クレジット
タイトル: 異常歴史学のオリエンテーション
著者: ©︎FattyAcid
作成年: 2019
こんにちは。皆さん、異常歴史学研究室へようこそ。席について下さい。早速始めましょう。
私は鈴屋健蔵と言います。専門は鎖国下日本の超常コミュニティです。今回のオリエンテーションを担当します。テーブルのお茶はご自由にお飲み下さい。それから、質問もいつでもご自由にどうぞ。
さて、そもそもなぜ財団は歴史学者を必要とするのでしょうか。
超古代文明の兵器を収容するため?まあ当たらずとも遠からずです。
大きな理由の1つは、異常存在の収容や研究に歴史学の知識が必要であるからです。時空間転移してきた貴族や武士にインタビューしたり、異常存在にまつわる内容が書かれた古文書を解読したり、財団に歴史学者の仕事は沢山あります…質問ですか?はい、いいですよ。
- 先生は実際に時空間転移してきた人にインタビューをしたことがありますか?
ええ、あります。
と言っても時空間転移はある程度珍しい現象です、少なくとも人工的な輸送でない限りは。なので片手で数えられる程度です。非常に貴重なサンプルと言えますね。実際、文献以上に詳細な当時の話を聞くことができるわけですから、これ以上の研究材料はなかなかありません。そう言うわけで時空間転移してきた方々は歴史学者、それから民俗学者や心理学者にとっても興味深い研究対象なわけです。
- 歴史学者、民俗学者はわかりますが、心理学者にとっても興味深い研究対象というのはどういうことでしょうか?
えっと、私は専門外なので知り合いの心理学者から聞いた話をそのまますることにします。
物質は気体液体固体の三態を取る…というのは小学校の理科でやる話ですが、気体にさらにエネルギーが加わるとプラズマになり、固体をさらに冷却すると何とかアインシュタイン何とか…みたいな状態になるらしいです。つまる所、昔の物理学は所詮「身の回りの環境における物質」しか見ていなかったんですね。そして今の心理学もまた、彼ら曰く「現在の現実における知性」しか見ることができていないそうです、そういうわけで、違う時代や違う次元から来た知性体サンプルは異常心理学者の大好物なわけです。これ以上詳しいことは心理学の先生に聞いてください、歴史学の話に戻りますよ。
さて、我々の仕事のうちで最も多いのは古文書の解読関係です。この研究室にも古文書のコピーが山ほどありますし、皆さんが最初に割り振られる仕事もそれ関連でしょう。
日本支部設立後、蒐集院から引き継いだオブジェクトの関連文書については優先的に解読が進められ、60年代までには概ね全てデータベース化されました。とは言ってもオブジェクトの収容に直接関係しないため後回しになった資料はまだ残っていますし、散逸した資料が再発見されたり、あるいは新発見のオブジェクトの付随物として回収されることもあります。
間違えても不用意に読み上げたりしないで下さいね。一応、異常ミームや情報災害の検査はクリアしていますが、何が起きても知りませんよ。
-実際、何かが出てきたことがあるのですか?
もう1つは、歴史の研究をするためです。と言っても皆さんが財団の外で見てきた歴史ではなく、その裏で展開され、そして秘匿された、「裏の歴史」とでもいうべきものですが。
歴史のターニングポイントには多くの場合裏があります。皆さんが歴史の教科書で見た人物も実は裏の顔を持っていたかもしれません。何しろ財団の歴史学者の間では「明智光秀は蒐集院のメンバーだった」という説が有力視されていますから。
私の研究分野から一例を挙げましょう。
佐賀県に行ったことのある方はいらっしゃいますか?行ったことはなくても、場所くらいは知っているでしょう。そう、長崎の東側ですね。その場所こそが重要です。長崎は鎖国下にあって唯一西洋と触れられる場所であり、佐賀藩はその警備を幕府から命じられていました。つまり西洋由来の異常物品は幕府や朝廷、つまり蒐集院の勢力より先に佐賀藩の目に触れていたと考えられます。
1852年に佐賀藩が設立した精錬方という組織をご存知でしょうか。これは表の歴史でも知られた、当時としては珍しい科学研究機関ですが、その裏の顔は異常物品を研究する組織だったという仮説が提唱されています。実際、現地での発掘調査の結果は明らかに異常な構成の機械類や日本語に翻訳された魔道書などの存在を認め、仮説の検証に一歩近づきました。
