アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在の収容手順は発生したSCP-XXX-JPに関する情報規制に留まっており、完全な収容手順については現在研究が進められています。
機動部隊づ-2("観劇者")は日本国内の劇場に観客として潜入し、SCP-XXX-JPの発生が確認された場合、速やかに照明機器の操作等による妨害を行い上演を中断させます。演劇関係者および観客にはクラスA記憶処理を施し、カバーストーリー「劇場設備の点検不備」を適用します。
説明: SCP-XXX-JPは日本国内の劇場で公演される演劇の上演中に発生する異常な現象です。SCP-XXX-JPが発生した場合、その演劇の出演者の内1名がSCP-XXX-JP-1となります。上演開始13~18分後、SCP-XXX-JP-1以外の出演者はステージから退場し再度登場した場合、容姿がSCP-XXX-JP-1のものと同一になります。(以下、SCP-XXX-JP-1と同一の外見になった人物をSCP-XXX-JP-2とします。)SCP-XXX-JP-2へ変化した際、体形や声等はSCP-XXX-JP-1と完全に同一であるように見られますが、SCP-XXX-JP-2となった人物が元々身に着けていた衣装類に関しては元のサイズを保ちます。
上演中、SCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2に変化していない人物を含むすべての出演者と演出家、脚本家、照明や音響等のスタッフはSCP-XXX-JPの発生を認識しておらず、普段通りに演劇を進行しようとします。一方で観客はSCP-XXX-JPの発生に気付いており、多くの場合は観客席に混乱が広がる等の理由で上演が一時中断されます。その場合、中断となった時点でSCP-XXX-JPは終了します。劇が最後まで進行すること無くSCP-XXX-JPが終了した場合、SCP-XXX-JP-2に変化した人物の外見は不明なタイミングで元の容姿へと戻ります。元の容姿へ戻る瞬間の観測は現時点では成功していません。
SCP-XXX-JPが観客から演出の一部であると認識された等の理由で劇が中断されること無く最後まで終了し、尚且つ劇を通してSCP-XXX-JP-1を除く全ての出演者がSCP-XXX-JP-2へと変化した場合、閉幕或いはステージ上から退場した時点でSCP-XXX-JP-1は消失し、SCP-XXX-JP-2は元の容姿へと戻ります。終演までにSCP-XXX-JP-1を除く最低1名以上の出演者がSCP-XXX-JP-2へと変化しなかった場合、SCP-XXX-JP-1の消失は発生せず、SCP-XXX-JP-2は元の容姿へと戻ります。消失したSCP-XXX-JP-1の行方は現在まで明らかになっていません。調査記録XXX-JP-1を参照してください。
SCP-XXX-JPは201█年からSNS上で「劇を見ていたら出演者が全員同じ人になった」という旨の投稿が散見されるようになった事に興味を持った財団エージェントによって調査が開始されました。当初は演出の一環かと思われましたが、エージェントがファンを装い演出家に接触したところそのような演出は行っていないと主張していること、出演者の変化に気づいたのが観客のみであり関係者は変化を認識していないこと、出演者の内1名が失踪していること等からオブジェクトとしての収容が開始されました。舞台役者の失踪及び異常な演出に関する過去の記録を調査したところ、198█年頃から最低でも年間█件のSCP-XXX-JPが発生しており、SCP-XXX-JPによる失踪者は201█年現在でおよそ7█名に上ることが判明しました。
201█/10/██、東京都██区にてエージェント██が観賞していた演劇にてSCP-XXX-JPが発生しました。演劇のジャンルがSFであり、SCP-XXX-JPが演出の一環と認識されたこと、エージェント██が後方の席に座っていたことが幸いし、他の観客に気付かれること無く舞台袖に潜入、SCP-XXX-JP-2が増加する前にSCP-XXX-JP-1と思われる人物にGPS発信機を取り付けることに成功しました。SCP-XXX-JP-1が消失したおよそ15分後、同区内の廃劇場「████」にてGPS信号が確認されたため、エージェント██による初期調査が行われました。
