鶻丸の煮付けの下書きページ
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは周辺に建設された特設サイト-81██内にて、継続的な観察が行われています。SCP-XXX-JPに変化が見られた際は必ず報告を行ってください。また、新たなSCP-XXX-JPを発見した職員は、至急報告を行ってください。

説明: SCP-XXX-JPは██県██市内にて発見された存在しない何かです。SCP-XXX-JPは存在しない故に叙述的に表すことは不可能です。SCP-XXX-JPに対して行われた五感的な接触はすべて何もないという結果が出ています。SCP-XXX-JPが存在しないにもかかわらずなぜ認識できるのかについては現在調査中です。

SCP-XXX-JPは20██/██/██に付近にてフィールドワークを行っていたA.野間によって発見されました。その性質から付近のサイトへの輸送が不可能と判断されたため、特設サイトが建造されました。

補遺1: 以下はSCP-XXX-JPに対して行われた実験の際の記録になります。

実験担当: 長嶋博士

対象: D-8810

<実験開始>

長嶋博士: それではD-8810。まずはSCP-XXX-JPについて説明していただけますか?

D-8810: 説明?説明って言ったって…えっと、何もないな。

長嶋博士: そこには何もないんですね?

D-8810: いや待ってくれ。それは違う…えっと何て言うか、何もないのがあるって言うか…

長嶋博士: それはどういうことですか?

D-8810: 確かにここには何もないんだよ。ただ何もないっていうのは、おかしくないか普通?普通は何かしらあるもんだろ、えっとわかりやすく言えば…床とか、そういうのもないように見える。マジで何もないように見えるんだよ。

長嶋博士: それは、例えばその部分だけ黒く塗りつぶされたようになっているとか、そのようなことですか?

D-8810: いや違う。何て言うか、あー俺は違うからわかんないけど、例えば目が見えない人の視界ってこんな感じなんじゃないのか?

長嶋博士: なるほど。では次にSCP-XXX-JPから何か音は聞こえますか?

D-8810: [SCP-XXX-JPの方へ耳を近づける]いや何も聞こえない。これもそうだ、耳が聞こえなくなったみたいな無音だよ。

長嶋博士: では匂いはどうですか?

D-8810: [SCP-XXX-JPへ鼻を近づける]なんの匂いもしない。どうなってるんだこれ?

長嶋博士: ではSCP-XXX-JPを持ち上げてみてください。

D-8810: はぁ?あんた自分が何言ってんのかわかってんのか?ないものを持ち上げろだって?そんなのできるわけないじゃないか。だって何もないんだぞ。

長嶋博士: それはわかっています。ですがそこには何もないという何かがあるんですよね?それを持ち上げることは不可能ですか?

D-8810: いや、[溜息]わかったよやってみるよ。[SCP-XXX-JPへ手を伸ばす]あ?なんだこれ。やっぱり何もないぞ。

長嶋博士: 触れているのに何もないのですか?

D-8810: ああ、いや、そもそも俺は触れているのか?何もないとしか言えねえからわかんねえ。

長嶋博士: そうですか。実験は以上で終了になります。最後に何か感じたことなどはありますか?

D-8810: ええっと、Twitterとかでよくおふざけで、虚無がある、みたいなこと言う奴いるけど、マジでそんな感じだった。何もないっていうのがあるんだよ…何もないんだけど、確かにそこにあるんだ。ああクソ、混乱してきた…

長嶋博士: なるほど。ありがとうございます。お疲れさまでした。

<実験終了>

終了報告書: 正直私も途中からわからなくなってきた。このオブジェクトは何なんだ?そこに存在しない何かがあるのか、もしくは何かが我々にそう認識させているのか。それとD-8810が言っていたことも気がかりだな。まだまだ調査の必要がありそうだ。_長嶋博士

補遺2: 実験中のD-8810の発言から、SNS上に投稿されたSCP-XXX-JPに関連すると思われる場所の、大規模調査が行われました。その結果現在までに、日本国内の57カ所においてSCP-XXX-JPが確認されています。この調査は現在も継続されています。


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その知らせに驚かぬ者は居なかった。ある者は存在しない者の死などありえないと。またある者は”それ”が死ぬことはあり得ないと。しかし彼らだけの秘密通信に届いたそのメッセージは、それが事実であるということを確かなものにしていた。そして次に太陽が見えたころ、12人による話し合いが始まった。

「まずは率直に聞く。奴と最後に会った者は誰だ」

最初に口を開いたのは1だった。その場にいた全員が、死んだのが彼ではなくてよかったとそう思っただろう。彼は1312人の中でも最高の権力を持つ、統べる者であるからだ。手綱の切れた競走馬のような財団が存在しないのは、これもすべて彼の存在によるものが大きい。

「いやいや、待ってくれ。そもそも奴と会ったことのある人間がいるのか?」

「まず間違いなく居ないでしょうね」

37が言う。それに続き8も口を開いた。

「そうですよ、逆に聞きますがあなたはあるのですか?」

投げかけられた問いに1は口を噤む。

「だけど奴の居場所を知っていたのは私たちだけ、要するにこれは犯人探しでしょう?」

11の発言は確かに的を射ていた。しかしそれ故に、彼女の発言はこの場の雰囲気を、より険悪なものにしてしまった。

「…情報が漏れた可能性は?」

「いいや、それは確実にない」

12の疑念を4は真っ向から否定した。

「話し合いが始まる前に全員のデータサーバへのアクセス履歴は調べた。そして怪しいところは何一つなかった。」

「困ったのう、手掛かりの一つもないとは…」

2の言うことは確かだった。死因すらも不明なまま始まった犯人捜しは、その着地点を見失っていた。