その後佐賀藩は戊辰戦争において大きな戦果を挙げ、内閣総理大臣の大隈重信を始め、政界で重要なポストに就いた人物を多く輩出します。異常技術の兵器としての実用化に成功していたのか、藩出身者にも裏の顔があったのか。これらが今後の課題です。
さて、その今後を担う若き学者の皆さんにこのお話ができた事、大変嬉しく思います。埋もれた歴史の影を照らし出す事に興味があるなら、異常歴史学研究室は皆さんを歓迎します。次は仕事場でお会いしましょう。
翻訳中
以下は、1938年にSCP-ES-041と共に発見された粘土板の一部の翻訳です。粘土板には、象形文字、ヒエログリフ、古代ギリシャ文字が書かれていました。大きさは様々ですが、平均すると22cm×54cmです。31個の粘土板のうち、15個は状態が悪く、10個は破損していました。最古のものは少なくとも紀元前10世紀のもので、ギリシャ語で書かれた最新のものは3世紀のものです。
研究の結果、これらの粘土板の断片は巨大な文書の一部であると推測されています。その文章は”生命の書”として知られており、偉大なる緑の神のカルトにおける神聖な文書です。その全体は現存しないとされています。
事件SA-L65235において、全ての粘土板はアンタレス協会により奪い取られました。しかしそれらの写真記録を基に、翻訳を続けることができました。
I
魚を神と崇めるものは愚かである。魚はただ食べ物であり、そのヒレを動かす事しかできず、その煌めきは単なる光の反射である。魚は神ではない。
ワニを神と崇めるものは愚かである。ワニはその牙で恐れられているだけだ。ワニは人間を獲物としか思っておらず、人間が捧げる宝石に感謝などしていない。
ジャッカルを神と崇めるものは愚かである。ジャッカルは腹をすかせて墓の周りをうろついているだけであって、冥界の守護者などではないし、死者を導いたりもしない(以降は破損して失われている)
猫を神と崇めるものは愚かである。猫は謎でも恵みでもない。その半開きの目はただ眠いからであって、目の中に秘密を隠したりなどしてはいない。
スカラベを神と崇めるものは愚かである。スカラベはただ糞を集めているだけで、太陽を動かしたりなどしていない。
ファラオを神と崇めるものは愚かである。ファラオは普通の人間よりも強い権力を持つが、それは絶対的な力ではない。我々と同じ人間である。飲み食いし、呼吸し、最後には死ぬ(以降は破損して失われている)
II
聖女アメナルディスは泣いて嘆願した。しかし彼女の涙は松明を持った男たちを止めることはできなかった。ついに彼女は自分の身と引き換えに聖なる木を守ろうとした。しかし斧を持った男たちはその若い身体には興味を示さなかった。男たちはは神の木を全て切り倒し、火の中に投げ入れた。彼女達は泣き、歯を食いしばって悲しみに耐えた。アメナルディスは自らもその火の中に身投げしようとしたが、松明の眼と斧の手を持つ男達に拘束され、神の木が燃えるところをただ見ていることしかできなかった。
IV
死者の裁判など存在しない。死者の心臓の重さを量る天秤と"真実の羽"など存在しない。死者を食らう女神などいない。恐れるな。
死後、真に恐れるべきことは悪しき土地 - 荒廃し乾燥したサソリが住む土地、根を張ることができないほど地面が硬い土地、鳥が種子を食べてしまう土地、あるいはせっかく芽吹いても雑草に負けてしまう土地、そのような土地の上に汝の種が落ちることである。
V
そして彼は人の皮を剥ぎ取り、その下にある肉と血を見せた。彼の肉は緑色で、彼の血は樹液のように白かった。そしてその血の滴り落ちたところには小さな芽が出て、紫色の花が咲いた。
VII
東方より別の神が現れた。 それは顔も名も体も無き神であり、その信者達はそれが他のどのような神々より上の存在であり、唯一神であり、他に神は無いと言った。彼らは他の神々は魂無き彫像に過ぎないと言ったが、自分たちも偶像崇拝を始めた。その偶像は1人の男が木に釘付けにされて鞭打たれている、血と苦しみの象徴であった。信者達にとって、彼の罪の苦しみと贖いが最も重要であり、その信仰に喜びは無かった(以降は破損して失われている)
その信者達は雑草のような勢いで増えた。一方で、真の信者は減っていき、そして彼らは傲慢で攻撃的になった。古代都市アレクサンドリアで、古き偽りの神々は名も顔も持たぬ新しき偽りの神と血を流し鞭打たれた男に打ち倒された。彼らの彫像は破壊され、セラペウムは燃やされ、打ち倒された。
IX
