アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはオホーツク海上の離島に建つサイト-8196にある標準物品収容ロッカーに収容されます。SCP-XXX-JPによる異常現象が発生した場合、担当職員はそれを記録してください。
説明: SCP-XXX-JPは異常性のある穴の開いたティッシュペーパーです。通常のティッシュペーパー同様、材質は木材パルプです。SCP-XXX-JPは不定期に、オブジェクトの半径約6kmの範囲に、金属製品などの本来そこにあるはずのない物体が無数に降り注ぐ異常現象を引き起こします。(この異常現象によって降り注ぐ物体をSCP-XXX-JP-1と指定。)
201█年1月4日、██県██村に帰省していたエージェント・魚沼から、「モリアオガエルが降っている」との報告があり、財団が調査を行ったところ、エージェント・魚沼の次女にあたる、魚沼██さんの学習机の上にてSCP-XXX-JPが発見されました。
サイト-8196におけるSCP-XXX-JPによる異常現象発生事例
ログXXX-JP-1 - 日付2014/06/22
SCP-XXX-JP-1: 一般的な甘酒
継続時間: 55分
被害: なし。
ログXXX-JP-3 - 日付2014/12/24
SCP-XXX-JP-1: 純金製の一寸鈴
継続時間: 80分
被害: 騒音により職員██名が精神疾患を発症。
どうにかしてSCP-XXX-JPを貴金属の生産に活用できないだろうか? - 相沢博士
ログXXX-JP-7 - 日付2015/09/23
SCP-XXX-JP-1: 一般的なステンレス鋏
継続時間: 33分
被害: 職員9名が重軽傷。1名が死亡。サイトの外壁が一部損傷。
ログXXX-JP-10 - 日付2015/11/17
SCP-XXX-JP-1: ティッシュペーパー█枚で包まれた人間の頭部。すべて同じ見た目をしており、顔立ちや頭部の形状は魚沼██さんのものに酷似していたが、DNAは相沢博士のものと一致した。
継続時間: 19分
被害: 職員12名が重軽傷。
ログXXX-JP-15 - 日付2016/06/30
SCP-XXX-JP-1: 学習机とイス。魚沼██さんの自室にあったものに酷似していた。机やイスの全体にクレヨンや油性マジックペン、[編集済]などで「キモイ」 「消えろ」 「しね」 「[編集済]」などの悪口が書きなぐられていた。
継続時間: 3分
被害: 職員13名が重軽傷。8名が死亡。サイトの外壁が一部損傷。
ログXXX-JP-18 - 日付2016/09/04
SCP-XXX-JP-1: 自動車。エージェント・魚沼の所有物に酷似していた。エンジンがかけられていた物もあった。
継続時間: [測定失敗]
被害: [削除済]
落下し、大破炎上したSCP-XXX-JP-1。(2016/09/04撮影。)
補遺: SCP-XXX-JPの発見時、魚沼██さんの机上にはSCP-XXX-JPの他に一般的な鋏と、ティッシュペーパーで構成された人間の頭部を模したと思われる物体(下記の画像を参照。)が置かれていました。また、魚沼██さんの姉に魚沼██さんの最近の様子についてインタビューを行ったところ、「██に特に変わった様子はなかったが、よく童謡『てるてる坊主 』を口ずさんでいた。」と供述しました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは異常性が消失したため、収容されていません。
SCP-XXX-JPはサイト-81██の標準人型オブジェクト収容室に収容されています。担当職員はSCP-XXX-JPと直接会話することを避けてください。監視カメラを通してSCP-XXX-JPを常に監視してください。SCP-XXX-JPが自殺や自傷を試みた場合、収容室内に設置された非殺傷性の音響兵器を起動し、鎮圧してください。SCP-XXX-JPの精神状態は非常に不安定であるため、ビデオ通話を用いた1日2時間の心理カウンセリングの受診及び、1日3回の精神安定剤の服用をさせてください。SCP-XXX-JPの要望に応じて書籍、音楽CD、DVDなどの娯楽物が支給されますが、内容を事前に確認し、事件-XXX-JP-1を想起させる恐れのあるものを除外してください。
説明: SCP-XXX-JPは戸籍上██県██市在住、氏名████と記録される収容当時(19██/08/08)32歳の日本人男性です。事件-XXX-JP-1時に心的外傷後ストレス障害を発症しているとみられ、過覚醒、抑うつ、事件-XXX-JP-1に関わる事象のフラッシュバック、事件-XXX-JP-1を想起させる事柄の回避、自傷などの症状がみられます。これらを治療する試みはすべて失敗に終わっています。
