重力幻想の砂場

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:SCP-XXX-JP-aは標準人型収容房に、標準的な人型オブジェクト収容手順で収容してください。SCP-XXX-JP-aは、低危険度のSafeクラス以下のオブジェクトのみを収容するサイトに、収容房の間隔を最低200m開けて収容されます。全てのSCP-XXX-JP-aの個人情報と交友関係を詳細に記録してください。
他のSCP-XXX-JPを発見する試みは成果を上げていません。新たなSCP-XXX-JP実例を発見した場合は、速やかに確保します。

説明:SCP-XXX-JPは、特定の人間のペアです。
SCP-XXX-JP-aは、SCP-XXX-JPに所属する人間です。SCP-XXX-JP-aは、後述する1点を除いて何ら特異性を持ちません。
SCP-XXX-JP-a同士は、いかなる場合においても、「接触する」ことが出来ません。「接触する」とは、互いをはっきりと視認すること、何らかの手段でコミュニケーションを図ることです。SCP-XXX-JP-a同士が自発的に、あるいは他者からの強制によって接触を図った場合、それは必ず妨害されます。この際、会おうとする意志、もしくは強制力が弱い場合、妨害は自然な形で発生します。しかし、強い強制による場合は、しばしば異常な現象が引き起こされます。この特異性は、別のSCP-XXX-JPに所属するSCP-XXX-JP-a同士では発生しません。また、3人以上の組み合わせがSCP-XXX-JP-aになる例は現在まで発見されていません。

以下は、現在確認されているSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-aのリストです。

SCP-XXX-JP-1: 発見日 20██/██/██
性別 年齢 住所 職業
SCP-XXX-JP-a-1-1 男性 29 奈良県 ██市 会社員
SCP-XXX-JP-a-1-2 男性 35 奈良県 ██市 会社員
同市に在住していた。名前の読みが一致する。
対象がそれぞれの業務の打ち合わせに出席しようとした際に発覚。
SCP-XXX-JP-2: 発見日 20██/██/██
性別 年齢 住所 職業
SCP-XXX-JP-a-2-1 男性 38 東京都 ██区 暴力団組員
SCP-XXX-JP-a-2-2 男性 22 東京都 ██区 無職
どちらも東京都在住だった。
SCP-XXX-JP-a-2-2の負債をSCP-XXX-JP-a-2-1が取り立てようとした際に発覚。
SCP-XXX-JP-3: 発見日 20██/██/██
性別 年齢 住所 職業
SCP-XXX-JP-a-3-1 男性 23 東京都 ██区 フリーター
SCP-XXX-JP-a-3-2 男性 22 千葉県 ██市 会社員
二人は恋人関係にあった。
後天的にSCP-XXX-JPとなった事が確認された唯一の例。
SCP-XXX-JP-4: 発見日 20██/██/██
性別 年齢 住所 職業
SCP-XXX-JP-a-4-1 女性 27 神奈川県 ██区 小説家
SCP-XXX-JP-a-4-2 男性 24 ██県 ██市 陸上自衛隊員
特筆すべき共通点は無い。
SCP-XXX-JP-a-4-2がSCP-XXX-JP-a-4-1にファンレターを送ろうとした際に発覚。
SCP-XXX-JP-a-4-2は、本人の希望により財団職員としての雇用が検討されている。
SCP-XXX-JP-5: 発見日 20██/██/██
性別 年齢 住所 職業
SCP-XXX-JP-a-5-1 女性 42 カナダ オンタリオ州 ████ レストラン経営者
SCP-XXX-JP-a-5-2 女性 31 大阪府 ███市 システムエンジニア
特筆すべき共通点は無い。
SCP-XXX-JP-a-5-1が乗車するバスと、SCP-XXX-JP-a-5-2の運転する乗用車がすれ違おうとした際に発覚。

各SCP-XXX-JP-aの詳細な個人情報の閲覧を希望する場合は、担当研究員に申請を行ってください。

以下は実験記録の抜粋です。特に記述が無い限り、実験は開閉可能な窓が付いた仕切りのある実験室で行われたものです。また、全ての実験においてカント計数機による測定が行われましたが、ヒューム値の変動はありませんでした。

実験記録XXX-██ - 日付20██/██/██

対象: SCP-XXX-JP-a-1-1、SCP-XXX-JP-a-1-2

実施方法: 実験は奈良県██市で実施。SCP-XXX-JP-a-1-1にSCP-XXX-JP-a-1-2を呼び出して、荷物を受け渡すように指示。対象にはそれぞれ、SCP-XXX-JPに関すること、財団の収容下にあることに関してクラスA記憶処理をされている。指示は、対象が勤務していた会社からの業務上の指示であるように偽装した。

結果: 始め、SCP-XXX-JP-a-1-1は携帯電話でSCP-XXX-JP-a-1-2に連絡を取ろうとしたが、通信キャリアで通信障害が発生。関係者を装い、エージェントがそれぞれに待ち合わせ場所と時刻を伝える。それぞれ待ち合わせ場所へと向かうが、何度も道を間違える、電車が遅延するなどして目的地に辿り着けなかった。実験終了の時刻を超過したので実験を終了。実験後、対象にクラスA記憶処理を施した。

分析: 通信障害は実験終了後に回復した。通信障害や電車の遅延の理由に異常性は無かった。実験は「偶然」妨害されたと考えられる。
SCP-XXX-JPはかなり広範囲に影響を与えることが出来るようだ。「偶然」他のオブジェクトが収容違反を起こすようなことが無いよう、危険性のあるオブジェクトの近くではSCP-XXX-JP-aを収容しないようにすべきだろう。