そしてイウェロットは彼のサンダルと衣服をはぎ取られ、灰と川底の黒い泥で覆われ、聖なる池の水を入れた鉢を両手に持ち、それを溢してはならないとされた。彼は2日間このまま、食べることも飲むこともせずに、嘆願の態度でひざまずき続けた。
泥が乾き、硬化した泥の彫像のようだった。3日目に達したとき、彼は聖なる池の水に浸され、泥が落ちて彼の肌が露わになった。と同時に彼の罪、特に木、草、葉と花を持つ全てのか弱き生き物に対する罪もまた露わになった。
彼の肌はまだ暗かったが、その肉は緑であった。
X
彼は獣の皮のサンダルと服に身を包んだが、彼の贖罪はまだ終わっていなかった。彼は王国の書記を務め、牧場の家畜の数やファラオの軍勢の無意味な勝利など、無価値な戯言をその遺体に記録するために、多くのパピルスを犠牲にしていたのだ。
そのために彼は任務を授かり、以前に木を傷つけた青銅の斧 - これもまた清めなければならない - を渡された。そして4日目の夜明け、ナイル川のほとりの高い草の中に隠れている者を見つけた。書記が使う紙を作るため、その材料となるパピルスを伐採する職人の集団である。イウェロットは彼らのことを知っており、そのうち2人とは知り合いですらあった。しかし、それは何も問題ではなく、イウェロットと彼の斧は、生き物達の命を奪った人間の血によって清められた。
XV
ラホテップはアーメスともっとも親しい人間であった。長い勉学の日々の中、彼らはパピルスや木の板の上にヒエログリフを書く練習をし、花崗岩のように固く結ばれた友情を育んだ。
彼らの友情は子供の頃からのものであり、彼らが年相応に遊びたがっていた頃に始まった。彼らの教育係は、彼ら2人に特権階級で安全な立場である書記になって欲しかったので、それ以外の仕事がどれほど難しく危険かについて大げさに話して聞かせた。そうして彼らの友情は中年まで続いた。しかし、ラホテップは変わってしまった。そして、アーメスは以前から彼の心の中に見知らぬ何かが見えるようになっていた。
ラホテップは不信心になり、神々に疑問を投げかけ始めた。彼は神々へ侮蔑の言葉を吐いた。神々を信者の祈りを聞く耳を持たぬ単なる石像と呼び、司祭階級を民の信仰と捧げ物に寄生するダニと呼んだ。
これら全ては他の誰でもない、アーメスの耳に囁かれた。しかし彼は自分の親友、ほとんど兄弟とすら呼べるもの運命を恐れた。彼は慎重に行動し、エジプトを守る古代の神々に背くことはなかった。だが彼の言葉は届かず、ラホテップは道を踏み外し、大きな罪を犯した。神によってではなく彼によって選ばれた、彼自身の運命は、神聖なる牡牛アピスを殺すことであった。そして彼はその肉を調理して食べ、より深く異端者へと堕ちた。
以下は、ベネズエラのメリダ同胞団(現在、ベネズエラが直面している経済問題のため、サンティアゴ同胞団の援助を受け、チリに移動しています)所属の同胞ゴンサロ・アリアスによる記録です。ゴンサロは、ブラジル北東部、サンタマリア・ダ・ライスネグラの廃村で行われたコンタクトの儀式のアンカーを務めていました。その村は、礼拝所で聖母マリアの像が発見されたことで我々の注意を引きました。その像の目からは樹液のような"涙"が絶えず流れており、その涙には植物の成長を促進する性質があります。像は苔で覆われ、礼拝所の中心に置かれ、棘のあるつるがその全体を守っていました。
このオブジェクトについて、"ゲート"あるいは"アバター"の可能性があるという説が唱えられました。したがって、我々、協会員のグループは、これを調査し、コンタクトの儀式を実行するために派遣されました。
この記録の写しは現存する全ての同胞団に送られます。そして金に刻まれた写しがファロスの大図書館に送られ、その知識は時代を超えて保存されるでしょう。
読み、反映し、そして学びなさい。
ブエノスアイレス同胞団 グランドマスター、エロイサ・マルティン=レベルテ
これは私が初めて書く記録です。儀式への参加は2回のみ経験しています。ただし、見学のみで儀式の実行役になったことはありません。記録に誤りがあるかもしれませんが、ご了承ください。
今回トリッパーを務めた同胞たちを以下に記します。
- チアゴ・ダ・シウバ マナウス同胞団 3階級徒弟。
- フェルディナンド・ダ・シウバ マナウス同胞団 職人。
- ネリー・フクハラ リオデジャネイロ同胞団 2階級徒弟。
- バレンティーナ・デ・オロスコ リオデジャネイロ同胞団 3階級徒弟。
- レオノラ・コラゾス ペルー、イキトス同胞団 職人。