前記:エージェント██は当日持ち歩いていた標準支給の伸縮式警棒、小型ペンライト、ビデオカメラを装備しています。
エージェント██:録音開始。これよりSCP-XXX-JP-1が転移したと思われる廃劇場の調査を行います。外から見る限り内部は相当暗く、ライトを使っても遠くまでは見通せそうにありません。
エージェント██:内部に侵入します。・・・入るとまずはエントランスですね、受付のカウンターとベンチがあります。客席につながる扉と控室につながる通路があるようです。
エージェント██:・・・客席側から声が聞こえます、。
<エージェント██が客席へと続く扉を細く開け、内部を映す>
エージェント██:上演中のようです。ステージ上に3人、客席は60席ほどでしょうか、ほとんど満席のようです。
エージェント██:ステージ上の3人・・・あれは・・・
<エージェント██がカメラのズームでステージ上の人物の撮影を試みる。直後、ドアが軋み観客たちが一斉に扉に向かって振り返る>
エージェント██:撮影を終了、脱出します。
〈記録終了〉
エージェント██は脱出後劇場出入り口付近で待機し監視を続けました。約20分後、機動部隊が到着し突入しましたが、監視中出入り口に動きがなかったにもかかわらず内部に人影はありませんでした。
調査映像を解析した結果、ステージ上の3人はいずれも同じ男性の容姿をしていることが分かりました。また、観客席に座っていた56人のうち、顔が判別できた人物のほとんどがステージ上の3人と同一の容姿をしており、数名存在した相貌の異なる人物のうち一人が調査の直前に発生したSCP-XXX-JP-1と酷似していること、その他にもSCP-XXX-JPの関係が疑われる失踪者に非常に似た外見の人物が確認されました。
調査記録内から得られた男性(以降SCP-XXX-JP-3)の容姿を財団および警視庁のデータベースに照らし合わせたところ、過去に暴力事件を起こしたことによって逮捕歴のある丸藤 ██氏であることが判明しました。以下は丸藤 ██氏へのインタビュー記録です。
対象: 丸藤 ██
インタビュアー: 五部博士
付記: 本インタビューは警察からの任意聴取という名目で行われました。
<録音開始>
五部博士: 初めまして丸藤さん、私は五部と申します。今日はいくつかお聞きしたいことがあってお呼びしました。
丸藤: はあ、まあ、お手伝いできることなら。
五部博士: ご協力感謝します、では早速ですが████という名の劇場に心当たりはありますか?
丸藤: え、ええ。というか、警察の人ならご存じなんですよね。
五部博士: 以前あなたが逮捕された事件についてですか?
丸藤: ・・・そうです。
五部博士: もう一度事件について詳しく聞かせてもらえますか?
丸藤: なんだか、ずいぶん丁寧ですね、警察の人なのに。
丸藤: 演劇を初めて2,3年経ったころでした、最初は数人の仲間だけでやってたのが人数も増えて、僕の脚本で芝居をやることになりました。
丸藤: 今思えば、肩に力が入りすぎていたんだと思います。演技や音響、照明、小道具まで一つ一つが気になりだして、目についたものすべてに細かく口出ししていました。
丸藤: 上演まで日がない中での緊張やプレッシャーか、自分でも気づかないうちに言葉遣いも荒くなって、他のメンバーとも衝突が増えて、ある日、役者の一人から言われてしまったんです。
五部博士: 何と言われたのですか?
丸藤: 「そんなに気に入らないなら、もう全部ひとりでやれよ」と。
丸藤: それを聞いた途端ついカッとなってしまい、その役者につかみかかってしまいました。もみ合いの中で怪我をさせてしまって・・・
五部博士: その後、あの劇場へは?
丸藤: 近づいてすらいません、どうしても気持ちの面で・・・演劇からも身を引いて今は全くの無縁です。
五部博士: そうですか、演劇時代のお知り合いとはまだ?
丸藤: そちらともほとんど。あ、でもそういえば・・・
五部博士: なにか?
丸藤: いえ、事件のすこし前に仲間内に入ってきた人から、事件後に「本当にひとりで劇をやってみないか」と言われた記憶があります。
五部博士: 何と答えたんですか?その人物について知っていることは?
丸藤: 仲間内の誰かの紹介だったと思いますけど、ほとんど話したこともありませんでしたし、相手にするのも嫌で適当にあしらったと思います。
五部博士: そうですか、ほかに思い出すことはありますか?
