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対抗ミームの摂取が完了しました。
財団記録・情報保安管理局より通達
本報告書内にはミーム汚染を引き起こす文章が存在します。対抗ミームを摂取していない職員は報告書の閲覧を中止し、財団ミーム部門へ対抗ミームの摂取を申請して下さい。
— RAISA管理官、マリア・ジョーンズ
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPの発生を発見するため、担当職員及びフィールドエージェントは対抗ミームの摂取が義務付けられています。対抗ミームを摂取した職員は定期的に財団データベース内の報告書を確認し、不適切な記述が見受けられた場合にはサイト管理官へ報告して下さい。発見したSCP-XXXX-JPの演劇イベントが進行中である場合には、SCP-XXXX-JP-1を発見、SCP-XXXX-JP-1同士の合流を補助し、イベント終了を促してください。未確認の演劇イベントに関する情報を入手した場合は、影響を受けた地域を調査、記録を行って下さい。
説明: SCP-XXXX-JPは建築物の間で広まる異常現象と影響を受けた建築物群の総称です。全てのSCP-XXXX-JPは4ヶ月に1度特定の日時に同時に活性化し、一連の"演劇イベント"を発生させます。SCP-XXXX-JPは活性化すると、半径15km以内(以下影響範囲)に存在する不特定多数の人物に異常なミーム汚染を引き起こします。SCP-XXXX-JPの影響を受けた人物(以下SCP-XXXX-JP-1)は偏執症に類似した症状を発症し、SCP-XXXX-JPの影響範囲内に危険な犯罪組織が存在しておりSCP-XXXX-JPがその拠点であると確信します。同時に、影響範囲内に存在する不規則に選ばれる1つの組織(以下SCP-XXXX-JP-A)の構成員の内、影響範囲内に位置していた人物(以下SCP-XXXX-JP-2)は、自らの所属する組織が犯罪組織の正体であると確信し、異常な行動を開始します。この時、SCP-XXXX-JPを利用している組織とSCP-XXXX-JP-Aは必ずしも一致しません。
SCP-XXXX-JP-1となった人物は自身がSCP-XXXX-JP-Aと以前より敵対していたと認識し、SCP-XXXX-JP-Aを壊滅させる事に異常な執着を持ちます。SCP-XXXX-JP-1はイベント期間中に複数回SCP-XXXX-JP-Aに損害を与える為に行動を起こします。しかしながら、SCP-XXXX-JP-Aの犯罪行為の曝露、法執行機関への通報等のSCP-XXXX-JP-A壊滅の手段として現実的であると考えられる行為は行わず、多くの場合は単独でのSCP-XXXX-JP-A関連施設への突入、SCP-XXXX-JP-2に対する直接的な暴力行為など非現実的な手段を取ります。この時、イベント開始直後の行動であった場合には多くの場合行動は失敗しますが、イベント開始から時間が経つにつれて成功確率が高まります。本来であれば行動が成功したとしてもSCP-XXXX-JP-Aへの損害は非常に軽微なものですが、行動が成功するとSCP-XXXX-JP-1、及びSCP-XXXX-JP-2はSCP-XXXX-JP-Aに重大な損害が与えられたと認識します。
SCP-XXXX-JP-1、SCP-XXXX-JP-2を含む影響範囲内の人間は、日常生活において非論理的で極端な行動を取るようになり、支離滅裂で二転三転する思考を持つようになります。その詳細は個人によって異なりますが、多くの場合各個人の元々の性格、身分や容姿により大きく変化する事が判明しています。例として、一般的に容姿が優れていると評価されている人物は実際の能力や行動に関わらず非常に優秀で模範的な人物であると評価されるようになり、法執行機関に属する人物は規律に対する異常な執着を見せるようになります。SCP-XXXX-JP-1、及びSCP-XXXX-JP-2はこの傾向がより顕著に見られ、SCP-XXXX-JP-1はSCP-XXXX-JP-A及びSCP-XXXX-JP-2のあらゆる行動を嫌悪、非難するようになり、SCP-XXXX-JP-2は非現実的な論理に基づいた犯罪行為であると主張する行動を度々行い、自身やSCP-XXXX-JP-Aの行動が世界全体に対して大きな影響を及ぼしていると主張します。
SCP-XXXX-JP-1、及びSCP-XXXX-JP-2の行動は一般的な常識からかけ離れたものであるにも関わらず、対抗ミームを摂取していない人間はこれらの行動をごく普通のありふれた行動であると認識します。このミーム汚染は影響範囲外の人間にまで及ぶため、新たなSCP-XXXX-JPの活性化を発見することは非常に困難なものとなっています。異常なミームは対抗ミームの摂取により取り除く事が可能ですが、SCP-XXXX-JP-1及びSCP-XXXX-JP-2は対抗ミームを摂取した場合も異常な認識を取り除く事ができません。以上の性質により現在までにSCP-XXXX-JPの存在が民間人に曝された事例は存在しません。
下記の記録はSCP-XXXX-JP範囲内における大友 ██氏(16歳男性,SCP-XXXX-JP-1)と鷲田 ██氏(36歳男性,SCP-XXXX-JP-2,SCP-XXXX-Aは鷲田氏の勤める製薬会社"██製薬")の会話を対抗ミームを摂取したフィールドエージェントが録音した物です。以下の記録を閲覧し違和感を抱かなかった場合は直ちにサイト管理官に報告して下さい。
<録音開始>
SCP-XXXX-JP-1: お前!一体そこで何をしていたんだ!
SCP-XXX-JP-2: これはこれは僕ちゃん、また会いましたね。
SCP-XXXX-JP-1: チッ、相変わらずムカムカする奴だ!質問に答えろ!そこで何をしていた!?
SCP-XXX-JP-2: あなたに教える筋合いは無いのですが、特別に教えてあげましょう。私は今この町の配置薬の補充をしている所なのです!
SCP-XXXX-JP-1: 配置薬!?そんな物、一体どうするつもりだ!?
SCP-XXX-JP-2: ただの配置薬ではありませんよ。今回から補充される薬には全て!我が社が新開発した万能物質ACM-████が配合されているのです!
SCP-XXXX-JP-1: な、何!?ACM-████だって!?そ、そいつは確か…!