シャーマンを務めたのは、マナウス同胞団の親方ゴンサロ・デ・モライス師です。
アンカー: 私自身(私は看護学生です。デ・モライス師は私に、覚醒剤だけでなく、トリッパーを即時にトランス状態から連れ戻す必要がある場合に備え、キーであるエンテオゲンの効果を無効にする拮抗薬を渡しました。)
キー:
同胞ネリーが提供したもの。リオデジャネイロの瞑想庭園の地下で育てられました。以下に記します。
Psilocybe semilanceata (シビレタケ)、俗に「マジックマッシュルーム」とも呼ばれ、北半球の国々では一般的なキノコです。
Psilocybe cubensis (ミナミシビレタケ)、メキシコではTeonanacatl (神の肉)や、「サン・イシドロの菌類」と呼ばれます。
「死者の指」あるいは「紫キノコ」、これもPsilocybe属の一種ですが、一般の科学で知られている種ではありません。
同胞レオノラが提供したもの。彼女自身が収集した素材を使って作成されました。以下に記します。
— アヤワスカ
ウニオン・ド・ヴェジタルのメンバーだった頃から、同胞レオノラはアヤワスカの作成と使用の両方について豊富な経験の持ち主です。
最後の鍵は、デ・モライス師によって提供された、"偉大なる緑の神"の種、"生命の樹"から採れた5つの熟した果実です。果実は生命の木を成熟するまで育てることに成功したことを意味し、我々は皆驚き、喜びました。木を育てようとする以前の試みは全て、数カ月以内に枯れ、失敗していたので、成長した1本の木は本当に価値のあるものでした。
(儀式の前日、私は儀式の薬に対する反応を見るためにアヤワスカの飲み物を与えられました。私は非常に酷い反応を恥ずかしく思います。数時間不快感を感じ、少しの幻覚作用も感じられませんでした。同胞たちはこれをよく理解し、私がこの儀式の記録係と、不測の事態が起こった場合の助けとなる、アンカーを務めるのが最善であると判断しました。)
第2のキー: クレタのラビュリントスが選ばれました。我々の瞑想庭園における小石が転がる道のように単純なものです。情報がほとんど知られていない、それがゲートであるかどうかすら分からないオブジェクトとのコンタクトの儀式が初めて行われるとき、一般的に用いられるものです。最初の数回でコンタクトができない場合は、より複雑な迷宮が使用されます。
場所: 礼拝所の中
清め: 最初のキーを使用する前に、私はトリッパーの心を清らかにするため、「結び目」を書く紙を彼らに与えました。回収した後、私はそれらをしわくちゃに丸め、儀式が終わったときにその破片を燃やすために破りました。
同胞ネリーの証言:
最初に白、次に黒。 白地に黒。
まっさらな雪原、白と黒の線、黒の線、雪が汚れる。雪ではなく白。
黒の線は、雪原の中で曲がり、広がり、伸び、2つに分かれる。図形、平行線。それは楕円。楕円の中に円、円の中に直線。突然空間が迷宮で満たされる。
私は迷宮を進む、まだ足りない。私は起伏と体積を与える。線が白の上に。角ができ、壁ができる。迷宮は立体で硬く、壁に囲まれている。私はその中をさまよい始める、中心はない、出口はない、端はない、作られた精神的イメージが失われる。自分がどこにいるのかわからない。それでも続ける。スフィンクスの謎に挑んだ旅人のように自分自身を失いたくない。
迷宮は続く。横には黒だけが見える、空には色が無い、下には白だけ。暗闇の中で明るく輝く、アリアドネの糸を辿る。私は辿る。迷ってしまわぬように。迷宮の中のテセウスは神聖な白い雄牛と女王の不倫の息子であり、アステリオンと名付けられ、迷宮(アーサー・エヴァンズによって発見され、彼は鉄やコンクリートのような冒涜的な材料を使ってそれを再建した)の中で何年も孤独に彷徨い続け、ほとんど頭が狂ってしまっていたが、7人の青年と7人の乙女の訪問で少し落ち着いたものの、それも長くは続かず、彼らの(私の)孤独を和らげ、廊下の砂の床を赤く染めことしかできないミノタウロスを探す。そして迷路は大きく、そしてそれはますます枝分かれしていく。廊下は砂浜で、壁は磨耗した灰色の石。部屋、飼い葉桶、水入れ、庭、井戸があり、偉大なる数14(無限)個の飼い葉桶、水入れ、庭、井戸があり、私はそれらを横切って進む。しかし終点、出口、外の世界、解放者が私を待っている場所へはたどり着かない。私の救世主はどんな存在ですか? それは雄の牛?それとも男の人?