丸藤: いえ、もう何も。
<録音終了>
補遺1: 201█/3/██、東京都豊島区池袋の劇場にてSCP-XXX-JPが発生、SCP-XXX-JP-1は20代後半で大柄の男性でした。奴隷の少女役であった10代後半の女性がSCP-XXX-JP-2に変化した際、衣装として身に着けていた首輪により窒息、死亡しました。死亡した女性の容姿は元に戻らず、SCP-XXX-JP-1となった男性の姿を維持していました。死者が出たことにより劇は中断され、SCP-XXX-JP-1の消失は発生していません。SCP-XXX-JPによる初の死亡例です。
補遺2: 201█/11/██、埼玉県蕨市内の中学校にて、文化祭の出し物である白雪姫の公演中にSCP-XXX-JPの発生が確認されました。劇を監修していた教師及び照明、音響担当の生徒を監督していた教師はSCP-XXX-JPの発生に気付かず、劇と直接的な関わりのなかった学年主任教諭の指摘により劇は一時中断されました。そのためSCP-XXX-JP-1の消失は発生していません。劇場施設以外での初めてのSCP-XXX-JP発生例です。これに伴い特別収容プロトコルの改定が議論されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在の収容手順は発生したSCP-XXX-JPに関する情報規制に留まっており、完全な収容手順については現在研究が進められています。
機動部隊づ-2("観劇者")は日本国内の劇場に観客として潜入し、SCP-XXX-JPの発生が確認された場合、速やかに照明機器の操作等による妨害を行い上演を中断させます。演劇関係者および観客にはクラスA記憶処理を施し、カバーストーリー「劇場設備の点検不備」を適用します。
説明: SCP-XXX-JPは日本国内の劇場で公演される演劇の上演中に発生する異常な現象です。SCP-XXX-JPが発生した場合、その演劇の出演者の内1名がSCP-XXX-JP-1となります。上演開始13~18分後、SCP-XXX-JP-1以外の出演者はステージから退場し再度登場した場合、容姿がSCP-XXX-JP-1のものと同一になります。(以下、SCP-XXX-JP-1と同一の外見になった人物をSCP-XXX-JP-2とします。)SCP-XXX-JP-2へ変化した際、体形や声等はSCP-XXX-JP-1と完全に同一であるように見られますが、SCP-XXX-JP-2となった人物が元々身に着けていた衣装類に関しては元のサイズを保ちます。
上演中、SCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2に変化していない人物を含むすべての出演者と演出家、脚本家、照明や音響等のスタッフはSCP-XXX-JPの発生を認識しておらず、普段通りに演劇を進行しようとします。一方で観客はSCP-XXX-JPの発生に気付いており、多くの場合は観客席に混乱が広がる等の理由で上演が一時中断されます。その場合、中断となった時点でSCP-XXX-JPは終了します。劇が最後まで進行すること無くSCP-XXX-JPが終了した場合、SCP-XXX-JP-2に変化した人物の外見は不明なタイミングで元の容姿へと戻ります。元の容姿へ戻る瞬間の観測は現時点では成功していません。
SCP-XXX-JPが観客から演出の一部であると認識された等の理由で劇が中断されること無く最後まで終了し、尚且つ劇を通してSCP-XXX-JP-1を除く全ての出演者がSCP-XXX-JP-2へと変化した場合、閉幕或いはステージ上から退場した時点でSCP-XXX-JP-1は消失し、SCP-XXX-JP-2は元の容姿へと戻ります。終演までにSCP-XXX-JP-1を除く最低1名以上の出演者がSCP-XXX-JP-2へと変化しなかった場合、SCP-XXX-JP-1の消失は発生せず、SCP-XXX-JP-2は元の容姿へと戻ります。消失したSCP-XXX-JP-1の行方は現在まで明らかになっていません。映像記録XXX-JP-1を参照してください。
SCP-XXX-JPは201█年からSNS上で「劇を見ていたら出演者が全員同じ人になった」という旨の投稿が散見されるようになった事に興味を持った財団エージェントによって調査が開始されました。当初は演出の一環かと思われましたが、エージェントがファンを装い演出家に接触したところそのような演出は行っていないと主張していること、出演者の変化に気づいたのが観客のみであり関係者は変化を認識していないこと、出演者の内1名が失踪していること等からオブジェクトとしての収容が開始されました。舞台役者の失踪及び異常な演出に関する過去の記録を調査したところ、198█年頃から最低でも年間█件のSCP-XXX-JPが発生しており、SCP-XXX-JPによる失踪者は201█年現在でおよそ7█名に上ることが判明しました。