SCP-XXX-JP-2: その通り、天然のミネラルであるナトリウムと単体なら人間に有害な塩素を合わせる事で生まれた魔法の白い粉!体に良いだけではなく、脱水すら防ぐことが出来るのです!お客様のケガや病気は全て治り、我々の理念、"みんなニコニコ██製薬"の達成に一歩近づく事になるのですよ!ああ、お客様の笑顔を見るのが待ち遠しい…。
SCP-XXXX-JP-1: そんな事はさせねぇぜ!そんな薬が出回っちまったら、他の製薬会社の薬が売れなくなっちまうじゃないか!
SCP-XXX-JP-2: ふん、社の利益の為です。
SCP-XXXX-JP-1: 許せねぇ!もう怒ったぞ!くらえ、ビッグ!フレンド!パーーンチ!
<鷲田氏に向けて大友氏が殴打を繰り出す。>
SCP-XXX-JP-2: クソッ、オオトモめ!ビッグフレンドパンチはやはり脅威だな…。
<記録終了>
備考: 後の調査の結果、鷲田氏が配布した薬品の中に未知の物質の存在は確認できなかった。██製薬のデータベースを調査した所、ACM-████は異常性の無い塩化ナトリウムである事が判明した。
イベント開始から時間が経つにつれて、SCP-XXXX-JP-1が複数人存在していた場合はSCP-XXXX-JP-1同士で合流し結託し合うようになります。最終的に影響範囲内の全てのSCP-XXXX-JP-1が合流すると、SCP-XXXX-JP-1群はSCP-XXXX-JPへと突入を開始し、イベントの最終段階である"SCP-XXXX-JP攻略イベント"が発生します。攻略イベント発生時には、全てのSCP-XXXX-JP-1とSCP-XXXX-JP-2がSCP-XXXX-JP内に集合し、SCP-XXXX-JP内において戦闘を開始します。この時、SCP-XXXX-JP-2は身分の高い人物程SCP-XXXX-JPの入り口から離れた場所で待機しており、他のSCP-XXXX-JP-2への救援の要請や援護は一切行いません。SCP-XXXX-JP-1はSCP-XXXX-JPへの突入直後において大抵の場合周辺のSCP-XXXX-JP-2に比べ圧倒的な人数差を持っているにも関わらず、少人数をその場に残し先に進む事がSCP-XXXX-JP-1間の議論により決定され、以後もSCP-XXXX-JP-2と接敵する度にこの行動を繰り返します。
この攻略イベントはこれまでに確認できた事例中では100%の確率で成功しています。攻略イベントが終了すると演劇イベントは終了し、SCP-XXXX-JPは異常性を喪失します。影響範囲内の人間も異常性を喪失しますが、イベント中の記憶は保持しています。
現在、SCP-XXXX-JPとなった建築物の数は緩やかに上昇しています。どのようにしてSCP-XXXX-JPが建築物の間に広まるのかは明らかになっていませんが、SCP-XXXX-JPの発生個所が特定の地域に密集している事から何かしらの存在が異常性を媒介しているものと考えられます。かつて他のSCP-XXXX-JPの影響範囲であった場所にも新たなSCP-XXXX-JPは発生しますが、同時期におけるSCP-XXXX-JPの位置はお互いの影響範囲が重ならないように分布している事が判明しています。SCP-XXXX-JPの収容は影響範囲が未知数かつ広大であると予測されている事、曝露者の人数が非常に多い事から不可能です。しかしながら、SCP-XXXX-JPの直接的な危険性が殆ど存在しない事、SCP-XXXX-JPの性質上民間人にその存在が曝される可能性が低い事から、オブジェクトクラスは暫定的にEuclidクラスが与えられており、現在Keterクラスへの格上げは保留されています。
補遺: 職員の通報により、20██年1月中の不明な日時からサイト-81██の職員がSCP-XXXX-JP-2となっていた事が判明しました。
以下の文書はサイト-81██職員がSCP-XXXX-JP-2となった事例におけるSCP-XXXX-JP攻略イベントの様子を対抗ミームを摂取したエージェント・狭間が映像として記録し、文字に起こした物です。記録中に登場する財団職員はエージェント狭間を除き全てSCP-XXXX-JP-2となっており、それ以外の登場人物は全てSCP-XXXX-JP-1となった人物である事に留意して下さい。以下の記録を閲覧し違和感を抱かなかった場合は直ちにサイト管理官まで報告して下さい。
映像記録SCP-XXXX-JP
撮影者: エージェント・狭間
撮影場所: ██市立██小学校(SCP-XXXX-JPとなった建築物,20██年1月未明から当イベント終了までの間、サイト-██の総司令本部が当小学校内に設置されていた。)
備考: 本記録内では可読性の観点より、SCP-XXXX-JP-1及びSCP-XXXX-JP-2を個人名と肩書で表記する。
<記録開始>
佐藤氏: まさか財団のエージェントが俺たちに味方してくれるとは、思ってもいなかったぜ。
エージェント・狭間: まあ諸事情ありましてね。一時的ですが、協力させて頂きます。
遠藤氏: ふん、俺はお前を完全に信用した訳じゃあねぇからな!
佐藤氏: そんな事言うなって!悪いな、遠藤は前に財団の手によっておやつのプリンを確保された事があってな。それ以来財団の奴らに強い憎しみを抱いているんだ。
遠藤氏: クソッ、あいつらめ…信じられるか!?あのプリンは確かに異常な程美味かったが何も食べかけのやつぐらい見逃してくれてもいいだろう!?
佐藤氏: っと、そろそろ全員集まったな。全部で14人。これならあいつら如きに負ける筈が無いだろう。みんな、これが最後の戦いだ!目指すは校庭備蓄倉庫!行くぞ!
エージェント・狭間: では、校庭のすぐ傍にある裏門から…。
佐藤氏: 総員、正門を突破せよ!!!
SCP-XXXX-JP-1群: うおおおおおおおおおおおお!!!!
エージェント・狭間: …記録の為ですし、仕方ないですね。正直サイト管理官相手なら私1人でもどうにかなるでしょうが。
<SCP-XXXX-JP-1群が正門を突破。SCP-XXXX-JP-2の姿は見受けられない。SCP-XXXX-JP-1群が昇降口より校舎内へ侵入する。>
機動部隊隊員・ベータ: よく来たな!POIども!