— アリアドナ、それを信じるか? — テセウスは言った。 — ミノタウロスはかろうじて身を守った。
私は迷った。私は完全に迷ってしまった。私は何か得体の知れないもの、ずっと前に本で読んだことのある気のするものの中で迷った。ここはどこで私は誰?私は覚えていないけど、思い出すことができる。そのページが全ての海岸の砂のように数え切れない無限の本。それを燃やせば、煙が世界を覆い尽くすほど無限。少し安心したけど、メキシコの道を通ることすらしたくない。アラン・デ・リールとは誰?なぜ我々は球を恐れなくてはならないの?
アレフ! アレフ! 見てはいけない! 目を閉じて!見たら失ってしまう!
一番下の階層、右側に…
私はボルヘスの物語に囚われてしまった!私は一撃で迷路を破壊し、破片の雨が降る。破片は私の上に落ち、私を貫くが痛みはない。そして私が目を開いたとき、白には白しかなく、空も地面もなく、上も下もない。限りなく無限。私は地面に寄り添い、ボールのようにしわが寄っていて、何かに固執し、そして周りのすべてのものと同じくらい白く、私の心を清めようとする。私は本物ではないが純粋な思考の爪と歯でイメージにしがみつく。それは同胞タデウスからの贈り物。エンコミで発見された「角のある神」をかたどったブロンズ像。私はそれを指の下で全体として理解し、硬さと材質で理解した。私が迷宮の中、それを引き剥がすことがないよう、それは私を抱きしめた。
同胞レオノラの証言:
私は精霊を見た。背丈は5歳の子供ほどだったが、その顔は老人のようだった。彼の顔は暗く、しわが寄っていて悪意のある表情で、そして被っている麦わら帽子の陰で目が輝いていた。そしてその帽子は変化し、古く、ボロボロになった。精霊は1920年代の私の祖父のような服を着ていて、私をそれに触らせた。それは固い布で、その下には肉があった。そして私は彼の顔に触れた。その顔は不快でベタベタしており、私の指に黒いシミがついた。精霊は私に自分について来るように促した。私は恐怖を感じながらも、それに従った。歩き、飛び跳ね、精霊は建物に入っていった。その建物はかつては石でできていたようだったが、今ではそれは半分木になっていた。地面から成長して中央の部屋を占領し、屋根を越えて枝や葉や花を広げ、元の建物とその内部の全てを置き換え、根で舗装を壊した。石の床には色と石があり、色は形を形作り、石は図形やシルエットを作り、まるでペルセポリスや火で封をされたポンペイにあったようなモザイク画になっていた。
(Vi también un iglesia donde cada domingo se reunían los que aun temían al dios cristiano y a su infierno de azufre y llamas, y una mañana temprano ellos llegaban y veían con asombro y espanto como su Jesús, el Jesús crucificado en el altar mayor, ya no tenía una corona de espinas sino una guirnalda de flores, flores rojas y amarillas, y no había sufrimiento en sus ojos de madera sino alegría, y alguien arrojaba a la pila de agua bendita una semilla, quizás un frijol, y este se hinchaba, se expandía, rasgaba su piel y las raíces surgían veloces como tentáculos verdes, pero esto no aconteció aquí, sino que en otro lado)
Y pude ver a Jesús crucificado y gente sentada en misa y Jesús y sus doce apóstoles partiendo el pan y bebiendo su sangre en un cáliz y sus seguidores también comen de su carne y beben de su sangre y una vez más cada domingo y cada sábado y cada domingo…
Sabbath el ritual judío y ya no son judíos sino gentiles todos sus adoradores pero el árbol crece, rompe el piso y destroza el mosaico y ya no es Jesús dando su carne para que coman o dando su sangre para que beban y es reemplazado porque en su fe no hay alegría ni esperanza y es el Árbol de la Vida y es el Fruto de la Vida y es reemplazado y los nuevos feligreses creen en renacer como una semilla que cae en buena tierra y ya no comen la carne de su dios o beben la sangre de su dios porque su dios está en todas partes y en todos los bosques y en todas las praderas su dios está en todas partes donde la semilla espera por años y años y espera hasta que cae una gota de agua y la semilla brota y como un pequeño gusano algo se arrastra y fuerza a través de las partículas del suelo duras a causa de la sequía de años y ellos devoran a su dios y lo hacen a través de sus frutos y el duende me dijo que me alejará y me alejará y me alejará.