201█/10/██、東京都世田谷区北沢にてエージェント██が鑑賞していた演劇にてSCP-XXX-JPが発生しました。演劇のジャンルがSFであり、SCP-XXX-JPが演出の一環と認識されたこと、エージェント██が後方の席に座っていたことが幸いし、他の観客に気付かれること無く舞台袖に潜入し、SCP-XXX-JP-2が増える前にSCP-XXX-JP-1と思われる人物に映像送信式の小型カメラを取り付けることに成功しました。
映像記録XXX-JP-1
エージェント██が取り付けたカメラから送信された映像の記録です。カメラはSCP-XXX-JP-1が着用しているベルトのバックル部分に取り付けられています。マイクが付属していないため音声は記録されていません。
〈再生開始〉
0:00:00 - 映像はノイズにより判別不能
0:02:43 - 映像が明瞭になる。薄暗いが周囲の様子から何処かの劇場の舞台袖であると推測される。SCP-XXX-JP-1は壁に向かって動かず、待機中と思われる。
0:05:13 - SCP-XXX-JP-1がステージの方を向く、ステージ上では30代前半と思われる男性3名が激しい身振りと共に口論を行っている。3名はいずれも同一の容姿である。
0:05:37 - SCP-XXX-JP-1がステージに上がる、観客側を向くことは無く、前述の3名と掛け合いを行っている様子。
0:09:49 - 3名の男性の内1名が観客席に向かって走り出す。映像の範囲から外れた為、その後の行動は不明。
0:13:06 - 2名の男性が舞台袖へと退場し、同じ容姿だが異なる衣装を身に着けた男性5名がステージに登場する。以降、数分毎に1名の男性が観客席側へと走り出した後、ステージ上の人数が4~7名になるように同じ容姿の男性が入れ替わる。この間身振りを伴う口論は継続されている。
0:38:58 - ステージ上の男性6名とSCP-XXX-JP-1が突如口論を止める。男性は皆笑顔になり観客席側へと向き直る。観客席は100席程度であり、満席のように見えるが、椅子がステージとは反対向きに固定されているため、観客の表情は確認できない。
0:39:04 - “出演者達”が観客席に向かって礼をする。SCP-XXX-JP-1の上半身でカメラが一瞬遮られ、“出演者達”が顔を上げた時には観客は首だけを180°回転させ、ステージ側を見つめていた。観客は皆一様に無表情であり、瞬き以外の動きは確認できない。
0:39:42 - ステージからSCP-XXX-JP-1が退場しようとした際、カメラがバックルから外れ落下する。SCP-XXX-JP-1がそれに気付き拾い上げる。SCP-XXX-JP-1の容姿は前述の男性と同一のものになっている。SCP-XXX-JP-1は笑顔であったが、拾い上げた物がカメラであることに気付くと無表情となり、直後通信が途絶した。
〈記録終了〉
映像を解析した結果、観客席に座っていた人物の内1名の容姿が今回発生したSCP-XXX-JP-1と酷似していること、その他の観客に関してもSCP-XXX-JPの関係が疑われる失踪者に非常に似た外見の人物が複数確認されたことから、この劇場を消失したSCP-XXX-JP-1の転送先であると断定して調査が開始されました。小型カメラの信号の発信位置を特定する試みは現時点まで成功していません。
補遺1: 201█/3/██、東京都豊島区池袋の劇場にてSCP-XXX-JPが発生、SCP-XXX-JP-1は20代後半で大柄の男性でした。奴隷の少女役であった10代後半の女性がSCP-XXX-JP-2に変化した際、衣装として身に着けていた首輪により窒息、死亡しました。死亡した女性の容姿は元に戻らず、SCP-XXX-JP-1となった男性の姿を維持していました。死者が出たことにより劇は中断され、SCP-XXX-JP-1の消失は発生していません。SCP-XXX-JPによる初の死亡例です。
補遺2: 201█/11/██、埼玉県蕨市内の中学校にて、文化祭の出し物である白雪姫の公演中にSCP-XXX-JPの発生が確認されました。劇を監修していた教師及び照明、音響担当の生徒を監督していた教師はSCP-XXX-JPの発生に気付かず、劇と直接的な関わりのなかった学年主任教諭の指摘により劇は一時中断されました。そのためSCP-XXX-JP-1の消失は発生していません。劇場施設以外での初めてのSCP-XXX-JP発生例です。これに伴い特別収容プロトコルの改定が議論されています。