佐藤氏: チッ、機動部隊い-3("七不思議")の野郎どもだ!
機動部隊隊員・ガンマ: 今日こそお前らを確保する!
遠藤氏: …待った、アルファ、お前らの隊長は何処だ?
ベータ: …隊長なら先日、一身上の都合で退職した。
佐藤氏: 退職ぅ?お前らの言う"退職"ってのが一体何を意味するかぐらい俺達には分かってるぜ。恥ずかしくないのか!自分たちの仲間をそう簡単に殺して!
ガンマ: 違う!我々は断じてその様な事はしていない!
遠藤氏: じゃあ一体何だってんだよ!
ベータ: そ、それは…。
機動部隊隊長・アルファ: おっと、俺の話をしているのか?
<機動部隊隊長・アルファが突如SCP-XXXX-JP-1群の背後に現れる。>
アルファ: へへへ…。よう、ベータ、ガンマ、久しぶりだな?
ベータ: アルファ!この裏切り者め!
エージェント・狭間: 裏切り?一体どういう事ですか?
アルファ: おお、財団の奴が俺以外にPOIどもに味方しているとはな。まだお前らには言ってなかったか。俺はな、財団を見限ったんだよ。いくら何でも財団のやる事はとち狂ってやがる!て、訳で今日から俺はお前らの味方だ。宜しくな。
遠藤氏: へっ、お前の言う事なんて信じられるかよ!
アルファ: そうかいそうかい。まあお前が俺を信じようが信じまいが俺にはどうだっていい事だけどな。俺はただ財団の奴らをぶちのめしたいだけだ。こいつらは俺に任せな、お前らは先へ行け。なーに、こいつら如き目を瞑ってでも倒せるさ。
佐藤氏: 分かった。気を付けてくれよ。
遠藤氏: おい、こいつの事を信じるのかよ!?
佐藤氏: ああ、信じるさ。あの目をみて確信した。アレは俺やお前と同じ財団を憎む目だ。
遠藤氏: …。畜生、ああ、そうだとも!あいつは俺達を裏切りはしないだろうさ!俺は、ただ、財団を憎むあまり重要な事を見落としていた…。
佐藤氏: 遠藤…。
遠藤氏: 分かった!おい、アルファ!俺はお前を信じるぞ!だから、あいつらに負けんじゃねぇぞ!
アルファ: ああ、言われなくともそうするさ。…見てろよ。
アルファ: トイレの花子さんは、俺が守る!
遠藤氏: まったく、とんだロリコン野郎だぜ…!さあ、みんな!階段を上れ!
<SCP-XXXX-JP-1群が階段を上り始める。>
エージェント・狭間: 校庭に出るのならわざわざ2階に行かなくても良い筈なんですけどねぇ…。
<中略。SCP-XXXX-JP-1群は2階、3階の各部屋、及び屋上を巡回、その場に待機していたSCP-XXXX-JP-2と交戦する為に各場所に1人ずつSCP-XXXX-JP-1を残した為、集団に残っているのはエージェント・狭間、佐藤氏、遠藤氏の3名のみである。>
エージェント・狭間: まさか屋上から飛び降りる気かと思いましたが、普通に元来た道を戻るんですね。安心しました。
遠藤氏: 無駄口を叩くな!時間が無い!早くサイト管理官を倒さないと奴らの援軍が到着してしまう!
エージェント・狭間: ならそもそも最初から校庭に行っていれば良かったのでは?
佐藤氏: 何を言っている!?あいつらを全員倒さないと司令本部のカギは開かないんだぞ!
<備蓄倉庫の前に到着する。>
エージェント・狭間: …ただの南京錠じゃないですか。
佐藤氏: 下がってろ!フンッ!
<佐藤氏が南京錠の破壊を試みる。>
佐藤氏: クソッ、どうして開かない!?
遠藤氏: まさか、パスワードが書き換えられたのか?
エージェント・狭間: いやパスワードってそんな
サイト管理官 大曲氏: フハハハハハ!よく気付いたな!
<大曲氏がジャングルジムの頂上で仁王立ちしている。>
エージェント・狭間: …援軍を待たなくて良いんで
佐藤氏: 大曲!早く扉を開けろ!
エージェント・狭間: いやこの中には備蓄用品しかな
大曲氏: 鍵なら…この私が持っている。(ポケットから鍵を取り出す。)
エージェント・狭間: いやさっきパスワードって
遠藤氏: 早くよこせ!
エージェント・狭間: いやだからその人を倒せば
大曲氏: 鍵が欲しくば…私を倒して見せよ!
エージェント・狭間: 大丈夫です。あの人基礎戦闘訓練すら受けているか怪しいですから。
佐藤氏: く…!何たるプレッシャー…!
遠藤氏: 倒せるのか…?俺達に…?
エージェント・狭間: もうこれ私が倒せばイベントは終わるんですよね?
佐藤氏: だが、俺達はやらなければいけない!!
遠藤氏: そうだとも!俺達なら行ける!はず!
エージェント・狭間: 麻酔銃撃ちますからジッとしてて下さいね。
佐藤氏: 同時に仕掛けるぞ!
エージェント・狭間: あの高さなら落ちても大丈夫でしょう。マット敷いてありますし。最近の学校も大変だなぁ。
佐藤氏: 行くぞ、相棒!!
佐藤氏,遠藤氏: うおおおおおおおおおおおおおおお!
