Friendboy42
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid (Keterへの再指定について検討中)

特別収容プロトコル: 現時点でSCP-XXXX-JPの完全な収容は不可能です。収容法を考案した職員は、収用法を申請してください。また、当該オブジェクトの影響と推測される現象を発見、または疑いを持った場合も同様に報告してください。

サイト-81██職員は、フロント企業である『創宙出版社(Sou-Chu Publishing)』または『創宙プロダクション(Sou-Chu Production)』の社員の身分を必要に応じて名乗り、情報を収集してください。また、その影響が危険であるとサイト-81██および日本支部理事の1名以上によって判断された場合、機動部隊お-1(”オワコン”)を派遣します。必要に応じて、記憶処理を被影響者に行っても構いませんが、多くの場合効果はごく短期間に限られると考えられています。

国外のSCP-XXXX-JPに関しては、規模や対象に応じて現地財団スタッフへの調査依頼または共同調査を行うことが規定されています。詳しくは付属文書XXXX-JP-Pを参照してください。

説明: SCP-XXXX-JPは、共通する特徴を持つ現象の総称です。個々のSCP-XXXX-JP現象群は特定の対象に関して、その影響を受けた人物(以下、被影響者)に対して好ましいと考えさせるような心情の変化をもたらします。それぞれの効果は、対象が属するカテゴリに興味を持っている人間には強く作用し、そうでなければまったく作用しません。例として、SCP-XXXX-JP-3は、ファッションに興味を持っている人間には強く作用する一方で、ファッションにこだわりを持たない人間には奇抜な服装と捉えられる傾向があります。

SCP-XXXX-JPの被影響者は対象について、それが流行であるとは考えておらず、自らそれを好きになったと考えます。他の被影響者についての情報を与えられても、通常は「たまたま自分と同じような嗜好を持つ人間がいる」という結論を導きます。SCP-XXXX-JPの効果を説明され理解した場合でも、嗜好に関しての影響自体は強く受けます。SCP-XXXX-JPの影響が消失するまでの期間は、個々のSCP-XXXX-JPによっても異なり、また被影響者によっても大きく個人差があります。

SCP-XXXX-JPの対象になったものには、一貫した共通性はありません。付録-XXXX-JP-Aは、対象になったものについてのリストの抜粋です。現在確認されている完全なリストは付属文書-XXXX-JP-Aを参照してください。

