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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは標準規格密閉容器に収納の上、サイト-81██の小型物品収容庫内に収容されています。標準的な書籍保管プロトコルに則り、防虫・防湿の上であらゆる汚損を避けてください。月に1度、汚損の点検を行う必要がありますが、新たに何らかの汚損が確認された場合は、形状を記録した上でその経過を観察し、生成したSCP-XXX-JP-1の電子記録をとってください。SCP-XXX-JPの閲覧希望者はデータベース内に記録されているスキャンデータを利用することができます。

説明: SCP-XXX-JPは既知の書籍のいずれとも一致しない、一般的に図鑑と称されるものと類似した体裁のA5判カラー書籍です。表紙にはタイトルとして「カラー大図鑑 二度と会えない絶滅生物たち」と記されていますが、ISBNの登録は無く、著者・出版社・画像出典などは一切不明です。発見当時は全730ページでしたが、実験の結果、現在は████ページに増加しています。SCP-XXX-JPの本文は、あらゆる分類群に属す生物の化石標本写真や復元画ならびに解説文からなりますが、現在SCP-XXX-JPに記載されている2372種のうち████種は未知の種であることが判明しています。これら未知種の生体ならびに遺骸・化石を捜索する試みはいずれも成功していません。これら未知種の項目群は一括してSCP-XXX-JP-1と指定されており、その全てがSCP-XXX-JPの異常性によって生成されたものと推測されています。

SCP-XXX-JPの異常性は、閲覧者によってSCP-XXX-JPの紙面上に任意の書き込みが行われた際に発現します。書き込みによってSCP-XXX-JP紙面に付着した着色物質は、書き込みの完了から5-10秒後に消失します。消失から7-14日後、紙面レイアウトの変更ならびに必要に応じたページの増加を伴い、当該書き込み箇所へ新たな項目が生成されます。この項目は未知の絶滅種とされる生物の標本写真または復元画、解説文からなり、その内容は閲覧者の書き込みの意図をある程度反映していると推測されています。詳細なデータは実験記録を参照してください。

実験記録XXX-1 - 日付19██/██/██

対象: SCP-XXX-JP
実施方法: ボールペンを用い、ランダムに絡まった曲線を██ページの余白へ記入。
結果:未知のシアノバクテリアの項目が生成。解説文と、記入した曲線に酷似した構造が観察されるストロマトライトの鏡面研磨写真を伴っていた。本種は存在しない分類群である██████████類に分類されていた。
分析: 「書き込みに形態的に似た未知の生物種が記載される」と仮定し、次の実験へ移る。

実験記録XXX-4 - 日付19██/██/██

対象: SCP-XXX-JP
実施方法: ボールペンを用い、ミドリムシの一種Euglena gracilisのスケッチを███ページの余白へ記入。その際、鞭毛をコイル状に描き換えさせた。
結果: Euglena █████と称する、コイル状の鞭毛をもつ未知のミドリムシの項目が生成。同項目は記入したスケッチと同じ構図の写真と解説文からなっていた。解説文には「19██年に██湖で初めて発見されたが、その後の水質汚染に伴い絶滅」との記述。
分析: 「書き込みの意図を基に『清書』したものが新たな項目として出力される」と仮定し、次の実験へ移る。

実験記録XXX-16 - 日付19██/██/█

対象: SCP-XXX-JP
実施方法: ボールペンを用い、「口から火を噴く怪獣」の一文を████ページの余白へ記入。
結果: ホソクビゴミムシ類(Brachinidae)に属す未知の昆虫類の項目が生成。標本写真によれば、本種は他のホソクビゴミムシ類と同じく尾部から高温のガスを噴き出すが、噴出部の構造がトカゲ類の吻部のような形態へ変異している。解説文には「人間の乱獲により20██年に絶滅」との記述。
分析: 書き込みが文章であっても新たな項目が作成される。また、SCP-XXX-JP-1はある程度の進化的な整合性を持って生成されると思われる。絶滅年が未来に設定されているが、本種の実体を発見する試みは未だ成功していない。SCP-XXX-JP-1の記載に基づけば、現生種を変異させることで本種を人工的に作り出せる可能性、化学工学的応用に繋げられる可能性も示唆される。次回以降、当オブジェクトの有用性を検証する実験を行う。

実験記録XXX-45 - 日付20██/██/██

対象: SCP-XXX-JP
実施方法: ボールペンを用い、「████████」の一文を████ページの余白へ記入。
結果: Bos taurusと称する未知の哺乳類の項目が生成。骨格写真ならびに記載によれば、体高1.5mに達する巨大な哺乳類であり、群れを作る草食動物であったとされる。皮膚と骨格系が工芸材料に、筋肉ならびに乳が食用に適するとの記述。項目横に「コラム」として、生息環境ならびに飼育手順の詳細な記述が付随している。
分析: 未だ成功していない哺乳類の家畜化研究を飛躍的に進歩させる新たな可能性を示している。これまでの実験結果からSCP-XXX-JPは生物学的研究に対する多様な有用性が認められると判断し、他の研究へ利用する申請を行うこととする。

申請は20██/██/██に提出され、現在は精査検討段階にあります。これに伴い、SCP-XXX-JPを用いた更なる実験は一時凍結されています。

補遺1: SCP-XXX-JPは██県██市に在住する大学生██ ██の自殺事件をきっかけとして当該者の住宅から回収されました。その際、自殺直前になされた通話の記録ならびに██ ██当人の日記が確保されており、その記述から、彼のSCP-XXX-JPへの書き込みが当オブジェクトのページ数を███ページ分増加させていることが判明しています。