<発砲音>
<記録終了>
終了報告書: 決戦イベント終了の翌日、SCP-XXXX-JPの異常性喪失が確認された。機動部隊い-3("七不思議")隊長アルファには記憶処理が施され、財団に再雇用された。サイト-81██職員も同様に記憶処理が施され、問題なく職務に復帰した。
この事案の後、新たな財団職員のSCP-XXXX-JP曝露を早期に発見するため、対抗ミームを摂取した職員に財団データベース内の報告書を定期確認させる現在の特別収容プロトコルが制定されました。
予定タグ: scp-jp euclid 強制力 ミーム 未収容 リサイクル2019
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クレジット付き評価モジュール
任意の span 要素
でけえ文字
中央揃え
[
[[以下の情報は05-mによりクリアランスレベル5 (Thaumiel)からレベル0 (公
式用途のみ)に格下げされました。今後全ての財団職員は本報告書の閲覧を許可
されます。]]
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 特別収容プロトコルは必要ありません。
説明: SCP-XXX-JPは死神です。
報告書の完全版には担当職員であるO5-13のみがアクセスできます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 特別収容プロトコルは必要ありません。
説明: SCP-XXX-JPは死神です。
補遺 1: 報告書の完全版(以下完全版)にはO5-13のみがアクセスできます。しかしながら、完全版におけるSCP-XXX-JPに関する記述も不完全な物であることに留意してください。SCP-XXX-JPに関する詳細な情報はO5-13のみが把握していなければなりません。このため、報告書への記述はO5-13のみが行い、内容は収容経緯やインシデントログ、O5-13による提言等のSCP-XXX-JPが収容違反を起こした際の再収用に必要な情報のみに控えて下さい。収容違反が発生した場合には完全版へのアクセス権限が財団の全職員に与えられます。
補遺 2 収容経緯:
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 未収用のSCP-XXX-JP-aは持ち主に記憶処理を行った上で、財団職員名義でのSCP-XXX-JPとの契約更新を行って下さい。財団の収容下にあるSCP-XXX-JP-aの内、物理的な収容が可能である物品は、サイト-81██の契約した職員名義で借りた貸金庫に偽装した低脅威物品用保管ロッカーに収納して下さい。物理的な実体を持たないSCP-XXX-JP-aについては、何らかの形での収容が可能である場合には最低でも1名のクリアランスレベル3以上の権限を持つ職員の監督の下収容を行うものとし、収容が不可能である場合にはSCP-XXX-JPとの契約を解消して下さい。SCP-XXX-JPが関与すると思われるイベントが発生した場合には、機動部隊い-4"一見客"が新たなSCP-XXX-JP-aの発見とSCP-XXX-JPとの契約更新を行って下さい。SCP-XXX-JPに新たなSCP-XXX-JP-aの製造を依頼する場合は、最低でも1名以上のクリアランスレベル4以上の権限を持つ職員の許可を得る必要があります。
説明: SCP-XXX-JPは、自らを"株式会社インスタントシステムズ"(以下IS社)と自称する未知の企業、その従業員とみられる不特定多数の人物、及び実体群の総称です。SCP-XXX-JPは顧客からの"依頼"を受注し、既存の科学技術では説明不可能な様々な技術を用いた"商品"を販売するという形で活動を行っています。この依頼は物品の提供から継続的なサービスの提供など多岐に及びます。SCP-XXX-JPが保有する技術の中には資源や食料の無限生産、空間転移技術、平行世界間の行き来に関する技術などが含まれますが、詳細は不明です。SCP-XXX-JPの本拠地(以下本社)は基底世界外に存在すると考えられています。SCP-XXX-JPに対する依頼は後述するSCP-XXX-JP-1を介して行われます。
SCP-XXX-JP-aはSCP-XXX-JPが製造した製品群の総称です。詳細は補遺1を参照してください。
SCP-XXX-JP-1は自らを"██ ██"と名乗る人間の男性です。SCP-XXX-JP-1は右胸元にIS社の社章と思われる模様の描かれたバッジを装着した青を基調とするビジネススーツを常に着用しており、"IS社の営業"を自称しています。SCP-XXX-JP-1には、SCP-XXX-JP-1の電話番号に電話をすることで、依頼をしたい旨を伝えることができます1。この時、依頼の具体的な内容を述べるか否かに関わらず、SCP-XXX-JP-1から詳細は直接会い話をしたい旨が伝えられます。これに了承した場合、都合のよい時間、希望の場所を尋ねられ、指定した時間に指定した場所で直接SCP-XXX-JP-1と接触を取ることが出来ます。この時、SCP-XXX-JP-1に依頼の詳細を伝えた場合には現在までの所依頼の内容に関わらずすべての場合に依頼を受領した旨を伝えられます。同時に、依頼の内容に合わせた代金を要求されます2。代金の支払いは現金の手渡しで行われ、その場での支払いが不可能である場合には前述の方法でSCP-XXX-JP-1との接触を再度図る必要があります。代金が支払われると、SCP-XXX-JP-1に契約が完了した旨を伝えられ、商品を手渡されます3。現在までの所、SCP-XXX-JP-1の身元を特定する試みは成功していませんが、SCP-XXX-JP本社と同じ平行世界の人間である可能性が示唆されています。SCP-XXX-JP-1を確保する試みはSCP-XXX-JPの保有する技術により失敗する可能性が高いことに加え、SCP-XXX-JPからの報復が行われる可能性があることから現在凍結されています。
補遺1 SCP-XXX-JP-a目録:アイテム番号 | 内容 | 備考 | 代金(日本円) |
---|---|---|---|
SCP-XXX-JP-a-1 | 弾丸の装填が不要な拳銃。フルオート射撃時の発射速度は毎分18000発以上。反動とマズルフラッシュが存在しない。 | 財団が初めてSCP-XXX-JPに接触した事例。本実体の研究中にSCP-XXX-JP-1と接触した。詳しくは後述の回収記録SCP-XXX-JP-a-1を参照。 | 定価は10000円。5000円程を追加で支払う事で外見のオーダーメイドも可能。 |
SCP-XXX-JP-a-2 | 無限に食材が補給され続ける業務用冷蔵庫。中には食材が満載されており、食材が使用された分だけ即座に補充される。補給される食材の種類は一般的なレストランで使用されるものと同様であり、新たに食材の種類を増やす為にはSCP-XXX-JPと再度契約を行う必要がある。 | 冷蔵庫自体には異常性が見られないため、食材を補給する"サービス"であると考えられる。食材の補給元は不明。 | 基本料金5000円+食材1種類につき一律2000円。 |