付録-XXXX-JP-A: SCP-XXXX-JPの対象になったもののリスト
指定番号 対象 備考
SCP-XXXX-JP-1 ██社から発売されている『██水』 ██社はもともと日本の小規模な健康食品取扱い業者であった。『██水』の科学的効能は一切証明されていない。後にSCP-XXXX-JP-1の影響がなくなったことで訴訟が相次ぎ、██社は倒産した。
SCP-XXXX-JP-3 ██社が20██年に発売した鞄『████』の柄 1年後の20██年にSCP-XXXX-JP-3の影響から、特に10代・20代の女性客に購入され、全国のアパレルショップにおいて売り切れが相次ぐようになった。██社はその商品を失敗と見なしており、再販の予定はない。他社から類似のデザインの鞄や服、小物が発売され、やはり好評を博したが、ファッション誌ではあまり取り上げられず、一方で経済誌や漫画雑誌などではしばしば取り上げられた。
SCP-XXXX-JP-15 ██国██党を応援する政治活動 ██党は昨年まで、過激な政策を掲げ、██国の国民から反発を受けていた同国の野党であった。今年の総選挙において、有権者の多くが██党のマニフェストを支持し、██党の応援のためにWeb上でのキャンペーンを行っていた。しかし支持者は期間を追うごとに増加しているにも関わらず、キャンペーンを見て興味を持ったと答えた支持者は皆無であり、政策を支持すると回答した。
SCP-XXXX-JP-17 ブラウザゲーム『████████』のキャラクター『██』 複数のイラスト投稿サイト・動画投稿サイトにおける『██』のタグがつけられた作品は前年比の141倍にも登っている。なお『████████』というゲーム自体は安定期に入り、かつて程の熱狂的な流行は落ち着いており、『██』は初期の頃から存在しているもほぼ端役に近いキャラクターである。 『██』が以前ブームになったことはなく、他キャラクターと特徴が大きく被ることをわずかに話題にされていた程度である。
SCP-XXXX-JP-22 走行中の電車の窓を割り、対抗電車の前に飛び降りる自殺 主に東京都内の電車で多く発生している。自殺を試みた人間はいずれも10代から20代の若者であり、自殺を志願する理由に統一的なものはなかった。現在2██件発生しており、マスメディア各社は関連を調査しているものの、現時点行われている自殺未遂者のインタビューでは、例外なく「他の自殺に影響を受けていない」という答えであった。現在、財団所属のカウンセラーによって、自殺未遂に終わった人間の監視を兼ねた「いのちの大切さ」の教育が行われている。
SCP-XXXX-JP-32 ホームレスの襲撃 20██年██月から同年██月にかけてホームレスを狙った暴行事件がアメリカで多発した。多くはホームレスが集めていた金銭を奪っている。その後、英語圏でホームレスを狙った犯行が相次いだ。犯人たちはいずれも「たまたま見かけてむしゃくしゃしてやった」と供述している。
SCP-XXXX-JP-34 アニメ『█████』 『█████』は196█年に日本で放送を開始したアニメーション作品。アラブ首長国連邦から日本に『█████』のキャラクター商品が大量に発注されたことで注目を集めた。現地の富裕層の間で『█████』が人気があることが判明したが、それぞれの発注者は『█████』という作品がアラブ首長国連邦で放送されたあと、2年ほど経ち独立に愛好するようになったことが判明している。
SCP-XXXX-JP-41 ニコニコ動画やYoutubeに動画を投稿している████氏(ハンドルネーム:有村絵加) かつてエージェント・上底が動画の投稿者として活動していた頃、友人だったと証言している。エージェント・上底によれば、「見た目はかわいらしい女性であったが、発言が過激なことからしばしば炎上していた」とされ、実際に確認される限りでも20██年までの動画は否定的なコメントが多く寄せられていた。20██年からはそのようなコメントが一切見られず、代わりに容姿を褒めるようなコメントが増加している。なお████氏の発言はSCP-XXXX-JP-41の発生から更に過激になっており、差別発言と見られる言葉を発する頻度が増加している。
SCP-XXXX-JP-45 生物型アノマリー(後にSCP-████に指定) 蛇の手、サーキック・カルト、壊れた神の教会をはじめとする複数のGoIによって乱獲が行われている。総数ははっきりしないものの、[編集済]特性の悪用を懸念し、財団と世界オカルト連合は共同で全個体の収容または破壊を目的とする計画を進めている。ただしSCP-████の生息域が非常に広範であることから、生息域の完全な封鎖は不可能であり、財団やGOCの職員の中にも無断で捕獲している者がいることが推測されている。[編集済]特性はサーキシズム、メカーニズムにとって好まれない特性であるにも関わらず、乱獲を続けていることから、SCP-XXXX-JP-45の影響力は非常に強いものと思われる。

付記: SCP-XXXX-JP-3について、影響を受けたエージェント・上底は記憶処理を要求しました。20██/██/██、20██/██/██に計2回記憶処理を行いましたが、20██/██/██に3度目の記憶処理の要求がなされたことから、エージェント・上底に事情の説明を行い、要求を却下しました。このことから、流行しているSCP-XXXX-JPの影響は、本人が対象、ないし対象のジャンルに興味を失わない限り受けると推測されます。記憶処理を行う場合は、そのことを留意してください。

インタビュー記録-XXXX-JP-A: 以下はエージェント・上底がSCP-XXXX-JP-3について、創宙出版社のティーンズ向けファッション雑誌『超絶☆可愛☆計画(Super Cutie Project)』の記者として行ったものです。