SCP-XXX-JPと5分間以上直接会話した人間は翌日、首吊りにより自殺します。(SCP-XXX-JPの影響を受けた人物をキャリアと呼称。)SCP-XXX-JPのキャリアがロープが存在しない、身動きが取れないなど物理的に自殺が不可能な状況におかれている場合でも不明な方法でロープを調達する、拘束を脱するなどして首吊り自殺を行います。19██/07/30までキャリアとなった人物が確認されなかったことから、異常性は後天的なものと推測されます。
追記:SCP-XXX-JPに身体的な損傷が与えられた場合、周囲にいる人間がキャリアとなるケースが確認されています。身体の損傷がなく、痛みや不快感のみ与えられた場合はこの限りではありません。損傷の大きさに比例してキャリアとなる人数も増えると考えられます。したがって、SCP-XXX-JPが自傷および、自殺の兆候を見せた場合、直ちに制止しなくてはなりません。
事件記録SCP-XXX-JP
事例番号 |
発生日時 |
概要 |
捕捉 |
事件XXX-JP-1 |
19██/07/30 |
████(SCP-XXX-JPの妻)及び███(SCP-XXX-JPの息子)が自宅の物干し竿にかけたロープで首を吊り死亡した。またSCP-XXX-JPは自宅のリビングにて発見された。自らの体をカッターナイフで何度も刺しており、多量の出血があったため救急搬送された。命に別状なし。 |
本事件は近隣の住民の通報により発覚した。 |
事件XXX-JP-2 |
19██/08/01 |
SCP-XXX-JP宅の近隣の住民██名が首を吊り死亡した。 |
本事件は財団の注意を引き、調査が開始された。 |
事件XXX-JP-3 |
19██/08/03 |
██病院の職員5名が院内のドアノブにかけたロープで首を吊り死亡した。 |
死亡した職員5名はSCP-XXX-JPに対する医療行為を担当した医師、看護師であった。この事件は院内に潜入していたエージェントにより報告され、これまでの事件でSCP-XXX-JPの周囲の人間が連続して不自然な自殺を遂げたことから、SCP-XXX-JPは検証後収容された。 |
事件XXX-JP-4 |
19██/01/08 |
SCP-XXX-JPが転倒し後頭部に軽い怪我を負う。それによってD-6099がキャリアとなり翌日排気ダクトの格子にかけたロープで首を吊り死亡。 |
特になし |
実験記録XXX-1 - 日付19██/08/11
対象:
SCP-XXX-JP、D-9187
実施方法:
SCP-XXX-JPとD-9187を直接会話させる。会話後、D-9187に精神鑑定を行う。
結果:
精神鑑定の結果、異常は無かった。D-9187は翌日、自室のドアノブにかけられたロープで首を吊り死亡。ロープをどのように調達したかは不明
実験記録XXX-2 - 日付19██/08/13
対象:
SCP-XXX-JP、D-9164
実施方法:
SCP-XXX-JPとD-9164を直接会話させる。会話後、D-9164を拘束して身動きを封じる。天井に取り付けられた監視カメラにてD-9164の動向を監視する。
結果:
D-9164は排気ダクトの格子にかけたロープで首を吊り死亡、監視カメラの故障により詳細不明。
実験記録XXX-3 - 日付19██/08/15
対象:
SCP-XXX-JP、D-9175
実施方法:
実験記録XXX-2と同じ
結果:
実験記録XXX-2と同じ
実験記録XXX-4 - 日付19██/08/19
対象:
SCP-XXX-JP、D-9188
実施方法:
ビデオ通話でSCP-XXX-JPとD-9188を会話させる。
結果:
D-9188が生存。
SCP-XXX-JPと直接会話しない限りキャリアとなることは無いようだ。今後、SCP-XXX-JPとの会話にはビデオ通話を用いることとする。-相沢博士
補遺1: SCP-XXX-JPは家族の遺品の一つとして、息子に書かれた日記を収容室内に持ち込んでいます。以下はその抜粋です。
7月21日 [判別不能]曜日 天気 はれ
今日はおとうさん、おかあさんと海に行った。きおんがあったかくて、とても気持ちよかった。砂浜で貝を拾ったり、海にぷかぷか浮かぶくらげをながめて、とっても楽しかった。砂浜で食べたお弁当はいつもよりおいしかった。昨日の天気予報では、雨になるっていってたけど、パパがてるてる坊主を作ってくれたおかげで晴れたみたい。パパありがとう。てるてる坊主さんありがとう。ママもおいしいお弁当をありがとう。
補遺2:
SCP-XXX-JPに対するインタビュー記録
対象: [SCP-XXX-JP]
インタビュアー: [相沢博士]
付記: [本インタビューはビデオ通話にて行われます。SCP-XXX-JPの精神状態が非常に不安定であったため、精神安定剤を投与しています。]
<録音開始, [19██/08/21]>
相沢博士: [SCP-XXX-JP。気分はどうですか?]
