下書き
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPおよびSCP-XXX-JP-Aはサイト-8181の地下に設置された収容室に収容されます。収容室内には壁で仕切られたDクラス職員用独房が1つ設置され、内部には常にDクラス職員が1名待機するようにしてください。待機させる職員は、解雇予定のDクラス男性職員から、健康状態や勤務態度などを考慮し、収容担当者によって選ばれます。

収容室の周囲には立ち入り制限エリアが設けられます。エリア内に男性職員が侵入することは先述のDクラス職員以外には固く禁じられ、立ち入り制限エリア内で行われる業務は女性職員または遠隔操作の無人機によって行われる必要があります。

説明: SCP-XXX-JPは異常性を持った石です。表面からは由来不明の粘性物質が分泌されています。SCP-XXX-JPは不定期的に活性化し、自身に最も近い位置に存在する男性(以下対象と表記)に対し影響を及ぼすイベントを発生させます。このイベントはこれまで影響下にあった対象が影響から脱し、それに代わって別の対象が影響下に入るという特性から、「交代イベント」と名付けられています。

交代イベントによって新たに影響下に入った対象はSCP-XXX-JP-Aに変化します。SCP-XXX-JP-Aは日本のサブカルチャーにおいて「メイド服」と呼称される種類の衣装を着用した女性人型実体です。SCP-XXX-JP-Aの外見は元となった対象の年齢によらず10代後半から20代前半程度に見え、身長や体重にも相関は見られません。ただし、体毛や瞳、肌の色といった人種的特徴は一致します。SCP-XXX-JP-Aは1日に1度「収容室床の清掃1」のため、1日に3度「SCP-XXX-JP分泌物の摂取2」のために活動し、それ以外の時間はSCP-XXX-JPの周囲に起立した状態で存在します。 SCP-XXX-JP-Aは排泄および睡眠を必要とせず、外気温にかかわらず発汗や身震い、外見上の性別と年齢から予測される月経等の生理活動も示しません。この理由は現在不明です。

交代イベントにおける対象のSCP-XXX-JP-Aへの変化は次のようなプロセスで進行します。
経過時間 発生する事象 センサーによる観測データ
0:00 イベント開始。対象はその場に倒れこむ。 脳波測定によって随意運動野の沈静化が観測された。
0:05 対象が体温の上昇を訴え始める。対象の体毛の大部分が抜け落ち、頭髪が急激に伸長。 対象の反応に反し、体温の上昇は確認されない。心拍数および血圧が上昇。
0:17 対象の骨格・筋肉等の構造が変化し始め、末端から徐々に女性的な体型に変化していく。対象は強い眠気を訴える。 体温が急激に上昇3
0:34 この時点で四肢および頭部の変化がほぼ完了。骨盤の拡張と生殖器系の変化が開始。 脳波測定はこの時点で対象が意識を失ったことを示す。
0:53 胸部が膨らみ始め、乳房が形成される。 心拍数、血圧、体温が低下し始める。
1:15 対象の身体変化が全て完了し、解剖学的に完全に女性になる。 心拍数、血圧、体温が通常の値に戻る。
1:18 対象の衣服が消失し、SCP-XXX-JP-Aの服装へと変化。 衣服に取り付けられていたセンサー類の反応が消失。
1:30 対象が覚醒し、イベントが終了する。

この身体変化は不可逆であり、交代イベントによって以前の対象がSCP-XXX-JPの影響を脱しても変化した身体が元に戻ることはありません。ただし、前述したSCP-XXX-JP-Aには見られない生理現象については通常の女性と同様に起こるようになります。また、遺伝子検査によって性染色体がXYヘテロ接合体からXXホモ接合体に変化していることが判明しています。

交代イベントは不定期かつ自発的に発生するだけでなく、外部から与えられる刺激によって即時的かつ誘発的にも発生し得ます。具体的な例としては、SCP-XXX-JP-Aを物理的に拘束する行為およびSCP-XXX-JP-Aに損傷を与える行為がこの即時的イベント発生の要因になります。