対象: アパレルショップチェーン『████』経営者・██氏、及び██社営業課・███氏

インタビュアー: エージェント・上底文香

付記: 本インタビューは雑誌に掲載することを前提としたものと説明しており、内容の一部は実際に『超絶☆可愛☆計画』20██年██月号に掲載しました。以下は雑誌未掲載分を含むインタビューの一部の抜粋です。完全なインタビュー記録は付属文書-XXXX-JP-Aを参照してください。なお両氏は男性であり、SCP-XXXX-JP-3の効果を直接受けていないこと、エージェント・上底がSCP-XXXX-JP-3の効果を受けていること(本調査に関わるうえでその効果に自覚的である)に留意してください。

<録音開始>

エージェント・上底: 上底です。本日はよろしくお願いします。

██氏: ██です。よろしく。上底さんとのインタビュー、数えてみたら今回で7回目なんだね。

███氏: ███です。よろしくお願いします。時々創宙さんにはお世話になっていますよね。

██氏: 上底さんの今日のバッグ、今回のテーマに合わせてきたの?

エージェント・上底: これは実際に普段から使っていますよ。

███氏: やはり流行に合わせてですか?

エージェント・上底: いえ、自分がいいなあと思ったので購入しました。

██氏: とすると…やはり、「流行であるとは思っていない」のかな?

エージェント・上底: そうですねえ……編集長から、「それ最近の流行のだよね」と言われるまではブームだと気付いてませんでした。

███氏: ふむ……記者の方もそうおっしゃるんですねえ。

██氏: うちのお客さんもみんな「流行だよね」って聞くと「流行ってわけではない」っていうんですよね…いや、███さんには申し訳ないけど。

███氏: いえいえ、大丈夫ですよ。実は私、再販について会社で主張したのですが、その際に「あれは一度失敗したわけだし再販してもコケるだけだよ」と言われてしまいまして…。売上のデータを示しても首を縦に振らなかったんですよ。

██氏: どうりでなかなか再販がかからなかったんですね。うーん、似たようなのを他社から仕入れるとかなり売れるし、本物を出して欲しいんだけどなあ。

エージェント・上底: 最近はバッグだけでなく、ナップサックやシャツ、スカートまでこれを意識したカラーリングの商品増えてますよね。

██氏: 上底さん、普段は結構ファッションについて先の流行を見通すの得意なのに、これは予想してなかったの。珍しいね。

エージェント・上底: そうですね……なんででしょう?いつもは結構びびっと来るんですけど。しかも自分が愛好してるんですけどね……。

███氏: そういうこともあるんじゃないでしょうか。それに、『超絶☆可愛☆計画』とのコラボという形であれば、やや話も通しやすいかなと思っていますよ。

エージェント・上底: 個人的にも欲しいですし、絶対商品化したいですね!

██氏: 絶対成功すると思うんだけどなあ。もし通らなかったら私も一緒に直談判に行きますよ。

███氏: ありがとうございます。頑張って話を通してみます。

[以下、直接本調査に関係しない話が続くため省略]

終了報告書: 本インタビュー後、██社から実際にSCP-XXXX-JP-3に関係する商品を、『超絶☆可愛☆計画』及びアパレルショップチェーン『████』とのコラボレーションという形で販売され、全国で売り切れが相次ぎました。また、本インタビューの一部を掲載した『超絶☆可愛☆計画』20██年██月号にもSCP-XXXX-JP-3の柄のポシェットを付録としてつけたところ、全国の書店で売り切れが相次ぎ、重版を含めて前月比で約3倍の売上になりました。一方で、読者からのはがき及びウェブフォームでは、「これは私は好きだが流行りではないと思う」「個人的には好きだがコラボとして販売して採算が取れているのか不安だ」という反応が2███件ほど寄せられました。

上記インタビューと同じ時期に、創宙出版社から発売したビジネス誌『SCoop Present』、漫画雑誌『週刊コミック・プラス』、小学生向け学習雑誌『小学クラフトプロジェクト』でSCP-XXXX-JP-3について取り上げた記事を掲載したところ、男性読者からは「なぜあんな柄が流行るのかわからない」などの、流行としてそれを認識している反応がのべ4███件寄せられた一方で、女性読者からは「あの柄は個人的には好きだが、ブームというのは大袈裟ではないだろうか」という反応が6██件ほど寄せられました。