SCP-XXX-JP: [博士…気分は最悪です。最近、ひどい悪夢をみるのです。]
相沢博士: [どのような夢だったか教えてもらえませんか?]
SCP-XXX-JP: [(沈黙)]
相沢博士: [あなたの精神状態が悪化する恐れもありますし、辛ければ黙秘して構いません。]
SCP-XXX-JP: [いいえ、先ほどの薬のおかげかいつもより落ちついているのでどうにか話せそうです。]
相沢博士: [それでは、お願いします。]
SCP-XXX-JP: [19██/07/30に起こったことのフラッシュバックです。朝起きて、リビングのカーテンを開けると物干し竿にかけられたロープで首を吊った妻と息子が目に飛び込んできました。あまりに突然の出来事に頭の中が恐怖、驚愕、困惑といった感情で埋め尽くされパニックに陥りました。わけがわからなくなった私はカッターナイフで自分を何度も突き刺しました。やがて意識が薄れ、完全に気絶すると、夢の最初に戻りました。そうしてなんどもフラッシュバックを繰り返したのです。。
相沢博士: [ありがとうございます。]
SCP-XXX-JP: [博士…妻と子を失ってから、もう生きた心地がしなくなりました。何をしても気がまぎれず、あの事件のフラッシュバックに怯える日々です。私に死ぬことを許可していただけませんか?]
相沢博士: [それはできません。あなたが自殺を図るのであれば、我々にはそれを止める義務があります。]
SCP-XXX-JP: [そう…ですよね。]
相沢博士: [今のあなたは重い精神疾患を患っているようです。我々も治療に最善を尽くします。]
SCP-XXX-JP: [ありがとうございます。よろしくお願いします。]
<録音終了, [19██/08/21]>
終了報告書: [SCP-XXX-JPは事件XXX-JP-1により心的外傷後ストレス障害を発症していると推測されます。SCP-XXX-JPが自殺した場合、被害は計り知れません。直ちに医療部門より精神科医を手配するべきです。-相沢博士]
補遺3: 20██/07/30、SCP-XXX-JPが死亡しました。SCP-XXX-JPの遺体は収容室のカーテンレールに結ばれたロープによって首を吊られた状態でした。監視カメラが故障していたため、映像記録の確保は失敗しています。なお、この事件においてキャリアとなった職員はいませんでした。当該オブジェクトはNeutralizedに再分類されました。
収容室のテーブルの上には書置きが残されていました。その内容は以下です。
はじめまして、財団職員の皆様方。私は世間一般には「てるてる坊主」と呼ばれる存在です。私はあなた方がSCP-XXX-JPと呼ぶ方に顔をかかれて命をふきこまれ、その13秒後に首を吊られ殺されました。ですが、私はなぜか生きていました。正確にいえば幽霊になっていたのでしょう。透明化、飛行、壁抜け、怪力。幽霊はいろんな能力をもっています。その力でポルターガイストを起こしたり、生きた人間をそのまま使っててるてる坊主を作ったり、SCP-███-JPを作ったりして遊びましたが、飽きが来て次第に暇をもてあますようになりました。そろそろ成仏しようかなと思っていた時、偶然にも"彼"を見つけました。彼に恨みはありませんが、せっかくなので彼に復讐してから成仏することにしました。まず私は彼の家族をてるてる坊主にしてやりました。すると、彼はおもしろいほどに絶望したのです。彼の自殺を防ぎ、あの事件をなんどもフラッシュバックさせ、長いこと絶望を与えるにはどうしたらいいか、そこであなた方に彼を収容してもらうことを考え付いたのです。彼を異常なオブジェクトに偽装するため、さまざまな人間を殺しました。するとあなた方は面白いくらいに騙されてくれました。ですが、最近さすがに彼がちょっとかわいそうになってきたので楽にしてあげたのです。
彼は普通の人間です。あなた方は彼ではなく私を収容するべきだったのです。それができればの話ですが。この度は私の復讐、もとい娯楽に協力していただきありがとうございました。私はそろそろ成仏いたします。あの世でお会いしましょう、それまでお元気で。
P.S. それと財団職員の皆様にひとつ忠告を。自分で命を吹き込んでおいてそれをあっさり殺すのはやめたほうがいいです。彼のようにひどい目にあうかもしれませんから。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは異常性が消失したため、収容されていません。
