の除去のために、SCP-XXXX-JP-1はSCP-XXXX-JP-2へ返却するようにしてください。
１９██年█月█日、東南アジアにて、██・████が臓器ブローカーに対して全身を売り払ったことで発覚しました。██に親しい身内はおらず、現金は政府により証拠品として全額押収されていました。現金は手付かずで、SCP-XXXX-JPの入った封筒と共に部屋に残されていました。
対象: D-34567
インタビュアー:布川博士
<録音開始>
布川博士:** 気分はいかがですか？
D-34567: どうもねえよ。畜生……。
D-34567: お前らの用件は分かってる。俺から俺を取り上げに来たんだろ？
布川博士: 落ち着いてください。
D-34567: 取り上げるって言うんなら……。
布川博士: やめたまえ。おい、取り押さえてくれ。
Ｄは激しく机に額を打ち付け始める。
<録音終了>
終了報告書:D-34567は脳挫傷を負いました。のち、記憶処理されました。
SCP-XXXX-JPは、発見当時、「出現により、極端に防衛本能を低減する影響をもたらすオブジェクト」と思われていました。
しかし、実験手順の不注意により布川博士が暴露した結果、特に何も起こらなかったことから、別の影響が明らかとなりました。
対象: 布川博士
インタビュアー:研究員
<録音開始>
布川博士: お疲れ様です。
研究員: インシデントから3日経ちましたが、何か影響はありましたか？
布川博士: えーと。たしかにあのオブジェクトに触りましたが。特に問題はないと思います。すこぶる健康ですし。
研究員: 本当にそうですか？ 何か心当たりはありませんか？
布川博士: 別に……。（数秒の沈黙）すみません、あなたから何か借りてましたか？
<録音終了>
追加調査の結果、SCP-XXXX-JPの影響は、「借りたもの」に対する態度との関連がみられることが発見されました。実験に志願したエージェントは、注意深く危険な任務を拒否するようになりました。理由については、「誰かから借りているものであるから」というものでした。
エージェント・蓮杖：布川博士にはボールペンを2ダースは貸しているが、一本も返ってきていない。
対象: D-23466
インタビュアー:エージェント
付記:D-23466は心理テストにより自己評価が極端に低いとされており、過去に３度の自殺未遂を繰り返しています。
<録音開始>
研究員: 何か変わったことはありますか？
D-23466: 毎日がとても充実しています。この実験に参加してから、なんていうんでしょうね。初めて……自分を大切にできたと思います。生きててよかったって思えました。
<録音終了>
補遺: ２０██年█月█日、D-2346は、自室で靴下を飲み込み、窒息死しているところを発見されました。20年が経過すると、SCP-XXXX-JPの影響は消えるとみられます。
これは、民法における「取得時効」により、自身の所有権が持ち主に元通り移転することと関連があるとみられています。意図的な製作者の存在が示唆されたことから、Euclidクラスに再分類が検討されています。