SCP-XXX-JP-3~15 | 金属製の扉とそのフレーム。扉の内部には物理法則を無視した巨大な空間が広がっている。内装や大きさは10m四方程の小さな書斎のようなものから未知の原理で光源が確保された全面何もない平らな地面の広がる空間まで依頼主の希望により様々。使用にはSCP-XXX-JPによる工事が必要であり、取り外しての使用はできない。 | SCP-XXX-JP-1曰く"貸倉庫"であり、SCP-XXX-JPの主力商品であるとのこと。内部空間はSCP-XXX-JPの所持する土地を整備した場所であり、扉は一種の転移装置であると見られる。SCP-XXX-JP自身も同様の実体を多数利用しており、倉庫以外の用途としても使用可能。 | 一律5000円。拡張・改装工事は無料で受けられる。 |
SCP-XXX-JP-a-24 | 10代後半から20代前半程度の人間の女性の外見を持つ人型の実体。耳と思われし器官が0.2m程の長さであること以外は一般的な人間と相違点はない。人間に対して敵対的。これ以外にも複数種の人型実体を確認済み。 | 現在未収用。SCP-XXX-JPによるリコールが行われた後行方不明。リコールの原因は"火災が発生する危険性が高かった為"とされている。 | なし。サービス品として希望者に配布されるとのこと。 |
補遺2 回収記録SCP-XXX-JP-a-1:
回収記録SCP-XXX-JP-a-1
回収経緯: "無限に弾を高速で発射できる無敵の拳銃"の噂が財団の注意を引き、所有者である█ ██氏の自宅を捜索した所SCP-XXX-JP-a-1に指定される拳銃が発見された。
インタビュー記録SCP-XX-JP-a-1
対象: █ ██氏
インタビュアー: 西村博士
<録音開始>
西村博士: それではあの銃を手に入れた経緯を教えてください。
█ ██氏: ああ。あの銃は知り合いが教えてくれた会社に作ってもらった特注品なんだ。
西村博士: その会社について詳しく教えてください。
█ ██氏: オーケー。名前は"インスタントシステムズ"だっけな?すげぇ技術を使って依頼主の願いを叶えてくれる便利屋みたいな所だな。個人ではなく企業、それも凄い規模だって聞くぜ。
西村博士: 聞いたことがありませんね。そんなに規模の大きい会社なら私も知っていておかしくない筈なのですが…。
█ ██氏: 知らないのも無理は無いぜ。なんたってそこは一見客お断りの1回そこにお世話になった奴か、そいつから紹介してもらった奴としか取引しねぇ何とも消極的な風変りな会社だからな。ほら、人間自分の興味の無い事はすぐ忘れちまうだろう?俺も友達に紹介して貰うまで名前すら知らなかったんだから。あと、取引する時に秘密保持契約みたいのさせられるんだよ。自分たちの事を関係ない奴に話すなって。おかしな話だよな、企業なら広告して貰ってなんぼなのによ。
西村博士: しかし、あなたは今私にその会社の事を話していますが?
█ ██氏: いやいやいや、あんた、俺の銃の噂を聞いて俺の所に来たんだろう?ってことは少なからず俺の銃に興味を持っているってことだろう?だったらあんたはもう関係者ってこった。今までにもあんたと同じように俺の所に来た奴はいっぱいいるんだよ。何も俺はこの銃を世界で1つだけの物にしたいとはさらさら思ってねぇからな。そいつらを例の会社の担当者に紹介してやったんだよ。そのたびに秘密保持契約を書かされていたから銃の噂は広まれど会社の噂は広がらないから何も問題ないのさ。わざわざ訪ねてくるってことはやっこさん達にも良いお客になる素質があるとでも思われてるんじゃないのかな。
西村博士: 今、"担当者"とおっしゃいましたが?
█ ██氏: ああ、俺と会社の橋渡しをしてくれる営業の人だよ。ここいらの地区の担当だっていうから俺が紹介した人と俺の友達もみんなあの人が担当なんじゃないかな。あんたもそいつに紹介してやろうか?というか紹介させて貰いたいんだけど。ほら、契約違反すると取引してくれなくなるからさ。
西村博士: 分かりました。
█ ██氏: 恩に着るぜ!じゃあ、いつか都合のいい時間を教えてくれよ。集合は俺んち。あの人は何だかんだいつでも来てくれるから問題ないだろうし俺はいつでも暇だからな。
西村博士: では後でその話を…。それと、出来ればあなたが今までその人に紹介してきた人たち、それとあなたのご友人を私に教えてくれませんか?ほら、同じ趣味を持つもの同士知り合いになっておいて損はないかと思いまして。
█ ██氏: もちろんオーケーだぜ。じゃあこのインタビューが終わった後な。…というかあんたらインタビューって言うけどテレビの奴らとかじゃねぇよな?頼むぜ、この話が地上波で全国放送!なんてことにはしないでくれよ。
西村博士: 私は報道関係者ではありませんよ。それではインタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: この後SCP-XXX-JP-1に指定される人物と接触、西村博士名義で契約を行った。█ ██氏と他のSCP-XXX-JP-1と接触したと見られる関係者には記憶処理を行い、SCP-XXX-JP-a-1、並びにそれと同様の物品を複数回収した。
補遺3 インタビュー記録SCP-XXX-JP-1: SCP-XXX-JP-a-1回収から1週間後、SCP-XXX-JP-1から西村博士に接触を試みられたため、会合場所を指定しインタビューが行われました。
インタビュー記録SCP-XXX-JP-1
対象: SCP-XXX-JP-1
インタビュアー: 西村博士
<録音開始>
西村博士: お久しぶりです。██さん。
SCP-XXX-JP-1: こちらこそ、西村さん。お元気でしたか?
[以下暫く重要性の低い会話のため省略]
西村博士: それで、私に話というのは。
SCP-XXX-JP-1: はい、実は西村さんにお願いしたいことがありまして。
西村博士: お願い、ですか。
SCP-XXX-JP-1: はい。実は私共に西村さんを紹介していただいた█さんとの連絡が今現在取れない状況でして4。
西村博士: そうなんですか?
SCP-XXX-JP-1: そうなんです。█さんは私共の方に頻繁に取引を持ち掛けて下さるお得意様だったんですがこの頃全く連絡が来なかったものでして、不思議に思いましたのでこちらから連絡を取ろうかとも思ったのですがいきなり電話をしても失礼かと思いまして。そこで█さんのご友人である西村さんからご連絡をして頂けないかとお願いしている次第なのですが…。
西村博士: …待って下さい、おかしくないですか?█さんに連絡を取るのは失礼なのに私には良いんですか?
SCP-XXX-JP-1: それはそうなのですが…。
西村博士: ちゃんとした理由を説明してもらえないと困りますよ。
SCP-XXX-JP-1: 左様ですか。でしたら率直に申し上げます。西村さん、あなた今私共の銃を何丁持っていらっしゃいますか?
