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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその周囲10kmが原生自然環境保全地域の立入制限地区に指定されており、制限区域境界に設置された監視塔と監視衛星により常に侵入者が監視されます。侵入者が発見された場合は直ちに機動部隊により確保され、クラスA記憶処理が実行されます。

各SCP-XXX-JP-1は桐箱に入れられ、サイト-8181の小型物品収容庫に保管されます。

201█/12/02 追記: SCP-XXX-JP-1を扱う場合はサイト管理官の許可を得なければなりません。その場合、職員には手袋の着用が義務付けられる他、桐箱から取り出す時間を可能な限り短くすることが推奨されます。

説明: SCP-XXX-JPは██県の██平野内、座標にして███°██’██”█, ███°██’██”█に存在する建造物です。外見は茅葺き屋根の平屋であり、江戸時代の一般的な庄屋の屋敷に類似しています。

SCP-XXX-JPに辿り付けるのは

  • SCP-XXX-JPを訪れた事がない
  • SCP-XXX-JP-1を視認(写真・映像を含む)したことがない
  • SCP-XXX-JP-1に物理的接触をしたことがない

上記3つの条件を満たす対象に限定されます。条件を満たしていない対象がSCP-XXX-JPに接近した場合、SCP-XXX-JPから約500mの地点で██平野内のランダムな位置にワープします。

SCP-XXX-JPの内部は一般的な日本様式の物であり、間取りや内装に特異な点は見られません。SCP-XXX-JPの内部は埃が積もっておらず清潔に保たれていますが、SCP-XXX-JPに人が棲んでいる痕跡は現在まで発見されておらず、内部で人影を見たという報告もされていません。SCP-XXX-JPの各部屋には大量のSCP-XXX-JP-1が設置されています。

SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPの各部屋に設置されている陶器群です。SCP-XXX-JP-1の形状は茶碗や湯呑みなど様々であり、色や大きさも一貫しません。各SCP-XXX-JP-1には裏印として[編集済]の文字が記されていますが、過去にその印を用いた陶芸家の記録は現在まで発見されていません(補遺2を参照)。SCP-XXX-JP-1の芸術的価値はほぼゼロであると専門家により鑑定されています。

SCP-XXX-JPへ到達した対象はSCP-XXX-JP-1を1点のみ持ち帰ることが可能です。2点以上持ち帰ろうとした場合、SCP-XXX-JPから退場する瞬間に1点を残してそれ以外がランダムで消失します。何も持たずに帰ろうとした場合、SCP-XXX-JPから退場する瞬間に対象の手に1点のSCP-XXX-JP-1が握らされます。対象がSCP-XXX-JPから退場した瞬間、対象はSCP-XXX-JPから約1kmの地点へワープします。

SCP-XXX-JP-1を持ち帰った対象はSCP-XXX-JP-1が非常に芸術的価値の高い陶芸品であると信じ、その素晴らしさを周囲の人間に宣伝するようになります1。SCP-XXX-JP-1の価値を否定された場合、否定した人物に対して攻撃的になり、場合によっては相手に直接的暴力を行使します。これは対象にクラスA記憶処理を施すことで回復します。SCP-XXX-JP-1自体に異常性は見られず、対象以外が手にしても精神影響を受けることはありません。 対象以外の人物が長時間2SCP-XXX-JP-1を視認(写真・映像を含む)する、物理的に接触するなどしてSCP-XXX-JP-1に関わった場合、SCP-XXX-JP-1が非常に芸術的価値の高い陶芸品であると徐々に信じるようになります(補遺1参照)。

発見: SCP-XXX-JP発見のきっかけは、201█/██/██に██県のローカル局で生放送された、「一般人が持ち寄ったお宝をプロが鑑定して値段を付ける」といった内容の番組です。当放送にて自身が持ち寄った茶碗を何の価値もないと評価された3████氏が異常に激昂して鑑定士に殴りかかり重症を負わせ、逮捕後も留置所内で同様の事件を複数回起こしていることが財団職員の関心を引きました。留置所にてインタビューを行った結果、██平野にて奇妙な屋敷を見つけたこと、そこで茶碗を1点持ち帰ったこと、玄関を出た途端に別の場所にいたこと、などの証言を得ました。その証言を元に██平野の探索が行われ、SCP-XXX-JPの発見に至りました。

実験記録:

実験XXX-JP-A - 201█/4/15
対象: D-142742
装備: GPS付き無線機、ビデオカメラ、各種バッテリー
手順: 無線機からの指示によりSCP-XXX-JPの座標まで誘導。
結果: 1時間後にSCP-XXX-JPに到達。GPS、無線機、ビデオカメラ共に正常に作動。ビデオカメラでSCP-XXX-JP内を撮影した後、職員の指示したSCP-XXX-JP-1を持ち帰るよう指示。指定されたSCP-XXX-JP-1を持ち玄関を出た瞬間、D-142742の座標はSCP-XXX-JPから約1kmの地点へワープした。帰還後、D-142742は職員に対してSCP-XXX-JP-1を財団施設の標準の備品とすることを主張した。

