アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、人口惑星[はごろも]によって監視されています。20██年に木星重力に引かれて速度が上昇し、最終的には太陽系外へ脱出することが予想されています。20██年に[はごろも]とのランデブーが成功し、現在はマニピュレーターによって固定されています。[はごろも]のスラスター残量がわずかとなったため軌道を修正することができず、有効な収容計画は立案されていません。
説明: SCP-XXX-JPは軌道長半径 3.15 AU 公転周期 5.6年 の軌道を破壊された宇宙船と共に周回する、宇宙服を着た司令船操縦士の死体です。20██年、月軌道を周回中の███宇宙船に7 cm 程度の隕石が衝突し、月着陸探査船に乗っていた2名は即死しました。司令船に乗っていた司令船操縦士は即死は免れましたが、推進システム制御に障害が発生し、連続した点火のため現在の周回軌道まで加速しました。司令船操縦士は外壁の破損に伴う減圧と宇宙服内の酸素の消耗によりやがて死亡。その後船内カメラによって特異性の発現が確認されました。JAXA内部の財団エージェントによって職員にクラスA記憶処理が行われ、通信途絶したというカバーストーリーを適用しました。また同様のカバーストーリーにより[はごろも]のコントロールを財団に移行しました。
SCP-XXX-JP 周辺では、日本の宗教儀式が小さなスケールで再現されます。以下の各段階は約24時間ごとに遷移し、7段階目が終わると1段階目に戻ります。1 | 宇宙服の腹部に高さ 14 cm ほどの太鼓櫓が立ち、周囲に数本の低いポールが発生します。 |
2 | 太鼓櫓の上部に太鼓が設置され、以降無線通信により時折太鼓の音が流れます。 |
3 | 櫓の周りに紅白の布がまかれ、太鼓、笛等の楽器による音楽が流れ始めます。この音楽は███地方の夏祭りで使われる祭囃子との類似が指摘されています。 |
4 | 櫓からポールに向かって細い紐が伸び、紐に赤い光体がつり下げられます。 |
5 | 宇宙船内全体に屋台が立ち並び、複数の人間が話しているような、ざわざわとした音が流れます。 |
6 | 宇宙船内は白い紙人形のような存在であふれ、櫓の周りを踊りながら回り、周囲の空間に小さな破裂音と共に瞬間的な様々な色の光点が広がります。 |
7 | 櫓が燃え、紙人形達は人間であれば親密だといえるような様子を見せます。燃え尽きた後はすべて消失します |
[はごろも]のドッキング後、SCP-XXX-JPは144 MHz の無線通信機能を有することが判明しました。司令船操縦士のもとの思われる人格と意思疎通が可能です。SCP-XXX-JPは体内の水分を失いミイラ様となっていますが、何らかの形で人格を保っていると思われます。
補遺: このSCP オブジェクトの発見を受け、財団では現宇宙飛行士および元宇宙飛行士の現実改変能力テストを行いましたが、特筆すべき結果は得られませんでした。