西村博士: 1丁に決まっているでしょう。
SCP-XXX-JP-1: そうですか?…これは独り言なのですが、私共が製造した銃の取引先の内、私の担当の…いや、担当"だった"方々全員と連絡が取れない状況なんですよ。西村さん、あなたを除いてですが。
西村博士: それは大変ですね。
SCP-XXX-JP-1: 西村さん。あまり深くは突っ込みませんが私共の商売上、独占欲の強い方とも多く取引をさせて頂いております。もしくは、元々別の方と取引をして製造した商品がいつの間にやら他の誰かの手に渡っていて元の持ち主は行方不明…なんてケースも多々あります。…言い忘れておりましたが、私共の方では私共の商品全ての位置を把握することが出来ます。興味深いことに、私共が販売した銃は今全て西村さんのご住居にあるとの情報が上がっております5。
西村博士: …ど、どうしてその事を。
SCP-XXX-JP-1: 先ほどもお伝えしました通り、このような事は多々あります。そして、このような事を一々警察や何やに報告していては私共の商売が成り立ちません。
西村博士: つまり、この事を隠蔽するというのか?
SCP-XXX-JP-1: お察し頂けて何よりです。私共は今回の件で西村さんのことをお咎めしようとは考えておりません。その代わり、西村さんにご協力頂きたいことがございます。
西村博士: …私にできることなら。
SCP-XXX-JP-1: ありがとうございます。西村さんには、契約の更新をして頂きたいのです。私共にとって、公に存在を悟られることは何としても避けたいのです。そのためには、私共の商品の所在を明らかにしておく必要があります。現在、西村さんは計1█つの商品を所持しております。その内西村さん名義で製造した1つを除く他の商品を、西村さん名義で再契約したいのです。これには代金を頂きませんのでご安心を。
西村博士: …もしあなた方のいう位置把握システムがあればこんな契約必要ない筈だが。
SCP-XXX-JP-1: こうしておいた方が内部での処理がし易いのです。ご了承を…。
西村博士: …分かった。言う通りにしよう。
SCP-XXX-JP-1: ありがとうございます。それと、同じような理由でもし西村さんが私共の商品を他の誰かに受け渡す際には私共にご一報ください。また、商品を処分する際にも私共の方で回収させて頂きますのでその時にはお申し付けください。もし遺産として相続させることを検討されている場合には私共の方でサポートさせて頂きます。
西村博士: その必要はない。これで話が終わりならさっさと契約して帰らせてくれ。
SCP-XXX-JP-1: かしこまりました。最後に、私共としてもこのような事になると色々と面倒な手続きが多くなるんです。ですから私共としては是非とも…。
西村博士: 是非とも?
SCP-XXX-JP-1: 是非とも私共の個人向け身辺警護サービスにご加入をお勧めしているのですが…。
<録音終了>
終了報告書: この後西村博士名義で1█件のSCP-XXX-JPとの再契約を行った。また、今回のインタビューの結果を受けて特別収容プロトコルの原案が作成された。
補遺4 探査記録SCP-XXX-JP: SCP-XXX-JP-aの動作原理、及び製造工程を調査するため、西村博士からプロトコル"工場見学"を実施する提案が行われました。この提案はサイト-81██管理官によって承認されました。
探査記録SCP-XXX-JP
探索場所: SCP-XXX-JP-A内SCP-XXX-JP-a-1製造ライン
探索者: 西村博士
<記録開始>
[工場の待合室の様な部屋が映し出される]
西村博士: 今回は私のわがままを聞いていただきありがとうございます。
従業員と推測される男性(以下SCP-XXX-JP-2): いえいえ、お客様が製品が作られる様子をご覧になりたいと思われるのもごもっともでございますから。
西村博士: ありがとうございます。それではここは何を作っている所なのか教えてください。
SCP-XXX-JP-2: はい。ここ第三工場では軍需産業に関わる製品を製造しております。お客様は我が社の拳銃をお買い求め下さったということで、今回はその拳銃の生産ラインをご覧いただきます。
西村博士: 拳銃以外にはここで例えばどのようなものを作っているのですか?
SCP-XXX-JP-2: お客様の世界ではまだ機関銃や狙撃銃なんかが使用されているかもしれませんが、我が社の技術によってそれらのものは全て拳銃で代用できるようになりました。ですので、携行火器としては拳銃の複数バリエーションのみここでは製造しています。それ以外ですと、輸送車両やら戦闘機等を主に生産しています。
西村博士: 少し話が逸れますが、あなた方の世界でも戦争というものはあるのですか?話を聞いていると軍隊は存在するようですがこんなにも凄まじい技術同士で戦争が起こっていては被害が相当なものになると思うのですが。
SCP-XXX-JP-2: 結論から申し上げますと、戦争は私共の世界では行われていません。ただ、私共の軍隊が別の世界で戦闘を行ってはおります。ですが、兵士は全て遠隔操作の機械に置き換えられておりますし…あくまでも我が軍の、ですが。また、戦闘の影響は絶対に私共の世界には及ばないようになっております。
[重要度の低い会話のため省略]
SCP-XXX-JP-2: 着きました。ここがお客様がお買い求め頂いた拳銃の生産ラインです。
[多数の機械が一直線上に並び作業を行っている列が複数映し出される]
西村博士: …私の世界にある拳銃は数十個程度なので、人が手作業で作っているのかと思いましたが、こんなにも大量生産されているとは。
SCP-XXX-JP-2: 私共は数では表せない、理論上無限と言ってもいい数の世界と取引させて頂いております。競合他社も今の所存在しませんので、おかげ様で在庫不足に陥り嬉しい悲鳴が出たことも少なくありません。
西村博士: バレルや外装の製造ラインは見つけられましたが、肝心の内部機関がどこにも見当たりませんね。
SCP-XXX-JP-2: 内部機関はあちらで取り付けております。
西村博士: 取り付け?
[画面に機械が小さなリング状の部品をフレームに取り付けている光景が映し出される]
西村博士: あれは…何か小さな輪っかのような物が見えますが。
SCP-XXX-JP-2: あれこそが、我が社の拳銃の内部機関…に繋がっている所謂ワームホールです。我が社の主力商品である貸倉庫のことはご存知ですか?その技術を応用した物です。実の所、我が社の持つありとあらゆる技術は全てこの…えー…貸倉庫の技術が元になっていると言えます。すみません。詳細は企業秘密なものでして。宜しければ機関室をご覧になることもできますがいかがなさいますか?