SCP-XXX-JPはサイト-81██の標準人型オブジェクト収容室に収容されています。担当職員はSCP-XXX-JPと直接会話することを避けてください。監視カメラを通してSCP-XXX-JPを常に監視してください。SCP-XXX-JPが自殺や自傷を試みた場合、収容室内に設置された非致死性の音響兵器を起動し、鎮鎮圧してください。収容室内SCP-XXX-JPの精神状態は非常に不安定であるため、ビデオ通話を用いた1日2時間の心理カウンセリングの受診及び、1日3回の精神安定剤の服用をさせてください。SCP-XXX-JPの要望に応じて書籍、音楽CD、DVDなどの娯楽物が支給されますが、内容を事前に確認し、事件-XXX-JP-1を想起させる恐れのあるものを除外してください。
説明: SCP-XXX-JPは戸籍上██県██市在住、氏名████と記録される収容当時(19█/08/05)32歳の日本人男性です。事件-XXX-JP-1時に心的外傷後ストレス障害を発症したとみられ、過覚醒、抑うつ、事件-XXX-JP-1に関わる事象のフラッシュバック、事件-XXX-JP-1を想起させる事柄の回避などの症状がみられます。これらを治療する試みはすべて失敗に終わっています。
SCP-XXX-JPと5分間以上直接会話した人間は翌日、首吊りにより自殺します。(SCP-XXX-JPの影響を受けた人物をキャリアと呼称。)SCP-XXX-JPのキャリアがロープが存在しない、身動きが取れないなど物理的に自殺が不可能な状況におかれている場合でも不明な方法でロープを調達する、拘束を脱するなどして首吊り自殺を行います。19██/07/30までキャリアとなった人物が確認されなかったことから、異常性は後天的なものと推測されます。
事件記録SCP-XXX-JP
事例番号 |
発生日時 |
概要 |
捕捉 |
事件XXX-JP-1 |
19██/07/30 |
████(SCP-XXX-JPの妻)及び███(SCP-XXX-JPの息子)名が自宅の物干し竿に首を吊り死亡した。またSCP-XXX-JPは自宅のリビングにて発見された。自らの体をカッターナイフで何度も刺しており、多量の出血があったため救急搬送された。命に別状なし。 |
本事件は近隣の住民の通報により発覚した。 |
事件XXX-JP-2 |
19██/08/01 |
SCP-XXX-JP宅の近隣の住民██名が首を吊り死亡した。 |
本事件は財団の注意を引き、財団による調査が開始された。SCP-XXX-JPの周囲の人物が連続して不自然な自殺を遂げたことから、SCP-XXX-JPは検証され、異常性が発覚したため収容された。 |
実験記録XXX-1 - 日付19██/08/04
対象:
SCP-XXX-JP、D-9187
実施方法:
SCP-XXX-JPとD-9187を直接会話させる。会話後、D-9187に精神鑑定を行う。
結果:
精神鑑定の結果、異常は無かった。D-9187は翌日、自室のドアノブにかけられたロープで首を吊り死亡。ロープをどのように調達したかは不明。
実験記録XXX-2 - 日付19██/08/09
対象: SCP-XXX-JP、D-9164
実施方法: SCP-XXX-JPとD-9164を直接会話させる。会話後、D-9164を拘束して身動きを封じる。天井に取り付けられた監視カメラにてD-9164の動向を監視する。
結果: D-9164は排気ダクトの格子にかけたロープで首を吊り死亡、監視カメラのノイズにより詳細不明。
実験記録XXX-9 - 日付19██/08/13
対象: SCP-XXX-JP、D-9188
実施方法:
ビデオ通話でSCP-XXX-JPとD-9188を会話させる。
結果: D-9188が生存。
SCP-XXX-JPと直接会話しない限りキャリアとなることは無いようだ。今後、SCP-XXX-JPとの会話にはビデオ通話を用いることとする。-相沢博士
補遺1: SCP-XXX-JPに対するインタビュー記録
対象: [SCP-XXX-JP]
インタビュアー: [相沢博士]
付記: [本インタビューはビデオ通話にて行われます。SCP-XXX-JPの精神状態が非常に不安定であったため、精神安定剤を投与しています。]
<録音開始, [19██/08/19]>
相沢博士: SCP-XXX-JP。気分はどうですか?
SCP-XXX-JP: 博士…気分は最悪です。最近、ひどい悪夢をみるのです。
相沢博士: どのような夢だったか教えてもらえませんか?