実験記録XXX-██ - 日付20██/██/██

対象: SCP-XXX-JP-a-1-1、SCP-XXX-JP-a-1-2

実施方法: 強い強制力のもとで対象同士の接触を図る。対象をそれぞれ実験室に呼び出し、窓越しに面会させる。命令違反をした場合は終了されることをあらかじめ対象に伝え、拳銃を装備した警備員を付き添わせる。

結果: 対象は問題なく実験室まで移動。対象を仕切り越しに向かい合わせて配置した。職員が仕切りの窓を開けようとすると、窓が全く動かなくなっていた。エージェントが拳銃で窓の破壊を試みるが、破壊出来なかった。実験は失敗と判断し、実験を中断。実験終了後、窓は通常の状態に戻った。

分析: 「出会う」ことを妨害するために、異常現象が発現する例を確認できた。命の脅迫による強制は、異常性を誘発させるのに十分なようだ。異常性の発現下で対象を出会わせることが出来るかについて実験を進める。

実験記録XXX-██ - 日付20██/██/██

対象: SCP-XXX-JP-a-1-1、SCP-XXX-JP-a-1-2

実施方法: 拳銃を装備した警備員を対象に付き添わせて施設内の曲がり角まで連行し、接触を試みさせる。

結果: 対象は、角に近づくにつれて、「嫌な感じがする」「この先に進んではいけない気がする」と主張し、進むことを拒否した。警備員が拳銃で脅迫しても効果がなかったため、対象を拘束して警備員が後ろから押して歩かせた。曲がり角の直前まで進んだところで、[データ削除済]。救急搬送のため、実験は中止された。

分析: 対象に物理的に干渉して接触させようとする実験は今後禁止する。異常性の発現条件を調査するため、別の対象で実験を継続する。

実験記録XXX-██ - 日付20██/██/██

対象: SCP-XXX-JP-a-4-1、SCP-XXX-JP-a-4-2

実施方法: 広く見晴らしのいい屋外で、対象を徐々に接近させる。対象が拒否した場合、拳銃で脅迫するだけに留める。異常性が発現したらただちに実験を終了する。

結果: 対象間の距離が約200mになった所で、不自然な突風が吹いた。最大風速は25.3m/sを記録。対象が顔を上げるのも困難になったため、実験を終了した。突風は局所的だったため、周辺への被害は軽微だった。

分析: はっきりとでないならば、互いを視認すること自体は問題ないらしい。異常性発現の条件について更なる調査を行う。

実験記録XXX-██ - 日付20██/██/██

対象: SCP-XXX-JP-a-4-1、SCP-XXX-JP-a-4-2

実施方法: 対象に、それぞれ仕切り越しに会話でのコミュニケーションを試みさせる。

結果: 対象の口は発話する時のように動いたが、音声は発せられなかった。異常性によるものとみなし、実験を終了。実験終了後、対象の発声能力は回復した。対象はそれぞれ、発声していたが相手の声は聴こえなかったと主張した。

分析: やはり会話でのコミュニケーションは不可能なようだ。引き続き調査を行う。

実験記録XXX-██ - 日付20██/██/██

対象: SCP-XXX-JP-a-4-1、SCP-XXX-JP-a-4-2

実施方法: 対象に、それぞれ録音、録画、筆談でのコミュニケーションを試みさせる。

結果: 対象が互いに宛てた音声は正常に録音できず、音声が聴き取れない程のノイズが混じった。録画も同様にノイズが発生。筆談に使用した用紙は、文章を書き終えた直後に燃え上がった。第三者を介しての伝聞形式でのコミュニケーションも同様の結果になった。
SCP-XXX-JP-a-4-2の提案により、日本語以外での対話が試みられた。SCP-XXX-JP-a-4-1が理解出来る英語と、理解出来ないイタリア語を録音して対話が試みられたが、同様に失敗した。

分析: 直接的であれ間接的であれ、対象同士のコミュニケーションに繋がる行為は、何であっても妨害されるようだ。相手が理解出来ない言語でも妨害されたのは興味深い。

実験記録XXX-██ - 日付20██/██/██

対象: SCP-XXX-JP-a-4-1、SCP-XXX-JP-a-4-2

実施方法: 対象にそれぞれ、実験室に掲示されている一般的な注意喚起の文章を筆写させる。相手にはそれを知らせず、実験室に掲示し、第三者と共に視認させる。

結果: 対象はそれぞれ、掲示された文章を読むことが出来た。

分析: 相手を特定せず、一般に向けて書かれた文章は問題無く読むことが出来るようだ。SCP-XXX-JP-a-4-2は以前から、SCP-XXX-JP-a-4-1の著書を読むことが出来ていた。SCP-XXX-JP-aに分類される人物が文書を公開したり、SNSなどを利用したりすることに問題は無いということだ。

補遺:現在、財団本部、各支部と連携して、新たなSCP-XXX-JP-a実例の調査が進められています。警察無線の傍受、郵便物の誤配記録の調査、各種SNSの会話の監視などが実施されています。

この現象が日本で発見されたのは、単に人口密度が高く、情報通信が発達しているからだと私は考える。この現象は近年日本で発生したものではなく、偶然日本で多く顕在化しただけなのだろう。故に、世界的な調査が必要だ。
しかし、我々は常に後手に回らざるを得ない。SCP-XXX-JPの候補は、地球上に3.2×1019通りも存在しているのだ。 -SCP-XXX-JP研究主任 ███ ██