西村博士: 是非見せて下さい。
SCP-XXX-JP-2: 承知いたしました。それではこの扉をお通り下さい。今回特別に用意いたしました機関室への立ち入りゲートです。このゲートはお客様にお作りした拳銃の機関室に繋がっております。実際に動いている所は危険ですのでご覧になれませんがご理解ください。
[SCP-XXX-JP-2が扉をくぐり、西村博士がそれに続く。画面に巨大な倉庫のような景色が映し出される]
西村博士: 照明の類は見当たらないのに明るいですね。
SCP-XXX-JP-2: これも同じく例の貸倉庫の技術を応用して光を取り入れております。…といっても単純に明かりをつけた部屋とこの部屋を繋いでいるだけですが。実は拳銃の内部機関も同じく単純なものです。正面をご覧ください。
西村博士: あれは…私も見たことがあります。
SCP-XXX-JP-2: そうです。なんの変哲もない機関砲をただ遠隔操作できるようにしただけのもの、それを3つ並べているだけです。勿論次元を超えての通信に関わるあれやこれやの技術は使用されていますが、あとは私が説明するまでもなくご理解頂けるかと思います。
西村博士: あれって戦艦とかに積まれているやつですよね。少し口径は小さい気がしますが、まあ拳銃から撃つためには仕方ないですね。これから撃たれた弾丸がワームホールを通じて拳銃から放たれると。成程道理で反動も無ければマズルフラッシュもないわけだ。これって3つじゃなくてもっと数を増やしたり出来ないんですか?
SCP-XXX-JP-2: 4つ以上になると弾丸が同じタイミングで同じ場所に出現して空間に乱れが発生することが多々あるんです。今の状態でもその現象は発生しますが我が社の社員が独自開発したマルチスレッドシステムのおかげで何とか制御出来ているんです。彼の頑張りによってはそれも可能になるかもしれません。
西村博士: 成程。ところで、この機関砲の弾丸はどこから供給されているのですか?いや、恐らく機関砲の内部に同じくワームホールがあってそこから供給されているのでしょうがその弾丸の元となる資源とかの話です。
SCP-XXX-JP-2: 弾丸の供給に関してはご推察の通りです。弾丸自体はこの工場で生産しています。そして、その元となる資源についてですが、クラスA以上の上質な資源を使用しております。…これでは答えになっていませんね。詳しく申し上げますと、クラスAの資源を我が社の精錬部門の支社が非常に高い技術を持って丁寧に使用可能な状態にしております。
西村博士: そのさらに前はどうなっているのでしょうか?
SCP-XXX-JP-2: さらに前?
西村博士: それとクラスAの資源とは何ですか?
SCP-XXX-JP-2: えー…。私が思いますに、申し訳ありませんが私とお客様の世界での常識に違いがあるようでして、私にはお客様の質問にご満足頂ける回答をすることが出来ません。恐縮ですがお客様の担当者である██ならお客様の疑問にお答えできるかと。彼はお客様の世界に一定の理解がありますので。
西村博士: そうなんですね。お手数おかけしました。
SCP-XXX-JP-2: いえいえ、お手数をおかけしたのはこちらの方です。…さて、そろそろお時間になりましたが何か質問はございますか?と言いましても、私にお答えできるかどうかは分かりませんが。
西村博士: そうですね、では少し。これだけ高い技術を持っているのでしたら御社はかなり名が知れていてもおかしくないと思いますが、私はつい最近まで御社のことを知らなかったんですよ。なんだかあまり自分たちの存在を広めたがらない、むしろ隠そうとしているような素振りもありますよね。それはどうしてなんですか?
SCP-XXX-JP-2: それはズバリ、お客様の世界に過度な影響をもたらさない為です。私共の世界と同じような技術の発展を遂げている世界に対しては我々も積極的に広報活動を行っております。ですが、お客様の世界はそうではありません。いずれはさらなる技術の発展を遂げるかもしれませんが、現段階で私共の持つ技術をそちらに持ち込みすぎると、その技術がお客様の世界にとって普通のものとなる時期が早まってしまいます。技術を使うには、ただ使えるだけではなく、その原理もきちんと理解しておく必要があるのです。通常ですと、原理が解明されてから利用法が模索されるものですが、私共のような外的要因から技術がもたらされると、往々にして人々は原理の解明をせずに、ただその技術をコピーしただけであたかも自らがその技術を使えるようになったと勘違いするのです。いわば火を熾す方法は知っていてもそれを鎮火する方法は知らないのと同義。そうなればどのような事が起こるのかは想像に難しくはありません。
西村博士: なるほど。
SCP-XXX-JP-2: ですから、私共の方では商品の管理を徹底しております。例えば、私共は我が社の製品が今どこにあるのかを特定するシステムを製品に組み込んでおります。
西村博士: ああ、██さんがそんなことを言っていた気がします。
SCP-XXX-JP-2: 少し実演して差し上げましょう。[タブレット端末のようなものを取り出す]お客様に販売した商品は…おや、お客様はもしかしなくてもかなりのお金持ちでございますね?
西村博士: いえいえそんなことは。
SCP-XXX-JP-2: 謙遜なさることはありませんよ。私が今見ているのはごく一部の範囲の位置情報でしかありませんが、地下██階もある建物6なんて私共の世界でもそうそうお目にはかかれません。
西村博士: …え?
SCP-XXX-JP-2: どうかされましたか?
西村博士: ああ、いや、あんまり人にプライベートを覗かれるのは好きじゃないものでして。
SCP-XXX-JP-2: 私が閲覧できる情報は非常に簡略化されたものですのでご安心下さい。ああ、もしかしてここはご自宅ではなく貸倉庫か何かでしたか?申し訳ありません。私にはお客様のご住所は分からないものでして。
西村博士: ああ、そうなんです。いやびっくりしましたよ。
SCP-XXX-JP-2: おや、同じ部屋の中に複数の我が社の製品がありますね。…良かった、全てお客様が契約した商品ですね。沢山の拳銃から貸倉庫に冷蔵庫まで…いつもお世話になっております。
西村博士: いえいえとんでもない。ところで今"良かった"とおっしゃいましたが?
