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SCP-XXX-jp 地獄からの使者

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:
SCP-XXX-jpはサイト-8144の強化型生物収容セルに収容します。
SCP-XXX-JP-bにより収容セルが破損した場合、指定手順に基づき速やかに収容セルの復旧を行って下さい。必要が認められた場合は、鎮圧機構を作動させSCP-XXX-JPを拘束した上で作業を行って下さい。
担当職員はSCP-XXX-JPへの開示禁止情報一覧を参照し、インタビューなどの際に不要な情報の開示を行わないよう注意してください。

説明:
SCP-XXX-jpは全長約2mの異常実体です。その外見は巨大なクモ類と形容でき、特にジョロウグモ(Nephila clavata)に酷似しています。SCP-XXX-jpは食事、排泄を必要としません。
SCP-XXX-jpは尾部より糸状の物質(SCP-XXX-JP-a)を放出することが可能です。SCP-XXX-JP-aはSCP-XXX-JPが後述の用途に用いた場合のみ、多様な物質に変化する性質を持ちます。長期にわたる観察の結果、現在SCP-XXX-JP-aの生成量とその可変性に上限は存在しないと考えられています。SCP-XXX-JPは成人男性と同等の知性を持ち、日本語での会話が可能です。SCP-XXX-JPの財団に対する態度はおおむね無関心であり、現在まで積極的に収容を破ろうとした事例はありません。SCP-XXX-jpは「地獄」の概念に強い興味を抱いており、SCP-XXX-jp-aを用いて「地獄」の様相を再現することを行動原理としていますいました。なおSCP-XXX-jpの認識する「地獄」像は仏教及び日本の民間伝承に準拠していると思われます。
SCP-XXX-JPの周辺100m圏内には、不定期に人型の非実体存在SCP-XXX-JP-cが出現します。1SCP-XXX-JP-cは
クラスI霊的存在2に分類される特徴を持ち、存命かつ実在の人間と同一の外見及びアイデンティティを有しています。SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-cが出現した場合「地獄」に関する情報の提供を求めます。
多くの場合SCP-XXX-JP-cは恐慌の反応を示し、数十秒間逃走を試みた後消滅します。SCP-XXX-JP-cがSCP-XXX-JPへの情報提供を承諾した場合は、おおよそ三分ほどその場に留まり、SCP-XXX-JPとの会話を行い消滅します。
補遺:
SCP-XXX-JP-bのリスト(一部):
SCP-XXX-JP-b-1 全高約3mの円錐。表面には無数の鋭利な棘が存在する。硬化したSCP-XXX-JP-aにより成型されており、鋼と同等の強度を持つ。SCP-XXX-JPは「針山」と呼称。
SCP-XXX-JP-b-2 SCP-XXX-JP-aが溶解することで発生する赤色の液体。常に500℃~700℃の高温を帯びており、人間の血液のような臭気を発する。
SCP-XXX-JP-b-3 硬化したSCP-XXX-JPによって成型した容器にSCP-XXX-JP-a-3を充填して作成される。SCP-XXX-jpは「血の池」と呼称。
SCP-XXX-JP-b-4 SCP-XXX-JP-aを用いて作成されるオートマトン。日本の伝承に登場する「鬼」に近い容姿を持ち、一部は硬化したSCP-XXX-JP-aで作られた棍棒を装備している。SCP-XXX-JPの意のままにコントロール が可能で、主にオブジェクト作成の補佐に用いられる。

補遺1:196■/■/■以降、SCP-XXX-jpは新たなオブジェクトの作成を行っていません。
補遺2: SCP-XXX-JPへのインタビュー記録です。

笹山:SCP-XXX-jp、これよりインタビューを開始します。
SCP-XXX-jp:ああ。構わんが…相変わらずそのえすしぃぴぃ、という呼び方は慣れんな。
笹山:SCP-XXX-jp:
笹山:命題、とは?
SCP-XXX-jp:笹山:つまりあなたは、そのために造られたと?
SCP-XXX-jp:恐らくはな。しかし私はその時、「地獄」が如何なるものかを知らなんだ。
だからまあ、知っていそうな者に尋ねることにした。あの糸で巣を張っておけば時折人間がかかったからな、大体は私を見るなり逃げ出したが、時には話してくれるものもいた。彼らに問うたら、「針山」や「血の池」があり鬼なるものが跋扈する恐ろしいところだと言ったのだ。
笹山:なるほど。それでああ言ったものを作っていると。
SCP-XXX-jp:そういう事だ。私の糸は、「地獄」の物を編むことにしか使えぬらしい。
笹山:では、インタビューを終了しま…
SCP-XXX-jp:ああ、待ってくれ。私からも聞きたいことがある。
笹山:何でしょうか?
SCP-XXX-jp:地獄とはどんなところか、知らんかね?
笹山:(短い沈黙)いえ、存じませんね。インタビューを終了します。

SCP-XXX-jpの持つ「地獄」の知識が極めて抽象的かつ断片的であったのは幸いです。
奴に「地獄」に関する詳細な情報を開示するべきではありません。
SCP-XXX-jp-aの特性を鑑みるに、その気になれば奴は八大地獄を再現することも不可能ではないでしょうから。—-エージェント・笹山
エージェント・笹山:SCP-XXX-jp、オブジェクトの作成を辞めたのは何故ですか?
SCP-XXX-jp:ん?作ってほしいならまた作るが。
笹山:いえ、作らないほうが収容室の清掃が楽で助かります。我々が知りたいのは理由です。
SCP-XXX-jp:私は君たちのように生きるために生きているわけでは無い。故に、時折手を休めて思索を巡らせたくもなるのさ。地獄の為にある我が生についてな。
笹山:作り続けるのに疲れたと?
SCP-XXX-jp:別に。しかしまあ、虚しさは感じるな。あんなものは地獄でしかない。
笹山:どういう意味です?
SCP-XXX-jp:分らんかね?私が作っているのは地獄でしかないという意味だよ。
笹山:はぁ…そうですね。
SCP-XXX-jp:なあ、エージェント君、君は地獄を恐れるかね。
笹山:えぇ、まあ。自分がそこに落ちたらと考えると、恐ろしいですね。
SCP-XXX-jp:そうか。だが君は…いや、やはり地獄の方がましであろうな。
笹山:仰る意味が分かりませんが。
SCP-XXX-jp:そうか。それは良かった。私は少し休みたいので、お引き取り願おう。
笹山:…インタビューを終了します。

SCP-XXX-jp:いや、ある男のことを思い出していた。彼は私の知る限り唯一、何度も網にかかった人間だった。彼は私を見ても逃げ出さずに、私がいつものように、彼に地獄について尋ねるとな、彼は笑って、「この世よりはましな場所」と言ったのさ。
SCP-XXX-jp:だがもしかすると、本当にそうなのかもしれないな。君も財団職員なら、この世は三千世界に見放された地獄以下の場所だと思うことはないか?
笹山:…ないと言えば、嘘になります。
SCP-XXX-jp:彼は、君達のようにそれこそ地獄から這い出たような化生や、残酷に過ぎる世界の理と日夜戦っていたわけでもなかったのだろう。…そんな人間にさえ、ああ言わしめるこの世というのは、やはり地獄よりも惨たらしい流刑地ではないかと、そう思ってしまう。
笹山:その男は、どうなったのですか?
SCP-XXX-jp:さて、な。誰も知らない所へ行ったか、あるいは死を選んだのだろうな。何となくわかる。
SCP-XXX-jp:無間地獄を編める私の糸も、人一人さえ支えられなかったということか。