注記: 装備に関しては以降の実験でも同様とする。

実験XXX-JP-B - 201█/4/16
対象: D-142742
手順: 無線機からの指示によりSCP-XXX-JPの座標まで誘導。
結果: D-142742は「こんなことをしている時間はない。あの素晴らしさをより多くの人に伝えなければ」と主張し移動を拒否したが、「指示に従えばSCP-XXX-JP-1を財団施設の標準の備品にすることを検討する」と説得。誘導を開始するも、GPSによりD-142742がワープしたことを観測。同様の現象を4回記録した3時間後、D-142742には帰還が命じられた。その後、クラスA記憶処理を施され精神影響から回復。
研究員メモ: 同じ対象がSCP-XXX-JPを2度訪れることは出来ず、対象も積極的に行おうとはしないようだ。 - ██博士

実験XXX-JP-D - 201█/5/3
対象: D-188219
手順: 無線機からの指示によりSCP-XXX-JPの座標まで誘導。
結果: 1時間後にSCP-XXX-JPに到達。ビデオカメラでSCP-XXX-JP内を撮影した後、SCP-XXX-JP-1を持ち帰らないよう指示。玄関を出た瞬間、D-188219の座標はSCP-XXX-JPから約1kmの地点へワープし、その手にはSCP-XXX-JP-1が握られていた。帰還後、D-188219はSCP-XXX-JP-1の素晴らしさを熱弁し、それを適当にあしらった職員に対して暴力をふるおうとして取り押さえられた。その後、クラスA記憶処理を施され精神影響から回復。

実験XXX-JP-E - 201█/5/9
対象: D-158292
手順: D-188219が持ち帰ったSCP-XXX-JP-1を見せ、芸術的価値を感じないことを確認。その後、無線機からの指示によりSCP-XXX-JPの座標まで誘導。
結果: GPSによりD-158292がワープしたことを観測。同様の現象を3回記録した2時間後、D-158292には帰還が命じられた。
研究員メモ: どうやら既にSCP-XXX-JP-1を見たことがある対象はSCP-XXX-JPに辿り着けないらしい。オブジェクトの性質から推測するに、SCP-XXX-JPの目的はSCP-XXX-JP-1の価値を認めさせることのようだが…。何か引っかりを覚える。 - ██博士

実験XXX-JP-I - 201█/5/17
対象: D-138271
手順: 無線機からの指示によりSCP-XXX-JPの座標まで誘導。
結果: 1時間後にSCP-XXX-JPに到達。ビデオカメラでSCP-XXX-JP内を撮影した後、SCP-XXX-JP-1を持ち帰らないよう指示。この際にD-138271は2点のSCP-XXX-JP-1を手に引っ掛けて落下させ破損させる。次の瞬間、D-138271の座標はSCP-XXX-JPから約1kmの地点へワープし、その手にはSCP-XXX-JP-1が握られていた。帰還後、D-138271は「SCP-XXX-JP-1を重要文化財に指定するべきだ。担当者と話をさせろ」と主張を繰り返した。クラスA記憶処理が実行されたが回復せず、その後終了された。
付記: クラスA記憶処理を施しても対象が精神影響から回復しなかった唯一の例。

補遺1: 201█/11/27、SCP-XXX-JPの担当研究員である██博士がSCP-XXX-JP-1を自身のオフィスで使用し、研究補助員らにそれを自慢している様子がサイト管理官により発見されました。その後、██博士は査問委員会により査問にかけられました。以下はその抜粋です。

回答者: ██博士
質問者: ███管理官

<抜粋開始>

███管理官: ██博士、なぜ査問にかけられているか理解していますか?

██博士: 業務をサボっていたからだろう?確かに多少サボってはいたが少々厳し過ぎはしないかね?

███管理官: …まあ良いでしょう。何故SCP-XXX-JP-1を私的に使用したのですか?

██博士: あんなに素晴らしい湯呑みなんだ。使わないと失礼じゃないか。

███管理官: …なるほど。しかし専門家は芸術的価値はほぼ無いと言っていましたね。

██博士: それはその専門家の目が節穴なんだろうさ。

███管理官: 貴方も以前、SCP-XXX-JP-1に対して凡庸な出来だと評価していたように記憶していますが。

██博士: そんなことも言ったかな。まぁ、あの頃は私も陶芸に関する見識が浅かったからね。あれは間違いなく良い物だよ、そう思うだろう?

███管理官: …ええ、そうですね。研究補助員達はSCP-XXX-JP-1に対してどのような感想でしたか?

██博士: 以前は理解が無かったが、徐々に良さを分かってくれるようになったよ。見る目のある部下を持って私は幸せだね。

<抜粋終了>

査問終了後、██博士や研究補助員に対して精神鑑定や周辺調査が実施された結果、SCP-XXX-JP-1自体にも特異性があることが判明し、収容プロトコルが改定されました。██博士や研究補助員に対してはクラスA記憶処理が施され、担当者は変更されました。

補遺2: 202█/7/22、江戸時代の有名な陶芸家である████が、SCP-XXX-JP-1に記されている裏印を使用していたことを示す資料が発見されました。この陶芸家は生前は全く評価されず、死後百年以上を経て評価されるようになったことが知られています。現在評価されている████の作品が純粋な芸術的価値によって評価されているのか、SCP-XXX-JP-1と同種の特異性によるものなのかの判断は困難を極めており、調査は継続されています。