SCP-XXX-JP-2: たまにいるんですよ。私共が他の方に販売した商品をかき集めている方が。先ほども言いました通り、我が社では商品の管理を徹底しております。ですので、原則契約者本人様以外の方がその商品を使用することは出来ませんし、我が社の存在や商品自体の存在を他人に明かす行為も禁じられています。
西村博士: …今初めて知りました。危ない危ない、危うく契約違反をするところだった。因みに、契約違反をするともう取引して貰えなくなるんですよね?もしそうなっていたらとても困るところでしたよ。
SCP-XXX-JP-2: [微笑を浮かべる]██はだいぶオブラートに包んだ表現をしたようですね?確かに契約違反をすると我が社とは取引を行えなくなります。契約解消の際には我が社の懲罰部門が…もうご理解頂けましたでしょうか?
西村博士: …理解しました。
SCP-XXX-JP-2: これも安全上致し方ない事なのです。ご理解下さい。
西村博士: 分かりました。他に特に質問はありません。今日はありがとうございました。
<記録終了>
終了報告書: 記録を受けて、特別収容プロトコルが現在のものに制定された。また、記録中で言及された疑問については後日SCP-XXX-JP-1より回答が西村博士に複数の資料と共に送付された。詳細は補遺5を参照。
補遺5: SCP-XXX-JP-1より、SCP-XXX-JP-1によるメモとIS社に関する複数の資料が西村博士に送付されました。
中央世界統一機構では製造物に使用する資源にランク付けを行う。各企業は製品に使用する資源のランクを明記することが義務付けられている。本ランクシステムの草案はインスタントシステムズ社により使用されていた資源区分制度を参考に制作されている。疑問点があれば、インスタントシステムズ社政治部に問い合わせること。資源ランク付けに関する詳細
ランクA(新規) 生成されてから100年以上が経過していない資源の事を指す。これには人工的に生成した資源も含まれる。殆どの食料品、及びランクA資源採取所より取得した資源等が含まれる。現状Aランクの資源はごく一部の企業しか保有していない。 ランクB(未使用) 生成されてから100年以上は経過したが、かつて資源として使用された事のない資源の事を指す。中央世界で採掘される殆どの鉱山資源。及びランクB資源採取所より取得した資源等が含まれる。現状最も多く市場に出回っている資源のランクである。 ランクC(使用済み) 一度何らかの形で使用された資源を再利用した資源の事を指す。殆どの世界や採取所で取得できる。特にランクC資源採取所から数多く取得できるが推奨されていない。ランクB資源程ではないが常に一定数は市場に出回っており、非常に安価に手に入れることが出来る。そのため、ランクC資源を使用した製品は安価な物である場合が多い。
資源採取所はその特性に応じてランク付けがされます。ランク付けはインスタントシステムズ社研究部により行われます。資源採取所からの資源の採取はインスタントシステムズ社により行われます。資源の取得を希望する個人、もしくは企業はインスタントシステムズ社までお問合せ下さい。資源採取所に関する詳細(機密指定版)
ランク 基準 ランクA(リサイクル) 生成されてから比較的新しく、手が付けられていない採取所。新たな資源を生成する準備が整っており、既に生成されている資源もランクB以上のものである。 ランクB(リデュース) 生成されてから時間が経っているが、殆ど手付かずである採取所。ランクAの資源は殆ど存在しないが、ランクBの資源が殆どでありランクCの資源は僅か。 ランクC(リユース) 生成されてから時間が経ちすぎた採取所。ランクB資源は多少存在するが、枯渇寸前である。ランクC資源は数多く存在する。資源の採取には危険が伴うため、ランクC資源採取所からの資源の採取は推奨されていない。 警告
以下の文書は中央世界統一機構により機密指定を受けている。許可を得ていない者が本文書を閲覧することは即刻の抹消処分の理由になることに留意せよ。許可を得ていない者が本文書を閲覧している場合には、速やかに本文書を廃棄し、通常版を閲覧すること。
以上に記された各資源採取所の認定基準は不完全な物です。以下に補足情報を記します。
ランク 基準(機密指定箇所) ランクA(リサイクル) いかなる種類の文明も存在していない。現在は絶滅している生物が存在する場合が多い。これらの生物は考古学的観点、及びランクC資源採取所からの需要があるため、ランクA資源指定がされている。 ランクB(リデュース) 文明は存在するが発展途中であるか、魔法文明が発達している。後者の場合、未知の生物が数多く存在する。これらの生物は各界からの需要が多くあるため、ランクS資源指定されている。知能を持つ種も存在するが、一切の権利は認められない。 ランクC(リユース) 科学文明が発達している。ランクC資源採取所の文明は中央世界のものと酷似している場合が殆どである。中央世界には存在しない技術を保有している可能性が高く、一般には"異世界"として存在を公布し交流を図る。また、ランクC資源採取所からの資源取得を非推奨とする声明を発表することで上記の内容が一般には認知されないようにする。中央世界に危害が及ぶ可能性がある、もしくは新たな発見が期待できないと見做された場合には資源の採取を解禁する。この時、ランクB以上の資源採取所に比べ激しい抵抗が予想されるため軍隊の派遣を許可する。一般にはプロパカンダ"異世界の暴動"を流布する。また、このことにより中央世界統一機構の軍隊の所持に正当性を持たせる。 ランクD(使い捨て) 資源の採取が完了した資源採取所。空間の整形を行い最低限の足場を確保した後、インスタントシステムズ社が使用する。一般には公布されない。
西村 ███様へ
先日はお客様の疑問にお答えできず申し訳ありませんでした。僭越ながら西村様の理解の助けになると思われる資料をいくつか送付させて頂きました。資料の中には本来企業秘密である内容も含まれております。今回は特例として西村様に対するお詫びもかねて情報の開示を行わせて頂きますが、本情報はより一層情報の漏洩に気をお配り頂ければ幸いです。
話は変わりますが、弊社では新規契約者様紹介キャンペーンを実施しております。西村様のご友人、並びにご同僚の皆様に我が社を紹介して頂き、新たに契約が成立した場合には、西村様へのお得なクーポンを発行いたします。是非、こぞってご参加下さい。
第57320地区担当者 ██ ██
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