SCP-XXX-JPは財団日本支部設立以前、蒐集院によって管理されていたオブジェクトでした。財団が蒐集院を吸収した際に、蒐集院内の反財団派閥により持ち去られ、50年ほど行方が分からなくなっていましたが、1998年2月に再発見され、収容されました。資料から蒐集院によって管理されていた当時のSCP-XXX-JPの性質は現在のものと異なっていたことが分かっています。

以下は蒐集院によるSCP-XXX-JPについての資料の現代語訳です。

「転性石」(蒐集物覚書帳目録第二七五番)

分類 第二種神性異常-地祇

明治三十六年蒐集。第二種神性異常として分類。研儀官大江山士郎君発見。
上野国北部の山村にて民間信仰の崇拝対象となっていた神性の宿る石である。男子を女子の身体へと変化させ、自らを祀る巫女とする。村の女子の一部はこの巫女経験者であり、元は男子であったようだ。

護符と祈祷による封印術式を百七通り試したが異常の完全な封じ込めには至らず。村民からの抵抗もあり、蒐集任務は難航。上級研儀官二名を村へ派遣し、事態の解決を図った。最終的に異常の性質を熟知した神事担当者を含む村民五名を蒐集物管理者として雇い入れ、上級研儀官の村への常駐と監査、「蒐集院秘事封定書」に基づく情報封鎖をもって村ごと蒐集対象とした。

村民は皆共通の宗教を信仰している。この宗教−「陰陽反転教」は「人間の性別」を神聖なものと考えており、それを変化させることを神の業であるとしている。信仰の影響でこの村には当該蒐集物以外にも「人間の性別の変化」に関わる異常物品が存在しており、それらは蒐集院本部へ移送の上、性質や起源等について詳しく調査される予定。

資料が示すように、SCP-XXX-JP-Aの服装は元々はメイド服ではなく、神道における巫女装束であったと考えられています。また、SCP-XXX-JPの存在していた村は昭和初期まで人が暮らしていた痕跡が残っているものの、現在は無人の廃村になっており、資料中で言及されているSCP-XXX-JP以外の異常物品については、個別の詳細な資料が散逸しているため、その所在も含めて不明点が多い状態にあります。

補遺1: インシデント記録-XXX-JP

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██研究員のイベント前(左)とイベント後(右)の画像

概要: 1998/2/6、SCP-XXX-JP収容時の偶発的な事故に巻き込まれる形で██研究員がSCP-XXX-JPの対象になった。事故の詳細は別紙の個別報告書(要セキュリティクリアランスレベル4)を参照。収容後、██研究員は約1ヶ月間SCP-XXX-JP-Aとして過ごし、1998/3/7に発生した交代イベントにより影響から解放された。


身体検査記録
身長: 165.4cm → 159.5cm

体重: 60.4kg → 51.2kg

三位寸法: [データ無し] → B85.3・W65.3・H87.2

血液検査結果: 各種ホルモン値の変動(特に性ホルモンにおいて顕著)が確認された。赤血球数の減少やHDL-コレステロールの若干の増加はホルモン値の変動によるもので、いずれも平均的な女性の値とほぼ同じ。血液型は変化前と一致。

その他: 遺伝子鑑定およびMRI検査の結果は対象の身体が遺伝子的にも解剖学的にも完全に女性のものであることを示す。また、指紋、虹彩および網膜は本人のものと一致。


インタビュー記録

対象: ██研究員

インタビュアー: ██博士

<記録開始、1999/3/7>

インタビュアー: こんにちは。色々と慌ただしくて大変だったと思うが今日はこのインタビューで終了だ。あと少しだけ付き合ってくれ。

対象: お気遣いありがとうございます。

インタビュアー: ではまず身体が変化したときのことを教えてくれ。

対象: あの時はまず、手足から力が抜けてその場にへたり込んでしまいました。そのあと体が急に熱く、体が融けてしまうような感覚に襲われました。熱が徐々に手足に集まってきて、そこから痛みと快感が混じったような痺れを感じました。それ以降のことは覚えていません。眠ってしまい、起きたらこの身体になっていて、その時にはもう自分の体を自由に動かすこともできませんでした。