SCP-XXX-JP: (沈黙)
相沢博士: あなたの精神状態が悪化する恐れもありますし、辛ければ黙秘して構いません。
SCP-XXX-JP: いいえ、先ほどの薬のおかげかいつもより落ちついているのでどうにか話せそうです。
相沢博士: それでは、お願いします。
SCP-XXX-JP: 19██/07/30に起こったことのフラッシュバックです。朝起きて、リビングのカーテンを開けると物干し竿にかけられたロープで首を吊った妻と息子が目に飛び込んできました。あまりに突然の出来事に頭の中が恐怖、驚愕、困惑といった感情で埋め尽くされパニックに陥りました。わけがわからなくなった私はカッターナイフで自分を何度も突き刺しました。やがて意識が薄れ、完全に気絶すると、夢の最初に戻りました。そうしてなんどもフラッシュバックを繰り返したのです。
相沢博士: ありがとうございます。
SCP-XXX-JP: 博士…妻と子を失ってから、もう生きた心地がしなくなりました。何をしても気がまぎれず、あの事件のフラッシュバックに怯える日々です。私に死ぬことを許可していただけませんか?
相沢博士: それはできません。あなたが自殺を図るのであれば、我々にはそれを止める義務があります。
SCP-XXX-JP: そう…ですよね。
相沢博士: 今のあなたは重い精神疾患を患っているようです。我々も治療に最善を尽くします。
SCP-XXX-JP: ありがとうございます。よろしくお願いします。
<録音終了, [19██/08/19]>
終了報告書: SCP-XXX-JPは事件XXX-JP-1により心的外傷後ストレス障害を発症していると推測されます。直ちに医療部門より精神科医を手配するべきです。-相沢博士
補遺2: 相沢博士によるSCP-XXX-JPとのの対話記録。
対象: [SCP-XXX-JP]
インタビュアー: [相沢博士]
付記: [本対話はSCP-XXX-JPが相沢博士との対話を強く求めたことにより行われました。対話はビデオ通話にて行われます。]
<録音開始, [20██/08/05]>
相沢博士: こんにちは、SCP-XXX-JP。酷く取り乱されているようですが、またフラッシュバックでしょうか。
SCP-XXX-JP: 博士、私は普通の人間です!
相沢博士: いいえ、あなたと直接会話した人間は自殺に追い込まれるのです。それは立派な異常性です。
SCP-XXX-JP: それは違います!ようやく気づいたんです。私と会話した人間は自殺するんじゃなくて奴に殺されるんです。これは私に対する復讐だったんです。私ではなく奴を収容してください!
相沢博士: どういうことですか?あなたは何をして、誰に復讐されているのですか?
SCP-XXX-JP: 何をしたって、何もしてませんよ。なぜ私は苦しまなければならなかったんですか!明日の晴天を願うことのなにが悪いんですか!
不明な声: その過程で命を奪っても?じゃあ復讐欲を満たすために命を奪うのも大して変わりませんよね。
SCP-XXX-JP:(悲鳴)
<不明な原因により通話が強制終了される>
<録音終了, [19██/08/05]>
その後、状況を確認するため収容室へ立ち入った職員によってSCP-XXX-JPの死亡が確認されました。SCP-XXX-JPの遺体は収容室のカーテンレールに結ばれたロープによって首を吊られた状態でした。SCP-XXX-JPの頭部は白い布がかぶせられ、スマイルマークが書かれていました。監視カメラには不明なノイズが発生していたため、映像記録が取れず本件の詳細は不明です。SCP-XXX-JPがどのようにして収容室にロープを持ち込んだかは不明です。当該オブジェクトはNeutralizedに再分類されました。
収容室のテーブルの上には書置きと日記帳のページ一枚が残されていました。
書置きの内容は以下です。
この度は私の復讐にご協力頂きありがとうございました。お礼と言っては何ですが、財団職員様にひとつ忠告を。欲求のために命を吹き込んだり、殺したりするのはやめた方が良いです。彼のような目にあうかもしれませんから。
日記帳のページの内容は以下です。
7月21日 [判別不能]曜日 天気 はれ
今日はおとうさん、おかあさんと海に行った。きおんがあったかくて、とても気持ちよかった。砂浜で貝を拾ったり、海にぷかぷか浮かぶくらげをながめて、とっても楽しかった。砂浜で食べたお弁当はいつもよりおいしかった。昨日の天気予報では、雨になるっていってたけど、パパがてるてる坊主を作ってくれたおかげで晴れたみたい。パパありがとう。てるてる坊主さんありがとう。