インタビュアー: ではSCP-XXX-JP-A…ああ、あのオブジェクトにはSCP-XXX-JPの番号が振られて、君のようにオブジェクトの影響を受けた人をSCP-XXX-JP-Aと呼称することになった。SCP-XXX-JP-Aの行動は全く君にはコントロールできなかったわけだな。

対象: そういうことになります。僕自身の意識を行動や発言の形でアウトプットすることは不可能でした。逆にインプット…視覚や聴覚などの感覚を受け取ることは可能でした。

インタビュアー: ではSCP-XXX-JP-Aとして過ごしている間の感覚について、覚えている限りでいいので教えて欲しい。

対象: はい。最初のうちは身体の違いに違和感がありましたが、5日ほどで慣れました。それ以外には変化以前と異なる感覚は特に無かったと思います。

インタビュアー: SCP-XXX-JP分泌物の味はどうだ?味覚もあったんだろう?

対象: 特に異常な味ではなかったので報告を忘れていました。申し訳ありません。甘い、水飴のような味でした。僕も甘いものは好きですし、自分から行動できず刺激のない退屈な日々の中ではそれなりに喜ばしいものでした。それも10日ほどで飽きましたが。で、舐め終わるとご主人様に褒めてもらえるわけです。

インタビュアー: ご主人様?というのはSCP-XXX-JPのことか?

対象: いえ、あの石のことではなく、僕と一緒に収容室の中にいた男性人型実体のことですが。

インタビュアー: 人型実体?あの収容室にはSCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-Aしかいなかったぞ。つまりSCP-XXX-JP-Aのみに観測可能な存在がいるというわけか。

対象: 特定の人物のみに観測可能な存在というと霊的実体が思い当たりますが。

インタビュアー: しかし収容時にメトカーフ4はやったはずだが…

対象: ではSCP-XXX-JP-Aのみが見る幻覚と解釈すべきかもしれません。

インタビュアー: いずれにせよ調査が必要らしいな。君の主張する実体の存在可能性については上に報告しておくよ。明日も検査を予定しているから、今日はゆっくり休んでくれ。

対象: ありがとうございます。

<記録終了>

備考: 対象の主張する実体については財団の所有するあらゆる観測機器を用いた検証が行われましたが、発見に至らず、存在しない可能性が高いと結論づけられました。


██研究員については、オブジェクトによる精神影響の可能性も考慮し、セキュリティクリアランスレベルを4から3へ降格した上で、雇用を継続することが倫理委員会と人事部門により決定されました。

補遺2: 1999/11/7 SCP-XXX-JP-Aが初めて言葉を発しました。以下はその録音記録です。

1999/11/7 08:30
SCP-XXX-JP-A: 行ってらっしゃいませ、ご主人様。

その32日後、1999/12/8 SCP-XXX-JP-Aが再び言葉を発しました。

1999/12/8 18:35
SCP-XXX-JP-A: お帰りなさいませ、ご主人様。

以降、SCP-XXX-JP-Aは約1年の周期ごとに同様の発話を行なっています。

私と██研究員は2000年以降、毎年11月にその年の最新の観測機器を使用してSCP-XXX-JPについて調べてきました。そしてついに今年2017年、財団本部で開発された最新式の改良型カント計数機がSCP-XXX-JP付近において微量のヒューム値の揺らぎを捉えました。小さな値ではありますが、誤差として片付けるには大きすぎる値です。詳細な数値等は別紙の報告書に記載しております。

何れにせよ1998年の調査結果は覆りました。SCP-XXX-JPには(その正体は依然不明なものの)付随する実体が存在する可能性は高いと言えます。この実体をSCP-XXX-JP-Bと分類し、その正体および収容方法の研究を行う必要があります。そのための資金分配およびオブジェクトクラスのEuclidへの引き上げを申請します。—██博士

この申請は現在承認待ちです。